説明

巻取りドラムの製造方法並びに巻取りドラム

本発明は、巻取り炉で使用される巻取りドラム(5)の製造方法並びに巻取りドラム(5)に関する。本発明に係る方法は、巻取りドラム本体(6)上に、表面層(7)を含むトリニッケルアルミナイドを形成する工程を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取りドラムの製造方法並びに巻取りドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
可逆熱間圧延機は、シュテッケル(Steckel)圧延機とも呼ばれ、ステンレス鋼及び特殊鋼等の熱間圧延スラブのための熱間圧延機として用いられる。
【0003】
図1は、可逆熱間圧延機1の模式図である。可逆熱間圧延機1は、比較的高温で使用され、鋼材の鋳造スラブがロール2a、2bを数回通過する。ロール2a、2bは間隙を介して対向しており、スラブが間隙(nip:ニップ)Nを通過して移動すると、スラブの厚みが低減して、厚みの薄い帯鋼3となる。
【0004】
可逆熱間圧延機1の両側には、2つの巻取り炉4が配置されている。それぞれの巻取り炉4は、回転する円筒状の巻取りドラム5を含んでおり、可逆熱間圧延機1で帯鋼を処理する際、両方の巻取り炉4で帯鋼の巻取りと巻戻しが交互に実施される。巻取り炉の目的は、間隙Nを通過する帯鋼の温度を維持することである。巻取り炉は、例えば、約900℃から約1050℃の温度に維持される。
【0005】
運転中、間隙Nを通過する帯鋼3は、近い方の巻取り炉4に導かれ、対応する巻取りドラム5に巻き取られる。続いて、帯鋼3は、間隙Nを通過して逆方向に導かれると、その巻取りドラム5から巻き戻される。帯鋼の間隙の通過並びに巻取り及び巻き戻しは、帯鋼が所望の厚みになるまで繰り返される。
【0006】
巻取りドラムは、中空の円筒状をなし、少なくとも約1000mmの外径、約2000mmから5000mmの長さ、約30mmから150mmの厚みを有する厚い壁を有する。巻取りドラムは、通常、耐熱合金の鋳造により製造される。巻取りドラムの、巻き取られる帯鋼に隣接する表面である作業壁は、通常、平坦に形成されるか、または溝を有するように形成される。
【0007】
上記の説明から分かるように、巻取りドラムは非常に厳しい環境で稼働する。巻取り炉の温度は高く、また、巻取りドラムの表面には、帯鋼を巻取りドラム上に巻き取るときに、高い締付力が繰り返し印加される。これによって、巻取りドラムの表面に疲労断裂または他のクラックが発生する場合がある。巻取りドラムには、火膨れ(blister:ブリスター)も発生する。これらは、巻取りドラムの耐久性に影響を及ぼすとともに、これによって製造中の帯鋼上に痕が残り、製品の品質が悪化する。巻取りドラムの表面は、帯鋼を巻き取るときに、帯鋼の表面に形成される酸化鉄膜にもさらされる。デスケール処理を実施しても、酸化鉄膜の一部は巻取りドラム上に転移して固着する。これによって、帯鋼に欠陥が生じ、製品の品質が悪化する。
【0008】
現在、巻取りドラムの表面の火膨れによって生じる問題は、手作業で磨いて火膨れを低減できるように、炉の運転を中断することによって対処されている。このような中断を頻繁に実施すると、ロールの保守のために運転コストが高騰し、製品の処理能力が低下する。
【0009】
巻取りドラムには、現行の運転温度において、たるみ(sag:サグ)が生じる場合があり、これによって、均一な高温で炉を運転することが妨げられる。このたるみによって、巻取りドラムの回転に偏心が生じる。これによって、巻取りドラムの回転が不均一になり、巻取り炉の運転及び耐久性に影響を及ぼすとともに、帯鋼に欠陥が生じる。たるみは、巻取りドラムのスロットの狭小化等の変形の要因ともなる。この結果、巻取りドラムを交換する必要が生じる。
【0010】
上述したような問題を克服するために、従来、巻取りドラムを鋳造する際の鋳鋼組成を変えることが試みられてきた。その一例は、米国特許第6033626号に開示されている。しかし、この特許に開示された組成は、標準的な鋼組成の一変形例に過ぎない。この組成の鋳鋼は、巻取りドラムが使用される温度では柔らかく、巻取りドラムの変形が生じるという問題がある。また、この組成の鋳鋼では、巻取りドラムの表面の火膨れを抑制することはできない。
【0011】
米国特許出願公開第2001/0013383号には、加熱炉の炉床ロール用の材料として、トリニッケルアルミナイド(trinickel aluminide)耐熱合金が開示されている。この材料は、1050℃を超える温度範囲で高いクリープ破断強度を有し、かつ、高い溶接性を有している。トリニッケルアルミナイド合金の問題は、高価なことである。この材料は、単純な構造(例えば、中空円筒状)のロールを鋳造するためには好適なものであるが、巻取りドラムのような複雑な幾何学的構造を有する物体を鋳造するためには使用できない。さらに、溶融トリニッケルアルミナイド合金を準備する際、強い発熱反応が生じる。したがって、巻取りドラム程度の大きさを有する物体を鋳造することは不可能である。
【0012】
また、これらの特許文献は、巻取りドラムまたはロール全体を同一の材料から1つの部材として鋳造する方法を開示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6033626号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0013383号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、上述した問題を回避し、それによって、巻取りドラムの耐久性を大幅に向上させ、圧延機によって製造される製品の品質を改善することが可能な巻取りドラムの製造方法並びに巻取りドラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、巻取りドラム本体上に、表面層を含むトリニッケルアルミナイドを形成する工程を含むように、巻取りドラムを製造する技術思想に基づく。
【0016】
トリニッケルアルミナイド合金は、巻取りドラム本体上に、溶接または溶射によって形成することができる。表面層は、巻取りドラム本体上に配置されたトリニッケルアルミナイド合金のスリーブであってもよい。表面層の厚みは、約0.1mmから約8mmであり、好ましくは、約1mmから約4mmである。表面層は、帯鋼が巻取りドラムに巻き取られるときに、帯鋼に接触してそれを巻き込む(engage)作業面を形成する。
【0017】
表面層は、巻き取られる帯鋼に対して、凹凸がないように形成されるものであってもよい。また、表面層は、トリニッケルアルミナイド合金からなり、巻取りドラム本体の基底面から半径方向外方に延びる帯状隆起として、巻取りドラム上に形成されるものであってもよい。この場合、帯鋼が巻取りドラム上に巻き取られるときに、帯鋼に接触してそれを巻き込む作業面は、帯状隆起によって形成される。
【0018】
本発明は、多くの利点を有する。トリニッケルアルミナイド合金は、高い耐熱性と高い耐高温腐食性を有する。これによって、表面層をトリニッケルアルミナイド合金から形成した場合、高温において優れた表面硬度を有する。表面材料として従来のHシリーズのオーステナイト合金を使用すると、表面硬度は温度が上昇するにつれて低減する。トリニッケルアルミナイド合金の高い表面硬度は、高温における巻取りドラムの寿命を通じて持続する。また、製品から巻取りドラムへの酸化鉄の固着が低減または解消され、これによって、帯鋼上の孔痕が低減する。したがって、最終製品の品質が改善され、スラブから製品への収率が向上する。高温における高い耐久性により、巻取りドラムの稼働寿命が延長する。巻取りドラムの変形が低減することも、寿命の延長の要因となる。
【0019】
巻取りドラム本体を低コストの材料から製造し、高価なトリニッケルアルミナイドを表面層の形成のみに使用することもできる。これによって、巻取りドラムの価格が低くなる。巻取りドラム本体内に高い降伏強度を有する材料を使用し、トリニッケルアルミナイド合金の表面層を巻取りドラム本体上に形成することによって、局部応力に対する巻取りドラムの強度を向上させ、巻取りドラムの破損及び変形を防止することも可能となる。
【0020】
高温度FEA解析により、巻取りドラム本体上に表面層を溶接する構造を使用した場合、溶接された表面構造により巻取りドラムの壁の温度勾配が低減することが分かった。これによって、組合せ応力が低減し、巻取りドラムの破損及び変形を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来の可逆熱間圧延機を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、巻取りドラムの透視図である。
【図3】図3は、図1に示す巻取りドラムのA―A断面図である。
【図4】図4は、別の巻取りドラムの透視図である。
【図5】図5は、第3の巻取りドラムの透視図である。
【図6a】図6aは、巻取りドラム上の帯状隆起の断面図である。
【図6b】図6bは、巻取りドラム上の帯状隆起の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。本明細書及び請求項において、鋳造という用語は、溶融合金鋼を鋳型に注ぎ、その合金鋼を冷却して固化する手段をいう。溶融合金鋼は、冷却されると、鋳型により定まる形状を保持する。鋳型は固定されているものであっても、または、鋳造中に軸回りに回転するものであってもよい。回転式鋳型は、円筒、ロール、またはパイプのような軸対称品を鋳造するために使用される。
【0023】
図1については既に説明したため、更なる説明は省略する。
【0024】
図2に示す巻取りドラム5は、本発明の方法に従って製造されたものである。この巻取りドラムは、巻取りドラム本体6を含み、巻取りドラム本体上には表面層7が形成されている。巻取りドラム本体6は、図3に示されている。巻取りドラム本体は、鋳造により形成される。鋳鋼として、標準的なHシリーズのステンレス鋼(例えば、ASTM A297グレード HK、HT、HP鋼)または他の耐熱合金を使用することができる。巻取りドラム本体は、約30mmから約150mmの厚みを有する壁を備えた円状体として形成することができる。したがって、巻取りドラム本体は中空である。巻取りドラム本体上にはスロット12が設けられており、このスロットは、巻取りドラム5への帯鋼3の巻取りを開始するときに、帯鋼3の端部を把持するために使用される。巻取りドラム本体の長さは、巻取り炉の大きさに応じて様々なものとすることができる。巻取りドラム本体6の両端部にはトラニオン8が形成される。巻取りドラムは、このトラニオンによって巻取り炉に取り付けられる。
【0025】
本発明の一実施形態では、巻取りドラム本体6上にトリニッケルアルミナイド(NiAl)合金からなる表面層7が設けられる。表面層は、巻取りドラムをほぼ完全に覆うように、巻取りドラムの軸方向に巻取りドラムの一端部から他端部まで延びている。表面層は、帯鋼が可逆熱間圧延機で処理されているときに、その帯鋼を巻き込む作業面9を形成する。また、表面層は、巻取りドラム本体をその全周にわたって覆っている。図3には、図1に示す巻取りドラムのA―A断面図が示されている。表面層は、肉盛溶接によって巻取りドラム本体上に形成されるものであってもよい。言い換えれば、表面層は、巻取りドラム本体上に数層のトリニッケルアルミナイド合金を重ね合わせることによって形成される。溶接は、プラズマ溶接、レーザー溶接、MIG/MAG溶接、またはTIG溶接により実施することができる。溶接において、トリニッケルアルミナイドを含む溶加材が使用される。積層される層数は、表面層の所望の厚みに応じて決定される。表面層は、溶射によって巻取りドラム本体上に形成されるものであってもよい。溶射は、トリニッケルアルミナイド合金を溶融して溶滴化し、その溶滴を巻取りドラムに衝突させることによって実施される。様々な溶接技術及び溶射技術は、当業者には周知であるため、その詳細な説明は省略する。巻取りドラム上に表面層を形成した後、巻取りドラムの熱処理並びに機械加工及び研削の一方または両方を実施することにより、表面層が凹凸のない作業面を有するように仕上げ加工が施される。
【0026】
表面層は、巻取りドラム本体上に配置されたトリニッケルアルミナイド合金からなるスリーブであってもよい。このスリーブは、適切な厚みを有するトリニッケルアルミナイド合金の薄板から形成される。この薄板は、適切な大きさのスリーブに加工され、巻取りドラム本体に嵌め込まれる。そして、このスリーブは、巻取りドラム本体に溶接により取り付けられる。
【0027】
図2及び図3に示す巻取りドラムの、トリニッケルアルミナイド合金からなる表面層は、凹凸のない作業面9を有しており、帯鋼は、可逆熱間圧延機で処理されているときに、この作業面により巻き込まれる。
【0028】
本発明の別の実施形態では、巻取りドラム5は、巻取りドラム本体の基底面から半径方向外方に延びるトリニッケルアルミナイド合金からなる複数の帯状隆起を含んでいる。
【0029】
図4に、帯状隆起10を有する巻取りドラムを示す。帯状隆起10は、巻取りドラムの外面(すなわち、基底面)11上に形成される。帯鋼4を巻取りドラム5に巻き取る場合、基底面11は帯鋼4と接触せず、帯鋼は、帯状隆起10の隆起した表面によって巻き込まれる。この隆起した表面は、帯状隆起の、帯鋼を巻き込む作業面9をなす。
【0030】
基底面11上の帯状隆起10の巻取りドラムに対する方向は、様々なものとすることができる。図4に示す実施形態では、帯状隆起10は、巻取りドラム5の長手軸に対して略平行である。帯状隆起10の長さは、基底面11の全長にわたる。帯状隆起10は、基底面11の周回りに互いに一定の間隔をおいて配置されている。帯状隆起10は、基底面11上に様々に異なる間隔をおいて配置されるものであってもよい。帯状隆起10の長さ及び空間頻度も変更することができる。帯状隆起は、基底面の軸方向長さの一部のみにわたって延びるものであってもよい。短い帯状隆起10は、横方向にずらすことも、または、基底面11にわたって千鳥状に配置にすることもできる。また、基底面11の特定の断面に帯状隆起10が含まれないようにすることもできる。図5に示す実施形態では、帯状隆起10は、巻取りドラム5の長手軸に対して周方向に配置されている。この実施形態では、帯状隆起10は、巻取りドラム5周りに周方向に連続する個別のリングとして形成される。周方向の帯状隆起10は、リングの個別の構成要素片を千鳥状に配置してなるものであってもよい。また、帯状隆起10は、基底面11周りに配置された1本の螺旋からなるものであってもよい。
【0031】
帯状隆起10は、肉盛溶接によって基底面上に形成される。図6a及び図6bに詳細に示すように、帯状隆起は、数層の溶接ビード10a−10nを積み重ねることによって形成される。帯状隆起には、機械加工及び研削の一方または両方により、適切な高さH及び形状を有するように仕上げ加工が施される。仕上げ加工において、図6aに示すように、帯状隆起10の溶接ビードのみを処理することもできる。この場合、機械加工及び研削の一方または両方は、溶接ビード10a−10nのみに作用して所望の形状及び高さの帯状隆起10を形成するように実施され、基底面11は、仕上げ加工前の状態に保持される。また、機械加工を基底面11まで延長することも可能であり、この場合、図6bに示すように、基底面と帯状隆起の上面の両方が処理される。機械加工及び研削の一方または両方は、基底面の材料も除去するように実施される。このように、巻取りドラムの基底面も機械加工されるため、仕上げ加工が施された帯状隆起10の周りの基底面11は、元の基底面11aよりも低くなる。
【0032】
帯状隆起の高さHは、約2mmから約10mmであり、好ましくは、約4mmから約8mmである。帯状隆起10は、平坦な上面を有する。巻取りドラム5で帯鋼4を巻き取る場合、帯状隆起10の上面が作業面9をなし、帯鋼は、可逆熱間圧延機で処理されているときに、この作業面によって巻き込まれる。
【0033】
トリニッケルアルミナイド合金の組成を重量%で示せば、次の通りである。
4.0重量%から12.0重量%のAl、
0重量%から16.0重量%のCr、
0重量%から1.5重量%のMo、
0重量%から1.5重量%のZr、
0重量%から0.003重量%のB、
そして、残部はNiと不可避の不純物からなる。この合金は、NiAlを主相として含む金属組織を有する。
【0034】
本発明に係る方法に従って製造された巻取りドラムは、特に、シュテッケル圧延機の巻取り炉で使用するために好適なものである。
【0035】
本発明の様々な態様を項別に記載れば、次の通りである。
【0036】
(1)巻取り炉で使用される巻取りドラムを製造するための方法であって、前記巻取りドラムは、巻取りドラム本体を含んでおり、前記巻取りドラム本体上に、表面層を含むトリニッケルアルミナイド合金を形成する工程を含むことを特徴とする方法。
【0037】
(2)溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0038】
(3)プラズマ溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0039】
(4)レーザー溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0040】
(5)MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0041】
(6)溶射によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0042】
(7)数層のトリニッケルアルミナイド合金を重ね合わせることによって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0043】
(8)前記表面層が前記巻取りドラムの軸方向に前記巻取りドラムの一端部から他端部まで延びて前記巻取りドラム本体を全周にわたって覆うように、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含み、前記表面層は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0044】
(9)前記巻取りドラム本体上にトリニッケルアルミナイド合金からなるスリーブを配置することによって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0045】
(10)前記巻取りドラム本体上に、帯状隆起として前記表面層を形成する工程をさらに含み、前記帯状隆起は、前記巻取りドラム本体から半径方向外方に延びることを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0046】
(11)溶接ビードを積み重ねることによって、前記巻取りドラム本体上に前記帯状隆起を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(10)項に記載の方法。
【0047】
(12)プラズマ溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(11)項に記載の方法。
【0048】
(13)レーザー溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(11)項に記載の方法。
【0049】
(14)MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする(11)項に記載の方法。
【0050】
(15)前記帯状隆起に機械加工及び研削の一方または両方によって仕上げ加工を施す工程をさらに含むことを特徴とする(10)項に記載の方法。
【0051】
(16)前記帯状隆起は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする(10)項に記載の方法。
【0052】
(17)トリニッケルアルミナイド合金は、
4.0重量%から12.0重量%のAl、
0重量%から16.0重量%のCr、
0重量%から1.5重量%のMo、
0重量%から1.5%重量のZr、
0重量%から0.003重量%のB、
を含有し、残部がNiと不可避の不純物からなる化学組成を有することを特徴とする(1)項に記載の方法。
【0053】
(18)巻取り炉で使用するための巻取りドラムであって、
巻取りドラム本体と、
トリニッケルアルミナイド合金を含み、前記巻取りドラム本体上に形成された表面層と、
を含むことを特徴とする巻取りドラム。
【0054】
(19)前記表面層は、溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0055】
(20)前記表面層は、プラズマ溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0056】
(21)前記表面層は、レーザー溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0057】
(22)前記表面層は、MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0058】
(23)前記表面層は、溶射によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0059】
(24)前記表面層は、前記巻取りドラム本体上に重ね合わされた数層のトリニッケルアルミナイド合金を含むことを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0060】
(25)前記表面層は、前記巻取りドラムの軸方向に前記巻取りドラムの一端部から他端部まで延びて前記巻取りドラム本体を全周にわたって覆い、かつ、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0061】
(26)前記表面層は、前記巻取りドラム本体上にトリニッケルアルミナイド合金からなるスリーブを配置することによって、前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0062】
(27)前記表面層は、前記巻取りドラム本体上の帯状隆起を含み、前記帯状隆起は、前記巻取りドラム本体から半径方向外方に延びることを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0063】
(28)前記帯状隆起は、積み重ねられた溶接ビードを含むことを特徴とする(27)項に記載の巻取りドラム。
【0064】
(29)前記表面層は、プラズマ溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(28)項に記載の巻取りドラム。
【0065】
(30)前記表面層は、レーザー溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(28)項に記載の巻取りドラム。
【0066】
(31)前記表面層は、MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする(28)項に記載の巻取りドラム。
【0067】
(32)前記帯状隆起は、機械加工及び研削の一方または両方によって仕上げ加工が施されていることを特徴とする(27)項に記載の巻取りドラム。
【0068】
(33)前記帯状隆起は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする(27)項に記載の巻取りドラム。
【0069】
(34)トリニッケルアルミナイド合金は、
4.0重量%から12.0重量%のAl、
0重量%から16.0重量%のCr、
0重量%から1.5重量%のMo、
0重量%から1.5%重量のZr、
0重量%から0.003重量%のB、
を含有し、残部がNiと不可避の不純物からなる化学組成を有することを特徴とする(18)項に記載の巻取りドラム。
【0070】
実施形態は、本発明を限定するためではなく、例示を目的として記載されている。本発明は、添付請求項によって定義される保護の範囲内において広く解釈されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り炉で使用される巻取りドラムを製造するための方法であって、前記巻取りドラムは、巻取りドラム本体を含んでおり、
前記巻取りドラム本体上に、表面層を含むトリニッケルアルミナイド合金を形成する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プラズマ溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
レーザー溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶射によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
数層のトリニッケルアルミナイド合金を重ね合わせることによって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表面層が前記巻取りドラムの軸方向に前記巻取りドラムの一端部から他端部まで延びて前記巻取りドラム本体を全周にわたって覆うように、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含み、前記表面層は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記巻取りドラム本体上にトリニッケルアルミナイド合金からなるスリーブを配置することによって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記巻取りドラム本体上に、帯状隆起として前記表面層を形成する工程をさらに含み、前記帯状隆起は、前記巻取りドラム本体から半径方向外方に延びることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
溶接ビードを積み重ねることによって、前記巻取りドラム本体上に前記帯状隆起を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プラズマ溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
レーザー溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって、前記巻取りドラム本体上に前記表面層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記帯状隆起に機械加工及び研削の一方または両方によって仕上げ加工を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記帯状隆起は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
トリニッケルアルミナイド合金は、
4.0重量%から12.0重量%のAl、
0重量%から16.0重量%のCr、
0重量%から1.5重量%のMo、
0重量%から1.5%重量のZr、
0重量%から0.003重量%のB、
を含有し、残部がNiと不可避の不純物からなる化学組成を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
巻取り炉で使用するための巻取りドラムであって、
巻取りドラム本体と、
トリニッケルアルミナイド合金を含み、前記巻取りドラム本体上に形成された表面層と、
を含むことを特徴とする巻取りドラム。
【請求項19】
前記表面層は、溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項20】
前記表面層は、プラズマ溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項21】
前記表面層は、レーザー溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項22】
前記表面層は、MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項23】
前記表面層は、溶射によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項24】
前記表面層は、前記巻取りドラム本体上に重ね合わされた数層のトリニッケルアルミナイド合金を含むことを特徴とする請求項18記載の巻取りドラム。
【請求項25】
前記表面層は、前記巻取りドラムの軸方向に前記巻取りドラムの一端部から他端部まで延びて前記巻取りドラム本体を全周にわたって覆い、かつ、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項26】
前記表面層は、前記巻取りドラム本体上にトリニッケルアルミナイド合金からなるスリーブを配置することによって、前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項27】
前記表面層は、前記巻取りドラム本体上の帯状隆起を含み、前記帯状隆起は、前記巻取りドラム本体から半径方向外方に延びることを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。
【請求項28】
前記帯状隆起は、積み重ねられた溶接ビードを含むことを特徴とする請求項27に記載の巻取りドラム。
【請求項29】
前記表面層は、プラズマ溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項28に記載の巻取りドラム。
【請求項30】
前記表面層は、レーザー溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項28に記載の巻取りドラム。
【請求項31】
前記表面層は、MIG/MAG溶接またはTIG溶接によって前記巻取りドラム本体上に形成されることを特徴とする請求項28に記載の巻取りドラム。
【請求項32】
前記帯状隆起は、機械加工及び研削の一方または両方によって仕上げ加工が施されていることを特徴とする請求項27に記載の巻取りドラム。
【請求項33】
前記帯状隆起は、帯鋼が前記巻取りドラムに巻き取られるときに前記帯鋼を巻き込む作業面を形成することを特徴とする請求項27に記載の巻取りドラム。
【請求項34】
トリニッケルアルミナイド合金は、
4.0重量%から12.0重量%のAl、
0重量%から16.0重量%のCr、
0重量%から1.5重量%のMo、
0重量%から1.5%重量のZr、
0重量%から0.003重量%のB、
を含有し、残部がNiと不可避の不純物からなる化学組成を有することを特徴とする請求項18に記載の巻取りドラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2011−504809(P2011−504809A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535416(P2010−535416)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050668
【国際公開番号】WO2009/068733
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508172395)メッツオ ミネラルズ インク. (6)
【Fターム(参考)】