説明

巻取装置

【課題】巻取装置において、トラバース装置のトラバースガイド、およびケーシングに風綿が付着することを防ぐ。
【解決手段】本発明においては、駆動装置34を、そのケーシング35の筒壁面が前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢で固定したので、ケーシングが水平姿勢となるように固定されている形態に比べて、ケーシング35の表面への風綿の付着を抑えることができる。また、ケーシング35の頭部から突出する出力軸39にトラバースガイド33を装着したので、ケーシングの底部にトラバースガイドが装着されている従来形態に比べて、糸道からトラバースガイド33を離して設けることができるので、トラバースガイド33に風綿が付着することを効果的に防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置に関し、特に糸のトラバースを行なうトラバース装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取装置の分野において、糸から巻取パッケージを生成する際に、トラバース装置により糸をトラバースさせることは公知である。例えば、特許文献1に記載のトラバース装置は、糸をトラバースするためのトラバースガイドと、トラバースガイドを往復動させる駆動装置とを含む。駆動装置は、円柱状のケーシングと、ケーシングの底部に固定された第1および第2の永久磁石と、ケーシングの底部に配されて、これら第1および第2の永久磁石の間で可動可能に構成された第3の永久磁石とを含む。第3の永久磁石は、ケーシングの頭部から突出する出力軸に連結されており、第1と第3の永久磁石との間に働く磁力、および第2と第3の永久磁石との間に働く磁力により、ケーシングの頭部から突出する出力軸を介してトラバースガイドを往復動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−35795号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の巻取装置では、下段に給糸ボビンから糸を解舒する糸供給構造が配置され、中段に糸継構造が配置され、上段にトラバース装置を含む糸巻取り構造が配置されている。また、これら糸供給構造から糸巻取り構造に至る糸条の通り道(糸道)が形成されている方向を「前方」とするとき、特許文献1におけるトラバース装置の駆動装置は、出力軸が突出されているケーシングの頭部が前側下方に指向する傾斜姿勢で巻取装置に組み付けられている。また、特許文献1における駆動装置は、ケーシングが後側上方から前側下方に向かう傾斜姿勢で、駆動装置が巻取装置に組み付けられている。
【0005】
このように、特許文献1の形態では、前方側にトラバースガイドが配置されているため、室内空調或いはブロークリーナーのエアーが往復動されるトラバースガイドで遮られることが避けられず、効率的に室内空調等のエアーを駆動装置に当てることができず、冷却効率に劣る。また、前方側に配されたトラバースガイドに風綿が付着しやすく、頻繁な清掃作業が必要となる不利もある。
【0006】
本発明は、以上のような従来の巻取装置の抱える問題を解決することを目的としてなされたものであり、トラバース装置のトラバースガイド、およびケーシングに風綿が付着することを防ぐことができ、メンテナンス作業の手間を省くことができるとともに、より効率的に室内空調等のエアーをケーシングに当てることができ、トラバース装置の冷却効率に優れた巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装置前方に、給糸ボビンBが載置される糸供給構造16から、パッケージPを巻き取る糸巻取り構造14に至る糸道が形成されている巻取装置を対象とする。前記糸巻取り構造14は、糸Yをトラバースするトラバースガイド33と、該トラバースガイド33を往復動させる駆動装置34とを含むトラバース装置22を備える。前記駆動装置34は、頭部に出力軸39の突出を許す通孔38を備えたケーシング35を含む。そして、前記ケーシング35の壁面が前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢で前記駆動装置34が固定されており、前記ケーシング35から突出する前記出力軸39に、前記トラバースガイド33が装着されており、前記ケーシング35の一部が、装置前方からみて表面に露出していることを特徴とする。
【0008】
前記ケーシング35が、出力軸39を回転させるための駆動機構が内部に収納される、中空円筒形状に形成されている形態を採ることができる。
【0009】
前記ケーシング35の周壁が、平坦面の無い円筒壁で形成されている形態を採ることができる。
【0010】
前記ケーシング35の底部に、エンコーダ50が配置されている形態を採ることができる。
【0011】
前記駆動装置34を支持するブラケット60を備え、前記ブラケット60が、前記ケーシング35よりも前記糸道側に配置されて、トラバース方向に走る前板65を含み、前記前板65に、前記ケーシング35の底部を装置前方に露出させるための切り欠き80が形成されている形態を採ることができる。
【0012】
前記前板65が、その上下方向の高さ寸法が、左右の一方向に行くに従って小さくなるテーパー状に形成して、上下方向の高さ寸法の小さな箇所が前記切り欠き80とされている形態を採ることができる。
【0013】
前記エンコーダ50の制御ケーブル58が、前記ケーシング35の筒壁の下外面に沿うように装着されている形態を採ることができる。
【0014】
前記ケーシング35が、無底筒状のケーシング本体35aと、該ケーシング本体35aの底部開口を封止する底部カバー37とを含み、前記底部カバー37は、前記ケーシング本体35aにビス45により締結固定されており、前記底部カバー37に、前記ビス45の操作頭部を受け入れる凹部48が凹み形成されている形態を採ることができる。
【0015】
前記ケーシング35と前記ブラケット60が、アルミニウムを素材として形成されている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、駆動装置34をそのケーシング35の壁面が前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢で固定したので、ケーシングが水平姿勢となるように固定されている形態に比べて、ケーシング35の表面への風綿の付着を抑えて、メンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。また、ケーシング35の頭部から突出する出力軸39にトラバースガイド33を装着したので、ケーシングの底部にトラバースガイドが装着されている従来形態に比べて、糸道からトラバースガイド33を離して設けることができる。従って、従来形態に比べて、トラバースガイド33に風綿が付着することを効果的に防ぐことができ、この点でもメンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。
加えて、本発明においてはケーシング35の一部を装置前方からみて表面に露出させたので、室内空調等のエアーをケーシング35に当てて、駆動装置34を効率的に冷却することができる。すなわち、駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。また、トラバースガイド33をケーシング35の頭部から突出する出力軸39に装着したので、往復動されるトラバースガイド33がケーシング35に至る室内空調等のエアーの流れを阻害することは無く、この点でも駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。
【0017】
ケーシング35の周壁に平坦面が形成されていると、該平坦面に風綿が溜りやすい。これに対して、本願発明においては、ケーシング35の周壁を平坦面の無い円筒壁で形成したので、ケーシング35の筒壁面に風綿が溜まることが無く、メンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。具体的には、ケーシング35を、出力軸39を回転させるための駆動機構が内部に収納された、中空円柱形状に形成されている形態を採ることができる。
【0018】
ケーシング35の底部に、エンコーダ50を配置したので、室内空調等のエアーをケーシング35に当てて、エンコーダ50を効率よく冷却することができる。従って、エンコーダ50が過熱状態に陥ることに起因する誤作動の発生を抑えて、巻取装置の信頼性向上に貢献できる。
【0019】
駆動装置34を支持するブラケット60の前板65に、ケーシング35の底部を装置前方に露出させるための切り欠き80が形成されている形態を採ることができる。これによれば、前板65が、ケーシング35に至る室内空調等のエアーの流れを阻害することは無く、駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。
【0020】
具体的には、前板65を、その上下方向の高さ寸法が、左右の一方向に行くに従って小さくなるテーパー状に形成されている形態を採ることができる。これによれば、上記の作用効果に加えて、切り欠き80を設けたことによる前板65の剛性低下を抑えることができる。
【0021】
エンコーダ50の制御ケーブル58が、ケーシング35の筒壁の下外面に沿うように装着されていると、制御ケーブル58への風綿の付着を効果的に防ぐことができるので、メンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。
【0022】
底部カバー37に、ビス45の操作頭部を受け入れる凹部48が凹み形成されていると、ビス45の操作頭部が底部カバー37から突出することを防ぐことができる。これにて、操作頭部に風綿が付着することを防いで、巻取装置のメンテナンス性の向上に貢献できる。
【0023】
ケーシング35とブラケット60が、アルミニウムを素材として形成されている形態を採ることができる。これによれば、ブラケット60を介して、ケーシング35に帯電した静電気を除去することができるので、静電作用により風綿がケーシング35に付着することを防ぐことができる。また、ケーシング35にアース片を別途装着する形態に比べて、部品点数の増加を抑えて、巻取装置の低コスト化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る巻取装置の要部の縦断側面図である。
【図2】本発明に係る巻取装置が適用される自動ワインダーの概略構成を示す正面図である。
【図3】本発明に係る巻取装置が適用される自動ワインダーの概略構成を示す側面図。
【図4】要部の正面図である。
【図5】要部を下方から見た図である。
【図6】底部カバーと、エンコーダの取り付け形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から図6に、本発明に係る巻取装置を自動ワインダーに適用した実施例を示す。なお、本実施例における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0026】
図2および図3において、自動ワインダーは、基台フレーム1とサブフレーム2の長手方向に沿って配置される一群の巻取ユニット3で構成されている。基台フレーム1およびサブフレーム2は、それぞれ巻取ユニット3の後部に配置されている。基台フレーム1は、断面が六角形状の中空体からなり、巻取ユニット3で発生した糸屑を回収するための吸引ダクトを兼ねている。サブフレーム2は断面が円形のパイプからなる。
【0027】
巻取ユニット3は、起立する縦長箱状の巻取フレーム4を基体にして構成されており、給糸ボビンBの糸Yを巻き直してパッケージPを形成する。巻取フレーム4は、上段フレーム10と、中段フレーム11と、下段フレーム12とからなる分割フレーム構造で構成されている。各フレーム10〜12はそれぞれアルミニウムを素材とするダイキャスト成形品からなる。上段フレーム10の外側面には糸巻取り構造14が、中段フレーム11の外側面には糸継構造15が、下段フレーム12の外側面には糸供給構造16が配置されている。図3に示すように、自動ワインダーの前方側には、給糸ボビンBからパッケージPに至る糸Yの糸道が形成されている。
【0028】
上段フレーム10に設けられる糸巻取り構造14は、巻取ボビン19を着脱可能に支持するクレードル20と、巻取ボビン19に形成されるパッケージPの周面に接触して従動回転する圧接ローラ21と、糸Yを巻取ボビン19に対して左右方向に往復運動させ、該巻取ボビン19に糸Yを均一に巻き取るためのトラバース装置22などで構成される。クレードル20は、巻取ボビン19の軸方向両端をボビンホルダ23・23で回転自在に挟持する。クレードル20には、玉揚げ時や糸切れ時等にパッケージPを圧接ローラ21から離間するようにクレードル20を強制的に揺動させる、図示しない離間機構が設けられている。
【0029】
中段フレーム11に設けられる糸継構造15は、スラブキャッチャー25と、糸継装置26と、サクションマウス27と、中継ぎパイプ28、テンション装置29などで構成される。図3に示すように、サクションマウス27および中継ぎパイプ28は、それぞれ基台フレーム1にサクション通路を介して連通されており、切断された糸Yを吸引して糸継装置26に渡し、さらに、糸欠陥を含む糸屑を吸引して基台フレーム1へ搬送する。
【0030】
下段フレーム12に設けられる糸供給構造16は、給糸ボビンBの上部に配置されて、バルーン形態で給糸ボビンBから解舒される糸Yのバルーン径を制御する解舒補助装置30などで構成される。
【0031】
図1および図4に示すように、トラバース装置22は、糸Yをトラバースするトラバースガイド33と、トラバースガイド33を往復動させる駆動装置34とで構成される。駆動装置34はモーターであり、そのモーターケーシング(ケーシング)35は、頭部開口と底部開口とを有する無底円筒状のアルミニウム製のケーシング本体35aと、ケーシング本体35aの頭部開口を封止するように装着された頭部カバー36と、ケーシング本体35aの底部開口を封止するように装着されたエンドベルキャップである底部カバー37とで構成される。モーターケーシング35の内部には、整流子、コア、マグネットなどの駆動機構が内蔵されている。頭部カバー36の盤面中央には通孔38が設けられており、該通孔38を介して駆動装置34の出力軸39が突出されている。トラバースガイド33は、基端側が駆動装置34の出力軸39に装着されたトラバースアーム40と、トラバースアーム40の遊端に設けられて、糸Yを保持するフック状の糸ガイド41とからなる。
【0032】
図1および図6に示すように、底部カバー37は、モーターケーシング35の筒壁の外径寸法と同一の外径寸法を有するストレート部43と、ストレート部43の下部に設けられて下方に行くに従って漸次外径寸法が小さくなるテーパー部44とを備えるアルミニウム成形品であり、2本の連結ビス(ビス)により、モーターケーシング35の下部に締結固定されている。底部カバー37をモーターケーシング35に締結固定した状態において、図1に示すように、モーターケーシング35の筒壁の外面と、底部カバー37のストレート部43の外面とは段差の無い連続状態となる。図6に示すように、底部カバー37には、ビス通孔47が開設されており、ビス通孔47の開口周縁には、連結ビス45の操作頭部を収容する凹部48が形成されている。
【0033】
図1および図6に示すように、底部カバー37の下方には、出力軸39の回転角度を検出すためのエンコーダ50が装着されている。図1および図6において、符号51は、エンコーダ50を覆うエンコーダケースを示す。エンコーダケース51は、均一な外径寸法を有するストレート部52と、ストレート部52の下部に設けられて下方に行くに従って漸次外径寸法が小さくなるテーパー部53とを備える樹脂成形品であり、2本の連結ビス54・54により、底部カバー37の下部に締結固定されている。エンコーダケース51にはビス通孔55が開設されており、ビス通孔55の開口周縁には、連結ビス54の操作頭部を収容する凹部56が形成されている。
【0034】
図1において、符号58は、エンコーダ50と中段フレーム11に設けられた図外の制御基板とを連結するエンコーダ50の制御ケーブルを示す。図1に示すように、制御ケーブル58は、モーターケーシング35の筒壁の下外面に沿うように固定されている。
【0035】
図1および図4において、符号60は、トラバース装置22および圧接ローラ21を支持するブラケットを示す。ブラケット60は、上段フレーム10にボルト61により固定される締結部62と、締結部62から左方向に伸びる支持部63とからなるアルミニウム製のダイカスト成形品である。支持部63は、前上方に指向する天板64と、天板64の上端から前下方に連出される左右方向に走る前板65と、天板64の下端から前下方に連出されて左右方向に走る後板66とからなり、側方視で断面コ字状に形成されている(図1参照)。前板65は、ケーシング35よりも前方寄り(糸道寄り)に配置されている。前板65の天板64からの突出寸法は、後板66のそれよりも大きく設定されている。天板64には、駆動装置34を固定するためのビス67の挿通を許すビス通孔68が開設されており、該ビス通孔68を介して天板64の上面から駆動装置34の頭部に挿入されたビス67により、駆動装置34は天板64の下面に締結固定されている。前板65には、トラバースガイド33でトラバースされる糸Yを案内支持するためのガイド面70を有するガイド部材71が固定されている。図5に示すように、ガイド面70は、前側上方に向かって膨出する膨出面で形成されている。
【0036】
図1に示すように、天板64の盤面中央には、駆動装置34の出力軸39の挿通を許す通孔75が開設されている。図1および図4に示すように、天板64の上面には、圧接ローラ21の両端を支持する左右一対のローラホルダ76・76がビス77により締結固定されている。
【0037】
図1に示すように、ブラケット60の天板64は、前側上方に登り傾斜する状態で前傾されており、該天板64の下面に締結固定される駆動装置34は、その全体が後側上方に登り傾斜する後傾姿勢でブラケット60に固定されている。すなわち、駆動装置34は、モーターケーシング35の筒壁面および出力軸39が、前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢でブラケット60の天板64に固定されている。本実施形態においては、水平方向と出力軸39の伸び方向とで規定される駆動装置34の傾斜角度が50°となるようにした。
【0038】
ブラケット60の前板65には、駆動装置34の底部を前方に露出させるための切り欠き80が形成されている。本実施例においては、前板65を、その上下方向の高さ寸法が、右方が大きく、左方に行くに従って漸次小さくなるテーパー状として、前板65の左端部に切り欠き80を形成している。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る巻取装置においては、駆動装置34を、そのケーシング35の筒壁面が前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢で固定したので、ケーシングが水平姿勢となるように固定されている形態に比べて、ケーシング35の表面への風綿の付着を抑えて、メンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。また、ケーシング35の頭部から突出する出力軸39にトラバースガイド33を装着したので、ケーシングの底部にトラバースガイドが装着されている従来形態に比べて、糸道からトラバースガイド33を離して設けることができる。従って、従来形態に比べて、トラバースガイド33に風綿が付着することを効果的に防ぐことができ、この点でもメンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。
加えて、本発明においてはケーシング35の底部を装置前方からみて表面に露出させたので、室内空調のエアー、或いはブロークリーナーのノズル100から噴射されるエアーをケーシング35に当てて、駆動装置34を効率的に冷却することができる。すなわち、駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。また、トラバースガイド33をケーシング35の頭部から突出する出力軸39に装着したので、往復動されるトラバースガイド33がケーシング35に至る室内空調等のエアーの流れを阻害することは無く、この点でも駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。
【0040】
また、ケーシング35の筒壁を円筒壁で形成したので、ケーシング35の筒壁面に風綿が溜まることが無く、メンテナンス性に優れた巻取装置を得ることができる。
【0041】
ケーシング35の底部に、エンコーダ50を装着したので、室内空調のエアー、或いはブロークリーナーのノズル100から噴射されるエアーをケーシング35に当てて、エンコーダ50を効率よく冷却することができる。従って、エンコーダ50が過熱状態に陥ることに起因する誤作動の発生を抑えて、巻取装置の信頼性向上に貢献できる。
【0042】
駆動装置34を支持するブラケット60の前板65に、ケーシング35の底部を装置前方に露出させるための切り欠き80を形成したので、前板65が、ケーシング35に至る室内空調等のエアーの流れを阻害することは無く、駆動装置34の冷却効率の向上を図ることができる。
【0043】
エンコーダ50の制御ケーブル58を、ケーシング35の筒壁の下外面に沿うように装着したので、制御ケーブル58への風綿の付着を効果的に防ぐことができる。
【0044】
底部カバー37に、ビス45の操作頭部を受け入れる凹部48が凹み形成したので、ビス45の操作頭部が底部カバー37から突出することを防ぐことができる。従って、操作頭部に風綿が付着することを防いで、巻取装置のメンテナンス性の向上に貢献できる。
【0045】
ケーシング35とブラケット60を、アルミニウムを素材として形成したので、該ブラケット60を介して、ケーシング35に帯電した静電気を除去し、静電作用により風綿がケーシング35に付着することを防ぐことができる。また、ケーシング35にアース片を別途装着する形態に比べて、部品点数の増加を抑えて、巻取装置の低コスト化に貢献できる。
【符号の説明】
【0046】
14 糸巻取り構造
15 糸継構造
16 糸供給構造
22 トラバース装置
33 トラバースガイド
34 駆動装置
35 ケーシング(モーターケーシング)
35a ケーシング本体
37 底部カバー
38 通孔
39 出力軸
45 ビス
48 凹部
50 エンコーダ
58 制御ケーブル
60 ブラケット
65 前壁
80 切り欠き
B 給糸ボビン
Y 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置前方に、給糸ボビンが載置される糸供給構造から、パッケージを巻き取る糸巻取り構造に至る糸道が形成されている巻取装置であって、
前記糸巻取り構造が、糸をトラバースするトラバースガイドと、該トラバースガイドを往復動させる駆動機構を備えた駆動装置とを含むトラバース装置を備え、
前記駆動装置は、前記駆動機構をカバーするケーシングを含み、
前記ケーシングの壁面が前側下方から後側上方に向かう傾斜姿勢で、前記駆動装置が固定されており、
前記ケーシングから突出する前記出力軸に、前記トラバースガイドが装着されており、
前記ケーシングの一部が、装置前方からみて表面に露出していることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
前記ケーシングが、前記出力軸を回転させるための前記駆動機構が内部に収納される、中空円柱形状に形成されている、請求項1記載の巻取装置。
【請求項3】
前記ケーシングの周壁が、平坦面の無い円筒壁で形成されている、請求項2記載の巻取装置。
【請求項4】
前記ケーシングの底部に、エンコーダが配置されている、請求項3記載の巻取装置。
【請求項5】
前記駆動装置を支持するブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記ケーシングよりも前記糸道側に配置されて、トラバース方向に伸びる前板を含み、
前記前板に、前記ケーシングの底部を装置前方に露出させるための切り欠きが形成されている請求項4記載の巻取装置。
【請求項6】
前記前板は、上下方向の高さ寸法が、左右の一方向に行くに従って小さくなるテーパー状に形成されており、
上下方向の高さ寸法の小さな箇所が、前記切り欠きとされている、請求項5に記載の巻取装置。
【請求項7】
前記エンコーダの制御ケーブルが、前記ケーシングの筒壁の下外面に沿うように装着されている、請求項6記載の巻取装置。
【請求項8】
前記ケーシングが、無底筒状のケーシング本体と、該ケーシング本体の底部開口を封止する底部カバーとを含み、
前記底部カバーは、前記ケーシング本体にビスにより締結固定されており、
前記底部カバーに、前記ビスの操作頭部を受け入れる凹部が凹み形成されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の巻取装置。
【請求項9】
前記ケーシングと前記ブラケットが、アルミニウムを素材として形成されている、請求項1乃至8のいずれかに記載の巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67479(P2013−67479A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206566(P2011−206566)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】