説明

巻回ロール体用のパレット

【課題】パレット外形の幅を従来よりも小さく設定でき、巻回ロール体をバレットに対し出し入れする際には外枠用の支柱を嵩低く折り畳んでおくことができ、出し入れする作業を容易に行える巻回ロール体用のパレットを提供する。
【解決手段】底枠体10の長手方向の両端部に巻回ロール体のコア両端部を支持する支持枠体とは別に外枠用の支柱30を備え、この支柱30を、底枠体10に固設された支柱下部31と、支柱下部31に対して幅方向内方に横倒可能に係合連結された上部の支柱本体部32とにより構成し、幅方向に相対する両支柱30の支柱本体部32を、支柱下部31との係合連結部を回動支点にして両支柱間で上下に位置をずらせて互い違いに重ねた状態に横倒可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き芯用のコアの外周にフィルム材やシート材を巻回して包装材により包装されてなる巻回ロール体をコア両端部で支持して搬送するための架台としてのパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルムその他の各種の合成樹脂フィルム、あるいは前記フィルムに塗装等の加工を施した各種のフィルムやシート材は、巻き芯としてコアの外周に、その両端部を残余させてロール状に巻回して保護用の包装材により包装した巻回ロール体とし、この巻回ロール体を専用の架台としてのパレットにより支持して、輸送及び保管に供されている。
【0003】
前記巻回ロール体を支持するパレットとしては、例えば、巻回ロール体の長さ及び直径に応じて、これよりやや大きい長さ及び幅を有する平面長方形の底枠体の長手方向の両端部に、巻回ロール体のコア両端部を支持する支持部と、該支持部の外方の位置で起立する段積みのための外枠用の支柱とを設けたものが使用されている。
【0004】
かかるパレットにおいて、輸送先からのパレット返送時に、両端部の支持部が立設状態のままでは嵩が高く、輸送効率が悪くなるため、両端部の支持部や支柱等を長手方向内方側へ倒伏可能に設け、空パレットの返送等の取り扱いにおいては、支持部や支柱を折り畳んでおくことができるパレットが提案されている(特許文献1及び2)。
【0005】
ところで、前記のパレットにより支持した巻回ロール体は、コンテナ内に段積み状態で積載されて輸送される。この際、積載効率や輸送効率の観点から、コンテナ内に幅方向に二つのパレットを並べて収容することが望まれるが、外枠用の支柱を底枠体の長手方向内方に倒伏可能に構成したパレットは、外枠用の支柱の配置の関係で巻回ロール体の外径に比してパレット外形の幅がかなり大きくなっており、コンテナ内に二つのパレットを並べて収容することができない場合がある。
【0006】
すなわち、外枠用の支柱を底枠体の長手方向内方に倒伏可能に構成したパレットの場合は、巻回ロール体をクレーン等により吊り上げてパレットに対して出し入れする作業を容易にするために、パレット内の支持部に巻回ロール体を支持した状態のままでも前記外枠用の支柱を長手方向に倒伏し又は起立させることができるように、支持対象の巻回ロール体の外径よりも幅方向外方の位置に配設されているのが普通である。そのため、パレット外形の幅が巻回ロール体の外径に比してかなり大きくなっており、その結果、コンテナ内に二つのパレットを並べて積載できない場合があった。
【0007】
そうかといって、巻回ロール体の外径に比してパレット外形の幅を単純に小さくするのでは、幅方向に相対する外枠用の支柱の間隔も狭くなり、支持部に巻回ロール体を支持した状態のままでは、該支柱を倒伏あるいは起立させることができないことになる。そのため、前記支柱を起立させた状態のままで、巻回ロール体を出し入れする作業を行なわねばならないことになり、巻回ロール体を支柱よりも高く吊り上げる必要があり、その作業に危険性が伴う等、作業性に問題がある。
【0008】
したがって、この種の巻回ロール体用のバレットとしては、段積みのための外枠用の支柱を折り畳んだ状態で巻回ロール体をバレットに対し出し入れできて、しかも、バレット外形の幅を従来に比して小さくでき、コンテナ内に二つのパレットを並べて収納し積載することも容易に可能であることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−255455号公報
【特許文献2】特開2004−161314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、各種のフィルム材やシート材の巻回ロール体をコア両端部で支持して搬送するためのパレットとして、コンテナ輸送の際の積載効率及び輸送効率を向上するために、巻回ロール体の外径を従来と同様に保持しながら、パレット外形の幅を、巻回ロール体の外径より小さくならない範囲で従来よりも小さく設定でき、しかも巻回ロール体を吊り上げてバレットに対し出し入れする際には、外枠用の支柱を嵩低く折り畳んでおくことができ、出し入れする作業を容易に行えるようにした巻回ロール体用のパレットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する本発明の巻回ロール体用のパレットは、巻き芯用のコアの外周に該コアの両端部を残余させてフィルム又はシート材を巻回して包装してなる巻回ロール体を、コア両端部で支持して搬送するためのパレットであって、巻回ロール体の長さ及び直径に応じた長さ及び幅を有する平面長方形の底枠体と、前記底枠体の長手方向の両端部において前記巻回ロール体のコア両端部を支持する支持枠体と、前記支持枠体より底枠体の長手方向外側の位置でそれぞれ底枠体の幅方向に相対して該底枠体に立設された外枠用の支柱とを備え、前記外枠用の支柱は、底枠体に固設された支柱下部と、この支柱下部に対して底枠体の幅方向内方に横倒可能に係合連結された上部の支柱本体部とよりなり、幅方向に相対する両支柱の支柱本体部が、支柱下部との係合連結部を回動支点にして両支柱間で上下に位置をずらせて互い違いに重ねた状態に横倒可能に設けられてなることを特徴とする。
【0012】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、前記支柱本体部と支柱下部との係合連結部として、幅方向に相対する方向に開口する平面コ字形をなす支柱下部に対し支柱本体部の下部が嵌合されるとともに、前記支柱下部の前記開口を挟んで対向する両側板に形成された上下方向の係合用の長孔に対し該支柱本体部の下部に有する係合ピンが嵌入して上下に摺動変位可能及び回動可能に係合せしめられており、前記支柱本体部が、前記長孔の長さ範囲内で持ち上げ可能に、かつ長孔に対する係合ピンによる係合部を回動支点にして支柱下部の開口側へ横倒可能に設けられてなるものとすることができる。
【0013】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、前記外枠用の支柱の支柱本体部と支柱下部とに、該支柱本体部の起立状態において互いに係合して支柱本体部の横倒を阻止するストッパー用の係合手段が設けられてなるものとすることができる。
【0014】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、前記支柱本体部の回動支点の軸心に対し直交する支柱下部の側板の上端部に凹欠が設けられるとともに、支柱本体部の下部側面に支柱本体部の起立状態において前記凹欠に嵌合するストッパー用の突起が設けられてなるものが特に好ましい。
【0015】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、幅方向に相対する外枠用の支柱の支柱本体部には、対向側の側面に間隔保有のための凸起が付設され、両支柱本体部が幅方向内方に横倒して重なったときに両者間に隙間を保有するように設けられてなるものとすることができる。これにより、支柱の横倒操作時の指詰めを防止できる。
【0016】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、前記支柱本体部の上端部近傍における底枠体の長手方向内側面及び長手方向外側面に、それぞれ上下方向の筒状をなす係止部が付設され、前記長手方向内側面の係止部に長手方向に架渡されるバー部材の両端部が、前記長手方向外側面の係止部に幅方向に架渡されるバー部材の両端部が嵌合係止自在に設けられてなるものとすることができる。
【0017】
前記の巻回ロール体用のパレットにおいて、前記支持枠体は、底枠体の幅方向両側端より内方の位置で該底枠体の長手方向内方に倒伏可能に立設された2本の支柱と、前記両支柱間に架渡されて巻回ロール体のコア両端部を支持するた支持部材とを有してなるものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記したように本発明の巻回ロール体用のパレットによれば、底枠体の長手方向両端部において幅方向に相対して立設した外枠用の支柱は、上部の支柱本体部が、幅方向内方に互い違いに重ねるように横倒可能であるため、支持枠部に巻回ロール体が支持されている状態においても、該支柱本体部を横倒して折り畳んでおくことで、巻回ロール体をそれほど高く吊り上げなくてもパレットに対して出し入れできることになり、パレットに支持させる作業、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0019】
しかも、前記のように幅方向に相対する外枠用の支柱の支柱本体部を幅方向内方に横倒して重ねて折り畳むようにしたことで、支持する巻回ロール体の外径に対して幅方向外方に配置しておく必要がなく、そのため、パレット外形の幅を巻回ロール体の外径より小さくならない範囲て従来よりも小さく設定できることになる。すなわち、巻回ロール体の外径を従来と同様に保持しながら、パレット外形の幅を小さくできる。そのため、従来のパレットであれば、二つを並べて収容できないコンテナにおいても、二つのパレットを並列して収容し積載できることになり、コンテナ輸送の際の積載効率、輸送効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例のパレットを示す正面図である。
【図2】同上のパレットの平面図である。
【図3】同上のパレットの側面図である。
【図4】長手方向一端部の外枠用の支柱の直立状態の側面図である。
【図5】同上の外枠用の支柱の折り畳み状態の拡大側面図である。
【図6】長手方向一端部の支柱の立設部分の一部の拡大正面図である。
【図7】同上の一部の側面図である。
【図8】同上の支柱下部の部分での横断平面図である。
【図9】同上の支柱部分の縦断側面図である。
【図10】同上のパレットの支持枠体を横倒状態にする構造を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0022】
支持対象物としての巻回ロール体Rは、従来同様に、プラスチック製の円筒体等よりなる巻き芯としてのコアCの外周に該コアCの両端部c1,c1を残余させて長尺の合成樹脂製のフィルム材や紙等のシート材等をロール状に巻回して包装材により包装したものであり、ここでは詳しい説明を省略する。
【0023】
前記巻回ロール体Rを支持して搬送するための本発明に係るパレットAは、巻回ロール体Rの軸方向の長さ及び直径に応じた長さ及び幅を有する横長の平面長方形をなす底枠体10と、前記底枠体10の長手方向(左右方向)の両端部において、やや内方の位置で前記巻回ロール体Rのコア両端部c1,c1を支持するように長手方向に相対して立設された一対の支持枠体20,20と、前記底枠体10の長手方向の両端部において、それぞれ前記支持枠体20,20より底枠体10の長手方向外側の位置、例えば図のように前後両隅部の位置に、それぞれ前記長手方向に直交する幅方向(以下、単に幅方向とする場合もある)に相対して立設された各2本の段積み用支持部を兼ねる外枠用の支柱30,30とを備えてなる。
【0024】
前記底枠体10は、幅方向両側端に長手方向(左右方向)に配されたフレーム材11と、長手方向両端の幅方向(前後方向)のフレーム材12とにより長方形の枠状に形成され、さらに前後のフレーム材11よりやや内方において長手方向の第2のフレーム材13が配されるとともに、長手方向の所要間隔毎に幅方向の補強用のフレーム材14が配されて底枠本体15が形成されており、この底枠本体15の下部に、フォークリフトのフォークの挿し込み用の空間を形成するように脚部16が付設されてなる。前記脚部16における四隅部の支脚17の下部には、パレットAの段積み時に下段のパレットAの支柱30の上端に嵌合できるように下方向きに開口した凹形の位置決め用の嵌合部17aが設けられている。
【0025】
前記支持枠体20は、それぞれ幅方向両側端のフレーム材11より内方の2本の前記フレーム材13の位置で、前記底枠体10の長手方向内方に倒伏可能に立設された2本の支柱21,21と、両支柱21,21間に架渡された支持部材22とを有し、該支持部材22の中央部に上方に開口して拡がったU字形又は半円形の支持部22aが設けられ、該支持部22aで前記巻回ロール体RのコアCの端部c1を揺動させないように保持して支持できるようになっている。図中23は、前記支持部22aの開口部を開閉できるように前記支持部材22にヒンジ連結された固定部材であり、前記支持部22aに支持したコア端部c1の浮き上がりを阻止できるように設けられている。通常、前記固定部材23を前記支持部22aの開口部を閉じた状態に保持する係止手段が設けられる。
【0026】
前記支持枠体20の支柱21を前記底枠体10の前記第2のフレーム材13上に倒伏可能に立設する手段として、図10に拡大して示すように、支柱下部には、前後方向両側面に、前記フレーム材13に対する連結部材24が溶接手段等により付設されている。この連結部材24は、底枠体10の長手方向内方側へ突出して付設されており、該連結部材24の下部が底枠体10の長手方向内方側やや下方に延び、該連結部材24の下部が前記フレーム材13に対して支柱立設位置より前記長手方向の内方位置で幅方向の軸心を持つ軸支部25により回動可能に連結されている。これにより、前記支柱21は、支柱下端が前記フレーム材13上に載接して直立する立設位置(図10の実線)と、前記フレーム材13に対し平行になる倒伏位置(図10の鎖線)との間で起倒可能に設けられている。
【0027】
前記連結部材24には、それぞれ前記支柱21の直立状態において前記フレーム材13の上面に付設されたストッパー用突起部18に対して係止するストッパー部材26が軸支されて設けられている。このストッパー部材26は、前記支柱21の倒伏状態からの起立動作により前記フレーム材13上に沿って移動して前記支柱21つまり支持枠体20が直立状態なったときに、前記ストッパー部材26が前記ストッパー用突起部18を乗り超えて、自重で前記ストッパー用突起部18に対し斜めになって係止するようになっている。前記ストッパー用突起部18は、図のように丸棒よりなるものを溶接手段により付設するほか、他の棒体や凸片を溶接手段等により付設して実施できる。
【0028】
図示する実施例の場合、前記連結部材24の上部に、前記フレーム材13と略同幅の板体よりなる前記ストッパー部材26の一端部26aが軸支ピン27により回動可能に軸支されて揺動可能に設けられ、前記支柱21の倒伏状態からの起立動作により、該ストッパー部材26の他端部26bが前記フレーム材13上を斜めになって摺動し、かつ柱21が直立状態になったときに、前記他端部26が前記ストッパー用突起部18に対して自重で係止するように設けられている。図の例のように、前記ストッパー用突起部18に係止する前記ストッパー部材26の前記他端部26bに金属の棒体よりなる重り28が付設されていると、前記ストッパー用突起部18に対し自重で係止した状態になり易く、より好ましい。前記の重り28は、図のように丸棒よりなるものには限らず、重りとして作用する種々の形態による実施が可能である。
【0029】
図中の符号26cは、前記ストッパー部材26を形成する板体の側縁に設けた係止状態解除操作用のツマミであり、該ツマミ26cによりストッパー部材26を持ち上げて前記ストッパー用突起部18に対する係止状態を解除することにより、前記支柱21すなわち支持枠体20を長手方向内方へ倒伏させることができるように設けられている。符号29は前記支持枠体20のパレット長手方向外方への傾きを規制して直立状態に保持するための補助部材である。
【0030】
幅方向に相対して設けられた外枠用の支柱30,30は、前記底枠体10の長手方向のフレーム材11上に立設されている。この支柱30の高さは前記巻回ロール体Rの直径と同程度の高さ又はやや高く、前記巻回ロール体Rを支持した状態のパレットAを段積みできるようになっている。
【0031】
前記支柱30は、それぞれ底枠体10に固設された支柱下部31と、この支柱下部31に対して前記長手方向に直交する幅方向内方に横倒可能に係合連結された上部の支柱本体部32とよりなり、幅方向に相対する両支柱30の支柱本体部32が、支柱下部31との係合連結部を回動支点にして前後の両支柱30,30間で上下に位置をずらせて横倒可能に設けられ、図のように、いずれか一方を下にして互い違いに重ねた状態に折り畳めるようになっている。
【0032】
このように、幅方向に相対する両支柱30の支柱本体部32を幅方向内方に横倒して折り畳む構成にしたことにより、支柱30の前記の折り畳みに関して、パレットA内の支持枠体20に支持した巻回ロール体Rの外径による規制を受けることがないので、前記外枠用の支柱30,30の幅方向内方側の側面が前記最大径よりも幅方向内側の位置あるように設定して、パレット外形の幅を従来のパレットよりも小さく、例えば10〜20cm程度小さくすることが可能になる。なお、巻回ロール体Rの外周がパレットAより外方にはみ出していると、支持された巻回ロール体Rが他物と接触する虞があるので、実施上は、図のように、パレットAの前後方向の幅が支持対象として想定する巻回ロール体Rの最大外径よりも小さくならない範囲で前記のように設定される。
【0033】
前記の幅方向に相対する2本の外枠用の支柱30の支柱本体部32を、前記のように互い違いに重ねて折り畳めるようにするために、図示する実施例の場合、横倒時の回動支点となる前記係合連結部として、次のような構成を採用している。
【0034】
前記支柱下部31は、両支柱30が相対する方向に開口する平面コ字形をなし、底枠体10のフレーム材11に溶接手段等により固設されて立設されている。この支柱下部31には、前記開口34を挟んでパレット長手方向に対向する両側板31aに上下方向の係合用の長孔35が形成されている。そして、角パイプ材等よりなる支柱本体部32の下部が前記支柱下部31に摺動可能に嵌合されるとともに、該支柱本体部32の下部側面に有する係合ピン36が前記支柱下部31の長孔35に嵌入して抜脱することなく上下に摺動変位可能及び回動可能に係合せしめられている。これにより、前記支柱本体部32は、前記長孔35の長さ範囲内で持ち上げ可能に設けられ、かつ長孔35に対する係合ピン36の係合部を回動支点にして支柱下部31の開口34の側へ横倒可能に設けられている。
【0035】
そのため、前記長孔35は、前記支柱本体部32が直立した起立状態のときに前記係合ピン36が該長孔35の下部位置にあり、横倒して他方の支柱本体部32の上に重ねて折り畳んだ状態のときに、前記係合ピン36が長孔35の上部位置にあるように、位置や長さが設定されている。
【0036】
図の場合、前記支柱本体部32は、横倒状態において上端が他方の支柱30に当接せずに近接する程度の長さに設定されている。そのため、前記支柱本体部32の起立状態において、支柱30として必要な高さを確保できるように、前記支柱下部31の内部には、前記支柱本体部32を所定の高さ位置で受支するための受け部材37が支柱下部31に内接した状態で一体に溶接手段等により固定されている。この受け部材37は、図5に示すように支柱下部31の内側に嵌合し内接する管体の上端部に受板37aが溶接されたものよりなる。
【0037】
前記支柱下部31の開口34の側の下部には、前記受け部材37の受板37aと同高さ位置に、幅方向内方に横倒する支柱本体部32を受ける受け部39が突設されており、これにより、互い違いに重ねて折り畳まれる2本の支柱本体部32を水平に受支できるように設けられている。
【0038】
幅方向に相対する前記外枠用の支柱30の支柱本体部32には、対向側の側面に間隔保有のための凸起40が付設され、両支柱本体部32が幅方向内方に横倒して重なったときに両者間に指が入る程度の所定の隙間を保有するように設けられており、支柱30の横倒操作時の指詰めを防止できるようになっている。前記凸起40は幅方向に相対する支柱30の支柱本体部32の双方に設けられており、いずれの支柱本体部32が下になって折り畳まれた場合にも、前記隙間を保有できるようになっている。
【0039】
さらに、前記外枠用の支柱30の支柱本体部32と支柱下部31には、該支柱本体部32の起立状態において互いに係合して支柱本体部32の横倒を阻止するストッパー用の係合手段が設けられている。その手段として、図示する実施例の場合は、前記支柱本体部32の回動支点の軸心に対し直交する支柱下部31の側板31aの上端部に凹欠41が設けられるとともに、前記支柱本体部32の下部側面には、該支柱本体部32を前記受け部材37上に起立させた状態において前記凹欠41に嵌合するストッパー用の突起42が設けられており、該支柱本体部32を少し持ち上げて落とし込むことにより、前記突起42を凹欠41に嵌合できるようになっている。
【0040】
図中の符号43は前記支柱本体部32の係止ピン36による係合部を回動支点とする回動を許容できるように下端に形成された切欠部である。
【0041】
前記支柱本体部32の上端部近傍における長手方向内側面及び長手方向外側面には、それぞれ上下方向の筒状をなす係止部44,45が付設され、前記長手方向内側面の係止部44に長手方向に架渡されるバー部材46の両端部が、前記長手方向外側面の係止部45に幅方向に架渡されるバー部材47の両端部がそれぞれ嵌合係止自在に設けられている。
【0042】
符号50は、納入先からの空パレットAの返送時に、使用済みの巻回ロール体RのコアCを載置するための載置台であり、倒伏可能に設けられており、通常の使用時には倒伏させておけるようになっている。51は前記コアCを載置台50に載置する際の位置決め部材である。
【0043】
上記構成のパレットAの使用において、巻回ロール体RをパレットAに積み込んで支持させる際は、先ず、倒伏状態の支持枠体20を起立させる。このとき、長手方向のフレーム材13に対する連結部材24に設けられているストッパー部材26が該フレーム材13上を摺動して、前記ストッパー部材26がフレーム材13上のストッパー用突起部18を乗り超えて、自重で該突起部18に係止する。これにより、前記支柱21つまりは支持枠体20が直立状態に安定性よく保持される。
【0044】
また、長手方向両端部において幅方向に対をなして相対する外枠用の支柱30については、両支柱本体部32を横倒して互い違いに重ねて折り畳んた状態にしておく。この状態で、クレーン等で吊り上げた巻回ロール体RのコアCの両端部c1,c1を前記支持枠体20に支持させる。この際、前記外枠用の支柱30は折り畳まれた状態であるため、前記巻回ロール体Rを過度に高く吊り上げる必要がなく、積み込み支持させる作業を容易に行うことができる。
【0045】
こうして巻回ロール体R7を支持した状態で、前記のように折り畳まれている外枠用の支柱30の支柱本体部32を、係合ピン36による長孔35との係合部を回動支点にして直立状態に起立させる。このとき、長手方向両端部で上側になっている支柱本体部32については、起立動作に伴って係合ピン36が長孔35の上部位置から下部位置に摺動降下し、両支柱本体部32の両者が共に支柱下部31内の受け部材37の受板37a上に受支されて所定の高さに起立する。いずれにしても、両支柱本体部32は、前記起立動作の最終段階で、該支柱本体部32を少し持ち上げて、下部側面に有するストッパー用の突起42を支柱下部31の側板31aの上端部に有する凹欠41に係合させる。これにより、前記支柱30の横倒が阻止され直立状態に保持される。さらに、前記長手方向両端部の前後の支柱30,30に、長手方向のバー部材46と、幅方向のバー部材47を図1〜図3のように架渡して、前記各支柱30と前記バー部材46及び47とを枠状に連結構成しておくことにより、各支柱30がさらに安定し、保形強度が高められることになり、安定性よく段積みして使用することができる。
【0046】
前記のように巻回ロール体Rを支持したパレットAはコンテナに積み込んで輸送する。本発明のパレットAは、幅方向に相対する両支柱30の支柱本体部32を幅方向内方に横倒して折り畳む構成にしたことにより、前記外枠用の支柱30,30の幅方向内方側面が前記最大径よりも内側になるように設定して、巻回ロール体の外径を従来と同様に保持しながら、パレット幅を従来のパレットよりも小さくしておくことができるので、従来のパレットであれば二つを並べて収容できないコンテナにおいても、二つのパレットAを並列して収容し積載できることになり、コンテナ輸送の際の積載効率、輸送効率を高めることができる。
【0047】
そして、輸送先で支持枠体20に支持されている前記巻回ロール体Rを降ろす際には、前記バー部材46及び47を外して、長手方向両端部の前後の各支柱30をそれぞ横倒して互い違いに重ねて折り畳んた状態しておくことにより、前記巻回ロール体Rをそれほど高く持ち上げなくても容易に取り出すことができることになる。
【符号の説明】
【0048】
A…パレット、R…巻回ロール体、C…コア、c1…コア端部、10…底枠体、11…フレーム材、12…フレーム材、13…フレーム材、14…補強用のフレーム材、15…底枠本体、16…脚部、17…支脚、17a…嵌合部、18…ストッパー用突起部、20…支持枠体、21…支柱、22…支持部材、22a…支持部、23…固定部材、24…連結部材、25…軸支部、26…ストッパー部材、26a…一端部、26b…他端部、26c…ツマミ、27…軸支ピン、28…重り、30…外枠用の支柱、31…支柱下部、31a…側板、32…支柱本体、34…開口、35…長孔、36…係合ピン、37…受け部材、37a…受板、39…受け部、40…凸起、41…凹欠、42…突起、43…切欠部、44,45…係止部、46,47…バー部材、50…載置台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き芯用のコアの外周に該コアの両端部を残余させてフィルム又はシート材を巻回して包装してなる巻回ロール体を、コア両端部で支持して搬送するためのパレットであって、
巻回ロール体の長さ及び直径に応じた長さ及び幅を有する平面長方形の底枠体と、前記底枠体の長手方向の両端部において前記巻回ロール体のコア両端部を支持する支持枠体と、前記支持枠体より底枠体の長手方向外側の位置でそれぞれ底枠体の幅方向に相対して該底枠体に立設された外枠用の支柱とを備え、
前記外枠用の支柱は、底枠体に固設された支柱下部と、この支柱下部に対して底枠体の幅方向内方に横倒可能に係合連結された上部の支柱本体部とよりなり、幅方向に相対する両支柱の支柱本体部が、支柱下部との係合連結部を回動支点にして両支柱間で上下に位置をずらせて互い違いに重ねた状態に横倒可能に設けられてなることを特徴とする巻回ロール体用のパレット。
【請求項2】
前記支柱本体部と支柱下部との係合連結部として、幅方向に相対する方向に開口する平面コ字形をなす支柱下部に対し支柱本体部の下部が嵌合されるとともに、前記支柱下部の前記開口を挟んで対向する両側板に形成された上下方向の係合用の長孔に対し該支柱本体部の下部に有する係合ピンが嵌入して上下に摺動変位可能及び回動可能に係合せしめられており、前記支柱本体部が、前記長孔の長さ範囲内で持ち上げ可能に、かつ長孔に対する係合ピンによる係合部を回動支点にして支柱下部の開口側へ横倒可能に設けられてなる請求項1に記載の巻回ロール体用のパレット。
【請求項3】
前記外枠用の支柱の支柱本体部と支柱下部とに、該支柱本体部の起立状態において互いに係合して支柱本体部の横倒を阻止するストッパー用の係合手段が設けられてなる請求項1又は2に記載の巻回ロール体用のパレット。
【請求項4】
前記支柱本体部の回動支点の軸心に対し直交する支柱下部の側板の上端部に凹欠が設けられるとともに、支柱本体部の下部側面に支柱本体部の起立状態において前記凹欠に嵌合するストッパー用の突起が設けられてなる請求項2に記載の巻回ロール体用のパレット。
【請求項5】
幅方向に相対する外枠用の支柱の支柱本体部には、対向側の側面に間隔保有のための凸起が付設され、両支柱本体部が幅方向内方に横倒して横倒して重なったときに両者間に隙間を保有するように設けられてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻回ロール体用のパレット。
【請求項6】
前記支柱本体部の上端部近傍における底枠体の長手方向内側面及び長手方向外側面に、それぞれ上下方向の筒状をなす係止部が付設され、前記長手方向内側面の係止部に長手方向に架渡されるバー部材の両端部が、前記長手方向外側面の係止部に幅方向に架渡されるバー部材の両端部が嵌合係止自在に設けられてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻回ロール体用のパレット。
【請求項7】
前記支持枠体は、底枠体の幅方向両側端より内方の位置で該底枠体の長手方向内方に倒伏可能に立設された2本の支柱と、前記両支柱間に架渡されて巻回ロール体のコア両端部を支持するた支持部材とを有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻回ロール体用のパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105334(P2011−105334A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260906(P2009−260906)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】