説明

巻尺用距離測定補助具

【課題】巻尺の検尺テープに取り付けられ、例えば、球体の直径など、巻尺を用いた2点間距離の測定を補助し、かつ、小型で容易に持ち運びできる巻尺用距離測定補助具を得る。
【解決手段】巻尺の検尺テープ4に着脱自在に取り付けられ、検尺テープ4に対して突出する測定当接部25をそれぞれ有し、測定当接部25を検尺テープ4の長手方向に相対させて配置される一対のテープ取付体11A,11Bを備え、検尺テープ4の長手方向に相対する一対の測定当接部25の互いに相対する端部が、基準面25aとして構成され、一対のテープ取付体11A,11Bは、検尺テープ4の長手方向にスライド可能に、かつ、基準面25aの位置に対応する検尺テープ4の部位に記された検尺テープ4の寸法目盛り6を読み取り可能に検尺テープ4に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻尺に取り付けられ、巻尺を用いて2点間の距離を測定するのを補助する巻尺用距離測定補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、円柱体や球体の直径を測定するのに、しばしばノギスが従来から利用されている。一般的なノギスは、寸法目盛りが記された長尺板状の本尺と、本尺に対して本尺の長手方向にスライド自在に設けられるスライダと、本尺に固定される第1ジョウと、第1ジョウと相対するようにスライダに固定され、スライダのスライド移動により、第1ジョウに接近または離間する方向に移動する第2ジョウと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、円柱体の直径の測定は、円柱の外周面の所定部位を、第1及び第2ジョウで挟み込み、このときの寸法目盛りを読み込むことで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−307802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大きな円柱体の直径を測定する場合には、大型のノギスが必要となり、持ち運びに不便であり、作業者の負担が増大する。
【0006】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、巻尺の検尺テープに取り付けられ、例えば、被測定対象物としての球体の直径など、巻尺を用いて2点間の距離を測定するのを補助し、容易に持ち運びできる巻尺用距離測定補助具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、寸法目盛りが記され、巻尺の検尺テープに取り付けられて、巻尺を用いた被測定対象物の2点間の距離の測定を補助する巻尺用距離測定補助具であって、検尺テープに着脱自在に取り付けられ、検尺テープに対して突出する測定当接部をそれぞれ有し、測定当接部を検尺テープの長手方向に相対して配置される一対のテープ取付体を備え、検尺テープの長手方向に相対する一対の測定当接部の互いに相対する端部が、基準当接部として構成され、一対のテープ取付体は、検尺テープの長手方向にスライド可能に、かつ、基準当接部の位置に対応する検尺テープの部位に記された寸法目盛りを読み取り可能に検尺テープに取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る巻尺用距離測定補助具を用いれば、被測定対象物に、一対のテープ取付体の基準当接部を当接させたときに読み取った検尺テープの寸法目盛りの値の差が、被測定対象物の所定の2点間の距離となる。検尺テープは、巻回されてコンパクトに収納可能であり、また、巻尺用距離測定補助具を構成する一対のテープ取付体も、検尺テープにスライド可能に取り付けられるものであればよく、簡易な構成で小型に作製可能である。
このため、被測定対象物が大きくても、いずれもコンパクトな巻尺と巻尺用距離測定補助具を用いて被測定対象物の所定の2点間距離を測定可能である。従って、被測定対象物の2点間距離を測定する際、巻尺用距離測定補助具や、巻尺用測定補助具が取り付けられう巻尺の持ち運びに要する作業者の労力を著しく軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】巻尺の側面図である。
【図2】図1のA部斜視図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具の斜視図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体の分解正面図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第1コネクタ部の上面図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第1コネクタ部の側面図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第2分割テープ取付体の上面図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第2分割テープ取付体の側面図である。
【図9】図3のIX−IX矢視断面図である。
【図10】この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具と巻尺を用いて球体の直径を測定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
まず、巻尺用距離測定補助具の説明に先立って、巻尺の構造について説明する。
図1は巻尺の側面図、図2は図1のA部斜視図である。
【0012】
図1及び図2において、巻尺1は、コンベックスと呼ばれている小型のものであり、ケース2と、ケース2の内部に軸周りに回転自在に支持される巻き取りドラム3と、巻取りドラム3に巻回されて一端側がケース2の外部に配置され、一端からの長さを表示する寸法目盛り6が一面に付された検尺テープ4と、を備えている。なお、検尺テープ4は、その一面と相対する側から見て所定の幅を有している。
【0013】
また、検尺テープ4の長手方向の一端には、検尺テープ4の他面から突出する爪部5が取り付けられている。
また、検尺テープ4は、一面と相対する側から見たときの検尺テープ4の幅方向の両端間を湾曲させて作製されている。このとき、検尺テープ4の湾曲方向の中心が、湾曲方向の両端を結ぶ直線に対して最も突出されており、検尺テープ4の湾曲方向の両端間を結ぶ線分は、所定の曲率半曲を有している。
【0014】
周知の技術であるので、詳細には図示しないが、検尺テープ4は、所望の長さだけ引出可能であるとともに、図示しないゼンマイばねのばね力により、引き出された検尺テープ4は、再度巻き取りドラム3に巻き取り可能に構成されている。
【0015】
ついで、巻尺用距離測定補助具の構成について説明する。
図3はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具の斜視図、図4はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体の分解正面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第1コネクタ部の上面図、図6はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第1コネクタ部の側面図、図7はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第2分割テープ取付体の上面図、図8この発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具のテープ取付体を構成する第2分割テープ取付体の側面図、図9は図3のIX−IX矢視断面図である。
【0016】
図3〜図8において、巻尺用距離測定補助具10は、例えば、塩化ビニル樹脂を材料とする第1及び第2のテープ取付体11A,11Bにより構成される。
第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、同じ構成を有している。
【0017】
第1テープ取付体11Aは、第1分割テープ取付体としての第1コネクタ部12と、第1コネクタ部12に嵌め合わされる第2コネクタ部21、及び第2コネクタ部21から延出される測定当接部25を有する第2分割テープ取付体20と、を備えている。
【0018】
第1コネクタ部12は、図4〜図6に示されるように、中央部に計測用穴13aが形成され、矩形形状の外形を有する第1ベース13と、第1ベース13の長手方向の両側から、第1ベース13の短手方向の全域に亘って、第1ベース13に垂直に突出される一対の側片14と、を備え、図4に示されるように、第1ベース13と一対の側片14とで凹部15が形成される。側片14は弾性変形可能な厚さに作製されている。
【0019】
第1ベース13の一面は、凹部15の底部外壁面を構成している。また、第1ベース13の他面は、第1ベース13の長手方向の中心において最も突出する凸面13bを有している。凸面13bの湾曲方向の両端間を結ぶ線分の曲率半径は、検尺テープ4の他面の湾曲方向の両端間を結ぶ線分の曲率半径に一致されている。これにより、検尺テープ4の一面に、第1ベース13の他面を沿わせて、検尺テープ4の一面側に、第1ベース13を配置させることが可能となる。また、凸面13bの湾曲方向の長さは、検尺テープ4の湾曲方向の両端間の長さより僅かに長くなっている。
【0020】
また、計測用穴13aは、概略矩形形状に開口し、長手方向を第1ベース13の長手方向に一致させて形成されている。
また、一対の側片14の所定の部位には、矩形形状の嵌合穴14aが穿設されている。
嵌合穴14aは、その長手方向を第1ベース13の短手方向に平行にして形成されている。
【0021】
また、第1ベース13の一面には、第1ベース13の長手方向に長さ方向の一致する読み取り基準線16が、第1ベース13の両短辺の長手方向の中心の部位から計測用穴13aに至るように記されている。
【0022】
次いで、第2分割テープ取付体20について説明する。
第2コネクタ部21は、厚み方向から見た外形形状が、第1コネクタ部12の一対の側片14間の距離に合致する長さの長辺と、第1ベース13の短辺の長さと同じ長さの短辺とからなる矩形形状のブロック体で構成される第2ベース22、及び第2ベース22の長手方向の両側面から突出される一対の嵌合凸部23を有する。
以下、第2ベース22を厚み方向から見たときの第2ベース22の長辺及び短辺の長さ方向を第2ベース22の長手方向及び短手方向とする。
【0023】
第2ベース22の厚み方向の一面側には、凹部22Aが短手方向に溝方向を一致させて形成されている。このとき、凹部22Aの底面(以下、凹面とする)の湾曲方向の両端間を結ぶ線分の曲率半径は、検尺テープ4の一面の湾曲方向の両端間を結ぶ線分の曲率半径に一致されている。これにより、検尺テープ4の他面に第2ベース22の一面を沿わせて、検尺テープ4の他面側に第2ベース22を配置させることが可能となる。また、凹部22Aの湾曲方向の長さは、検尺テープ4の湾曲方向の両端間の長さより僅かに長くなっている。また、第2ベース22の一面の長手方向の両端と、凹部22Aの湾曲方向の両端との間には、検尺テープ4の厚み相当する段差が形成されている。
【0024】
また、嵌合凸部23は、第2ベース22からの突出方向に垂直な断面が矩形形状であり、第2ベース22の厚み方向に関し、基端から先端に向かって漸次幅の狭くなるテーパ状に形成されている。
【0025】
そして、嵌合凸部23の基端側の外形は、嵌合穴14aの内形に合致しており、嵌合凸部23は、嵌合穴14aに嵌め合わせ可能になっている。
【0026】
また、測定当接部25は、概略所定の幅で所定の厚みを有する長尺平板状に形成され、幅方向の一端面が基準当接部としての基準面25aを構成している。
測定当接部25は、第2ベース22の他面から垂直に突出するように第2ベース22に固定されている。このとき、測定当接部25の幅方向が、第2ベース22の短手方向に一致し、基準面25aが、第2ベース22の短手方向の中心に位置している。
【0027】
以上のように構成された第1分割テープ取付体としての第1コネクタ部12と第2分割テープ取付体20は、第1ベース13の凸面13bに第2ベース22の凹面を相対させ、第2コネクタ部21が第1コネクタ部12の凹部15に挿入される方向に互いの間を押し込むことで図9に示されるように嵌合して、一体化される。
そして、後述するように第1コネクタ部12と第2コネクタ部21は、検尺テープ4の長手方向にスライド自在に検尺テープ4に取り付けられるスライド取付部30を構成する。
【0028】
即ち、第2コネクタ部21が、その凹面側から第1コネクタ部12の凹部15に所定量挿入されると、嵌合凸部23が側片14の先端に当接する。この状態からさらに、第2コネクタ部21を凹部15に挿入させると、嵌合凸部23は、凹部15への第2コネクタ部21の挿入方向に関して、漸次幅狭となっているので、両側片14を互いの間の距離が離れる方向に弾性変形させながら、第2コネクタ部21が凹部15に挿入される。
【0029】
嵌合凸部23と嵌合穴14aが嵌合されたところで、第2コネクタ部21の一面の長手方向の両縁部が、凹部15の底部と隙間なく配置される。そして、嵌合凸部23の基端側の外形は、嵌合穴14aの内形に合致しているので、第1コネクタ部12と第2分割テープ取付体20は、互いにぐらつくことなく連結される。このとき、第1ベース13及び第2ベース22の短手方向に直交する断面において、第1ベース13の凸面13bと第2ベース22の凹面との間に形成される空間は、検尺テープ4の断面形状に略合致している。
【0030】
第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、検尺テープ4を第1及び第2コネクタ部12,21の間に入れて連結可能となるが、このとき、検尺テープ4の長手方向に関し、測定当接部25の検尺テープ4の長手方向に沿った方向の一端及び他端を入れ替えることが可能である。つまり、第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、基準面25aを検尺テープ4の一端側に向けて検尺テープ4に取り付けるか、基準面25aを、検尺テープ4の一端とは逆側に向けて検尺テープ4に取り付けるかを選択できる。
また、計測用穴13aは、検尺テープ4を介して第1及び第2コネクタ部12,21を嵌合させたときに、検尺テープ4の寸法目盛り6を読み取り可能な形状を有している。
【0031】
次いで、巻尺用距離測定補助具10を用いて被測定対象物としての球体の直径を測定する方法を説明する。
図10はこの発明の一実施の形態に係る巻尺用距離測定補助具と巻尺を用いて球体の直径を測定する方法を説明する図である。
【0032】
まず、作業者は、第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれを、第1分割テープ取付体としての第1コネクタ部12と、第2分割テープ取付体20とを分離した状態で用意しておく。
そして、第1テープ取付体11Aを以下のように検尺テープ4に取り付ける。
図10において、第1コネクタ部12の凸面13bと第2ベース22の凹面との間に検尺テープ4が配置されるように、第1コネクタ部12及び第2分割テープ取付体20を配置する。このとき、基準面25aが検尺テープ4の先端とは逆側に向けておく。さらに、第2コネクタ部21が第1コネクタ部12の凹部15に挿入される方向に、第1コネクタ部12及び第2分割テープ取付体20を互いに押し込んで、嵌合凸部23と嵌合穴14aとを嵌合させ、第1コネクタ部12と第2分割テープ取付体20とを一体化する。
【0033】
同様に、第2テープ取付体11Bを検尺テープ4に取り付ける。このとき、第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、それぞれの基準面25aが互いに相対する向きに検尺テープ4に取り付けられている。また、第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれの第1ベース13及び第2ベース22は、検尺テープ4を大きな力で加圧していない。
【0034】
このため、第1コネクタ部12及び第2コネクタ部21により構成されるスライド取付部30は、上述したように、検尺テープ4にガイドされて検尺テープ4の長手方向にスライド自在となる。
【0035】
次いで、作業者は、基準面25aの間に、球体31が挟まれるように第1及び第2テープ取付体11A,11Bを検尺テープ4の長手方向にスライドさせる。そして、第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれの第1ベース13に記された読み取り基準線16に対応する位置に記された検尺テープ4の寸法目盛り6の値を、計測用穴13aを介して読み取る。
読み取った2つの寸法目盛り6の値の差が、球体31の直径となる。
このように、球体31の表面に、測定当接部25の基準面25aを直接押し当て、基準面25aに対応する検尺テープ4の寸法目盛り6を読み取って球体31の直径としているので、測定された球体31の直径は、正確な値となる。
なお、被測定対象物は、球体31のものに限らず、基準面25aで挟み込み可能なものであれば、巻尺用距離測定補助具10を用いて、被測定対象物の表面の2点間距離を正確に、かつ容易に測定可能である。断面円などの湾曲面に形成されている場合でも、被測定対象物の表面の2点間距離を正確に、かつ容易に測定できる。
一方、検尺テープ4のみで、球体31の直径を測定するには、直接目盛りを測定対象となる部位に配置させることができないので、誤差が生じる。
【0036】
上記は、球体31の直径を測定するものとして説明したが、例えば、有底円筒(図示せず)において、開口側の内径が底部側の内径に対してステップ状に大きく変化している場合に、被測定対象物としての有底円筒体の底部側(小径側)の内径を測定する場合について説明する。
【0037】
即ち、第1及び第2テープ取付体11A,11Bを、基準面25aが互いに反する方向に向くように、検尺テープ4に取り付ける。そして、有底円筒内に、測定当接部25を挿入し、底部側の内面に、第1及び第2テープ取付体11A,11Bの基準面25aを当たるまで、第1及び第2テープ取付体11A,11Bを検尺テープ4の長手方向にスライド移動する。
【0038】
そして、第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれの第1ベース13に記された読み取り基準線16に対応する位置に記された検尺テープ4の寸法目盛り6の値を、計測用穴13aを介して読み取る。
読み取った2つの寸法目盛り6の値の差が、円筒の内径となる。
このように、測定当接部25の基準面25aを直接有底円筒体の底部側の内面に押し当て、基準面25aに対応する検尺テープ4の目盛りを読み取って、有底円筒の底部側の内径を測定しているので、測定された内径は、正確な値として導き出される。
一方、検尺テープ4のみで、上記のように2段階の直径を有する有底円筒の底部側の直径を測定するには、直接寸法目盛り6を測定対象となる部位に配置させることができないので、誤差が生じる。
【0039】
この発明の巻尺用距離測定補助具10によれば、検尺テープ4に着脱自在に取り付けられ、検尺テープ4に対して突出する測定当接部25をそれぞれ有し、測定当接部25を検尺テープ4の長手方向に相対させて配置される一対のテープ取付体11A,11Bを備えている。そして、検尺テープ4の長手方向に相対する一対のテープ取付体11A,11Bの測定当接部25の互いに相対する端部が、基準面25aとして構成されている。さらに、一対のテープ取付体11A,11Bは、検尺テープ4の長手方向にスライド可能に、かつ、基準面25aの位置に対応する検尺テープ4の部位に記された寸法目盛り6を読み取り可能に検尺テープ4に取り付けられている。
【0040】
そして、巻尺用距離測定補助具10を用いれば、上述のように、球体31の直径を正確に測定することができる。
このとき、検尺テープ4は、巻回されてコンパクトに収納され可能であるので、巻尺1はノギスに比べて小型である。また、巻尺用距離測定補助具10を構成する第1及び第2テープ取付体11A,11Bも、検尺テープ4にスライド可能に取り付けられるものであればよく、簡易な構成で小型に作製可能であり、大型のものを用いる必要はない。
【0041】
特に、大きな球体31の直径を測定する場合にノギスを用いようとすうと、著しく大型のノギスが必要となり、持ち運びに不便であり、作業者の作業負荷が増大する。
一方、巻尺用距離測定補助具10を用いれば、球体31の直径が大きくても、コンパクトにして持ち運び可能な巻尺1を構成する検尺テープ4に取り付けるだけで、球体31の直径を測定可能であり、巻尺1と小型化されている巻尺用距離測定補助具10を持ち運ぶときの労力が著しく軽減される。
つまり、巻尺用距離測定補助具10を用いれば、球体31等の2点間距離を測定するときの作業者の労力を著しく軽減できる。
【0042】
また、第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれは、測定当接部25の検尺テープ4の長手方向に沿った方向の一端及び他端を入れ替えて、検尺テープ4に取り付けることができる。このため、例えば、被測定対象物の円筒の内径等の2点間距離を測定することも可能となる。
【0043】
第1及び第2テープ取付体11A,11Bのそれぞれは、第1コネクタ部12、第1コネクタ部12との間に検尺テープ4を挟み込んで、着脱自在に第1コネクタ部12に取り付けられる第2コネクタ部21を有し、検尺テープ4に沿った方向にスライド可能なスライド取付部30を備え、測定当接部25は、第1及び第2コネクタ部12,21の一方に取り付けられている。
このように、巻尺用距離測定補助具10の巻尺1への取り付け作業は、第1コネクタ部12と第2コネクタ部21とを連結するだけであり、容易に行える。
【0044】
なお、上記実施の形態では、第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、検尺テープ4に着脱自在であるものとして説明したが、第1及び第2テープ取付体11A,11Bは、検尺テープ4に着脱自在でなくても、たとえば、検尺テープ4が略巻き取られたときに、検尺テープ4からのケース2からの延出部に配置されるように、検尺テープ4に取り付けてあってもよい。
【0045】
この場合、検尺テープ4の長手方向に相対する一対のテープ取付体11A,11Bの測定当接部25の互いに相対する端部を、基準当接部として構成し、少なくとも検尺テープ4の先端から第1テープ取付体11Aより離れた位置にある第2テープ取付体11Bを検尺テープ4の長手方向にスライド可能にすれば、第1及び第2テープ取付体11A,11Bの互いの間の間隔、言い換えれば、基準面25aの間隔を調整できる。これにより、被測定対象物としての球体31の直径等の2点間の距離を測定できる。さらに、もう一対の基準当接部としての基準面を、一対の測定当接部25の互いに相反する側の端部に構成してもよい。この場合、もう一対の基準面のそれぞれの位置に対応する第1ベース13の部位にも、読み取り基準線を設けるなどしておけば、もう一対の基準面のそれぞれの位置に対応する検尺テープ4の部位に記された寸法目盛り6を、計測用穴13aを介して読み取り可能となる。これにより、もう一対の基準当接部を、例えば、被測定対象物の円筒物の内周面に当接させることで、円筒の内径などの2点間距離を測定することができる。
【0046】
なお、第1及び第2テープ取付体11A、11Bは、塩化ビニル樹脂を材料として作製されるものとして説明したが、塩化ビニル樹脂を材料として作製されるものに限定されず、側片14の弾性が確保され、かつ剛性を有する材料であれば、金属や、他の樹脂材料等で作製されていてもよい。ただし、塩化ビニルなどの樹脂を用いることで、軽量化が実現される。
【符号の説明】
【0047】
1 巻尺、4 検尺テープ、6 寸法目盛り、10 巻尺用距離測定補助具、11A,11B テープ取付体、12 第1コネクタ部、21 第2コネクタ部、25 測定当接部、25a 基準面(基準当接部)、30 スライド取付部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法目盛りが記され、巻尺の検尺テープに取り付けられて、上記巻尺を用いた被測定対象物の2点間の距離の測定を補助する巻尺用距離測定補助具であって、
上記検尺テープに着脱自在に取り付けられ、上記検尺テープに対して突出する測定当接部をそれぞれ有し、上記測定当接部を上記検尺テープの長手方向に相対させて配置される一対のテープ取付体を備え、
上記検尺テープの長手方向に相対する一対の上記測定当接部の互いに相対する端部が、基準当接部として構成され、
一対の上記テープ取付体は、上記検尺テープの長手方向にスライド可能に、かつ、上記基準当接部の位置に対応する上記検尺テープの部位に記された上記寸法目盛りを読み取り可能に上記検尺テープに取り付けられていることを特徴とする巻尺用距離測定補助具。
【請求項2】
一対の上記テープ取付体のそれぞれは、上記測定当接部の上記検尺テープの長手方向に沿った方向の一端及び他端を入れ替え可能に上記検尺テープに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻尺用距離測定補助具。
【請求項3】
一対の上記テープ取付体のそれぞれは、第1コネクタ部、上記第1コネクタ部との間に上記検尺テープを挟み込んで、着脱自在に上記第1コネクタ部に取り付けられる第2コネクタ部を有し、上記検尺テープに沿った方向にスライド可能なスライド取付部を備え、
上記測定当接部は、上記第1及び第2コネクタ部の一方に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻尺用距離測定補助具。
【請求項4】
寸法目盛りが記され、巻尺の検尺テープに取り付けられて、上記巻尺を用いた被測定対象物の2点間の距離の測定を補助する巻尺用距離測定補助具であって
それぞれ、上記検尺テープに取り付けられ、上記検尺テープに対して突出する測定当接部を有し、上記測定当接部を上記検尺テープの長手方向に相対させて配置される一対のテープ取付体を備え、
上記検尺テープの長手方向に相対する一対の上記測定当接部の互いに相対する端部が、基準当接部として構成され、
一対の上記テープ取付体のうち、上記検尺テープの先端から離れた側に上記検尺テープに取り付けられる上記テープ取付体が、上記検尺テープの長手方向にスライド可能に構成され、かつ、一対の上記テープ取付体は、上記基準当接部のそれぞれの位置に対応する上記検尺テープの部位に記された上記寸法目盛りを読み取り可能に上記検尺テープに取り付けられていることを特徴とする巻尺用距離測定補助具。
【請求項5】
もう一対の基準当接部が、上記一対の測定当接部の互いに相反する側の端部に設けられて、上記もう一対の基準当接部のそれぞれの位置に対応する上記検尺テープの部位に記された上記寸法目盛りを読み取り可能であることを特徴とする請求項4に記載の巻尺用距離測定補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−172998(P2012−172998A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32266(P2011−32266)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】