説明

巻物セット及び巻物

【課題】ユーザが巻物を容易に作成することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】本紙20を軸芯30に巻き付けた巻物10を作成するための巻物セット50を提供する。巻物セット50は、長方形の本紙20の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構の一例であるキャップ32を備えた軸芯30と、本紙20の、軸芯30に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構の一例である発装42を備えた表紙40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻物に関する。本発明は、とくに、巻物を作成するための巻物セットと、その巻物セットを用いて作成された巻物に関する。
【背景技術】
【0002】
古来、文字や絵などを記した書簡を保存するために巻物が用いられてきた。製本技術の発達に伴って、巻物はほとんど用いられなくなったが、近年、その芸術性の高さから、手紙や、記念品などとしての利用が見直されつつある。
【0003】
ユーザが気軽に巻物を作成することを可能とするために、無地の本紙に軸芯と表紙を取り付けた巻物セットが提供されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の巻物セットは、構造上は巻物として完成された状態で販売されるので、ユーザは、無地の本紙に直接文章や絵などを書くことができるのみで、プリンターなどを用いて本紙に文章や絵などを印刷したり、別の本紙に差し替えたりすることはできなかった。また、本紙に別の紙を貼り付けることはできても、全体をうまく貼り付けられなければ、貼り付けた紙が浮いたりずれたりする場合があるし、紙が長い場合には、何周も軸芯に巻き付けるうちに本紙と貼り付けた紙のずれが大きくなってうまく巻き付けられなくなる場合もある。また、本紙の長さを変更することができないので、本紙が足りなかったり、余りすぎたりすることがあった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが巻物を容易に作成することを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、巻物セットに関する。この巻物セットは、本紙を軸芯に巻き付けた巻物を作成するための巻物セットであって、長方形の本紙の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構を備えた軸芯と、前記本紙の、前記軸芯に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構を備えた表紙と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記第1取付機構は、前記軸芯の外周の軸方向に設けられ、前記本紙の一辺を挿入可能なスリットと、前記軸芯を締め付けることにより前記スリットを閉じさせて、前記スリットに挿入された前記本紙の一辺を前記スリットに挟持させる締付機構と、を含んでもよい。
【0008】
前記締付機構は、前記軸芯の一端又は両端にはめ込むキャップを含んでもよく、前記キャップは、開口部の内周の半径よりも、前記開口部よりも奧側の内周の半径の方が短くてもよい。
【0009】
前記第2取付機構は、2つ折りにされた前記表紙の間に挿入された前記本紙を、2つ折りの部分において前記表紙の外側から挟持してもよい。
【0010】
前記表紙の少なくとも一部は、マグネットシート又は静電気を帯びたシートにより構成されてもよい。
【0011】
前記表紙の少なくとも一部は、前記軸芯に巻き付ける方向に巻きぐせがつけられた形状記憶シートにより構成されてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、巻物に関する。この巻物は、長方形の本紙と、前記本紙の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構を備えた軸芯と、前記本紙の、前記軸芯に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構を備えた表紙と、を備えることを特徴とする。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが巻物を容易に作成することを可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 実施の形態に係る巻物の外観を示す図である。
【図2】 軸芯の外観を示す図である。
【図3】 軸芯のスリットに本紙の一辺が挿入された様子を示す図である。
【図4】 キャップの断面を模式的に示す図である。
【図5】 本紙の一辺が軸芯に取り付けられた様子を示す図である。
【図6】 表紙の外観を示す図である。
【図7】 2つ折りにされた表紙の間に本紙の一辺が挿入される様子を示す図である。
【図8】 2つ折りにされた表紙の間に本紙の一辺が挿入された様子を示す図である。
【図9】 表紙に発装が取り付けられた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、実施の形態に係る巻物の外観を示す。巻物10は、実施の形態に係る巻物セット50と長方形の本紙20から作成される。巻物セット50は、本紙を巻き付けるための軸芯30と、軸芯30に巻き付けられた本紙20の外側を包むための表紙40を含む。軸芯30は、本紙20の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構の一例であるキャップ32を備える。表紙40は、本紙20の、軸芯30に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構の一例である発装42と、表紙40の外側から巻物をくくるための紐44を備える。
【0017】
巻物セット50の軸芯30及び表紙40は、本紙20を着脱自在に取り付け可能であるから、ユーザは、本紙20を含まない巻物セット50を購入し、好みの文章や絵などを印刷又は記載した本紙20を用意して、容易にオリジナルの巻物10を作成することができる。また、本紙20を容易に差し替えて別の巻物10を作成することができる。
【0018】
図2は、軸芯30の外観を示す。軸芯30の外周には、軸方向にスリット34が設けられる。このスリット34には、本紙20の一辺が挿入される。
【0019】
図3は、軸芯30のスリット34に本紙20の一辺が挿入された様子を示す。つづいて、軸芯30の一端又は両端に、キャップ32がはめ込まれる。
【0020】
図4は、キャップ32の断面を模式的に示す。キャップ32は、開口部33の内周の半径よりも、開口部33よりも奧側の内周の半径の方が短くなっている。したがって、キャップ32を軸芯30の端にはめ込むと、軸芯30がキャップ32の内周により外側から締め付けられる。これにより、スリット34が閉じられ、スリット34に挿入された本紙20の一辺がスリット34により挟持されて固定される。
【0021】
図5は、本紙20の一辺が軸芯30に取り付けられた様子を示す。このようにして、本紙20が、軸芯30に着脱自在に取り付けられる。
【0022】
軸芯30を外側から締め付けたときにスリット34が閉じるようにするために、軸芯30は、プラスチックなどの弾性を有する素材により構成されることが好ましい。スリット34を閉じさせるための機構は、キャップに限られず、ボタン、ネジ、線ファスナー、面ファスナー、ゴム、バネなど、軸芯30を締め付けてスリット34を閉じさせることが可能な任意の機構であってもよい。
【0023】
キャップ32の外周の直径を、軸芯30の直径よりも大きくしてもよい。例えば、キャップ32の外周の直径を、軸芯30の直径よりも、1ミリメートル以上大きくしてもよいし、5ミリメートル以上大きくしてもよい。これにより、本紙20を軸芯30に巻き付けるときに、キャップ32がガイドの役割を果たし、本紙20がずれたり曲がったりするのを防ぐことができ、巻きやすい巻物10を提供することができる。また、本紙20を軸芯30に巻き付けたときの本紙20の厚みと同程度、又はそれ以上、キャップ32の外周の直径を軸芯30の直径よりも大きくしておくことにより、本紙20を保護することができ、本紙20の保存状態を良好に保つことができる。また、キャップ32の外表面に装飾を施すなどして、巻物10の芸術性を高めてもよい。
【0024】
第1取付機構は、スリットと締付機構に限られず、本紙20を軸芯30に取り付けることが可能な任意の機構が用いられてもよい。
【0025】
図6は、表紙40の外観を示す。本紙20の一辺を表紙40に取り付けるとき、表紙40が2つ折りにされ、図7に示すように、2つ折りにされた表紙40の間に本紙20が挿入される。
【0026】
図8は、2つ折りにされた表紙40の間に本紙20の一辺が挿入された様子を示す。つづいて、2つ折りの部分に、発装42が取り付けられる。
【0027】
図9は、表紙40に発装42が取り付けられた様子を示す。発装42は、2つ折りにされた表紙40の間に挿入された本紙20を、2つ折りの部分において表紙40の外側から挟持することにより固定する。このようにして、本紙20が、表紙40に着脱自在に取り付けられる。
【0028】
第2取付機構は、表紙40と本紙20を挟む機構に限られず、本紙20を表紙40に取り付けることが可能な任意の機構が用いられてもよい。例えば、表紙40の裏側に、本紙20を着脱可能な程度の粘着力の粘着剤が塗布されていてもよい。また、磁気又は静電気を帯びた2枚の表紙で本紙を挟んでもよい。マグネットシートを用いる場合には、極性が揃うように2枚のマグネットシートを重ね合わせ、その間に本紙を挟む。一方がマグネットシートで、他方はマグネットに引き寄せられる材料を含むシートであってもよい。
【0029】
表紙の少なくとも一部は、マグネットシート又は静電気を帯びたシートにより構成される。これにより、本紙20の外側に表紙40を巻き付けたときに、上下に重なったマグネットシート又は静電気を帯びたシート同士が貼り付くので、巻きやすく、型くずれしにくい巻物を提供することができる。表紙40を2つ折りにする場合は、その一方のみがマグネットシートを含んでもよい。別の例では、表紙40と本紙20との間に、マグネットシート又は静電気を帯びたシートが挿入されてもよい。更に別の例では、本紙20の、表紙40に取り付けられる辺の近傍の部分が、マグネットシート又は静電気を帯びたシートにより構成されてもよい。
【0030】
表紙の少なくとも一部は、軸芯30に巻き付ける方向に巻きぐせがつけられた形状記憶シートにより構成されてもよい。これによっても、巻きやすく、型くずれしにくい巻物を提供することができる。また、表紙40に近い部分を順次表紙40に容易に巻き付けながら本紙20を開いていくことができるので、本紙20が長い場合であっても、開いて読みやすい巻物を提供することができる。
【0031】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0032】
実施の形態では、巻物を作成する場合を例にとって説明したが、本発明の技術は、掛け軸などにも当然適用可能である。軸芯を中空にしておき、掛け軸をしまうときに、巻いた本紙を軸芯の内部に収納可能としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 巻物、
20 本紙、
30 軸芯、
32 キャップ、
33 開口部、
34 スリット、
40 表紙、
42 発装、
44 紐、
50 巻物セット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本紙を軸芯に巻き付けた巻物を作成するための巻物セットであって、
長方形の本紙の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構を備えた軸芯と、
前記本紙の、前記軸芯に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構を備えた表紙と、
を備えることを特徴とする巻物セット。
【請求項2】
前記第1取付機構は、
前記軸芯の外周の軸方向に設けられ、前記本紙の一辺を挿入可能なスリットと、
前記軸芯を締め付けることにより前記スリットを閉じさせて、前記スリットに挿入された前記本紙の一辺を前記スリットに挟持させる締付機構と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の巻物セット。
【請求項3】
前記締付機構は、前記軸芯の一端又は両端にはめ込むキャップを含み、
前記キャップは、開口部の内周の半径よりも、前記開口部よりも奧側の内周の半径の方が短いことを特徴とする請求項2に記載の巻物セット。
【請求項4】
前記第2取付機構は、2つ折りにされた前記表紙の間に挿入された前記本紙を、2つ折りの部分において前記表紙の外側から挟持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の巻物セット。
【請求項5】
前記表紙の少なくとも一部は、マグネットシート又は静電気を帯びたシートにより構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の巻物セット。
【請求項6】
前記表紙の少なくとも一部は、前記軸芯に巻き付ける方向に巻きぐせがつけられた形状記憶シートにより構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の巻物セット。
【請求項7】
長方形の本紙と、
前記本紙の一辺を着脱自在に取り付けるための第1取付機構を備えた軸芯と、
前記本紙の、前記軸芯に取り付ける辺に対向する辺を着脱自在に取り付けるための第2取付機構を備えた表紙と、
を備えることを特徴とする巻物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95130(P2013−95130A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251068(P2011−251068)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(511016486)
【出願人】(511016497)
【出願人】(511016534)
【出願人】(511016545)
【出願人】(511016501)