説明

布団カバーと布団との位置ずれ防止装置

【課題】構造簡素にして安価な布団カバーと布団との位置ずれ防止装置を得る。
【解決手段】布団カバ−(1)と、該布団カバ−(1)によって覆われる布団(5)の表面シート(5a)とのうち、少なくともいずれか一方の対面側に軟質性樹脂、合成ゴム等からなる小片の摩擦物(3)を所定の間隔をおいて一体的に固着する。また、上記摩擦物(3)は直径2mm〜4mmの半球状とし、該摩擦物(3)を約10mmの間隔をおいて点在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団カバーと布団とを摩擦力によって係合させることにより、両者の不用意な位置ずれを防止する布団カバーと布団との位置ずれ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として特許文献1があった。即ち、布団カバー本体の上面に、その周縁に沿って四角形状の開口部を形成し、該開口部の各角部に直角三角形状の布片を逢着するとともに、各布片の斜辺両端部を互いに重ね合せ、各布片の斜辺で中央部に菱形、四角形の布団の挿脱孔を形成するとともに、各斜辺部に弾性材を装着して該斜辺を伸縮自在にしたものがあった。
【0003】
上記従来のものは、布団カバーと内部の布団とがよく密着して両者の位置ずれを防止することができる。しかしながら、布団カバー本体の上面に広い四角形状の開口部を形成したり、該開口部の各角部に直角三角形状の布片を逢着したり、さらに、各布片の斜辺部に弾性材を装着したりするようにしていたので、構造が複雑になって製作に手数を要するとともに、高価になるものであった。
【0004】
【特許文献1】実開平7−30835公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、布団カバーと布団とを摩擦物を介して接触させることにより、構造簡素にして両者の位置ずれがし難くなる、布団カバーと布団との位置ずれ防止装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、布団カバーと、該布団カバーによって覆われる布団の表面シートとのうち、少なくともいずれか一方の対面側に軟質性樹脂、合成ゴム等からなる小片の摩擦物を所定の間隔をおいて一体的に固着する構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、前記摩擦物を直径2mm〜4mmの半球状とし、該摩擦物を約10mmの間隔をおいて点在させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明は、布団カバーにより布団を覆うと、一方の面に固着した摩擦物が他方の面に当接して両者の摩擦力が高くなる。これにより、両者は位置ずれし難くなる。また、摩擦物は小片とし、これを所定の間隔をおいて一方の面に固着するようにしたので、布団カバー及び布団の通気性を良好に維持することができるとともに、これらの構造(袋形状)に左右されることなく両者の摩擦力を高くすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記摩擦物を直径2mm〜4mmの半球状とし、該摩擦物を約10mmの間隔をおいて点在させるようにしたので、上記布団カバーと布団との摩擦力が所定値に維持されながら、布団カバー、及び布団の表面シートの開口率が高くなってこれらの通気性が良好に維持されることになる。さらに、摩擦物を半球状としたので、摩擦物の量に対する生地への固着面積が増大することになり、摩擦物が生地に強固に固着されることになる。
【0009】
上記摩擦物は、布団カバー、あるいは布団の表面シートとなる生地に、未硬化の軟質性樹脂、合成ゴム等を所定の間隔をおいて適量つづ滴下(塗布)し、これを硬化させることによって容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図面において、図1は本発明の第1実施例を示す平面図、図2は図1のII-II線による拡大断面図、図3は図2のIII-III線による部分断面図、図4は本発明の第2実施例を示す平面図、図5は本発明の第3実施例を示す図2相当の拡大断面図、図6は本発明の第4実施例を示す斜視図である。
【0011】
図1〜図3において、1は布団カバー、5は布団カバーにより覆われた布団である。上記布団カバー1は、通気性を有するシートにより長方形の袋状に形成されるとともに、その右側部がファスナー2によって開閉可能となっている。なお、このファスナー2は左側部に設けるようにしてもよい。
【0012】
上記布団カバー1の内面にはその全面に多数の摩擦物3が点在して固着されている。該摩擦物3は、軟質性樹脂、合成ゴム等からなり、図2、図3に示すように、直径2mm〜4mm、好ましくは約3mmの半球状とし、該摩擦物3を約10mmの間隔をおいて千鳥状に点在させて固着する。
【0013】
布団5は、通気性を有するシートにより長方形かつ袋状の表面シート5aを形成し、該表面シート5a内に綿、羽毛等の保温材5bを充填してなる。
【0014】
図4は第2実施例を示す。このものは、布団カバー1の内面全面に、線状の摩擦物3aを約10mmの間隔をおいて菱形状に交叉させて形成したものである。
【0015】
図5は第3実施例を示す。このものは、布団5の表面シート5aの外面に第1実施例と同様に、半球状の摩擦物5cを点在させて固着したものである。なお、この摩擦物5cは、図4と同様に線状のものを約10mmの間隔をおいて菱形状に交叉させて固着するようにしてもよい。
【0016】
図6は第4実施例を示す。図6において、4は布団襟カバーである。該布団襟カバー4は、図1の仮想線、及び図6に示すように、通気性を有するシートにより布団5の襟部(前部)を覆う、前後に短い袋状とし、後部側に開口4bを有する。該布団襟カバー4の内面全面に半球状の摩擦物4bを点在させて固着する。該摩擦物4bは、前述した第1実施例と同様に、約3mmの半球状とし、これを約10mmの間隔をおいて千鳥状に点在させて固着する。
【0017】
前述した摩擦物3(3a、4a,5c)は、布団カバー1、布団5、布団襟カバー4を縫製する前段において、その生地(シート)に、未硬化の軟質性樹脂、合成ゴム等を所定の間隔をおいて適量つづ滴下(塗布)し、これを硬化させることによって形成する。
【0018】
なお、上記摩擦物3(3a,4a,5c)の形状、間隔及び大きさは、布団カバー1、布団襟カバー4及び布団5の表面シート5aの材質、布目の大きさ、あるいは摩擦物3(3a,4a,5c)の材質等によって適宜設定する。また、本発明は、布団カバー1の内面と、布団5の表面シート5aの外面との双方に、半球状、あるいは線状の摩擦物3(3a,5c)を固着するようにしてもよい。
【0019】
上記実施例によれば、布団カバー1内に布団5を収容すると、例えば、布団カバー1の内面側に固着した摩擦物3(3a)が、布団5の表面シート5aの外面に当接することになる。これにより、両者が高い摩擦力で係合し、布団5が布団カバー1内で不用意に移動しなくなる。また、摩擦物3(3a)は、半球状あるいは線状とし、これを所定の間隔をおいて固着するようにしたので、生地の目の開口率がさほど低下せず、布団カバー1の通気性を良好に維持することができる。しかも、布団カバー1の構造(袋形状)、例えば上面中央部に布団5の出し入れができる菱形あるいは方形の脱挿孔が形成される形式の布団カバー等に左右されることなく、上記摩擦力を高くすることができる。
【0020】
また、摩擦物3(3a,4a,5c)は、布団カバー1、布団5、布団襟カバー4を縫製する前段において、その生地(シート)に、未硬化の軟質性樹脂、合成ゴム等を所定の間隔をおいて適量つづ滴下(塗布)し、これを硬化させることによって形成するようにしたので、上記摩擦物3(3a,5c)を効率よくかつ容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例を示す平面図である。
【図2】図1のII-II線による拡大断面図である。
【図3】図2のIII-III線による部分断面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す図2相当の拡大断面図である。
【図6】本発明の第4実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 布団カバー
2 ファスナー
3(3a)、4a、5c 摩擦物
4 布団襟カバー
4b 開口
5 布団
5a 表面シート
5b 保温材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団カバ−(1)と、該布団カバ−(1)によって覆われる布団(5)の表面シート(5a)とのうち、少なくともいずれか一方の対面側に軟質性樹脂、合成ゴム等からなる小片の摩擦物(3)を所定の間隔をおいて一体的に固着したことを特徴とする布団カバーと布団との位置ずれ防止装置。
【請求項2】
摩擦物(3)は直径2mm〜4mmの半球状とし、該摩擦物(3)を約10mmの間隔をおいて点在させたことを特徴とする請求項1記載の布団カバーと布団との位置ずれ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−349(P2006−349A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179202(P2004−179202)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504234565)
【出願人】(504235425)
【Fターム(参考)】