説明

布地への画像形成方法及び装置

【課題】 所定の模様を昇華性インクで布地に歪みなく形成することができる布地への画像形成方法及び装置を提供する。
【解決手段】 布地2への画像形成装置を布地供給ローラ10、滲み止め剤であるバインダを塗布するバインダ塗布装置20、昇華性インクを布地2の所定個所にインクジェットノズル31で塗布するプリントヘッド30、昇華性インクが塗布された布地を加熱乾燥させるプリヒータ40、布地2を加熱する加熱ドラム60、布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整装置である自動テンションバー70、布地を幅方向の一定寸法に裁断するカッタ装置80、布地を巻き取る布地ローラ90を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地への画像形成方法及び装置に係り、特に長尺に形成された布地に昇華性インクで所定の画像形成を行う布地への印刷方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような布地への画像形成装置として、帯状の布、例えばポリエステル系布に文字模様等の画像をプリントして、垂れ幕、横断幕、幟等一方向に長い転写物を作成するものがある。このような転写物は、中間転写体であるロール状転写紙に昇華性インクで一旦画像を印刷形成し、この転写紙と被転写体である布とを、圧縮転写装置内で密着させて、加熱ローラで加圧加熱することで布に長尺の画像を形成する。
【0003】
この画像形成装置は、図3に示すように、転写装置200及び切断装置100を備えてなる。転写装置200は、内部にヒータを備え、転写紙210、布地220及び下紙230を重ね合わせた積層体を加熱する加熱ローラ240と、加熱ローラ240表面に配置され、前記積層体を加圧する無端状のフェルト帯250とを備える。また、転写装置200は、転写後の転写紙を巻き取る転写紙ローラ270、転写が終わり切断された布地を巻き取る布地ローラ280と、紙を巻き取る下紙ローラ290とを備える。
【0004】
この装置において、加熱ローラ240及びフェルト帯250は加熱部201に配置されている。加熱ローラ240は図示しないモータで回転駆動されると共に図示しないヒータで加熱されている。本例において、前記フェルト帯250は、ローラ251〜255で加熱ローラ240の周りに掛け回されている。なお本例では、ローラ252は上下動されフェルト帯250の位置を調整する。また、ローラ252近傍には、フェルト位置の上限リミットスイッチ256、下限リミットスイッチ257が設けられている。また、ローラ225には、フェルトの延びに対応してローラ225を移動させるフェルト伸張ノブ258を備えている。なお、図中符号259は駆動ローラテンション調整ノブ、260はフェルト位置ずれリミットスイッチを示している。
【0005】
本装置では、前記転写紙ローラ270、布地ローラ280、下紙ローラ290は巻取部202に配置されている。本例では転写紙ローラ270、布地ローラ280、下紙ローラ290はモータ310で同期回転される。各ローラ270,280,290には、スプロケット311、312、313が取り付けられローラチェーン315が巻きかけられている。なお符号314はローラチェーン315転向用のスプロケットを示している。
【0006】
切断装置100は、加熱部201に取り付けられている。切断装置100は、加熱された切断刃110が布地を切断する位置に配置されると共に適度な力で刃先を、布地を案内する刃受けシャフト120に押しつける。また、待避状態では、切断刃110が布地から離間した状態となる。
【0007】
なお、本例では、ハンドル114で操作することにより、切断刃110の位置を調整している。なお、図3中符号122はカット位置調整ノブ、123は布地調整ノブを示している。
【0008】
また、特許文献1には中間転写 記録媒体への画像形成を、中間転写記録媒体を表裏から押圧して挟みながら行う熱転写記録装置において、中間転写記録媒体を、サーマルヘッドの前後で表裏からニップローラで押さえながら搬送する、あるいは幅方向両端を、挟持板やベルトで表裏から挟持し幅方向長さを固定しながら搬送する等するものが記載されている。
【特許文献1】特開平9−300673
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した転写装置を備えた従来の布地への印刷装置にあっては、加熱ローラでの加熱時において、ポリエステル、ナイロン等で形成された布地と、転写紙の収縮状態の違いにより昇華性インク転写の不具合が生じることがある。即ち布地と転写紙の熱膨張率の違いにより、転写紙の膨張が大きくなり、転写紙に皺が発生することとなり布地上に昇華性インクで形成されるプリント模様等に歪みが発生するのである。
【0010】
そこで本発明は、所定の模様を昇華性インクで布地に歪みなく形成することができる布地への画像形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、長尺に形成された布地を移動させつつ昇華性インクを塗布し、布地に昇華性インクによる所定の塗布パターンを形成するインク塗布工程と、該塗布パターンが形成された布地を移動させつつ所定温度に加熱する加熱工程とを備えたことを特徴とする布地の画像形成方法である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の布地への画像形成方法において、前記インク塗布工程の前段に布地への滲み止め剤を塗布する滲み止め剤塗布工程を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の布地への画像形成方法において、前記インク塗布工程と加熱工程の間に昇華性インクを乾燥させる乾燥工程を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの布地への画像形成方法において、前記インク塗布工程では、インクジェットノズルで昇華性インクを塗布することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの布地への画像形成方法において、前記加熱工程では、加熱ドラムにより布地を加熱することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの布地への画像形成方法において、前記インク塗布工程では布地の移動は塗布の段階に応じた間欠的なものであり、前記加熱工程では布地の移動は連続的なものであり、インク塗布工程と加熱工程との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整工程を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの布地への画像形成方法において、前記インク塗布工程における布地の移送状態を検出し、前記塗インク塗布工程における布地の送り速度と、前記乾燥工程への布地の移送速度とを調整することを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7の布地への画像形成方法において、前記移送状態として、布地のたるみを検出することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの布地への画像形成方法において、前記加熱工程は、布地の移動する領域において、非接触で布地を加熱する非接触加熱と、前記領域に配置され、布地に接触して、布地を加熱する布地接触加熱とを行うことを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、長尺に形成された布地を移動させつつ昇華性インクを塗布し、布地に昇華性インクによる所定の塗布パターンを形成するインク塗布装置と、該塗布パターンが形成された布地を移動させつつ所定温度に加熱する加熱装置とを備えたことを特徴とする布地の画像形成装置である。
【0021】
請求項11の発明は、請求項10の布地への画像形成装置において、前記塗布装置の前段に布地への滲み止め剤を塗布する滲み止め剤塗布装置を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項10又は11の布地への画像形成装置において、前記インク塗布装置と加熱装置の間に昇華性インクを乾燥させる乾燥装置を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項10ないし12のいずれかの布地への画像形成装置において、前記インク塗布装置は、インクジェットノズルで昇華性インクを塗布することを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項10ないし13のいずれかの布地への画像形成装置において、前記加熱装置は、布地に接触して加熱する加熱ドラムを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項15の発明は、請求項10ないし14のいずれかの布地への画像形装置において、前記インク塗布装置では布地の移動を塗布の段階に応じた間欠的なものとし、前記加熱工程では布地の移動を連続的なものとし、インク塗布装置と加熱装置との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整装置を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項16の発明は、請求項10ないし15のいずれかの布地への画像形成装置において、前記インク塗布装置に布地を移送する塗布布地移送手段と、布地塗布装置下流に設けられ加熱装置に布地を送る乾燥布地移送手段と、布地の移送中の布地の移送状態を検出する移送状態検出手段と、前記移送状態検出手段の検出結果に基づいて、前記塗布布地移送手段と、前記乾燥布地移送手段との移送速度を制御する布地移送速度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項17の発明は、請求項16の布地への画像形成装置において、前記移送状態検出手段は、布地のたるみを検出することを特徴とする。
【0028】
請求項18の発明は、請求項10ないし17のいずれかの布地への画像形成装置において、前記加熱装置は、布地の移動する領域に配置され非接触で布地を加熱する非接触加熱手段と、前記領域に配置され、布地に接触して、布地を加熱する布地接触加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
請求項19の発明は、請求項18の布地への画像形成装置において、前記非接触加熱手段は、円筒面をなす壁状加熱部で構成され、前記接触加熱手段は、この壁状加熱部の表面に取り付けられた円筒部材であることを特徴とする。
【0030】
請求項20の発明は、請求項19の布地への画像形成装置において、前記円筒部材は、壁状加熱部で加熱されることを特徴とする。
【0031】
請求項21の発明は、請求項18の布地への画像形成装置において、前記接触加熱手段は、前記壁状加熱部の表面に前記布地幅方向に沿って突出形成された1又は複数の突条であることを特徴とする。
【0032】
請求項22の発明は、請求項21の布地への画像形成装置において、前記突条には、カバー部材が取り付けられることを特徴する。
【発明の効果】
【0033】
請求項1及び請求項10の発明によれば、転写紙を使用せず布地に直接昇華性インクを塗布して塗布パターンを形成するので、加熱時における熱膨張率の差に起因する塗布パターンの歪みを防止することができる。
【0034】
請求項2及び請求項11の発明によれば、布地には昇華性インク塗布前に布地への滲み防止剤が塗布されるので、昇華性インクの塗布時布地への滲みを防止することができる。
【0035】
請求項3及び請求項12の発明によれば、加熱前に昇華性インクを乾燥させるので、加熱前に昇華性インクを乾燥させることができ、加熱による布地の染色を効率よく行うことができる。
【0036】
請求項4及び請求項13の発明によれば、昇華性インクは、インクジェットノズルで布地に塗布されるので適正な量の昇華性インクを精緻に塗布することができる。
【0037】
請求項5及び請求項14の発明によれば、加熱は加熱ドラムで行うので、昇華性インクが塗布された布地を効率よく均一に加熱することができる。
【0038】
請求項6及び請求項15の発明によれば、インク塗布と加熱との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整を行うので、インク塗布時に布地を間欠的に送ったとしても、布地を連続的に送ることができ、加熱切断に支障が生じることがない。
【0039】
請求項7及び請求項16の発明によれば、布地移送速度制御手段は、布地の移送中の布地の移送状態を検出する移送状態検出手段との検出結果に基づいて、前記塗布布地移送手段と、前記乾燥布地移送手段との移送速度を制御するから、布地の送りを円滑に行うことができる。
【0040】
請求項8及び請求項17の発明によれば、移送状態検出手段は布地のたるみを検出し、布地移送速度制御手段は、前記塗布布地移送手段と、前記乾燥布地移送手段との移送速度を制御して、布地のたるみが発生しないようにしたので、布地の送りを円滑に行うことができる。
【0041】
請求項9及び請求項18の発明によれば、布地は、加熱装置の非接触加熱手段で加熱され、さらに接触加熱手段で高温に加熱され、布地と加熱手段との接触時間及び距離を少なくすることができ、インクの混色を防止することができる。
【0042】
請求項19の発明によれば、布地は円筒面の壁状加熱部において非接触で加熱され、さらに、円筒部材である接触加熱部で高温に加熱される。この円筒部材は、壁状加熱部に取り付けて配置するので、円筒部材を必要に応じて取り付け取り外すことができる。
【0043】
請求項20の発明によれば、円筒部材は、壁状加熱部により加熱されるから、円筒部材にヒータなどの加熱手段を配置する必要がない。
【0044】
請求項21の発明によれば、接触加熱手段を前記壁状加熱部の表面に前記布地幅方向に沿って突出形成された1又は複数の突条としたから、接触加熱手段を非加熱手段と一体のものとして構成できる。
【0045】
請求項22の発明によれば、突条にカバー部材を取り付けることとしたから、必要に応じて低摩擦で、耐久性に優れた材質の接触加熱部で、布地に接触加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。図1は実施例に係る布地への画像形成装置の概念図、図2は図1に示した布地への画像形成装置の構成を示す側面図である。
【0047】
本例において、布地への画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、ポリエステルやナイロンの布地2を巻き取って収納した布地供給ローラ10、滲み止め剤であるバインダを塗布するバインダ塗布装置20、ローラ21、例えば昇華性インクを布地2の所定個所に塗布するプリントヘッド30、昇華性インクが塗布された布地を加熱乾燥させる遠赤外光源を備えるプリヒータ40、布地2の張力を調整するテンション調整装置50、布地2を加熱する加熱ドラム60、布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整装置である自動テンションバー70、布地を幅方向の一定寸法に裁断するカッタ装置80、布地を巻き取る布地ローラ90を備える。
【0048】
また、画像形成装置1は内部に布地供給ローラ10及びバインダ塗布装置20を備えた装置本体5と、装置本体5を支持するスタンド6を備える。本例では、プリントヘッド30はピエゾ素子で駆動されるインクジェットノズル31を備え所定色の昇華性インクを布地2に塗布する。プリントヘッド30の下部を移動する布地2はプリントヘッド30の昇華インクの吐出タイミングにあわせ、間欠的に矢印Aの方向に移動していくよう駆動される。
【0049】
プリヒータ40は遠赤外線ランプ41を備え、昇華性インクが塗布された布地2を加熱して乾燥させる。テンション調整装置50はスプリング51の他テンション調整用のノブ52を備え、所定のテンションになるよう調整する。
【0050】
また、加熱ドラム60にはヒータ61がその周囲に配置され、布地2を所定温度に加熱して昇華性インクを発色させ、生地を染色する。この場合加熱ドラム60の加熱温度は布地の種類により選択でき、例えばポリエステルの場合170〜180°C、ナイロンの場合150〜160°Cが好適である。なお、図中符号62は装置内換気用のダクトを示している。
【0051】
本例では、カッタ装置80は電気ヒータで加熱されたブレード81と、ブレード81との間で布地2を挟むローラ82とを備え、布地2を溶解して切断する。なおこのとき布地2の移動が間欠的であると、布地2が静止したとき過加熱により布地2が焦げるおそれがあるため、自動テンションバー70を設け、布地2の間欠移動を連続移動にするようにしている。このカッタ装置80は布地2に印刷された範囲をセンサ83で検知してその幅にブレード81を移動するものとしている。
【0052】
そして、本例において、布地2には所定の模様等が印刷され、所定幅に切断された状態となるって布地ローラ90巻き取られる。
【0053】
本例によれば、実施の形態に係る布地への画像形成装置によれば、転写紙を使用せず布地に直接昇華性インクを塗布して塗布パターンを形成するので、加熱時における熱膨張率の差に起因する塗布パターンの歪みを防止することができる。また、布地には昇華性インク塗布前に布地への滲み防止剤が塗布されるので、昇華性インクの塗布時布地への滲みを防止することができる。また、加熱前に昇華性インクを乾燥させるので、加熱前に昇華性インクを乾燥させることができ、加熱による布地の染色を効率よく行うことができる。
【0054】
さらに、昇華性インクは、インクジェットノズルで布地に塗布されるので適正な量のインクを精緻に塗布することができる。また、加熱は加熱ドラムで行うので、昇華性インクが塗布された布地を効率よく均一に加熱することができる。そして、インク塗布と加熱との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整を行うので、インク塗布時に布地を間欠的に送ったとしても、乾燥時においては布地を連続的に送ることができ、連続加熱に支障が生じることがなくなる。
【0055】
なお、上記例ではバインダ塗布装置を設けるものとしたが、バインダが塗布された布地あるいは滲みが発生しない布地を用いる場合には、布地への画像形成装置にバインダ塗布装置を備える必要はない。また、昇華性インクをインクジェットノズルにより塗布する例を示したが、このインクの塗布はどのような手段を用いてもよい。また、昇華性インクを加熱前に乾燥させる乾燥装置は必ずしも必要ではなく、また、加熱装置は加熱ドラムに限らずどのような形式のものでも使用することができる。
【0056】
次に本発明の他の形態について説明する。図4は他の実施の形態に係る布地への画像形成装置の概念図である。本例では、画像形成装置1のローラ21の下流に布地2の布地の移送状態として布地のたるみを検出するたるみ検出器410を配置しており、ローラ21及びテンション調整装置50の回転速度を布地移送速度制御手段である回転同期手段400で制御するものとしている。即ち、回転同期手段400は布地2のたるみを検出すると、ローラ21とテンション調整装置50の回転を調整して、布地2にたるみが発生しないようにする。ここでたるみ栓出器410としては、超音波センサ、光センサなどが使用可能とされ、これらのセンサは栓出器410設置領域での布地2のたるみ状態を発生音波の反射状態、出力光の反射状態を入力することにより行うようにしている。
【0057】
また、本発明では加熱装置を、布地の移動する領域に配置され非接触で布地を加熱する非接触加熱手段と、前記領域に配置され、布地に接触して、布地を加熱する布地接触加熱手段とで構成することができる。
【0058】
図5は他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す側面図、図6は図5に示した加熱装置の構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は(a)中のB部の拡大斜視図である。本例では、加熱装置420として、上記第1の例の加熱ドラム60に円筒部材430を接触加熱部材として取り付け加熱ドラムを非接触加熱部材421として作用するものとしている。この例では、円筒部材430はフッ素樹脂製の円筒部材431に両端にフック状の掛着部433を取り付けたワイヤ心線432を挿通し、掛着部433を非接触加熱部材421の両側に係止して、円筒部材430を非接触加熱部材421に取り付けるようにしている。従って、本例に係る加熱装置は、上述した画像形成装置1の加熱ドラム60に円筒部材430を取り付けるだけで実現できる。
【0059】
本例によれば、図5に示すように、布地2は、円筒部材430の前後において、非接触加熱部材421に接触することなく近接した状態で円筒部材430に接触する。そして、布地2はその後非接触加熱部材421に接触することなく下流に移動することとなる。本例では、非接触加熱部材421を内蔵したヒータで例えば摂氏150度程度に加熱しておけば、円筒部材430も同程度の温度に加熱され、布地2は、円筒部材430の上流において非接触加熱部材421で上昇した環境温度及び輻射によって非接触状態で加熱され、その後、円筒部材430に接触することにより直接加熱される。そして、円筒部材430を離れた後も非接触加熱部材421により非接触で加熱されることとなる。
【0060】
従って本例によれば、昇華性インクが塗布された布地は、非接触加熱部材421によって非接触で予熱された後、円筒部材430で直接加熱されることとなるため、インクの昇華が有効になされ、しかも円筒部材430に接触する時間及び距離が短いものとなるため、接触によるインクの混色を防止することができる。
【0061】
図7は他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す斜視図である。本例では、加熱装置440として円筒壁状の非接触加熱部材441に一列の突条部442を、布地2の移送方向に対して直角に形成している。本例では、非接触加熱部材441と突条部442は一体に形成されている。本例によれば、上述した例と同様に、布地2に非接触加熱部である突条部442の接触による混色を防止することができる他、非接触加熱部材441と突条部442とが外れるおそれがない。なお、突条部442は一列に限らず、複数列設けることができる。
【0062】
図8は他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す断面図である。本例では、加熱装置450は、円筒壁状の非接触加熱部材451に一列の突条部452を設け、この突条部452にカバー部材460を被せるようにしたものである。このカバー部材460は、セラミック材で構成され、滑らかな輪郭を備えた本体461に突条部452への取り付け用溝部462を形成したものである。本例によれば、接触加熱部の摩耗を押さえ、布地2との抵抗を少ないものとすることができる他、カバー部材460を交換することができ、加熱装置450を長寿命のものとすることができる。なお、突条部及びカバー部は一列に限らず、複数列配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態に係る布地への画像形成装置の概念図である。
【図2】実施の形態に係る布地への画像形成装置を示す側面図である。
【図3】従来の布地への画像形成装置を示す側面図である。
【図4】他の実施の形態に係る布地への画像形成装置の概念図である。
【図5】他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す側面図である。
【図6】図5に示した加熱装置の構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は(a)中のB部の拡大斜視図である。
【図7】他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す斜視図である。
【図8】他の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・画像形成装置
2・・・布地
5・・・装置本体
6・・・スタンド
10・・・布地供給ローラ
20・・・バインダ塗布装置
21・・・ローラ
30・・・プリントヘッド
31・・・インクジェットノズル
40・・・プリヒータ
41・・・遠赤外線ランプ
50・・・テンション調整装置
51・・・スプリング
52・・・ノブ
60・・・加熱ドラム
61・・・ヒータ
70・・・自動テンションバー
80・・・カッタ装置
81・・・ブレード
82・・・ローラ
83・・・センサ
90・・・布地ローラ
400・・・回転同期手段(布地移送速度制御手段)
410・・・たるみ検出器(移送状態検出器)
420・・・加熱装置
421・・・非接触加熱部材
430・・・円筒部材(接触加熱部材)
440・・・加熱装置
441・・・非接触加熱部材
442・・・突条部(接触加熱部材)
450・・・加熱装置
451・・・非接触加熱部材
452・・・突条部
460・・・カバー部材(接触加熱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に形成された布地を移動させつつ昇華性インクを塗布し、布地に昇華性インクによる所定の塗布パターンを形成するインク塗布工程と、
該塗布パターンが形成された布地を移動させつつ所定温度に加熱する加熱工程とを備えたことを特徴とする布地の画像形成方法。
【請求項2】
前記インク塗布工程の前段に布地への滲み止め剤を塗布する滲み止め剤塗布工程を備えたことを特徴とする請求項1の布地への画像形成方法。
【請求項3】
前記インク塗布工程と加熱工程の間に昇華性インクを乾燥させる乾燥工程を備えたことを特徴とする請求項1又は2の布地への画像形成方法。
【請求項4】
前記インク塗布工程では、インクジェットノズルで昇華性インクを塗布することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの布地への画像形成方法。
【請求項5】
前記加熱工程では、加熱ドラムにより布地を加熱することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの布地への画像形成方法。
【請求項6】
前記インク塗布工程では布地の移動は塗布の段階に応じた間欠的なものであり、前記加熱工程では布地の移動は連続的なものであり、インク塗布工程と加熱工程との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整工程を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの布地への画像形成方法。
【請求項7】
前記インク塗布工程における布地の移送状態を検出し、前記塗インク塗布工程における布地の送り速度と、前記乾燥工程への布地の移送速度とを調整することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの布地への画像形成方法。
【請求項8】
前記移送状態として、布地のたるみを検出することを特徴とする請求項7の布地への画像形成方法。
【請求項9】
前記加熱工程は、布地の移動する領域において、非接触で布地を加熱する非接触加熱と、前記領域に配置され、布地に接触して、布地を加熱する布地接触加熱とを行うことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの布地への画像形成方法。
【請求項10】
長尺に形成された布地を移動させつつ昇華性インクを塗布し、布地に昇華性インクによる所定の塗布パターンを形成するインク塗布装置と、
該塗布パターンが形成された布地を移動させつつ所定温度に加熱する加熱装置とを備えたことを特徴とする布地の画像形成装置。
【請求項11】
前記塗布装置の前段に布地への滲み止め剤を塗布する滲み止め剤塗布装置を備えたことを特徴とする請求項10の布地への画像形成装置。
【請求項12】
前記インク塗布装置と加熱装置の間に昇華性インクを乾燥させる乾燥装置を備えたことを特徴とする請求項10又は11の布地への画像形成装置。
【請求項13】
前記インク塗布装置は、インクジェットノズルで昇華性インクを塗布することを特徴とする請求項10ないし12のいずれかの布地への画像形成装置。
【請求項14】
前記加熱装置は、布地に接触して加熱する加熱ドラムを備えることを特徴とする請求項10ないし13のいずれかの布地への画像形成装置。
【請求項15】
前記インク塗布装置では布地の移動を塗布の段階に応じた間欠的なものとし、前記加熱工程では布地の移動を連続的なものとし、インク塗布装置と加熱装置との間に布地の間欠的移動を連続的移動に変更する移動調整装置を備えることを特徴とする請求項10ないし14のいずれかの布地への画像形装置。
【請求項16】
前記インク塗布装置に布地を移送する塗布布地移送手段と、布地塗布装置下流に設けられ加熱装置に布地を送る乾燥布地移送手段と、布地の移送中の布地の移送状態を検出する移送状態検出手段と、前記移送状態検出手段の検出結果に基づいて、前記塗布布地移送手段と、前記乾燥布地移送手段との移送速度を制御する布地移送速度制御手段とを備えたことを特徴とする請求項10ないし15のいずれかの布地への画像形成装置。
【請求項17】
前記移送状態検出手段は、布地のたるみを検出することを特徴とする請求項16の布地への画像検出装置。
【請求項18】
前記加熱装置は、布地の移動する領域に配置され非接触で布地を加熱する非接触加熱手段と、前記領域に配置され、布地に接触して、布地を加熱する布地接触加熱手段とを備えたことを特徴とする請求項10ないし17のいずれかの布地への画像形成装置。
【請求項19】
前記非接触加熱手段は、円筒面をなす壁状加熱部で構成され、前記接触加熱手段は、この壁状加熱部の表面に取り付けられた円筒部材であることを特徴とする請求項18の布地への画像形成装置。
【請求項20】
前記円筒部材は、壁状加熱部で加熱されることを特徴とする請求項19の布地への画像形成装置。
【請求項21】
前記接触加熱手段は、前記壁状加熱部の表面に前記布地幅方向に沿って突出形成された1又は複数の突条であることを特徴とする請求項18の布地への画像形成装置。
【請求項22】
前記突条には、カバー部材が取り付けられることを特徴する請求項21の布地への画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−265813(P2006−265813A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48287(P2006−48287)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(597131118)株式会社ジャパンネットワークサービス (4)
【Fターム(参考)】