説明

布地色再生組成物

反応性染料を含む再生組成物が、暗色の織物布地及びこれらから形成される衣類についての色の一回分量再生に関して開示される。再生組成物は、色褪せた黒又は暗色の衣類をまるで新しい外観に戻す。染料組成物の使用による、褪せた色の再生方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、色褪せした繊維衣類の色及び質感を再生できる一回使用染料組成物に関する。使用方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
染色した繊維衣類を環境条件にさらすか又は繰り返し洗濯して種々の洗剤製品にさらすと、元々の色は褪せてより淡く、より薄い色になり得る。洗濯プロセスで使用される、界面活性剤及び漂白剤などの洗剤成分、pH、並びに、水温、攪拌及び磨耗などの他の条件は、布地からの色落ちの問題に寄与し得る。更に、紫外線にさらすことなどの特定の環境条件にさらすことは、布地の染料分子の分解につながり得る。最後に、衣類の通常使用は、織糸の外側繊維からの染料落ちにつながり得る。これらのプロセスの全ては、衣類又は布地を、くすみ、色褪せした外観を有するようにし得る。
【0003】
洗剤配合物及び洗浄プロセスの条件は典型的に布地洗浄に最適化されているが、これらは布地色処置に有害であり得、染色した布地に色を失わせ、色褪せさせ得る。この問題を克服するために、洗濯産業は、布地色処置利益が改善された洗剤に向かって邁進してきている。典型的には、これらの洗剤は漂白剤を含まず、洗浄プロセス中に染料が、着色された布地の表面に結合し続けるのを助け得る洗剤成分を含み得る。それにもかかわらず、布地の色は、典型的には、繰り返し洗濯条件にさらすと、褪せる。
【0004】
黒い染料及び/又は「真の黒」の布地の色を生じる染料の組み合わせで着色された布地などの暗色は、特に色褪せ又は色落ちしやすいものであり得る。例えば、消費者は、複数の洗浄サイクル後、黒く染色された衣類の有意な色落ちに気付き得る。布地の色が褪せる又はくすむにつれ、消費者は、その衣類を着用することがもはや望ましくないと判定し得、その衣類の廃棄又は不使用を生じる。
【0005】
織物染色用製品は既知であるが、リン酸塩を含有し得、例えば、Wash & Dye Black(Dylon International Ltd.(London,UK)から市販)又は他の製剤は、リン酸塩の布地ケア組成物への組み込みが制限されている特定の国での使用に不適となっている。更に、これらの製品のうちのいくつかは、衣類による最適染料取り込みを生じる条件下での反応性染料組成物と共に使用するように設計されていない配合物を有し得る。また、いくつかの染料組成物は、液体配合物を有し得、その結果、染料の計量及び分散用途において困難を生じ得る。更に、これらの製品は、染料と相乗的に作用して染色された布地の色のより強力な再生を生じることができる他の技術を持たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家庭用洗濯機での使用のために現在設計されているこれらの製品の多くは、「趣味人」を目的とし、主に趣味及び工作アウトレットで主に販売されている。これらの製品は、多くの場合、複雑な注意事項を含み、あるいは、消費者に複数の成分を使用すること又は1つ以上の組成物を添加することを要求する。本明細書に記載されている先行技術のアプローチは、3回以下の処理で、より広範なグループの消費者による普段使用に便利な方法で、許容可能な再生を提供するのに不適である。これらの問題は、このような製品の市場におけるアピールを制限し得る。それゆえに、相乗的な補助添加剤を組み込み、便利で、消費者による使用が容易で、環境に安全である、3回以下の処理での効率的な染料取り込みを提供する製品に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、概して、一回分量再生染料組成物に関する。
【0008】
一実施形態では、本開示は、暗色、特に黒色、の布地に対して、3つ以下の処理で、消費者による普段使用に便利な形式で、改善された再生性能を提供するために必要な全成分を含む組成物を提供する。一実施形態では、本開示は、約5.0重量%〜約30.0重量%の反応性染料組成物、約35.0重量%〜約90.0重量%の水溶性塩、約5.0重量%〜約40.0重量%のアルカリ塩基、約0重量%〜約10重量%の界面活性剤、及び約0重量%〜約1.0重量%の酵素を含む織物再生組成物を提供し、この組成物はリン酸塩を実質的に含まない。
【0009】
他の実施形態では、本開示は、織物の色を再生する方法を提供する。この方法は、本明細書に開示される種々の実施形態に従って、織物を織物再生組成物で処理することを含む。
【0010】
本開示の更に他の実施形態は、一回使用織物再生系を提供する。この系は、反応性染料組成物、界面活性剤及び酵素を含む染料成分、並びに、水溶性塩及びアルカリ塩基を含む塩成分を含む。
【0011】
本開示の更なる実施形態は、ドラム式洗濯機又は縦型式洗濯機において繊維衣類の色を再生するための一回使用方法を提供する。この方法は、反応性染料、水溶性塩、アルカリ塩基及び酵素を含むものを包含する本明細書に記載の組成物などの単位用量の織物再生組成物を洗浄区画に添加すること、約30℃〜約50℃の範囲の温度を有する水を洗浄区画に添加して、再生混合物を作製すること、再生混合物中に織物再生組成物を分散させるのに十分な時間にわたって再生混合物を攪拌すること、1〜5枚の衣類(500g〜1000gの範囲の総重量を有する)を洗浄区画に添加すること、再生混合物を衣類と完全に接触させるのに十分な時間にわたって再生混合物中で衣類を攪拌すること、反応性染料が衣類と反応できるように十分な時間にわたって再生混合物中に衣類を浸すこと、洗浄区画から再生混合物を排出すること、衣類を水ですすぐこと、及び、追加的な洗浄/処理製品なしで常温設定を使用して、洗浄/すすぎサイクルに衣類をかけることを含む。
【0012】
本開示の更なる態様では、布地の専門職的再生のための専門職洗濯環境での使用に好適な再生組成物が提供される。これらの実施形態では、商業的な洗濯施設における繊維衣類の色を再生するための一回使用方法が提供される。この方法は、反応性染料、水溶性塩、アルカリ塩基及び酵素を含む本明細書に記載の組成物などの単位用量の織物再生組成物を洗浄区画に添加すること、約30℃〜約70℃の範囲の温度を有する水を洗浄区画に添加して、再生混合物を作製すること、再生混合物中に織物再生組成物を分散させるのに十分な時間にわたって再生混合物を攪拌すること、1〜5枚の衣類(500g〜1000gの範囲の総重量を有する)を洗浄区画に添加すること、再生混合物を衣類と完全に接触させるのに十分な時間にわたって再生混合物中で衣類を攪拌すること、反応性染料が衣類と反応できるように十分な時間にわたって再生混合物中に衣類を浸すこと、洗浄区画から再生混合物を排出すること、衣類を水ですすぐこと、及び、追加的な洗浄/処理製品なしで常温設定を使用して、洗浄/すすぎサイクルに衣類をかけることを含む。
【0013】
本開示の別の態様では、再生組成物の効率及び性能は、毛玉形成抑制(depilling)/毛羽立ち抑制(defuzzing)剤及び/又はpH制御剤などの1つ以上の相乗的な補助添加剤により改善される。更に別の態様では、再生組成物の使用の便利さは、再生組成物の少なくとも一部を便利な投与装置又は容器に組み込むことにより、増加する。これらの態様によれば、使用時点までに、例えば、投与の容易性を提供するために、及び/又は、表面の偶発的なシミを防止するために、再生組成物の少なくとも一部は、投与装置又は容器内に含有され得る。更に別の態様では、洗濯プロセスにおけるリン酸塩の使用制限に関する環境的安全性の課題は、リン酸塩を本質的に含まない組成物を作製することにより、解決される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
「発明を実施するための形態(the Description of the Invention)」において述べる種々の実施形態は、以下の図面を参照することでよりよく理解されるであろう。
【図1a】EVERZOL(登録商標)BLACK EDの紫外線スペクトル。
【図1b】リアクティブブラック5の紫外線スペクトル。
【図1c】リアクティブブラック55とEVERZOL(登録商標)Black EDの紫外線スペクトルの比較。
【図2】再生組成物の一実施形態に関する水溶性塩/アルカリ塩基配合についての三成分図。
【図3】再生組成物の一実施形態の投与サイズに関するL*における変化。
【図4】再生組成物の一実施形態の異なる投与サイズでの処理後の、予め洗浄したデニムの再生。
【図5】再生組成物の一実施形態の異なる投与サイズでの処理後の、100%綿デニムの再生。
【図6】市販製品と比較した本開示の一実施形態の染色結果。
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.定義
本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」との用語は、本開示の組成物の調製において共に使用される種々の構成成分を意味する。したがって、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は用語「含む(comprising)」に包含される。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「再生」は、色褪せした染色された織物の色をこの織物の元々染められていた色に近い色に回復することを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「添加剤」は、色褪せした染色された織物をこの織物の元々染められていた色に近い色に染色するために洗濯プロセス中に組成物を使用することを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「一回分量」は、染色された衣類の色を再生するために、組成物の一回使用を意味する。用語「一回分量」は、一回使用に本組成物の使用を限定するものと解釈すべきではない。例えば、衣類は、最初の再生プロセス後にその衣類の着用/洗浄に起因して衣類の色が褪せた後に、本明細書に開示されている染料組成物で再処理されてもよい。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「反応性染料」は、反応して、共有結合、極性共有結合、配位共有結合、又はイオン結合などの化学結合を布地繊維と形成する化学染料組成物を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「真の黒」は、黒色を有するものとして消費者に見られる色を生じる染料又は染料の組み合わせを意味する。真の黒の測定基準は、Hunter Associates Laboratory(Reston,VA)から入手可能な標準的な黒ガラススライドとする。スケールは、黒設定を0とし、白設定を100とする。白ガラススライド標準はまた、Hunter Associates Laboratoryからも入手可能である。測定は、光源D65とIlluminant Aでの10度の標準観測者の関数を使用して、行われる。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「縦型式洗濯機」は、洗浄される衣類が上部から装填される洗濯機を意味する。縦型式洗濯機は、典型的には、約30リットル〜約85リットルの範囲の洗浄容量を有する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「ドラム式洗濯機」は、洗浄される衣類が機械の前面のドアを通して装填される洗濯機を意味する。ドラム式洗濯機は、典型的には、約10リットル〜約80リットルの範囲の洗浄容量を有する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「Miele型式洗濯機」は、Miele & Cie.(Gutersloh,Germany)により生産されているものなどの、特定の欧州の国又は他の国で使用されている洗濯機の型式を意味する。Miele型式洗濯機は、約5リットル〜約30リットルの範囲の洗浄容量を有する。用語「Miele型式洗濯機」は、Miele & Cie.により生産されている洗濯機に限定されるものと解釈されるべきではなく、本明細書に記載されるようなドラム式又は縦型式洗濯機に比較して、低減された洗浄容積を有する全ての洗濯機を包含するように読まれるべきである。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「手洗い」は、布地又は織物が、約100mL〜約15リットルの範囲の容積の洗浄水容量で布地又は織物を処理する流し台、洗面器、ボール、バッグ、槽又は任意の他の好適な容器の中で、手により処理される任意の手順を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「L*C*h色空間」及び「L色空間」は、Hunter Associates Laboratoryにより開発され、色及び染色された物品の色における変化を測定するのに、Commission Internationale d’Eclairage(「CIE」)により推奨されている三次元比色モデルである。CIE L色空間(「CIELAB」)は、3組の軸を持つスケールを有し、L軸は色空間の明度(黒についてはL=0、白についてはL=100)を表し、a軸は赤〜緑の色空間(赤についてはa>0、緑についてはa<0)を表し、b軸は黄〜青の色空間(黄についてはb>0、青についてはb<0)を表す。Lh色空間は、極性色空間についてほぼ均一なスケールである。CIE LC:h色空間(「CIELCh」)スケール値は、機器で測定され、また、CIELABスケール値から計算され得る。L*明度は、CIELCh及びCIELABの両方で同一である。C*値(彩度)及びh値(色相)は、CIELABスケールのa及びb値から計算され得る。全ての色は、Lの組み合わせにより表すことができ、色の変化は最初の色と最終的な色との間の組み合わせの差異に相当するベクトルにより表すことができる。用語の定義と式導出は、Hunter Associates Laboratory,Inc.から、及び、www.hunterlab.comから入手可能であり、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「布地」、「衣服」及び「衣類」は全て、糸及び毛糸などの天然及び/又は人工繊維の網状組織を含む可撓性材料から作製される織物組成物に関する。織物組成物は、典型的には、繊維に色を付与するために、染色プロセスにより処理される。
【0027】
B.プロセス及び組成物
一実施形態によれば、本開示は、約5.0重量%〜約30.0重量%の反応性染料組成物、約35.0重量%〜約90.0重量%の水溶性塩、約5.0重量%〜約40.0重量%のアルカリ塩基、約0重量%〜約1.0重量%の界面活性剤、及び約0重量%〜約1.0重量%の酵素を含む織物再生組成物を提供する。これらの実施形態によれば、織物再生組成物は、リン酸塩を実質的に含み得ない。
【0028】
織物は、繊維網状組織に特定の色又は色を付与するために、染料で着色され得る。1つの有効な染色方法は、反応性染料で織物を処理することを伴う。反応性染料は、染料と繊維との間に化学結合を形成し、これにより、繊維構造に染料発色団を接合するために、織物繊維内の化学官能基と反応する化学官能基を有する。反応性染料は、高度の色堅牢度を有する繊維製品を導く有効な染色剤である。他の染料の型も既知であるが、特に綿及び他のセルロース繊維などの天然繊維に、より低度の色堅牢度を導く場合がある。
【0029】
特定の実施形態では、反応性染料組成物は、反応性アゾ染料を含み得る。反応性染料組成物の一例は、EVERZOL(登録商標)Black ED染料(Everlight Chemical Industrial Corp.(Pineville,NC)から市販)であり、これは、染色される物品に「真の黒」色を与える、リアクティブブラック5並びに反応性黄色染料、反応性オレンジ色染料、反応性赤色染料及び反応性緑色染料の1つ以上を含む複数の染料のブレンドである。他の好適な反応性染料組成物には、米国特許第6,126,700号で開示されている反応性染料組成物が挙げられる。特定の実施形態によれば、本明細書で使用される反応性染料組成物は50%〜約100%の反応性黒染料を含み得、染料組成物の残部は、(吸収スペクトルにより測定されるとき)異なる色を有する1つ以上の反応性染料を含む。リアクティブブラック5などの特定の反応性染料は、アルカリ性条件下で反応して、染料の反応性形態を形成し、これは織物繊維上のヒドロキシル基と反応して繊維構造に染料発色団を共有結合させ得る。本開示の趣旨を逸脱することなく、本開示の種々の実施形態において、リアクティブブラック5の代わりに又はこれに加えて、リアクティブブラック5と同様な反応性基(すなわち、同様な化学条件下で反応性である官能基)を有する他の反応性染料組成物を含む他の染料組成物が使用され得ることを、当業者であれば理解するであろう。例えば、他の色の染料は、着色された衣類の再生のためのプロセスなどで、使用され得る。
【0030】
反応性染料組成物が反応性黒染料を含み、真の黒色を有する特定の実施形態によれば、反応性染料組成物は真の黒色を生じる組成物中の1つ以上の染料に対応する複数のピークを有する紫外線スペクトルを有し得る。例えば、黒組成物の一例では、スペクトルは、585nm〜600nmの範囲のλmaxにおいて40,000〜45,000の範囲の1つのλmax吸光係数、465nm〜485nmにおいて第二のλピーク、及び380nm〜460nmにおいて第三のピークを示し得る。本開示の特定の実施形態による反応性染料組成物の2つの代表的な紫外線スペクトルは、図1a及び図1bに示されている。図1aはEVERZOL(登録商標)Black EDの紫外線スペクトルを示し、図1bはリアクティブブラック5の紫外線スペクトルを示す。
【0031】
特定の実施形態では、再生組成物は、約5.0重量%〜約30.0重量%の反応性染料組成物を含み得る。他の実施形態では、再生組成物は、約5.0重量%〜約20重量%の反応性染料組成物を含み得る。別の実施形態では、再生組成物は、約10.0重量%〜約15.0重量%の反応性染料組成物を含み得る。
【0032】
種々の実施形態によれば、織物再生組成物は、約35.0重量%〜約90.0重量%の水溶性塩を含む。他の実施形態では、再生組成物は、約35.0重量%〜約65.0重量%の水溶性塩を含み得る。他の実施形態では、再生組成物は、約55.0重量%〜約90.0重量%の水溶性塩を含み得る。更に他の実施形態では、再生組成物は、約55.0重量%〜約65.0重量%の水溶性塩を含み得る。更に別の実施形態では、塩は織物再生組成物から省略され得るが、例えば、使用者又は消費者によって添加されるなどして、再生組成物の使用方法中で添加され得る。種々の実施形態では、水溶性塩は、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、硫酸塩、塩化物塩、臭化物塩、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、カルボン酸塩、ギ酸塩及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択され得る。特定の実施形態によれば、水溶性塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるナトリウム塩であり得る。いずれかの特定の理論に制限されるものではないが、水溶性塩は、再生組成物を洗濯機内の水に溶解させて形成される水溶液のイオン強度特性を増大すると考えられ、反応性染料組成物と織物繊維中の反応性官能基との間の許容可能な結合が、溶液から染料を繊維上に送り込んで、反応性染料が繊維と反応するのを可能にするのに必要であり得る。更に、種々の実施形態では、塩はリン酸塩を含まない場合がある。残留リン酸塩は、特定の望ましくない環境的影響を引き起こす場合があり、これらの使用は特定の国では制限されている。それゆえに、本開示の実施形態は、リン酸塩又はリン含有塩を使用せずに有効な染料取り込みを提供する。
【0033】
本明細書に記載の織物再生組成物はまた、アルカリ塩基を含む。織物再生組成物は、再生組成物を洗濯機内の水に溶解させるときに形成される染料溶液が、約9〜約13.5の範囲のpHを有するのに十分なアルカリ塩基を含み得る。他の実施形態では、染料溶液のpHは、約11〜約12であり得る。例えば、特定の実施形態では、染料溶液は、約50g〜約500gの織物再生組成物を約5L〜約15Lの水に溶解させることから生じ得る。他の実施形態では、染料溶液は、約100g〜約1000gの織物再生組成物を約30L〜約40Lの水に溶解させることから生じ得る。いずれかの解釈に制限されるものではないが、例えば、9を超えるpH(9〜13.5など)といった高pHが織物繊維による許容可能な染料取り込みに必要であると考えられている。他の実施形態では、11を超えるpH(11〜12など)は、織物繊維による許容可能な染料取り込みを生じ得る。本開示の特定の反応性染料では、アルカリ性条件は、反応性染料を活性化して、繊維上の官能基と反応させるのに必要であり得る。例えば、リアクティブブラック5については、アルカリ性反応条件は、α,β−不飽和スルホンを生じると考えられており、これにより、織物繊維上のヒドロキシル又は他の求核性官能基は反応して染料分子を繊維に結合する。
【0034】
特定の実施形態では、再生組成物は、約5.0重量%〜約40.0重量%のアルカリ塩基を含み得る。他の実施形態では、再生組成物は、約5.0重量%〜約10.0重量%のアルカリ塩基を含み得る。他の実施形態では、再生組成物は、約20.0重量%〜約40.0重量%のアルカリ塩基を、特定の実施形態では約20.0重量%〜約30.0重量%のアルカリ塩基を含み得る。好適なアルカリ塩基には、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。アルカリ塩基は水溶液又は無水形態であり得る。再生組成物中のアルカリ塩基の重量パーセントが少なくとも部分的にアルカリ塩基の塩基度(pK)に依存することを当業者であれば理解するであろう。すなわち、塩基度が高い(すなわち、pKが大きい)アルカリ塩基ほど、所望のpHの染料溶液を達成するのに少ない重量パーセントのアルカリ塩基が必要とされる。それゆえに、種々の実施形態では、染料が繊維と最適に反応するのに所望されるpHを達成するのに十分なアルカリ塩基を添加する。
【0035】
種々の実施形態によれば、再生組成物のアルカリ塩基はまた水溶性塩であり、染料組成物全体のイオン強度に影響を有し得る。それゆえに、特定の実施形態では、水溶性塩及びアルカリ塩基の最適配合物であり得る。例えば、水溶性塩がNaClであり、アルカリ塩基がNaSiO又はNaCOである一実施形態によれば、塩と塩基との配合物について最適濃度範囲が存在し得る。図2は、再生組成物の特定の実施形態に関するNaCl、NaSiO及びNaCO濃度についての最適範囲を表す配合系についての三成分図を示す。これらの実施形態によれば、60%〜100%のNaCl及び0%〜40%のNaSiO及び/又はNaCOを有する塩/アルカリ塩基配合物を有する再生組成物は、最大の、再生及び処理された衣類による黒染料の取り込みを達成するのに最適な染料付着を示す。
【0036】
本開示の織物再生組成物はまた、界面活性剤を有し得る。特定の実施形態によれば、再生組成物は、0重量%〜約10.0重量%の界面活性剤を含み得る。他の実施形態では、再生組成物は、0重量%〜約5.0重量%の界面活性剤を、特定の実施形態では0重量%〜約2.0重量%の界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤には、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエトキシ硫酸塩(AES)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DSS)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。再生組成物中の界面活性剤は、染料及び他の成分を染料溶液中に均一に分散するように、並びに/又は衣類のより均一な染色のために布地又は衣類表面を濡らすように、作用し得る。しかしながら、多くの界面活性剤は洗浄作用を示すが、本開示の実施形態は織物を洗浄することを意図するものではなく、染料の色を再生するものであり、本明細書に記載されている種々の再生組成物中に含有される界面活性剤の量は、通常、織物の効率的な洗浄に不適であることに注意すべきである。例えば、特定の実施形態では、より高い界面活性剤濃度は、染料取り込みを阻止し得る。
【0037】
本開示の織物再生組成物はまた、酵素を含み得る。好適な酵素には、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。組成物の特定の実施形態では、酵素は、例えば、CAREZYME(登録商標)(Novozymes NA(Frankinton,NC)から市販)、RENOZYME(登録商標)(Novozymes NA(Frankinton,NC)から市販)、CELLUCLEAN(登録商標)(Novozymes NA(Frankinton,NC)から市販)、PURADEX(登録商標)HP(Danisco US−Genencor Division(Rochester,NY)から市販)、及びこれらの組み合わせといった洗剤酵素を包含するセルラーゼを含み得る。特定の実施形態では、セルラーゼ酵素又は他の酵素は、布地又は繊維表面と反応して、布地の毛羽立ち及び毛玉を除去又は低減し、これにより、布地表面の滑らかさ及び/又は布地による染料取り込みを増大させる。いずれの解釈によっても制限されるものではないが、布地表面上における毛羽立ち又は毛玉を低減することにより、衣類はより本当の染められた色に見えると考えられている。
【0038】
染色された衣類の色を再生するために使用される織物再生組成物の量は、複数の要件に従って変化し得る。例えば、異なる型式の洗濯機は、洗浄サイクル中に異なる容積の水を使用する。例えば、典型的な縦型式洗濯機は、1サイクル当たり約30L〜約40Lの水の範囲の洗浄容積を有し、一方、典型的なドラム式洗濯機は1サイクル当たり約10L〜約15Lの水の範囲の洗浄容積を有する。欧州又は他の国では、1サイクル当たり約5L〜約10Lの水の範囲の洗浄容積を有するMiele型式洗濯機が一般に使用されている。それゆえに、衣類を処理するために使用される再生組成物の量は、洗濯機の型式又は設計に依存して異なり得る。すなわち、低洗浄容積を有する洗濯機については、処理された衣類において許容可能な色レベルを達成するために少量の再生組成物が必要であり得、一方、高洗浄容積洗濯機については、許容可能な色レベルを達成するために多量の再生組成物が必要であり得る。洗濯機において衣類を処理するために使用される再生組成物の量は、「単位用量」として定義され得る。一実施形態によれば、組成物は、ドラム式洗濯機又はMiele型式洗濯機について単位用量当たり50g〜500gの範囲の総重量を有し得る。他の実施形態では、組成物は、ドラム式洗濯機又はMiele型式洗濯機について単位用量当たり250g〜450gの範囲の総重量を有し得る。別の実施形態によれば、組成物は、縦型式洗濯機について単位用量当たり100g〜1000gの範囲の総重量を有し得る。他の実施形態では、組成物は、縦型式洗濯機について単位用量当たり500g〜900gの範囲の総重量を有し得る。
【0039】
染色操作で使用される再生組成物の量はまた、染色溶液中の再生組成物の最適濃度により表され得る。濃度は、再生組成物の単位用量を染色操作に使用される洗濯機の洗浄容積によって割り算することにより、決定され得る。種々の実施形態によれば、染料溶液中の再生組成物の濃度は、約2.0g/L〜約60.0g/Lの範囲であり得る。他の実施形態では、染料溶液の濃度は、約21.2g/L〜約53.3g/Lの範囲であり得る。
【0040】
本開示の他の実施形態は、織物の色を再生する方法を提供する。例えば、黒い織物衣類の色を再生するための方法は、本明細書に記載されている。種々の方法は、本明細書に記載されている織物再生組成物の種々の実施形態のいずれかで織物を処理することを含み得る。これらの方法は、縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機又はMiele型式洗濯機を使用して、織物の色を再生するのに好適であり得る。一実施形態では、この方法は、縦型式洗濯機を使用して織物の色を再生することを含み、ここで、織物再生組成物は、約75g〜約1000gの織物を染色するのに100g〜1000gの範囲の量で添加される。別の実施形態では、この方法は、ドラム式洗濯機又はMiele型式洗濯機を使用して織物の色を再生することを含み、ここで、織物再生組成物は、約75g〜約1000gの織物を染色するのに50g〜500gの範囲の量で添加される。他の実施形態では、織物再生組成物は、約75g〜約1000gの織物に対して300g〜400gの範囲の量で添加される。これらの方法の特定の実施形態では、より多量の織物が再生組成物で処理され得、例えば、最大1500gの織物が、より長い染色時間及び又はより高い水温が使用される条件下で、処理され得る。
【0041】
これらの方法によれば、処理された織物衣類は、処理されていない衣類と比較して、より黒い又は真の黒色などの改善された色を有する。織物衣類における改善は、複数の方法により測定され得る。1つのアプローチでは、衣類の色の改善は、消費者又は再生組成物使用者の主観的意見により測定され得る。例えば、消費者又は組成物使用者は、1〜4のスケールで色再生をレート付けすることにより、再生プロセスの有効性についての彼らの意見を尋ねられ得、ここで、1は観察可能な変化がない、2は観察可能な変化を示すが色が許容不可能である、3は観察可能な変化を示し、色が許容可能である、並びに、4は色に観察可能な変化を示し、衣類が元々の色に又はその色の近くに再生される。消費者の意見によれば、本開示の方法により織物再生組成物で処理された衣類は、3.5を超える平均消費者再生スコアを示した。
【0042】
これらの方法の他の実施形態では、衣類の色再生は、解析的比色分析を使用して、例えば、L又はDECMC値を測定することによるCIELChスケールを使用して、又は、L又はDE値を測定することによるLCIELABスケールを使用して、測定され得る。本明細書で使用するとき、DECMC値は、最初のLh値と最終的なLh値との間のL空間の距離に関連するベクトルを包含する。本明細書で使用するとき、DE値は、最初のL値と最終的なLとの間のLb空間の距離に関連するベクトルを包含する。これらの方法の一実施形態によれば、本開示の再生組成物で処理された織物衣類は、処理後に約15未満のL*値を示し得る。1つの代表的な最適化再生配合推奨物は、例えば、デニム布地上で、実証的に設計された実験における一連の条件を完遂することにより、決定され得る。このような例からの結果は、図2に示される。L*値22、17及び14.5は各々、境界値100、110及び120に対応し、ここで、このモデルは、特定のデニム布地に関する図(図中、低下するL*値は、線の下にある)上の座標により示される配合物についてのL値を予測する。例えば、44%のNaCl及び56%のNaSiO・5HOを有する代表的な配合物は、特定のデニム布地について平均L値14.5を有する。これらの実施形態によれば、最適な塩と塩基の配合は、図中の陰影付き領域により示されるように、線120により示されるような14.5未満のL値を有する衣類を提供する。他の実施形態では、本開示の再生組成物で処理された織物衣類は、2.5単位を超えるDECMC値を示し得る。織物衣類の再生を測定する第二の分析方法は、DE値を比較すること関係し得る。特定の実施形態によれば、本開示の再生組成物の種々の実施形態を利用する方法に従って処理された織物衣類は、2.0単位を超えるDE値を示し得る。
【0043】
これらの方法の特定の実施形態によれば、本開示の織物再生組成物で織物を処理することは、約2.0g/Lの水性洗浄溶液〜約60.0g/Lの水性洗浄溶液の範囲の濃度を有する織物再生組成物の水溶液で織物を処理することを含み得る。再生組成物の性質に起因して、水容積/設定が水中濃度の高いものほど、低いものに較べて、染色結果が高度な深みのある陰影になり、より暗くなり得る。それゆえに、洗濯機についての小又は低充填設定は、特定の実施形態において使用され得る。例えば、縦型式洗濯機についての一実施形態では、濃度は、400gの再生組成物について、約6.3g/L(大荷重設定を使用するとき約64L)〜約33.1g/L(小荷重設定を使用するとき約10.6L)の水性洗浄溶液の範囲であり得る。ドラム式洗濯機を利用する別の実施形態では、溶液中の再生組成物の濃度は、約8.3g/L(約12.1L中で100gの再生組成物を使用するとき)〜約33.1g/L(約12.1L中で440gの再生組成物を使用するとき)の範囲であり得る。Miele型式洗濯機を利用する別の実施形態では、溶液中の再生組成物の濃度は、約13.3g/L(約7.5L中で100gの再生組成物を使用するとき)〜約53.3g/L(約7.5L中で440gの再生組成物を使用するとき)の範囲であり得る。
【0044】
本開示の他の実施形態は、反応性染料組成物を含む染料成分と、酵素と、水溶性塩及びアルカリ塩基を含む塩成分と、を含む一回使用織物再生系を提供する。特定の実施形態では、染料組成物は、界面活性剤を更に含み得る。これらの実施形態によれば、反応性染料組成物は、本明細書に記載の反応性染料組成物のいずれかであり得る。反応性染料組成物は、再生系の総重量の約5.0重量%〜約30.0重量%を構成し得る。酵素は、本明細書で示すような任意の許容可能な酵素であり得る。特定の実施形態では、酵素は、例えば、本明細書に記載のものであるがこれらに限定されないセルラーゼであり得る。これらの実施形態では、酵素は、再生系の0重量%〜約1.0重量%を構成し得る。更に、本明細書で示す界面活性剤のいずれかなどの界面活性剤を含む実施形態では、界面活性剤は、再生系の0重量%〜約10.0重量%を構成し得、他の実施形態では、系は0重量%〜最大2.0重量%の界面活性剤を含む。
【0045】
再生系の塩成分は、少なくとも水溶性塩及びアルカリ塩基を含む。好適な水溶性塩には、本明細書に示されるものが挙げられる。好適なアルカリ塩基には、本明細書に示されるものが挙げられる。一実施形態では、水溶性塩は、再生系の約35.0重量%〜約90.0重量%を構成し得る。アルカリ塩基は、再生系の約0.5重量%〜約40.0重量%を構成し得る。特定の実施形態によれば、再生系の塩成分又は塩成分の一部、例えば、水溶性塩若しくはアルカリ塩基は、製造施設において添加され得る。他の実施形態では、塩成分又は水溶性塩若しくはアルカリ塩基などの塩成分の一部は、系の消費者又は使用者により添加され得る。例えば、再生系の製造又は運送に関連する費用を節約するために、特定の実施形態では、系の消費者又は使用者は、水溶性塩及び/又はアルカリ塩基を供給し得る。これらの実施形態によれば、例えば、消費者価格の低減、包装費用の低減及び/又は運送費用の低減といった経済的利益が、少なくとも一部の塩成分を消費者が供給することにより導かれ得る。再生系のこれらの実施形態は、最適染料取り込みのために再生系に添加すべき水溶性塩(例えば、NaClなど)及び/又はアルカリ塩(例えば、NaHCO、NaCO、NaSiO、NaOH及びこれらに類するものなど)の量及び種類を使用者が自身に教示するための取扱説明書を更に含み得る。
【0046】
再生組成物の特定の実施形態では、塩は、例えば、組成物の最終使用者により、別個に添加され得る。これらの実施形態では、再生組成物配合における反応性染料の百分率は、再生組成物の約25重量%〜約45重量%の範囲であり得る。組成物配合における塩基の百分率は、再生組成物の約50重量%〜約70重量%の範囲であり得る。組成物配合における界面活性剤及び/又は湿潤剤の百分率は、再生組成物の約0重量%〜約5重量%の範囲であり得る。再生組成物配合における酵素の百分率は、再生組成物の約0重量%〜約1重量%の範囲であり得る。
【0047】
特定の実施形態によれば、塩成分は、リン酸塩を実質的に含み得ない。上記のように、米国などの特定の管轄区域では、リン酸の使用は、例えば、廃棄リン酸塩が地下水面に排出されるという環境的懸念のために、制限され得る。それゆえに、再生系の特定の実施形態は、リン酸塩を実質的に含まない。
【0048】
本開示の再生系の更に他の実施形態は、ワックス若しくは忌避剤ペン又はアプリケータを更に含み得る。ワックス若しくは忌避剤ペン又はアプリケータは、織物又は衣類の一部を処理して、処理された部分が反応性染料組成物と反応しないようにするために使用され得る。すなわち、特定の衣類では、所有者が染料との反応を望まない織物の部分が存在し得る。例えば、特定の衣類は、識別タグなどのタグを有し得、又は、衣類は所有者が染料との反応を望まない1つ以上のデザインを有し得る。これらの衣類のために、再生系は、ワックス若しくは忌避剤ペン又はアプリケータを含み得、ここで、ワックス又は他の忌避物質は、染色されないようにする織物表面に適用され得、これにより、反応性染料に対してバリアを作製する。このバリアは、染料が布地表面と接触するのを防止し、それゆえに、反応性染料がペン又はアプリケータによって処理される布地と反応するのを防止する。次に、ワックス又は他の忌避物質は、再生プロセス後に洗浄することにより、又はその代わりに、ワックス又は他の忌避物質を除去することができる組成物で織物表面を処理することにより、除去され得る。
【0049】
再生系の特定の実施形態では、再生系で処理された織物は、処理後に約15未満のL値を示し得る。他の実施形態では、本開示の再生組成物で処理された織物衣類は、1.0単位を超えるDECMC値を示し得る。他の実施形態では、処理された織物衣類のDECMC値は、5.0単位を超え得る。特定の実施形態によれば、本開示の再生組成物の種々の実施形態を利用する方法に従って処理された織物衣類は、2.5単位を超えるDECMC値を示し得る。
【0050】
本開示の他の実施形態は、織物衣類の色を再生する方法を提供する。当業者であれば理解するように、種々の方法は、本開示の再生組成物及び系で衣類を処理するのに使用される洗濯機の型式に依存し得る。例えば、異なる洗濯機型式は、異なる洗浄容積を有し得るので、織物の処理に使用される再生組成物又は系の量若しくは投与は、様々であり得る。更に、特定の産業洗濯施設では、水温及び/又はサイクル時間が各々、高く及び/又は長くなり得る。反応性染料の化学反応速度は、再生組成物又は系の異なる用量が使用され得る温度及び速度に依存性である。
【0051】
一実施形態によれば、本開示は、ドラム式洗濯機又はMiele型式洗濯機において、織物衣類の、例えば、黒色といった色を再生するための一回使用方法を提供する。これらの実施形態によれば、この方法は、本明細書に記載の再生組成物などの、反応性染料、水溶性塩、アルカリ塩基、界面活性剤及び酵素を含む単位用量の織物再生組成物を洗浄区画に添加することを含む。この再生組成物は、リン酸塩を実質的に含み得ない。単位用量は、処理された織物上に真の黒色を提供するのに十分であり得る。例えば、特定の実施形態では、単位用量は、50g〜500gの再生組成物の範囲であり得る。この方法は、再生混合物を作製するのに十分な容積の、約25℃〜約60℃の範囲の温度を有する水を洗浄区画に添加することを更に含む。特定の実施形態では、添加される水の容積は、約10L〜約15Lの範囲であり得る。他の実施形態では、添加される水の容積は、5L〜10Lの範囲であり得る。この方法は、再生混合物中に織物再生組成物を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間にわたって再生混合物を攪拌することを更に含む。この方法は、1〜5枚の衣類を洗濯機の洗浄区画に添加することを更に含み、ここで、洗浄区画に対する衣類負荷の総重量は約75g〜1000gである。この方法は、再生混合物を衣類の織物と完全に接触させるのに十分な時間にわたって再生混合物中で衣類を攪拌すること、次に、反応性染料が衣類の織物の表面上の官能基と反応できるように十分な時間にわたって再生混合物中に衣類を浸すことを含む。衣類は、約30分間〜240分間にわたって浸され得る。この方法は、洗浄区画から再生混合物を排出すること、処理された衣類を水ですすぐこと、及び、追加的な洗浄、洗濯又は処理製品なしで常温設定を使用して、洗濯機において洗浄/すすぎサイクルに染料処理された衣類をかけることを更に含む。特定の実施形態では、染色された衣類を1つ以上の洗浄/すすぎサイクルにかけて、衣類及び洗浄区画からの再生混合物の完全除去を確保することが望ましいものであり得る。
【0052】
別の実施形態によれば、本開示は、縦型式洗濯機において、織物衣類の、例えば、黒色といった色を再生するための一回使用方法を提供する。これらの実施形態によれば、この方法は、本明細書に記載の再生組成物などの、反応性染料、水溶性塩、アルカリ塩基、界面活性剤及び酵素を含む単位用量の織物再生組成物を洗浄区画に添加することを含む。この再生組成物は、リン酸塩を実質的に含み得ない。単位用量は、処理された織物上に真の黒色を提供するのに十分であり得る。例えば、特定の実施形態では、単位用量は、100g〜1200gの再生組成物の範囲であり得る。この方法は、再生混合物を作製するのに十分な容積の、約18℃〜約60℃の範囲の温度を有する水を洗浄区画に添加することを更に含む。特定の実施形態では、添加される水の容積は、約35L〜約40Lの範囲であり得る。この方法は、再生混合物中に織物再生組成物を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間にわたって再生混合物を攪拌することを更に含む。この方法は、1〜5枚の衣類を洗濯機の洗浄区画に添加すること、又はその代わりに、約75g〜1000gの衣類を洗浄区画に添加することを更に含む。この方法は、再生混合物を衣類の織物と完全に接触させるのに十分な時間にわたって再生混合物中で衣類を攪拌すること、次に、反応性染料が衣類の織物の表面上の官能基と反応できるように十分な時間にわたって再生混合物中に衣類を浸すことを含む。衣類は、約30分間〜240分間にわたって浸され得る。この方法は、洗浄区画から再生混合物を排出すること、処理された衣類を水ですすぐこと、及び、追加的な洗浄、洗濯又は処理製品なしで常温設定を使用して、洗濯機において洗浄/すすぎサイクルに染料処理された衣類をかけることを更に含む。特定の実施形態では、染色された衣類を1つ以上の洗浄/すすぎサイクルにかけて、衣類及び洗浄区画からの再生混合物の完全除去を確保することが望ましいものであり得る。
【0053】
別の実施形態によれば、本開示は、コインランドリー、ドライクリーニングなどの産業的又は商業的洗濯施設及び他の産業的又は商業的洗濯施設において、織物衣類の、例えば、黒色といった色を再生するための一回使用方法を提供する。これらの実施形態によれば、これらの施設の方法は、洗浄容量の増大、より大きな攪拌力、洗浄温度の上昇及び/又は洗浄時間の増大が可能な洗濯機を利用し得る。それゆえに、これらの方法の種々の工程は、ドラム式、Miele又は縦型式洗濯機と同様であり得る。しかしながら、産業的又は商業的設定では、より大きな洗浄容積が使用され得、それゆえに、より大きな単位用量の再生組成物が使用され得る。更に、より大きな数又は重量の衣類が、単サイクルで処理され得る。特定の実施形態では、水温は、約30℃〜最大約70℃の範囲に上昇され得、並びに/又は、処理全体の時間はより長く、例えば、60分間〜240分間又は更に長くなり得る。本明細書に説明されるように、より高温及び/又はより長い反応時間での織物を処理することは、織物により更に多くの染料取り込みを生じ得る。それゆえに、特定の実施形態では、より低用量の再生組成物を使用して、処理された衣類に対して同様の色を達成することが可能であり得る。
【0054】
本明細書に説明しているように、再生プロセスに添加される織物再生組成物の用量は、例えば、洗濯機の型式、処理される衣類の数又は重量、処理される衣類の開始時の色、水温、処理時間の長さ、及び/又は本明細書に示す他の可変要素に依存して、様々であり得る。したがって、再生組成物の所望される全用量を与えるのに適切な量で消費者又は使用者により添加され得る予め包装された単位の本開示の織物再生組成物を、本明細書で説明している複数の要因に依存して提供することが望ましいものであり得る。種々の投与フォーマットが、本明細書に記載の組成物及び系について使用され得る。例えば、好適な投与デバイス及び容器には、箔若しくはプラスチックパウチ、又は、ポリビニルアルコール(PVA)パウチなどであるがこれに限定されない水溶性パウチが挙げられるがこれらに限定されないパウチ、投与ボール又は容器、プルタブ、ねじ蓋、箔若しくはプラスチックカバー及びこれらに類するものなどの容易に開く閉鎖機構を有する容器、あるいは、当該技術分野で既知の他の容器が挙げられる。他の実施形態では、本開示の組成物は、予め測定された量の組成物を有する錠剤に形成され得る。これらの投与フォーマットによれば、予め測定された量の組成物を含有する、適切な数の投与デバイスは、プロセスに容易に添加され得、一方、組成物の成分への露出を、又は、染料が他の物体と接触することに起因する望まれない染色の可能性を最小化する。
【0055】
本開示の別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、1つ以上の粒子状成分を含む特定の組成物として提供され得、本明細書では「パウチ」として名付けられる水混和性フィルムに封入され得る。パウチは、粒子状組成物を含有するために少なくとも1つの区画と、所望により、液体又は他の粒子状組成物を含有するために1つ以上の他の区画とを含み得る。パウチに組成物を封入することは、パウチが組成物と消費者又は使用者との直接接触との間にバリアを提供するので、利益を提供し得る。これは、組成物のいずれかの可能な感作性及び/又は有害な成分から使用者を遮蔽し、便利な投与を可能にし、組成物の漏出可能性を最小化する。
【0056】
本開示の組成物は、水に分配されるために、好ましくは水混和性であり、それゆえにパウチ及びこれらの成分は、成分の少なくとも1つ以上が水への添加時に又はその直後に放出されるように設計される。それゆえに、区画、特定の実施形態ではパウチは、水分散性又は水溶性材料から形成され得る。特定の実施形態によれば、組成物又は成分は、パウチに入れられた組成物を水に接触させた後、3分以内に、他の実施形態では接触から2分以内又は更には1分以内に、水に分配され得る。
【0057】
特定の実施形態によれば、水分散性材料は、50μm又はその代わりに20μmの最大孔径を有するガラスフィルターを使用する重量測定方法などの本明細書に示す方法により測定されるように、少なくとも50%、他の実施形態では少なくとも75%又は更には少なくとも95%の分散度を有し得る。例えば、10g±0.1gの材料を400mLの計量済み(tared)ビーカーに添加し、245mL±1mLの蒸留水を加える。溶液を600rpmで30分間にわたって激しく攪拌し、次に、上記に定義した孔径を有する折り畳まれた定性的焼結ガラスフィルターを通して溶液を濾過する。任意の従来方法により水を濾液から蒸発させ、溶解した画分から残っている水分散性ポリマーの重量を決定する。次に、パーセント溶解度又は分散度を計算し得る。
【0058】
特定の実施形態によれば、パウチを形成するための材料は、フィルム又はシート形状のポリマーなどのポリマー材料である。好適なポリマー材料には、ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリアルキレンオキシド;(変性)セルロース;(変性)セルロースエーテル、−エステル若しくは−アミド;ポリアクリレートなどのポリカルボン酸及び塩;マレイン酸/アクリル酸のコポリマー;ペプチドのポリアミノ酸;ポリアクリルアミドなどのポリアミド;デンプン及びゼラチンなどの多糖;キサンタンガム及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリメタクリレートなどのポリアクリレート及びアクリレートコポリマー;メチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;デキストリン;マルトデキストリン;エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択され得る。他の実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり得る。ポリマーは、例えば、約1,000〜約1,000,000、あるいは約10,000〜約300,000、約15,000〜約200,000、又は約20,000〜約150,000などの、任意の好適な重量平均分子量を有し得る。このようなパウチを形成する方法を含む本開示の種々の実施形態での使用に好適な水混和性又は水溶性パウチの例は、国際公開第01/85898号、同01/83667号及び同01/83657号、並びに、英国特許第2361685号、同第2361686号、同第2361687号、同第2361688号、同第2361689号、同第2361690号及び同第2361707号に更に詳細に記載されている。
【0059】
本明細書に記載のパウチは、組成物を含む容積空間を封入する閉じた構造を含んでもよい。それゆえに、パウチは、使用前に組成物を、例えば、パウチからの組成物を、パウチに入れられた組成物が水に接触する前に開放させることなく、保持するために好適な、任意の形態、形状、及び材料であり得る。正確な実行は、例えば、パウチ内の組成物の種類及び量、パウチ内の区画の数、並びに/又は、組成物を保持、保護、及び分配又は放出するためにパウチに必要とされる特性に依存する。
【0060】
特定の実施形態によれば、パウチは、それが単位用量の組成物又は単位用量の増分のいずれかを便宜的に含有するようなサイズであり得る。例えば、単位用量で組成物を提供することが所望されるとき、パウチは、単位用量全体の再生組成物、例えば、約50g〜約1000gの組成物、又は約250g〜約500gの組成物を含み得る。あるいは、再生組成物を増分投与で提供することが所望されるとき、パウチは、約25g〜約250gの再生組成物を含み得る。一例では、単一のパウチは、特定の重量の組成物、例えば、100gの再生組成物を含有し得る。それゆえに400gの再生組成物を必要とし得るドラム式洗濯機では、使用者は洗浄区画に4個のパウチを添加することができる。再生組成物及び反応性染料は、パウチ又は組成物が洗浄装置中(洗濯機の分与引き出し又はドラムの中など)に注ぎ入れられるまで開封されない閉じた容器で提供されるので、適量の組成物を洗浄区画に添加することに関連する失敗はより少ない。
【0061】
あるいは、再生組成物は、固体ペレット剤、錠剤又は粒子状形態に形成され得る。ペレット剤形態では、再生組成物のペレットは、容易に測定するのに十分なサイズであり得、例えば、ペレットは約250μm〜約750μmの範囲のメッシュサイズを有する。ペレット又は錠剤は、容積又は重量により容易に測定され、洗浄区画に添加され得る。ペレット剤又は錠剤形態を利用することは、より微細でない粒子を生じ、粉末製剤に関連する失敗がより少なくなり得る。洗濯ケア錠剤及び錠剤の形成方法の例は、国際公開99/50381号、同99/55821号及び同99/55822号、欧州特許第896052号及び同第947443号、並びに英国特許第2324495号及び同第2332442号に開示されている。
【0062】
更に他の実施形態では、再生組成物又は系は、少なくとも1つの液体成分及び少なくとも1つの固体成分、2つ以上の別個の液体成分又は2つ以上の別個の固体成分などの2つ以上の別個の成分を含み得る。これらの実施形態によれば、組成物又は系の2つの別個の成分は、再生プロセスの直前又はその間に混合され得る。特定の非限定的な実施形態では、組成物は、2つの別個の区画を有する投与容器で提供される2つの別個の成分を含み得る。一実施形態では、投与デバイスは、ドラム又はデバイスの分与区画に配置されたときに混合され得る別個の再生成分を有する区画化された容器であり得る。他の実施形態では、投与デバイスは、再生プロセス中に(例えば、洗濯機内部の水性環境と接触したときに)再生成分を放出する、区画化された水溶性パウチ又は区画化された投与ボールであり得る。一実施形態では、パウチは、1つ以上の区画を有し得、少なくとも1つの区画は粒子状又は固体成分材料を含有し、少なくとも1つの第二区画は液体成分材料を含有する。
【0063】
種々の特定の実施形態が本明細書で詳細に記載されているが、本開示は、開示されている実施形態の種々の異なる組み合わせを有効範囲とするものであり、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。本開示の種々の実施形態は、以下の代表的な実施例と共に読むとき、より良好に理解され得る。次の代表的な実施例は、例示の目的で挙げられ、限定の目的ではない。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
本開示の織物再生組成物の6つのサンプル配合物を調製する。この組成物は、反応性染料組成物(EVERZOL(登録商標)Black ED)、1つ以上の水溶性塩、アルカリ塩基、及び1つ以上の界面活性剤又は湿潤剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DSS))を含む。この組成物は、また、セルラーゼ酵素(CAREZYME(登録商標))及び添加剤成分(PLURAFAC(登録商標)SLF−18及びSIPERNAT(登録商標)22)を含み得る。配合物は、リン酸塩を実質的に含まない。6つの再生組成物の配合を表1に示す。
【表1】

【0065】
実施例2−水混和性パウチについての投与
この実施例では、再生組成物を水混和性パウチ中の顆粒状組成物として提供する。顆粒の製造プロセスも開示する。
【0066】
配合VI(実施例1)に列挙されている組成物を有する顆粒状再生組成物を作製するために、2つのプレミックスを作製する。プレミックス1は、塩化ナトリウム(NaCl、500μm顆粒)及びCALSOFT(登録商標)F90(Pilot Chemical Company(Cincinnati,Ohio)から市販の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム界面活性剤フレーク)を各々77.4%:22.6%の重量比で含む。プレミックス2は、NaCl及びジオクチルスルホコハク酸塩(DSS)を各々95.6%:4.4%の重量比で含む。キッチンブレンダーを使用して固体成分を一緒に粉砕することにより、各プレミックスを調製する。水混和性パウチへの適用のための顆粒組成物を表2に示す。
【表2】

【0067】
無水メタケイ酸ナトリウム(850μm顆粒)を粗く粉砕し、メッシュスクリーンを通してふるいにかけて、NaCl顆粒のサイズと同様なおよそ500μmの平均粒径を得て、更なる操作での分離を防止する。生成物の溶解を促進するために、並びにまた、塵埃を防止するために、顆粒組成物の粒子の大半は、約200μm〜約1000μmの範囲である(特定の実施形態では約250μm〜700μm、更に他の実施形態では約300μm〜約550μm)。より小さな粒径の制限は、煙霧質化を防止するために設定され、計画環境におけるI&HSの実践に一致する。更に、粒径は、小さな粒子がPVAフィルムの端部に移染するのを防止するのを助け、それにより、封止プロセスについての干渉を防止し、封止の有効性を増大させる。
【0068】
残りのNaCl、メタケイ酸ナトリウム(無水)、プレミックス1、プレミックス2及びEverzol Black ED(反応性黒染料)をバッチパドルミキサーに添加し、PLURAFAC(登録商標)SLF18(BASF(Florham Park,NJ)から市販されている表面活性非イオン性界面活性剤を含む脱塵剤)を混合しながら粉末混合物上に噴霧し、その後、SIPERNAT(登録商標)22LS(Degussa Aktiengesellschaft Corp.(Germany)から市販されているヒュームドシリカ流動助剤)を添加して、流動特性の改善及び固化の低減を行う。PLURAFAC(登録商標)SLF 18の添加は、塵を低減するだけでなく、染料粒子をNaCl顆粒及びメタケイ酸ナトリウム顆粒の表面に付着させ、それゆえに、より均一な外観の生成物を提供し、微細染料粒子による周囲領域の汚染を防止する。
【0069】
実施例3−組成物で充填したパウチの作製プロセス
この実施例では、粒子状組成物をパウチの中に組み込む。一片のChris−Craft M−8900ポリビニルアルコール(PVA)フィルム(Chris−Craft Industrial Products(Gary,Indiana)から市販、厚さ50μm)を成形型の上に配置し、定位置に固定する。成形型は、各側部の長さが30mmである正方形と、所望の量の再生組成物を含有するのに十分な容積を提供するための深さとからなる。成形型は、成形材料中で真空が適用できるような孔を備える、真空を適用して、フィルムを成形型の中に吸引し、成形型の内側表面にフィルムをぴったり重ねる。実施例2の組成物(110g)を成形型に注入し、その結果、成形型を総容積の105%〜115%充填する。この組成物は、870g/Lの嵩密度を有し、装置はわずかに振動して組成物に圧縮する。M−8900 PVAフィルムのシートを成形型及び組成物の上部全体にわたって配置し、内径46mmを有する平坦な金属の輪の環状部品を適用することによりフィルムの第一の層を封止し、適度な圧力下で金属を加熱して、以下のパラメータを使用して、PVAフィルムを一緒に熱封止する:温度=100℃、時間=3秒、圧力=972.7kPa(9.6atm)、適用した真空=40.5kPa(0.4atm)。金属の輪を140℃〜146℃の温度に加熱し、最大5秒間適用する。封止中、フィルムは引っ張られ、20〜40μmの厚さの変動が生じる。
【0070】
生じたパウチは、10℃で5Lの水に浸すと、10秒未満で製品組成物を放出する。パウチは、45ジュールの封止強度を有する。本組成物のパウチはまた、米国特許出願公開第2005/0034432(A1)号又は米国特許第7,127,874号に開示されているような高速製造プロセスを使用して製造されてもよい。
【0071】
実施例4−ドラム式洗濯機
染料再生配合VI(321g、実施例1)をポリビニルアルコールフィルムパウチ内107g単位用量3つとして、ドラム式洗濯機(Whirlpool Duet)の洗濯機のドラムに添加する。乾燥した衣服(約1000g)をドラムに添加する。水温を40℃に設定し、「重質」サイクルを選択する。洗濯機を15分間にわたって攪拌させておき、次に洗浄サイクルを止めて衣類を更に45分間にわたって浸しておく。染料再生処理を1時間いっぱい行わせた後で、洗浄サイクルを再開し、仕上げ攪拌、排水及びすすぎサイクルを行わせておく。すすぎサイクルの完了後、衣服を洗濯機内に残し、常温/常温設定を使用する「重質」洗浄及びすすぎサイクルを、TIDE(登録商標)HE洗剤(The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から市販)を用いて実行する。衣類を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる。洗濯機に別の洗浄及びすすぎサイクルを行わせて、洗濯機から残留染料再生組成物の完全除去を確実に実施する。
【0072】
実施例5−Miele型式洗濯機
染料再生配合V(400g、実施例1)をMiele型式ドラム式洗濯機の洗濯機ドラムに添加する。乾燥した衣服(最高1000g)をドラムに添加する。40℃綿サイクルを選択し、洗濯機を実行させて完了させる。サイクルの完了後、衣服を洗濯機に残し、第二の40℃綿洗浄及びすすぎサイクルをARIEL(登録商標)(Procter & Gamble(Cincinnati,OH))で実行する。衣類を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる。洗濯機に別の洗浄及びすすぎサイクルを行わせて、洗濯機から残留染料再生組成物の完全除去を確実に実施する。
【0073】
実施例6−縦型式洗濯機
染料再生配合V(合計800g、2回分の用量、実施例1)を縦型式洗濯機(Kenmore 80)の洗濯機ドラムに添加する。水温を高温設定に設定し、水位を低荷重設定に設定する。デリケート洗浄サイクルを選択する。洗浄サイクルを開始させ、1分後に内容物を優しく攪拌する。洗浄サイクルを止め、衣類(最高1000g)を洗濯機ドラムに添加する。洗濯機を開始させ、10分間にわたって攪拌する。洗浄サイクルを止め、内容物を50分間にわたって浸しておく。染料再生処理を1時間いっぱい行わせた後で、洗浄サイクルを再開し、仕上げ攪拌、排水及びすすぎサイクルを行わせておく。すすぎサイクルの完了後、衣服を洗濯機内に残し、常温/常温設定を使用する「通常」洗浄及びすすぎサイクルを、TIDE(登録商標)HE洗剤(The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から市販)を用いて実行する。第二サイクル完了後、衣類を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる。洗濯機に別の洗浄及びすすぎサイクルを行わせて、洗濯機から残留染料再生組成物の完全除去を確保する。
【0074】
実施例7(手洗い)
配合Vによる染料再生配合物(200g、半分の用量、実施例1、酵素の添加なし)をバケツ、蓋付き容器又は他の好適な容器に添加する。内容物が非常に有害である場合には、適切な個人用保護具(すなわち、手袋又はゴーグル)を利用する。40℃〜65℃の温度を有する温水(最高4L)を容器に添加し、内容物をスパチュラでかき混ぜる。5分後、乾燥した衣服(最高250g、1枚の衣類)を添加し、その後、必要であれば、衣類が自由に動くのに十分な温水を添加する。衣類を10分毎に1時間にわたってかき混ぜて、衣類布地の均一な染料再生適用範囲を得る。より長い処理時間は、より暗く、より均一に分散された衣類の色を導く。液体を容器から廃棄する。衣類を絞って、過剰な液体を除去する。すすぎ水が透明になるまで、衣類をすすぐ。次に、衣類を典型的な条件下で洗浄し、普通に乾燥させる。
【0075】
(実施例8)
この実施例では、再生組成物の投与重量の効果を随伴pH減少で試験し、従来技術製品と比較する。
【0076】
6つの異なる布地タイプ(コナ綿、100%綿デニムレッグピース、100%綿デニム、97%綿/3%スパンデックスデニム及び綿ニットアーム)の再生について4回投与重量の配合V(実施例1)を試験し、リン酸塩を含む市販の染料組成物(Wash & Dye Black(Dylon International Ltd.(London,UK)から市販)と比較する。染料取り込みにおけるpHの効果もまた、投与重量の関数として試験する。全ての染料試験にドラム式洗濯機(Whirlpool Duet)を使用する。1kgのバラストに対して100g、200g、300g及び400gの投与濃度で、配合Vの4つの濃度を試験する。100gの投与では、溶液のpHは11.06であり、染料取り込みの低下を示す。100gの投与濃度について、再生混合物のpHをpH11.5に調整しての、実行もまた試験する。配合Vについて各投与濃度における各布地についてのサンプルのdL(Lにおける変化)を測定し、結果を図3に示す。染料の着色のレベル(dLにより測定)は、染料溶液のpHが11.5よりも上である場合には、投与サイズに関して直線的である。11.5未満のpHでの投与濃度については、補足のNaOHによるpH上昇により、他の投与との比例性を生じる。
【0077】
配合Vの異なる投与サイズで再染色した予洗済み100%綿デニム材料の写真を図4及び5に各々示す。等量の市販の製品に対する本開示の組成物を利用する染料取り込みの比較を図6のプロットに示す。配合Vにより示される染料取り込みは、市販製品と等しいか又はより良好である。
【0078】
(実施例9)
実施例1に示される複数の配合の染色有効性及び染料取り込みを最大8つの異なる布地タイプで試験する。配合を北米(NA)縦型式(Kenmore 80)及び縦型(Whirlpool Duet)洗濯機及びMieleドラム式洗濯機で試験する。布地見本のDE及びLを測定し、リン酸塩を含む市販製品の使用から生じるものと比較する。洗浄パラメータを表3に示す。バラスト重量は1000gである。
【表3】

【0079】
試験される布地見本は、コナ綿、新品デニム、使用済み(予洗済み)デニム、使用済み黒リブニット、白リブニット(綿)、PC50/50(50%ポリエステル50%綿混紡)及びPW19(100%ポリエステル)である。布地の種類及び供給元は、表4に示される。一回分量洗浄プロトコルは、以下の通りである。NAドラム式については、規定用量の十分に混合した染色配合物をドラムに適用する;乾燥した衣服をドラムに添加する;水道水サーモスタットを40℃に設定して、重質洗浄サイクルを選択する;衣服を15分間にわたって攪拌し、次に洗濯機を止め、装填物を45分間にわたって溶液に浸す;洗濯機を排水し、すすぎサイクルを開始する;すすぎサイクルが停止した後、常温/常温水設定を使用する重質洗浄及びすすぎサイクルを選択する;衣服を洗浄する(洗剤を所望により使用);衣服を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる;別の洗浄/すすぎサイクルを実行して、全染料が洗濯機から除去されたことを確保する。NA縦型洗濯機については、規定用量の十分に混合した染色配合物を洗濯機のドラムに適用する;水道水サーモスタットを40℃に設定して、低水位を選択し、デリケート洗浄サイクルを選択する;1分間にわたって優しく攪拌しながらドラムに水を充填する;乾燥した衣服をドラムに添加する;洗濯機を再開始し、衣服を10分間にわたって攪拌し、次に洗濯機を止め、装填物を50分間にわたって溶液に浸す;洗濯機を排水し、すすぎサイクルを開始する;すすぎサイクルが停止した後、常温/常温水設定を使用する通常の洗浄及びすすぎサイクルを選択する;衣服を洗浄する(洗剤を所望により使用);衣服を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる;別の洗浄/すすぎサイクルを実行して、全染料が洗濯機から除去されたことを確保する。Miele洗濯機については、規定用量の十分に混合した染色配合物をドラムに添加し、乾燥した衣服を添加する。完全40℃綿サイクルを実行する。サイクルの終わりに、所望により洗剤を添加してこれを繰り返す;次に、衣服を洗濯機から取り出し、普通に乾燥させる;別の洗浄/すすぎサイクルを実行して、全染料が洗濯機から除去されたことを確保する。L色スケールを使用して、布地サンプルの色を分析する。NAドラム式洗濯機の実行についてのDE及びLの結果を表4に示し、NA縦型洗濯機の結果を表5に示し、Mieleの結果を表6に示す。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0080】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0081】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0082】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物再生組成物であって、
好ましくは反応性黒染料を含む5.0重量%〜30.0重量%の反応性染料組成物、35.0重量%〜90.0重量%の水溶性塩、
5.0重量%〜40.0重量%のアルカリ塩基、メタケイ酸ナトリウム、及びこれらのいずれかの組み合わせを含み、
前記組成物がリン酸塩を実質的に含まない、織物再生組成物。
【請求項2】
前記反応性染料組成物が、反応性黄色染料、反応性オレンジ色染料、反応性赤色染料及び反応性緑色染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの染料を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応性染料組成物が、好ましくは、リアクティブブラック5について595nmのλmaxで40,000〜45,000の範囲の吸光係数と、465〜480nmの範囲で吸収する種について595nmにおける吸光度に関して少なくとも77%の吸光度百分率と、420〜435nmの範囲で吸収する種について595nmにおける吸光度に関して少なくとも70%の吸光度百分率と、を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性塩が、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、硫酸塩、塩化物塩、臭化物塩、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、カルボン酸塩、ギ酸塩、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルカリ塩基が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
酵素を更に含み、前記酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、水混和性フィルムパウチで提供され、前記組成物が、好ましくは、ドラム式洗濯機での使用について単位用量当たり50g〜500g、又は、縦型式洗濯機での使用について単位用量当たり100g〜1000gから選択される総重量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
反応性染料組成物、界面活性剤及び酵素を含む染料成分と、
好ましくはリン酸塩を実質的に含まない塩成分とを含み、前記塩成分が水溶性塩及びアルカリ塩基を含み、好ましくは前記染料成分及び前記塩成分の少なくとも1つが水混和性パウチに含まれる、一回使用織物再生系。
【請求項9】
ワックス又は忌避剤ペンから選択されるペンを更に含み、前記ワックス又は前記忌避剤ペンで処理された織物部分が前記反応性染料組成物と反応しない、請求項8に記載の系。
【請求項10】
洗濯機において織物衣類の色を再生するための一回使用方法であって、
反応性染料、
水溶性塩、
アルカリ塩基、及び
酵素を含む、単位用量の織物再生組成物を洗浄区画に添加する工程、
30℃〜70℃の範囲の温度を有する水を前記洗浄区画に添加して、再生混合物を作製する工程、
前記再生混合物中に前記織物再生組成物を分散させるのに十分な時間にわたって前記再生混合物を攪拌する工程、
500〜1000gの衣類を前記洗浄区画に添加する工程、
前記再生混合物を前記衣類と完全に接触させるのに十分な時間にわたって前記再生混合物中で前記衣類を攪拌する工程、
前記反応性染料が前記衣類と反応できるように十分な時間にわたって前記再生混合物中に前記衣類を浸す工程、
前記洗浄区画から前記再生混合物を排出する工程、
前記衣類を水ですすぐ工程、及び、
追加的な洗浄/処理製品なしで常温設定を使用して、洗浄/すすぎサイクルに前記衣類をかける工程を含む、一回使用方法。
【請求項11】
容器中の織物再生組成物の投与であって、前記織物再生組成物が、
(a)35.0重量%〜90.0重量%の水溶性塩、
(b)5.0重量%〜40.0重量%のアルカリ塩基、
(c)0重量%〜10重量%の界面活性剤、及び
(d)0重量%〜1.0重量%の酵素、を含む反応性染料組成物を5.0重量%〜30.0重量%含み、
前記組成物はリン酸塩を実質的に含まない、投与。
【請求項12】
前記容器が、箔パウチ、プラスチックパウチ、投与ボール及びこれらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の投与。
【請求項13】
前記容器が、ポリビニルアルコールを含むプラスチックパウチである、請求項11又は12に記載の投与。
【請求項14】
前記プラスチックパウチが水分散性である、請求項11、12又は13のいずれか一項に記載の投与。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−519979(P2011−519979A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503137(P2011−503137)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/039115
【国際公開番号】WO2009/146069
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】