説明

布帛の製造方法および布帛および繊維製品

【課題】超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛の製造方法および布帛および繊維製品を提供する。
【解決手段】易溶解ポリマーからなる海成分と難溶解ポリマーからなる島成分とで形成され、かつその単繊維横断面において島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維に仮撚捲縮加工を施したのち、該仮撚捲縮加工糸条を用いて布帛を得て、前記海島型複合繊維糸条の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去して布帛を得た後、必要に応じてインナーウエアーやスポーツウエアーなどの繊維製品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海成分と、その径が10〜1000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維を用いた布帛の製造方法、および該製造方法により製造された布帛、および該布帛を用いてなる繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料用途、インナー衣料、特にスポーツ衣料などの用途では、機能性の要求に加えて軽量性、コンパクト性、肌触りや着用時の快適性などが求められており、ナノファイバーと称せられる超極細繊維が提案されている。例えば、ポリエステルなどの合成繊維を超極細繊維化することにより、これまでの繊維では得ることのできなかった質感や機能を付与することが可能となり、さかんに開発が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0003】
ナノファイバーを用いたフィラメント糸は、ナノオーダーの繊維径である単繊維が数百〜数万本単位で糸状を構成することとなり、そのため繊維表面積は、通常の繊維と比較して飛躍的に大きくなる。その結果、これまでの繊維では得られなかったような独特のピーチタッチや吸水力、摩擦力を発現するが、そのまま編地などの布帛に成形した場合は、繊維同士の摩擦力が大きく、編地の特徴である伸縮性に欠けたり、ナノファイバー独特の風合いが損なわれるなどして、その結果衣料としての使用が制限されるという問題があった。
【0004】
なお、本出願人は特願2006−258485号において、海島型複合繊維からなる仮撚捲縮加工糸を提案し、また、特願2007−186879号において、ナノファイバーと弾性糸とを用いた編地を提案している。
【0005】
【特許文献1】特開2003−41432号公報
【特許文献2】特開2004−162244号公報
【特許文献3】特開2005−23466号公報
【特許文献4】特開2007−2364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛の製造方法および布帛および繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、海成分と、その径が10〜1000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維に仮撚捲縮加工を施して仮撚捲縮加工糸条を得た後、該仮撚捲縮加工糸条を用いて布帛を得て、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、超極細繊維特有の風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「易溶解ポリマーからなる海成分と難溶解ポリマーからなる島成分とで形成され、かつその単繊維横断面において島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維に仮撚捲縮加工を施すことにより仮撚捲縮加工糸条を得て、該仮撚捲縮加工糸条を用いて布帛を得た後、前記海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することを特徴とする布帛の製造方法。」が提供される。
【0009】
その際、前記の海島型複合繊維の単繊維横断面において島数が100以上であることが好ましい。また、溶融成形時の海成分を構成する易溶解ポリマーの溶融粘度が、島成分を構成する難溶解ポリマーの溶融粘度よりも高いことが好ましい。かかる海成分を構成する易溶解ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングリコール系化合物共重合ポリエステル、およびポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルから選択される少なくとも1種のアルカリ水溶液易溶解性ポリマーであり、島成分を構成するポリマーに対する海成分を構成するポリマーの減量速度比が200倍以上であることが好ましい。特に、海成分を構成する易溶解ポリマーが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を6〜12モル%および分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合したポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。一方、島成分を構成する難溶解ポリマーがポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の布帛の製造方法において、海島型複合繊維の総繊維繊度が30〜170dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記仮撚捲縮加工がピン仮撚方式によるものであることが好ましい。また、布帛を得る際に、前記仮撚捲縮加工糸条以外の他の繊維として、単繊維径が1000nmより大の弾性糸を用いることが好ましい。また、前記の布帛が織物組織または編物組織を有することが好ましい。また、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去した後、布帛にバッフィング処理を施すことが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、前記の製造方法により製造された布帛が提供される。かかる布帛において、布帛のタテ方向またはヨコ方向の伸長回復性が70%以上であることが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛の製造方法および布帛および繊維製品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の布帛の製造方法において使用される海島型複合繊維は、溶解性の異なる2種類のポリマーからなり、単繊維横断面において易溶解ポリマー(海成分ポリマーと称することもある。)を海成分、難溶解ポリマー(島成分ポリマーと称することもある。)を島成分として複合化され、かつ島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維である。
【0015】
ここで、海成分と島成分の重量比率(海:島)が40:60〜10:90の範囲内であることが好ましい。該重量比率をかかる範囲内とすることにより、超極細繊維特有の風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛を得ることができる。海成分の割合が40重量%よりも大であると、海成分溶解に必要な溶剤の量が多くなり、安全性や環境負荷、そしてコストの面で問題が発生するおそれがある。また、海成分溶解前の仮撚捲縮加工糸の捲縮率を高くしても、多量の海成分を溶解するために、溶解後に得られる超極細繊維からなる仮撚捲縮加工糸の捲縮率が小さくなり、十分な布帛の伸縮性が得られないおそれがある。逆に、海成分の割合が10重量%未満の場合は、島同士が膠着し、ソフト感、スウェード感が乏しくなる。より好ましい海成分と島成分の重量比率(海:島)は40:60〜20:80である。
【0016】
前記海島型複合繊維の単繊維横断面において、外周の最も近くに配された島成分と外周まで距離(S)と繊維径(R)との比(S/R×100)が好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.8以下である。ここで(S/R×100)が1未満である場合には、単繊維が融着して風合いの硬い仮撚捲縮加工糸条となり、布帛のソフト感が失われるおそれがある。
【0017】
また、前記海島型複合繊維の単繊維横断面において、島数が100以上であることが特に好ましい。島数が多いほど海成分を溶解除去して超極細繊維を製造する場合の生産性が高くなり、しかも得られる超極細繊維の細さも顕著となって超極細繊維特有の柔らかさ、光沢感などを表現することができる。ここで、島数100未満の場合は、海成分を溶解除去しても繊維径の小さい超極細繊維が得られ難くなる。また、島数が多くなりすぎると紡糸口金の製造コストが高くなるだけではなく、加工精度自体も低下しやすくなるので1000以下とするのが好ましい。
【0018】
また、前記海島型複合繊維の単繊維横断面において、島径が10〜1000nm(好ましくは150〜900nm)であることが肝要である。島径が10nm未満の場合には繊維構造が不安定で物性や繊維形態が不安定で好ましくなく、一方、1000nmを超える場合には極細繊維特有の柔らかさ、光沢感などが得られず好ましくない。なお、島成分の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を島径とする。なお、かかる島径は、透過型電子顕微鏡で単繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。 前記の海島型複合繊維を構成するポリマーの組み合わせは、以下の2点を満たしていることが特に望ましい。2点とは、(1)溶融紡糸時における海成分ポリマーの溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きく、(2)島成分ポリマーの溶解速度に対する海成分ポリマーの溶解速度が200倍以上であることである。
【0019】
溶融紡糸時における海成分ポリマーの溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことにより、海島断面形成性が良好となる。この条件を満たしていれば、海成分の複合重量比率が50%以下になっても、島同士が大部分膠着して海島繊維と異なる繊維となることはない。島同士が膠着すると、海成分を溶解除去した際に極細繊維だけではなく異形繊維まで作成されることとなり、染め斑やピリングなど品位に問題が生じやすくなる。特に好ましい溶融粘度比(海/島)は1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1未満の場合には溶融紡糸時に島成分が膠着しやすくなり、一方2.0を超える場合には粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
【0020】
また、島成分ポリマーに対する海成分ポリマーの溶解速度の比が200倍以上であることにより、島分離性が良好となる。上記溶解速度の比が200倍未満の場合には、繊維断面中央部の海成分ポリマーを溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が、繊維径が小さいためにさらに溶解され、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や溶剤侵食による強度劣化が発生して、毛羽や染め斑が起こるなどの問題が生じやすい。
【0021】
海成分ポリマーは上記の2点を満たしていればいかなるものであってもよいが、特に繊維形成性の良いポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などを言う。また、ナイロン6はギ酸に溶解し、ポリスチレンはトルエンなど有機溶剤に溶解するので、これらでもよい。
【0022】
ポリエステル系のポリマーのなかでは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が6モル%以下であると島成分ポリマーに対する海成分ポリマーの溶解速度の比が200倍未満となり、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が、繊維径が小さいためにさらに溶解され、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や溶剤侵食による強度劣化が発生して、毛羽や染め斑が起こるなどの問題が生じる。一方12モル%以上であると、固有粘度が低下し、紡糸性が悪くなるので好ましくない。また、PEG共重合量が3重量%以下であると島成分ポリマーに対する海成分ポリマーの溶解速度の比が200倍未満となるので、よくない。10重量%以上であると、溶融粘度低下作用があるので、好ましくない。以上のことから上記の範囲が適切であると考えられる。分子量は大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じる可能性があるので、上記の範囲が好ましい。
【0023】
島成分ポリマーは上記の2点を満たしていれば、いかなる繊維形成性ポリマーであってもよく、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどいずれのポリマーでも良い。なかでも、衣料用途ではポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66が好ましい。特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。一方、産業資材や医療用途では、水や酸、アルカリに強いポリスチレンやポリエチレンなどが耐久性の点で好ましい。さらに島成分は丸断面に限らず、異形断面であってもよい。
【0024】
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島型断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。好ましく用いられる紡糸口金例を図1および2に示す。複合繊維横断面において外周の最も近くに配された島成分と外周まで距離(S)と繊維径(R)との比(S/R×100)を1.0以下とすることが特に望ましく、これを達成できる紡糸口金を用いる。なお、図1は中空ピンを海成分樹脂貯め部分に吐出してそれを合流圧縮する方式であり、図2は微細孔方式で島を形成する方法である。ここで、最外列の島成分分配用導入孔から外周までの距離7を上記(S/R×100)が1.0以下となる距離に設計することにより、容易に達成することができる。
【0025】
溶融吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、巻き取られる。この巻取り速度としては、1000〜5000m/minであることが望ましい。巻取り速度が1000m/min未満では生産性が悪く、一方5000m/minを超えると紡糸安定性が悪くなる傾向にある。
【0026】
得られた未延伸糸を仮撚捲縮加工の前に延伸する場合は、未延伸糸を一旦巻取り後別途延伸を行うか、もしくは未延伸糸を引取り連続して延伸を行うなどいずれの方法を採用してもかまわない。未延伸糸を延伸同時仮撚り加工して仮撚捲縮加工糸としても良い。また、仮撚捲縮加工前の海島型複合繊維糸条において、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊30〜170dtexの範囲内であることが好ましい。なお、延伸温度は60〜150℃、延伸倍率は1.1〜7倍で適宜行うことができる。
【0027】
仮撚捲縮加工は海成分ポリマーのガラス転移温度よりも70〜130℃、好ましくは90〜120℃高い温度で行うことが好ましい。これにより後記のような捲縮率を有する仮撚捲縮加工糸が得られる。特に、仮撚加工を70℃よりも低い温度で行うと捲縮率が10%以下と低い値を示し、仮撚り加工糸特有の嵩だか性が乏しくなる。また、130℃以上高い温度で行うと単繊維が融着して風合いの硬い仮撚捲縮加工糸となる。
【0028】
この際、仮撚装置としては、ピン仮撚方式、クロスベルト式、ディスク式などがあるがいずれを用いても良いがピン仮撚方式が好ましい。仮撚捲縮加工温度以外の加工条件は特に限定するものではないが、例えば、仮撚捲縮加工は未延伸糸または延伸糸を送糸しながら、下記の計算式より算出した回転数Rで高速回転する仮撚りスピンドル(仮撚ピン)により加撚し、上記温度としたヒーターで熱固定し、その後解撚して、巻き取る方法を採用することができる。
R=60×30600/{仮撚り加工糸繊度(dtex)}1/2
【0029】
かくして得られた仮撚捲縮加工糸条において、仮撚捲縮加工糸の全捲縮率TCが10〜25%(より好ましくは10〜20)であることが好ましい。全捲縮率TCが10%未満では、最終的に得られる布帛において、十分なソフト感や伸縮性が得られないおそれがある。逆に、全捲縮率TCが25%を超えると品質が低下し、取扱い性が悪くなるおそれがある。
【0030】
また、かかる仮撚捲縮加工糸条において、沸水収縮率FSが4〜20%(より好ましくは5〜15%)であることが好ましい。沸水収縮率FSが4%未満では、風合いが硬くなりやすく、一方、20%を超えると収縮が大きくなり布帛などとしたときソフトな風合いが得られないおそれがある。さらに、かかる仮撚捲縮加工糸条において、破断強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましい。これ以下では品質が十分でなく実用面で問題が発生するおそれがある。また、破断伸度が15〜100%であることが好ましい。15%未満では風合いが硬くなり、後工程で毛羽や断糸が発生しやすくなり取扱い性が低下し、逆に、100%を超えると品質安定性が低下し十分な強度も得られなくなるおそれがある。
【0031】
本発明の布帛の製造方法において、前記の仮撚捲縮加工糸を用いて布帛を得る。その際、前記仮撚捲縮加工糸条以外の他の繊維として、単繊維径が1000nmより大の弾性糸を用いると、最終的に得られる布帛の伸縮性がさらに向上し好ましい。かかる弾性糸は特に限定されないが、ポリウレタン系弾性繊維糸やポリエステル系、ポリアミド系、ポリトリメチレンテレフタレート系、合成ゴム系、天然ゴム系など挙げられる。
【0032】
前記弾性糸の総繊維繊度は5〜100dtexの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜40dtexである。弾性糸の総繊維繊度がこれらの範囲より大きいと、伸縮性が大きすぎて、編地の風合いを阻害したり、編地の外観に現れることで編地品位を悪くするため好ましくない。また、これらの範囲より小さいと、糸の摩擦力により伸縮性が損なわれ、伸縮回復力に欠けたり、編地の耐久性が失われたりするため、好ましくない。また、前記弾性糸の破断伸度は400%以上のものが好ましく、染色加工時の熱処理によって性能を損なわないものが好ましい。
【0033】
また、布帛は織物組織または編物組織を有することが好ましく、これらの織物や編物は常法により容易に製編織することができる。ここで、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。また、編物組織としては、緯編物(丸編物)であっても良いし、経編物であってもよい。緯編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示されるがこれらに限定されない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
なお、かかる布帛には前記の仮撚捲縮加工糸条や弾性糸以外にポリエステル糸条などが含まれていてもよい。
【0034】
次いで、該布帛にアルカリ水溶液処理を施し、前記仮撚捲縮加工糸条を形成する海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、前記仮撚捲縮加工糸条を単繊維径が10〜1000nmの超極細仮撚捲縮加工糸条とする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度3〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜65℃の温度で処理するとよい。
【0035】
次いで、通常のポリエステル染色工程を経て、乾燥、仕上げセットを施す。この場合、布帛が編物である場合、編物のテンションに留意しながら、仕上げ密度を上げるようにセットすると、ストレッチ性、風合いの優れた編物となる。さらには、編物の密度としては50〜150コース/2.54cm、40〜120ウエール/2.54cmの範囲内であることが好ましい。
【0036】
なお、常法の起毛加工、撥水加工、柔軟加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。特に、布帛にバッフィング処理を施すと超極細繊維特有の風合いがさらに向上し好ましい。
【0037】
かくして得られた布帛には超極細繊維からなる仮撚捲縮加工糸条が含まれるので、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく、布帛の伸縮性、かつ肌との密着性に優れる。ここで、該布帛の表面摩擦係数としては1.5以上、伸縮回復性としては経緯ともに70%以上(好ましくは80〜120%)であることが好ましい。また、布帛の目付けとしては、300g/m以下(より好ましくは200g/m以下、特に好ましくは70〜150g/m)であると、肌着(インナーウエアー)やスポーツウエアーなどとして使用の際に肌と布帛との密着性がよくなり好ましい。
【0038】
次に、本発明の繊維製品は、前記の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。特にスポーウエアー、またはインナーウエアーが好ましい。かかる繊維製品には前記の布帛が含まれるので、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく、布帛の伸縮性、肌との密着性を呈する。
【実施例】
【0039】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
【0040】
<溶融粘度>乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
【0041】
<溶解速度>海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した
【0042】
<平均伸長回復率>
自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、初荷重196.1mN(20gf)を加えてつかみ間隔を10cm、引張速度を30cm/minで14.7N(1.5kgf)定荷重まで引き伸ばした後、1分間放置する。次に同速度でもとに位置に戻す。3分間放置後、スケールで残留伸び(0.01cmまで)を測定した。
この操作を同一試験布でタテ方向、ヨコ方向ともに5回繰り返し、描かれた荷重―伸長曲線からつぎの式で伸長回復率(%)の平均値を算出し、小数点一桁に丸めた。
E(%)=((L−L1)/L)×100
ここでE:伸長回復率、L=一定伸び(mm)、L1=残留伸び(mm)
【0043】
<摩擦係数>
底面積5×8cm、高さ3cm、重量98cN(100gr)の木製ヘッドに試料を取り付けたのち、シリコンゴムを敷いた平滑台にヘッドを乗せ、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用いて移動速度100mm/minにてヘッドを移動させ、移動距離10mm〜150mmの平均値を計測し、100で割った数値を算出した。
【0044】
<加工性>
染色加工工程後の生地を試験者3人が目視判定して、3級:生地には皺がなく満足な品位である、2級:普通、1級:生地に皺が多く不満足な品位である、の3段階に評価した。
【0045】
<風合い>
編地表面の風合いを試験者3人が官能評価し、3級:超極細繊維(ナノファイバー)特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈する、2級:普通、1級:超極細繊維特有の風合いを呈さない、の3段階に評価した。
【0046】
<単繊維径>
編地を電子顕微鏡で写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
【0047】
<破断強度、破断伸度>
JISL 1013により破断強度(cN/dtex)、破断伸度(%)を測定した。
【0048】
<全捲縮率TC(%)>
仮撚捲縮加工糸に0.044cN/dtex(50mg/デニール)の張力を掛けて約3300dtexのカセをカセ枠に巻き取る。カセの一端に0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL0(cm)を測定する。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重をはずした状態で、100℃の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後、0.00177cN/dtex(2mg/デニール)の荷重をはずし、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に再び0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を取りはずし、1分間経過後の長さL2を測定し、次の算式捲縮率を算出した。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
捲縮率TC(%)={(L1−L2)/L0}×100
【0049】
<沸水収縮率FS(%)>
仮撚捲縮加工糸に0.044cN/dtex(50mg/デニール)の張力を掛けて約3300dtexのカセをカセ枠に巻き取る。カセの一端に0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL0(cm)を測定する。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重をはずした状態で、100℃の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後、0.00177cN/dtex(2mg/デニール)の荷重をはずし、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に再び0.00177cN/dtex+0.177cN/dtex(2mg/デニール+200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定し、次の算式捲縮率を算出した。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
沸水収縮率FS(%)={(L0−L1)/L0}×100
【0050】
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。次いで、公知のピン仮撚機を用いて、糸速120m/分、仮撚数4200T/m、ヒーター温度150℃にて仮撚捲縮加工を行い、全捲縮率TCが15%、沸水収縮率FSが8%、破断強度が2.8cN/dtex、破断伸度26%の仮撚捲縮加工糸条を得た。
【0051】
次いで、該仮撚捲縮加工糸条とポリウレタンモノフィラメント弾性糸(オペロンテックス(株)製、総繊度22dtex/1fill、単繊維径60μm、破断伸度21% )を用いて46G、30インチの丸編機(福原精機(株)製VXC−3S)とを引きそろえてベア天竺組織の丸編地を編成した。その際、ポリウレタンモノフィラメント弾性糸は2.0倍でドラフトしながら編成した。得られた編地を90℃にて湿熱処理した後、プレセットとして180℃で乾熱セットを行い、その後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、3%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
【0052】
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、かつ、仮撚捲縮加工糸条(単繊維径700nm)が均一に開繊されていることを確認した。
得られた編地において目付けは140g/m、120コース/2.54cm、74ウエール/2.54cm、平均伸長回復率89.6%、摩擦係数が2.1と、伸長回復性および密着性に優れたものであった。また、生地は柔らかく、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するものであった(3級)。また、生地には皺がなく満足な品位であった(3級)。
【0053】
かかる編地を用いてTシャツ(スポーツウエアー)を縫製し、着用したところ、皮膚密着性に優れ、ナノファイバー独特のピーチタッチ調のしっとりとした風合いを持ち、非常に着用快適性に優れていた。また、一般の洗濯機を用いて洗濯、脱水、タンブラー乾燥を行ったところ、形態が崩れることはなく、風合いにも優れていた。
【0054】
[実施例2]
実施例1で得られた編地を同様に染色加工したのち、編地表面を#400のサンドペーパーでバフイングを行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
得られた編地において、生地物性は実施例1と同様であったが、摩擦係数は3.4と特に優れた(大きい)ものであった。また、生地表面はピーチ状で柔らかく、皺や筋がなく満足な品位であった(3級)。また、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するものであった(3級)。
【0055】
かかる編地を用いてスパッツを縫製し、着用したところ、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを有しており、伸縮性、皮膚追従性が良く、非常に着用快適性に優れていた。また、一般の洗濯機を用いて洗濯、脱水、タンブラー乾燥を行ったところ、形態が崩れることはなく、風合いにも優れていた。
【0056】
また、前記編地を用いてゴルフグローブを作成し、着用したところ、ナノファイバー独特の柔らかくヌメリ感のある風合いを有しており、グリップとの密着性が良く、ゴルフクラブをスイング時にグリップとの一体感があり、手の滑りも無いため、非常に機能性に優れていた。また、一般の洗濯機を用いて洗濯、脱水、タンブラー乾燥を行ったところ、形態が崩れることはなく、風合いにも優れていた。
【0057】
[実施例3]
実施例1で得られた仮撚捲縮加工糸条のみを使用して46G、30インチの丸編機(福原精機(株)製VXC−3S)を使用して天竺組織の丸編地を編成した。得られた編地を90℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、3%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃かつ30分間の高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セット行った。
【0058】
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、かつ、仮撚捲縮加工糸条(単繊維径700nm)が均一に開繊されていることを確認した。
得られた編地において目付けは57g/m、60コース/2.54cm、114ウエール/2.54cm、平均伸長回復率73.4%、摩擦係数が1.8と、伸長回復性および密着性に優れたものであった。また、生地は柔らかく、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するものであった(3級)。また、生地には皺がなく満足な品位であった(3級)。
【0059】
かかる編地を用いてTシャツ(スポーツウエアー)を縫製し、着用したところ、皮膚密着性に優れ、超極細繊維独特のピーチタッチ調のしっとりとした風合いを持ち、非常に着用快適性に優れていた。また、一般の洗濯機を用いて洗濯、脱水、タンブラー乾燥を行ったところ、形態が崩れることはなく、風合いにも優れていた。
【0060】
[比較例1]
実施例1と同じ海島型複合繊維を使用して得られた海島型複合延伸糸56dtex/10filに仮撚捲縮加工を施さず、該延伸糸のみを用いて編地を編成すること以外は実施例1と同様にした。
得られた編地において、目付け量62g/m、64コース/2.54cm、110ウエール/2.54cm、平均伸長回復率52.0%と伸長回復性に劣るものであった。特にヨコ方向の寸法が安定せず、生地表面に皺や筋などを引き起こし、十分な品位は得られなかった(1級)。
【0061】
[比較例2]
ポリエステルフィラメント糸(帝人ファイバー(株)製、総繊度35dtex/72fil、非捲縮)とポリウレタンモノフィラメント糸(旭化成せんい(株)製、総繊度33dtex/1fil)を使用し実施例1と同様に丸編地を作成した。
得られた編地において、目付け量123g/m、121コース/2.54cm、71ウエール/2.54cm、タテ方向の伸長回復率は95%、ヨコ向の伸長回復率は89%と伸長回復性は優れていたが、摩擦係数は0.3と低く、密着性、風合いともに満足のいく品位は得られなかった(1級)。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、超極細繊維特有の柔らかくヌメリ感のある風合いを呈するだけでなく伸縮性をも有する布帛の製造方法および布帛および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明において、海島型複合繊維を紡糸するために用いる紡糸口金の一例である。
【図2】本発明において、海島型複合繊維を紡糸するために用いる紡糸口金の他の例である。
【符号の説明】
【0064】
1:分配前島成分ポリマー溜め部分
2:島成分分配用導入孔
3:海成分導入孔
4:分配前海成分ポリマー溜め部分
5:個別海/島=鞘/芯構造形成部
6:海島全体合流絞り部
7:最外列の島成分分配用導入孔から外周までの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易溶解ポリマーからなる海成分と難溶解ポリマーからなる島成分とで形成され、かつその単繊維横断面において島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維に仮撚捲縮加工を施すことにより仮撚捲縮加工糸条を得て、該仮撚捲縮加工糸条を用いて布帛を得た後、前記海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することを特徴とする布帛の製造方法。
【請求項2】
前記の海島型複合繊維の単繊維横断面においてにおいて島数が100以上である、請求項1に記載の布帛の製造方法。
【請求項3】
溶融成形時において海成分を構成する易溶解ポリマーの溶融粘度が、島成分を構成する難溶解ポリマーの溶融粘度よりも高い、請求項1または請求項2に記載の布帛の製造方法。
【請求項4】
海成分を構成する易溶解ポリマーが、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド
縮合系ポリマー、ポリエチレングリコール系化合物共重合ポリエステル、およびポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルから
選択される少なくとも1種のアルカリ水溶液易溶解性ポリマーであり、島成分を構成する
ポリマーに対する海成分を構成するポリマーの減量速度比が200倍以上である、請求項3に記載の布帛の製造方法。
【請求項5】
海成分を構成する易溶解ポリマーが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を6〜12モ
ル%および分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重
合したポリエチレンテレフタレートである、請求項4記載に記載の布帛の製造方法。
【請求項6】
島成分を構成する難溶解ポリマーがポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜5のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項7】
前記海島型複合繊維の総繊維繊度が30〜170dtexの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項8】
前記仮撚捲縮加工がピン仮撚方式によるものである、請求項1〜7のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項9】
布帛を得る際に、前記仮撚捲縮加工糸条以外の他の繊維として、単繊維径が1000nmより大の弾性糸を用いる、請求項1〜8のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項10】
前記の布帛が織物組織または編物組織を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項11】
前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去した後、布帛にバッフィング処理を施す、請求項1〜10のいずれかに記載の布帛の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかの製造方法により製造された布帛。
【請求項13】
布帛表面の摩擦係数が1.5以上である、請求項12に記載の布帛。
【請求項14】
布帛のタテ方向またはヨコ方向の伸長回復性が70%以上である、請求項12または請求項13に記載の布帛。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載の布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、水着、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、人工皮革、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、カーテン、カーシート、拭取り用具、美容用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−161883(P2009−161883A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1389(P2008−1389)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】