説明

布帛緊張緩和ユニットおよび布帛緊張緩和装置

【課題】緊張緩和処理により布帛にシワや折傷を生じさせることがなく、処理速度の速い布帛緊張緩和ユニットおよび布帛緊張緩和装置が望まれている。
【解決手段】布帛緊張緩和ユニット1は、温湯Wを貯留する温湯槽4と、温湯槽4の温湯W内で回転して長尺の布帛Sをドラム外周面で搬送する浸漬ドラム5と、浸漬ドラム5からの布帛Sを搬送する搬出ロール31,31と、浸漬ドラム5により搬送されている布帛Wに振動を与える振動付与手段34と、浸漬ドラム5のドラム外周面の周速度を搬出ロール31,31の布帛搬送速度よりも速くする制御装置33とを備えている。浸漬ドラム5はドラム外周面に多数の通水孔を有しており、浸漬ドラム5内に凹凸ドラム6が配備されている。この布帛緊張緩和ユニット1を複数基直列に連結して、布帛緊張緩和装置が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば織物、編み物、または不織布などの布帛の緊張を緩和して布質を改善する布帛緊張緩和ユニット、および該ユニットを用いた布帛緊張緩和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、織物や編み物は織成・編成により一定のストレス(張力)をかけた状態で得られる。このようにストレスを有する布帛はそのままでは風合いが良くなかったり、その布帛で縫製した衣類は洗濯後に大きく型崩れしたりすることがある。そして、布帛は温湯に浸すと収縮しようとする性質があり、更には温湯浸漬前や浸漬中に物理的な刺激(例えば、叩きやブラッシングなど)を与えると収縮がいっそう促進することが知られている。
そこで、布帛に物理的な刺激を与えるとともに布帛を無緊張状態にして温湯中に浸漬することにより収縮弛緩させ、繊維間に空隙を作って3次元的に好ましい繊維特性を発現させるという、緊張緩和処理またはリラックス処理がなされている。従来、このような緊張緩和処理を行なう布帛緊張緩和装置として種々のものが提供されており、これらはいずれも温湯中で布帛を無緊張状態にして緊張緩和効果を発揮させるようになっている。
【0003】
そのうち、下記の特許文献1に記載された布帛緊張緩和装置を図7に示す。図示の布帛緊張緩和装置71では、高温の蒸気が充填された蒸気室73と、精練液としての温湯Wが収容された温湯槽72と、布帛Sを搬入する搬入ロール74と、布帛Cを挟圧して搬送する1対の挟みロール75,75と、布帛Sを叩く叩きロール76と、温湯槽72の温湯W内でコンベアロール77,77間に架け回された無端ベルト78と、無端ベルト78上の布帛Sに温湯Wを噴射するノズル81,81,81,・・・と、無端ベルト78上の布帛Sを蒸気室73から搬出する搬出ロール79,80とを備えている。
この布帛緊張緩和装置71において、搬入ロール74により蒸気室73内に搬入された布帛Sは、1対の送りロール75,75により挟圧搬送される際にほぐされる。続いて、布帛Sは叩きロール76により叩かれて上下折り返しの波状にされ無端ベルト78の上面に並べられる。無端ベルト78上で無緊張状態にある布帛Sはノズル81,81,81,・・・から噴射された温湯により更に揉みほぐされて収縮が促進されたのち、搬出ロール79,80により搬出されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−197371号公報(段落[0016]、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の布帛緊張緩和装置71は、布帛Sをほぐす送りロール75,75および叩きロール76と、布帛Sを無緊張状態で搬送する無端ベルト78とが比較的離れている。また、布帛Sは無緊張状態を長く続けないと緊張緩和効果を上げられないため、無端ベルト78の搬送長は比較的長くされている。これらにより、布帛緊張緩和装置71は大型化せざるを得ない。また、無緊張状態にされた波状の布帛Sは単に無端ベルト78上に載置されているだけなので上下や幅方向にたやすく移動できることから、布帛幅方向に片寄りしたりして、処理後の製品布帛にシワや折傷などの外傷が発生することがある。そして、この布帛緊張緩和装置71において布帛搬送速度すなわち緊張緩和処理速度を速めると、無緊張状態で移動が自由な布帛Sにもつれを生じさせるおそれがあるので、緊張緩和処理の高速化は困難である。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、緊張緩和処理により布帛にシワや折傷を生じさせることがなく、処理速度の速い布帛緊張緩和ユニットおよび布帛緊張緩和装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る布帛緊張緩和ユニットは、温湯を貯留する温湯槽と、温湯槽の温湯内で回転して長尺の布帛をドラム外周面で搬送する浸漬ドラムと、浸漬ドラムからの布帛を搬送する搬出ロールと、浸漬ドラムにより搬送されている布帛に振動を与える振動付与手段と、浸漬ドラムのドラム外周面の周速度を搬出ロールの布帛搬送速度よりも速くする速度制御手段とを具備して成っている。
【0008】
また、前記構成において、浸漬ドラムが、ドラム外周面に多数の通水孔を有する通水円筒体で構成され、振動付与手段が、通水円筒体と、通水円筒体よりも高速で回転するように通水円筒体内に配備されるとともに凹部と凸部が周方向に繰り返し形成された凹凸周壁を有する凹凸ドラムとを備えて成り、回転する通水円筒体のドラム外周面に巻き付けられながら搬送される布帛を、通水円筒体に対する凹凸ドラムの相対回転により通水円筒体の通水孔から出し入れされる温湯によって振動させるように構成されているものである。
【0009】
そして、本発明に係る布帛緊張緩和装置は、請求項1または請求項2に記載の布帛緊張緩和ユニットを複数基直列に連結して成り、前記直列の布帛緊張緩和ユニットで順に長尺の布帛に緊張緩和処理を施すものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る布帛緊張緩和ユニットによれば、温湯内の浸漬ドラムで搬送されている布帛に振動付与手段が振動を与えて繊維をほぐし、浸漬ドラムの周速度が搬出ロールの布帛搬送速度よりも速いことによる浸漬ドラムと搬出ロール間の張力低下によって、布帛を、無緊張状態ではないが無緊張状態に近い状態にすることができる。これにより、布帛に緊張緩和処理が施される。このとき、搬送中の布帛は極めて弱い張力で引っ張られて、波状ではなく、直線状に延びた状態で搬送される。その結果、布帛は幅方向の移動が規制されるので、布帛が幅方向に片寄りすることがなく、シワや折傷の発生を防止することができる。一方、緊張緩和処理速度を速くする場合は、搬出ロールの布帛搬送速度の変更に追随させて浸漬ドラムの周速を速くするだけで対処することができる。
【0011】
また、浸漬ドラムとして通水円筒体を利用して振動付与手段を構成したものでは、布帛の緊張を緩和させる領域の直前部分および緊張を緩和させる領域の初め部分といった近い位置で布帛を振動させるので、布帛を確実に振動させてほぐすことができる。従って、緊張緩和効果をよりいっそう促進できる。また、浸漬ドラムに対する凹凸ドラムの回動数は変更できるから、布帛の振動数を容易に変更することができる。
【0012】
そして、本発明に係る布帛緊張緩和装置によれば、直列に連結した複数基の布帛緊張緩和ユニットで順に長尺の布帛に緊張緩和処理を施すので、個々の布帛緊張緩和ユニットで処理能力を分担して緊張緩和処理を行なうことができる。従って、全体として処理能力の高い布帛緊張緩和装置が提供される。尚、布帛搬送速度を大きくすると個々の布帛緊張緩和ユニットの緊張緩和処理能力が低下することは避けられないが、布帛搬送速度を大きくすることにより低下する緊張緩和処理能力に見合った基数の布帛緊張緩和ユニットを直列に増設することにより対処することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係る布帛緊張緩和ユニットの一部側断面を含む側面構成図、図2は前記布帛緊張緩和ユニットの正断面図、図3は前記布帛緊張緩和ユニットの駆動部を示す部分正断面図である。
各図において、この実施形態に係る布帛緊張緩和ユニット1は、支柱19,19間の基台2上に構築された本体フレーム3と、本体フレーム3に設置された温湯槽4と、温湯槽4の温湯W内に配置されて温湯槽4に対し回動自在に枢支された円筒状の浸漬ドラム5と、浸漬ドラム5内に収容されて浸漬ドラム5と独立に同軸心で同方向に回転する凹凸ドラム6とを備えている。温湯Wの温度は布帛により適温が異なるが、概ね50〜95℃である。
【0014】
搬入側の支柱19には、布帛Sを搬入する搬入ロール20,20が配備されている。搬入ロール20,20はモータ21により回転駆動される。搬出側の支柱19には、ガイドロール30と、布帛Sを挟持して搬送する1対の搬出ロール31,31が配備されている。搬出ロール31,31はモータ32により回転駆動される。温湯槽4上方位置の本体フレーム3にはガイドロール27とガイドロール28が回動自在に枢支されている。支柱19,19の上端間に架設された横桟22には、支軸23回りに上下揺動する揺動アーム24が枢支されている。揺動アーム24の先端にはダンサーロール25が回動自在に枢支されている。揺動アーム24の例えば水平方向からの揺動角度は角度検出器26により検出される。揺動アーム24はバネ材(図示省略)により常に水平方向に戻るように弾性付勢されている。そして、布帛Sが浸漬ドラム5に引かれて張力が所定よりも高くなると、揺動アーム24が水平から下向きに揺動して張力を緩和する。このときに角度検出器26により検出された揺動角度に応じて搬入ロール20,20の布帛搬入速度が調整されることにより、揺動アーム24が水平に戻るようになっている。
【0015】
上記の凹凸ドラム6は、温湯Wが満たされた温湯槽4内で水平軸心回りに回転駆動されるようになっており、凹部6Aと凸部6Bが周方向に繰り返し形成された凹凸周壁8を有している。上記の浸漬ドラム5は、そのドラム外周面5Aに多数の通水孔35,35,35,・・・を有する通水円筒体36として構成されている。そして、温湯槽4の両側の側壁4A,4Aの外側にはブラケット37,37を介して軸受38,38が取り付けられている。凹凸ドラム6はその回転軸7の両端が軸受38,38に回動自在に枢支されている。回転軸7の一端部にはプーリ15が固着され、このプーリ15は無端のベルト16を介してモータ18の駆動軸のプーリ17と連結されている。また、温湯槽4の両側の側壁4A,4Aには、内方に向けて突出した周フランジ部39,40が固設されている。浸漬ドラム5の一端部には全周にわたる歯車12がドラム補強を兼ねて固設されている。この歯車12にはリング状の摺動リング29がボルト止めされている。摺動リング29はその内周端面が周フランジ部39の外周凹溝43に嵌め込まれた状態で、周フランジ部39に対し周方向に摺動自在となっている。一方、浸漬ドラム5の他端部に固設された摺動リング41は周フランジ部40の外周面に周方向摺動自在に支持されている。そして、回転軸7の両側には、温湯槽4の両側の側壁4A,4Aと回転軸7との間の水漏れを防止するメカニカルシール42,42が装着されている。
【0016】
温湯槽4の側壁4Aの上部には水封シール付きの軸受45が設けられている。この軸受45には、凹凸ドラム6の回転軸7と平行に側壁4Aを貫通して配備された軸44が軸受45に回転自在に軸支されている。側壁4A内における軸44の一端側には浸漬ドラム5の歯車12と噛合する歯車11が固着され、軸44の他端側には歯車10が固着されている。温湯槽4の側壁4Aの上部には、横桟46が横設されている。この横桟46上にはモータ14とギヤボックス58が設置されている。ギヤボックス58には前記の軸44と平行する軸13が回動自在に軸支されている。軸13にはウォームホイール49が固着されている。軸13の温湯槽4側には、前記の歯車10と噛合する歯車9が固設されている。ギヤボックス58内のウォームホイール49下方位置には、軸13と直交する軸47が回転自在に軸支されている。この軸47にウォームホイール49と噛合するウォーム48が固設されている。軸47はカップリング(図示省略)を介してモータ14の駆動軸と連結されている。そして、モータ14,18,21,32は、それぞれのドライバ(図示省略)の出力を制御する制御装置33により駆動制御される。制御装置33は、例えばCPU、メモリ、データバスなどからなるマイクロコンピュータで構成される。
【0017】
上記のように構成された布帛緊張緩和ユニット1の作用を次に説明する。この場合、搬入ロール20,20、ダンサーロール25、ガイドロール27、浸漬ドラム5、ガイドロール28、ガイドロール30、および搬出ロール31,31に、順次、長尺の布帛Sが掛け渡されているものとする。
まず、モータ21,14,18,32が制御装置33の指令信号により回転駆動される。その際、制御装置33は布帛Sの搬送速度が目標搬送速度となるようにモータ32を駆動して搬出ロール31,31の回転速度を制御する。同時に、制御装置33は浸漬ドラム5のドラム外周面5Aの周速が搬出ロール31,31における布帛搬送速度よりも速くなるようにモータ14の出力を制御する。
尚、本発明における搬出ロールの布帛搬送速度は機械構成上可能な速度であれば特に限定されないが、この実施形態における搬出ロール31,31の目標布帛搬送速度は例えば40m/分程度に設定してある。
【0018】
この場合、制御装置33は、ドラム外周面5Aの周速を搬出ロール31の布帛搬送速度の10%分大きくするようにモータ14を駆動制御する。尚、搬出ロール31の布帛搬送速度に対するドラム外周面5Aの周速の増大分は0.5%以上50%以下とするのが好ましい。モータ14から出力された回転駆動力はウォーム48、ウォームホイール49、歯車9、歯車10、歯車11、および歯車12を経て浸漬ドラム5に伝達される。また、制御装置33は、凹凸ドラム6の回転速度が浸漬ドラム5の回転速度よりも高速となるようにモータ18の出力を制御する。モータ18の回転駆動力はプーリ17、ベルト16、およびプーリ15を経て凹凸ドラム6に伝達される。これらにより、布帛Sは搬入ロール20,20からダンサーロール25、ガイドロール27を経て、温湯W中で回転する浸漬ドラム5のドラム外周面5Aに供給される。
【0019】
浸漬ドラム5および凹凸ドラム6において、図4に示すように、凹凸ドラム6の凹凸周壁8の凸部6Bが接近しつつある部分では温湯Wが浸漬ドラム5の通水孔35から外部へ吐出され、凹部6Aが接近しつつある部分では通水孔35から内部へ吸入される。すなわち、凹凸ドラム6の高速回転に伴って、温湯Wは前記のような吐出と吸入とが極めて短い周期で反復されて流動する。そこで、浸漬ドラム5のドラム外周面5Aに巻き付けられながら搬送されている布帛Wは、浸漬ドラム5に対し最大600rpmで相対回転する凹凸ロール6により浸漬ドラム5の通水孔35,35,35,・・・から出し入れされる温湯Wの最大90ヘルツの振動流によって強く振動(布帛Sの振幅10〜20mm程度)し、その繊維が効果的にほぐされる。すなわち、通水円筒体36である浸漬ドラム5と、凹凸ドラム6とからなる構成が、通水円筒体36により搬送されている布帛Wに振動を与える振動付与手段34である。
【0020】
一方で、浸漬ドラム5のドラム外周面5Aの周速は、搬出ロール31,31の布帛搬送速度よりも速いので、浸漬ドラム5から離れる部分から搬出ロール31,31に引き込まれる部分までの布帛Sは、布帛搬送方向の張力が極めて小さな緊張緩和領域SAとなっている。これにより、布帛Sは十分に緊張が緩和されて程よく収縮するのである。この場合、緊張緩和領域SAであっても、布帛Sは浸漬ドラム5と搬出ロール31,31間に架け渡されていて、布帛Sの幅方向の移動が規制され、かつ、布帛Sにかかる張力はゼロでない。すなわち、従来技術のように、布帛が無緊張状態にあってその搬送方向および幅方向に移動自由なために波状に折り畳まるといったことがない。従って、布帛Sが幅方向に片寄りしてシワや折傷を生じるといったことがない。これらにより、布質のよい布帛Sを得ることができる。また、搬出ロール31,31による布帛搬送速度を大きくしたとしても、それ以上に浸漬ドラム5の周速を大きくすればよいので、簡単に布帛搬送速度を変えることが可能であり、ひいては高速で布帛緊張緩和処理を行なうことができる。
【0021】
上記した実施形態の布帛緊張緩和ユニット1を複数基用いることも可能である。例えば、図5および図6に示す布帛緊張緩和装置50は、布帛緊張緩和ユニット1,1,1を3基直列に連結して構成されている。各図中で、左側の布帛緊張緩和ユニット1から右側に向けて布帛Sが搬送されるようになっている。1番目の布帛緊張緩和ユニット1の入側には、搬入ロール51,51、ガイドロール52、およびガイドロール53が配備されている。1番目の布帛緊張緩和ユニット1の搬出ロール31,31は2番目の布帛緊張緩和ユニット1の搬入ロールを兼ねており、2番目の布帛緊張緩和ユニット1の搬出ロール31,31は3番目の布帛緊張緩和ユニット1の搬入ロールを兼ねている。3番目の布帛緊張緩和ユニット1の出側には、ガイドロール54、振落用ロール55、およびガイドロール56が配備されている。
【0022】
個々の布帛緊張緩和ユニット1,1,1はそれぞれに対応して配備された制御装置33,33,33により基本的に制御される。これら制御装置33,33,33の機能は、統合型制御装置57が保有する機能の一部を利用して実現される。そして、統合型制御装置57は各制御装置33単独では制御しきれない共有部分の制御を統合的に実行するようになっている。この布帛緊張緩和装置50の目標布帛搬送速度は最終(3番目)の布帛緊張緩和ユニット1の搬出ロール31,31により制御されるようになっており、布帛緊張緩和ユニット1,1,1各部の制御量の偏差は順次入側の布帛緊張緩和ユニット1に向かってフィードバックされ吸収される。このようにして、布帛Sは直列の布帛緊張緩和ユニット1,1,1で順に緊張緩和処理が施される。
【0023】
この布帛緊張緩和装置50によれば、直列に連結した3基の布帛緊張緩和ユニット1,1,1で順に布帛Sに緊張緩和処理を施すので、個々の布帛緊張緩和ユニット1,1,1で処理能力を分担して緊張緩和処理を行なうことができる。従って、全体として処理能力の高い装置が提供される。そして、布帛Sの種類により収縮時間に差があるが、布帛Sに所定レベルの緊張緩和処理を施すためには、それに応じた基数の布帛緊張緩和ユニット1を直列に連結して用いればよい。
【0024】
尚、上記の実施形態では、ドラム外周面に多数の通水孔を有する浸漬ドラムと、凹凸ドラムとから振動付与手段を構成した例を示したが、本発明はそれに限定されるものでない。それらに替えて、例えば浸漬ドラムのドラム外周面に巻きついている布帛に向けて高圧水を連続または間欠的に噴きつけて布帛を振動させるジェット水流噴射手段を振動付与手段として用いてよい。
あるいは、浸漬ドラムの内部または外部近傍位置に配備されて、ドラム外周面の布帛を振動させる超音波出射手段を振動付与手段としても構わない。
また、上記では、浸漬ドラム5に対し凹凸ドラム6を同方向に回転させた例を示したが、本発明は、浸漬ドラムの回転方向と反対の方向に凹凸ドラムを回転させる布帛緊張緩和ユニットも含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る布帛緊張緩和ユニットの一部側断面を含む側面構成図である。
【図2】前記布帛緊張緩和ユニットの正断面図である。
【図3】前記布帛緊張緩和ユニットの駆動部を示す部分正断面図である。
【図4】前記布帛緊張緩和ユニットの動作を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の別実施形態に係る布帛緊張緩和装置の一部側断面を含む側面構成図である。
【図6】前記布帛緊張緩和装置の平面構成図である。
【図7】従来の布帛緊張緩和装置の一例を示す側面構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1 布帛緊張緩和ユニット
4 温湯槽
5 浸漬ドラム
5A ドラム外周面
6 凹凸ドラム
6A 凹部
6B 凸部
7 回転軸
8 凹凸周壁
14 モータ
18 モータ
31 搬出ロール
32 モータ
33 制御装置(速度制御手段)
34 振動付与手段
35 通水孔
36 通水円筒体
50 布帛緊張緩和装置
57 統合型制御装置
S 布帛
SA 緊張緩和領域
W 温湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温湯を貯留する温湯槽と、温湯槽の温湯内で回転して長尺の布帛をドラム外周面で搬送する浸漬ドラムと、浸漬ドラムからの布帛を搬送する搬出ロールと、浸漬ドラムにより搬送されている布帛に振動を与える振動付与手段と、浸漬ドラムのドラム外周面の周速度を搬出ロールの布帛搬送速度よりも速くする速度制御手段とを具備して成ることを特徴とする布帛緊張緩和ユニット。
【請求項2】
浸漬ドラムが、ドラム外周面に多数の通水孔を有する通水円筒体で構成され、振動付与手段が、通水円筒体と、通水円筒体よりも高速で回転するように通水円筒体内に配備されるとともに凹部と凸部が周方向に繰り返し形成された凹凸周壁を有する凹凸ドラムとを備えて成り、回転する通水円筒体のドラム外周面に巻き付けられながら搬送される布帛を、通水円筒体に対する凹凸ドラムの相対回転により通水円筒体の通水孔から出し入れされる温湯によって振動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の布帛緊張緩和ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の布帛緊張緩和ユニットを複数基直列に連結して成り、前記直列の布帛緊張緩和ユニットで順に長尺の布帛に緊張緩和処理を施すことを特徴とする布帛緊張緩和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−84730(P2009−84730A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254006(P2007−254006)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(591225419)株式会社小松原 (2)
【Fターム(参考)】