説明

布接着装置

【課題】布を切断する場合に、布同士の位置がずれることを防止することが可能な布接着装置を提供する。
【解決手段】第一プーリ25が布を移送する移送ベルト27を回転させる。移送ベルト27は、上移送ローラとの間で布同士を押圧して接着させる。第一プーリ25の回転に伴って第一刃35が回転する。第二刃駆動ユニット70は、第二刃体701を駆動する。第二刃721は、第一刃35に対して接触および離間を繰り返す。第一刃35と第二刃721とは、移送ベルト27と上移送ローラとが布を押圧する位置の右側において、布を切断する。サクションパイプ81は、布を切断した場合に発生する切端を吸引する。第一刃35と第二刃721とが布を切断する位置は、左右方向に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤によって布同士を接着させる布接着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、針や縫糸による縫製を必要とせず、接着剤によって布同士を接着させる布接着装置が提案されている。布同士を接着剤で接着することによって、縫糸による縫製時において布表面に形成されるような縫糸の凹凸を無くし、加工後の布の表面を平滑面とすることが可能となる。これによって肌ざわりのよい布を作製することが可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の接着剤使用の縫製機は、被縫製材の接合部に対し、接着剤をノズルから噴射する。接着剤使用の縫製機は、接着剤を噴射した被縫製材を加圧加熱して接着する。これによって、布同士を接着させることができる。
【0004】
縫製をしながら布を切断する装置が提案されている。例えば、特許文献2に記載の布端切断装置は、固定メスと回転メスとを備えている。布端切断装置は、固定メスと回転メスとを協働させることによって布を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−70807号公報
【特許文献2】特開2007−37650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
布接着装置において、布同士を接着した直後では、布同士の接着の強度が弱い。このため、布同士を接着しながら布を切断しようとした場合、布同士の位置が互いにずれてしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、布を切断する場合に、布同士の位置がずれることを防止することが可能な布接着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係る布接着装置は、対向配置する布の間に位置し、前記布に接着剤を吐き出すノズルと、前記ノズルに対して前記布の移送方向下流側であって前記布を移送するために回転する第一移送手段と、前記第一移送手段に対向し、前記第一移送手段との間で前記布を挟み、前記布を移送するために回転する第二移送手段と、前記布を挟む前記第一移送手段と前記第二移送手段との近傍において、前記布を切断する切断手段とを備えている。第一の態様の布接着装置における切断手段は、第一移送手段と第二移送手段とが対向する布を挟んだ位置の近傍において布を切断する。第一移送手段と第二移送手段とは、布を挟むことによって布を固定している。このため、布接着装置は、布を切断した場合に布同士の位置が互いにずれることを防止できる。
【0009】
請求項2の布接着装置において、前記切断手段は、前記第一移送手段と一体に形成された回転刃である第一刃を備えている。第一刃と第一移送手段との間には隙間がない。よって、切断手段は、第一移送手段と第二移送手段とが布を挟むポイントの近傍で布を切断することができる。
【0010】
請求項3の布接着装置において、前記切断手段は、前記第一刃に対して離間および接触を繰り返し、前記第一刃との間で布を挟み、前記布を切断する刃である第二刃をさらに備えている。布接着装置における切断手段は、第一刃と第二刃とで布を挟むことによって布を確実に切断することができる。
【0011】
請求項4の布接着装置において、前記第一移送手段は、前記第二移送手段との間で前記布を挟み、前記布を移送するベルトと、前記ベルトを駆動する円筒状のプーリとを備え、前記第一刃は、前記ベルトの側面に対向し、前記プーリの外方向に張り出した刃である。布接着装置における第一刃はベルト側面に隣接しているので、切断手段は、ベルトと第二移送手段とが布を挟むポイントの近傍で布を切断することができる。
【0012】
請求項5の布接着装置において、前記第二刃が前記第一刃に対して離間および接触を繰り返すように、前記第二刃を駆動する第二刃駆動手段を備え、前記第二刃と前記第二刃駆動手段とは、前記布接着装置に対して、装着および取り外し可能である。布を切断しない場合には、利用者は、第二刃と第二刃駆動手段とを布接着装置から取り外すことができる。
【0013】
請求項6の布接着装置において、前記第一刃は、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面より突出しない。布接着装置は、布を切断しない場合に、第一刃が布に接触することを防止できる。
【0014】
請求項7の布接着装置において、前記第一刃における外周面は、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行である。このため、第一刃は尖っていない。よって、仮に、利用者が第一刃に触れた場合でも、利用者が怪我をすることを防止できる。
【0015】
請求項8の布接着装置において、前記切断手段における前記布を切断する位置は、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行且つ前記布の移送方向に対して直交する方向に、移動可能である。切断手段は、布を切断する位置を移動させることができる。
【0016】
請求項9の布接着装置において、前記プーリに対して、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行且つ前記布の前記移送方向に対して直交する方向に位置し、前記切断手段が布を切断する場合に発生する切端を吸引する吸引手段を備えている。布接着装置は、切断手段が布を切断した場合に発生する切端が散乱することを防止できる。
【0017】
請求項10の布接着装置において、前記プーリから前記吸引手段に向かう方向において前記第一刃よりも突出せず、前記第一刃と前記プーリとを接続する接続手段をさらに備えている。布接着装置における接続手段は、第一刃よりも突出しない。このため、接続手段は、吸引手段と接触せず、布接着装置は、吸引手段をプーリと第一刃とに近づけることができる。よって、吸引手段は、効率的に切端を吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】布接着装置1全体を前方左斜め上から見た斜視図である。
【図2】接着機2を前方左斜め上から見た斜視図である。
【図3】接着機2の正面図である。
【図4】ローラ保持部20と上移送ローラ22と支持部16とノズル17との図示を省略した状態における接着機2を前方左斜め上から見た斜視図である。
【図5】接着機2の内部構造を前方左斜め上から見た斜視図である。
【図6】下移送部37と第二刃駆動ユニット70とを前方左斜め上から見た斜視図である。
【図7】下移送部37と第二刃駆動ユニット70とを前方右斜め上から見た斜視図である。
【図8】下移送部37と第二刃駆動ユニット70とを正面から見た縦断面図である。
【図9】下移送部37と第二刃駆動ユニット70との正面図の要部を拡大した正面図である。
【図10】切断部80が右に移動した場合における下移送部37と第二刃駆動ユニット70との正面図である。
【図11】接着機2を前方左斜め上から見た分解斜視図である。
【図12】第二刃721が第一刃35に接触した状態における下移送部37と第二刃駆動ユニット70との左側面図である。
【図13】第二刃721が第一刃35から離間した状態における下移送部37と第二刃駆動ユニット70の左側面図である。
【図14】接着作業時における接着機2の左側面図である。
【図15】図14のI−I線における矢視方向の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の布接着装置1について、図面を参照して説明する。以下、図3に示す接着機2のうち紙面上側、下側、右側、左側、紙面表面側、紙面背面側を、それぞれ接着機2の上側、下側、右側、左側、前側、後側と定義して説明する。
【0020】
図1を参照し、布接着装置1全体の構成について説明する。図1に示すように、布接着装置1は、接着機2と、使用台220とを備えている。使用台220は接着機2を固定する。接着機2は、対向配置した2層の布の間に接着剤を付着し、布を押圧し移送する。2層の布は、接着機2の前述した動作を経て接着する。接着機2の構成詳細については後述する。
【0021】
使用台220は、天板211と、左右の脚部212,213と、左右の支持部214,215と、足掛け216と、ペダル208と、制御ボックス3と、切端収集部8とを備える。接着機2は、天板211の上に固定してある。天板211は、平面視で左右方向を長手方向とする矩形板状である。天板211の左右方向の長さは、接着機2の前後方向の長さの約3倍である。天板211の前後方向の長さは、接着機2の前後方向の長さの約2倍である。
【0022】
天板211は、接着機2の固定部分の右側に操作パネル210を備える。操作パネル210は、液晶表示部207と、複数のキー209とを備える。液晶表示部207は、各種情報を表示する。キー209は、各種入力をするものである。作業者は、液晶表示部207を見ながらキー209を操作することで、布接着装置1の各種動作を設定する。
【0023】
板状の左脚部212は、天板211の左端から、天板211の平面に対して鉛直方向に下方に延びている。板状の右脚部213は、天板211の右端から、天板211の平面に対して鉛直方向に下方に延びている。左支持部214は、左脚部212の下端に接続している。右支持部215は、右脚部213の下端に接続している。左支持部214と右支持部215とは、それぞれ、前後方向を長手方向とする略角柱状の部材である。
【0024】
細長い板状の足掛け216は、左支持部214の前後方向中央部分と、右支持部215の前後方向中央部分との間を繋いでいる。ペダル208は、足掛け216の左右方向略中央に設けてある。作業者は、布の移送速度を調整するためにペダル208を使用する。制御ボックス3は、天板211の下側に固定してある。切端収集部8は、天板211の下側に固定してある。切端収集部8は、後述するサクションパイプ81(図7参照)に接続している。切端収集部8は、空気を吸引する吸引機(図示省略)を備えている。吸引機が空気を吸引することによって、サクションパイプ81は、切端を吸引する。切端収集部8は、サクションパイプ81が吸引した切端を収集する。制御ボックス3は、CPU等を実装した制御基板を格納する。制御ボックス3は、接着機2と、操作パネル210と、ペダル208と第二刃駆動ユニット70とに電気的に接続する。
【0025】
図2から図5を参照し、接着機2の構成について説明する。図2と図3とに示すように、接着機2は、台座部11と、脚柱部12と、アーム部13とを備えている。台座部11は、左右方向を長手方向とする略直方体状である。台座部11は、天板211(図1参照)に固定してある。脚柱部12は、台座部11の右端から鉛直方向上方に延びている。アーム部13は、脚柱部12の上端に接続し、脚柱部12の左側面よりも左方に突出している。アーム部13の左右方向の長さは、台座部11の左右方向の長さの約3分の1である。
【0026】
台座部11は、後述する第一プーリ25、第二プーリ28(図5、図6参照)、移送ベルト27、第二刃駆動ユニット70、第三モータ93、サクションパイプ81等を内部に備える。移送ベルト27は、後述する上移送ローラ22と共に布を押圧して移送する。第三モータ93は、第一プーリ25を駆動する。台座部11は、脚柱部12を支持する土台として機能する。脚柱部12は、アーム部13を支持する。
【0027】
図2に示すように、アーム部13の左端部は、前方から順に、ポンプケース14と、貯蔵室18と、梁部19とを支持している。アーム部13は、第一モータ91(図5参照)、第二モータ92(図5参照)等を内部に備える。第一モータ91は、ギアポンプ124(図5参照)を駆動する。第二モータ92は、上移送ローラ22を駆動する。
【0028】
ポンプケース14について説明する。図2と図3とに示すように、ポンプケース14は、第一ポンプケース31と第二ポンプケース32とを備える。第一ポンプケース31は、略立方体状の部材である。第一ポンプケース31は、アーム部13の左側面に固定してある。第一ポンプケース31は、ギアポンプ124(図5参照)等を内部に備える。ギアポンプ124は、適量の接着剤を高精度でノズル17に供給する。第二ポンプケース32は、略直方体状の部材である。第二ポンプケース32は、第一ポンプケース31の左下端面から下方に延びている。図3に示すように、第一ポンプケース31の上下方向の長さは、アーム部13の上下方向の長さと略同一である。第二ポンプケース32の左右方向の位置は、台座部11の左右方向中央の位置と略同一である。
【0029】
第二ポンプケース32は、左側に軸部45(図3参照)を備えている。軸部45は、支持部16の上端部42の右側と接続し、支持部16を軸部45の周りに揺動可能に支持する。ポンプケース14は、接着剤を貯蔵室18からギアポンプ124へ導く供給路と、接着剤をギアポンプ124から支持部16へ導く供給路とを内部に備えている。
【0030】
図2と図3とに示すように、支持部16の形状は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。支持部16の下端部44と台座部11との間には、僅かな隙間が存在する。支持部16は、接着剤をポンプケース14からノズル17へ導く供給路を内部に備える。支持部16の下端部44には、ノズル17がある。ノズル17は、支持部16から布に沿うように左側に延びている。支持部16は、上端部42に駆動伝達部41を備えている。駆動伝達部41は、エアシリンダ24の可動部75の先端部を支持する。
【0031】
支持部16は、エアシリンダ24の可動部75が前後に移動することで、軸部45を中心軸として前後方向に揺動する。ノズル17は、支持部16の揺動に伴って、布の接着作業を行う場合の位置と、保守を行う場合の位置とに移動する。図2と図3とに示す例では、支持部16は、布の接着作業を行う場合の位置に配置している。
【0032】
ノズル17は円筒形状である。ノズル17は、その下側に接着剤を吐き出す吐出口(図示省略)を備えている。作業者が布の接着作業を行う場合、吐出口は台座部11と対向する。作業者は、接着作業を行う場合、対向配置した2層の布の間にノズル17を挿入する。ギアポンプ124は、支持部16内部の供給路を介して、接着剤をノズル17に供給する。ノズル17は、吐出口から布に接着剤を吐出する。接着剤は、ノズル17の下方に位置する布の表面に付着する。
【0033】
ノズル17の前方には、ガイド部26が設けてある。ガイド部26は、平面視で矩形状、且つ正面視で鉤状の形状をしている。ガイド部26は、接着する2枚の布の右端の位置を揃え、布の移送を案内する。
【0034】
図2と図3とに示すように、貯蔵室18は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。貯蔵室18は、アーム部13の左側、且つポンプケース14の後方部分から上方に延びている。貯蔵室18は、本体部46と、蓋部47と、蓋軸部48とを備える。本体部46の形状は、上部が開口した有底筒状である。蓋部47は、本体部46の上部開口を覆う。本体部46の上端には、蓋軸部48がある。蓋軸部48は、蓋部47を開閉可能に支持する。貯蔵室18は、熱溶融性の接着剤(図示省略)を本体部46の内部に貯蔵する。貯蔵室18は、貯蔵した接着剤を、ギアポンプ124を介してノズル17に供給する。熱溶融性の接着剤は、所定の温度に加熱すると液化し、該所定の温度より低い温度では、固化するものである。
【0035】
図2に示すように、梁部19は、本体部51と、ばね支持部53と、柱部52とを備えている。本体部51は、アーム部13の左側後端部から左方へ水平方向に延びる部材である。本体部51の左右方向の長さは、台座部11の左右方向の長さの約3分の1である。ばね支持部53は板状であり、本体部51の左端部から前方へ水平方向に延びる。ばね支持部53の前後方向の長さは、台座部11の前後方向の長さの約2分の1である。柱部52は、水平面に対して約45度の角度で、本体部51から前方斜め下の方向に延びている。柱部52の下端部は、台座部11から離れている。
【0036】
ばね支持部53は、前方先端部に穴を有する。ばね支持部53は、軸部61を上下動可能に支持する。軸部61は、ばね21に挿通してある。軸部61の上端部分は、ばね支持部53の穴に挿通してある。柱部52の下端部分の左側には、左右に延びる軸部62がある。軸部62は、ローラ保持部20の後端部56を支持している。ローラ保持部20は、軸部62を揺動中心として、前端部58を上下方向に揺動する。本体部51のばね支持部53よりも右側には、エアシリンダ24がある。エアシリンダ24は、支持部16の位置を切り替えるものである。
【0037】
ローラ保持部20について説明する。ローラ保持部20の前端部58は、円柱状の上移送ローラ22を回転可能に支持している。上移送ローラ22は、支持部16から延びたノズル17の後方近傍にある。ノズル17は、例えば、上移送ローラ22の回転中心から、上移送ローラ22の直径の2倍の距離以内にあることが好ましい。ローラ保持部20の中央からやや前方の上面には、軸支持部59がある。軸支持部59は、ばね21に挿通している軸部61の下端を支持している。ばね21は、ばね支持部53と軸部61の下端との間に介在する。ばね21は、軸部61を下方へ付勢することで、軸部61が接続するローラ保持部20を下方へ付勢する。
【0038】
図2、図4に示すように、台座部11は、ノズル17の下方部分から上移送ローラ22の下方部分に亘って穴部231を設けてある。台座部11内の移送ベルト27の一部は、穴部231から上方に僅かに突出している。移送ベルト27は、上移送ローラ22と共に回転する。移送ベルト27と上移送ローラ22とは、布を上下方向から挟む。移送ベルト27と上移送ローラ22とは、挟んだ布を前方から後方、又は後方から前方に移送する。
【0039】
図4に示すように、台座部11は、穴部231の後部の右側に穴部232を設けてある。穴部232は、平面視で矩形状の形状をしており、穴部231と一体として設けてある。穴部232の前後方向の位置は、穴部231の後部の右側から、穴部231の右後方に亘っている。穴部232の後方には、穴部232の後方から右方向に延びる穴部233が設けてある。穴部233は、平面視で左右方向に長い矩形状の穴と、該矩形状の穴の後部から後方に延びる穴とで構成してある。図3と図4とに示すように、台座部11内の第二刃駆動ユニット70の一部は、穴部233から台座部11の上側に突出している。第二刃駆動ユニット70は、後述する第二刃体701を備えている。第二刃体701は、台座部11の上側から、穴部232に向けて延びている。
【0040】
図5を参照し、接着機2の内部構造について説明する。図5において、第二刃駆動ユニット70(図3参照)とサクションパイプ81(図3参照)との記載は省略している。接着機2は、第一モータ91と、第二モータ92と、第三モータ93と下移送部37と第二刃駆動ユニット70(図3参照)とサクションパイプ81(図3参照)とを含む部材を内部に備える。
【0041】
第一モータ91は、回転軸121を介して回転駆動力をギアポンプ124に伝達することで、ギアポンプ124を駆動する。ギアポンプ124は、駆動ギア122と、従動ギア123とを備えている。駆動ギア122は、回転軸121の左端部に固定してある。駆動ギア122は、回転軸121と共に回転する。従動ギア123は、駆動ギア122と噛合する。第一モータ91は、アーム部13内部に、且つポンプケース14がアーム部13と接続する部分の右方に位置する。回転軸121は、ポンプケース14内にあり、第一モータ91の回転軸から左方に延びる。駆動ギア122と従動ギア123とは、適量の接着剤をノズル17に供給する。
【0042】
第二モータ92は、回転軸126から、ベルト129と、ベルト130とを介して、回転駆動力を上移送ローラ22に伝達することで、上移送ローラ22を駆動する。第二モータ92は、アーム部13内部にあり、且つ梁部19がアーム部13と接続している部分の右方に位置する。回転軸126は、第二モータ92の回転軸から左方に延び、本体部51内を貫通している。回転軸126の左端部は、柱部52内に位置する。回転軸126の左端部は、プーリ171を支持している。回転軸127の右端部は、柱部52の下端部内に延び、回転軸127の左端部はローラ保持部20の後端部56内に延びている。回転軸127の右端部と左端部は、それぞれプーリ172,173を支持している。回転軸128は、上移送ローラ22の回転軸である。回転軸128の左端部は、ローラ保持部20の前端部58の内部まで延び、プーリ174を支持している。回転軸128の右端部は、前端部58から突出し、上移送ローラ22を支持している。ベルト129は、柱部52内で、回転軸126の左端部のプーリ171と回転軸127の右端部のプーリ172との間に架け渡してある。ベルト130は、ローラ保持部20内で、回転軸127の左端部のプーリ173と回転軸128の左端部のプーリ174との間に架け渡してある。上移送ローラ22は、第二モータ92が回転することで回転する。
【0043】
下移送部37について簡単に説明する。下移送部37は、第一プーリ25と、第二プーリ28と、第二プーリ28を支持するプーリ支持部100と、輪状の無端ベルトである移送ベルト27とを備えている。第一プーリ25及び第二プーリ28は、略円筒形状を有している。第一プーリ25及び第二プーリ28は、左右水平方向を回転軸の延設方向としている。第一プーリ25の円筒形の直径は、第二プーリ28の円筒形の直径の約4倍である。第一プーリ25は、上移送ローラ22の下方に配置してある。第二プーリ28は、ノズル17の下方斜め前方に配置してある。
【0044】
第一プーリ25が回転することによって、第一プーリ25と第二プーリ28との間に架け渡してある移送ベルト27が回転する。これによって、移送ベルト27は、移送ベルト27上の布を前後方向に移送させる。また、上移送ローラ22と移送ベルト27とで布を挟んで押圧する。下移送部37の詳細は後述する。
【0045】
第三モータ93は、ベルト142と回転軸141とを介して、回転駆動力を第一プーリ25に伝達することで、第一プーリ25を回転させる。第一プーリ25は、回転軸141に固定してある。第一プーリ25は、移送ベルト27を挟んで上移送ローラ22の下方、且つ台座部11内に位置する。台座部11は、内部に支持台座4を有する。支持台座4は、回転軸141を回転可能に支持している。ベルト142は、台座部11内で、第三モータ93の回転軸のプーリ175と回転軸141の右端部のプーリ176との間に架け渡してある。第一プーリ25は、第三モータ93が回転することで回転する。第一プーリ25が回転することによって、第一プーリ25と第二プーリ28との間に架け渡してある移送ベルト27が回転する。
【0046】
図6から図10を参照して、下移送部37と切断部80とサクションパイプ81とについて説明する。図6から図8に示すように、下移送部37のうち、第二プーリ28を支持するプーリ支持部100は、左側面板部101と右側面板部111とを備えている。左側面板部101は、軸支凸部102と輪部103とを備えている。輪部103は、第一プーリ25の回転軸中心を円形中心とする。輪部103の直径は、第一プーリ25の円筒形の直径より小さい。輪部103は、中心部分に孔を備える。第一プーリ25の左側面から回転軸141の周囲に沿って左方向に凸設する凸部143(図8参照)の左端部と、回転軸141の左端部とは、輪部103の孔に挿通している。輪部103の孔において、輪部103と凸部143との間には軸受106が設けてある。軸支凸部102は、輪部103の上方斜め前方に凸設している。
【0047】
第一プーリ25の右方には、右側面板部111が設けてある。右側面板部111は、軸支凸部112と輪部113とを備えている。輪部113の中心部分の孔には、回転軸141と、回転軸141に固定してある固定部145の左部が挿通している。輪部113の孔において、輪部113と固定部145との間には、軸受107が設けてある。固定部145は、回転軸141の周囲に設けてある。固定部145は、左右方向において、軸受107の右側から、軸受107の左端に亘って設けてある。固定部145の輪部113の中心部分の孔に挿通している部分の径は、固定部145の軸受け107より右側の部分の径より小さい。これによって、固定部145には、段差が形成してある。この段差によって、固定部145は、下移送部37の左右方向の位置決めをしている。
【0048】
図8と図9とに示すように、固定部145の右部は、止めネジ50を挿入するためのネジ孔49を備えている。ネジ孔49は、固定部145の外周から回転軸141に向かって貫通している。ネジ孔49に止めネジ50を挿入し、回転軸141に押し当てることによって、固定部145が、回転軸141に対して固定してある。利用者は、止めネジ50と、後述する止めネジ40とを緩めて、下移送部37を左右方向に移動することができるが詳細については後述する。
【0049】
図6から図8に示すように、右側面板部111の軸支凸部112は、輪部113の上方斜め前方に凸接している。第一プーリ25と右側面板部111との間には、サクションパイプ81が設けてある。サクションパイプ81の詳細は後述する。
【0050】
プーリ支持部100において、軸支凸部102の先端部分と軸支凸部112の先端部分との間には、軸部105が設けてある。軸部105は、第二プーリ28を回転可能に軸支する。第一プーリ25と第二プーリ28との間の距離は、常に所定の距離である。第一プーリ25と第二プーリ28との間には、移送ベルト27が架け渡してある。移送ベルト27と第二プーリ28とは第一プーリ25の回転に伴い回転する。
【0051】
第一プーリ25と第一刃35とについて説明する。図8と図9とに示すように、第一プーリ25は、円筒形状を有する本体部33を備えている。第一プーリ25は、本体部33の左面から外周方向に張り出したフランジ34を備えている。本体部33は、本体部33の右面が左方向に凹んだ凹部331を備えている。凹部331と本体部33の右面とに沿って、側面視で円形の円形部材36が設けてある。円形部材36は、周囲に第一刃35を備えている。第一刃35は、第一プーリ25の右面側から外周方向に張り出している。凹部331において、ボルト38が、円形部材36と本体部33とを接続している。このため、第一刃35を備えた円形部材36と第一プーリ25とは、一体に形成してある。ボルト38は、第一刃35より右方向に突出しない。第一刃35は、後述する第二刃721との間で布を挟み、布を切断する。第一刃35と第二刃721とが布を切断する部分を切断部80という。第一刃35と第二刃721とによる布の切断の詳細については、後述する。
【0052】
移送ベルト27は、第一プーリ25の本体部33の周壁面に架け渡してある。フランジ34と第一刃35とは、それぞれ移送ベルト27と対向し、移送ベルト27を左右から挟んでいる。このため、第一プーリ25が回転駆動した場合であっても、移送ベルト27は第一プーリ25から外れない。つまり、第一刃35は、フランジとしての機能も有している。
【0053】
第一刃35とフランジ34とは、移送ベルト27における上移送ローラ22に対向する面より上方に突出しない。第一刃35が移送ベルト27より上方に突出しないので、布を切断しない場合に、第一刃35が布に接触することを防止できる。第一刃35の外周面351は、移送ベルト27の面と平行であり、尖っていない。このため、仮に人の指が第一刃35に触れた場合でも、人が怪我をすることを防止できる。
【0054】
図8と図9とに示すように、本体部33の左側面から、回転軸141の周囲に沿って左方向に凸部143が凸設してある。凸部143は、止めネジ40を挿入するためのネジ孔39を備えている。ネジ孔39は、凸部143の外周から回転軸141に向かって貫通している。ネジ孔39に止めネジ40を挿入し、回転軸141に押し当てることによって、第一プーリ25が、回転軸141に対して固定してある。利用者は、止めネジ40と、前述した止めネジ50を緩めて、下移送部37を左右方向に移動することができる。下移送部37の移動に伴って、第一刃35は、左右方向に移動する。利用者は、下移送部37の位置を決定し、再び止めネジ40と止めネジ50とを締めて、下移送部37を固定することができる。
【0055】
これによって、図9と図10とに示すように、下移送部37は、左右方向に移動することができる。図9に示す状態は、下移送部37が、左方向に移動した状態である。図10に示す状態は、下移送部37が、右方向に移動した状態である。利用者は、下移送部37を移動させることによって、第一刃35の位置を左右方向に移動することができる。詳細は後述するが、第二刃721も左右方向に移動可能である。このため、利用者は、切断部80を左右方向に移動させることができる。よって、ノズル17が接着剤を塗布する位置に対する、切断部80が布を切断する位置を調整することができる。
【0056】
図6と図7とに示すように、第二プーリ28の左面と右面とは、左面と右面との外周方向に張り出しているフランジ63とフランジ64とを備えている。フランジ63とフランジ64とは、移送ベルト27を左右から挟んでいる。このため、移送ベルト27が稼働した場合であっても、移送ベルト27は第二プーリ28から外れない。
【0057】
サクションパイプ81について説明する。サクションパイプ81は、切端収集部8(図1参照)と接続してある。図6から図10に示すように、サクションパイプ81は、円筒状の形状をしている。サクションパイプ81は、第一プーリ25と右側面板部111との間、且つ回転軸141の後方において、上下方向に亘って設けてある。サクションパイプ81の上部は、前方にやや屈曲している。サクションパイプ81は、上端に開口811を備えている。開口811の上方やや左方には、切断部80が位置している。サクションパイプ81は、切断部80において切断された布の切端を吸引し、切端収集部8に導く。前述したように、第一刃35を備えた円形部材36と第一プーリとを接続するボルト38は、第一刃35より右方向に突出していない。このため、サクションパイプ81は、第一刃35に近づけることができる。よって、効率的に切端を吸引することができる。サクションパイプ81は、切断部80の左右方向の移動に合わせて移動可能である。
【0058】
図6から図13を参照して、第二刃721を備えた第二刃駆動ユニット70について説明する。第二刃駆動ユニット70は、後述するモータ709の動力を伝達することによって、第二刃721を第一刃35に対して接触および離間させる。第二刃駆動ユニット70は、電気配線を介して制御ボックス3(図1参照)に接続してある。第二刃721は、第一刃35との間で布を挟んで切断する。第二刃駆動ユニット70は、台座部11の内部に位置している。第二刃駆動ユニット70の一部は、台座部11の上側に突出している(図3、図4参照)。
【0059】
第二刃駆動ユニット70は、台座部11に対して装着および取り外し可能である。布を切断する場合には、利用者は、第二刃駆動ユニット70を台座部11の内部に装着する。
図11に示すように、第二刃駆動ユニット70は、4本のボルト725によって、台座部11に固定する。ボルト725は、後述する第一支持板部703が備えた4個の貫通孔726を介して、台座部11に第二刃駆動ユニット70を固定する。台座部11には、4個のボルト725を挿入して第二刃駆動ユニット70を固定するためのボルト用穴114が設けてある。
【0060】
布を切断しない場合には、利用者は、第二刃駆動ユニット70を台座部11から取り外す。利用者は、第二刃駆動ユニット70を取り外した後の穴部232と穴部233とに、蓋(図示省略)をする。これによって、利用者は、布を切断しない場合に、台座部11の上面を広く使用することができる。
【0061】
図6から図8に示すように、第二刃駆動ユニット70は、第二刃駆動ユニット70の各種部材を支持する支持板702を備えている。支持板702は、第一支持板部703と第二支持板部705とを備えている。第一支持板部703と第二支持板部705とは一体として設けてある。第一支持板部703は、前後左右方向に延びる板状部材である。第一支持板部703の前部における、中央から左側は、後方向に切り欠いてある。第一支持板部703の後部における、中央のやや左側から左側は、前方向に切り欠いてある。この結果、第一支持板部703の中央から左側には、左方向に突出した凸部704が形成してある。第一支持板部703の中央から右側の部分には、4つの貫通孔726が、平面視で矩形状の頂点を形成するように設けてある。貫通孔726は、第一支持板部703を上下方向に貫通している。
【0062】
第二支持板部705は、第一支持板部703の左右方向における中央から下方に向かって延びる板状部材である。第二支持板部705の前後方向の長さは、第一支持板部703の前後方向の長さと同一である。
【0063】
凸部704の左端部の上側には、軸支部706が設けてある。凸部704の右側の上側には、軸支部707が設けてある。軸支部706と軸支部707との間には、軸部708が設けてある。軸支部706と軸支部707とは、軸部708を回転可能に軸支する。
【0064】
第二刃駆動ユニット70は、第一支持板部703の下側、且つ第二支持板部705の右側にモータ709を備えている。モータ709は、第二支持板部705に固定してある。第二支持板部705は、略中央に孔を備えている。モータ709は、モータ709の回転軸である回転軸710を左側に備えている。回転軸710は、第二支持板部705の孔を介して、第二支持板部705の左側に突出している。
【0065】
図12に示すように、回転軸710の左端の周囲には、円柱形状を有した円柱部材711が固定してある。回転軸710の回転中心は、円柱部材711の中心より外側にある。円柱部材711の周囲には、軸受712が設けてある。軸受712の周囲には、第一駆動部713が設けてある。第一駆動部713は、軸受712の周囲に沿った形状の輪部714と、輪部714から後方斜め上方に向けて凸設した凸部715とを備えている。
【0066】
凸部715の上端には、第二駆動部716の一方の端部が軸部724を介して接続してある。図6から図8と図12とに示すように、第二駆動部716は、軸部724から前方やや上方に向けて延びている。第二駆動部716の他方の端部は、軸支部706と軸支部707との間の軸部708に固定してある。軸部708は、軸支部706の左方に突出している。軸部708の左端には、第三駆動部717が固定してある。第三駆動部717は、軸部708から前方斜め上方に向けて延びている。第三駆動部717の先端は、前方向に屈曲している。
【0067】
第三駆動部717の先端には、第二刃体701を固定した第二刃体固定部718が設けてある。第二刃体701は、第二刃721を備えている。第二刃体固定部718の後面には、左右方向に亘って前方に凹んだ凹部728が設けてある。凹部728の上下方向の寸法は、第三駆動部717の先端の上下方向の寸法に対応している。第三駆動部717の先端は、凹部728に挿入してある。第二刃体固定部718は、ボルト719によって第三駆動部717に固定してある。
【0068】
図9に示すように、第二刃体固定部718は、ボルト719の軸を挿入する左右方向に長い孔である長孔727を備えている。第三駆動部717における第二刃体固定部718に接触する面には、ボルト719の軸の径に対応した円形のボルト用の孔(図示省略)が設けてある。ボルト719は、長孔727を介して、第三駆動部717のボルト用の孔に挿入してある。ボルト719は、ボルト719の頭部と第三駆動部717との間で、第二刃体固定部718を挟むことで、第二刃体固定部718を固定している。
【0069】
利用者は、ボルト719を緩めて、第二刃体固定部718の位置を、長孔727の範囲で左右方向に移動させることができる。利用者は、第二刃体固定部718の左右方向の位置を決定し、再びボルト719を締めて第二刃体固定部718を固定することができる。これによって、図9と図10とに示すように、第二刃体701の第二刃721は、左右方向に、移動することができる。利用者は、第一刃35を左右方向の移動に移動させ、第二刃721を左右方向に移動させることで、切断部80を左右方向に移動させることができる。
【0070】
図6から図9と図12と図13とに示すように、第二刃721を備えた第二刃体701は、第二刃体固定部718から左下方向に延びている。第二刃体701は、正面視で、略平行四辺形である。第二刃体701の左端部は、第一刃35の上下方向の面と平行である。第二刃体701は、固定部720と第二刃721と案内部722とを備えている。固定部720は、ボルト723によって第二刃体固定部718に固定してある。案内部722は、側面視で上下方向に延びるとともに固定部720から左方に延び、第一刃35の上下方向の面に接触している。第二刃721は案内部722よりも前方に突出している。第二刃721の左端面と案内部722の左端面は同一面上にある。第二刃体701を上下動することにより第二刃721は第一刃35に対して離間接触を繰り返す。案内部722は、第二刃体701の上下動を案内し、第二刃721の第一刃35への衝突を防止している。ここで、第一刃35と第二刃721との衝突を心配しない場合は第二刃体701から案内部722を省略することができる。
【0071】
第二刃駆動ユニット70による第二刃721の駆動について説明する。モータ709は、回転軸710を回転する。回転軸710の回転に伴って、円柱部材711が回転する。図12に示すように、回転軸710の回転中心と、円柱部材711の中心とは偏心している。このため、回転軸710が回転すると凸部715の上端が、後方斜め上方と下方斜め前方との間で往復駆動する。凸部715の往復駆動は、軸部724を介して第二駆動部716を駆動させる。第二駆動部716は、軸部708を、左面視で、時計回りと反時計回りとを繰り返すように揺動させる。軸部708の揺動は、第三駆動部717を駆動させる。第三駆動部717は、軸部708を中心に、左面視で、時計回りと反時計回りとを繰り返すように揺動する。
【0072】
第三駆動部717が反時計回りに揺動すると、図13に示すように、第二刃721が第一刃35から離間する。第三駆動部717が時計回りに揺動すると、図12に示すように、第二刃721が第一刃35に接触する。つまり、モータ709が駆動することによって、第一刃35と第二刃721とが接触および離間を繰り返す。第一刃35と第二刃721とは、切断部80において布を挟んで切断する。
【0073】
図14と図15とを参照し、上布151と下布152とを接着させる接着作業時における接着機2の動作ついて説明する。図15においては、説明のために一部の構成のみを図示しており、例えば、上移送ローラ22等は、図示を省略している。図14に示すように、接着機2を使用して接着作業を行う場合には、下布152を、移送ベルト27とノズル17とで挟む。上布151は、下布152の上に配置する。上布151と下布152とは、ノズル17を挟む。ガイド部26は、ノズル17の前方で、上布151と下布152との布の右端の位置合わせをする。
【0074】
この状態でユーザがペダル208(図1参照)を踏み込むと、ギアポンプ124(図5参照)は駆動する。その結果、接着剤は、供給路を経由して、ノズル17から吐出し、下布152に付着する。同時に、第一プーリ25が、回転する。第一プーリ25と第二プーリ28との間に架け渡してある移送ベルト27は、第一プーリ25の回転に伴って回転する。上移送ローラ22と移送ベルト27とは、上布151と下布152とを前方から後方に移送する方向に回転する。ばね21(図2参照)は、上移送ローラ22を下方へ付勢する。よって、上移送ローラ22と移送ベルト27とは、上布151と下布152とを押圧する。上移送ローラ22と移送ベルト27とが上布151と下布152とを押圧する部位を押圧エリアPと称する。図15において、押圧エリアPは、二点鎖線で示しているエリアである。
【0075】
図15に示すように、押圧エリアPの右側には、第一刃35と第二刃721とよる切断部80が位置している。第一刃35は、移送ベルト27を回転させる第一プーリ25の回転に伴って回転する。第二刃721は、第一刃35に対して接触(図12参照)および離間(図13参照)を繰り返す。第一刃35と第二刃721とは、上布151と下布152の押圧エリアPの右側に位置する部分を挟んで切断する。上移送ローラ22と移送ベルト27とは、切断した上布151と下布152とを後方に移送する。
【0076】
第一刃35と第二刃721とが上布151と下布152とを切断した場合に発生する糸屑や布の切端は、サクションパイプ81が吸引する。サクションパイプ81が吸引した糸屑や布の切端は、切端収集部8(図1参照)が収集する。接着機2は布の切端をサクションパイプで吸引しながら上布151と下布152を切断するため、布の切端は上布の表面に滞留しない。このため、滞留した切端による上布と下布の切断予定部の位置ずれを確実に防止し、常に所望の位置で切断が可能になる。接着機2は、切端が台座部11の上面に散乱することを防止できる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の布接着装置1は、上布151と下布152とを接着する。上布151と下布152とを接着した直後では、上布151と下布152との接着の強度が弱い。このため、仮に、押圧部エリアPの後方に離れた所で、上布151と下布152とを切断した場合、上布151と下布152とが互いにずれてしまうおそれがある。本実施形態では、上移送ローラ22と移送ベルト27とは、押圧エリアPにおいて、上布151と下布152とを挟んで固定している。切断部80は、押圧エリアPの右側に位置している。布接着装置1は、上布151と下布152とを固定する押圧エリアPの近傍で、布を切断できる。よって、布接着装置1は、上布151と下布152とが互いにずれないように布を切断することができる。
【0078】
第一刃35を備えた円形部材36は、第一プーリ25と一体に形成してある。よって、第一刃35と第一プーリ25とは、一体に形成してある。これによって、第一刃35は、移送ベルト27に隣接している。このため、押圧エリアPに隣接した位置で布を切断することができる。よって、布接着装置1は、切断時における上布151と下布152とのずれを防止できる。
【0079】
第一刃35と第二刃721とで布を挟むことによって布を切断している。よって、1つの刃を布に押しつけて切断する場合に比べて、布を確実に切断することができる。
【0080】
第一刃35は、第一プーリ25の回転に伴って回転している。このため、別途第一刃35を回転させる機構や電気配線を設ける必要がなく、布接着装置1のコストダウンをすることができる。
【0081】
上記実施形態において、第一プーリ25と移送ベルト27とは、本発明の「第一移送手段」に相当する。上移送ローラ22は、本発明の「第二移送手段」に相当する。第一刃35と第二刃721とは、本発明の「切断手段」に相当する。移送ベルト27は、本発明の「ベルト」に相当する。第一プーリ25は、本発明の「プーリ」に相当する。第二刃駆動ユニット70は、本発明の「第二刃駆動手段」に相当する。切断部80は、本発明の「布を切断する位置」に相当する。サクションパイプ81は、本発明の「吸引手段」に相当する。ボルト38は、本発明の「接続手段」に相当する。
【0082】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第一刃35と第二刃721とで布を挟んで切断していたが、これに限定されない。例えば、第二刃721を設けず、第一刃35に対して布を押し当てる部分を備えてもよい。これによっても、布を切断することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 布接着装置
2 接着機
17 ノズル
22 上移送ローラ
25 第一プーリ
27 移送ベルト
28 第二プーリ
35 第一刃
36 円形部材
37 下移送部
38 ボルト
70 第二刃駆動ユニット
80 切断部
81 サクションパイプ
151 上布
152 下布
225 押圧部
351 外周面
701 第二刃体
718 第二刃体固定部
721 第二刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置する布の間に位置し、前記布に接着剤を吐き出すノズルと、
前記ノズルに対して前記布の移送方向下流側であって前記布を移送するために回転する第一移送手段と、
前記第一移送手段に対向し、前記第一移送手段との間で前記布を挟み、前記布を移送するために回転する第二移送手段と、
前記布を挟む前記第一移送手段と前記第二移送手段との近傍において、前記布を切断する切断手段と
を備えたことを特徴とする布接着装置。
【請求項2】
前記切断手段は、
前記第一移送手段と一体に形成された回転刃である第一刃を備えたことを特徴とする請求項1に記載の布接着装置。
【請求項3】
前記切断手段は、
前記第一刃に対して離間および接触を繰り返し、前記第一刃との間で布を挟み、前記布を切断する刃である第二刃をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の布接着装置。
【請求項4】
前記第一移送手段は、
前記第二移送手段との間で前記布を挟み、前記布を移送するベルトと、
前記ベルトを駆動する円筒状のプーリと
を備え、
前記第一刃は、
前記ベルトの側面に対向し、前記プーリの外方向に張り出した刃であることを特徴とする請求項3に記載の布接着装置。
【請求項5】
前記第二刃が前記第一刃に対して離間および接触を繰り返すように、前記第二刃を駆動する第二刃駆動手段を備え、
前記第二刃と前記第二刃駆動手段とは、前記布接着装置に対して、装着および取り外し可能であることを特徴とする請求項3に記載の布接着装置。
【請求項6】
前記第一刃は、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面より突出しないことを特徴とする請求項4または5に記載の布接着装置。
【請求項7】
前記第一刃における外周面は、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行であることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の布接着装置。
【請求項8】
前記切断手段における前記布を切断する位置は、
前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行且つ前記布の移送方向に対して直交する方向に、移動可能であることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の布接着装置。
【請求項9】
前記プーリに対して、前記ベルトにおける前記第二移送手段と対向する面と平行且つ前記布の前記移送方向に対して直交する方向に位置し、前記切断手段が布を切断する場合に発生する切端を吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の布接着装置。
【請求項10】
前記プーリから前記吸引手段に向かう方向において前記第一刃よりも突出せず、前記第一刃と前記プーリとを接続する接続手段をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の布接着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−208337(P2011−208337A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80060(P2010−80060)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】