説明

布類展張搬送方法及び布類展張搬送機

【課題】 布類拡張用に左右の拡張ベルトを使用した布類展張搬送機においては、各拡張ベルトによる外側引張力に差がある場合には、布類が左右に偏位しながら引き上げられることがあり、布類が不正常な姿勢(平行四辺形)で次工程側に搬送されることがある。
【解決手段】 布類を左右の拡張ベルト61,61で左右外側に拡張させながら上方に引き上げて展張状態のまま次工程側に搬送させるようにした布類展張搬送機において、布類の左右各側縁部の位置を検出する左右のセンサー14,14と、該各センサーからの検出信号に基いて各拡張ベルト61,61の駆動スピードを個別に制御するコントローラ8とを使用し、布類の左右側縁部が左右外側に位置ずれしたときに、拡張ベルト61の駆動スピードを制御して、位置ずれ側縁部の位置修正を行うようにすることにより、布類を正常な展張姿勢で後送させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、シーツや布団包布のような大面積の布類を吊上げ状態で展張させ、その展張吊上げ状態の布類を次工程側に搬送させるための布類展張搬送方法及び布類展張搬送機に関するものである。尚、以下の説明では、展張吊上げ状態の布類を単に展張吊上げ布類ということがある。
【背景技術】
【0002】
ランドリー工場においては、シーツや布団包布のような大面積布類を洗濯・乾燥後にプレス機でプレスした後、折畳み機で折畳む作業が行われるが、その次工程装置(以下、プレス機及び折畳み機)に布類を供給する際には、予め布類をきれいに展張させておく必要がある。
【0003】
ところで、シーツや布団包布のような大面積の布類を展張させるとともに、その展張布類を次工程側に搬送させ得るようにした布類展張搬送機として、例えば特開平7−54262号公報(特許文献1)に示されるものがある。この公知例の布類展張搬送機は、図16〜図18に示すように、布類Sの一辺の両端角部Sa,Saを左右の吊上チャック110,110で掴持し、所定高位置において各吊上チャック110,110を左右離間方向に移動させることによって、布類Sを展張吊上げ状態で保持し得るようになっている。尚、図16の公知例では、展張すべき布類Sとして、中央部に丸ぐり部Tを有する額縁包布が採用されている。
【0004】
又、この公知例の布類展張搬送機では、図16に示す展張吊上げ状態の布類Sを、図17に示すように各吊上チャック110から受渡し装置104の受取チャック140(符号140′のようにチャックが閉じる)で受け取り(布類が図17のS1の状態になる)、続いて図18に示すように受取チャック140が後退する。この状態では、布類S2の上下中間部付近が送込みローラ134に接触する。そして、吸気ボックス131内が吸気されるとともに、送込みローラ134が布類送込み方向に回転して、布類S2の下半部を符号S3で示す状態を経て符号S4で示すように吸気ボックス131内に吸引する(所定タイマー後、吸気ボックス131内の吸気は停止する)。その後、コンベア(吸着コンベア)151が走行するとともに受取チャック140が開放し、布類上縁部が符号S4bで示すようにコンベア151の始端部(水平部)上に移乗する。そして、コンベア151が走行することによって、布類S4の下部側が順次引上げられていき、該布類がコンベア151によって次工程(プレス工程を経て折畳み工程)側に搬送される。
【0005】
ところで、布類が展張吊上げ状態で、図18のように布類S4の下部側が吸気ボックス131内に吸引される(布類の下部側にテンションがかかる)と、布類S4はかなりの展張状態になるものの、布類Yに小皺や波打ち部分(図16の符号Y)が残ることがある。そこで、この公知例の布類展張搬送機では、コンベア151の始端部の直下近傍で展張吊上げ布類S4の背面側に左右一対の布類背面拡張装置106,106を設けている。この各布類背面拡張装置106,106は、図16に示すように左右にそれぞれ横向き姿勢で拡張ベルト161,161を有している。この各拡張ベルト161,161は、それぞれ前面側が左右外向きに走行するようになっている。又、各拡張ベルト161,161は、多数の小孔をあけた通気性のあるものを使用しており、該各拡張ベルト161,161の背面側に設けた吸気ボックス163内を吸気することにより、各拡張ベルト161,161の前面に布類の背面を吸引させ得る機能を有している。
【0006】
そして、この各布類背面拡張装置106,106は、吸気ボックス163内が吸気されるとともに各拡張ベルト161,161の前面がそれぞれ左右外向きに走行し、そのとき布類S4の背面が各拡張ベルト161,161の前面に接触(摺接)しながら引き上げられていき、該布類を順次左右各外方に拡張させるように機能する。このように、左右の各拡張ベルト161,161を布類背面に摺接させながら展張吊上げ布類を引き上げるようにすると、該布類をきれいに展張させるのに非常に有効である。
【0007】
ところで、図16及び図18に示すように、展張吊上げ布類S4の背面に左右の各拡張ベルト161,161が摺接して該展張吊上げ布類を左右に拡張させる際に、該布類背面に対して各拡張ベルト161,161による外側引張力が均等である場合には、該展張吊上げ布類が左右に偏位することなく正常姿勢(布類側縁部Sd,Sdが鉛直姿勢)のまま引き上げられてコンベア151上を搬送されるときに、図19に実線図示(符号S)するように布類の各側縁部Sd,Sdがコンベア151の搬送方向Pと平行に向く姿勢で後続工程側(プレス工程を経て折畳み工程)に搬送される。そして、搬送される布類Sが図19に実線図示するように正常姿勢であると、折畳み工程において所定小面積まできれいに(線対称状態で)折畳むことができる。尚、折畳み工程では、展張布類の短辺側及び長辺側を複数回ずつ折畳んで所定小面積の折畳み布類を完成させる。
【0008】
【特許文献1】特開平7−54262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のように左右の各拡張ベルト161,161を布類背面に摺接させながら展張吊上げ布類を引き上げるようにしたものでは、該各拡張ベルト161,161による外側引張力が常に均等であれば布類を比較的正常姿勢で引き上げることができるが、ときには各拡張ベルト161,161による外側引張力に差が生じることがある。この各拡張ベルト161,161による布類背面に対する外側引張力に差が生じる原因としては、各拡張ベルト161,161に対する吸気ボックス163からの吸引力の差や、各拡張ベルト表面の摩擦力の差、等が考えられる。
【0010】
そして、各拡張ベルト161,161による外側引張力に差がある状態で展張吊上げ布類がコンベア151側に引き上げられると、該引き上げ布類が、図16に鎖線図示(符号S′)するように拡張ベルトによる引張力が強い側に漸次偏位しながら引き上げられるようになり(布類側縁部が符号Sd′のようにずれる)、コンベア151上に引き取られたときには該布類が図19に鎖線図示(符号S′)するように平行四辺形になる。即ち、この場合は、布類の左右各側縁部Sd′,Sd′がコンベア151の搬送方向Pとは非平行状態で搬送される。
【0011】
このように、コンベア151上に移乗された布類が平行四辺形(図19の符号S′)のままで折畳み工程まで搬送されると、端縁がきれいに揃わない状態で折畳まれてしまい、折畳み状態での見映えが悪くなるとともに、客先から苦情が出る原因になる。
【0012】
そこで、本願発明は、上記のように布類拡張用に左右の拡張ベルトを使用した布類展張搬送機において、各拡張ベルトによる外側引張力に差がある場合であっても、展張吊上げ布類を常に正常姿勢(正確な長方形のまま)で搬送コンベア上に移乗させ得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0014】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、洗濯・乾燥後のシーツや布団包布のような大面積布類をきれいに展張して後送させるための布類展張搬送方法を対象にしている。
【0015】
この請求項1の布類展張搬送方法は、シーツや布団包布のような大面積の布類の一辺の両端角部をそれぞれ掴持した状態で所定高位置まで吊上げ、その吊上げ布類の各角部を左右に離間させて布類を機体幅方向の定位置において吊上げ状態で展張させた後、その展張吊上げ布類を該布類背面に摺接する左右一対の拡張ベルトでそれぞれ左右外側に拡張させながら上方に引き上げて、該布類を展張状態のまま次工程側に搬送させるようにしたものである。
【0016】
この請求項1の布類展張搬送方法は、後述する請求項2の布類展張搬送機を使用して行うものであるが、この種の布類展張搬送機では、機枠前部の作業位置に投入装置が設置されており、該投入装置の各投入チャックに布類の一辺(長辺)の両端角部を掴持させた後、スタートボタンを押すと、各投入チャックが布類各角部を掴持したまま上動し、該布類各角部を機枠上部の中央位置で待機している左右一対の受取チャックに受け渡し、該各受取チャックを左右動装置で左右に離間させ得るようになっている。そして、布類各角部を掴持した両受取チャックを左右に離間させたときの布類が展張吊上げ布類となる。
【0017】
又、この布類展張搬送方法で使用される布類展張搬送機には、展張吊上げ布類の背面側に該布類背面側を左右外側に拡張させる左右一対の拡張ベルトを有している。この各拡張ベルトは、展張吊上げ状態にある布類の背面側で該展張吊上げ布類の上部寄り位置において、該展張吊上げ布類の幅中央部から左右に振り分けた位置に設置されている。又、該各拡張ベルトは、前面がほぼ鉛直面になる左右横長姿勢で設置されており、それぞれ個別のモータでベルト前面がそれぞれ左右外方向に走行するように駆動される。尚、この各拡張ベルトは、その前面に布類背面を吸引させ得る吸気機能を備えたものが好ましい。
【0018】
そして、上記両受取チャックで吊上げ展張された布類は、その上辺部が搬送コンベアの始端部上に受け渡され、そのとき布類背面が左右の拡張ベルトの前面に接触しながら上方に引き上げられるようになる。
【0019】
又、この布類展張搬送方法では、展張吊上げ布類の左右各側縁部の位置を検出する左右一対のセンサーと、該各センサーからの検出信号に基いて各拡張ベルトの駆動スピードを個別に制御するコントローラとを使用する。
【0020】
そして、本願請求項1の布類展張搬送方法では、展張吊上げ布類の上方引き上げ時に、コントローラにより各拡張ベルトを次のように制御するようにしている。
【0021】
まず、展張吊上げ布類の左右側縁部が正規の位置(即ち、展張吊上げ布類の左右各側縁部が左右展張時の布類の左右幅中心位置から左右に等距離にある状態)で上方に引き上げられているときには、両拡張ベルトを相互に等速の所定スピードで駆動させる。尚、両拡張ベルトを等速で駆動させるのは通常の運転方法であり、この場合、通常は布類背面に対して両拡張ベルトによる外側引張力が均等にかかり易いが、ときには(各拡張ベルト側の吸引力に差があるとき、各拡張ベルト表面の摩擦力に差があるとき等には)両拡張ベルトによる外側引張力に差が生じることがある。そして、該各拡張ベルトの外側引張力に差が生じると、展張吊上げ布類における拡張ベルトに接触している部分が、該外側引張力の強い側に偏位するようになる。
【0022】
そして、展張吊上げ布類の左右側縁部の何れか一方が所定幅だけ左右外側に位置ずれしたときには、その外側位置ずれ側縁部が位置する側の拡張ベルトの駆動スピードを停止又は減速させて、他方の拡張ベルトの布類背面外側拡張作用により位置ずれ側縁部の位置修正を行う。即ち、拡張ベルトの駆動スピードを停止又は減速させると、その拡張ベルトによる布類に対する外側引張力が無くなるか小さくなり、他方の拡張ベルトによる外側引張力がそのままであるので、位置ずれ側縁部の位置修正(中央戻し)が自動的に行われる。
【0023】
そして、上記位置修正により、位置ずれ側縁部が正常位置(布類左右側縁部が左右展張時の布類の左右幅中心位置から左右に等距離の位置にある)に戻された時点で、停止又は減速させていた拡張ベルトの駆動スピードを元の所定スピード(他方の拡張ベルトと同スピード)に戻すように制御する。
【0024】
尚、両拡張ベルトの駆動スピードを等速に戻すと、引き上げられる布類の拡張ベルト接触部分が再度左右に偏位することがあるが、その位置ずれが生じても上記のように直ちに位置修正されるので、布類側縁部が左右小幅範囲で小刻みに蛇行する程度となり、展張布類が搬送コンベア上に移乗されたときには、布類側縁部がコンベア搬送方向と平行な長方形を維持するようになる。
【0025】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の布類展張搬送方法を行うための布類展張搬送機を対象にしている。即ち、この請求項2の布類展張搬送機は、シーツや布団包布のような大面積の布類の一辺の両端角部をそれぞれ掴持した状態で所定高位置まで吊上げ、その吊上げ布類の各角部を左右に離間させて布類を機体幅方向の定位置において吊上げ状態で展張させた後、その展張吊上げ布類を該布類背面に摺接する左右一対の拡張ベルトでそれぞれ左右外側に拡張させながら上方に引き上げて、該布類を展張状態のまま次工程側に搬送させ得るようにしたものである。尚、この請求項2の布類展張搬送機は、同サイズの布類(左右に展張させた布類の左右幅が同じもの)に適用できるものである。
【0026】
この請求項2の布類展張搬送機には、展張吊上げ布類の左右各側縁部のそれぞれ近傍位置で拡張ベルトの設置高さ付近に、展張吊上げ布類の左右側縁部が正規の位置から所定幅だけ左右外側に位置ずれしたことを検出することができる左右一対のセンサーを設置するとともに、該各センサーからの検出信号を受けて各拡張ベルトの駆動スピードを制御するコントローラを備えている。
【0027】
そして、該コントローラは、各センサーが展張吊上げ布類の左右側縁部の位置ずれを検出しない状態では両拡張ベルトを所定の等スピードで駆動させる一方、左右何れかのセンサーが布類側縁部の位置ずれを検出している間は当該検出側センサーが位置する側の拡張ベルトの駆動スピードを停止又は減速させ、さらに両センサーが布類左右側縁部の位置ずれを解消したと判断した時点で停止又は減速させた拡張ベルトの駆動スピードを元の所定スピードに戻すように制御するようにしている。
【0028】
この布類展張搬送機では、上記各構成により、上記請求項1の布類展張搬送方法の場合と同じ機能を達成できる。
【0029】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の布類展張搬送機において、左右一対のセンサーとして、展張吊上げ布類の左右各側縁部のそれぞれ左右内外に跨がる所定長さ範囲に、左右に所定小間隔をもって複数個ずつ並置された複数センサーを使用している。
【0030】
この請求項3の布類展張搬送機で使用される複数センサーは、左右片側に例えば20〜50mm間隔をもって5〜10個程度並置したものが採用できる。
【0031】
そして、この請求項3の布類展張搬送機では、展張吊上げ布類の左右側縁部が左右の各センサー(それぞれ複数センサー)のそれぞれ内側(又は外側)から幾つ目のセンサーをONしているかによって、拡張ベルト高さ位置における展張吊上げ布類の左右偏位量を検出でき、その偏位量に基いて、請求項1及び2と同様にコントローラからの信号で左右の各拡張ベルトの駆動スピードを制御する(そのまま等速か、何れか一方を停止又は減速させる)ようになっている。
【0032】
又、この請求項3の布類展張搬送機では、各側の複数センサーの設置長さ範囲を長くする(個数を多くする)と、処理すべき布類の展張幅が不揃い(サイズの異なる布類が混在している場合)であっても、センサー位置を調整することなくそれぞれのサイズの布類に対応できる。
【0033】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項2の布類展張搬送機において、各拡張ベルトに対面する位置に、展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面をそれぞれ各拡張ベルト側に押付ける接触部材を有した左右一対の前面押付装置を配置している。尚、各前面押付装置は、処理対象布類が布団包布のような2枚重ね部分を有するものに適用されるものである。
【0034】
各前面押付装置の各接触部材は、左右進退装置により、展張吊上げ布類の左右各側縁部から外側に退避する退避位置と展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に対面する位置との間で左右移動でき且つ展張吊上げ布類の左右幅に対応してそれぞれ展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に対面する位置に位置調整し得るようにしている。即ち、この請求項4の布類展張搬送機では、機枠前面において布類を吊上げ展張させるまでは、左右進退装置により各接触部材をそれぞれ外方の退避位置に退避させているが、布類を機枠前面において吊上げ展張させた直後に各接触部材を展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に対面する位置まで移動させるようになっている。尚、この各接触部材には、展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に接触して該左右外側部寄り前面をそれぞれ強制的に左右外側に拡張させ得るようにした強制拡張部材(例えば拡張ベルト)を使用することが好ましい。
【0035】
又、この請求項4の布類展張搬送機では、展張吊上げ布類の左右幅を検出する手段を設けていて、該左右幅検出手段からの検出信号に基いて(布類の左右幅に応じて)各接触部材をそれぞれ展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に対面する位置に移動させ得るようになっている。
【0036】
そして、各接触部材にそれぞれ布類側縁部検出用のセンサーを取付けて、該各センサーがそれぞれ各接触部材とともに左右移動するようにしている。
【0037】
この請求項4の布類展張搬送機では、各接触部材が展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面に接触するので、布団包布のような2枚重ね部分を有する布類であっても、各拡張ベルトと各接触部材とにより布類を表裏両面から展張させることができる。
【0038】
又、この請求項4の布類展張搬送機では、各接触部材と各センサーとが展張吊上げ布類の左右幅に対応して所定位置に移動するので、左右展張幅の異なる布類(大小サイズの布類)を混在させた状態でも、各接触部材を順次展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面の正確位置に自動で対応させ得るとともに、各センサーも順次展張吊上げ布類の左右側縁部の正確位置に自動で対応させることができる。
【発明の効果】
【0039】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の布類展張搬送方法では、展張吊上げ布類が左右の各拡張ベルトに摺接しながら上方に引き上げられ、展張吊上げ布類の左右各側縁部の何れか一方が所定幅だけ左右外側に位置ずれしたときに、その外側位置ずれ側縁部が位置する側の拡張ベルトの駆動スピードを停止又は減速させることにより、布類の位置ずれを修正することができる。
【0040】
従って、この請求項1の布類展張搬送方法によれば、左右の拡張ベルトによる外側引張力に差が生じても(拡張ベルト接触部分の布類が一時的に左右に偏位しても)、布類を常に正常な長方形姿勢で次工程側(プレス工程を経て折畳み工程)に供給できるという効果がある。尚、布類の左右側縁部が搬送方向と非平行姿勢(平行四辺形の姿勢)で折畳み工程に供給されると布類端縁が不揃いの状態で折畳まれてしまうが、布類が長方形姿勢であると布類端縁がきれいに揃った状態で折畳むことができる(折畳み精度が良好になる)。
【0041】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の布類展張搬送機は、上記請求項1の布類展張搬送方法を行うための具体的構成を備えたものであって、この請求項2の布類展張搬送機でも、上記請求項1の効果(布類を常に正常な長方形姿勢で次工程側に供給できるという効果)を達成できる。
【0042】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の布類展張搬送機において、左右の各センサーとして、展張吊上げ布類の左右各側縁部のそれぞれ左右内外に跨がる所定長さ範囲に、左右に所定小間隔をもって複数個ずつの複数センサーを並置したものを使用している。
【0043】
従って、この請求項3の布類展張搬送機では、上記請求項1の効果のほかに、処理すべき布類の展張幅(サイズ)が不揃いであっても、センサー位置を調整することなくそれぞれのサイズの布類に対応でき、異なるサイズの布類が混在している場合でもそれぞれ正常な長方形姿勢で次工程側に供給できるという効果がある。
【0044】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、上記請求項2の布類展張搬送機において、展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面をそれぞれ各拡張ベルト側に押付ける接触部材を有した左右一対の前面押付装置を備え、展張吊上げ布類の左右幅に応じて各接触部材を左右進退装置で布類左右外側部寄り前面に対応する位置に位置調整し得るようにするとともに、各接触部材に布類側縁部検出用の各センサーを取付けている。
【0045】
従って、この請求項4の布類展張搬送機では、上記請求項2の効果に加えて、布団包布のような2枚重ね部分を有する布類であっても、各拡張ベルトと各接触部材とにより布類を表裏両面から展張させることができるとともに、各接触部材と各センサーとが展張吊上げ布類の左右幅に対応して所定位置に移動するので、左右展張幅の異なる布類(大小サイズの布類)を混在させた状態でも、各接触部材及び各センサーを順次展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面及び左右側縁部のそれぞれ正確位置に自動で対応させることができるという効果がある。
【実施例】
【0046】
以下、図1〜図15を参照して本願の幾つかの実施例を説明すると、図1〜図7には本願請求項1及び2に対応する第1実施例の布類展張搬送機が示され、図8には本願請求項3に対応する第2実施例の布類展張搬送機が示され、図9〜図15には本願請求項4に対応する第3実施例の布類展張搬送機が示されている。尚、本願各実施例の布類展張搬送機は、シーツのような1枚ものの布類も何ら問題なく展張させることができるが、中央部に丸ぐり部を有する布団包布(額縁包布)のような布類も展張処理できるものである。
【0047】
[図1〜図7の第1実施例]
第1実施例の布類展張搬送機の基本構成を図1〜図3を参照して説明すると、この第1実施例の布類展張搬送機は、投入装置1と、左右展張装置2と、吸引装置3と、受渡し装置4と、搬送装置5と、布類背面拡張装置6とを有している。尚、この第1実施例では、展張すべき布類Sとして1枚もののシーツで大きさが同じものが採用される。
【0048】
投入装置1は、展張すべき布類Sの一辺(長辺)の両端角部Sa,Saを掴持する一対の投入チャック11,11を有し、該各投入チャック11,11を昇降装置12(図3)で上下動させ得るようにしたものである。尚、昇降装置12にはロッドレスシリンダが使用されている。
【0049】
各投入チャック11,11は、人の肩幅程度の間隔で左右に並置されている。又、この各投入チャック11,11は、昇降装置12により投入作業高さとなる低位置(図1、図3の高さ)と布類全体を吊下げ得る高位置(布類の掴持部分を後述の受取チャック21に受け渡し得る高さ)との間で上下動せしめられる。そして、低位置において、布類の一辺(長辺)の両端角部Sa,Saを各投入チャック11,11で掴持させた後(布類が図1の符号S′の状態となる)、昇降装置12で受け渡し高さまで上昇せしめられる。
【0050】
尚、この第1実施例では、投入装置1は左右に2基設けており、何れの投入装置1,1からでも布類を投入することができるようになっている。又、各投入装置1,1は、待機状態では、図1に示すように機枠10の幅中心から左右に振り分けた各位置に位置しているが、布類掴持後に上動する際には、機枠10の幅中心位置(定位置)に移動するようになっている。
【0051】
左右展張装置2は、所定高位置において投入装置1の各投入チャック11,11から布類の両端角部Sa,Saをそれぞれ受け取る一対の受取チャック21,21を有し、該各受取チャック21,21をそれぞれ左右動装置22,22で左右方向に移動させ得るようにしたものである。
【0052】
各左右動装置22,22には、それぞれモータ23,23が使用されており、該各モータ23,23でそれぞれベルト(タイミングベルト)24,24を可逆的に走行させ得るようになっている。
【0053】
各受取チャック21,21は、各左右動装置22,22のそれぞれのベルト24,24に固定されていて、該各ベルト24,24をモータ23,23で走行させることによって各受取チャック21,21が同時に左右近接・離間方向に作動するようになっている。
【0054】
又、各受取チャック21,21は、待機状態では図1及び図2に示すように機枠10の幅中央部において投入装置1の各投入チャック11,11の間隔と同間隔で待機しており、布類の両端角部Sa,Saを受け取った後(図1のS″の状態)、左右動装置22,22により布類の上辺部Sbが緊張するまで左右外側に移動せしめられる(布類Sが図1の展張吊上げ状態となる)。尚、各左右動装置22,22のモータ23,23は、布類上辺部Sbが緊張した時点(所定以上の負荷がかかった時点)で作動停止するようになっている。
【0055】
吸引装置3(図3)は、受取チャック21,21が左右移動する部分の下方位置に吸気ボックス31を設けるとともに、該吸気ボックス31内の空気を吸気ファン33で吸引し得るものが採用されている。吸気ボックス31と吸気ファン33とを連続させる吸気通路32中には、切換ダンパー36が設けられており、該切換ダンパー36が図3に鎖線図示する符号36′の側に位置するときに、吸気ボックス31内が吸気ファン33によって吸引されるようになっている。又、吸気ボックス31の前壁上端部には、左右2本の送込みローラ34,34が設けられている。この各送込みローラ34,34は、それぞれモータ35,35によって所定タイミングで送込み方向(図3の右回転方向)に回転せしめられる。
【0056】
そして、この吸引装置3は、布類Sが展張吊上げ状態において、送込みローラ34を送込み方向に回転させるとともに、吸気ボックス31内を吸引することにより、展張吊上げ状態の布類Sの下部側を送込みローラ34を乗り越えて吸気ボックス31内に吸引し、そのとき布類の下部側にテンション作用が働いて、展張吊上げ状態の布類Sを下方に展張させる機能が発生する。
【0057】
受渡し装置4は、各受取チャック21,21により展張吊上げ状態で支持されている布類Sの上縁部を受け取る吸着ボックス41と、該吸着ボックス41内を吸気する吸気フアン42と、吸着ボックス41を前後に進退させる伸縮シリンダ43とを有している。吸着ボックス41の先端部上面(布類受取面)には、多数の小孔を形成しており、該吸着ボックス41内を吸気ファン42で吸引することにより、布類受取面に布類上縁部を吸着(保持)させ得るようになっている。そして、この受渡し装置4は、吸着ボックス41が前位置にある状態で布類受取面に布類上縁部を吸着させた後、該吸着ボックス41を図3に鎖線図示(符号41′)する位置まで後退させる間に、該布類上縁部を搬送装置5(吸着コンベア51)の始端部上に移乗させるように作動する。
【0058】
搬送装置5は、手前側に多数の小孔を設けた吸着コンベア51と、その後端部に連続する搬出コンベア52とを有している。吸着コンベア51の始端部は、前位置にある吸着ボックス41の先端部(布類受取面)よりやや後側の直下近傍に位置している。吸着コンベア51の上面走行部の下面には、吸気ボックス53が設置されていて、該吸気ボックス53内を吸気することで、吸着コンベア51の上面に布類上縁部を吸着させ得るようになっている。
【0059】
吸着コンベア51側の吸気ボックス53内は、上記吸引装置3の吸気ファン33を共用して、吸引装置3の吸気ボックス31とは択一的に吸気される。即ち、図3において、切換ダンパー36が実線図示位置にあるときには、吸引装置3側の吸気ボックス31内の吸気が停止する一方、吸着コンベア51側の吸気ボックス53内がダクト54を通して吸気され、切換ダンパーが鎖線図示する符号36′側に切換わると、逆に吸着コンベア51側の吸気ボックス53内の吸気が停止する一方、吸引装置3側の吸気ボックス31内が吸気されるようになっている。
【0060】
布類背面拡張装置6は、展張吊上げ布類Sの背面を左右に展張させるもので、左右一対ある。この各布類背面拡張装置6,6はそれぞれ拡張ベルト61,61を有している。
【0061】
この各拡張ベルト61,61は、吸着コンベア51の始端部より僅かに前側の直下近傍位置において、機枠10の幅中央部から左右に振り分けた各位置に設置されている。又、該各拡張ベルト61,61は、前面がほぼ鉛直面になる左右横長姿勢で設置されており、前面がそれぞれ左右外方向に走行するようにそれぞれモータ62,62で駆動される。尚、各拡張ベルト61,61のそれぞれ外端部は、展張吊上げ位置にある布類Sの左右端部Sd,Sdよりそれぞれ外側にはみ出す位置まで延出させている。
【0062】
各拡張ベルト61,61は、多数の小孔を設けた通気性のあるベルトを使用している。そして、各拡張ベルト61,61の前面走行部の裏側には、それぞれ吸気ボックス63,63が配置されており、該吸気ボックス63,63内を吸引することにより、拡張ベルト61の前面に布類の背面を吸着させ得るようにしている。各吸気ボックス63,63内は、それぞれダクト64,64を介して吸気フアン65の吸気口にそれぞれ接続されており、該吸気フアン65の吸気により該各吸気ボックス63,63内を吸引し、それによって各拡張ベルト61,61の前面走行部の各小孔から周囲の空気を吸引し得るようになっている。尚、この第1実施例では、吸気フアン65は1台で両方の吸気ボックス63,63内を吸気するようにしているが、他の実施例では各吸気ボックス63,63ごとに吸気フアン65を1台ずつ使用してもよい。
【0063】
この第1実施例の布類展張搬送機の基本的な作動方法を、図4〜図6を併用して説明すると、運転初期状態では、吸引装置3の吸気ファン33、各背面拡張装置6,6の吸気ファン65、各拡張ベルト61,61の各モータ62,62搬送装置5の吸着コンベア51及び排出コンベア52等はそれぞれ作動している。
【0064】
布類を布類展張搬送機に供給するには、作業位置において布類の一辺(長辺)の両端角部を捜し出し、図1に示すようにその両端角部Sa,Saを投入装置1の各投入チャック11,11にそれぞれ掴持させる(図1、図4の各符号S′の状態)。次に各投入チャック11,11が布類両端角部Sa,Saを掴持したまま所定高さまで上動して、布類両端角部を上方で待機している各受取チャック21,21に受け渡し(図1、図4の符号S″の状態)、続いて各左右動装置22,22により各受取チャック21,21を布類上辺部が緊張するまで左右離間方向に移動せさて、布類上辺部Sbを吊上げ状態で左右に展張させる。
【0065】
次に、展張吊上げ布類が図4の符号S″の状態から、送込みローラ34が送込み方向に高速回転するとともに、切換ダンパー36が鎖線図示(符号36′)側に切換えられて吸気ボックス31内の空気が吸引され、布類の下端側が吸気ボックス31内に吸い込まれる(展張吊上げ布類が図4の符号S1の状態になる)。このとき、この展張吊上げ布類S1には、吸気ファン33の吸引作用により、下方へのテンションがかけられて、該布類が方形状に展張される。
【0066】
その後、切換ダンパー36′が実線図示側に切換えられ(吸着コンベア51の吸気ボックス53内が吸気される)、各受取チャック21,21が開放されて、布類の上辺部分が吸着ボックス41の先端側上面に吸着・保持される。尚、このとき、布類上辺部分を図示しないブロワーからのエアで吸着ボックス41の先端側上面に向けて押付けるようにするとよい。続いて、吸着ボックス41が図5に実線図示する位置を経て鎖線図示位置(符号41′)まで後退するが、その間に布類上辺部分が吸着コンベア51上に移乗される(図6の符号S3の状態)。
【0067】
そして、その後も吸着コンベア51が走行していることにより展張吊上げ布類の下部側が順次上方に引き上げられていくが、このとき布類S3の背面が左右の各拡張ベルト61,61の前面(吸引されている)に接触し且つ各拡張ベルト61,61の前面がそれぞれ左右外側に走行しているので、布類背面の拡張ベルト接触部分にそれぞれ外側引張力が作用しており、布類S3がそれぞれ左右外側に拡張されながら上方に引き上げられていく。従って、布類は、吸着コンベア51及び排出コンベア52上を搬送されるときには、きれいに(皺のない長方形状に)展張されている。
【0068】
ところで、この第1実施例の布類展張搬送機で処理される各布類Sは、それぞれ同一大きさのものであって、図1に示す展張吊上げ状態では全ての布類の左右幅が常に一定で且つ定位置で吊上げ展張されるようになっている。そして、図6の状態で布類S3が上方に引き上げられる際に、布類背面に作用する左右各拡張ベルト61,61による外側引張力が均等であれば布類を比較的正常姿勢で引き上げることができるが、ときには各拡張ベルト61,61による外側引張力に差が生じることがある。この各拡張ベルト61,61による布類背面に対する外側引張力に差が生じる原因としては、各拡張ベルト61,61に対する吸気ボックス63からの吸引力の差や、各拡張ベルト表面の摩擦力の差、等が考えられる。
【0069】
そして、各拡張ベルト61,61による外側引張力に差がある状態で展張吊上げ布類が吸着コンベア51側に引き上げられると、該引き上げ布類が、図7に鎖線図示(符号S′)するように拡張ベルトによる引張力が強い側に漸次偏位しながら引き上げられるようになり(布類側縁部が符号Sd′のようにずれる)、吸着コンベア51及び排出コンベア52上に引き取られたときには、図2の符号S′で示すように該布類が平行四辺形になる。即ち、この場合は、布類S′の左右各側縁部Sd′,Sd′がコンベア151の搬送方向Pと非平行状態で搬送される。
【0070】
そこで、この第1実施例の布類展張搬送機には、図6に示すように展張吊上げ布類S3の引き上げ時に、該布類の拡張ベルト接触部分が所定小範囲以上、偏位しないようにすることができる機構を備えている。
【0071】
即ち、この第1実施例の布類展張搬送機では、図1〜図3に示すように、展張吊上げ布類Sの左右各側縁部Sd,Sdのそれぞれ近傍位置で拡張ベルト61の設置高さ付近に、展張吊上げ布類S(定位置で一定大きさ)の左右側縁部Sd,Sdが正規の位置から所定幅だけ左右外側に位置ずれしたことを検出することができる左右一対のセンサー14,14を設置している。
【0072】
この第1実施例で使用される各センサー14,14は、図1に示すように、各受取チャック21′,21′で吊上げ展張された布類Sの左右各側縁部Sd,Sdのそれぞれ外側近傍位置(正規の側縁部Sdの位置から例えば20〜30mm程度外側の位置)で左右の拡張ベルト61,61の直下近傍高さ位置において、展張吊上げ布類Sの奥側から手前側に向けて布類側縁部Sdを監視するように設置されている。尚、この各センサー14,14間の間隔は、展張吊上げ布類Sの左右幅よりやや広いので、布類が左右に偏位しても両センサー14,14が同時に布類側縁部を検出することはない。
【0073】
そして、この各センサー14,14は、布類側縁部Sdを検出すると、その検出信号をコントローラ8に入力するようになっているが、コントローラ8では、各センサー14,14からの検出信号を受けて各拡張ベルト61,61のモータ62,62に対して拡張ベルトの駆動スピードを次のように制御するようになっている。
【0074】
まず、展張吊上げ布類Sの左右側縁部Sd,Sdが正規の位置(即ち、展張吊上げ布類の左右各側縁部が左右展張時の布類の左右幅中心位置から左右に等距離にある状態)で上方に引き上げられているときには、左右の各センサー14,14は布類側縁部非検出状態となって、両拡張ベルト61,61を相互に等速の所定スピードで駆動させる。尚、両拡張ベルト61,61を等速で駆動させるのは通常の運転方法であり、この場合、通常は布類背面に対して両拡張ベルト61,61による外側引張力が均等にかかり易いが、ときには両拡張ベルト61,61による外側引張力に差が生じることがある。そして、該各拡張ベルト61,61の外側引張力に差が生じると、展張吊上げ布類Sにおける拡張ベルト61,61に接触している部分が、該外側引張力の強い側に偏位するようになる(例えば図7の符号S′のように偏位する)。
【0075】
又、展張吊上げ布類の左右各側縁部Sd,Sdの何れか一方が所定幅だけ左右外側に位置ずれしたとき(例えば図7に鎖線図示する左側側縁部Sd′)には、その外側位置ずれ側縁部Sd′が位置する側(左側)の拡張ベルト61の駆動スピードを停止(又は減速)させて、他方(右側)の拡張ベルト61の布類背面外側拡張作用により位置ずれ側縁部Sd′の位置修正を行う。即ち、拡張ベルト61の駆動スピードを停止(又は減速)させると、その(左側)拡張ベルト61による布類に対する外側引張力が無くなり(又は小さくなり)、他方(右側)の拡張ベルトによる外側引張力がそのままであるので、位置ずれ側縁部の位置修正(中央戻し)が自動的に行われる。
【0076】
そして、位置ずれ側縁部Sd′が正常位置に戻された時点(布類左右側縁部Sd,Sdが左右展張時の布類の左右幅中心位置から左右に等距離の位置にある)で、停止(又は減速)させていた拡張ベルト(左側)61の駆動スピードを元の所定スピードに戻すように制御する。
【0077】
尚、両拡張ベルト61,61の駆動スピードを等速に戻すと、引き上げられる布類の拡張ベルト接触部分が再度偏位することがあるが、その位置ずれが生じても上記のように直ちに位置修正されるので、布類側縁部Sd,Sdが左右小幅範囲で小刻みに蛇行する程度となり、展張布類が吸着コンベア51及び排出コンベア52上に移乗されたときには、図2に符号Sで示すように正確な長方形を維持するようになる(左右側縁部Sd,Sdが搬送方向Pと平行になる)。
【0078】
このように、上方に引き上げられていく展張吊上げ布類Sに対して左右位置ずれ修正装置(各センサー14,14と各拡張ベルト61,61の駆動スピードを制御するコントローラ8)を備えていると、左右の拡張ベルト61,61による外側引張力に差が生じても(拡張ベルト接触部分の布類が一時的に左右に偏位しても)、布類を常に正常な長方形姿勢で次工程側(プレス工程を経て折畳み工程)に供給でき、折畳み工程において布類端縁がきれいに揃った状態で折畳むことができる(折畳み精度が良好になる)。
【0079】
[図8の第2実施例]
この第2実施例の布類展張搬送機は、上記第1実施例の布類展張搬送機において、左右一対のセンサー14,14として、展張吊上げ布類Sの左右各側縁部Sd,Sdのそれぞれ左右内外に跨がる所定長さ範囲に、左右に所定小間隔をもって複数個ずつ並置された複数センサー14a,14a・・を使用していることが異なる。
【0080】
左右各側の複数センサー14a,14a・・は、左右片側に例えば20〜50mm間隔をもって5〜10個程度並置したものが採用できる。
【0081】
又、左右各側の複数センサー14a,14a・・は、それぞれ個別にコントローラ8に接続されており、左右各側において布類側縁部Sdを検出した複数センサー14a,14a・・の個数によって、展張吊上げ布類Sにおける拡張ベルト高さ位置での左右偏位量を検出し得るようになっている。
【0082】
そして、この第2実施例(図8)の布類展張搬送機では、展張吊上げ布類Sの左右側縁部Sd,Sdが左右の各センサー14,14(それぞれ複数センサー14a,14a・・)のそれぞれ内側(又は外側)から幾つ目のセンサー14aをONしているかによって、拡張ベルト位置における展張吊上げ布類の左右偏位量を検出でき、その偏位量に基いて、第1実施例の場合と同様にコントローラ8からの信号で左右の各拡張ベルト61,61の駆動スピードを制御する(そのまま等速か、何れか一方を停止又は減速させる)ようになっている。
【0083】
又、この第2実施例の布類展張搬送機では、各側の複数センサー14a,14a・・の設置長さ範囲を長くする(個数を多くする)と、処理すべき布類の展張幅が不揃い(サイズの異なる布類が混在している場合)であっても、センサー位置を調整することなくそれぞれのサイズの布類に対応できる。
【0084】
尚、この第2実施例におけるその他の構成については、上記第1実施例のものと同じであるので、該第1実施例の説明を援用する。
【0085】
[図9〜図15の第3実施例]
この第3実施例の布類展張搬送機では、処理すべき布類Sとして中央部に丸ぐり部Tを有した布団包布(額縁包布)を採用している。この額縁包布Sでは、丸ぐり部Tの周囲の生地が2枚重ね状態となっている。そして、丸ぐり部Tを有した布類Sを展張させる際には、図1に示すように丸ぐり部Tが前面側に向く姿勢で吊上げ展張するが、この場合、展張吊上げ布類Sにおける丸ぐり部Tの外周部分の2枚重ね部分に空気が入って布類前面部分が膨らむことがある。
【0086】
そこで、この第3実施例の布類展張搬送機には、展張吊上げ布類Sの前面をきれいに展張させるための左右一対の前面押付装置7,7を設けている。尚、この左右一対の前面押付装置7,7は、図9〜図10に示すように同じもの(サーボモータ72aは一方のみ)が左右対称形に配置されているが、該前面押付装置7の構成については、図12〜図15に示す右側の前面押付装置7で説明する。
【0087】
図12〜図15に示す前面押付装置7は、展張吊上げ布類(図9の符号Sの状態)の左右各外側部寄り前面Sc,Scに摺接させる強制拡張部材(請求項4における接触部材に相当する)71と、該強制拡張部材71を左右に移動させる左右進退装置72と、強制拡張部材71を拡張ベルト61前面にある展張吊上げ布類Sの前面Scから離間する離間位置と展張吊上げ布類の前面Scに接触する接触位置との間で前後に移動させる接離移動装置73とを備えている。
【0088】
強制拡張部材71には、この第3実施例では、布類前面を摺接により左右外側に拡張させ得る拡張ベルト75が使用されている。尚、この拡張ベルト75の大きさは、特に限定するものではないが横長さが40〜50cm程度、上下幅が10cm程度のものでよい。この拡張ベルト75は、モータ76によりベルト奥面側が左右外側に走行するように駆動される。又、拡張ベルト75及びモータ76は、横長の支持フレーム81(図13〜図15)に装着されていて、後述するように強制拡張部材71が支持フレーム81とともに前後及び左右に移動するようになっている。
【0089】
尚、この第3実施例の説明では、強制拡張部材71の拡張ベルト75を前面側拡張ベルトということがあり、背面拡張装置6の拡張ベルト61を背面側拡張ベルトということがある。
【0090】
そして、各強制拡張部材71,71は、その拡張ベルト(前面側拡張ベルト)75,75が各布類背面拡張装置6,6の拡張ベルト(背面側拡張ベルト)61,61と同高さ位置に対面した状態で該前面側拡張ベルト75の走行面がほぼ鉛直面となる姿勢で設置されている。
【0091】
左右進退装置72は、図2に示すように単一のサーボモータ72aで両強制拡張部材71,71を同時に左右逆側に移動させ得るようにしたものである。即ち、この左右進退装置72は、左右に長い間隔をもった状態で単一ベルト(無端ベルト)72bを巻掛けし、該単一ベルト72bを単一のサーボモータ72aで駆動し得るようにしたものである。
【0092】
左右進退装置72の単一ベルト72bは、左右の各側部機枠10,10に跨がる左右長さを有し、且つ水平面内で走行するように設置されている。そして、この単一ベルト72bは、サーボモータ72aにより左右に可逆的に走行せしめられるが、該ベルトの前側走行部分と後側走行部分とは相互に左右逆向きに走行するようになっている。
【0093】
又、単一ベルト72bには、その前側走行部分と後側走行部分にそれぞれ支持台74,74が固定されている。この各支持台74,74上には、それぞれ接離移動装置73,73が取付けられている。尚、この各支持台74,74は、それぞれ横長のガイドレール77,77により、左右水平方向に移動するようにガイドされている。
【0094】
各接離移動装置73,73には、それぞれストロークの短い伸縮シリンダが採用されている。尚、以下の説明では、各接離移動装置73,73を接離動シリンダということがある。
【0095】
各接離移動装置(接離動シリンダ)73,73のロッド先端には、それぞれ左右各強制拡張部材71,71の各支持フレーム81,81が連結されている。そして、各接離動シリンダ73,73が伸縮動作することにより、各強制拡張部材71,71を前後移動させ得るようになっている。即ち、接離動シリンダ73が伸長状態では、強制拡張部材71の拡張ベルト75が、図13及び図14に実線図示するように展張吊上げ布類S(背面側拡張ベルト61に接触している)の左右外側部寄り前面Scに対して前側に離間する位置にあり、接離動シリンダ73が縮小すると、該強制拡張部材71の拡張ベルト75が図14の鎖線図示(符号75′)及び図15に示すように上記展張吊上げ布類Sの左右外側部寄り前面Scに接触する位置まで移動するようになっている。
【0096】
左右各強制拡張部材71,71の各支持フレーム81,81と各接離移動装置(接離動シリンダ)73,73との連結位置は、各支持フレーム81,81の左右外端部であり、従って左右各強制拡張部材71,71の拡張ベルト75,75は、各接離動シリンダ73,73の連結位置よりそれぞれ左右内方側に延出するようになっている。このようにすることにより、図13及び図15に示すように、強制拡張部材71が展張吊上げ布類Sの左右外側部寄り前面Scに対面したときに、接離動シリンダ73の連結部が布類外端部Sdに接触しないようにできる。
【0097】
左右各側の強制拡張部材71,71は、左右進退装置72により、布類が両受取チャック21,21で吊上げ展張されるまでは図9及び図10に鎖線図示(符号71′,71′)するように左右外側の退避位置に移動せしめられており、該布類が吊上げ展張された後、その展張吊上げ布類Sが背面側拡張ベルト61,61に接触した状態で、図9及び図10に実線図示(符号71,71)するように該展張吊上げ布類Sの左右外側部寄り前面Sc,Scに対面する対面位置に移動せしめられるようになっている。
【0098】
ところで、処理すべき布類(額縁包布)Sは、子供用や大人用等で大小複数のサイズのものがあり、しかも大人用のものでも顧客によってサイズの異なるものが使用されている。そして、この布類展張搬送機で大小サイズの布類が混在しているものを扱う場合には、図12に示すように、小サイズの布類Sでは、受取チャック21(左右に一対ある)が実線図示する待機位置から符号21′で示す鎖線図示位置までの距離Lだけ外側移動したときに布類上辺部Sbが緊張し、大サイズの布類S0では、受取チャック21が待機位置から符号21″で示す鎖線図示位置までの距離Mだけ外側移動したときに布類上辺部Sbが緊張するようになる。
【0099】
従って、上記各前面押付装置7,7を使用する場合には、各強制拡張部材71,71を外側退避位置から布類サイズに応じた適正位置まで内側に移動させる必要がある。
【0100】
そこで、この第3実施例の布類展張搬送機では、展張吊上げ布類のサイズ(例えば図12の小サイズSや大サイズS0)に応じて、各強制拡張部材71,71を自動で適正位置まで移動させる機構を備えている。
【0101】
即ち、この第3実施例の布類展張搬送機では、各受取チャック21,21を左右移動させる左右動装置22,22にそれぞれサーボモータ23,23を使用している一方、各強制拡張部材71,71を左右移動させる左右進退装置72にサーボモータ72aを使用している。そして、各左右動装置22,22の各サーボモータ23,23で各受取チャック21,21を布類上辺部Sbが左右に緊張するまで離間させたときのサーボモータ駆動量データをコントローラ8に入力し、該コントローラ8から左右進退装置72のサーボモータ72aに対して各強制拡張部材71,71をサーボモータ駆動量データに対応する移動量だけ移動させるような制御信号を発するようにしている。
【0102】
具体的には、次のように作動する。尚、布類の展張前には、各強制拡張部材71,71はそれぞれ図9及び図10に符号71′,71′で示すように外方退避位置で且つ手前側離間位置にある。そして、布類の各角部Sa,Saを機枠中央位置で待機している両受取チャック21,21で吊上げた状態(布類が図9の符号S″の状態)から各左右動装置22,22(サーボモータ23,23)により該両受取チャックを符号21′,21′で示すように布類上辺部が緊張するまで左右に離間させたとき(図9の場合は布類Sが小サイズで各受取チャック21,21が距離Lずつ移動する)の各サーボモータ駆動量データをコントローラ8に入力し、そのサーボモータ駆動量データに基いてコントローラ8から左右進退装置72のサーボモータ72aに対して、外方退避位置にある各強制拡張部材71′,71′を展張吊上げ布類Sの左右外側部寄り前面Sc,Scに正確に対面する位置(符号71,71の位置)までの距離L0だけ内方移動させるようにしている。
【0103】
又、布類サイズが図12に符号S0で示す大サイズのものでは、布類上辺部の展張時に受取チャック21が符号21″で示す位置までの距離Mだけ移動し、そのときのサーボモータ23の駆動量データをコントローラ8に入力するとともに、そのサーボモータ駆動量データに基いてコントローラ8から左右進退装置72のサーボモータ72aに対して、外方退避位置にある各強制拡張部材71′を展張吊上げ布類S0の左右外側部寄り前面Scに正確に対面する位置(符号71″の位置)までの距離M0だけ内方移動させる。
【0104】
尚、各左右動装置22,22による各受取チャック21,21の移動範囲(例えば図9の各距離L,L)は常に同じであり、従ってコントローラ8に入力する上記サーボモータ駆動量データは一方のサーボモータ23のものだけでもよい。
【0105】
そして、各強制拡張部材71,71が展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面Sc,Scに対面した後、各接離移動装置(接離動シリンダ)73,73が縮小して、各前面側拡張ベルト75,75を図14の鎖線図示位置(符号75′)及び図15に示すように布類外側部寄り前面Scに接触させる。又、接離動シリンダ73の縮小作動に前後して、強制拡張部材71のモータ76を作動させ、前面側拡張ベルト75を作動させる(ベルト奥面が左右外側に走行する)。
【0106】
又、この第3実施例の布類展張搬送機では、各強制拡張部材71,71がそれぞれ布類外側部寄り前面Sc,Scに接触した状態で展張吊上げ布類Sが上方に引き上げられていき、展張吊上げ布類Sの丸ぐり部Tの下端縁付近が強制拡張部材71,71の高さ位置に差しかかったときに、コントローラ8からの信号で左右進退装置72(サーボモータ72a)を退避側に作動させて各強制拡張部材71,71を布類左右外側部寄り前面Sc,Scに摺接させながらそれぞれ退避位置まで移動せしめるようにしている。尚、各強制拡張部材71,71を対面位置から退避位置に移動させるタイミングは、例えば展張吊上げ布類の上方引き上げ開始時点から所定タイマー後に(展張吊上げ布類の丸ぐり部の下端縁Ta付近が強制拡張部材71,71の高さ位置に差しかかった時点で)コントローラ8からの信号で左右進退装置72を退避側に作動させるようにしたり、あるいは引き上げられる展張吊上げ布類の下端縁が所定高さ位置を通過するのを検出器で検出して該検出器からの信号で左右進退装置72を退避側に作動させるようにしたりすることができる。
【0107】
この第3実施例の布類展張搬送機では、展張吊上げ布類Sを上方に引き上げる際の左右位置ずれ修正装置の一部となる左右の各センサー14,14は、それぞれ左右の強制拡張部材71,71の各支持フレーム81,81の下面に取付けている。この各センサー14,14の取付位置は、展張吊上げ布類Sの左右幅に対応して各強制拡張部材71,71がそれぞれ布類の左右外側部寄り前面Sc,Scの所定位置に対面した状態で、図9又は図12に示すように該各センサー14,14が布類側縁部Sd(又は図12のSd0)の左右外側の近傍に位置するように位置決めされている。尚、この各センサー14,14は、展張吊上げ布類Sの前面側から奥方向に向けて布類側縁部Sdを監視するようになっている(図14の点線矢印参照)。
【0108】
又、この各センサー14,14からの布類側縁部検出信号は、それぞれコントローラ8に入力されて該コントローラ8からの信号で上記第1実施例の場合と同様に、左右の背面側拡張ベルト61,61の駆動スピードを制御するようにしている。
【0109】
この第3実施例の布類展張搬送機では、次のように作動する。尚、この第3実施例の布類展張搬送機では、大小サイズが混在した布類(額縁包布)を処理できる。
【0110】
作業当初は、左右の各強制拡張部材71,71は、それぞれ左右外側の退避位置(符号71′,71′の位置)にある。そして、布類(額縁包布)の一辺の両端角部Sa,Saを捜し出して、丸ぐり部Tが手前側に向く姿勢で該各角部Sa,Saを投入装置1の各投入チャック11,11に掴持させた後(図9の符号S′)、スタートボタンを押す。すると、第1実施例の場合と同様に、各投入チャック11,11が上動して布類両角部Sa,Saをそれぞれ受取チャック21,21に受け渡し(図9の符号S″)、続いて左右動装置22,22の各サーボモータ23,23が作動して各受取チャック21,21を布類上辺部Sbが緊張するまで左右離間方向に移動させて、布類上辺部Sbを吊上げ状態で左右に展張させる。
【0111】
このとき、展張される布類(額縁包布)のサイズ(例えば図12の小サイズ布類Sや大サイズ布類S0)により受取チャック21の移動距離(図12の距離Lや距離M)が変化し、それに伴って各左右動装置22,22(サーボモータ23,23)の駆動量が変化するが、展張された布類ごとにそのサーボモータ駆動量データがそれぞれコントローラ8に入力される。
【0112】
その後、第1実施例の場合と同様に、吸引装置3により布類下方部分が吸引・展張された後、受渡し装置4が作動して、布類上辺部が吸着コンベア51の始端部上に移乗されるが、その直後にコントローラ8からの制御信号で左右進退装置72のサーボモータ72aを強制拡張部材内方移動側に作動させる(サーボモータ72aを図2において右回転させる)。このときのコントローラ8からの制御信号(左右進退装置のサーボモータ72aに対する指示駆動量)は、先にコントローラ8に入力されているサーボモータ駆動量データ(各受取チャック21の移動距離データ)に対応して、各強制拡張部材71,71を各外方退避位置(71′の位置)から展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面Sc,Scに正確に対面させる位置まで移動させるものである。例えば、図12において、布類上辺部の展張時に受取チャック21の移動距離がLの場合(小サイズ布類Sの場合)は、コントローラ8からサーボモータ72aに対して強制拡張部材71を距離L0だけ移動させる制御量の信号を出力し、該受取チャック21の移動距離がMの場合(大サイズ布類S0の場合)は、コントローラ8からサーボモータ72aに対して強制拡張部材71を距離M0だけ移動させる制御量の信号を出力する。
【0113】
このように、布類上辺部の展張時におけるサーボモータ駆動量データに基いてコントローラ8で左右進退装置72(サーボモータ72a)の作動量を制御するようにすると、布類サイズに拘わらず、毎回自動で且つ各強制拡張部材71,71を展張吊上げ布類の左右外側部寄り前面Sc,Scに対して常に適正位置に対面させることができる。
【0114】
又、各センサー14,14は、各強制拡張部材71,71と共に左右方向に移動するが、該各強制拡張部材71,71の停止位置では、各センサー14,14が当該サイズの布類の左右各側縁部Sd,Sdの外側近傍位置に位置している(図12において、小サイズ布類Sの場合は符号14の位置となり、大サイズ布類S0の場合は符号14″の位置となる)。
【0115】
続いて左右の各接離移動装置(接離動シリンダ)73,73を縮小させて、図14の鎖線図示又は図15に示すように各強制拡張部材71の前面側拡張ベルト75をそれぞれ展張吊上げ布類の左右各外側部寄り前面Sc,Scに接触させるとともに、各前面側拡張ベルト75,75の各モータ76を作動させて該前面側拡張ベルト75の奥側面をそれぞれ左右外向きに走行させる。
【0116】
この状態では、図15に示すように、展張吊上げ状態の布類Sが左右の各背面側拡張ベルト61,61と左右の各前面側拡張ベルト75,75とで表裏から軽く挟持され、且つ表裏各側の拡張ベルト61,75がそれぞれ左右外向きに走行しているので、展張吊上げ布類Sはその表裏各側からそれぞれ左右各外側に引っ張られる作用を受ける。
【0117】
そして、その後も吸着コンベア51が走行していることにより、展張吊上げ布類の下部側が順次上方に引き上げられていくが、その最中に布類の各外側部寄り部分がそれぞれ表裏から各拡張ベルト61,75で挟持され、且つ展張吊上げ布類Sの背面側が各背面側拡張ベルト61,61で順次左右外側に展張される一方、該展張吊上げ布類Sの前面側が各前面側拡張ベルト75,75で順次左右外側に展張されるので、布類の左右各側部(表裏各生地間)の空気が排除されるとともに、布類の表裏両面が左右に展張される。
【0118】
ところで、布類の左右外側部寄り部分が表裏から各拡張ベルト61,75で挟持された状態(図15の状態)では、背面側拡張ベルト61側が吸引されている関係で、背面側拡張ベルト61と布類背面との摩擦力が前面側拡張ベルト75と布類前面との摩擦力より大きくなっている。この場合も、各背面側拡張ベルト61,61による外側引張力に差が生じると、布類における背面側拡張ベルト61に接触する部分が該外側引張力の強い側に偏位することがある。
【0119】
そして、上記第1実施例の場合と同様に、左右何れか一方のセンサー14が布類側縁部Sdを検出すると、その検出信号がコントローラ8に入力されて、該コントローラ8から当該検出側の背面側拡張ベルト61のモータ62に対して停止(又は減速)させる信号が発せられ、上記第1実施例の場合と同様に、布類の左右偏位を自動で修正することができる。従って、この第3実施例の布類展張搬送機でも、展張布類を正常な長方形の状態で次工程側に搬送できる。
【0120】
又、展張吊上げ布類Sの丸ぐり部下縁部Taが前面側拡張ベルト75,75の高さ位置付近まで引き上げられた時点で、コントローラ8からの信号で左右進退装置72のサーボモータ72aが退避側に作動し(サーボモータ72aが図10において左回転する)、各前面側拡張ベルト75,75を丸ぐり部下縁部Taの左右各外側部寄り位置Sc,Scに摺接しながら退避位置(図9、図10の符号71′の位置)まで移動させる。このとき、丸ぐり部下縁部Taが摺接により左右各外側に引っ張られ、丸ぐり部の下縁部分が自重で垂れ下がっていても該丸ぐり部下縁部分が確実に緊張状態に伸展する。
【0121】
退避位置まで後退した各強制拡張部材は、それぞれ接離移動装置73が伸長することにより手前側の後退位置(図10に符号71′で示す鎖線図示位置)に戻されて、そこで次の布類展張作業時まで待機する。尚、各強制拡張部材71,71が退避位置まで戻されたときに、モータ76がOFFになって、前面側拡張ベルト75の走行が停止する。
【0122】
このように、第3実施例の布類展張搬送機を使用すれば、丸ぐり部Tを有した布類(額縁包布)Sであっても表裏の各全面をそれぞれきれいに展張させた状態で次工程側に搬送させることができ、しかもサイズの異なる布類が混在していても各強制拡張部材71,71を自動で適正位置に位置させることができ、さらに左右位置ずれ修正装置(各センサー14,14と各背面側拡張ベルト61,61の駆動スピードを制御するコントローラ8)により、各布類を常に正常な長方形姿勢(布類側縁部Sdが搬送方向Pと平行)で次工程側に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本願第1実施例の布類展張搬送機の正面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII−III矢視図である。
【図4】図1の布類展張搬送機の作動説明図(図3相当図)である。
【図5】図4からの状態変化図である。
【図6】図5からの状態変化図である。
【図7】図1の布類展張搬送機における布類偏位修正装置の説明図である。
【図8】本願第2実施例の布類展張搬送機の正面図である。
【図9】本願第3実施例の布類展張搬送機の正面図である。
【図10】図9のX−X矢視図である。
【図11】図9のXI−XI矢視図である。
【図12】図9の右側前面押付装置部分の拡大図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図12のXIV−XIV拡大断面図である。
【図15】図13の状態から強制拡張部材が布類前面に接触した状態の拡大図である。
【図16】公知例の布類展張搬送機の正面図である。
【図17】図16の布類展張搬送機の作動説明図である。
【図18】図17からの状態変化図である。
【図19】図16の布類展張搬送機における展張布類の搬送状態説明図である。
【符号の説明】
【0124】
1は投入装置、2は左右展張装置、3は吸引装置、4は受渡し装置、5は搬送装置、6は布類背面拡張装置、7は前面押付装置、8はコントローラ、11は投入チャック、14はセンサー、14aは複数センサー、21は受取チャック、22は左右動装置、23はサーボモータ、61は背面側拡張ベルト、71は接触部材(強制拡張部材)、72は左右動装置、72aはサーボモータ、73は接離移動装置、75は前面側拡張ベルト、Sは布類、Saは布類角部、Sbは布類上辺部、Scは布類外側部寄り前面、Sdは布類外端部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーツや布団包布のような大面積の布類(S)の一辺の両端角部(Sa,Sa)をそれぞれ掴持した状態で所定高位置まで吊上げ、その吊上げ布類の各角部(Sa,Sa)を左右に離間させて布類(S)を機体幅方向の定位置において吊上げ状態で展張させた後、その展張吊上げ布類(S)を該布類背面に摺接する左右一対の拡張ベルト(61,61)でそれぞれ左右外側に拡張させながら上方に引き上げて、該布類(S)を展張状態のまま次工程側に搬送させるようにした布類展張搬送方法であって、
前記展張吊上げ布類(S)の左右側縁部(Sd,Sd)が正規の位置で上方に引き上げられているときには、前記両拡張ベルト(61,61)を相互に等速の所定スピードで駆動させ、
前記展張吊上げ布類(S)の左右各側縁部(Sd,Sd)の何れか一方が所定幅だけ左右外側に位置ずれしたときには、その外側位置ずれ側縁部(Sd′)が位置する側の拡張ベルト(61)の駆動スピードを停止又は減速させて、他方の拡張ベルト(61)の布類背面外側拡張作用により位置ずれ側縁部(Sd′)の位置修正を行い、
前記位置ずれ側縁部(Sd′)が正常位置に戻された時点で、停止又は減速させていた前記拡張ベルト(61)の駆動スピードを元の所定スピードに戻すように制御する、
ことを特徴とする布類展張搬送方法。
【請求項2】
シーツや布団包布のような大面積の布類(S)の一辺の両端角部(Sa,Sa)をそれぞれ掴持した状態で所定高位置まで吊上げ、その吊上げ布類の各角部(Sa,Sa)を左右に離間させて布類(S)を機体幅方向の定位置において吊上げ状態で展張させた後、その展張吊上げ布類(S)を該布類背面に摺接する左右一対の拡張ベルト(61,61)でそれぞれ左右外側に拡張させながら上方に引き上げて、該布類(S)を展張状態のまま次工程側に搬送させ得るようにした布類展張搬送機であって、
前記展張吊上げ布類(S)の左右各側縁部(Sd,Sd)のそれぞれ近傍位置で前記拡張ベルト(61)の設置高さ付近に、前記展張吊上げ布類(S)の左右側縁部(Sd,Sd)が正規の位置から所定幅だけ左右外側に位置ずれしたことを検出することができる左右一対のセンサー(14,14)を設置し、
さらに該各センサー(14,14)からの検出信号を受けて前記各拡張ベルト(61,61)の駆動スピードを制御するコントローラ(8)を備えているとともに、
該コントローラ(8)は、前記各センサー(14,14)が前記展張吊上げ布類(S)の左右側縁部(Sd,Sd)の位置ずれを検出しない状態では前記両拡張ベルト(61,61)を所定の等スピードで駆動させ、左右何れかのセンサー(14)が前記布類側縁部(Sd)の位置ずれを検出している間は当該検出側センサー(14)が位置する側の拡張ベルト(61)の駆動スピードを停止又は減速させ、さらに両センサー(14,14)が布類左右側縁部(Sd,Sd)の位置ずれを解消したと判断した時点で停止又は減速させた前記拡張ベルト(61)の駆動スピードを元の所定スピードに戻すように制御するようにしている、
ことを特徴とする布類展張搬送機。
【請求項3】
請求項2において、
左右一対のセンサー(14,14)として、展張吊上げ布類(S)の左右各側縁部(Sd,Sd)のそれぞれ左右内外に跨がる所定長さ範囲に、左右に所定小間隔をもって複数個ずつ並置された複数センサー(14a,14a・・)を使用している、
ことを特徴とする布類展張搬送機。
【請求項4】
請求項2において、
各拡張ベルト(61,61)に対面する位置に展張吊上げ布類(S)の左右外側部寄り前面(Sc,Sc)をそれぞれ各拡張ベルト(61,61)側に押付ける接触部材(71)を有した左右一対の前面押付装置(7,7)を配置し、
さらに前記各接触部材(71,71)は、左右進退装置(72)により展張吊上げ布類(S)の左右各側縁部(Sd,Sd)から外側に退避する退避位置と展張吊上げ布類(S)の左右外側部寄り前面(Sc,Sc)に対面する位置との間で左右移動でき且つ展張吊上げ布類(S)の左右幅に対応してそれぞれ展張吊上げ布類(S)の左右外側部寄り前面(Sc,Sc)に対面する位置に位置調整し得るようにしているとともに、
前記各接触部材(71,71)にそれぞれ布類側縁部検出用のセンサー(14,14)を取付けて、該各センサー(14,14)がそれぞれ各接触部材(71,71)とともに左右移動するようにしている、
ことを特徴とする布類展張搬送機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−275330(P2009−275330A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130381(P2008−130381)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】