説明

希土類化合物を含む腐食抵抗コーティング

【課題】有効腐食抑制量の希土類化合物、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤またはそれらの組み合わせを含むコーティング組成物の提供。
【解決手段】一つの実施態様では、腐食抑制成分は、生成するコーティング膜の腐食抵抗性を高めるために、増量剤、アミノ酸およびアミノ酸誘導体、ゼラチンおよびゼラチン誘導体、有機系交換樹脂およびそれらの組み合わせなどのその他の成分と組み合わされる。コーティング組成物は、アルミニウムおよびアルミニウム合金を含む金属などの基板に対する良好な接着性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングに関する。詳しくは、本発明は、腐食抵抗性コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
コーティングは、数多くの理由によって使用される。一般に、工場では電化製品、自動車、航空機および類似物などの所定の基板または製品に、製品コーティングまたは産業コーティングが塗布される。一般に、航空機産業を含む多くの産業は、腐食保護および改善された性能の両方を提供するコーティングシステムを使用する。
【0003】
金属基板の腐食抵抗性を高めるために、一般に、基板に塗布するコーティング中に腐食抑制顔料または添加剤が用いられる。通常の腐食抑制顔料は、優れた腐食抵抗性を提供するクロム酸ストロンチウムである。しかし、クロム酸塩類は毒性が強く発癌性であることが知られるにつれ、近年、クロム酸塩類の使用に対して広範な懸念が生じた。さらに、地方自治体および政府の規制がより厳しくなるにつれ、クロム酸塩物質の処分はますます難しくなりつつある。
【0004】
その結果、環境的に許容可能な腐食抑制顔料または添加剤を用いることによって、腐食抑制コーティングを製造する試みがなされた。しかし、これらのコーティングは、用いられる顔料または添加剤が塗料と適合しない、あるいは塗料を基板から剥離させてしまう点で問題が多い。いくつかは、実際には腐食プロセスを加速することが知られている。
【0005】
従って、効果的であるが、クロム酸塩類を使用しない腐食抵抗コーティングを提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本発明は、希土類酸化物、水酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物、塩、トリフラート、炭酸塩および錯体などの希土類化合物を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて含み、アルミニウムおよびアルミニウム合金、無被覆鋼および亜鉛メッキ鋼、亜鉛、マグネシウムおよびマグネシウム合金を含む金属への良好な接着性とともに、腐食抵抗性を有する水系または溶媒系コーティング組成物に関する。本発明は、さらに、希土類化合物を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて含むコーティング組成物を調製するプロセスに関する。
【0007】
さらに、本発明は、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムからなる群から選ばれる金属塩(例えば金属硫酸塩)などの一つ以上の中性ないし弱酸性増量剤または酸性増量剤を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて含み、アルミニウムおよびアルミニウム合金、無被覆鋼および亜鉛メッキ鋼、亜鉛、マグネシウムおよびマグネシウム合金を含む金属などの基板への良好な接着性とともに、腐食抵抗性を有する水系または溶媒系コーティング組成物に関する。ほとんどの実施態様では、コーティングは、さらに結合剤を含む。本発明は、さらに、中性ないし弱酸性増量剤または酸性増量剤を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて含むそのようなコーティング組成物を調製するプロセスに関する。
【0008】
一つの実施態様では、前処理基板を作製するために基板に塗布した一つ以上の前処理コーティングと、有効腐食抑制量の希土類化合物、中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤とを含むコーティングシステムが提供される。一つの実施態様では、基板は前処理を受けない。一つの実施態様では、コーティングシステムは、トップコートを含む。一つの実施態様では、コーティングシステムは、樹脂コーティングである。一つの実施態様では、コーティングシステムは、UVコーティングシステム、電解コーティング(e‐コーティング)システム、アップリケ、粉体コーティングシステムおよびマイクロ波コーティングシステムからなる群から選ばれる。一つの実施態様では、基板は、アルミニウムおよびアルミニウム合金、無被覆鋼および亜鉛メッキ鋼、亜鉛(亜鉛合金を含むものとする)、マグネシウムおよびマグネシウム合金、銅および青銅からなる群から選ばれる金属基板である。
【0009】
さらに、本発明は、塗布される基板を準備する工程と、有効腐食抑制量の希土類化合物、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤を有するコーティング組成物を基板に塗布する工程とを含む、コーティング組成物を使用する方法に関する。一つの実施態様では、コーティングは、スプレー塗布、ブラシ塗布、ローラー塗布および浸漬塗布を含むが、それらに限定されない任意の従来法によって塗布される。一つの実施態様では、この方法は、トップコートを塗布する工程をさらに含む。
【0010】
本明細書で説明するコーティングは、許容できるレベルの塗料接着性を維持しながら、優れた腐食抵抗性能を有する。本コーティング組成物は、航空宇宙および航空機産業を含むが、それらに限定されない多くの産業で有用である。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
希土類化合物、および
結合剤
を含む腐食抑制組成物。
(項目2)
希土類化合物、
結合剤、および
中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤
を含む腐食抑制組成物。
(項目3)
プラセオジム(III/IV)混合酸化物、および
結合剤
を含む腐食抑制プライマ組成物。
(項目4)
結合剤、および
希土類酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物および水酸化物からなる群から選ばれる二つ以上の希土類元素酸化物を含む希土類元素混合酸化物
を含む腐食抑制コーティング組成物。
(項目5)
結合剤、および
希土類酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物および水酸化物からなる群から選ばれる一つ以上の希土類プラセオジムまたはテルビウム酸化物
を含む腐食抑制コーティング組成物。
(項目6)
結合剤、および
希土類酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物および水酸化物からなる群から選ばれる一つ以上の希土類元素酸化物であって、希土類元素酸化物の少なくとも一つは無水プラセオジム酸化物である希土類元素酸化物、および
金属硫酸塩
を含む局所pHまたはイオン活性を有する、腐食抑制性コーティング組成物。
(項目7)
有効腐食抑制量の一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤、および
結合剤
を含む腐食抑制コーティング組成物。
(項目8)
カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムからなる群から選ばれる金属カチオンを有する有効腐食抑制量の中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤、および
結合剤
を含む腐食抑制組成物。
(項目9)
希土類化合物をさらに含む、項目7または8に記載のコーティング組成物。
(項目10)
前記希土類化合物は、希土類酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物、水酸化物、塩、トリフラート、錯体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目11)
前記希土類化合物は、無水物または水和物である、項目10に記載のコーティング組成物。
(項目12)
前記希土類化合物は、プラセオジム、テルビウム、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、イットリウム、ネオジムおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる一つ以上の金属カチオンを含む、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目13)
前記希土類化合物は、酸化セリウム、水酸化セリウム、セリウム固溶体混合酸化物、酸化セリウム混合物、セリウム塩、酸化ネオジム、水酸化ネオジム、ネオジム固溶体混合酸化物、酸化ネオジム混合物、ネオジム塩、酸化プラセオジム、水酸化プラセオジム、プラセオジム固溶体混合酸化物、酸化プラセオジム混合物、プラセオジム塩、酸化イッテルビウム、水酸化イッテルビウム、イッテルビウム固溶体混合酸化物、酸化イッテルビウム混合物、イッテルビウム塩、酸化イットリウム、水酸化イットリウム、イットリウム固溶体混合酸化物、酸化イットリウム混合物、イットリウム塩、酸化テルビウム、水酸化テルビウム、テルビウム固溶体混合酸化物、酸化テルビウム混合物、テルビウム塩およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目14)
前記希土類化合物は、プラセオジム化合物である、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目15)
前記プラセオジム化合物は、プラセオジム(III)、プラセオジム(III/IV)、プラセオジム(IV)の化合物およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目16)
前記プラセオジム化合物は、プラセオジム(III)化合物である、項目1から2、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目17)
前記プラセオジム(III)化合物は、プラセオジム(III)酸化物である、項目16に記載のコーティング組成物。
(項目18)
前記プラセオジム化合物は、プラセオジム(III/IV)化合物である、項目14に記載のコーティング組成物。
(項目19)
前記プラセオジム(III/IV)化合物は、プラセオジム(III/IV)酸化物である、項目18に記載のコーティング組成物。
(項目20)
前記プラセオジム化合物は、プラセオジム(IV)化合物である、項目14に記載のコーティング組成物。
(項目21)
前記希土類元素酸化物の少なくとも一つは、Y、La、CeO、Pr(OH)、PrO、Pr、Pr11、Nd、Sm、TbおよびYbからなる群から選ばれる、項目4から6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目22)
前記希土類元素酸化物の少なくとも一つは、PrO、PrおよびPr11からなる群から選ばれる、項目4から6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目23)
約0.1から約90wt%Pr11を含む、項目1から9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目24)
約0.1から約28wt%Pr11を含む、項目1から9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目25)
増量剤をさらに含む、項目1、または3から6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目26)
有効腐食抑制量の中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤をさらに含む、項目1から6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目27)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、硫黄、リンまたはケイ素のオキシアニオン含有化合物である、項目7または8、あるいは26のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目28)
前記硫黄、リンまたはケイ素のオキシアニオン含有化合物は、金属カチオン硫酸塩、金属カチオン亜硫酸塩、金属カチオンスルホン酸塩、金属カチオンプロトン化リン酸塩、カチオンリン酸塩、金属カチオン亜ホスホン酸塩、オキシリン酸塩、粘土鉱物カオリンおよびそれらの組合せからなる群から選ばれる、項目27に記載のコーティング組成物。
(項目29)
前記中性ないし弱酸性増量剤または前記酸性発生増量剤は、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、7または8、あるいは26に記載のコーティング組成物。
(項目30)
前記硫黄、リンまたはケイ素のオキシアニオン含有化合物は、硫黄、リンまたはケイ素オキシアニオン含有塩である、項目27に記載のコーティング組成物。
(項目31)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、硫酸塩である、項目26に記載のコーティング組成物。
(項目32)
前記硫酸塩は、金属硫酸塩である、項目31に記載のコーティング組成物。
(項目33)
前記金属硫酸塩は、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目32に記載のコーティング組成物。
(項目34)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、リン酸塩である、項目26に記載のコーティング組成物。
(項目35)
前記中性ないし弱酸性増量剤は、プロトン化リン酸カルシウムである、項目34に記載のコーティング組成物。
(項目36)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、無水または水和のランタニド硫酸塩である、項目7または8、あるいは26のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目37)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、無水硫酸マグネシウム、水和硫酸マグネシウム、無水硫酸カルシウム、水和硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸サマリウムおよび硫酸ストロンチウムからなる群から選ばれる金属硫酸塩である、項目7または8、あるいは26のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目38)
前記金属硫酸塩は、水和硫酸カルシウム、無水硫酸カルシウムまたは硫酸ストロンチウムである、項目37に記載のコーティング組成物。
(項目39)
約1から約99wt%の金属硫酸塩を含む、項目37に記載のコーティング組成物。
(項目40)
約45から約75wt%の金属硫酸塩を含む、項目37に記載のコーティング組成物。
(項目41)
前記中性ないし弱酸性発生増量剤または前記酸性発生増量剤は、全増量剤含有量の約100%の重量パーセントで添加される、項目7または8、あるいは26に記載のコーティング組成物。
(項目42)
前記組成物は、水系、溶媒系および粉体のコーティング組成物からなる群から選ばれる、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目43)
前記組成物は、水系組成物である、項目42に記載のコーティング組成物。
(項目44)
前記結合剤は有機重合体である、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目45)
前記有機重合体は、エポキシ、ウレタン、尿素、アクリレート、アルキド、メラミン、ポリエステル、ビニル、ビニルエステル、シリコーン、シロキサン、ケイ酸塩、スルフィド、スルホン、エポキシノボラック、エポキシフェノール、アミド、乾性油および炭化水素の各重合体からなる群から選ばれる、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目46)
前記結合剤は、シリコーン、シロキサンおよびケイ酸塩重合体からなる群から選ばれる無機重合体である、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目47)
前記無機重合体は、ケイ酸塩、シリコーン、ケイ酸塩重合体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、項目46に記載のコーティング組成物。
(項目48)
前記結合剤は、複合材料である、項目47に記載のコーティング組成物。
(項目49)
前記複合材料は、炭素繊維複合材料である、項目48に記載のコーティング組成物。
(項目50)
直線状および環状デキストリン、トリフル酸、トリフラート、アセタート、タルク、カオリン、有機系イオン交換樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と組み合わせた、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目51)
約0.03から約5wt%のシクロデキストリン、約0.1から約0.5wt%のトリフル酸、または約0.1から約5wt%のイオン交換樹脂を含む、項目50に記載のコーティング組成物。
(項目52)
ゼラチンおよびゼラチン誘導体からなる群から選ばれる物質をさらに含む、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目53)
約0.03から約5wt%のゼラチンを含む、項目52に記載のコーティング組成物。
(項目54)
アミノ酸、アミノ酸誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質をさらに含む、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目55)
前記アミノ酸は、グリシン、アルギニンおよびメチオニンからなる群から選ばれる、項目54に記載のコーティング組成物。
(項目56)
前記アミノ酸誘導体は、メチオニンスルホキシドまたはメチオニンメチルスルホキシドである、項目54に記載のコーティング組成物。
(項目57)
約0.1から約5wt%のアミノ酸を含む、項目54に記載のコーティング組成物。
(項目58)
着色顔料をさらに含む、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目59)
前記着色顔料は、TiOである、項目58に記載のコーティング組成物。
(項目60)
項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物で被覆した基板。
(項目61)
前記基板は、金属基板である、項目60に記載の基板。
(項目62)
前記基板は、アルミニウムである、項目60に記載の基板
(項目63)
前記基板は、複合材料である、項目60に記載の基板。
(項目64)
基板に塗布した一つ以上の希土類化合物、一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤、または一つ以上の酸性発生増量剤を有効腐食抑制量含むコーティング
を含むコーティングシステム。
(項目65)
基板に塗布され前処理基板を形成する一つ以上の前処理コーティングと、トップコートとをさらに含む、項目64に記載のコーティングシステム。
(項目66)
基板に塗布され前処理基板を形成する一つ以上の前処理コーティング、および
一つ以上の希土類化合物を有効腐食抑制量含むコーティング
を含むコーティングシステム。
(項目67)
基板に塗布され前処理基板を形成する一つ以上の前処理コーティング、および
一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤または一つ以上の酸性発生増量剤を有効腐食抑制量含むコーティング
を含むコーティングシステム。
(項目68)
基板に塗布され前処理基板を形成する一つ以上の前処理コーティング、および
一つ以上の希土類化合物、一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤または一つ以上の酸性発生増量剤を有効腐食抑制量含むコーティング、および
少なくとも一つ以上の他の成分を含むコーティングシステムであって、前記コーティングは、前記前処理基板に塗布されるものとする、
コーティングシステム。
(項目69)
トップコートをさらに含む、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目70)
前記トップコートは、ウレタントップコートである、項目69に記載のコーティングシステム。
(項目71)
前記コーティングシステムは、樹脂システムである、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目72)
前記コーティングシステムは、UVコーティングシステム、アップリケ、電解コーティングシステム、粉体コーティングシステムおよびマイクロ波コーティングシステムからなる群から選ばれる、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目73)
前記基板は、スプレー塗布、ブラシ塗布、ローラー塗布および浸漬塗布からなる群から選ばれる方法によって被覆される、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目74)
前記基板は、複合基板である、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目75)
前記基板は、金属基板である、項目65から68のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目76)
項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物で基板を処理する工程、および塗布したコーティング組成物を硬化させる工程を含む、前記基板を前記コーティング組成物で被覆する方法。
(項目77)
基板をコンバージョンコーティングで処理する工程、項目1から8のいずれか1項に記載のコーティング組成物を塗布する工程、および塗布したコーティング組成物を硬化させる工程を含む、前記基板を被覆する方法。
(項目78)
前記コンバージョンコーティングは、セリウムコンバージョンコーティング、プラセオジムコンバージョンコーティング、リン酸塩コンバージョンコーティング、亜鉛型コンバージョンコーティングおよびクロムコンバージョンコーティングならびに陽極処理型コーティングからなる群から選ばれる、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記コンバージョンコーティングは、クロムコンバージョンコーティングである、項目78に記載の方法。
(項目80)
塗料調合物を調製する工程、および
コーティング組成物を製造するために、希土類化合物、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤を有効腐食抑制量分、塗料調合物に加える工程
を含む、コーティング組成物を調製する方法。
(項目81)
分散剤を用いて前記希土類化合物、前記中性ないし弱酸性増量剤または前記酸性増量剤を予備分散することをさらに含む、項目80に記載の方法。
(項目82)
コーティングされる基板を提供する工程、および
前記基板を、希土類化合物、中性ないし弱酸性増量剤または増量剤を有効腐食抑制量有するコーティング組成物で被覆する工程
を含む方法。
(項目83)
前記基板は、前処理基板である、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記前処理基板は、スプレー塗布、ブラシ塗布、ローラー塗布および浸漬塗布からなる群から選ばれる方法によって被覆される、項目82または83に記載の方法。
(項目85)
トップコートを塗布する工程をさらに含む、項目82から84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記希土類化合物は、希土類炭酸塩または希土類トリフラートである、項目1から6、または9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(項目87)
前記有機重合体は、エポキシ重合体である、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目88)
前記金属基板は、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、亜鉛めっき鋼、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金からなる群から選ばれる、項目75に記載のコーティングシステム。
(項目89)
項目61に記載の基板、またはアルミニウム、アルミニウム合金、鋼、亜鉛めっき鋼、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金からなる群から選ばれる基板。
(項目90)
前記硫酸塩は、プラセオジム硫酸である、項目32に記載のコーティング組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施態様の詳細な説明)
以下の詳細な説明では、当業者が本発明を実施することができるように、十分詳細に実施態様を説明する。その他の実施態様を利用してもよく、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく構造、論理およびその他の変化を施してもよい。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。以下の詳細な説明は、定義セクションで始まり、本発明のさまざまな実施態様の説明がそれに続く。その後で一連の実施例を提示し、それから短い結論を示す。
【0012】
(定義)
本明細書で用いられる用語「基板」は、固有の性質を提供するために清浄にし、および/または保護し、および/または改質することができる表面を有する構造物を指す。腐食抑制コーティングを塗布することについては、そのような基板は一般に金属であるが、「基板」はいかなる特定の種類の材料にも限定されない。しかし、腐食抑制コーティングは、重合体基板(例えば被覆金属基板)などのその他の基板に塗布してもよい。腐食抑制コーティングは、炭素繊維およびエポキシ樹脂で作られた基板などの複合基板に塗布してもよい。複合基板は腐食しないが、それでも、コーティングは基板材料と適合しなければならない制約はあるものの、表面保護および/またはその他の固有の性質を基板に提供するために、複合基板で腐食抑制コーティングを用いてもよい。いくつかの場合には、基板の主な部分は複合材料から作られ、従って腐食からの保護を必要としないが、所望のコーティング区域内の他の金属表面、例えば金属リベットの存在のために、腐食抑制コーティングの使用が必要である。
【0013】
本明細書で用いられる用語「増量剤」または「増量顔料」は、コストを減らすためなどの他の理由で加えられることもあるが、注釈なしで用いられるときには、塗料硬化後に最終的に生成するコーティングの体積を増加させるために一般に塗料調合物中に加えられる顔料の一種類を指す。さらに、またはあるいは、増量剤は、システム全体をより腐食抵抗性にする上で活性成分のことがある。体積を増加させる増量剤は、多くの場合「充填剤」または「増量/充填剤」と呼ばれる。
【0014】
本明細書で用いられる用語「中性ないし弱酸性発生増量剤」、すなわち「中性ないし弱酸性発生添加剤」は、金属カチオンおよび対応するオキシアニオン(一つ以上の非金属と結合した酸素を有するアニオンを意味する)を指す。好ましいが必須でない増量剤は、硫黄、リンおよびケイ素オキシアニオン含有化合物である。特に興味あるのは、硫黄、リンおよびケイ素オキシアニオン含有塩である。中性ないし弱酸性発生増量剤は、コーティング組成物中に約4から約8の間のpH環境(コーティング組成物のpHは、当業者に既知の標準的な方法および濃度によって定められるとする)を生じさせるために単独で、あるいは他の成分と組み合わせて用いてよい。この環境は、コーティング組成物から接触する下地の基板の区域への、用いられる特定の抑制剤化学種の輸送を促進し最適化する助けとなるようである。中性ないし弱酸性発生増量剤は、それ自体酸性、中性または塩基性(例えば、NaHPO)であってよく、コーティング組成物に増量剤的な性質を加えてもよい。ほとんどの場合、中性ないし弱酸性発生増量剤は、コーティング組成物に実質的に溶けず、それによって組成物の体積を増加させる。中性ないし弱酸性発生増量剤の例は、硫酸塩、亜硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、リン酸一水素塩および二水素塩、亜リン酸一水素塩および二水素塩、およびホスホン酸一水素塩を含むが、それらに限定されない。また別の例は、リン酸第一セリウムなどのオキシリン化合物、および硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムおよび類似物などのいくつかのIIA族硫酸塩を含む。しかし、実質的に可溶性であり、従って組成物の体積を増加させない中性ないし弱酸性発生増量剤、すなわち添加剤は、この用語の範囲内に包含されることを明らかにしておく。例は、硫酸マグネシウムおよびいくつかのIA族硫酸塩など、体積を増加させることには有用でないことが当分野で知られているが、腐食抑制剤として驚くほど良好な結果を示した、ある種の硫酸塩を含む。組成物中に所望のpHを生じさせるために必要な酸性発生増量剤の正確な量は、結合剤、溶媒、顔料およびコーティング組成物中に存在する他の種類の増量剤を含むその他の添加剤の種類および量に依存して変化する。
【0015】
本明細書で用いられる用語「酸性発生増量剤」、すなわち「酸性発生添加剤」は、金属カチオンおよび対応するオキシアニオン(一つ以上の非金属と結合した酸素を有するアニオンを意味する)を指す。好ましいが必須でない増量剤は、硫黄、リンおよびケイ素オキシアニオン含有化合物である。特に興味あるのは、硫黄、リンおよびケイ素オキシアニオン含有塩である。酸性発生増量剤は、コーティング組成物中に約2から約4の間より低いpH環境(コーティング組成物のpHは、当業者に既知の標準的な方法および濃度によって定められるとする)を生じさせるために単独で、あるいは他の成分と組み合わせて用いてよい。この環境は、コーティング組成物から接触する下地の基板の区域への、用いられる特定の抑制剤化学種の輸送を促進し最適化する助けとなるようである。酸性発生増量剤は、それ自体酸性または中性であってよく、コーティング組成物に増量剤的な性質を加えてもよい。約2から約4の間のpH環境を生じさせることができる化合物の例は、硫酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸二水素カルシウムなどのある種の硫酸水素塩を含むが、それらに限定されない。ここでも、実質的に可溶性であり、それによって組成物の体積を増加させない酸性発生増量剤は、この用語の範囲内に包含されることを明らかにしておく。同一化合物が、両方の環境を生じさせることができるので、「酸性発生増量剤」としても「中性ないし弱酸性発生増量剤」としても適切に分類されることはあり得る。両方の環境も生じさせることができる化合物の一つの例は、リン酸水素カルシウムを含むが、それに限定されない。さらに、組成物中に所望のpHを生じさせるために必要な酸性発生増量剤の正確な量は、結合剤、溶媒、顔料および共存するその他の添加剤の種類および量に依存して変化する。
【0016】
本明細書で用いられる用語「実質的に可溶性」は、水1リットル当り約一(1)モル(モル/L)より大きな溶解度レベルを指す。
【0017】
本明細書で用いられる用語「実質的に溶けない」は、約一(1)モル/Lより低い溶解度レベルを指す。
【0018】
本明細書で用いられる用語「コーティング」は、重合体膜を形成するために液体(例えば塗料)としても固体(例えば粉体)としても基板に塗布することができる重合物質(有機または無機)を指す。そのような重合物質は、粉体コーティング、塗料、シーラント、導電性重合体、ゾルゲル(例えば、イリノイ州シカゴ(Chicago, Illinois)に事業所を有するボーイング社(Boeing Co.)製のボーゲルTM(BoegelTM))、ケイ酸塩、シリコーン、ジルコン酸塩、チタン酸塩および類似物を含むが、それらに限定されない。「コーティング」は、結合剤、溶媒、顔料および添加剤の複雑な混合物で構成される。多くのコーティングは、これらの4つの範疇のそれぞれからの一つ以上の物質を有する。光沢および色などのコーティングの性質は、膜の表面、すなわち二次元の実体としての膜の表面に関連する。しかし、コーティングのバルクの性質は、その三次元構造に関連する。相連続性は、体積概念であり、コーティングの性能は、結合剤相の整合性に依存する。
【0019】
本明細書で用いられる用語「結合剤」は、コーティングを作製するために用いることができる任意の膜形成重合体材料を指す。重合体物質は、有機物でも無機物でもよい。有機結合剤は、炭素主鎖を有し、無機結合剤は、大体においてシリコーン主鎖を有する。有機結合剤は、有機モノマーおよびオリゴマーから製造され、結合剤の名称は、大体において有機モノマーおよびオリゴマーから派生する。これらの例は、アクリル、エポキシ、ウレタン、メラミンおよびその他である。結合剤は、水希釈系エポキシ−ポリアミドシステムなどのエポキシ系樹脂結合剤(有機重合物質用)、あるいはウレタン、尿素、アクリレート、アルキド、メラミン、ポリエステル、ビニル、ビニルエステル、シリコーン、シロキサン、ケイ酸塩、スルフィド、ケイ酸塩重合体、エポキシノビラック、エポキシフェノール、乾性油、炭化水素重合体および類似物などの非エポキシ系樹脂結合剤を含む。
【0020】
本明細書で用いられる用語「重量パーセント(wt%)」は、注釈なしで用いられるときには、一般に、重合体樹脂を除いて存在するすべての固体成分と比較した特定の固体成分、例えば顔料、増量剤等の重量パーセントを指す。例えば、コーティング中に存在する唯一の固体成分が腐食抑制炭素顔料なら、腐食抑制炭素顔料は100のwt%を有するとみなす。
【0021】
本明細書で用いられる用語「混合酸化物」は、複数の酸化状態を有する単一元素の固溶体を指し、酸化物の混合物を指すものではないとする。
【0022】
本明細書で用いられる用語「トップコート」は、有機系または無機系重合体、あるいは重合体のブレンドであってよい結合剤(単数または複数)と、一般に少なくとも一つの顔料との混合物を指し、オプションとして少なくとも一つの溶媒または溶媒の混合物を含んでよく、オプションとして少なくとも一つの硬化剤を含んでよい。一般に、トップコートは、単層または多層コーティングシステム中の、外表面が大気または環境に露出し、内表面が別のコーティング層または重合体基板と接触しているコーティング層である。トップコートの一つの例は、ウレタントップコートである。
【0023】
本明細書で用いられる用語「自己プライマトップコート」は、「直接基板コーティング」としても知られているが、有機系または無機系重合体、あるいは重合体のブレンドであってよい結合剤(単数または複数)と、一般に少なくとも一つの顔料との混合物を指し、オプションとして少なくとも一つの溶媒または溶媒の混合物を含んでよく、オプションとして少なくとも一つの硬化剤を含んでよい。一般に、自己プライマトップコートは、基板に直接塗布される。オプションとして、自己プライマトップコートは、プライマまたは塗料膜などの有機または無機重合体コーティングに塗布してよい。一般に、自己プライマトップコートは、単層または多層コーティングシステム中のコーティング層であり、このコーティングの外表面は大気または環境に露出し、一般にこのコーティングの内表面は基板またはオプションの重合体コーティングまたはプライマと接触している。
【0024】
本明細書で用いられる用語「強化自己プライマトップコート」は、本明細書では「強化直接基板コーティング」とも呼ばれるが、単独で、あるいは、有機系または無機系重合体あるいは重合体のブレンドであってよい他の結合剤(単数または複数)と併せた一部としてのフルオロエチレン−アルキルビニルエーテルなどの官能化フッ素化結合剤と、一般に少なくとも一つの顔料との混合物を指し、オプションとして少なくとも一つの溶媒または溶媒の混合物を含んでよく、オプションとして少なくとも一つの硬化剤を含んでよい。一般に、強化自己プライマトップコートは、基板に直接塗布される。オプションとして、強化自己プライマトップコートは、プライマまたは塗料膜などの有機または無機重合体コーティングに塗布してよい。一般に、強化自己プライマトップコートは、単層または多層コーティングシステム中のコーティング層であり、このコーティングの外表面は大気または環境に露出し、一般にこのコーティングの内表面は基板またはオプションの重合体コーティングまたはプライマと接触している。
【0025】
トップコート、自己プライマトップコート、および強化自己プライマトップコートは、時間とともに乾燥または硬化、すなわち溶媒が蒸発するウェットまたは「十分に硬化していない」状態で基板に塗布してよい。コーティングは、膜または「硬化した」塗料を作製するために、自然にまたは加速手段、例えば紫外線硬化システムによって乾燥してよい。コーティングは、接着剤などの半硬化状態または十分硬化した状態で塗布してもよい。
【0026】
本明細書で用いられる用語「塗料調合物」、「プライマ調合物」、「トップコート調合物」、「自己プライマトップコート調合物」および「強化自己プライマトップコート調合物」は、一連の原料および/または成分を指し、コーティング組成物を製造するために原料および/または成分を調製し混合する一連の手順を含んでもよい。
【0027】
本明細書で用いられる用語「練り顔料(mill base)」、「練り顔料調合物」、「プライマ練り顔料」、「トップコート練り顔料」および「基材」、「基材調合物」または「プライマ基材」、「トップコート基材」、「自己プライマトップコート基材」および「強化直接基板基材」は、コーティング組成物ならびにいくつかの添加剤の顔料組成物のすべてではないにしても、大部分を構成する塗料調合物の部分または成分を指す。
【0028】
(考察)
本発明の実施態様は、改善した金属基板の腐食抵抗性を目的とするプライマコーティング用組成物を提供する。一つの実施態様では、非プライマコーティングを用いる。一つの実施態様では、非金属基板を用いる。中間濃度ないし低濃度の希土類化合物を単独で、あるいは他の材料または成分と組み合わせて腐食抵抗性を提供するコーティング混合物中に調合した。さらに、中間濃度ないし低濃度の中性ないし弱酸性発生増量剤および酸性発生増量剤をやはり単独で、あるいは他の材料または成分と組み合わせて含み、腐食抵抗性を提供するコーティング混合物中に調合した増量剤を提供する。
【0029】
一つの実施態様では、生成するコーティング膜の腐食抵抗性を改善するために、希土類化合物、中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤をさまざまな濃度で含むコーティングが提供される。一つの実施態様では、コーティングは、液体、例えば塗料として塗布される水系または溶剤系コーティング組成物である。他の実施態様では、コーティングは、粉体またはペースト(例えばゾルゲル)の形で塗布される。さらに他の実施態様では、コーティングは、シーラント、導電性重合体または類似物である。
【0030】
本発明において有用な希土類化合物は、無水物または水和物のどちらかの希土類酸化物、水酸化物、混合酸化物、固溶体酸化物、水和酸化物、塩、トリフラート、炭酸塩およびエチレンジアミン四酢酸を用いる希土類錯体などの錯体、有機系イオン交換樹脂等および類似物を含むが、それらに限定されない。一つの実施態様では、一つ以上の希土類化合物がコーティング組成物に加えられる。特定の実施態様では、前記一つ以上の希土類化合物は、コーティング中に存在するすべての顔料の総量の約0.1から約90wt%の間の重量パーセントで加えられる。ほとんどの実施態様では、本発明をそのように限定するわけではないが、コーティングは、約0.1から約28wt%の間の希土類化合物(すなわち複数の化合物)を含む。
【0031】
本発明において有用な希土類化合物は、ランタニド系列のどれを基にしてもよい。本発明の実行にとって好ましいのは、プラセオジム、セリウムおよびテルビウムである。特に好ましいのはプラセオジムおよびテルビウムであり、現在最も好ましいのはプラセオジムである。使用する希土類金属の酸化状態は、重要である。例えばプラセオジムの場合、一つの実施態様では、プラセオジム(III)が用いられる。別の実施態様では、プラセオジム(III/IV)混合物が用いられる。さらに別の実施態様では、プラセオジム(IV)が用いられる。希土類化合物の好ましい酸化状態は、使用する最終的なコーティングシステムに依存することもある。一つの実施態様では、希土類化合物は、プラセオジム(III)硫酸塩である。別の実施態様では、希土類化合物は、プラセオジム(III/IV)酸化物またはプラセオジム(III/IV)固溶体である。その他の実施態様では、希土類化合物は、プラセオジム混合酸化物、プラセオジム(III)酸化物、プラセオジム(III)水酸化物、プラセオジム(IV)酸化物およびそれらの任意の組み合わせであってよく、任意のその他のプラセオジムまたは他の金属との組み合わせをさらに含む。
【0032】
一つの実施態様では、希土類化合物は、セリウム酸化物、水酸化セリウム、セリウム固溶体混合酸化物、酸化セリウム混合物、セリウム塩、酸化ネオジム、水酸化ネオジム、ネオジム固溶体混合酸化物、酸化ネオジム混合物、ネオジム塩、酸化プラセオジム、水酸化プラセオジム、プラセオジム固溶体混合酸化物、酸化プラセオジム混合物、プラセオジム塩、酸化イッテルビウム、水酸化イッテルビウム、イッテルビウム固溶体混合酸化物、酸化イッテルビウム混合物、イッテルビウム塩、酸化イットリウム、水酸化イットリウム、イットリウム固溶体混合酸化物、酸化イットリウム混合物、イットリウム塩、酸化テルビウム、水酸化テルビウム、テルビウム固溶体混合酸化物、酸化テルビウム混合物、テルビウム塩およびそれらの組み合わせであってよい。
【0033】
現在までに数多くの希土類化合物を単独で、あるいは他の材料と組み合わせて評価した(実施例参照)。これらの化合物を腐食抑制剤として市販のプライマ調合物中に組み込んだ。本明細書で定義した任意の基板がそのようなコーティングの塗布によって恩恵を被る可能性が高いが、希土類化合物を単独で、あるいは他の材料と組み合わせて含むこれらのプライマコーティングを中性塩霧環境で評価すると、これらの腐食抑制剤が存在すると、金属基板の全体的な腐食抵抗性が改善されることが実証される。同様に、希土類化合物を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて取り込むことによって、任意の種類のコーティングが恩恵を被ることができると予想される。これらのシステムを元素キャラクタリゼーションすると、抑制剤の浸出によって下地の金属基板を不動態化し保護することが示唆される。
【0034】
本発明において有用な増量剤は、中性ないし弱酸性発生増量剤および酸性発生増量剤を含むが、それらに限定されない。一つの実施態様では、一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤が用いられる。そのような増量剤は、酸性、中性または塩基性であってよい。例は、硫酸塩、スルホン酸塩、硫化物、亜硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、リン化物、リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、ケイ酸塩およびそれらの組み合わせ含むが、それらに限定されない。一つの実施態様では、一つ以上の酸性発生増量剤が用いられる。そのような増量剤は、酸性または中性であってよい。例は、酸修飾リン酸塩、リン化物、リン酸塩、カオリン、ワラストナイト、ケイ酸塩およびそれらの組み合わせなどの酸修飾化合物を含むが、それらに限定されない。
【0035】
本発明においては、TiOなどの着色顔料のコスト効率のよい代用品として使用され、さらにプライマコーティングのための所望の顔料対結合剤比を提供することができる従来の増量剤も有用である。従来の増量剤の一つの例は、炭酸カルシウムを含むが、それに限定されない。これらの増量剤の多くは、環境中(例えば、既に塗布したコンバージョンコーティングの中、重合体コーティング自体の中)に存在することがある抑制剤の活性化の助けとなり、従って保護コーティングの腐食抵抗性を強化するようである。
【0036】
一つの実施態様では、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤は、I族およびII族金属カチオンを含む。一つの実施態様では、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤は、プラセオジム(プラセオジム(III)、(IV)または(III/IV)混合物など)、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびマグネシウムの硫酸塩およびリン酸塩、ならびに石膏および天青石などこれらの化合物の天然形を含む。本発明をそのように限定するわけではないが、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤は、好ましくはコーティング組成物に実質的に溶けないカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの硫酸塩およびリン酸塩を含む。一つの実施態様では、中性ないし弱酸性発生増量剤または酸性発生増量剤は、金属硫酸塩(例えば無水硫酸カルシウム、水和硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、水和硫酸マグネシウム等)を含む硫酸塩、金属リン酸塩(例えば含水リン酸カルシウム、無水リン酸カルシウムおよびリン酸一水素および二水素カルシウム等)を含むが、それらに限定されない群から選ばれる。ここでも、本明細書で説明する増量剤のどれでも天然形(鉱物)または合成形のどちらで用いてもよい。酸性発生増量剤は、焼成粘土、例えば焼成カオリン粘土等を含む、ジョージア州サンダーズビル(Sandersville, Georgia)に事業所を有するバージェス・ピグメンツ社(Burgess Pigments Co.)製のバージェス(Burgess)増量剤および類似物などの非硫酸塩、非リン酸塩および非硝酸塩の酸性発生増量剤をさらに含んでよい。しかし、本開示を参照すれば当業者が理解するように、前記の性質を有するその他の金属カチオンおよびアニオンを中性ないし弱酸性発生増量剤および酸性発生増量剤として、本発明のコーティング組成物において用いてよい。
【0037】
一つの実施態様では、一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤および/または一つ以上の酸性発生増量剤が用いられる。用いられる増量剤の量は、用いられる特定のシステムではいくつかのものがより効率的なので、著しく変化することがある。一つの実施態様では、中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤は、コーティング中のすべての顔料の総量の約1から約99%の間の重量パーセントで加えられる。ほとんどの実施態様では、コーティングは、約30から80wt%の間の一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤を含む。より好ましい実施態様では、コーティングは、約45から75wt%の間の一つ以上の中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤を含む。特定の実施態様では、約0.1から約3wt%の間の一つ以上の種類の硫酸マグネシウムが用いられる。
【0038】
現在までに、いくつかの中性ないし弱酸性発生増量剤および酸性発生増量剤を単独で、あるいは他の材料(実施例参照)と組み合わせて評価した。これらの化合物を腐食抑制剤として市販のプライマ調合物中に組み込んだ。本明細書で定義した任意の基板がそのようなコーティングの塗布によって恩恵を被る可能性が高いが、希土類化合物を単独で、あるいはその他の材料と組み合わせて含むこれらのプライマコーティングを中性塩霧環境で評価したところ、これらの腐食抑制剤が存在すると、金属基板の全体的な腐食抵抗性が改善されることが実証される。同様に、希土類化合物を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて取り込むことによって、任意の種類のコーティングが恩恵を被ることができると予想される。これらのシステムを元素キャラクタリゼーションすると、抑制剤の浸出によって下地の金属基板を不動態化し保護することが示唆される。
【0039】
本明細書で説明する腐食抑制剤と組み合わせることができる「他の材料または成分」(すなわち「他の成分」)は、例えば結合剤、溶媒、顔料(可溶性または溶けない増量剤、充填剤、腐食抑制顔料および類似物を含む)、溶媒、添加剤(例えば、硬化剤、界面活性剤、染料、アミノ酸および類似物)などを含む。いくつかの添加剤は顔料とみなしても適切であるし、その逆(例えば艶消し剤)とみなしても適切であることに注意せよ。より詳しくは、これらの「他の成分」は、グリシン、アルギニン、メチオニン、およびメチオニンスルホキシド、メチルスルホキシド、およびヨウ化物/ヨウ素酸塩などのアミノ酸の誘導体、動物ゼラチンおよび魚類ゼラチンなどのゼラチンおよびゼラチン誘導体、アルファおよびベータシクロデキストリンを含む直線状および環状デキストリン、トリフル酸、トリフラート、アセタート、タルク、カオリン、有機系カチオンおよびアニオン交換樹脂などの有機系イオン交換樹脂、有機系カチオンおよびアニオン交換樹脂などの有機系イオン交換樹脂、希土類物質の塩、酸化物および/または混合酸化物、および希土類物質の硫酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム(無水および水和形)、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、その他同種のものなどの金属硫酸塩と予め交換または反応した有機系イオン交換樹脂を含むが、それらに限定されない。
【0040】
本発明では、希土類化合物および/または中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤、オプションとして本明細書で説明するその他の成分の任意のものとともに、当分野で既知の腐食補助抑制剤をオプションとして使用してもよい。そのような補助抑制剤は、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、アニリン、ポリアニリンおよび類似物を含むが、それらに限定されない。本発明においては、オプションとして、ナルザンTM(NalzanTM)(ニュージャージー州ハイズタウン(Highstown, New Jersey)に事業所を有するNLインダストリーズ(NL Industries)製)、ブサンTM(BusanTM)(テネシー州メンフィス(Memphis, Tennessee)に事業所を有するバックマン・ラボラトリーズ(Buckman Laboratories)製)、ハロックスTM(HaloxTM)(インディアナ州ハモンド(Hammond, Indiana)に事業所を有するハロックス社(Halox Inc.)製)、モリホワイトTM(MolywhiteTM)(カンザス州コフィービル(Coffeyville, Kansas)に事業所を有するシャーウィン・ウィリアムズ社(Sherwin Williams Inc.)製)、および類似物などのその他の補助抑制剤を使用してもよい。希土類または中性ないし弱酸性発生または酸性発生増量剤含有塗料調合体と化学的に適合する補助抑制剤だけを用いることが適切である。
【0041】
一般に、本明細書で説明するさまざまな腐食抑制剤は、有機重合体などの結合剤と組み合わされる。本発明において結合剤として有用な有機ポリマーは、水に可溶性のもの、非水系に可溶性のものおよび粉体コーティングシステムを含む。膜を形成し、硬化すると架橋する重合体が好ましい。これらの重合体の例は、エポキシ、ウレタン、尿素、アクリレート、アルキド、メラミン、ポリエステル、ビニル、ビニルエステル、シリコーン、シロキサン、ケイ酸塩、スルフィド、スルホン、エポキシノボラック、エポキシフェノール、アミド、乾性油および炭化水素重合体を含むが、それらに限定されない。
【0042】
本明細書中で考察するすべての腐食抑制剤(補助抑制剤を含む)は、好ましくは液体形で調製される。従って、有機重合体などの結合剤を、重合体の性質に従って、水または非水溶溶媒などの適切な溶媒中に分散または溶解させ、適切な量の腐食抑制剤(単数または複数)を加える。
【0043】
上記で説明した腐食抑制剤(補助抑制剤を含む)をポリアミド/エポキシ系水希釈プライマ塗料調合物中で評価した。ただし、本発明は、この特定のエポキシ系システムに限定されるわけではない。このように、腐食抑制剤をその他のプライマペイント塗料中に組み込み、腐食防止が望まれるその他の用途で使用してよい。その他の樹脂は、e−コート、エポキシ、ウレタン、尿素、アクリレート、アルキド、メラミン、ポリエステル、ビニル、ビニルエステル、シリコーン、シロキサン、ケイ酸塩、スルフィド、スルホン、エポキシノビラック、エポキシフェノール、アミド、乾性油および炭化水素重合体を含んでもよいが、それらに限定されない。好ましい重合体システムは、水希釈系エポキシ−ポリアミドシステムである。特定の実施態様では、用いたポリアミド/エポキシ系水希釈プライマ塗料調合物は、カリフォルニア州アーバイン(Irvine, California)に事業所を有するデフト社(Deft Inc.)製のデフト(Deft)44GN72である。
【0044】
プライマ調合物(または塗布準備完了の塗料)中への約0.1から約90wt%、好ましくは約0.1から約28wt%の希土類化合物の添加は、当分野において知られている任意の従来法によってよい。同様に、プライマ調合物(または塗布準備完了の塗料)中への約1から約99wt%、好ましくは約45から約75wt%の中性ないし弱酸性発生増量剤および/または酸性発生増量剤の添加も、当分野において知られている任意の従来法によってよい。プライマは、約0.1から約15wt%、好ましくは約0.5から約5wt%の有機系イオン交換樹脂を含んでもよい。樹脂は、カチオン性またはアニオン性であってよく、カチオン性およびアニオン性の両方を同じプライマ調合物中で用いてよく、イオン交換樹脂は、プライマ調合物中への取り込みに先立って予め交換した化学種として希土類化合物および/またはアミノ酸を含んでよい。プライマは、約0.03から約5wt%、好ましくは約0.1から約1.2wt%錯体生成糖類および/またはゼラチンを含んでよい。プライマは、約0.1から約5wt%、好ましくは約0.5から約1.5wt%アミノ酸を含んでもよい。
【0045】
用いられている特定の機能化学種の輸送を促進し最適化し、最終的には腐食部位における活性抑制剤の濃度を増加させるために、システム促進剤を使用してもよい。輸送を最適化するパラメータは、コンバージョンコーティングの使用、顔料の粒子サイズ、ダストコート、および類似法を含むが、それらに限定されない。
【0046】
本発明において有用なコンバージョンコーティングは、セリウムコンバージョンコーティング(CeCC)、プラセオジムコンバージョンコーティング(PrCC)、リン酸塩コンバージョンコーティング、亜鉛型コンバージョンコーティング、亜鉛メッキ型コンバージョンコーティングおよびクロムコンバージョンコーティング(CrCC)を含む。本発明に関連して評価したコンバージョンコーティングは、アロダイン(Alodine)(ヘンケル(Henkel)から)およびイリダイト(Iridite)(マクダーミド(McDermid)から)プロセスを用いて得られるものなどのCrCC、クロムシールを用いて陽極酸化したクロム酸、クロムシールを用いて陽極酸化した硫酸、および類似物を含む。塗布したコンバージョンコーティングの経過時間および厚さは、次の塗料コーティングの腐食抵抗性にさらに影響することがある。塗布後3日未満であり、比較的に中程度から厚膜の厚さであるが、依然として下にある基板への優れた接着性を提供するコンバージョンコーティングの上に塗料コーティングを塗布することが望ましい。厚すぎるコンバージョンコーティングは、コンバージョンコーティング層中に凝集不良を有するプライマを生成する傾向がある。適当なコンバージョンコーティング厚さは、当業者には容易に明らかになる。
【0047】
所望の美的または機能的効果を提供するために、追加の添加剤および顔料を使用してよい。望むなら、コーティング組成物は、その他の成分、すなわち調合済み表面コーティングの技術分野で公知のオプションの物質を含んでよい。これらのオプションの物質は、コーティングシステムおよび塗布の機能として選ばれ、流れ調整剤、ベントナイト粘土などのチキソトロープ剤、気体発生防止剤、有機共溶媒、触媒およびその他の慣習的な補助剤を含んでよい。これらの物質は、用いるなら、コーティング組成物の総重量の最高40重量パーセントを構成してよい。
【0048】
本発明のコーティング組成物は、着色させるためにオプションとして顔料を含んでもよい。顔料は、大体、コーティング組成物の総重量を基準として、約1から約80重量パーセントの間、通常は約1から約30重量パーセントの間の量でコーティング組成物中に組み込まれる。表面コーティング中に通常用いられる着色顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどの無機顔料、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーンを含む。本発明の水系コーティング組成物では、金属フレーク顔料着色も有用である。適当な金属顔料は、アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレークおよび金属酸化物で被覆した雲母を含む。オプションの顔料は、コーティング組成物の最高約25重量パーセントを構成してよい。
【0049】
コーティング中の成分の好ましい濃度範囲ならびにコーティングのPVC(顔料体積濃度)は、使用する樹脂/プライマシステムによって変化することがある。提供する濃度範囲における重量百分率は、触媒を完全に仕込み水希釈したスプレー可能な塗料を基準とする。本発明の実施にとって好ましいのは、約0.1から約65wt%PVCの範囲のPVCを含むコーティングである。特に好ましいのは約10から約55wt%PVCである。最も好ましいのは約25から約45wt%PVCである。
【0050】
本発明の一つの実施態様の実施にとって好ましいのは、約0.1から約40wt%Pr11を含む触媒を十分に仕込み水希釈されたスプレー可能な塗料組成物である。本実施態様で特に好ましいのは、約0.1から約28wt%Pr11である。特に最も好ましいのは約0.1から約11wt%Pr11である。その他の好ましい範囲は以下の通りである。
【0051】
(表1A***
希土類化合物
Pr11 : 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
Pr: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
PrO: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
PrO+Pr: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
Tb: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
CeO水和物 : 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
Pr(OH): 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%Sm: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28w
t%
Yb: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28w
t%
: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
La: 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28w
t%
Nd : 範囲:0.1〜90% 好ましい範囲:0.4〜28wt%
***「範囲:x〜xwt%」として示される範囲は、「範囲:約xから約xwt%の間」と読むものとする。
【0052】
本発明の一つの実施態様の実施にとって好ましいのは、約1から約99wt%の金属硫酸塩を含む塗料組成物である。本実施態様で特に好ましいのは、約30から約80wt%のCaSO・2HOである。特に最も好ましいのは約45から約75wt%のCaSO・2HOである。その他の好ましい範囲は以下の通りである。
【表A】

【0053】
***「範囲:x〜xwt%」として示される範囲は、「範囲:約xから約xwt%の間」と読むものとする。
添加剤的な物質については、以下のwt%範囲が好ましい。
【表B】

【0054】
【表C】

【0055】
***「範囲:x〜xwt%」として示される範囲は、「範囲:約xから約xwt%の間」と読むものとする。
【0056】
本発明では、塗料またはコーティングを製造する任意の従来法を用いてよい。例は、圧縮空気または電気によって動力を供給されるボール盤、適切な粉砕媒体を用いるサンドミル、および類似物の使用を含む。以下は、上記の抑制剤の任意の個別成分または組み合わせを含むプライマをどのようにして製造することができるかという例である。
【0057】
ポリアミド/エポキシ系水希釈プライマ調合物用の練り顔料は、一つ以上の結合剤、一つ以上の顔料、必要なら溶媒、および硬化剤を分散させることによって調製することができる(本明細書で説明する実施例のすべてで実際に調製した)。自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物用の基材も、同じ方法で調製してよい(本明細書で説明する実施例のすべてで実際にこの方法で調製した)。このプロセスでは、当分野で知られているように、標準分散ブレードなどの分散ブレードおよび標準分散装置またはボール盤さえ用いて、適切なサイズの容器中650rpmで基材を分散させる。次に、約600〜700rpmなどの適切な速度での撹拌下、着色顔料、天然増量剤、すなわち石膏などの鉱物および合成増量剤が、任意のその他の腐食抑制剤とともにコーティング調合物中に組み込まれる。適切な粉砕媒体が望ましければ、必要に応じて加えてよい。次に、調合物に材料を適切に加えたら、650rpmでさらに約5分間などの適当な時間および速度で基材を分散させる。この時間の後、所望の練り顔料基材顔料粉砕物が得られるまで、必要に応じて分散速度を約1600から1640rpmに増大してよい。
【0058】
高速での分散の間に、練り顔料の温度をモニタし、用いられる成分および樹脂システムの推奨温度より低温に保ってよい。練り顔料温度が材料または樹脂の安定性のための推奨温度を超えそうに見えたら、分散速度を適切に低下させてよい。必要なら、適当な冷却を可能にするために分散プロセスを一時的に停止してもよい。
【0059】
本開示を参照して当業者が理解するように、追加手段としてまたは代替手段として、より高い分散温度を最小限度にするために冷却装置を用いる工程などその他の工程を用いてよい。また、本開示を参照して当業者が理解するように、本コーティングシステムの調製に使用される溶媒は、コーティング混合物の調製を容易にし、適当な塗布性を提供し、環境的に許容できる塗料を提供するように選ばれる。
【0060】
次に、基材細砕物用に望ましい顔料粒子サイズが得られたら、分散プロセスを停止してよく、望むなら、オプションとして用いることがある粉砕媒体などの望ましくない物質があれば、基材から除去するために基材を濾過する。次に、顔料基材または練り顔料を混合しながら、当分野で知られている「沈下相」で、処方材料の残りを加える。オプションの工程は、基材または完成塗料を使用前に少なくとも24時間熟成させる工程である。これによって樹脂がすべての顔料を濡らす。
【0061】
ポリアミド/エポキシ系水希釈プライマ調合物、自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物の使用前の貯蔵寿命は、総合的に樹脂システムの供給者が提供する時間仕様によって定まる。
【0062】
次に、上記で説明した完成した基材中にイソシアネート触媒などの適切な量の触媒または活性化剤を撹拌することによって、ポリアミド/エポキシ系水希釈プライマ調合物、自己プライマトップコート組成物、または強化自己プライマトップコート組成物が調製される。自己プライマトップコートまたは強化自己プライマトップコート調合物用のイソシアネート触媒の例は、カリフォルニア州アーバインに事業所を有するデフト社から市販されているデフト97GY088CATとして知られているイソシアネート溶液を含む。生成する塗料膜の適当な硬化および架橋を確実にするために、完成した塗料基材に加えられるイソシアネート触媒の量は、本開示を参照して当業者が理解するように、コーティングシステムの特定の成分に依存して変化することがある。
【0063】
次に、自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物の場合、完成基材と触媒とを混合したら、コーティングは基板への塗布準備完了である。被覆される基板は、例えば航空機、自動車、トラックおよび農機具などの二次加工品の基板であってよく、これらの加工品のための構成要素および部品をさらに含む。
【0064】
次に、ポリアミド/エポキシド系水希釈プライマ調合物の場合、適切な量のエポキシ触媒と練り顔料とを十分に混合したら、プライマ練り顔料/エポキシ触媒ブレンド中に適切な量の水をゆっくり混合し、試験を実行してよい。加えられる水の純度および量は、スプレー粘度および最終コーティング用途にもとづいて、コーティングシステムの供給者が推奨するものに依存する。塗料調合物は、水希釈システムなので、水性成分をエポキシ触媒/練り顔料ブレンドに加えるとき、注意する必要がある。
【0065】
一般に、本発明のコーティングシステムの調製に使用される媒質は、コーティング混合物の調製を容易にし、基板への十分な接着性を提供するように選ばれる。好ましい媒質は、水系コーティングの調製を含む水である。その他のシステムは、溶媒系および粉体コーティングを含む。
【0066】
上記のように、練り顔料/エポキシブレンドと適切な量の水とを混合したら、プライマは、基板への塗布の準備完了である。適当な基板は、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム鋳物、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、亜鉛、電解亜鉛、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金、亜鉛−鉄合金、亜鉛−アルミニウム合金、鋼、ステンレス鋼、酸洗い鋼、鉄化合物、マグネシウム合金および類似物などの金属基板を含む。本発明の実施にとって好ましい基板は、アルミニウムおよびアルミニウム合金である。上記で説明したように、被覆される基板は二次加工品の基板であってよく、これらの物品のための構成要素および部品をさらに含む。
【0067】
本発明のコーティング混合物は、スプレー塗布、ブラシ塗布、ローラー塗布、浸漬塗布および類似法などの任意の従来技法を用いて金属基板の表面に塗布してよいが、ほとんどの場合スプレー塗布によって塗布される。空気スプレーおよび静電スプレー用の通常のスプレー技法および装置、ならびに手動または自動法のどちらを用いてもよい。本発明の実施にとって好ましいのは、スプレー塗布である。
【0068】
金属表面などの表面は、コーティングを受けるために準備することが好ましい。この準備は、最初に油分およびその他の汚染物質を除去するために表面を洗浄する従来法を含む。表面に表面汚染物質がなくなれば、酸化物コーティングを除去するために、およびある種の場合には腐食抑制混合物がより容易に結合できるコンバージョンコーティングを提供するために、処理を加えてよい。表面が厚い酸化物コーティングを有する場合には、そのような表面コーティングを除去する濃い酸およびアルカリを含む一連の連続的な化学薬品浴中への浸漬などの通常の手段によって、このコーティングを除去してよい。
【0069】
ほとんどの実施態様では、コーティングを実施する前に基板またはコーティングした基板を準備、すなわち前処理する。この準備は、最初に油分およびその他の汚染物質を除去するために表面を洗浄する従来法を含む。表面に表面汚染物がなくなれば、例えば基板をそのような表面コーティングを除去することが知られている高濃度の酸およびアルカリを含む一連の連続的な薬浴中に浸漬することなどの通常の手段によって、酸化物コーティングを除去するために、処理を加えてよい。上記のように、いくつかの実施態様では、コーティングがより容易に結合することができるコンバージョンコーティングを提供するために、基板を処理する。そのようなコンバージョンコーティングは、高濃度のクロム酸中への浸漬によるなどの当分野で既知の任意の手段で調製してよい。例えばアルミニウム基板が用いられるとき、このプロセスによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金基板の表面に酸化アルミニウムの制御された混合物が作り出される。あるいは、ホウ酸/硫酸または任意のその他の陽極処理プロセスによって表面を処理してよい。このプロセスによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金基板の表面に酸化アルミニウムの制御された混合物が作り出される。オプションとして、コンバージョンコーティングを提供するために表面を処理した後、クロム酸の希薄溶液中に基板を浸漬することによって表面をシールしてよい。表面は、シールされていてもシールされていなくても、本明細書で説明するコーティングを塗布してよい。
【0070】
一つの実施態様では、クロム含有溶液中でシールを有するアルミニウム陽極処理システムおよびシールを有しないアルミニウム陽極処理システムを創り出すために、アルミニウム陽極処理基板にコーティングを塗布する。一つの実施態様では、希土類溶液中でシールを有するアルミニウム陽極処理システムおよびシールを有しないアルミニウム陽極処理システムを創り出すために、アルミニウム陽極処理基板にコーティングを塗布する。一つの実施態様では、適切な溶液中でシールを有する鋼およびシールを有しない鋼の基板にコーティングを塗布する。
【0071】
本明細書で説明するコーティングは、スプレー、「塗装」(例えば、ブラシ、ローラーおよび類似物を用いる)、浸漬、その他などの任意の従来技法を用いて基板に塗布してよい。スプレー塗布による塗布については、空気スプレーおよび静電スプレーのために用いられる従来の(自動または手動)スプレー技法および装置を用いてよい。その他の実施態様では、コーティングは、電解コーティング(e−コーティング)システム、静電(粉体)コーティング、および類似物である。さまざまな種類の硬化方法を下記で説明する。
【0072】
本明細書で説明するコーティングは、用途の要件に従って任意の適当な厚さであってよい。一つの実施態様では、コーティングは、約1から約3ミリの間の厚さである。別の実施態様では、コーティングは、約0.8から約1.2ミリの厚さである。
【0073】
一般に、コーティングの塗布後、任意の適当な方法を用いてコーティングを硬化させる。一般的な硬化方法は、自然乾燥および/または加熱および/またはUV硬化法を含む。その他の方法は、マイクロ波硬化システム、超音波硬化システムおよび類似システムを含むが、それらに限定されない。硬化の方法は、使用されるコーティング混合物の種類、塗布される表面、その他に依存する。
【0074】
コーティングが塗布され硬化したら、その後のトップコートを塗布してもよく、あるいは単独コーティングとして硬化させてもよい。コーティングに単数または複数のその後のトップコートを塗布するなら、その後のコーティングは、既存のコーティング層と適合するように、一般に樹脂および/またはトップコート製造者の仕様に従って塗布する必要がある。コーティングにその後のトップコートをまったく塗布しないなら、硬化させてよい。
【0075】
(追加実施態様)
一つの実施態様では、コーティング組成物は、自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物である。これらのコーティング組成物は、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム鋳物、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、亜鉛、亜鉛被覆鋼、亜鉛合金、亜鉛−鉄合金、亜鉛−アルミニウム合金、無被覆鋼および亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、酸洗い鋼、鉄化合物、マグネシウム合金などの金属、例えばクロム系コンバージョンコーティング、陽極処理コーティング、コバルト系コンバージョンコーティング、リン酸塩系コンバージョンコーティング、シリカ系コンバージョンコーティング、希土類系コンバージョンコーティングおよびステンレス金属前処理などの金属前処理を有する基板、および重合体、重合体/金属複合材料、複合材料、塗布基板、および類似物に用いてよい。好ましいが必須でない実施態様では、自己プライマトップコート組成物、または強化自己プライマトップコート組成物を調製後3日未満のコンバージョンコーティング上に塗布する。自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物をコンバージョンコーティングの上に塗布すると、基板へのコーティングの良好な接着性が維持されることが見いだされた。所定の塗布には厚すぎるコンバージョンコーティングは、コンバージョンコーティング層中の凝集不良を生じる可能性があることも見いだした。本開示を参照して当業者が理解するように、特定のコーティング組成物のための適当なコンバージョンコーティング性能および厚さは明らかであり、好ましいコーティングは、MIL−C−5541に適合する。
【0076】
別の実施態様は、自己プライマトップコート組成物または強化自己プライマトップコート組成物を調製し使用するプロセスを提供する。この実施態様によると、塗料を製造するための従来法を用いてよい。本開示を参照して当業者が理解するように、そのような方法の例は、圧縮空気または電気によって動力を供給されるボール盤、適切な粉砕媒体を用いるサンドミル、および類似物の使用を含むが、それらに限定されない。
【0077】
本発明のさまざまな実施態様の例をさらに示すために提供される以下の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。しかし、本発明の範囲にとどまりながら多くの変化および変更を行うことができると理解するべきである。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
(練り顔料調合物例)
硫酸塩(例えば無水硫酸カルシウム、水和硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム)、金属リン酸塩(例えば含水リン酸カルシウム、無水リン酸カルシウムおよびリン酸一水素および二水素カルシウム等)を含むIIA族顔料の腐食抵抗性を、単独でおよび他の成分と組み合わせて試験した。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の組成、濃度、物質比、ベンダー材料またはベンダー供給者の二つの例を下記に示す。その他の調合物も試験した。
【0079】
(成分:)
ポリアミド樹脂ブレンド 417g
分散剤 6g
2−ブタノール溶媒 87g
増量剤/充填剤顔料 490g
練り顔料合計: 1000g
(成分:)
ポリアミド樹脂ブレンド 320g
添加剤 5g
2−ブタノール溶媒 67g
TiO(R−960) 134g
補助抑制剤(単数または複数) 100g
増量剤/充填剤顔料 374g
練り顔料合計: 1000g。
【0080】
用いられる腐食抑制剤の個別の濃度は、約0.1wt%から約90wt%の範囲である。
【0081】
(追加情報および使用手順)
抑制剤のwt%は、十分に触媒を加え水希釈したプライマを基準とし、スプレー粘度は、標準イージージャン(EZ Zhan)2カップで約22秒に等しい。
【0082】
次に、上記で説明し、樹脂の供給者が推奨するように、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料を、適切な量のエポキシ触媒ブレンドと十分に混合した。エポキシ触媒/活性化剤の一つの例は、溶媒、添加剤、およびデフトのエポキシ/ニトロエタン溶液、製造者コード番号44WO16CATなどの樹脂ブレンドからなる。
【0083】
適切な量のエポキシ触媒および練り顔料を十分に混合したら、プライマ練り顔料エポキシ触媒ブレンド中に適切な量の水をゆっくり混合した。加える水の純度および量は、上記で説明したようにコーティングシステムの供給者が推奨するものに依存する。プライマの混合のための手順、プライマ練り顔料の保管寿命、触媒を加え水希釈したプライマのスプレー寿命および類似のものは、樹脂材料の供給者の仕様に従う。
【0084】
調製および評価したそのようなプライマ調合物の例を下の表3に示す。
【0085】
(実施例2)
(プライマ練り顔料調合物)
希土類元素の無水または水和酸化物、および水酸化物を、クロム酸の非毒性の代替物として評価した。酸化セリウム(IV)、酸化セリウム(IV)二水和物、酸化プラセオジム(III)、および類似物などの無水または水和希土類酸化物のどちらか、および水酸化物を、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物に組み込んだ。希土類の塩を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
【0086】
ポリアミド樹脂ブレンド 341g
添加剤 5g
2−ブタノール溶媒 71g
TiO(R−960) 143g
希土類酸化物(単数または複数) 40g
増量剤/充填剤顔料 400g
練り顔料合計: 1000g。
【0087】
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約0.4wt%(パネルA151のPr)から約12wt%(CeO・xHO)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0088】
(実施例3)
希土類元素の無水または水和混合酸化物、および混合酸化物の水酸化物を、クロム酸の非毒性の代替物として評価した。酸化テルビウム(III/IV)、酸化プラセオジム(III/IV)および類似物などの無水または水和どちらかの希土類混合酸化物および水酸化物を、個別におよび組み合わせてポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。希土類の塩を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 328g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 68g
TiO 137g
希土類混合酸化物(単数または複数)
(無水物/水和物/水酸化物) 77g
増量剤/充填剤顔料 385g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約1wt%(パネルA22のPr11)から約22.2wt%(パネル227のPr11)の範囲である。本実施例で用いられる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0089】
(実施例4)
アミン系脂肪族、芳香族、環状およびまたは含硫化合物をクロム酸塩の非毒性の代替物として評価した。アミン系脂肪族、芳香族、環状およびまたは含硫化合物、例えばL−アルギニン、D,L−アルギニン、D−メチオニン、L−メチオニン、D,L−メチオニン、グリシン、プロリン、L−システイン等などのアミノ酸、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの二ナトリウム塩、および類似物などのその他のアミン系化合物を、ポリアミド/エポキシ水希釈可能プライマ調合物中に組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
アミン系脂肪族、芳香族、環状
および/または含硫化合物(単数または複数)14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いるアミノ酸の濃度は、約0.5wt%(パネル0214のD,L−メチオニン)から約1.5wt%(パネル232のD,L−メチオニン)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0090】
(実施例5)
アミン系脂肪族、芳香族、環状およびまたは含硫化合物の誘導体を、クロム酸塩の非毒性の代替物として評価し、検証した。D,L−メチオニンスルホキシド、L−メチオニンメチルスルホニウムヨージドおよび類似物などのアミン系脂肪族、芳香族、環状、およびまたは含硫化合物の誘導体を、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の組成、濃度、物質比、ベンダー材料またはベンダー供給者の一つの例は以下のようである。
【0091】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
アミン系脂肪族、芳香族、環状および/または硫黄および/またはヨウ化物含 有化合物(単数または複数)の誘導体(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約0.5wt%(パネル0179のD,L−メチオニンスルホキシド)から約1.1wt%(パネル234のD,L−メチオニンスルホキシド)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3参照。
【0092】
(実施例6)
クロム酸の非毒性の代替物として、ゼラチンおよびゼラチン誘導体を評価した。動物性ゼラチンおよび誘導体、魚類ゼラチンおよび誘導体および類似物など、しかしそれらには限定されないゼラチンおよびゼラチン誘導体を、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の組成、濃度、物質比、ベンダー物質またはベンダー供給者の一つの例は以下のようである。
【0093】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
ゼラチン(単数または複数)およびまたは
ゼラチン誘導体(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約0.03wt%(パネルA66Eの動物ゼラチン+Pr11+Ce(NO)から約1wt%(パネルA28の動物ゼラチン+Pr11+Ce(NO)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「用いられる追加情報および手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0094】
(実施例7)
クロム酸の非毒性の代替物として、キラルに活性なデキストリンを評価した。アルファシクロデキストリン、ベータシクロデキストリン、スルホン化シクロデキストリンおよび類似物などのキラルに活性なデキストリンを、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は以下の通りである。
【0095】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
キラルに活性なデキストリン(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g。
【0096】
用いる腐食抑制剤の濃度は、主に約1.5wt%)(パネルC41のシクロデキストリン+Ce(NO+Pr11)である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0097】
(実施例8)
クロム酸の非毒性の代替物として、有機系イオン交換樹脂を評価した。有機系カチオン樹脂、例えばワットマン繊維状リン酸セルロースカチオン交換体P11、ワットマン繊維状カルボキシメチルセルロースカチオン交換体CM23および類似物、ならびにアニオン交換樹脂、例えばワットマン繊維状ジエチルアミノエチルセルロースアニオン交換体DE23、およびライレックス402重合体および類似物などの有機系イオン交換樹脂を、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。希土類の塩を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
【0098】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO(R−960) 146g
有機系イオン交換樹脂(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約0.5wt%(パネルI216のCM23+Pr11)から約1wt%(パネルI10のDE23)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0099】
(実施例9)
クロム酸の非毒性の代替物として、予め交換した有機系のイオン交換樹脂を評価した。希土類カチオンおよびまたはアミノ酸で予め交換した有機系カチオンおよびまたはアニオン性イオン交換樹脂、例えば、希土類の塩、酸化物および混合酸化物およびまたは化合物を含む溶液で予め交換したワットマン繊維状リン酸セルロースカチオン交換体P11、アミン系脂肪族、芳香族、環状、およびまたは硫黄およびまたはヨウ化物含有化合物およびまたは上記の任意のものの誘導体等を含む溶液で予め交換したワットマン繊維状リン酸セルロースカチオン交換体P11を、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
【0100】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
予め交換した有機系
イオン交換樹脂(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の濃度は、約0.5wt%(パネルI162のP11+Pr(NO)から約2.5wt%(パネルI5のP11+D,L−メチオニン)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0101】
(実施例10)
クロム酸の非毒性の代替物として、金属硫酸塩を評価した。ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に、硫酸プラセオジムまたはその他の希土類硫酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムおよび類似物などの金属硫酸塩を組み込んだ。これらの種類の化合物を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の組成、濃度、物質比、ベンダー物質またはベンダー供給者の一つの例は以下のようである。
【0102】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 351g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 73g
TiO 146g
金属硫酸塩(単数または複数) 14g
増量剤/充填剤顔料 411g
練り顔料合計: 1000g
用いる腐食抑制剤の個々の濃度は、約1.4wt%(パネルA220のPr(SO)から約18.5wt%(パネル267のSrSO)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0103】
(実施例11)
クロム酸塩の非毒性の代替物として、上記のすべての組み合わせを評価した。L−アルギニン+酸化プラセオジム(III/IV)+硫酸カルシウム二水塩、硫酸プラセオジム+硫酸カルシウム+アルギニン、酸化プラセオジム(III/IV)+硫酸カルシウム+メチオニン、酸化プラセオジム(III)+プラセオジムで予め交換したカチオン交換樹脂P11+酸化プラセオジム(III/IV)等など、上記のすべての組み合わせを、ポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ調合物中に組み込んだ。希土類塩を含むポリアミド/エポキシ水希釈系プライマ練り顔料調合物の一つの例は、以下の通りである。
【0104】
プライマ練り顔料調合物
ポリアミド樹脂ブレンド 336g
分散剤 5g
2−ブタノール溶媒 71g
TiO 140g
予備交換した有機物系イオン交換樹脂 14g
Pr11 40g
増量剤/充填剤顔料 394g
練り顔料合計: 1000g。
【0105】
用いる腐食抑制剤の組み合わせの濃度は、約0.1wt%(パネルD36のCe(NO+遊離EDTA)から約30.6wt%(パネルA38のCe(NO+NaEDTA+Pr11+CaSO・2HO)の範囲である。本実施例で用いる追加手順は、実施例1で「追加情報および使用手順」として説明したものと同じである。試験結果については実施例12の表3を参照すること。
【0106】
(実施例12)
(コーティング例に関する試験結果)
ここまでの実施例に記した多くの調合物のさまざまな基板に対する腐食抵抗性を試験した。用いた腐食評点スケールを表2に示す。調製して評価したプライマ調合物の実施例を表3に示す。
【0107】
(出発物質)
デフトSrCrプライマ(44GN072)は、カリフォルニア州アーバインに事業所を有するデフト社から入手した。上記のように、レーベン(Raven)材料ならびにウルトラ(Ultra)II材料は、ジョージア州マリエッタ(Marietta, Georgia)に事業所を有するコロンビア化学社(Columbian Chemicals Company)から入手した。LHD、U47およびPLD材料は、オハイオ州シンシナティ(Cincinnati, Ohio)に事業所を有するサン・ケミカル(Sun Chemical)から入手した。Pr11は、マサチューセッツ州ウォードヒル(Ward Hill, Massachusetts)に事業所を有するアルファ・イーザー社(Alfa Aesar Co.)から入手した。導電性炭素、非導電性炭素、および活性炭はマサチューセッツ州ウォードヒルに事業所を有するアルファ・イーザーから入手した。CaSO・2HOはイリノイ州シカゴ(Chicago, Illinois)のUSギプサム(US Gypsum)から入手した。SrSOは、テキサス州ヒューストン(Houston, TX)のエクスカリバー(Excalibar)から入手した。
【0108】
(試験手順)
種々の金属基板上にコーティング組成物をスプレー塗布し、自然に時間をかけて乾燥(硬化)させた。一般に、これに一週間を要した。試料の辺および背面にテープを貼り、ASTM B117の手順に従って前面に「X」パターンをケガキした。ASTM B117手順に従って、500時間または3000時間のどちらかの試験を実施し、表2に示すケラー(Keller)腐食評評点スケールによって結果を評価した。
【0109】
プライマパネル要約
表2.腐食コード/表3で使用するランキング
コード ケガキ線評点説明
1. ケガキ線黒ずみ始めるかまたはケガキに光沢
2. ケガキ線の>50%が黒ずむ
3. ケガキ線黒色
4. ケガキ線中に局所的ないくつかの白い塩の部位
5. ケガキ線中に多数の局所的な白い塩の部位
6. 白い塩がケガキ線を満たす
7. ケガキ線中に暗色の腐食部位
8. ケガキ線に沿ってプライマの下にわずかな水膨れ(<12)
9. ケガキ線に沿ってプライマの下に多数の水膨れ
10. ケガキ線に沿って若干の浮き上がり
11. ケガキに沿ってコーティングのめくれ上がり
12. 有機コーティング表面にピンポイント部位/孔食(直径1/16から1/8インチ−−約0.16cm(0.06インチ)から約0.32cm(0.13インチ)
13. ケガキから離れた表面に一つ以上の水膨れ
14. ケガキから離れたプライマの下に多数の水膨れ
15. 表面全体で水膨れ開始
ケガキ線活動度(ケガキからの腐食表面移動)
A. 表面移動なし
B. 0から1/64インチ−−約0cm(インチ)から約0.04cm(0.02インチ)
C. 1/64から1/32インチ−−約0.04cm(0.02インチ)から約0.08cm(0.03インチ)
D. 1/32から1/16インチ−−約0.08cm(0.03インチ)から約0,16cm(0.06インチ)
E. 1/16から1/8インチ−−約0.16cm(0.06インチ)から約0.32cm(0.13インチ)
F. 3/16から1/4インチ−−約0.2cm(0.48インチ)から約0.5cm(0.25インチ)
G. 1/4から3/8インチ−−約0.6cm(0.25インチ)から約0.95cm(0.38インチ)。
【0110】
【表3−1】

【0111】
【表3−2】

【0112】
【表3−3】

【0113】
【表3−4】

【0114】
【表3−5】

【0115】
【表3−6】

【0116】
【表3−7】

【0117】
【表3−8】

【0118】
【表3−9】

【0119】
【表3−10】

【0120】
【表3−11】

(実施例13)
(強化自己プライマトップコート基材調合物)
金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硝酸塩、および/または金属ケイ酸塩および類似物などの一つ以上のIA族またはIIA族、および/またはイットリウム、および/またはランタニド化合物を含み、オプションとして、希土類化合物、金属酸化物、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アニリン、ポリアニリンおよび類似物などの一つ以上の補助抑制剤を含む強化自己プライマトップコート基材調合物を調製した。調合物の例を下記の表4に示す。
【0121】
(表4.強化自己プライマトップコート基材調合物)
成分 質量(g)
ポリエステル樹脂ブレンド(結合剤) 130
フッ素樹脂ブレンド(結合剤) 240
分散剤 6
ケトン溶媒 77
VOC適用外溶媒 5
着色顔料 45
腐食抑制顔料 310
増量剤顔料 74
基材合計: 1000。
【0122】
本発明に従って、本明細書で説明した基材調合物を用いて、金属直接コーティングおよび強化金属直接コーティングを調製した。コーティング組成物は、イソシアネート触媒、すなわちカリフォルニア州アーバインに事業所を有するデフト社から市販されているイソシアネート溶液97GY088CATなどの二部調合物を含んでいた。例として本明細書に示す金属直接コーティングおよび強化金属直接コーティングは、上記で説明した基材調合物中に適切な量のイソシアネート触媒を適切に撹拌することによって調製した。生成するコーティングの適当な硬化および架橋を保証するために供給者が推奨する量に従って、コーティング組成物中に含まれる量のイソシアネート触媒を加えた。コーティング混合物の調製を容易にし、十分な塗布性を提供し、環境的に許容できる塗料を提供するように、本発明のコーティングシステムの調製に使用する溶媒を選んだ。
【0123】
基材およびイソシアネート触媒を混合したら、金属直接コーティングおよび強化金属直接コーティングは基板であった。ASTM B117手順に従って、1000、2000または3000時間のどれかで、さまざまな試料調合物に対して、試験を実施した。ケラー腐食評点スケールに従って、結果を評価した。調製し評価したコーティング調合物の実施例を下記に示す。
【0124】
(試験手順)
試験するコーティング組成物を種々の金属基板にスプレー塗布し、時間をかけて、一般に約一週間自然に乾燥(硬化)させた。試料の辺および背面にテープを貼り、ASTM B117の手順に従って前面に「X」パターンをケガキした。結果を表5〜7に示す。
【0125】
【表5】

【0126】
【表6】

【0127】
【表7−1】

【0128】
【表7−2】

デフトコーティング数は、カリフォルニア州アーバインに事業所を有するデフト社から市販されているコーティング剤形の製品識別番号を意味する。
**十分に触媒を加えスプレー可能なトップコートの総重量パーセントを基準とする抑制剤顔料重量パーセント。
***増量剤の重量パーセントは、十分に触媒を加えスプレー可能なトップコートの総重量パーセントを基準とする。ローベル(R) HSF ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh, PA)に事業所を有するPPGインダストリーズ(PPG Industries)から市販されている。
【0129】
表5〜7に示したように、強化自己プライマトップコート中に希土類腐食抑制剤とともに増量剤を組み込むと、良好な、あるいは、優れた性能を有するコーティング組成物が得られる。表7に示したように、希土類腐食抑制剤と組み合わせた増量剤は、強化自己プライマトップコート中に組み込まれたとき、最善の腐食抵抗性を提供する。表5に示したように、トップコート中に腐食抑制剤を直接組み込み、非クロムプライマ上に塗布すると、表7に示したコーティングの性能には及ばないコーティングシステムが得られる。表6に示したように、増量剤および希土類化合物腐食抑制剤を有する自己プライマトップコートの腐食抵抗性は、表5に示した非クロムプライマおよびトップコート調合物の性能に匹敵する。従って、本発明によると、自己プライマトップコート組成物は、プライマを使わずに、非クロムプライマおよびトップコートを用いるシステムと同様の性能を実現することができる。さらに、表7に示したように、強化自己プライマトップコートは、非クロムプライマとトップコートとを合せたシステムより優れた性能を発揮し、従ってインターコート重合体コーティングまたはプライマを必要とすることなく、単回コートシステムとして、より良好な腐食保護を提供する。
【0130】
従って、強化自己プライマトップコートは、優れた耐候性および耐久性の両方、ならびに下地の基板に保護を提供するために必要な腐食抵抗性を有する。
【0131】
さらに、本発明によるコーティング組成物は、非クロム含有であり、現在知られているクロム含有コーティングシステムより環境的に優れている。最後に、自己プライマトップコートおよび強化自己プライマトップコート組成物は、インターコート重合体コーティングまたはプライマを必要とすることなく、単回コーティングシステムとして腐食保護を提供し、従って工業製品、消費者向け製品、および軍用部品および商品を製造する生産時間およびコストを最小化する。
【0132】
(結論)
最大限の腐食保護にとって、プライマと基板との界面近傍の局所環境を制御することが重要であることが知られている。中性ないし弱酸性発生増量剤、発生酸性増量剤および/または希土類化合物を含む本明細書で説明したさまざまな成分を、単独でまたは互いにおよび/または重合体樹脂結合剤、イオン交換樹脂、およびその他などの他の物質と組み合わせて、コーティング中に組み込むことによって、局所pHおよびイオン活量を有利に変化させることができる。本明細書で説明したコーティング組成物は、アルミニウムおよびアルミニウム合金を含む金属などの基板に対して良好な接着性を有する。これらの新規なコーティング、コーティングシステムおよび関連するプロセスは、現在知られているクロム含有コーティングシステムより環境的に優れているので、クロム酸塩を含むコーティングに対する実現性のある代替を提供する。
【0133】
すべての出版物、特許および特許出願は、参照によって本明細書中に組み込まれる。ここまで説明した明細書では、本発明の一定の好ましい実施態様に関連して本発明を説明し、説明を目的として数多い詳細を明らかにしたが、本発明に新たな実施態様を加えることができること、および本発明の基本原理から逸脱することなく本明細書において細部を著しく変えることができることは、当業者には明らかであろう。従って、本発明は請求項および請求項の均等物によってのみ限定されることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−209357(P2010−209357A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138800(P2010−138800)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【分割の表示】特願2006−500982(P2006−500982)の分割
【原出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【出願人】(505267511)ユニバーシティー オブ ミズーリ キュレーターズ (4)
【Fターム(参考)】