説明

希土類含有粒子を形成する方法

本発明は、本明細書に記載の消毒剤を使用して感染からヒトを防御すること及びその使用方法、より詳しくは創傷を保護するための希土類含有デバイス及びその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Ceria for Use as an Antimicrobial Barrier and Disinfectant in a Wound Dressing」と題する、2009年7月6日に出願された米国特許仮出願第61/223,350号;「Ceria for Use as an Antimicrobial Barrier and Disinfectant in a Wound Dressing」と題する、2009年8月26日に出願された米国特許仮出願第61/237,148号;及び「Rare earth−containing Nanoparticles and a Method for Making and Using the Same」と題する、2009年10月26日に出願された米国特許仮出願第61/255,025号の利益を主張するものであり、これらは全て、この参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、本明細書に記載の消毒剤を使用して感染から生命体を防御すること及びその使用方法に関し、より詳しくは、感染性物質から生命体を防御するための希土類含有デバイス及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
植物及び動物等の生命体は、感染性物質により引き起こされる感染又は疾患に敏感である。感染性物質は、微生物(細菌、真菌、又はカビ等)、ウイルス、又はプリオンであってもよい。
【0004】
感染性物質は、典型的には、感染性物質を保持する個人又は物体との直接的接触により、環境的接触により(感染性物質を保持する流体(空気、水、又は他の液体)又は固形物)、又は自己汚染により(動物の場合、動物の皮膚又は胃腸管からの物理的移動等)、生命体に感染する。
【0005】
疾患及び/又は感染は、生命体を衰弱させる場合がある。衰弱状態の生命体は、他の感染性物質及び更なる疾患及び感染による攻撃に敏感である。幾つかの場合では、感染性物質に起因する疾患又は感染は、生命体を死滅させる場合がある。
【0006】
微生物により引き起こされる感染又は疾患は、抗生物質で治療することができる。抗生物質は、一般的に、感染又は疾患を引き起こす微生物の増殖及び/又は繁殖を阻害し、及び/又は微生物を死滅させる能力を有する化学物質であり、それらにはヨウ素及び銀が含まれる。
【0007】
ヨウ素元素、Iは、幾つかの感染性物質に対する消毒特性を有する。消毒性ヨウ素の最も一般的な形態は、カデキソマーヨウ素(約0.9%ヨウ素元素を有するポリサッカライドデンプン格子)、及びポビドンヨード又はPVP−1(ヨウ素元素及び合成ポリマーで構成されるヨードフォア)である。
【0008】
銀金属及び銀化合物は、1世紀にわたって微生物剤(microbials)として使用されている。スルホンアミド等の抗生物質を配合した銀は、広範囲の細菌及び真菌に対して毒性である。銀は、細菌細胞に進入し、細胞増殖及び電子伝達のうちの一方又は両方を妨害することができると考えられている。
【0009】
しかしながら、抗生物質に耐性である微生物菌株が発生している。抗生物質耐性微生物菌株により引き起こされる感染又は疾患の治療に使用可能な治療計画は、限られている。更に、広範囲に有効な抗生物質の使い過ぎは、抗生物質に対する微生物の耐性を強化させている。
【0010】
抗生物質は、ウイルス性の感染及び疾患の治療には有効でない。ウイルス性の感染及び疾患は、典型的には、ウイルス抗体の投与により予防的に治療される。ウイルス抗体は、特定のウイルス、より詳しくはウイルス抗体がそれから発生した特定のウイルス株からの防御を提供する。しかしながら、ウイルスは絶えず突然変異する。ウイルス抗体が提供する突然変異ウイルス型からの防御は、典型的には、もしあるとしても限定的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
感染性物質からのより強力でより効果的な防御に関する必要性が存在する。また、突然変異型の感染性物質からの防御を提供する治療が必要とされている。更に、感染性物質により引き起こされる感染及び疾患を予防するための、より安価な及び/又はより環境に優しい治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及び他の必要性は、本発明の種々の実施形態及び構成により取り組まれる。本開示は、一般的に、希土類抗菌性組成物、そのような組成物の応用、並びにそのような応用のための技術、方法、及びデバイスに関する。
【0013】
本発明の第1の実施形態は、1つ又は複数の希土類含有組成物を、第1の感染性生物学的物質個体数を有する感染性生物学的物質と接触させることを含む。希土類含有組成物を感染性生物学的物質と接触させることにより、第2の感染性生物学的物質個体数が形成される。第2の感染性生物学的物質個体数は、第1の感染性生物学的物質個体数より少ない。更に、1つ又は複数の希土類含有組成物を感染性物質と接触させることは、感染性生物学的物質を死滅及び/又は不活化させることを含む。
【0014】
本発明の第2の実施形態は、以下を含む:
(a)1つ又は複数の希土類含有組成物を標的領域に配置し、標的領域が、感染性生物学的物質の第1の個体数を有すること、
(b)1つ又は複数の希土類含有組成物を、標的領域に含有されている感染性生物学的物質と接触させること、及び
(c)感染性生物学的物質を死滅及び/又は不活化させて、感染性生物学的物質の第2の個体数を形成すること。感染性生物学的物質の第2の個体数は、感染性生物学的物質の第1の個体数より少ない。
【0015】
本発明の第3の実施形態は、1つ又は複数の希土類含有組成物と、織布、不織布、衣料品、布地を含む医療デバイス、ポリマーを含む医療デバイス、ポリマー成分を有する医療デバイス、医療用移植片、治療用製剤、洗浄用組成物、セルロース化合物含有材料、ポリマー材料、コーティング材料、及び無機材料のうちの1つとを含む。
【0016】
本発明の第4の実施形態は、以下を含む:
(a)希土類塩の懸濁物を形成すること、
(b)懸濁物をオートクレーブに充填すること、
(c) 熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用し、オートクレーブされた懸濁物を形成すること、
(d)オートクレーブされた懸濁物を液相及び固相に分離すること、及び
(e)液相及び固相のうちの一方又は両方をか焼して、希土類含有粒子を形成すること。随意に、この実施形態は、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用する前に、オートクレーブを密閉することを更に含む。好ましくは、懸濁物は水性懸濁物を含む。好ましくは、希土類塩は、実質的に不溶性の希土類塩である。随意に、懸濁物は、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用している間、実質的に静止状態である。好ましくは、液相及び固相のうちの一方又は両方は、か焼する前に乾燥される。
【0017】
本発明の実施形態は、少なくとも以下を更に含む。
感染性生物学的物質の死滅及び/又は不活化は、感染性物質と1つ又は複数の希土類含有組成物との相互作用による。相互作用は、化学的相互作用、物理的相互作用、又は化学的及び物理的相互作用の組み合わせのうちの1つである。
【0018】
感染性生物学的物質は、細菌、原生動物、ウイルス、真菌、プリオン、又はそれらの混合物のうちの1つ又は複数である。感染性生物学的物質は、生物に接触して又は近接して配置される。
【0019】
標的領域は、動物又は植物のうちの1つに接しているか又はその付近にある。好ましくは、標的領域は、創傷、感染創傷、手術区域、感染し易い区域、感染性生物学的物質から防御しようとする区域、感染性生物学的物質で感染及び/又は罹患した区域、又はそれらの組み合わせのうちの1つである。
【0020】
生物は、動物又は植物のうちの1つである。動物は、ヒト、家畜、野生動物、食料源又は収入源として飼育される動物、伴侶動物、又はそれらの組み合わせのうちの1つである。植物は、栽培植物、非栽培植物又は野生植物、栄養目的で栽培される植物、非食料目的で栽培される植物、及びそれらの組み合わせのうちの1つである。
【0021】
1つ又は複数の希土類含有組成物は、粒子を含む。第1の粒子径の実施形態では、粒子は、約0.1ナノメートル〜約1,000マイクロメートルの典型的な平均粒子径を有する。第2の粒子径の実施形態では、平均粒子径が、典型的には約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートルである。第3の粒子径の実施形態では、平均粒子径が、典型的には約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
【0022】
第4の粒子径の実施形態では、希土類含有粒子は、典型的には約0.1マイクロメートル〜約300マイクロメートルの平均粒子径を有する。好ましくは、粒子の約80%は、約0.1マイクロメートル〜約2マイクロメートルの平均粒子径を有する。
【0023】
第5の粒子径の実施形態では、希土類含有粒子は、典型的には約0.2マイクロメートル〜約0.7マイクロメートルの平均粒子径を有する。好ましくは、粒子の約90%は、約0.2マイクロメートル〜約0.4マイクロメートルの平均粒子径を有する。
【0024】
好ましくは、粒子は、約50ナノメートル〜約1,000マイクロメートルの平均粒子径、及び少なくとも約1m−1の平均表面積を有する。第1の粒子表面積実施形態では、平均表面積は、約120m−1よりも大きい。
【0025】
1つの実施形態では、1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つは、セリウムを含む。1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つがセリウムを含む場合、1つ又は複数の希土類含有組成物の他方は、La、Nd、Pr、及びSmから本質的になる希元素の群から選択される1つ又は複数の希土類元素を含む。好ましくは、セリウム含有組成物は、酸化セリウムを含む。より好ましくは、セリウム含有組成物は、酸化セリウム(IV)(CeO)及び酸化セリウム(III)(Ce)の1つ又は複数を含む。
【0026】
随意に、1つ又は複数の希土類含有組成物は、水溶性希土類含有組成物を含有する。水溶性組成物は、好ましくは、約1M以上、より好ましくは1×10−1M以上、更により好ましくは5×10−2M以上、少なくとも1×10−2M、及び更により好ましくは約1×10−3M以上の総溶解希土類濃度を有する。
【0027】
随意に、希土類含有組成物の1つ又は複数は、水不溶性希土類含有組成物を含む。水不溶性組成物は、好ましくは約5×10−2M未満、より好ましくは約1×10−2M未満、更により好ましくは約1×10−3M未満、更により好ましくは約1×10−4M未満、更により好ましくは約1×10−5M未満、更により好ましくは約1×10−6M未満、更により好ましくは約5×10−7M未満、更により好ましくは約1×10−8M未満、更により好ましくは約1×10−9M未満、及び更により好ましくは約1×10−10M未満の総溶解希土類濃度を有する。
【0028】
1つ又は複数の希土類含有組成物は、デバイス内に含有されている。デバイスは、布地、衣料品、医療デバイス、治療用製剤、洗浄用組成物、セルロース化合物含有材料、ポリマー材料、コーティング材料、無機材料、織布又は不織布、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数である。衣料品は、ヒトを含む動物により着用される。洗浄用組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を有する液体又は固体である。セルロース化合物含有材料は、紙、綿、木材、木材含有製品、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数を含む。ポリマー製品は、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリ酸無水物、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリオキシド、ポリフィレン(polyphylene)、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホアミド、ポリスルホナート、ポリスルホン、ポリスルホキシド、ポリチオ無水物、ポリチオアミド、ポリチオカルボナート、ポリチオエステル、ポリチオケトン、ポリチオイミド、ポリチオ尿素、ポリチオウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリビニル、セルロース、キチン、ケラチン、及びそれらの組み合わせ又は混合物の1つ又は/複数を含むホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、ポリマー混合物、ポリマー合金、又はそれらの組み合わせのうちの1つである。医療デバイスは、縫合糸、ガーゼ、スポンジ、スワブ、包帯、覆布、絆創膏、吻合器、手術器具、ライトハンドルカバー(light−handle cover)、医療用チューブ、医療用メッシュ、移植片、排出用部品、傷口吸引部品、又はそれらの組み合わせのうちの1つである。治療用製剤は、エアゾルスプレー剤、粉末、クリーム剤、軟膏剤、膏薬、リニメント剤、ゲル剤、医療用液剤、傷口洗浄系、又はそれらの組み合わせのうちの1つである。
【0029】
これら及び他の利点は、本明細書に含まれる本発明の開示から明白であろう。
本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体は、その実体の1つ又は複数を参照する。したがって、用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ又は複数の」、及び「少なくとも1つの」は、本明細書では同義的に使用することができる。また、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は、同義的に使用することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」、及び「及び/又は」は、用法が接続的及び離接的の両方である非限定的表現である。例えば、各表現「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ又は複数」「A、B、又はCの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」は、A単独、B単独、C単独、AとB、AとC、BとC、又はAとBとCを意味する。
【0031】
上記は、本発明の幾つかの態様についての理解を提供するための、本発明の単純化された要約である。この要約は、本発明及びその種々の実施形態の包括的な概要でもなく、網羅的な概要でもない。この要約は、本発明の鍵となる要素を特定することを意図するものでも、重要な要素を特定することを意図するものでもなく、本発明の範囲を示すことを意図するものでもなく、むしろ下記に提示されているより詳細な説明に対する前置きとして、本発明の選択された概念を単純化された形態で提示することを意図するものである。承知の通り、本発明の他の実施形態では、上記に示されているか又は下記に詳述されている特徴の1つ又は複数は、単独で又は組み合わせて使用することが可能である。
【0032】
添付の図面は、本発明の幾つかの例を例示するために、本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。これら図面は、その説明と共に、本発明(複数可)の原理を説明する。図面は、本発明を如何に製作及び使用することができるかに関する好ましい及び代替的な例を例示するに過ぎず、本発明(複数可)を限定するものと解釈されるべきではなく、単なる例示的な及び説明的な例に過ぎない。
【0033】
更なる特徴及び利点は、下記に参照されている図面により例示されているように、以下のより詳述な、本発明の種々の実施形態の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態による球体に似た形状を有する粒子又は微粒子の平面図を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるコア−シェル粒子又は微粒子の断面図を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による繊維に似た粒子又は微粒子の平面図を示す図である。
【図4】本発明の第1の方法による粒子又は微粒子を製作するための第1のプロセスを示す図である。
【図5】本発明の第2の方法による粒子又は微粒子を製作するための第2のプロセスを示す図である。
【図6】本発明の第3の方法による粒子又は微粒子を製作するための第3のプロセスを示す図である。
【図7】本発明の第1の粒子又は微粒子径の実施形態による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図8】本発明の第2の粒子又は微粒子径の実施形態による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図9】本発明の第3の粒子又は微粒子径の実施形態による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図10】本発明の第4の粒子又は微粒子径の実施形態による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図11】本発明の実施例IVの第1の対照試料による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図12】本発明の実施例IVの第1のか焼された対照試料による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図13】本発明の実施例IVの第1の対照水性試料による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【図14】本発明の実施例IVのか焼された対照試料による粒子又は微粒子径分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態は、消毒剤、及び消毒剤を使用して標的領域内の感染性物質個体数を低減するための方法を対象とする。より詳しくは、本発明は、生命体に接しているか又はその付近にある標的領域中の感染性物質個体数を低減するための消毒剤の使用を含む。特に、消毒剤は、標的領域付近の感染性物質と接触する。本発明をより詳細に考察し、本発明の考察の内容を提供する前に、感染性物質、生命体、標的領域、及び消毒剤をより詳細に説明することにする。
【0036】
感染性物質
本明細書で使用される場合、「感染性物質」は、疾患、感染、又はその両方を引き起こすことが可能な、活動的な(生命を有する)又は非活動的な(生命のない)あらゆる生物学的物質を指す。感染性物質は、限定するものではないが、細菌、原生動物、ウイルス、真菌(カビ及び白カビを含む)、及びプリオンである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「細菌」(又は単数形の「細菌」)は、クロロフィルを欠如し、核分裂により繁殖する、単細胞又は非細胞性の球状(典型的には球菌と呼ばれる)又はらせん状(典型的にはプリオカート(priochate)と呼ばれる)、又は桿状(典型的には桿菌と呼ばれる)の生物を指す。細菌は、生命体に有益、良性、又は病原性であってもよい。別様の指示がない限り、本明細書で使用される用語「細菌」は、疾患及び/又は感染を引き起こす細菌を指す。細菌により引き起こされる非限定的な疾患には、コレラ、梅毒、炭疽病、ハンセン病、腺ペスト、及び結核が含まれる。感染性細菌の非限定的な例は、クラミジアであり、それらには、以下のものが含まれるがそれらに限定されない:大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クラミジア・トラコマーティス(Chlamydia trachomatis)、プロビデンシア・スチュアルティイ(Providencia stuartii)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、肺炎桿菌(Pneumobacillus)、硝酸陰性バチルス(Nitrate−negative bacillus)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、バチルス・クロアカエ(Bacillus cloacae)、バチルス・アラントイデス(Bacillus allantoides)、モーガン桿菌(Morgan’s bacillus)(サルモネラ・モルガニ(Salmonella morgani))、シュードモナス・マルトフィラ(Pseudomonas maltophila)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・ホエカリス・アルカリゲネス(Bacillus foecalis alkaligenes)、溶血性連鎖球菌B(Streptococcus hemolyticus B)、シトロバクター(Citrobacter)、及びサルモネラ・パラチフィC(Salmonella paratyphi C)。感染性創傷を引き起こすことが可能な細菌の例は、限定するものではないが、ベータ溶血性連鎖球菌(beta haemolytic streptococci)(ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes))、腸球菌(Enterococci)(エンテロコッカス・ファカリス(Enterococcus facalis))、スタフィロコッカス(Strphylococci)(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)/MSRA及びD群)、シュードモナス・エルギノーサ(Prseudomanas aeruginosa)、エンテロバクター(Enterobacter)種、大腸菌、クレブシェラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)種、バクテロイデス(Bacteroides)(フラギリス(fragillis)を含む)、クロストリジウム(Clostridium)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulaes−negative staphylococci)、腸球菌(Enterococci)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、カンジダ・アルビカヌス(Candida Albicanus)、及びグラム陰性好気性菌である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「真菌」は、細胞膜内に含有されている核を有する単細胞酵母又は多細胞生物のいずれかを指す。真菌は、典型的には、細菌よりも大型でより複雑である。例により制限されることは望まないが、真菌は、皮膚、爪、及び毛髪感染を引き起こす場合がある。真菌により引き起こされる感染の例は、限定するものではないが、酵母(カンジダ)及びアスペルギルスである。
【0039】
用語「原生動物」は、単細胞生物を指す。原生動物は、脆弱な膜を有し、細胞壁がない。例により制限されることは望まないが、原生動物は、皮膚潰瘍、より詳しくは感染性皮膚潰瘍に関連している。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ウイルス」は、タンパク質外殻又は膜エンベロープ内に囲まれている遺伝物質(すなわち、核酸を含む物質)を指す。いかなる理論によっても制限されることは望まないが、ウイルスは、一般的に創傷感染を引き起こさない。しかしながら、皮膚病変は、ウイルス疾患の経過中に形成される場合があり、その後細菌に感染する場合がある。
【0041】
本明細書で使用される場合、「プリオン」は、通常は無害な形態で生じるが、異常な形状に折り畳まれると、感染性物質になるタンパク質である。より詳しくは、本明細書で使用される場合、「プリオン」は、疾患及び/又は感染を引き起こすことが可能な異常型プリオンを指す。プリオンを形成する同じタンパク質は、正常な形状の場合は無害であり、異常な形状の場合は、疾患及び/又は感染を引き起こす作用剤である。プリオンは、スクラピー(ヒツジ及びヤギの致死的疾患)、狂牛病、クロイツフェルト−ヤコブ病、致死性家族性不眠症、クールー病、遺伝性ゲルストマン−ストロイスラー−シャインカー病の異型、及び恐らくはアルツハイマー病の幾つかの症例を含む、多数の変性脳疾患を引き起こす場合がある。
【0042】
生命体
本明細書で使用される場合、「生命体」は、Haeckel、Copeland、Wittaker、Woeseら、又はCavalier−Smithの生物界系内の植物界又は動物界のメンバー等の、生物学的な植物界又は動物界のメンバーを指す。生命体は、家畜化されていてもよく、若しくは野生であってもよく(動物界のメンバーの場合)、又は栽培されていてもよく、若しくは栽培されていなくともよい(植物界のメンバーの場合)。
【0043】
動物界の生命体は、あらゆる家畜動物又は野生動物を指し、限定するものではないが、あらゆる伴侶動物、食料源又は収入源として飼育されるあらゆる動物、人道的又は環境的な目的のために取り扱われているあらゆる野生動物、及びヒトを含む哺乳動物綱のあらゆるメンバーが含まれる。より詳しくは、伴侶動物には、限定するものではないが、ネコ、イヌ、ウマ、フェレット、モルモット、爬虫類、及び鳥類が含まれていてもよい。食料源として飼育される動物には、限定するものではないが、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ラマ、ブタ、魚、甲殻類、ニワトリ、及びダチョウが含まれていてもよい。より詳しくは、哺乳類網のメンバーには、温血であり、肺を有し、脊椎を有し、その赤ん坊にミルクを与えるあらゆる動物が含まれる。例により制限されることは望まないが、哺乳動物には、限定するものではないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ラマ、ブタ、水牛、バイソン、及びヘラジカが含まれる。本発明の1つの好ましい実施形態では、生命体はヒトである。
【0044】
植物界の生命体は、あらゆる栽培植物又は非栽培植物を指し、限定するものではないが、栄養的な目的及び食料以外の目的で栽培される植物、及び生態学的及び/又は環境的な目的で管理されているあらゆる非栽培植物が含まれる。栄養的な目的で栽培される植物は、限定するものではないが、マゼ(maze)、トウモロコシ、液果、小麦、米、トマト、コショウ、セロリ、レタス、キャベツ、ジャガイモ、クルミ、アーモンド、サトウキビ、オート麦、オリーブ、ベアリー(barely)、アーモンド、ピーナッツ、ズッキーニ、豆、オレンジ、リンゴ、サクランボ、イチジク、西洋ナシ、桃、グレープフルーツ、及びマンゴー等の、食料源として育てられる植物である。食料以外の目的で栽培される植物は、繊維供給源(限定するものではないが、綿、樹木、及び麻等)、燃料(限定するものではないが、樹木、オリーブ、トウモロコシ、及びサトウキビ)、医学的応用、薬草療法、化学製品(トウモロコシ、小麦、オート麦、並びにサトウダイコン及びサトウキビ)、審美的目的(造園植物及び観葉植物)、及び機能的な応用(侵食又は土壌管理等)の1つ又は複数のために育てられる植物である。
【0045】
標的領域
本明細書で使用される場合、「標的領域」は、感染性物質が存在するか又は存在する場合がある位置、区域、又は容積を指す。1つの実施形態では、標的領域は、疾患又は感染を引き起こすのに十分に大きな感染性物質の個体数を有する位置、区域、又は容積であってもよい。より詳しくは、標的領域は、標的領域内の感染性物質の存在に応じて、消毒剤等で治療される。
【0046】
別の実施形態では、標的領域は、生命体と接している位置、区域、及び/又は付近の容積であり、感染性物質から生命体を防御するために予防的に治療される。すなわち、標的領域は、感染性物質の個体数を実質的に含まないか、又は疾患又は感染を引き起こすには少なすぎる感染性物質の個体数を有し、標的領域は、感染性物質に曝されているか又は曝される可能性を有する。感染性物質への曝露は、疾患又は感染を引き起こすのに十分なほど大きい。
【0047】
標的領域の非限定的な例は、創傷、火傷、及び/又は熱傷関連の感染、皮膚、粘膜、又は歯の疾患又は感染領域、感染性創傷、手術領域、外科手術のために準備される領域、感染し易い領域、感染性物質に感染した領域(これらに限定されないが、膣炎又はざ瘡)、生命体への進入路、生命体の領域と接触する又は生命体の領域に導入される物質、及び感染性物質からの防御を必要とする領域である。
【0048】
用語「創傷」は、外傷又は切開(外科手術等)により引き起こされる組織又は細胞構造に対する損傷を指す。組織は、器官、器官の下部組織、又はその両方を含んでいてもよい。器官は、動物の任意の外部器官(皮膚等)若しくは内部器官(内分泌腺系、神経系、循環系、腸系、若しくは骨格系等)、又は植物の茎系若しくは根系を含む任意の器官であってもよい。
【0049】
用語「感染性創傷」は、限定するものではないが、「創傷汚染」として医学分野で知られている創傷(細菌が創傷内に存在するが、感染した生命体からの反応を伴わない)、「創傷コロニー形成」(細菌が創傷内に存在し、それらが増殖し、感染した生命体からの反応を開始させる)、「重症コロニー形成」(創傷治癒の遅延及び以前に報告されていない疼痛増悪を引き起こす細菌増殖)、及び「創傷感染」(感染した生命体からの反応を伴う、組織中の細菌の堆積及び増殖)を指す。更に、用語「感染性創傷」は、以下のように一般的に分類されるタイプ又は種類の創傷を指すことができる:目に見える急性炎症を欠如する「清潔」未感染手術創(一般的にクラス1創傷とも呼ばれる);漏出が最小限で、感染の形跡がなく、又は無菌技術に重要な破綻がない、気道、胆汁管、胃腸管への選択的な刺入創である「清潔汚染」(一般的にクラス1創傷とも呼ばれる);非化膿性の炎症、胃腸管からの肉眼的漏出、穿通性外傷創傷(4時間未満)、及び無菌技術の重要な破綻の1つ又は複数を示す「汚染」(一般的に、クラスIII創傷としても知られている);並びに化膿性炎、内臓の術前穿孔、及び穿通性外傷創傷(4時間超)の1つ又は複数を示す「不潔感染」。
【0050】
本明細書で使用される場合、「手術領域」は、外科切開が実施される生物の領域を指し、手術中に切開される全ての組織及び器官、並びに切開された組織及び/又は器官のいずれかに実質的に近接する全ての領域を含む。
【0051】
用語「外科手術のために準備された領域」は、標準的な外科技術により、切開の前に及び/又は切開中に消毒が必要とされる領域を指す。領域は、生命体に接している1つ又は複数の領域を指すことができる。更に、領域は、外部領域、内部領域、又はその両方であってもよい。
【0052】
消毒剤
消毒剤は、1つ又は複数の希土類含有組成物を含む。本明細書で使用される場合、「希土類」は、イットリウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムの1つ又は複数を指す。承知の通り、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムは、ランタノイドとして知られている。
【0053】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、分子、多原子イオン、化学化合物、配位錯体、及び配位化合物等の、1つ又は複数の原子で構成される1つ又は複数の化学的単位を指す。承知の通り、組成物は、共有結合、金属結合、配位結合、イオン結合、水素結合、静電力等の種々のタイプの結合及び/又は力(例えばファンデルワールス及びロンドン力)により、共に保持することができる。
【0054】
希土類含有組成物(複数可)は、単一の希土類組成物又は2つ以上の異なる希土類含有組成物を含むことができる。2つ以上の希土類含有組成物中の希土類元素は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。CeO及びCeは、共通の希土類元素を有する異なる希土類含有組成物の非限定的な例である。PrO及びCeOは、異なる希土類元素を有する異なる希土類含有組成物の非限定的な例である。
【0055】
本発明の実施形態では、1つ又は複数の希土類含有組成物は、以下のいずれか1つを含む:
a)セリウム、ランタン、及びプラセオジムから本質的になる希土類の群から選択される1つ又は複数の希土類;
b)イットリウム、スカンジウム、及びユウロピウムから本質的になる希土類の群から選択される多くとも2つの希土類。希土類組成物は、焼結されていてもよい;及び
c)イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、スカンジウム、及びユウロピウムから本質的になる希土類の群から選択される1つ又は複数の希土類。
【0056】
1つ又は複数の希土類含有組成物を構成する希土類は、異なっているか若しくは同じである酸化状態、原子価状態、又はその両方を有することができる。更に、酸化状態、原子価状態、又はその両方は、整数値又は分数値を有することができる。希土類含有組成物は、市販されている場合があるか、任意の供給源から取得することができるか、又は当業者に公知の任意のプロセスにより得ることができる。
【0057】
好ましくは、1つ又は複数の希土類含有組成物は、標準状態の温度及び圧力下では実質的に水不溶性である。より詳しくは、希土類含有組成物の1つ又は複数のうちの1つ若しくは複数又は好ましくは全てが、標準状態下で実質的に水不溶性である。
【0058】
消毒剤は、本明細書では一般的に「微粒子」又は「粒子」と呼ばれる顆粒、結晶、微結晶、粒子、又は他の微粒子の1つ又は複数の形態で存在する希土類含有微粒子を含む。希土類含有微粒子は、個々の粒子、又は個々の粒子の凝塊若しくは凝集を含むことができる。本明細書で使用される場合、「粒子」は、有限の粒子径を有し、形状に制限のない固形物又はマイクロカプセル化液体を指す。
【0059】
いかなる理論によっても束縛されることは望まないが、組成物の化学反応性及び/又は物理的特性は、粒子又は微粒子径により影響を受ける場合がある。より詳しくは、比較的大きな径の粒子又は微粒子の場合、粒子又は微粒子の化学的及び物理的特性は、実質的に組成物のバルク特性より影響を受ける。比較的小さな径の粒子又は微粒子の場合、化学的及び/又は物理的特性は、大きな径の粒子又は微粒子と異なる場合がある。大きな径の粒子又は微粒子は、小さな径の粒子又は微粒子よりも、1バルクの粒子又は微粒子当たりの原子の割合がより少ない。大きな径の粒子又は微粒子及び小さな径の粒子又は微粒子の化学的及び物理的特性の一方又は両方の違いは、少なくとも、小さな径の粒子又は微粒子の表面原子の割合が、大きな径の粒子又は微粒子と比較して増加することによる場合がある。
【0060】
希土類含有粒子又は微粒子は、任意の形状、構造、又は径を有することができる。粒子又は微粒子は、限定するものではないが、球体形状、円柱形状、立方体形状、又は矩形形状に類似していてもよい。更に、粒子又は微粒子は、平板様、層状、多孔性構造、又はそれらの組み合わせを有していてもよい。
【0061】
希土類含有粒子又は微粒子は、実質的に球体100(図1)に似た形状を有していてもよい。幾つかの配置では、球体は、1つの組成物のコア102及び別の組成物のシェル103を有するコア−シェル配置101(図2)の形態であってもよく、コア102及びシェル103組成物は、化学的及び物理的特性のうちの一方又は両方が異なっている。好ましい実施形態では、シェル組成物103は、1つ又は複数の希土類を含み、コア組成物102は、実質的に希土類を有しない組成物を含む。好ましいコア組成物は、非希土類鉱物(そのような粘土、金属酸化物、及びメタロイド酸化物等)及びポリマー材料(無機及び有機ポリマー材料を両方とも含む)を含む。
【0062】
希土類含有粒子又は微粒子は、円柱の長さ105及び円柱の幅107を有する円柱形状等の、繊維104(図3)に似た形状を有していてもよい。1つの実施形態では、円柱の長さ105は、少なくとも円柱の幅107よりも長い。好ましい実施形態では、円柱の長さ105は、円柱の幅107の少なくとも約1倍、より好ましくは少なくとも約2倍、更により好ましくは少なくとも3倍、更により好ましくは少なくとも約4倍、更により好ましくは少なくとも約5倍、更により好ましくは少なくとも約6倍、更により好ましくは少なくとも約7倍、更により好ましくは少なくとも約8倍、更により好ましくは少なくとも約9倍、更により好ましくは少なくとも約10倍、更により好ましくは少なくとも約15倍、及び更により好ましくは少なくとも約20倍である。希土類含有繊維104は、希土類含有フィルター等の繊維構造を形成することができる。
【0063】
本発明の別の実施形態では、希土類含有繊維は、非希土類含有材料と混合されて、繊維基材を形成することができる。非希土類含有材料は、繊維を形成することが可能な任意の材料であり得る。そのような非希土類含有材料の非限定的な例は、セルロース系材料、合成及び/又は天然ポリマー、メタロイド、金属、及び金属含有材料である。希土類含有繊維及び非希土類含有材料は、大部分が機械的エントレインメントにより共に保持しておくことができ、すなわち、希土類含有繊維及び非希土類含有材料を共に保持しておくためには、結合剤は、もし存在するとしても、ほとんど必要ではない。好ましくは、希土類含有繊維及び非希土類含有材料は、実質的に結合剤材料等の別の材料を用いずに共に保持される。
【0064】
セルロース系材料の非限定的な例は、植物細胞壁材料、綿繊維、木材に基づく繊維、酢酸セルロース、及びレーヨンアセタートである。合成ポリマーの非限定的な例は、ポリアセタール、ポリアクリル、ポリ酸無水物、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリオキシド、ポリフィレン、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホアミド、ポリスルホナート、ポリスルホン、ポリスルホキシド、ポリチオ無水物、ポリチオアミド、ポリチオカルボナート、ポリチオエステル、ポリチオケトン、ポリチオイミド、ポリチオ尿素、ポリチオウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリビニル、及びそれらの混合物である。天然ポリマーの例は、これらに限定されないが、セルロース系ポリマー、キチンポリマー、及びタンパク質に基づくポリマー等(絹、羊毛、革、ケラチン等)の、植物、動物、及び鉱物に基づくポリマーである。
【0065】
メタロイド、金属、及び金属含有繊維の例は、金属又は金属含有材料を含む任意の繊維であってもよい。金属の例は、任意の遷移金属(すなわち、NIST SP 966周期表の3〜12族、又は1、2、13〜17、8、1B、又は2B族に含まれる任意の金属)及び任意のメタロイド(Al、Ga、Ge、ln、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、及びPo)である。メタロイド及び/又は金属含有材料の例は、金属合金、1つ又は複数のメタロイド、金属を含む化合物、及び1つ又は複数のメタロイド及び/又は金属を含有する物質及び/又は組成物等(少なくとも1つの金属でコーティングされた及び/又は少なくとも1つの金属が配合された天然又は合成ポリマー等)の、メタロイド、金属を含有する任意の材料である。
【0066】
希土類含有組成物は、水溶性組成物、水不溶性組成物、水溶性組成物の混合物、水不溶性組成物の混合物、又は水溶性及び不溶性組成物の混合物であってもよい。幾つかの不溶性希土類組成物の非限定的な例は、希土類酸化物、フルオリド、ホスファート、オキシ−クロリド、及びカルボナートである。希土類組成物は、任意の供給源から取得することができるか、又は当業者に公知の任意のプロセスにより得ることができる。
【0067】
より詳しくは、応用に応じて、水不溶性組成物は、以下の好ましい総溶解希土類濃度を有する:約5×10−2M未満、約1×10−2M未満、より好ましくは約1×10−3M未満、更により好ましくは約1×10−4M未満、更により好ましくは約1×10−5M未満、更により好ましくは約1×10−6M未満、更により好ましくは約1×10−7M未満、更により好ましくは約1×10−8M未満、更により好ましくは約1×10−9M未満、及び更により好ましくは約1×10−10M未満。本発明の好ましい実施形態では、水不溶性組成物は、以下の総溶解セリウム濃度を有する:約5×10−2M未満、より好ましくは約1×10−2M未満、更により好ましくは約1×10−3M未満、更により好ましくは約1×10−4M未満、更により好ましくは約1×10−5M未満、更により好ましくは約1×10−6M未満、更により好ましくは約1×10−7M未満、更により好ましくは約1×10−8M未満、更により好ましくは約1×10−9M未満、及び更により好ましくは約1×10−10M未満。
【0068】
より詳しくは、応用に応じて、水溶性組成物は、以下の総溶解希土類濃度を有する:好ましくは少なくとも約1M、より好ましくは少なくとも約1×10−1M、更により好ましくは少なくとも約5×10−2M、更により好ましくは少なくとも約1×10−2M、及び更により好ましくは少なくとも約1×10−3M。本発明の好ましい実施形態では、水溶性組成物は、以下の総溶解セリウム濃度を有する:好ましくは少なくとも約1M、より好ましくは少なくとも約1×10−1M、更により好ましくは少なくとも約5×10−2M、更により好ましくは少なくとも約1×10−2M、及び更により好ましくは少なくとも約1×10−3M。
【0069】
不溶性希土類含有組成物は、セリウム、並びにランタン、プラセオジム、イットリウム、スカンジウム、及びユウロピウムのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。好ましくは、希土類含有組成物の総希土類含有量は、少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約85重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも約92重量%、更により好ましくは少なくとも約94重量%、更により好ましくは少なくとも約96重量%、更により好ましくは少なくとも約98重量%、更により好ましくは少なくとも約99重量%、更により好ましくは少なくとも約99.9重量%、更により好ましくは少なくとも約99.99重量%、更により好ましくは少なくとも約99.999重量%、及び更により好ましくは少なくとも約99.9999重量%である。より好ましくは、希土類含有組成物のセリウム土類含有量は、少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約85重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも約92重量%、更により好ましくは少なくとも約94重量%、更により好ましくは少なくとも約96重量%、更により好ましくは少なくとも約98重量%、更により好ましくは少なくとも約99重量%、更により好ましくは少なくとも約99.9重量%、更により好ましくは少なくとも約99.99重量%、更により好ましくは少なくとも約99.999重量%、及び更により好ましくは少なくとも約99.9999重量%である。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、不溶性希土類含有組成物は、セリウム、並びにランタン、ネオジム、プラセオジム、及びサマリウムのうちの1つ又は複数を含む。本発明の別の実施形態では、1つ又は複数の不溶性希土類含有組成物は、セリウム、イットリウム、スカンジウム、及びユウロピウムのうちの1つ又は複数を含む。
【0071】
更に、不溶性希土類含有組成物は、好ましくは、多くとも約10重量%のLa、より好ましくは多くとも約9重量%のLa、更により好ましくは多くとも約8重量%のLa、更により好ましくは多くとも約7重量%のLa、更により好ましくは多くとも約6重量%のLa、更により好ましくは多くとも約5重量%のLa、更により好ましくは多くとも約4重量%のLa、更により好ましくは多くとも約3重量%のLa、更により好ましくは多くとも約2重量%のLa、更により好ましくは多くとも約1重量%のLa、更により好ましくは多くとも約0.5重量%のLa、及び更により好ましくは多くとも約0.1重量%のLaを有する。不溶性希土類含有組成物は、好ましくは、多くとも約8重量%のNd、より好ましくは多くとも約7重量%のNd、更により好ましくは多くとも約6重量%のNd、更により好ましくは多くとも約5重量%のNd、更により好ましくは多くとも約4重量%のNd、更により好ましくは多くとも約3重量%のNd、更により好ましくは多くとも約2重量%のNd、更により好ましくは多くとも約1重量%のNd、更により好ましくは多くとも約0.5重量%のNd、及び更により好ましくは多くとも約0.1重量%のNdを有する。不溶性希土類含有組成物は、好ましくは、多くとも約5重量%のPr、より好ましくは多くとも約4重量%のPr、更により好ましくは多くとも約3重量%のPr、更により好ましくは多くとも約2.5重量%のPr、更により好ましくは多くとも約2.0重量%のPr、更により好ましくは多くとも約1.5重量%のPr、更により好ましくは多くとも約1.0重量%のPr、更により好ましくは多くとも約0.5重量%のPr、更により好ましくは多くとも約0.4重量%のPr、更により好ましくは多くとも約0.3重量%のPr、更により好ましくは多くとも約0.2重量%のPr、及び更により好ましくは多くとも約0.1重量%のPrを有する。不溶性希土類含有組成物は、好ましくは、多くとも約3重量%のSm、より好ましくは多くとも約2.5重量%のSm、更により好ましくは多くとも約2.0重量%のSm、更により好ましくは多くとも約1.5重量%のSm、更により好ましくは多くとも約1.0重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.5重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.4重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.3重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.2重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.1重量%のSm、更により好ましくは多くとも約0.05重量%のSm、及び更により好ましくは多くとも約0.01重量%のSmを有する。
【0072】
希土類組成物がセリウム含有化合物を含む場合、セリウム含有化合物は、有機及び無機セリウム含有化合物から得ることができる。より詳しくは、セリウム含有化合物は、セリウムカルボン酸塩(限定するものではないが、ギ酸セリウム、酢酸セリウム、シュウ酸セリウム、フマル酸セリウム、グルタミン酸セリウム、又はグルタル酸セリウム)のうちの1つ若しくは複数、或いは炭酸セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、ホウ酸セリウム、リン酸セリウム、セリウムハロゲン化物、鉱酸のセリウム塩、及び/若しくは析出プロセスにより形成されたセリウム化合物のうちの1つ又は複数から得ることができる。好ましくは、不溶性希土類含有組成物は、熱分解プロセスから得られ、熱分解プロセスにより形成される不溶性希土類含有組成物の1つの非限定的な例は、酸化セリウムである。不溶性希土類組成物は、酸化セリウム、又は酸化セリウム(III)及び(IV)酸化物の混合物、及び随意に結合剤及び/又は担体(これらに限定されないが、ポリマー性又は天然繊維結合剤、又は金属、鉱物、及び/又はメタロイド担体)のうちの1つ又は複数であってもよい。
【0073】
希土類含有組成物は、焼結された希土類含有組成物であってもよい。1つの実施形態では、焼結された希土類含有組成物は、イットリウム、スカンジウム、及びユウロピウムからなる希土類の群から選択される多くとも2つの元素を含む。
【0074】
希土類含有粒子は、希土類含有微結晶を含むことができる。本明細書で使用される場合、「結晶性」は、反復パターン等の規則正しい配置にある原子、分子、及び/又はイオンを有する固体材料を指し、好ましくは、規則正しい配置は、空間的な3つの次元の各々において規則正しく、結晶族群により規定される。微結晶は、単結晶又は単一ドメイン結晶を含むことができる。好ましくは、希土類含有微結晶の全てではないにしても少なくとも大部分は、連続的結晶格子を含む。好ましくは、連続的結晶格子は、実質的にあらゆる結晶粒界を欠いている。いかなる理論によっても束縛されることは望まないが、結晶粒界は、希土類含有微結晶の物理的及び/又は化学的特性に影響を及ぼす場合があると考えられる。
【0075】
更に、希土類含有粒子又は微粒子は、多結晶相及び準結晶相のうちの一方又は両方を含むことができる。本明細書で使用される場合、「多結晶性」は、様々な配向性に配置されている様々なサイズの微結晶を指す。本明細書で使用される場合、「準結晶性」は、空間的な3つの次元の少なくとも1つにおいて長距離配列性が欠如しているような、短距離及び/又は中距離の結晶配列を指す。更に、希土類含有粒子は、クラスター形態の複数の微結晶を含むことができる。
【0076】
希土類含有粒子又は微粒子は、任意の方法及び/又はプロセスにより製作することができる。粒子又は微粒子は、任意の粉砕、析出、か焼、熱分解、及び/又は焼結プロセスにより形成することができる。
【0077】
例えば、希土類含有粒子剤は、希土類金属塩を析出させることで、又は例えば希土類金属炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、若しくは上記に示されている他のセリウム含有塩のいずれかを、空気等の酸化剤の存在下で、好ましくは約100〜700℃の、更により好ましくは約180〜350℃の温度の炉で熱分解することで得ることができる。不溶性定着剤の形成は、2007年10月31日に出願された同時係争中の米国特許出願第11/932,837号で更に考察されており、それは、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
本発明の別の実施形態は、希土類組成物をオートクレーブして、オートクレーブされた希土類組成物を形成すること、及びオートクレーブされた希土類組成物をか焼することを含む、希土類含有粒子を形成するプロセスである。希土類含有粒子は、任意の希土類塩から得ることができる。好ましくは、希土類塩は、希土類炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、水酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、又は他の鉱酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、又は他のカルボン酸塩、又は陰イオン性ハロゲン酸化物(XO、式中Xは、塩素、臭素、又はヨウ素のうちの1つである)である。より好ましくは、希土類塩は、炭酸セリウム等の希土類炭酸塩を含む。
【0079】
希土類塩を含む懸濁物を形成し、オートクレーブに充填する。懸濁物は、溶媒中に希土類塩の懸濁物を形成することが可能な任意の溶媒を含むことができる。好ましくは、懸濁物は水性懸濁物である。希土類塩及び溶媒は、任意の比率で混合することができる。希土類塩−溶媒比は、質量比に基づき、好ましくは1:100〜1:0.1、より好ましくは約1:20〜約1:2、及び更により好ましくは約1:8〜約1:4である。好ましい実施形態では、質量比は、好ましくは約1:6である。
【0080】
希土類含有懸濁物をオートクレーブに充填した後、オートクレーブを密閉し、超大気圧下で加熱して、オートクレーブされた希土類塩を形成する。オートクレーブは、被覆オートクレーブであってもよく、又は非被覆オートクレーブであってもよい。好ましくは、オートクレーブは、316ステンレスオートクレーブ等のステンレス鋼オートクレーブである。理想的には、オートクレーブには、破裂板が取付けられている。破裂板の圧力定格は、約689kPa(約100psig)〜約186000kPa(約27,000psig)、より好ましくは約6890kPa(約1,000psig)〜約34500kPa(約5,000psig)であってもよい。
【0081】
オートクレーブは、当技術内で公知の任意のオートクレーブ加熱法により加熱することができる。好適な加熱法は、油加熱、熱気加熱、蒸気加熱、電気加熱、抵抗加熱、及び磁気加熱である。
【0082】
ガスをオートクレーブに充満させて、オートクレーブを加圧することができる。ガスは、不活性ガスであってもよく、又は反応性ガスであってもよい。好適な不活性ガスの非限定的な例は、窒素、ヘリウム、及びアルゴンである。反応性ガスの非限定的な例は、酸素である。密封したオートクレーブに加えられた熱は、オートクレーブを更に加圧することができることを認識することができる。好ましい実施形態では、オートクレーブプロセス中に加えられる圧力の、全てではないにしても少なくとも大部分は、加えられた熱によるものである。
【0083】
好ましくは、懸濁物は、密封されたオートクレーブ中で、好ましくは約50℃〜約750℃の懸濁物温度に、100℃〜約400℃のより好ましい懸濁物温度に、及び約200℃の更により好ましい懸濁物温度に加熱される。懸濁物温度は、好ましくは約0.2時間〜約48時間の期間、より好ましくは約1時間〜約8時間の期間、及び更により好ましくは約2時間の期間維持される。オートクレーブ圧力は、破裂板の破裂定格未満に維持される。好ましくは、オートクレーブ圧力は、約34500kPa(約5,000psig)未満に、又はより好ましくは約13800kPa(約2,000psig)未満に維持される。
【0084】
懸濁物は、オートクレーブプロセス中は、実質的に静止した状態で維持することができる。好ましくは、懸濁物は、熱及び圧力のうちの一方又は両方の適用中は、実質的に静止状態で維持される。随意に、この方法は、熱及び圧力のうちの一方又は両方の適用中に懸濁物を撹拌することを更に含んでいてもよい。撹拌は、オートクレーブプロセス中に連続的に又は断続的に適用してもよい。撹拌は、限定するものではないが、振とう、かきまぜ、循環、剪断、高速剪断、オートクレーブの振動、傾斜、若しくは回転、及び/又は懸濁物の放出(ガス又は他の液体による)を含んでいてもよい。
【0085】
この方法は、懸濁物に超音波エネルギーを適用することを更に含んでいてもよい。超音波エネルギーは、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用する期間の少なくともある期間又は全期間中に適用することができる。更に、超音波エネルギーは、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に加える前に及び/又は加えた後で懸濁物に適用することができる。好ましくは、超音波エネルギーは、熱及び圧力を懸濁物に加えた後で適用される。
【0086】
密閉されたオートクレーブ中で熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用した後で、オートクレーブは、オートクレーブされた希土類塩を含むオートクレーブされた懸濁物を含有している。オートクレーブされた懸濁物の一部又は全てを、オートクレーブから取り出す。オートクレーブされた懸濁物は、オートクレーブから取り出す前に冷却してもよく、又は冷却しなくともよい。
【0087】
本発明の1つの実施形態では、オートクレーブされた懸濁物を全てオートクレーブから取り出し、乾燥する。オートクレーブされた懸濁剤は、好ましくは約10〜約200℃、より好ましくは約20〜約150℃、更により好ましくは約20〜約100℃、及び更により好ましくは約30〜約80℃の温度で乾燥される。好ましくは、オートクレーブされた懸濁物は、高くとも約300℃の、より好ましくは高くとも約250℃の、更により好ましくは高くとも約200℃の、更により好ましくは高くとも約150℃の、更により好ましくは高くとも約100℃の、更により好ましくは高くとも約80℃の、更により好ましくは高くとも約70℃の、及び更により好ましくは高くとも約50℃の温度で乾燥される。乾燥した後、乾燥された懸濁物をか焼する。
【0088】
本発明の別の実施形態では、オートクレーブされた懸濁物は、実質的な液相及び実質的な固相を含む。実質的な液相は、溶媒に懸濁されているオートクレーブされた希土類塩を含む。固相は、析出及びオートクレーブされた希土類塩を含み、すなわち固相は、オートクレーブ中に溶媒から析出及び/又は沈殿した希土類塩を含有する。液相及び固相は、オートクレーブから別々に取り出される。液相及び固相のうちの一方又は両方は、乾燥及びか焼される。液相及び固相は、オートクレーブされた懸濁物について記載されているように乾燥される。乾燥された液相は、実質的に、懸濁されオートクレーブされた希土類塩を含む。乾燥された固相は、実質的に、析出されオートクレーブされた希土類塩を含む。
【0089】
か焼プロセスは、乾燥されオートクレーブされた懸濁物、乾燥された液相、又は乾燥された固相のうちの1つ又は複数を、炉中で約200℃〜約500℃の、より好ましくは約250℃〜約350℃の、及び更により好ましくは約300℃の好ましい温度に加熱して、希土類含有粒子を形成することを含む。炉は、示されている温度のいずれかを達成することが可能な任意の炉を含むことができる。好ましくは、炉はマッフル炉である。
【0090】
図4は、以下を含む、希土類含有粒子を製作するための第1の方法120を示す:
(a)希土類塩の懸濁物を形成すること(ステップ121)、
(b)懸濁物をオートクレーブに充填すること(ステップ122)、
(c)熱及び超大気圧のうちの一方又は両方を懸濁物に適用し、オートクレーブされた懸濁物を形成すること(ステップ123)、
(f)オートクレーブされた懸濁物を液相及び固相に分離すること(ステップ124)、及び
(g)液相をか焼して希土類含有粒子を形成すること(ステップ125)。好ましくは、懸濁物は水性懸濁物を含む。更に、希土類塩は、好ましくは実質的に不溶性の希土類塩である。好ましくは、オートクレーブは、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用する前に密閉される。好ましい実施形態では、懸濁物は、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用している間、実質的に静止状態にある。オートクレーブされた懸濁物の液相及び固相への分離は、デカンテーション、液体層の配管及び/又は吸引、ろ過、又はそれらの組み合わせ等の任意の既知の分離プロセスであってもよい。随意に、液相は、か焼前に乾燥される。液相は、これらに限定されないが、空気乾燥、真空乾燥、加熱による周囲より高い温度での乾燥、又はそれらの組み合わせ等の、任意の乾燥プロセスにより乾燥することができる。
【0091】
図5は、以下を含む、希土類含有粒子を製作するための第2の方法130を示す:
(a)希土類塩の懸濁物を形成すること(ステップ131)、
(b)懸濁物をオートクレーブに充填すること(ステップ132)、
(c)熱及び超大気圧のうちの一方又は両方を懸濁物に適用し、オートクレーブされた懸濁物を形成すること(ステップ133)、
(d)オートクレーブされた懸濁物を液相及び固相に分離すること(ステップ134)、及び
(e)固相をか焼して希土類含有粒子を形成すること(ステップ135)。好ましくは、懸濁物は水性懸濁物を含む。好ましくは、希土類塩は、実質的に不溶性の希土類塩である。一般的に、オートクレーブは、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用する前に密閉される。好ましい実施形態では、懸濁物は、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用している間、実質的に静止状態である。オートクレーブされた懸濁物の液相及び固相への分離は、デカンテーション、液体層の配管及び/又は吸引、ろ過、又はそれらの組み合わせ等の任意の既知の分離プロセスであってもよい。固相は、これらに限定されないが、空気乾燥、真空乾燥、加熱による周囲より高い温度での乾燥、乾燥溶媒による固相の洗浄、又はそれらの組み合わせ等の、任意の乾燥プロセスにより乾燥することができる。
【0092】
図6は、以下を含む、希土類含有粒子を製作するための第2の方法140を示す:
(a)希土類塩の懸濁物を形成すること(ステップ141)、
(b)懸濁物をオートクレーブに充填すること(ステップ142)、
(c)熱及び超大気圧のうちの一方又は両方を懸濁物に適用し、オートクレーブされた懸濁物を形成すること(ステップ143)、及び
(d)固相をか焼して希土類含有粒子を形成すること(ステップ144)。好ましくは、懸濁物は水性懸濁物を含む。更に、希土類塩は、好ましくは実質的に不溶性の希土類塩である。好ましくは、オートクレーブは、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用する前に密閉される。好ましい実施形態では、懸濁物は、熱及び圧力のうちの一方又は両方を懸濁物に適用している間、実質的に静止状態である。随意に、オートクレーブされた懸濁物は、か焼する前にオートクレーブから取り出してもよい。更に、オートクレーブされた懸濁物は、随意に、か焼する前に乾燥してもよい。
【0093】
希土類含有粒子径は、希土類含有粒子の調製法及び使用法のうちの一方又は両方に応じて様々であり得る。例により制限されることは望まないが、小さな径の粒子又は微粒子は、スプレー及びクリーム製剤用に好ましく、大きな径の粒子又は微粒子は、担持粒子応用に好ましい。1つの実施形態では、平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約1,000マイクロメートル未満、より好ましくは約500マイクロメートル未満、更により好ましくは約200マイクロメートル未満、更により好ましくは約100マイクロメートル未満、更により好ましくは約70マイクロメートル未満、更により好ましくは約30マイクロメートル未満、更により好ましくは約20マイクロメートル未満、更により好ましくは約10マイクロメートル未満、更により好ましくは約5マイクロメートル未満、更により好ましくは約1マイクロメートル未満、更により好ましくは約500ナノメートル未満、更により好ましくは約100ナノメートル未満、更により好ましくは約50ナノメートル未満、更により好ましくは約20ナノメートル未満、更により好ましくは約10ナノメートル未満、更により好ましくは約5ナノメートル未満、及び更により好ましくは約1ナノメートル未満である。別の実施形態では、平均粒子又は微粒子径は、好ましくは、約1,000マイクロメートルから、約500マイクロメートルから、約200マイクロメートルから、約100マイクロメートルから、約70マイクロメートルから、約30マイクロメートルから、約20マイクロメートルから、約10マイクロメートルから、約5マイクロメートルから、約1マイクロメートルから、約500ナノメートルから、約100ナノメートルから、約50ナノメートルから、約20ナノメートルから、約10ナノメートルから、約5ナノメートルから、又は約数ナノメートルからのうちの1つから、約1,000マイクロメートル、約500マイクロメートル、約200マイクロメートル、約100マイクロメートル、約70マイクロメートル、約30マイクロメートル、約20マイクロメートル、約10マイクロメートル、約5マイクロメートル、約1マイクロメートル、約500ナノメートル、約100ナノメートル、約50ナノメートル、約20ナノメートル、約10ナノメートル、約5ナノメートル、約1ナノメートル、又は約0.1ナノメートルのうちの1つまでである。
【0094】
1つの実施形態では、希土類含有粒子又は微粒子は、平均径を有する。平均径は、以下のMV、MN、及びMAのうちの1つ又は複数で表すことができる。MVは、体積分布の平均径であり、分布の重心を表す。体積平均径は、粒子又は微粒子の分布におけるより大きな粒子又は微粒子の容積量の任意の変化により重み付けされる(すなわち、強い影響を受ける)。MNは、数分布の平均径であり、体積分布を使用して計算され、分布におけるより小さな粒子又は微粒子に対して重み付けされる。MAは、面積分布の平均径であり、体積分布から計算される。面積平均径は、分布における大きな粒子又は微粒子の量の変化に対して、体積平均径ほど重み付けされない(すなわち、それほど影響されない)。面積平均径は、粒子又は微粒子の表面積に関する情報も表す。体積平均径、個数平均径、及び面積平均径は、以下のように計算される:
MV=ΣV/ΣV (1)
MN=Σ(V)/ΣV) (2)
MA=ΣV/Σ(V/d) (3)
式中、Vは、各径中心iの体積パーセントであり、dは、各径中心iの粒子又は微粒子径である。
【0095】
本発明の種々の実施形態による希土類含有粒子又は微粒子の径分布は、図6〜13に示されている。図6〜13に示されている希土類含有粒子又は微粒子の径範囲及び/又は径分布は例示であり、本開示により可能にされた希土類含有粒子又は微粒子の径範囲及び/又は径分布に限定されない。
【0096】
図7は、本発明の第1の粒子又は微粒子径の実施形態による、希土類含有粒子又は微粒子の平均粒子又は微粒子径体積分布(MV)を示す。平均粒子又は微粒子径分布は、二峰性である。好ましくは、粒子又は微粒子の少なくとも大部分は、約0.1マイクロメートル〜約1マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。より好ましくは、粒子又は微粒子の少なくとも約70%は、約0.1マイクロメートル〜約1マイクロメートルの平均粒子径を有する。好ましくは、粒子又は微粒子の多くとも約30%は、約2マイクロメートル〜約200マイクロメートルの平均粒子径を有する。平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約12マイクロメートルである。分布の標準偏差は、好ましくは約11である。粒子又は微粒子径の数分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.2マイクロメートルである。表面分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.3マイクロメートルである。
【0097】
図9は、本発明の第2の粒子又は微粒子径の実施形態による、希土類含有粒子又は微粒子の平均粒子径体積分布(MV)を示す。示されている平均粒子又は微粒子径分布は幅広く、多峰性の粒子又は微粒子径分布である。粒子又は微粒子径分布は、好ましくは、約183の大きな標準偏差を有する。好ましくは、粒子又は微粒子の少なくとも約10%は、約0.2マイクロメートル〜約7マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。より好ましくは、粒子又は微粒子の約40%は、約7マイクロメートル〜約300マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有し、更により好ましくは、粒子又は微粒子の約50%は、約300〜約500マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約223マイクロメートルである。粒子又は微粒子径の数分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.4マイクロメートルである。表面分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約5マイクロメートルである。
【0098】
図8は、本発明の第3の粒子又は微粒子径の実施形態による、希土類含有粒子又は微粒子の平均粒子又は微粒子径体積分布(MV)を示す。示されている平均粒子又は微粒子径分布は、好ましくは約0.07の標準偏差を有する、狭い粒子又は微粒子径分布である。好ましくは、粒子又は微粒子の少なくとも約90%は、約0.2マイクロメートル〜約0.4マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。好ましくは、粒子又は微粒子の約100%は、約0.2マイクロメートル〜約0.7マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.25マイクロメートルである。粒子又は微粒子径の数分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.22マイクロメートルである。表面分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.25マイクロメートルである。
【0099】
図10は、本発明の第4の粒子又は微粒子径の実施形態による、希土類含有粒子又は微粒子の平均粒子又は微粒子径体積分布(MV)を示す。示されている平均粒子又は微粒子径分布は、好ましくは約15の標準偏差を有する、狭い粒子又は微粒子径分布である。好ましくは、粒子又は微粒子の少なくとも約80%は、約0.1マイクロメートル〜約2マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。好ましくは、粒子又は微粒子の約100%は、約0.1マイクロメートル〜約300マイクロメートルの粒子又は微粒子径を有する。平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約20マイクロメートルである。粒子又は微粒子径の数分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.15マイクロメートルである。表面分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.3マイクロメートルである。
【0100】
本発明の第5の粒子又は微粒子径の実施形態では、分布は、実質的に幅広い粒子又は微粒子径分布である。粒子又は微粒子の少なくとも約100%は、約0.3マイクロメートル〜約500マイクロメートルの好ましい粒子又は微粒子径を有する。平均粒子又は微粒子径は、約95マイクロメートルである。粒子又は微粒子径分布は、約85の好ましい標準偏差を有する。粒子又は微粒子径の数分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約0.4マイクロメートルである。表面分布の平均粒子又は微粒子径は、好ましくは約20マイクロメートルである。
【0101】
本発明の第6の粒子又は微粒子径の実施形態では、希土類含有粒子又は微粒子の少なくとも大部分は、約1〜約10ナノメートルの好ましい平均粒子又は微粒子径を有する。好ましくは、希土類含有粒子又は微粒子の少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約85重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%、及び更により好ましくは少なくとも約98重量%は、約1〜約10ナノメートルの平均粒子又は微粒子径を有する。
【0102】
本発明の第7の粒子又は微粒子径の実施形態では、希土類含有粒子又は微粒子の少なくとも大部分は、約0.1〜約1ナノメートルの好ましい平均粒子又は微粒子径を有する。好ましくは、希土類含有粒子又は微粒子の少なくとも約75重量%、より好ましくは少なくとも約85重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%、及び更により好ましくは少なくとも約98重量%は、約0.1〜約1ナノメートルの平均粒子又は微粒子径を有する。
【0103】
本発明の別の粒子又は微粒子径の実施形態では、希土類含有粒子又は微粒子径分布の図画による標準偏差は、好ましくは多くとも約250、より好ましくは多くとも約200、更により好ましくは多くとも約150、更により好ましくは多くとも約100、更により好ましくは多くとも約50、更により好ましくは多くとも約25、更により好ましくは多くとも約10、更により好ましくは多くとも4、更により好ましくは多くとも約2、更により好ましくは多くとも約1、更により好ましくは多くとも0.7、更により好ましくは多くとも約0.5、更により好ましくは多くとも約0.3、及び更により好ましくは多くとも0.1である。好ましくは、希土類含有粒子又は微粒子径分布の図面による標準偏差は、多くとも約25、より好ましくは多くとも約10、更により好ましくは多くとも4、更により好ましくは多くとも約2、更により好ましくは多くとも約1、更により好ましくは多くとも0.7、更により好ましくは多くとも約0.5、更により好ましくは多くとも約0.3、及び更により好ましくは多くとも0.1である。
【0104】
希土類含有粒子又は微粒子は、好ましくは、少なくとも約1m/gの単位質量当たりの平均表面積を有する。より好ましくは、希土類含有粒子又は微粒子は、少なくとも約5m/g、より好ましくは少なくとも約10m/g、更により好ましくは少なくとも約100m/g、更により好ましくは少なくとも約150m/g、更により好ましくは少なくとも約300m/g、及び更により好ましくは少なくとも約400m/gの単位質量当たりの表面積を有する。更により好ましくは、希土類含有粒子又は微粒子は、任意の平均希土類含有粒子又は微粒子径、並びに任意の希土類含有粒子又は微粒子分布、並びに少なくとも約1m/g、更により好ましくは少なくとも約5m/g、更により好ましくは少なくとも約10m/g、更により好ましくは少なくとも約100m/g、更により好ましくは少なくとも約150m/g、更により好ましくは少なくとも約300m/g、及び更により好ましくは少なくとも約400m/gの単位質量当たりの表面積を有する。
【0105】
消毒剤と感染性物質との接触
消毒剤を感染性物質と接触させることにより、感染性物質の不活化及び死滅のうちの一方又は両方を行う。1つの実施形態では、感染性物質は、消毒剤と接触すると、化学的に、物理的に、又は化学的及び物理的の両方で消毒剤と相互作用する。すなわち、感染性物質を消毒剤と接触させることにより、感染性物質は、化学的及び/又は物理的に変化する。化学的及び/又は物理的変化は、感染性物質の少なくとも1つ又は複数の重要物質の化学反応、物理的変化、化学的分解、物理的損傷、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0106】
感染性物質は、接触前の感染性物質個体数を有する。消毒剤を感染性物質と接触させることにより、感染性物質の少なくとも大部分又は全てではないとしても少なくとも一部分が不活化され、接触後の感染性物質個体数を形成する。本明細書で使用される場合、「不活化する」は、感染性物質の死滅、損傷、又は死滅及び損傷の両方を引き起こし、感染性物質が、疾患及び感染を引き起こすこと及び更に繁殖することのうちの一方又は両方を停止させないとしても少なくとも阻害することを指す。1つの特定の実施形態では、消毒剤を感染性物質と接触させることにより、細菌、真菌、又は原生動物の細胞構造、又はウイルスの膜エンベロープが、化学的に及び/又は物理的に十分に損傷及び/又は破壊されて、感染性物質が死滅及び/又は不活化される。好ましくは、接触後の感染性物質個体数は、少なくとも、接触前の感染性物質個体数よりも少ない。接触前の感染性物質個体数で除算した接触後の感染性物質個体数は、不活性化商をなす。好ましくは、不活性化商は、1未満、より好ましくは多くとも約10−1倍、更により好ましくは多くとも約10−2倍、更により好ましくは多くとも約10−3倍、更により好ましくは多くとも約10−4倍、更により好ましくは多くとも約10−5倍、更により好ましくは多くとも約10−6倍、更により好ましくは多くとも約10−7倍、更により好ましくは多くとも約10−8倍、更により好ましくは多くとも約10−9倍、及び更により好ましくは多くとも約10−10倍である。
【0107】
ウイルスでは、重要物質は、遺伝物質(DNA又はRNA等)、タンパク質性物質(ウイルス内の遺伝物質を保護するタンパク質性物質)、脂質性物質(幾つかのウイルスのタンパク質性物質を囲んでいるか又は覆っている)、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。細菌等の原核細胞では、重要物質は、以下のものを含んでいてもよい:a)細胞エンベロープの最も外側の領域(限定するものではないが、鞭毛又は線毛等);b)細胞に剛性を提供し、細胞内部と環境を分離する細胞エンベロープ(細胞壁及び/又は莢膜等);c)細胞内側内に含有されている細胞質領域(細胞DNA、リボソーム、封入体、染色体、及びプラスミド等);又はd)それらの組み合わせ。真菌(カビ及び白カビを含む)、植物、又は動物の真核細胞の細胞壁では、重要物質は、以下のものを含んでいてもよい:a)最も外側の細胞領域;(繊毛又は鞭毛等);b)細胞内部と環境を分離する原形質膜(細胞壁を形成してもよく、又は形成しなくてもよい);c)細胞内側内に含有されている細胞核(真核生物のDNA又は染色体、ヒストンタンパク質、ミトコンドリア等)、又はd)それらの組み合わせ。プリオンでは、重要物質は、異常な形状の又は誤って折り畳まれたタンパク質を含んでいてもよい。
【0108】
消毒剤により引き起こされる化学的及び/又は物理的変化は、感染性物質の死滅、不活化、又は死滅及び不活化を両方とも引き起こす、消毒剤と感染性物質との収着又は相互作用であってもよい。理論により制限されることは望まないが、感染性物質と消毒剤との収着及び/又は相互作用は、化学的に、物理的に、又は化学的及び物理的の両方で、病原体を不活化及び/又は死滅させる。更に、より大きな平均表面積を有する消毒剤は、質量基準当たりにすると、感染性物質の死滅及び/又は不活化により効果的であり得ると考えられる。
【0109】
本明細書で使用される場合、「化学的障害」は、感染性物質が、消毒剤により化学的に障害を受けるか又は死滅されることを指す。本明細書で使用される場合、「化学的に」又は「化学的な」は、化学反応により化学薬品によって変更され達成されたことが明白になるあらゆる特性を参照する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「物理的障害」は、感染性物質が、消毒剤により物理的に障害を受け及び/又は死滅されることを指す。本明細書で使用される場合、「物理的に」又は「物理的な」は、典型的には、系の同一性を変更せずに所与の時点における系の状態を記述するニュートン的特性の観点で任意の測定可能な特性を指す。
【0111】
より詳しくは、消毒剤による感染性物質の化学的障害、物理的障害、又はそれらの組み合わせは、実質的に、a)感染性物質が、疾患及び感染のうちの一方又は両方を誘発するのを予防的に防止すること、b)感染性物質が、疾患及び感染のうちの一方又は両方を永続化することを防止すること、c)標的領域を消毒すること、又はd)それらの組み合わせであることができる。
【0112】
本明細書で使用される場合、「吸着」は、吸着剤と呼ばれる別の物質の表面への、ガス又は液体の原子、イオン、分子、多原子イオン、又は他の物質の付着を指す。吸着を誘発する力は、例えば、任意の化学結合形成プロセス等の化学的なものであってもよく、又は限定するものではないが、イオン力、静電気力、ファンデルワールス力、及び/又はロンドン力を含む任意の力等の物理的なものであってもよい。
【0113】
本明細書で使用される場合、「吸収」は、吸着とは異なり、ある物質が別の物質の内部構造に浸透することを指す。
本明細書で使用される場合、「収着する(sorb)」又は「収着」は、吸着及び/又は吸収を指す。
【0114】
消毒剤を使用するデバイス
消毒剤は、複数の異なるデバイスに使用することができる。好ましくは、消毒剤は、有効治療量でデバイスの各々に存在する。本明細書で使用される場合、「有効治療量」は、十分に治療して、感染性物質の少なくとも幾つかを死滅させること及び不活化させることのうちの一方又は両方を引き起こす量を指す。
【0115】
布地及びそれを製作するための方法
本発明の1つの実施形態は、消毒剤を含有する布地、及びそれを製作するための方法を含む。この実施形態は、消毒剤を含有する織布地品又は不織布地品を含む任意の布地品を含む。更に、布地品には、消毒剤を含有する織物、及び消毒剤を含有する織物で製造された任意の物品が含まれる。非衣料用布地品の非限定的な例には、限定するものではないが、カーペット、敷物、覆布、カーテン、シーツ、毛布、枕カバー、枕、マットレスカバー、マットレス、下着、靴下、靴クッション、靴ライニング、タオル、婦人用衛生用品、乳児用おむつ、実験室コート、患者衣、及び家具カバーが含まれる。
【0116】
いかなる例によっても限定されることは望まないが、消毒剤は、好ましくは布地の多くとも約0.01重量%、より好ましくは布地の多くとも約0.05重量%、更により好ましくは布地の多くとも約0.1重量%、更により好ましくは布地の多くとも約0.2重量%、更により好ましくは布地の多くとも約0.5重量%、更により好ましくは布地の多くとも約0.8重量%、更により好ましくは布地の多くとも約1重量%、更により好ましくは布地の多くとも約2重量%、更により好ましくは布地の多くとも約3重量%、更により好ましくは布地の多くとも約4重量%、更により好ましくは布地の多くとも約5重量%、更により好ましくは布地の多くとも約6重量%、更により好ましくは布地の多くとも約8重量%、更により好ましくは布地の多くとも約10重量%、更により好ましくは布地の多くとも約12重量%、更により好ましくは布地の多くとも約15重量%、及び更により好ましくは布地の多くとも約20重量%を構成する。消毒剤が織布のシート間に配置されている場合(枕又はキルト様式等で)、消毒剤は、好ましくは布地の少なくとも約0.1重量%、より好ましくは布地の少なくとも約0.2重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約0.5重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約0.8重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約1重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約2重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約3重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約4重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約5重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約6重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約8重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約10重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約12重量%、更により好ましくは布地の少なくとも約15重量%、及び更により好ましくは布地の少なくとも約20重量%を構成する。
【0117】
好ましくは、布地は、有効治療量の酸化セリウムを含む。より好ましくは、布地は、約0.01重量%〜約20重量%の、更により好ましくは約0.05重量%〜約10重量%の、更により好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の範囲の酸化セリウムを含む。消毒剤が、織布のシート間に配置されている場合(枕又はキルト様式等で)、消毒剤は、好ましくは約0.1重量%〜約99重量%の酸化セリウム、より好ましくは約0.2重量%〜約95重量%の酸化セリウム、及び更により好ましくは約1重量%〜約90重量%の酸化セリウムを含む。
【0118】
消毒剤を含む布地を製作するための方法には、布地上に及び/又は布地内に消毒剤を組み込む及び/又は付着させるための任意の方法が含まれる。例えば、限定するものではないが、布地を構成する繊維及び/又は糸は、繊維の紡糸又は押出し中(溶解、押出し、又は溶液紡糸)又は繊維のねん糸又は他の接着(ステープル(staple)又はトウ繊維(tow fiber))等、形成中に消毒剤を繊維及び/又は糸内に組み込むことができる。別の非限定的な例では、消毒剤は、熱、接着、物理的、及び化学的プロセスのうちの1つ又は複数により布地に付着させることができる。熱プロセスは、熱により柔らかくなった布地及び/又は繊維に消毒剤を埋込むことを含んでいてもよい。熱プロセスでは、消毒剤は、布地及び/又は繊維と直接的に接触することができ、布地及び/又は繊維に実質的に直接的に付着させることができる。付着プロセスは、粘着性組成物及び/又はコーティング組成物等の第3の物質と共に、消毒剤を布地及び/又は繊維に接着することを含むことができる。第3の物質は、消毒剤と布地及び/又は繊維との間に配置される。消毒剤は、第3の物質により布地及び/又は繊維に付着される。物理的プロセスは、消毒剤の機械的封入及び/又は静電気的付着のうちの一方又は両方を含むことができる。機械的封入には、以下が含まれていてもよい:a)織布のシート間に消毒剤を配置すること(枕又はキルト様式等で);b)糸を形成する絡み合う繊維間に消毒剤を封入すること;c)織布又は不織布を形成する繊維及び/又は糸で消毒剤を封入すること;d)又はそれらの任意の組み合わせ。静電気的付着は、消毒剤と布地及び/又は布地を構成する繊維との間のあらゆる静電的引力を含むことができる。化学的プロセスは、消毒剤と布地材料(布地材料を構成する繊維を含む)との間の化学結合を形成するあらゆるプロセスを含むことができる。
【0119】
更に、消毒剤は、消毒剤を含むコーティングを形成することにより布地に組み込むことができる。好ましくは、沈着及び/又はコーティングプロセスは、布地に消毒剤コーティングを形成する。好適なプロセスの非限定的な例には、ゾルゲルプロセス、化学的沈着又は析出プロセス、蒸着プロセス、結合剤及び無結合剤コーティングプロセス、電気化学的析出プロセス、及び熱沈着プロセスが含まれる。好ましくは、沈着及び/又はコーティングプロセスは、布地の少なくとも大部分又は全てではないとしても、少なくとも一部分を、実質的にコーティングする。コーティングは、布地に連続的に分布していてもよく、又は非連続的に分布していてもよい。更に、コーティングは、厚さが実質的に均一でもよく、又は厚さが実質的に不均一であってもよい。
【0120】
消毒剤を含む布地の非限定的な例は、希土類含有粒子を有する抗菌性繊維である。
非限定的な例は以下を含んでいてもよい:希土類含有溶液を調製すること;繊維(植物性繊維等)を希土類含有溶液と接触させて(浸漬又はスプレー等により)、希土類含有溶液を含浸させた繊維を形成すること;希土類含有溶液を含浸させた繊維を乾燥させて、希土類含有粒子を有する繊維を形成すること。
【0121】
希土類含有粒子は、上述の任意の平均粒子径及び/又は表面積を有することができる。繊維中の希土類含有粒子の量は、繊維の好ましくは最大約0.05重量%、より好ましくは最大約0.1重量%、更により好ましくは最大約0.2重量%、更により好ましくは最大約0.3重量%、更により好ましくは最大約0.4重量%、更により好ましくは最大約0.5重量%、更により好ましくは最大約0.6重量%、更により好ましくは最大約0.7重量%、更により好ましくは最大約0.8重量%、更により好ましくは最大約0.9重量%、更により好ましくは最大約1.0重量%、更により好ましくは最大約1.2重量%、更により好ましくは最大約1.4重量%、更により好ましくは最大約1.5重量%、更により好ましくは最大約1.6重量%、更により好ましくは最大約1.8重量%、更により好ましくは最大約2重量%、更により好ましくは最大約3重量%、更により好ましくは最大約3.5重量%、更により好ましくは最大約4重量%、更により好ましくは最大約4.5重量%、及び更により好ましくは約5.0重量%である。本発明の1つの実施形態では、繊維中の希土類含有粒子の量は、約0.1重量%〜約1.5重量%である。
【0122】
繊維は、任意の繊維であってもよい。好ましくは、繊維は、これらに限定されないが、綿、リネン、セルロース系繊維等の吸水性繊維である。繊維は、他の吸水性繊維又は非吸水性繊維のいずれかと配合することができる。
【0123】
希土類含有溶液は、好ましくは少なくとも約5g/L、より好ましくは少なくとも約10g/L、更により好ましくは少なくとも約25g/L、更により好ましくは少なくとも約50g/L、更により好ましくは少なくとも約100g/L、更により好ましくは少なくとも約150g/L、更により好ましくは少なくとも約200g/L、更により好ましくは少なくとも約250g/L、更により好ましくは少なくとも約300g/L、更により好ましくは少なくとも約350g/L、更により好ましくは少なくとも約400g/L、更により好ましくは少なくとも約450g/L、及び更により好ましくは少なくとも約500g/Lの希土類含有組成物を有する任意の希土類含有溶液であってもよい。好ましくは、希土類含有組成物は、硝酸セリウム又は塩化セリウムのうちの1つを含む。
【0124】
希土類含有溶液は、還元剤を含有していてもよい。グルコース及びデンプンは、好適な還元剤の非限定的な例である。
希土類含有溶液を含浸させた繊維は、任意の温度で乾燥することができる。より詳しくは、希土類含有溶液を含浸させた繊維は、以下の温度で乾燥してもよい:好ましくは少なくとも約15℃、より好ましくは少なくとも約25℃、更により好ましくは少なくとも約50℃、更により好ましくは少なくとも約100℃、更により好ましくは少なくとも約120℃、更により好ましくは少なくとも約140℃、更により好ましくは少なくとも約150℃、更により好ましくは少なくとも約175℃、更により好ましくは少なくとも約200℃、更により好ましくは少なくとも約225℃、更により好ましくは少なくとも約250℃、更により好ましくは少なくとも約275℃、更により好ましくは少なくとも約300℃、更により好ましくは少なくとも約350℃、更により好ましくは少なくとも約400℃、更により好ましくは少なくとも約450℃、更により好ましくは少なくとも約500℃、更により好ましくは少なくとも約550℃、更により好ましくは少なくとも約600℃、更により好ましくは少なくとも約650℃、及び更により好ましくは少なくとも約700℃、又はそれらの任意の組み合わせ。本発明の1つの実施形態では、希土類含有溶液を含浸させた繊維は、約120℃〜約200℃の温度で乾燥される。
【0125】
希土類含有溶液を含浸させた繊維は、任意の期間乾燥してもよい。より詳しくは、希土類含有溶液を含浸させた繊維は、上記の温度の1つ又は複数において以下の期間乾燥してもよい:好ましくは約20分間、より好ましくは約40分間、更により好ましくは約60分間、更により好ましくは約1.5時間、更により好ましくは約2時間、更により好ましくは約3.5時間、更により好ましくは約4時間、更により好ましくは約5時間、更により好ましくは約6時間、更により好ましくは約7時間、更により好ましくは約8時間、更により好ましくは約10時間、更により好ましくは約12時間、更により好ましくは約14時間、更により好ましくは約16時間、更により好ましくは約18時間、更により好ましくは約20時間、更により好ましくは約24時間、更により好ましくは約32時間、更により好ましくは約36時間、更により好ましくは約40時間、更により好ましくは約48時間、更により好ましくは約36時間、及び更により好ましくは約72時間。本発明の1つの実施形態では、希土類含有溶液を含浸させた繊維は、約40分間〜約60分間乾燥される。本発明の1つの実施形態では、希土類含有溶液を含浸させた繊維は、約120℃〜約200℃の温度で、約40分間〜約60分間乾燥される。
【0126】
本発明の別の布地実施形態は、コア成分と、希土類含有組成物を含む消毒剤を含有する外被成分とを有する複合繊維を含むことができる。コア及び外被成分は、任意のポリマー材料を含むことができる。好ましくは、コア及び外被成分は、熱可塑性ポリマーを含む。コア及び外被成分は、同じポリマー材料又は異なるポリマー材料を含むことができる。好ましくは、コア及び外被成分は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ1,4シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート(PCT)、ポリエチレン(PE)、PETG(1,4,シクロヘキサンジメタノールで修飾されたPET)、ポリプロピレン(PP)、co−PET、無定形PET、ポリカプロラクタム(PCL)、又はポリブチレンテレフタラート(PBT)のうちの1つ又は複数を含む。コア成分は、繊維の約5〜約95重量%を構成することができる。消毒剤成分を含有する外被は、繊維の約95%〜約5重量%を構成することができる。好ましくは、コア成分は、繊維の約5重量%、より好ましくは約10重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約20重量%、更により好ましくは約25重量%、更により好ましくは約30重量%、更により好ましくは約35重量%、更により好ましくは約40重量%、更により好ましくは約45重量%、更により好ましくは約50重量%、更により好ましくは約55重量%、更により好ましくは約60重量%、更により好ましくは約65重量%、更により好ましくは約70重量%、更により好ましくは約75重量%、更により好ましくは約80重量%、更により好ましくは約85重量%、更により好ましくは約90重量%、及び更により好ましくは約95重量%を構成することができる。好ましくは、消毒剤成分を含有する外被は、繊維の約95%、より好ましくは約90重量%、更により好ましくは約85重量%、更により好ましくは約80重量%、更により好ましくは約75重量%、更により好ましくは約70重量%、更により好ましくは約65重量%、更により好ましくは約60重量%、更により好ましくは約55重量%、更により好ましくは約50重量%、更により好ましくは約45重量%、更により好ましくは約40重量%、更により好ましくは約35重量%、更により好ましくは約30重量%、更により好ましくは約25重量%、更により好ましくは約20重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約10重量%、又は更により好ましくは約5重量%を構成することができる。コア及び外被成分の一方又は両方には、これらに限定されないが、UV安定剤、難燃添加剤、色素、親水性添加剤、抗着色添加剤、レオロジー改質剤、粘性調整剤、潤滑剤、充填剤、及びそれらの組み合わせ又は混合物等のポリマー添加剤が含まれていてもよい。
【0127】
外被は厚さを有する。好ましくは、外被の厚さは、総繊維断面の多くとも約5%、より好ましくは約10%、更により好ましくは約15%、更により好ましくは約20%、更により好ましくは約25%、更により好ましくは約30%、更により好ましくは約35%、更により好ましくは約40%、更により好ましくは約45%、更により好ましくは約50%、更により好ましくは約55%、更により好ましくは約60%、更により好ましくは約65%、更により好ましくは約70%、更により好ましくは約75%、更により好ましくは約80%、又は更により好ましくは約85重量%であってもよい。繊維中に消毒剤を保持する能力は、消毒剤の平均粒子及び/又は微粒子径に関連することを理解することができる。より詳しくは、外被成分の厚さは、消毒剤の平均粒子及び/又は微粒子径とほぼ等しい。
【0128】
複合繊維は、2つの異なるポリマーのペレットを使用することにより形成されてもよく、又は繊維が形成されることになる反応器からの直接ポリマー流を使用することにより形成されてもよい。複合繊維を形成するためには、2つの押出機が使用される。1つの押出機は、コアを形成し、別の押出機は外被を形成する。コア成分を形成するポリマーペレットは、コア成分を形成する押出機に供給され、そこでペレットが融解され、スクリューによりノズルから押し出される。同様の様式で、外被成分を形成するための消毒剤及びポリマーペレットが、外被成分を形成する押出機に供給され、そこでポリマーが融解され、消毒剤と混合され、混合物が、スクリューによりノズルから押し出され、コア成分を取り囲む。
【0129】
衣料及びそれを製作するための方法
本発明の1つの実施形態は、消毒剤を含有する衣料品、及びそれを製作するための方法を含む。より詳しくは、この実施形態は、ヒトを含む動物により着用されるあらゆる衣料品を含む。そのような衣料品の非限定的な例には、限定するものではないが、消毒剤を含有するマスク、ガウン(医療用ガウンを含む)、エプロン(外科用エプロンを含む)、手術着、キャブ(cab)、帽子、ヘアネット、靴カバー、手袋(無菌、診察用、及び通常用を含む)、下着(下地及びサポート下地を含む)、又はおむつが含まれる。
【0130】
衣料品が布地を含む場合、消毒剤は、布地について上述したように衣料品に組み込むことができる。衣料品が非布地品を含む場合、消毒剤は、上述の熱、接着、物理的、及び化学的プロセスのいずれか1つにより、非布地品に組み込むことができる。更に、消毒剤は、上述の非布地品の形成中及び/又は形成後に、非布地品に組み込むことができる。例えば、消毒剤は、物品の押出し及び/又は成形中に組み込むことができる。更に、消毒剤は、上述の任意の沈着及び/又はコーティングプロセスにより衣料品に組み込むことができる。好ましくは、衣料品は、上記で示した濃度のうちの1つの濃度の消毒剤を含む。
【0131】
医療デバイス及びそれを製作するための方法
本発明の1つの実施形態は、医療デバイス、医療装置、医療デバイス若しくは装置の要素若しくは部品、又はそれらの組み合わせ、及びそれを製作するための方法である。医療デバイスの非限定的な例には、縫合糸、ガーゼ(ガーゼ包帯及びラップを含む)、スポンジ(外科用スポンジ及びピーナッツ(peanut)を含む)、医療用スワブ(綿、ポリエステル、及び発泡体を含む)、包帯(閉鎖及び非閉鎖を含む)、医療用覆布(外科用覆布を含む)、絆創膏(立体ストリップ、弾性、接着性、包帯を有する又は有しない、及び圧縮性、及び非圧縮性)が含まれる。医療装置の非限定的な例には、吻合器(皮膚、管、及び血管吻合器、並びに線形及び円形吻合器を含む)、手術器具(これらに限定されないが、止血鉗子、鉗子、開創器、メス等)、ライトハンドルカバー、医療用チューブ、医療用メッシュ(ヘルニアメッシュ等)、創傷排出器、医療用移植片(心臓弁、ステント、人工関節、矯正デバイス、歯科インプラント、歯科デバイス等)、及び創傷吸引器が含まれる。
【0132】
医療デバイスが布地を含む場合、消毒剤は、上述のような布地に、上記で示した濃度のうちのいずれか1つ又は複数の濃度で組み込むことができる。布地を含む医療デバイスの例は、限定するものではないが、ガーゼ、スワブ、スポンジ、覆布、及び包帯である。
【0133】
医療デバイスがポリマー材料を含む場合、消毒剤は、上述のような医療デバイスの形成中及び/又は形成後に、上記に示した濃度のうちの1つの濃度で、医療デバイスに組み込むことができる。
【0134】
医療デバイスが金属材料を含む場合、消毒剤は、必要に応じて、上記に示した方法のいずれか1つにより、又は合金化プロセスにより医療デバイスに組み込むことができる。例えば、大部分の又は全ての沈着及び/又はコーティングプロセスを、ポリマー材料及び金属材料の両方に対して適切に適用することができる。プロセスが合金化プロセスを含む場合、1つ又は複数の希土類は、合金形成プロセス中に添加される。合金は、任意の量の1つ又は複数の希土類を含むことができる。好ましくは、合金は、セリウムを、より好ましくは酸化物の形態のセリウムを含む。1つ又は複数の希土類は、上記に示した消毒剤の有効治療濃度のいずれか1つ又は複数の濃度で存在する。
【0135】
治療用製剤及びそれを製作するための方法
本発明の別の実施形態は、治療用製剤、及びそれを製作するための方法を含む。治療用製剤は、有効量の消毒剤を含む任意の製剤を含む。製剤の非限定的な例には、エアゾルスプレー剤、溶媒ベースのスプレー剤、水ベースのスプレー剤、粉末(足、身体、及び穀物又は植物用粉末)、クリーム剤、軟膏剤、膏薬、リニメント剤、及びゲル剤(動物又は植物の身体用、消毒用、衛生用、創傷治療用、抗細菌用、抗真菌用を含む)、医療用液剤、及び傷口洗浄系が含まれる。
【0136】
好ましくは、エアゾルスプレー剤及び粉末は、約0.1〜約1ナノメートル、より好ましくは約1ナノメートル〜約0.1マイクロメートル、更により好ましくは約0.1〜約1マイクロメートル、及び更により好ましくは約0.1〜約100マイクロメートルの範囲の平均粒子又は微粒子径を有する消毒剤を含む。更に、消毒用粒子又は微粒子は、好ましくは、少なくとも約1ナノメートル、より好ましくは少なくとも約10ナノメートル、更により好ましくは少なくとも約50ナノメートル、更により好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートル、更により好ましくは少なくとも約1マイクロメートル、更により好ましくは少なくとも約10マイクロメートル、更により好ましくは少なくとも約50マイクロメートル、更により好ましくは少なくとも約70マイクロメートル、更により好ましくは少なくとも約100マイクロメートル、及び更により好ましくは少なくとも約200マイクロメートルの平均粒子又は微粒子径を有する。エアゾルスプレー剤は、粉末を分散させるための、当技術分野内で公知の任意の好適な方法により形成することができる。粉末は、他の粉末添加物と共に製剤化された消毒剤を含むことができる。他の粉末添加物には、非粘結性添加剤(すなわち「流動可能」な形態に消毒用粉末を維持するための添加剤)、又はコーティング添加剤(すなわち、消毒剤を標的領域にコーティング及び/又は付着させるのを支援するための添加剤)が含まれていてもよい。
【0137】
消毒剤粒子は、標的領域への適用に好適な任意の溶媒に分散又は懸濁することができる。好ましくは、消毒剤粒子は、水溶液系に分散又は懸濁される。別の実施形態では、消毒剤は、溶媒に溶解される。好ましくは、消毒剤は、水に溶解される。分散、懸濁、又は溶解された形態の消毒剤を含む水溶液系は、1つ又は複数の界面活性剤(限定するものではないが、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、又はそれらの組み合わせ及び混合物を含む)、湿潤剤、粘性調整剤、緩衝剤、及びpH調整剤を含むことができる。水溶液系は、任意のpHを有していてもよい。約pH9〜約pH10の範囲の塩基性pH値が好ましい。しかしながら、水溶液系は、約pH1〜約pH6の酸性pH値、約pH7の中性pH、又は約pH8〜約pH12の塩基性pH値を有していてもよい。
【0138】
消毒剤は、任意の医療用溶液に分散、懸濁、又は溶解することができる。好適な医療用溶液の非限定的な例には、以下のものが含まれる:耳用酢酸溶液(溶媒、典型的には非水性溶媒中に氷酢酸を含む溶液)、局所用酢酸アルミニウム溶液(塩基性酢酸アルミニウム、氷酢酸を含む溶液、典型的には湿布として皮膚に局所適用されるか、又は含嗽剤又は口内洗浄液として使用される)、塩基性酢酸アルミニウム溶液(硫酸アルミニウム、酢酸、炭酸カルシウム、及び水を含む溶液、典型的には湿布として局所適用される)、非等張溶液、抗凝固性クエン酸デキストロース溶液(クエン酸、クエン酸ナトリウム、及びデキストロースを含む水溶液)、抗凝固性ヘパリン溶液(ナトリウムヘパリン及び塩化ナトリウムを含む水溶液)、抗凝固性クエン酸ナトリウム溶液(クエン酸ナトリウムを含む水溶液)、ベネディクト溶液(クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び硫酸銅を含む水溶液)、心臓麻痺性溶液(典型的にはカリウムを含有する水性又は血液含有溶液を含む)、デーキン液(次亜塩素酸ナトリウムを含む)、ヨード液(ヨウ素及びヨウ化ナトリウム、好ましくは約1.5〜約2.5グラムのヨウ素及び約2.0〜約3.0グラムのヨウ化ナトリウムのうちの一方又は両方を含む水溶液)、乳酸リンゲル液(塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、及び乳酸ナトリウムを含む水溶液)、ルゴール又はstongヨード液(ヨウ素及びヨウ化カリウム、好ましくは約3〜約7グラムのヨウ素及び約8〜約12グラムのヨウ化カリウム、より好ましくは約5グラムのヨウ素及び10グラムのヨウ化カリウム、並びに約85グラムの水を含む水溶液)、モンセル液(塩基性硫酸第二鉄、収れん剤、及び止血剤を含む水溶液)、通常食塩水溶液(塩化ナトリウム、好ましくは約1重量/容積%の塩化ナトリウムを含み、約300mOsm/Lを有する水溶液)、生理食塩水溶液(約0.9パーセントの塩化ナトリウムを含み、実質的に血清とほぼ等張性である水溶液)、リンゲル液(約130mmol/Lのナトリウム、約109mmol/Lのクロリド、約28mmol/Lの乳酸、約4mmol/Lのカリウム、及び約1.5mmol/Lのカルシウムを有する水溶液)、Shohl溶液(クエン酸及びクエン酸ナトリウムを含む水溶液)、次亜塩素酸ナトリウム溶液(約3〜約7重量%の次亜塩素酸ナトリウム、好ましくは約4〜約6重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液)、又はTAC溶液(テトラカイン、エピネフリン、及びコカインを含む水溶液)。
【0139】
本発明の好ましい実施形態では、医療用溶液に分散、懸濁、又は溶解された消毒剤は、創傷洗浄系、外科洗浄系、創傷包帯の成分、口内洗浄液、含嗽剤、保管又は保存系、注射剤、かゆみ止め溶液、抗細菌溶液、抗真菌溶液、抗微生物溶液、又は消毒液として使用することができる。好ましくは、医療用溶液は、水性系を含む。
【0140】
消毒剤は、クリーム剤、軟膏剤若しくは膏薬、リニメント剤、又はゲル剤に製剤化することができる。消毒剤は、クリーム製剤、軟膏製剤、膏薬製剤、ペースト製剤、リニメント製剤、又はゲル製剤に、分散、懸濁、及び/又は溶解することができる。
【0141】
本明細書で使用される場合、「クリーム剤」は、油及び水を含む乳剤を指す。乳剤は、水中油型乳剤であってもよく又は油中水乳剤であってもよい。油対水の比率は、いかなる比率であってもよい。好ましくは、油及び水の割合は、実質的におよそ同じである。すなわち、油対水の比率は、約1:1である。
【0142】
本明細書で使用される場合、「軟膏剤」又は「膏薬」は、実質的に粘性及び/又は半固形の製剤を指す。軟膏剤又は膏薬は、石油ベースの炭化水素(限定するものではないが、パラフィン系炭化水素等)、天然ベースの炭化水素(限定するものではないが、羊毛脂又は蜜ろう等)、植物油(限定するものではないが、オリーブ油、ヤシ油、又は落花生油等)、又は人工ポリマー系(限定するものではないが、ポリエーテル又はマクロゴール等)であることができる。軟膏剤又は膏薬は、乳剤の形態であることができる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「リニメント剤」は、軟膏剤、クリーム剤、又はゲル剤の、それほど粘性ではない形態を指す。リニメント剤という用語は、一般的に使用されているローション剤又は香膏という用語を指すことができる。リニメント剤は、1つ又は複数の水、アルコール、アセトン、又は他の迅速に蒸発する溶媒を含むことができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「ゲル剤」は、濃厚な溶液を指す。この溶液は、水溶液及び/又はアルコール溶液を含むことができる。好ましくは、ゲル剤は、濃厚なペースト様溶液又は半固形乳剤を含む。
【0145】
消毒コーティングの非限定的な例には、1つ又は複数の希土類含有組成物、パンテノール、及びグリセリンが含まれていてもよい。より詳しくは、1つ又は複数の希土類含有組成物は、消毒コーティングの好ましくは約0.05重量%、より好ましくは約0.1重量%、更により好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、又は更により好ましくは約25重量%のうちの1つから、好ましくは約0.1重量%、より好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、更により好ましくは約25重量%、又は更により好ましくは約30重量%のうちの1つまでを構成する。本発明の1つの好ましい実施形態では、1つ又は複数の希土類含有粒子の各々は、約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度である。
【0146】
より詳しくは、パンテノールは、消毒コーティングの好ましくは約0重量%、より好ましくは0.01重量%、更により好ましくは約0.02重量%、更により好ましくは約0.03重量%、更により好ましくは約0.04重量%、更により好ましくは約0.05重量%、更により好ましくは約0.06重量%、更により好ましくは約0.07重量%、更により好ましくは約0.08重量%、更により好ましくは約0.09重量%、更により好ましくは約0.1重量%、更により好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、又は約25重量%のうちの1つから、好ましくは約0.01重量%、より好ましくは約0.02重量%、更により好ましくは約0.03重量%、更により好ましくは約0.04重量%、更により好ましくは約0.05重量%、更により好ましくは約0.06重量%、更により好ましくは約0.07重量%、更により好ましくは約0.08重量%、更により好ましくは約0.09重量%、約0.1重量%、更により好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、更により好ましくは約25重量%、又は約30重量%のうちの1つまでを構成する。本発明の好ましい実施形態では、パンテノールは、消毒コーティングの約0.03重量%〜約5重量%を構成する。
【0147】
より詳しくは、グリセリンは、消毒性コーティングの好ましくは約0重量%、より好ましくは0.01重量%、更により好ましくは約0.02重量%、更により好ましくは約0.03重量%、更により好ましくは約0.04重量%、更により好ましくは約0.05重量%、更により好ましくは約0.06重量%、更により好ましくは約0.07重量%、更により好ましくは約0.08重量%、更により好ましくは約0.09重量%、更により好ましくは約0.1重量%、更により好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、又は約25重量%のうちの1つから、好ましくは約0.01重量%、より好ましくは約0.02重量%、更により好ましくは約0.03重量%、更により好ましくは約0.04重量%、更により好ましくは約0.05重量%、更により好ましくは約0.06重量%、更により好ましくは約0.07重量%、更により好ましくは約0.08重量%、更により好ましくは約0.09重量%、更により好ましくは約0.1重量%、更により好ましくは約0.2重量%、更により好ましくは約0.3重量%、更により好ましくは約0.4重量%、更により好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.6重量%、更により好ましくは約0.7重量%、更により好ましくは約0.8重量%、更により好ましくは約0.9重量%、更により好ましくは約1重量%、更により好ましくは約2重量%、更により好ましくは約3重量%、更により好ましくは約4重量%、更により好ましくは約5重量%、更により好ましくは約6重量%、更により好ましくは約7重量%、更により好ましくは約8重量%、更により好ましくは約9重量%、更により好ましくは約10重量%、更により好ましくは約12重量%、更により好ましくは約14重量%、更により好ましくは約15重量%、更により好ましくは約16重量%、更により好ましくは約18重量%、更により好ましくは約20重量%、更により好ましくは約25重量%、又は更により好ましくは約30重量%のうちの1つまでを構成する。本発明の好ましい実施形態では、パンテオールは、消毒コーティングの約0重量%〜約5重量%を構成する。本発明の別の好ましい実施形態では、グリセリンは、コーティングの約0重量%〜約5重量%を構成する。
【0148】
本発明の治療用製剤はいずれも、これらに限定されないが、動物の皮膚又は、口腔、鼻腔、膣腔、若しくは直腸腔の粘膜を含む種々の粘膜に局所適用して、これら表面に対する外因性刺激の影響を予防することができる。本発明の治療用製剤は、消毒薬、例えば手術用手袋を着用する前に使用される手洗いとして使用することができる。
【0149】
本発明の治療用製剤はいずれも、物品、例えば障壁物品にコーティングとして適用してもよく、したがって複数の表面を有する物品では、物品の少なくとも1つの表面(表面全体又はその部分)に適用してもよい。より詳しくは、ある実施形態として、本発明によるコーティングは、手袋又は身体の一部を覆う任意の他の物品の内側及び外側表面の一方又は両方に適用してもよい。各表面には異なるコーティングを適用してもよい。コーティングは、表面の一部を覆うように、例えば限定目的ではないが、手袋の1つ又は複数の指先の内側表面に適用してもよい。
【0150】
本発明の種々の治療用製剤は、これらに限定されないが、以下のもの等の皮膚軟化薬を含んでいてもよい:PEG20アーモンドグリセリド、Probutyl DB−10、Glucam P−20、Glucam E−10、Glucam P−10、Glucam E−20、Glucam P−20ジステアラート、Procetyl−10(Croda社製)、Incroquat、グリセリン、プロピレングリコール、セチルアセタート、及びアセチル化ラノリンアルコール、セチルエーテル、ミリスチルエーテル、ヒドロキシル化ミルクグリセリド、ポリクオタニウム化合物、塩化ジメチルジアリルアンモニウム及びアクリル酸のコポリマー、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、及びシリコンポリマー。他の好適な皮膚軟化薬には、ペトロラタム又は鉱油等の炭化水素ベースの皮膚軟化薬、イソプロピルパルミタート、イソプロピルミリスタート、イソプロピルイソステアラート、イソステアリルイソステアラート、ジイソプロピルセバケート、及びプロピレンジペラルゴナート等の脂肪酸のメチル、イソプロピル、並びにブチルエステル等の、脂肪酸エステルに基づく皮膚軟化薬、2−エチルヘキシルイソノノアート(2−ethylhexyl isononoate)、2−エチルヘキシルステアラート、セチルラクタート及びラウリルラクタート等のC〜C16脂肪アルコールラクタート、イソプロピルラノラート、2−エチルヘキシルサリチラート、セチルミリスタート、オレイルミリスタート、オレイルステアラート、オレイルオレアート、ヘキシルラウラート、並びにイソヘキシルラウラートが含まれていてもよい。更なる皮膚軟化薬には、ラノリン、オリーブ油、ココアバター、及びシアバターが含まれる。本発明は、1つ又は複数の皮膚軟化薬溶媒の、製剤及びコーティングへの組み込みを提供する。本発明の好ましい皮膚軟化薬溶媒には、オクトキシグリセリン(Sensiva.RTM.社製)、ペンチレングリコール、1,2ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールが含まれ、例えば、限定するものではないが、濃度は最大5パーセント又は最大3パーセントである。
【0151】
治療用製剤の種々の実施形態は、これらに限定されないが、ビタミンC(アスコルビン酸)又はビタミンE(トコフェロール)等の、安定化剤及び/又は酸化防止剤(0.2〜1%の濃度であってもよい)を含んでいてもよい。
【0152】
本発明の治療用製剤の種々の実施形態は、これらに限定されないが、下記のもの等の(0.6〜2%の好ましい濃度の)増粘剤を含んでいてもよい:ステアリルアルコール、陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース(U Care JR30;Amerchol社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel社製)、Polyox(登録商標) N−60K、キトサンピロリドンカルボキシラート(Kytamer社製)、ベヘニルアルコール、ステアリン酸亜鉛、Crodamol STS(Croda社製)、又はこれらに限定されないが、Incroquat及びPolawax等の乳化ろう。本明細書に記載の製剤又は軟膏剤への組み込みに好適な他の増粘剤及び/又はゲル化剤には、以下のものが含まれる:例えば、アクリル酸の付加ポリマー、Carbopol(登録商標)2020等の樹脂、グアーガム、アラビアガム、アクリラート/steareth−20メタクリラートコポリマー、寒天、アルギン、アルギン酸、アンモニウムアクリラートコポリマー、アルギン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミロペクチン、アタパルジャイト、ベントナイト、C〜C15アルコール、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラゲナン、塩化カルシウム、カプリル酸アルコール、カルボマー910、カルボマー934、カルボマー934P、カルボマー940、カルボマー941、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カラゲナン、セルロース、セルロースガム、セテアリルアルコール、セチルアルコール、コーンスターチ、crodomol、crothix、ダマール、デキストリン、ジベンズリジンソルビトール(dibenzlidine sorbitol)、及びエチレン二水素化獣脂アミド(ethylene dihydrogenated tallowamide)、エチレンジオールアミド、エチレンジステアルアミド、ゼラチン、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、ケイ酸、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルステアルアミド−MIPA、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、カラヤゴム、ケルプ、ラウリルアルコール、ローカストビーンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、メトキシPEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、メチルセルロース、微結晶性セルロース、モンモリロナイト、ミリスチルアルコール、オート麦粉、オレイルアルコール、パーム核アルコール、ペクチン、PEG−2M、PEG−5M、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸カリウム、カリウムアルミニウムポリアクリラート、カリウムカラゲナン、塩化カリウム、硫酸カリウム、ジャガイモデンプン、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、ナトリウムアクリラート/ビニルアルコールコポリマー、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカラゲナン、セルロース硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ナトリウムポリメタクリラート、ケイアルミン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアリルアルコール、獣脂アルコール、TEA−塩酸塩、トラガカントゴム、トリデシルアルコール、トロメタミンケイ酸アルミニウムマグネシウム、小麦粉、小麦デンプン、キサンタンガム、アビエチルアルコール、アクリリノール酸、ベヘン酸アルミニウム、カプリル酸アルミニウム、ジリノール酸アルミニウム、ジステアラート及びイソステアリン酸アルミニウム等のアルミニウム塩、蜜ろう、ベヘンアミド、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、C29〜C70酸、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カンデリラろう、カルナウバ、セレシン、コレステロール、コレステロールヒドロキシステアラート、ヤシアルコール、コーパル、ジグルセリルステアラートマラート、ジヒドロアビエチルアルコール、ジメチルラウラミンオレアート、ドデカン酸/セテアリルアルコール/グリコールコポリマー、エルクアミド、エチルセルロース、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアラート、グリセリルトリアセチルリシノラート、ジベヘン酸グリセリル、グリコールジオクタノアート、グリコールジステアラート、ヘキサンジオールジステアラート、水添C〜C14オレフィンポリマー、水添ヒマシ油、水添綿実油、水添ラード、水添メンヘーデン油、水添パーム核グリセリド、水添パーム核油、水添パーム油、水添ポリイソブテン、水添大豆油、水添獣脂アミド、水添獣脂グリセリド、水添植物グリセリド、水添植物油、木ろう、ホホバろう、ラノリンアルコール、シアバター、ラウラミド、デヒドロアビエチン酸メチル、水添ロジン酸メチル、ロジン酸メチル、メチルスチレン/ビニルトルエンコポリマー、微結晶性ろう、モンタン酸ろう、モンタンろう、ミリスチルエイコサノール、ミリスチルオクタデカノール、オクタデセン/無水マレイン酸コポリマー、オクチルドデシルステアロイルステアラート、オレアミド、オレオステアリン、オーリクリーろう、酸化ポリエチレン、オゾケライト、パラフィン、水添ロジン酸ペンタエリトリチル、ペンタエリトリチルテトラオクタノアート、ロジン酸ペンタエリトリチル、テトラアビエチン酸ペンタエリトリチル、テトラベヘン酸ペンタエリトリチル、テトラオレイン酸ペンタエリトリチル、テトラステアリン酸ペンタエリトリチル、オフタルミン酸無水物/グリセリン/グリシジルデカノアートコポリマー、オフタルミン酸/トリメリト酸/グリコールコポリマー、ポリブテン、ポリブチレンテレフタラート、ポリジペンテン、ポリエチレン、ポリイソブテン、ポリイソプレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルラウラート、プロピレングリコールジカプリラート、プロピレングリコールジココアート、プロピレングリコールジイソノナノアート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールジペラルゴナート、プロピレングリコールジステアラート、プロピレングリコールジウンデカノアート、PVP/エイコセンコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、米ぬかろう、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアルアミド、ステアルアミドDEA−ジステアラート、ステアルアミドDIBA−ステアラート、ステアルアミドMEA−ステアラート、ステアロン、ステアリルエルクアミド、ステアリルステアラート、ステアリルステアロイルステアラート、合成蜜ろう、合成ろう、トリヒドロキシステアリン、トリイソノナノイン(triisononanoin)、トリイソステアリン、トリ−イソステアリルトリリノレアート、トリラウリン、トリリノール酸、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、並びにそれらの混合物。
【0153】
治療用製剤の実施形態は、可溶化剤としてフェノキシエタノール(0.3〜1.0%)を含んでいてもよい。
本発明の治療用製剤の実施形態は、これらに限定されないが、グリセリン、パンテノール、Glucam P20、1−2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又は1,2,6−ヘキサントリオール等の保湿剤を含んでいてもよい。
【0154】
本発明の治療用製剤の別の実施形態は、1つ又は複数の保存剤を、好ましくは0.05重量%〜5重量%、0.05重量%〜2重量%、又は0.1重量%〜2重量%の総濃度で含んでいてもよい。好ましい保存剤の例には、これらに限定されないが、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、塩化ベンザルコニウム(BZK)、又はヨードプロピニルブチルカルバマート(IPBC;Germall(登録商標) plus)が含まれる。保存剤の更なる例には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:ヨードフォア、ヨウ素、安息香酸、ジヒドロ酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、セトリミド、これに限定されないが塩化ベンゼトニウム(BZT)を含む第四級アンモニウム化合物、塩化デクアリニウム、クロルヘキシジン(遊離塩基及び塩を含む(下記を参照)を含む)、PHMB(ポリヘキサメチレンビグアニド)等のビグアニド、クロロエレソール(chloroeresol)、クロルキシレノール(chlorxylenol)、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルブタノール(chlorbutanol)、エタノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4−ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレン、ホスカネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾール(itriconazole)、ケトコナゾール、及びそれらの薬学的に許容される塩。
【0155】
本発明による保存剤として使用することができる本発明の薬学的に許容されるクロルヘキシジン塩には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:クロルヘキシジンパルミタート、クロルヘキシジンジホスファニラート(chlorhexidine diphosphanilate)、ジグルコン酸クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二塩化塩、二ヨウ化水素酸クロルヘキシジン、二過塩素酸クロルヘキシジン、二硝酸クロルヘキシジン、硫酸クロルヘキシジン、亜硫酸クロルヘキシジン、チオ硫酸クロルヘキシジン、二酸リン酸クロルヘキシジン(chlorhexidine di−acid phosphate)、ジフルオロリン酸クロルヘキシジン、二ギ酸クロルヘキシジン、ジプロピオン酸クロルヘキシジン、二ヨード酪酸クロルヘキシジン、ジ−n−吉草酸クロルヘキシジン、ジカプロン酸クロルヘキシジン、マロン酸クロルヘキシジン、コハク酸クロルヘキシジン、リンゴ酸クロルヘキシジン、酒石酸クロルヘキシジン、ジモノグリコール酸クロルヘキシジン、モノジグリコール酸クロルヘキシジン、二乳酸クロルヘキシジン、ジ−アルファ−ヒドロキシイソ酪酸クロルヘキシジン、ジグルコヘプトン酸クロルヘキシジン、ジイソチオン酸クロルヘキシジン、二安息香酸クロルヘキシジン、ニケイ皮酸クロルヘキシジン、ジマンデル酸クロルヘキシジン、ジ−イソフタル酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジ−2−ヒドロキシナプトアート(chlorhexidine di−2− hydroxynapthoate)、エンボン酸クロルヘキシジン。クロルヘキシジン遊離塩基は、保存剤の更なる例である。
【0156】
本発明に有用な保存剤のこれら及び更なる例は、GOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(Alfred Goodman Gilman、Theodore W.Rail、Alan S.Nies、Palmer Taylor編、Pergamon Press 1990)(1941年)に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
本発明の治療用製剤の実施形態は、増粘剤のカルボキシル基等の1つ又は複数の他の成分に存在するカルボキシル基を中和するための中和剤を含んでいてもよい。好適な中和剤には、ジイソプロピルアミン及びトリエタノールアミンが含まれる。
【0158】
本発明の治療用製剤の種々の実施形態は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、又は非イオン界面活性剤であってもよい。非イオン界面活性剤の例には、ポリエトキシラート、脂肪アルコール(例えば、ceteth−20(平均約20個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシドのセチルエーテル)及びICI Americas,Inc.社(ウィルミントン、デラウェア州)から入手可能な他の「BRIJ」(登録商標)非イオン界面活性剤))、コカミドプロピルベタイン、アルキルフェノール、ソルビトールの脂肪酸エステル、ソルビタン、又はポリオキシエチレンソルビタンが含まれる。好適な陰イオン界面活性剤には、アンモニウムラウリル硫酸、及びラウリルエーテルスルホスクシナートが含まれる。好ましい界面活性剤には、0.5〜2.0%の濃度のラウロイルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム塩、約2.0%のプルロニックF87、Masil SF−19(BASF社製)、及びインクロミドが含まれる。界面活性剤の好適な濃度は、約0.05%〜2%である。
【0159】
本発明の治療用製剤実施形態で使用される水は、好ましくは中性pHを有する脱イオン水である。水アルコールゲル組成物に使用される場合、水の濃度は、本発明によるヒドロゲルを溶解するのに適しているべきである。本発明により使用することができるアルコールには、これらに限定されないが、エタノール及びイソプロピルアルコールが含まれる。
【0160】
本発明の治療用製剤の種々の実施形態は、これらに限定されないが、以下のものを含む追加的な添加剤を含んでいてもよい;流動シリコーン(ジメチコン又はシクロメチコン等)、シリコーンエマルジョン、染料、香料、pH調整剤(アンモニア、モノ−、ジ−、及びトリアルキルアミン、モノ−、ジ−、及びトリアルカノールアミン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン)等の塩基性pH調整剤;鉱酸及びポリカルボン酸(例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、クエン酸、グリコール酸、及び乳酸)等の酸性pH調整剤を含む);ビタミンA、ビタミンE、及びビタミンC等のビタミン;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のポリアミノ酸及び塩、Germall(登録商標) plus及びDMDMヒダントイン等の保存剤、及びアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサラート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾアート、padimate O、フェニルベンズイミダゾール、スルホン酸、スルイソベンゾン、二酸化チタン、サリチル酸トロラミン、及び酸化亜鉛等の日焼け止め。
【0161】
本発明の治療用製剤の種々の実施形態は、精油(「EO」)を含んでいてもよく、精油は、植物又は動物供給源から得た揮発油であり、1つ又は複数の活性作用剤(本明細書では、単離成分又は「IC」とも呼ばれる)を含み、活性作用剤は、例えば、限定するものではないが、モノテルペン若しくはセスキテルペン炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、又は酸化物であってもよい。これらEOの例には、これらに限定されないが、アーモンド油、イランイラン油、ネロリ油、ビャクダン油、乳香油、ハッカ油、ラベンダー油、無水ジャスミン、ゼラニウム油バーボン、ミトリハッカ油、チョウジ油、レモングラス油、セダー油、バルサム油、及びタンジェリン油が含まれる。或いは、本発明は、これらに限定されないが、1−シトロネロール、アルファ−アミルシンナムアルデヒド、リラール、ゲラニオール、ファルネソール、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、オイゲノール、ユーカリ油、オイカリプトール、レモン油、リナロール、及びシトラール等の、精油に見出される活性作用剤(IC)の使用を提供する。EO又はICの濃度は、約0.3重量%〜1重量%、約0.1重量%〜0.5重量%、又は0.5重量%〜2重量%であってもよい。
【0162】
本発明の治療用製剤実施形態のいずれかで使用されるヒドロゲルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース(U−careポリマー)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(methocell K4MS)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド(polyox(登録商標)樹脂)、又はキトサンピロリドンカルボキシラート(Kytomer PC)を含んでいてもよい。加えて、水アルコールゲルを形成するために使用されるアルコールは、水アルコールゲル組成物中に取り込まれず、したがって、迅速で長期的な作用に利用可能であることが発見された。ヒドロゲルは、0.1〜1.0%の濃度で存在していてもよく、好ましくは、0.05〜0.5%、最も好ましくは0.2%の濃度の陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース(U−careポリマー)である。
【0163】
本発明の水アルコールゲル実施形態のいずれかで使用することができるアルコールには、これらに限定されないが、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、及びそれらの混合物を含む脂肪族アルコール;これらに限定されないが、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、及びラウリルアルコール、及びそれらの混合物を含む脂肪アルコール;及びヘキサノールが含まれる。アルコールの濃度は、30%〜95%、好ましくは40%〜70%であってもよく、好ましくは、脂肪族アルコールは、60%〜95%の濃度のエタノール又はイソプロピルアルコールである。脂肪アルコールの濃度は、それが存在する場合は、好ましくは0.5%〜5.0%であり、ヘキサノールの濃度は、それが存在する場合は、好ましくは3%〜10%、より好ましくは5%である。これら同じ乳化剤は、本発明の他の製剤で同様に使用することができる。
【0164】
本発明の水アルコールゲル実施形態は、随意に、以下のものを含んでいてもよい:上記で考察した皮膚軟化薬及び保湿剤等の皮膚軟化薬及び/又は保湿剤、好ましくは、PEG20アーモンドグリセリド、Probutyl DB−10、Glucam P20、Glucam E−10、Glucam P−10、Glucam E−20、Glucam P−20ジステアラート、グリセリン、プロピレングリコール、オクトキシグリセリン(Sensiva(登録商標))、セチルアセタート、及びアセチル化ラノリンアルコール(Acetulan社製)、セチルエーテル(PPG−10)、ミリスチルエーテル(PPG−3)、ヒドロキシル化ミルクグリセリド(Cremerol HMG社製)、ポリクオタニウム化合物(U−care化合物)、キトサン(Kytamer)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸のコポリマー(Merquat(登録商標))、ジプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol(登録商標) DPM Dow Corning社製)、又はポリプロピレングリコールエーテル(Ucon(登録商標) 50−HB−660、Union Carbide社製)。好ましくは、皮膚軟化薬は、組成物の粘性が、好ましくは、20〜40℃において2000センチポアズ未満であるように3%以下の濃度で存在し、より好ましくは0.2〜3%である。
【0165】
本発明の水アルコールゲル実施形態は、随意に、上記で考察した乳化剤及び界面活性剤等の界面活性剤及び/又は乳化剤を、及び好ましくは周囲温度でアルコールに可溶性である非イオン性又は陽イオン性自己乳化ろうを含んでいてもよい。好適な界面活性剤/乳化剤には、これらに限定されないが、Incroquat Behenyl TMS、Incroquat Behenyl TMS−50、Polawax、ステアリルアルコール、及びセテアリルアルコールが含まれる。これら乳化剤は、0.05〜3.0%の濃度で存在していてもよい。好ましい乳化剤には、穏やかな陽イオン性乳化剤並びに優れた調整剤であるIncroquat Behenyl TMS、及び非イオン性自己乳化ろうであるPolawaxが含まれ、濃度は、個々に0.05〜0.5%、及び合わせて0.05〜0.5%であり、より好ましくは濃度比率がおよそ1:1の組み合わせである。複数の乳化剤が使用される場合、存在する乳化剤の総濃度は、0.05〜0.5%であることが好ましい。
【0166】
いかなる水アルコールゲル治療用製剤実施形態も、随意に、これらに限定されないが、1つ若しくは複数のポリジメチルシロキサンポリマー(Dow Corning社製225流動シリコーン)、ジメチコン中の流動ジメチコノール(Dow Corning社製1403流動シリコーン)、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール(Dow Corning社製3225C流動シリコーン)、又はシリコーングリコール(BASF社製1066DCGポリオール)等のシリコーンポリマーを含んでいてもよい。シリコーンポリマーの好ましい濃度は、約0.1〜1.0%である。
【0167】
本発明の水アルコールゲル実施形態はいずれも、随意に、これらに限定されないが、上記に列挙されているもの、又は18炭素分子以下のアルキル鎖を有する1つ若しくは複数のグリシジルエーテル並びにそのエトキシラート及びプロポキシラート、18炭素分子以下のアルキル鎖を有するグリセリルエーテル並びにそのエトキシラート及びプロポキシラート、18炭素分子以下のアルキル鎖を有するモノ−及びジグリセリルエーテル並びにそのエトキシラート及びプロポキシラート、エトキシラート及びプロポキシラートエーテル、エトキシジグリコールエステル、エチルヘキシルアルコールプロポキシラート、プロピレングリコールエステルエトキシラート及びプロポキシラート、又は好ましくはArlamol(登録商標)(Altas社製)等の、皮膚軟化薬溶媒を含んでいてもよい。皮膚軟化薬溶媒の好ましい濃度は、0.5〜5%である。
【0168】
本発明の水アルコールゲル製剤はいずれも、随意に、これらに限定されないが、上記で考察した増粘剤及び/又はゲル化剤、好ましくはベヘニルアルコール、crodomol、又はcrothix等の増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤の好ましい濃度は、0.05〜10%である。Caropol等のゲル化剤は、それらが高粘性であり、アルカリ性物質でゲル化剤を中和するための中和剤を必要とするため、好ましいものではない。
【0169】
非限定的な実施形態では、本発明のいずれの組成物も、市販のクリーム剤、液剤、ゲル剤、又はローション剤等の既存の製剤を含んでいてもよい。そのように使用することができる市販の製剤の例には、これらに限定されないが、KY JELLY(商標)、ASTROGLIDE(登録商標)、及びPREVACARE(登録商標)という商品名で販売されている個人用潤滑剤、及びSOFT−SENSE(商標)、LOTION SOFT(商標)、CUREL(登録商標)、及びKERI(登録商標)という商品名で販売されているローションが含まれる。SOFT−SENSE(Johnson&Son,Inc.社製、ラシーン、ウィスコンシン州)は、純水、グリセリンUSP、ジステアリルジモニウムクロリド、ペトロラタムUSP、イソプロピルパルミタート、1−ヘキサデカノール、トコフェリルアセタート(ビタミンE USP)、ジメチコン、二酸化チタンUSP、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ナトリウム、及び芳香剤を含有していることが知られている。LOTION SOFT(商標)(Calgon Vestal社製、セントルイス、ミズーリ州)は、ムコ多糖を含有していることが知られている非イオン性保湿ローションである。CUREL(登録商標)(Bausch&Lomb Incorporated社製、ロチェスター、ニューヨーク州)は、脱イオン水、グリセリン、クアテルニウム−5、ペトロラタム、イソプロピルパルミタート、1−ヘキサデカノール、ジメチコン、塩化ナトリウム、芳香剤、メチルパラベン、及びプロピルパラベンを含有していることが知られている。
【0170】
治療用製剤の非限定的な例は、消毒剤及びヒドロゲルを含むヒドロゲル組成物である。消毒剤は、1つ又は複数の希土類含有組成物を含む。好ましくは、消毒剤は、ヒドロゲル組成物の最大約0.5重量%、最大約1重量%、最大約2重量%、最大約3重量%、最大約4重量%、最大約5重量%、最大約6重量%、最大約7重量%、最大約8重量%、最大約9重量%、最大約10重量%、最大約12重量%、最大約14重量%、最大約15重量%、最大約16重量%、最大約18重量%、最大約20重量%、最大約30重量%、最大約35重量%、最大約40重量%、最大約45重量%、最大約50重量%を構成する。
【0171】
ヒドロゲル組成物は、随意に、保湿剤(例えば、グリセリン)を含有してもよく、酸のポリマー(例えば、ポリアクリル酸、又は無水物等の酸成形化合物)を含有していてもよく、又は含有していなくてもよい。
【0172】
ヒドロゲルは、可逆的ヒドロゲルであってもよく又は不可逆的ヒドロゲルであってもよい。可逆的ヒドロゲルの成分は、水溶性である。不可逆的ヒドロゲルゲルの成分は、使用される量に依存して、ある量の不可逆的結合を提供する架橋反応剤(つまり、架橋剤)が存在するため、水不溶性である。
【0173】
架橋剤は、ヒドロゲル組成物が自体の元の形を維持する能力を増強する。本組成物に使用するのに好適な架橋剤の例には、グルタルアルデヒド、ゲニピン、アジリジン誘導体、カルボジイミド誘導体、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、コロイド二酸化チタン、ポリアミノシラン、エポキシ、第一級ポリアミン、ジアルデヒド、アクロレイン反応生成物に由来するポリアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アクリルアミド、ポリエチレンイミン、及びそれらの組み合わせが含まれる。架橋剤は、ヒドロゲルに所望の稠性を提供する任意の量で使用することができる。例えば、ヒドロゲル及び/又はヒドロゲル組成物は、架橋剤の最大約2重量%、最大約3重量%、最大約4重量%、最大約5重量%、又は最大約8重量%を構成することができる。
【0174】
ヒドロゲル組成物を含むヒドロゲルは、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリサッカライド、及び水を含んでいてもよい。好ましくは、ポリサッカライドの重量による量に対する、ポリ(N−ビニル)ラクタムの重量による量の比率の範囲は、上限がおよそ75:1であってもよい。他の上限の例には、約1;50:1;30:1;20:1;15:1;13:1;12:1;及び1:2が含まれる。好ましくは、ポリサッカライドの重量による量に対する、ポリ(N−ビニル)ラクタムの重量による量の比率の範囲は、下限がおよそ1:10であってもよい。他の下限の例には、約1:5;1:3;1:1;5:1;12:1;13:1;15:1;20:1;30:1;及び50:1が含まれる。
【0175】
ヒドロゲルのポリ(N−ビニルラクタム)は、例えば、N−ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマー、又はそれらの混合物等の、任意のタイプのポリ(N−ビニルラクタム)であってもよい。ヒドロゲル組成物に使用するのに好適なポリ(N−ビニルラクタム)ポリマーの例には、N‐ビニルピロリドン、N−ビニルブチロラクタム、N−ビニルカプロラクタム、及びそれらの混合物が含まれる。好ましいポリ(N−ビニルラクタム)ホモポリマーの一例は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。ポリ(N−ビニルラクタム)コポリマー及びターポリマーの例には、ビニルモノマーで共重合されているN−ビニルラクタムポリマーが含まれる。ビニルモノマーの例には、アクリラート、ヒドロキシアルキルアクリラート、メタクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、及びそれらの混合物が含まれる。N−ビニルラクタムとビニルモノマーとの共重合は、ヒドロゲル組成物の稠性の調節を可能にする。
【0176】
ポリサッカライドは、任意のポリサッカライド及び/又は任意のポリサッカライド誘導体であってもよい。好適なポリサッカライドの例には、以下のものが含まれる:キチン;脱アセチル化キチン;キトサン;キトサン塩;キトサンソルベート;プロピオン酸キトサン;乳酸キトサン;サリチル酸キトサン;ピロリドンカルボン酸キトサン;イタコン酸キトサン;ニコチン酸キトサン;ギ酸キトサン;酢酸キトサン;没食子酸キトサン;グルタミン酸キトサン;マレイン酸キトサン;アスパラギン酸キトサン;グリコール酸キトサン;第四級アミン置換キトサン塩;N−カルボキシメチルキトサン;O−カルボキシメチルキトサン;N,−O−カルボキシメチルキトサン;等価ブチルキトサン誘導体(equivalent butyl chitosan derivative);セルロース化合物、アルキルセルロース;ニトロセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;デンプン;デンプン誘導体;メチルグルセス誘導体;コラーゲン、アルギナート;ヒアルロン酸;ヘパリン;ヘパリン誘導体;及びそれらの組み合わせ。
【0177】
混合ポリ(N−ビニルラクタム)及びポリサッカライドは親水性であり、水中でその重量の数倍を吸収することが可能である。ヒドロゲルの水分含有量は、当業者に知られているように、ヒドロゲル組成物の特定の使用に応じて様々に変化させることができる。好ましくは、ヒドロゲル又はヒドロゲル組成物のいずれかの水分含有量の範囲は、上限が約90重量%の水である。他の上限の例には、約75重量%の水及び65重量%の水が含まれる。好ましくは、ヒドロゲル又はヒドロゲル組成物のいずれかの水分含有量の範囲は、下限が約25重量%である。他の下限の例には、約45重量%の水及び55重量%が含まれる。水分含有量が増加すると共に、ヒドロゲル及び/又はヒドロゲル組成物はより柔軟になる。随意に、アルコールは、ヒドロゲル及び/又はヒドロゲル組成物を構成する水の少なくとも幾らかを置換することができる。およそ15重量%〜75重量%、35重量%〜65重量%、又は45重量%〜55重量%の水が、アルコールと置換されていてもよい。アルコールの好ましい例には、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールが含まれる。
【0178】
随意に、ヒドロゲル組成物は、少なくとも1つの稠性改変剤、性能改変剤、架橋剤、又はそれらの混合物を更に含むことができる。ポリ(N−ビニルラクタム)のおよそ5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%までを、稠性及び/又は性能改変剤と置換することができる。例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)及びキトサン又はキトサン誘導体を含む製剤では、好ましくはPVPの約50重量%を、稠性及び/又は性能改変剤と置換することができる。好ましい稠性改変剤及び/又は性能改変剤の例には、以下のものが含まれる:ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート);メチルビニルエーテル−コ−無水マレイン酸;ポリ(エチレン−コ−ビニルアセタート);ポリエチレングリコールジアクリラート;ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリウレタン;ジメチコン;ポリグリコールエステルコポリマー;粘着性プレポリマー;ポリエチレンイミン;ポリペプチド;ケラチン;ポリビニルピロリドン/ポリエチレンイミンのコポリマー;ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/−ポリグリコールエステル(Aquamere(商標)H−1212、H−1511、H−2012、A−1212);ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル(Aquamere(商標)C−1011、C−1031);ポリビニル−ピロリドン/ジメチコニルアクリラート/ポリカルバミル/−ポリグリコールエステル(Aquamere(商標)S2011、S−2012);(Aquamere(商標)製品のPECOGEL(商標)相当物);レシチン;並びにそれらのコポリマー、誘導体、及び組み合わせ。
【0179】
洗浄用組成物及びそれを製作するための方法
本発明の更に別の実施形態は、消毒剤を含む洗浄用組成物である。洗浄剤は、液体又は固体を含むことができる。洗浄用組成物は、消毒剤と、界面活性剤及び/又は湿潤剤のうちの1つ又は複数とを含む。1つ又は複数の界面活性剤は、任意の界面活性剤を含むことができる。好ましくは、界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、又は非イオン界面活性剤のうちの1つを含む。洗浄用組成物は、ビルダー、結合剤、及び充填剤を更に含むことができる。消毒剤は、洗浄剤に分散、懸濁、又は溶解してもよい。洗浄剤は、固形石鹸、液体石鹸、石鹸濃縮物、洗剤(これらに限定されないが、洗濯用、家事用、産業用、食器洗浄用、又は滅菌プロセス用洗剤等)、手術準備、パーソナルケア製品(これらに限定されないが、顔、毛髪、容姿、美容、にきび、又は足のケア用洗浄製品等)、又は家庭又は農場用手入れ製品(これらに限定されないが、硬表面洗浄剤、床手入れ製品、カーペット手入れ製品、空気ケア製品、風呂場手入れ製品、子供部屋手入れ製品、室内装飾品手入れ製品等)、ペットケア製品、獣医学的製品、農業用手入れ製品(これらに限定されないが、家畜、農産物、農業用構造物又は設備の洗浄等)であってもよい。
【0180】
当技術内にある公知の任意のプロセスを使用して洗浄用組成物を製作することができる。可溶性形態の消毒剤を、乾燥及び/又は溶解形態の洗浄用組成物に添加することができる。不溶性形態の消毒剤は、洗浄用組成物に懸濁及び/又は分散することができる。
【0181】
硬表面洗浄用組成物の非限定的な例は、以下のものを含む水性液体洗浄用組成物を含んでいてもよい:
(a)1つ又は複数の希土類含有組成物を含む消毒剤、
(b)以下のものを有する水溶性又は水分散性コポリマー:(i)以下のものからなる群から選択される、プロトン化に際して陽イオン電荷を形成することが可能な第1のモノマー:N−アルキルアクリルアミド、N−アルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アリールアクリルアミド、N−アリール(アルキル)アクリルアミド、N−アルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアクリルアミド、N,N−ジ−アリール(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アリール(アリール)アクリルアミド、N−アルキルアミノアルキルアクリルアミド、N−アルキルアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アルキルアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N−アリールアミノアルキルアクリルアミド、N−アリールアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アリールアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせ、ここで、前記アルキル部分は、C〜C飽和アルキル、ビニル、C〜C不飽和アルキレンラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるラジカルであり、前記アリール部分は、ベンジル、フェニル、スチリル、ヒドロキシフェニル、アルキルベンジル、アルキルフェニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるラジカルである;(ii)酸性であり、組成物中で陰イオン電荷を形成することが可能である第2のモノマー;(iii)随意に、非荷電親水基を有する第3のモノマー;及び(iv)随意に、疎水性である第4のモノマー、
(c)随意に、有機溶媒、
(d)界面活性剤、及び
(e)随意に、アジュバント、
ここで、前記コポリマーは、処理面上に目に見えない薄膜を形成することが可能であり、薄膜は、洗浄作業後に前記処理面で10度未満の水接触角及び約100nm未満の厚さを示す。
【0182】
更に、実施例には、以下のステップを含む、硬表面を消毒し、目に見えない保護コポリマー薄膜を堆積させる方法が含まれる:
(a)1つ又は複数の希土類含有組成物、水溶性又は水分散性コポリマーを含む消毒剤を含む、洗浄用組成物を硬表面に適用するステップ、
(b)洗浄用組成物を除去し、それにより消毒剤の層が硬表面上に残留するステップ、及び
(c)層を乾燥させて、それにより消毒剤及び少なくともコポリマーの一部を含有するコポリマー薄膜を硬表面上に残存させることを可能にするステップ。コポリマーは、以下のものからなる群から選択される、プロトン化に際して陽イオン電荷を形成することが可能な第1のモノマーを有することができる:N−アルキルアクリルアミド、N−アルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アリールアクリルアミド、N−アリール(アルキル)アクリルアミド、N−アルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアクリルアミド、N,N−ジ−アリール(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アリール(アリール)アクリルアミド、N−アルキルアミノアルキルアクリルアミド、N−アルキルアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アルキルアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N−アリールアミノアルキルアクリルアミド、N−アリールアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N−アリールアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アルキルアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキル(アルキル)アクリルアミド、N,N−ジ−アリールアミノアルキル(アリール)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせ。
【0183】
アルキル部分は、C〜C飽和アルキル、ビニル、C〜C不飽和アルキレンラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるラジカル、(ii)酸性であり、組成物中で陰イオン電荷を形成することが可能である第2のモノマー、(iii)随意に、非荷電親水基を有する第3のモノマー、及び(iv)随意に、疎水性の第4のモノマーを含むことができる。アリール部分は、ベンジル、フェニル、スチリル、ヒドロキシフェニル、アルキルベンジル、アルキルフェニルラジカル、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるラジカルを含むことができる。好ましくは、コポリマー薄膜は、10度未満の水接触角を示す。更に、コポリマー薄膜は、硬表面上で約100nm未満の厚さを有することができる。
【0184】
セルロース化合物含有製品、及びそれを製作するための方法
本発明の更に他の実施形態は、消毒剤を含有するセルロース化合物含有製品である。セルロース化合物含有製品の非限定的な例には、ワイプ、フィルター、食品包装システム、ティッシュ、紙、紙タオル、ボール紙、ラベル、シート装飾紙、粘着紙、紙マスク、紙ガウン、紙キャップ、トイレットペーパー、紙便座カバー、壁紙、壁板材、ダンボール、木材製品、複合木材製品、パーティクルボード、木材プラスチック複合材、吸音パネル、木材充填プラスチック、又は木粉が含まれる。
【0185】
消毒剤は、湿紙マット(wet paper matte)の形成前、形成中、又は形成後に紙製品に組み込むことができる。可溶性及び/又は不溶性組成物の形態の消毒剤を、紙マットの形成前に製紙用パルプに添加することができる。不溶性形態の消毒剤を、形成された紙マット内に保持させて、消毒剤を含む紙製品を形成することができる。可溶性形態の消毒剤を、製紙用パルプを含むセルロース系繊維内及び/又は湿造形されたペーパーウェブにより保持された水内のうちの一方又は両方に保持させることができる。湿造形されたペーパーウェブから水を除去する際に、可溶性物は残留し、乾燥紙製品内に保持される。
【0186】
ポリマー材料及びそれを製作するための方法
本発明の更に別の実施形態は、消毒剤を含むポリマー材料である。ポリマー材料は、ポリマー材料の連続相内に含有された、及び/又はポリマー材料の1つ若しくは複数の表面に含有されたコーティングとして含有された消毒剤を有する任意のポリマー材料であってもよい。消毒剤は、ポリマー材料の全体にわたって均一に又は非均一に分布していてもよい。例えば、消毒剤は、ポリマー材料の1つ又は複数の表面上に、より高い密度で分布していてもよい。合成又は天然ポリマー材料のポリマー相は、上記で特定されており、それらには、ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、それらの混合物、組み合わせ、及びポリマー合金が含まれる。
【0187】
消毒剤を含むポリマー材料の非限定的な例は、注射器筒及び/又はプランジャー;プラスチック食品用ラップ;プラスチック滅菌ラップ;プラスチック創傷絆創膏パッド;プラスチック創傷絆創膏カバー;医療用チューブ;ポリマー繊維、編み糸、及び糸;並びに抗菌特性を必要とする構造部品として使用される任意のポリマー材料である。
【0188】
消毒剤は、ポリマー材料の形成前に、形成中に、又は形成後に、ポリマー材料に組み込むことができる。可溶性及び/又は不溶性希土類含有組成物の形態の消毒剤は、重合プロセス中にポリマー材料に組み込むことができる。重合プロセスは、単独重合プロセス、共重合プロセス、架橋プロセス、又はそれらの任意の組み合わせを指す。
【0189】
1つの実施形態では、可溶性及び/又は不溶性希土類含有組成物の形態の消毒剤は、押出しプロセス、鋳込成形プロセス、混合プロセス、成型プロセス、ブロー成型プロセス、反応的射出成形プロセス、積層プロセス、又はそれらの任意の組み合わせ中に、ポリマー材料に組み込むことができる。好ましくは、消毒剤は、せん断、高温、及び高圧の1つ又は複数下で、ポリマー材料に組み込まれる。更に、ポリマー材料は、好ましくは、ポリマー材料への消毒剤の組み込み中、熱可塑性及び/又は液体状態のうちの1つである。
【0190】
1つ又は複数の希土類組成物をポリマー組成物に組み込む方法の非限定的な例は、鉱油を含む疎水性液体;及び疎水性熱可塑性ゴム状ポリマー;疎水性液体内に分散された吸収性親水性微粒子;及び消毒剤を含む混合物を含む連続的疎水性相を含む。
【0191】
より詳しくは、ポリマー組成物は、鉱油;並びにスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疎水性熱可塑性ゴム状ポリマー;鉱油内に分散された吸収性親水性微粒子、架橋カルボン酸含有有機ポリマーを含む親水性微粒子;及び親水性微粒子に分散された消毒剤を含む混合物を含む。
【0192】
消毒剤は、1つ又は複数の希土類含有組成物を含む。好ましくは、消毒剤は、約1マイクロメートル未満の平均粒子径を有する粒子を含む。
好ましくは、親水性微粒子は、架橋カルボン酸含有有機ポリマーを含む。
【0193】
ポリマー組成物は、非粘着性又は粘着性であってもよい。好ましくは、ポリマー組成物は、組成物の総重量に基づいて、多くとも約1重量%の水を含有する。
親水性ポリマーは、限定するものではないが、ポリ第四級アミン、ポリラクタム、ポリアミド、及びそれらの組み合わせ等の、アミン含有ポリマーであってもよい。好ましくは、ポリマー組成物は、随意に、第2の有機ポリマーを含んでおり、それによりポリマーの混合物又は配合物を形成する。第2の有機ポリマーは、好ましくは疎水性材料である。1つの実施形態では、疎水性材料は、連続マトリックスを形成し、親水性ポリマーは、不連続相(例えば、微粒子)を形成する。疎水性材料は、好ましくは不連続相を形成することができ、親水性ポリマーは、親水性ポリマーとの連続マトリックス、複合連続相、又は共連続相を形成する。親水性ポリマーは、連続的な疎水性液相(例えば、鉱油)及び疎水性液相内に分散された親水性ポリマー粒子等の、微粒子又は分散物の形態の粒子を含むことができる。疎水性ポリマーの好適な例には、限定するものではないが、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリラートの塩化メチル第四級塩の陽イオン性ホモポリマーを含むSALCARE SC95及びSC96が含まれる。他の好適な例には、SALCARE SC91、アクリル酸ナトリウム及びアクリル酸のコポリマーが含まれる。親水性ポリマーは、様々な組み合わせで使用することができる。親水性ポリマー(複数可)の総量は、好ましくは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、及びより好ましくは少なくとも5重量%である。疎水性ポリマー(複数可)(例えば、微粒子)の総量は、好ましくは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、多くとも60重量%である。
【0194】
消毒剤は、所望の効果をもたらす量でポリマー組成物中に存在することができる。親水性ポリマーに対する消毒剤の好ましい重量比は、親水性ポリマーの総重量に基づき、少なくとも0.1重量%である。上限は本質的に存在しないが、好ましい重量比は、多くとも10重量%である。
【0195】
ポリマー組成物は、1つ又は複数の親水性ポリマーに加えて、1つ又は複数の第2の有機ポリマーを含むことができる。これらは、室温において液体であってもよく又は固体であってもよい。この第2のポリマーは、疎水性であってもよく又は親水性であってもよいが、好ましくは疎水性である。親水性材料の例には、これらに限定されないが、ポリサッカライド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリラート、セルロース化合物、及びアルギナートが含まれる。疎水性材料の例には、これらに限定されないが、ポリイソブチレン、ポリエチレン−プロピレンゴム、ポリエチレン−プロピレンジエン修飾(EPDM)ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンが含まれる。特に好ましい疎水性材料には、スチレン−イソプレン−スチレン及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンが含まれ、更により好ましい材料には、スチレン−イソプレン−スチレンが含まれる。第2のポリマーは、連続マトリックス(つまり、相)であってもよく又は不連続マトリックス(例えば、粒子の形態)の形態であってもよい。第2のポリマーは、主な親水性ポリマーとの複合連続相又は共連続相を形成することができる。第2の有機ポリマーは、熱可塑性、ゴム状、又はその両方であってもよい。本発明における随意な第2のポリマーとして有用なゴム状ポリマーは、典型的には、21℃で1つの相を形成し、0℃未満のガラス転移温度を有し、ゴム状特性を示す材料である。ゴム状ポリマーには、これらに限定されないが、ポリイソプレン、スチレン−ジエンブロックコポリマー、天然ゴム、ポリウレタン、ポリエーテル−ブロック−アミド、ポリ−アルファ−オレフィン、(メタ)アクリル酸の(C〜C20)アクリル酸エステル、エチレン−オクテンコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明のポリマー組成物は、種々多様な随意な添加剤を含むことができる。例には、これらに限定されないが、二次生物活性剤、二次吸収剤粒子、発泡剤、膨潤剤、充填剤、色素、染料、可塑剤(例えば、鉱油及びペトロラタム)、粘着付与剤、架橋剤、安定化剤、相溶化剤、押出し支援剤、連鎖移動剤、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0196】
コーティング及びそれを製作するための方法
本発明のなお更に別の実施形態は、消毒剤を含むコーティング、及びそれを製作するための方法である。コーティングは、消毒剤を含む薄膜を含むことができる。消毒剤の薄膜は、結合剤を含んでいてもよく、又は含んでいなくともよい。コーティングは、連続的であってもよく、又は連続的でなくともよい。更に、消毒剤の分布は、コーティング全体にわたって連続的及び均一のうちの一方又は両方であってもよく、又はそうでなくともよい。結合剤は、任意のコーティング結合材料であることができる。好適な結合剤には、本明細書に記載のポリマー材料等の、任意の有機材料、無機材料、又はポリマー材料を含むことができ、及び/又は無機結合剤が含まれていてもよい。コーティングは、随意に、分散剤、充填剤、レオロジー改質剤、均染剤、拡散剤、接着促進剤、溶媒(共溶媒を含む)、及びそれらの組み合わせ等の添加剤を更に含んでいてもよい。
【0197】
消毒コーティングの非限定的な例には、上記で示されているものに加えて、病院及び医療施設用の、獣医学的施設、洗面所、寮、学校、食品加工施設、死体防腐処理施設、レストラン、居住用建築物、農業用建築物、並びに公共施設用のコーティングが含まれる。
【0198】
1つの実施形態では、消毒剤粒子は、任意のコーティング系に増量剤として配合される。別の実施形態では、消毒剤粒子は、コーティングが基材に適用された後だが、コーティングが実質的に完全に乾燥する前に、コーティングと接触する。消毒剤粒子は、散布又は噴霧プロセスでコーティングと接触する。更に他の実施形態には、本明細書で上述の消毒剤コーティングが含まれる。
【0199】
無機材料及びそれを製作するための方法
本発明の別の実施形態は、消毒剤を含む無機材料である。無機材料は、消毒剤を含む金属合金、セラミック、又は鉱物を指す。消毒剤を任意の1つ又は複数の非希土類金属と共に合金化して、希土類含有合金を形成してもよい。消毒剤を、冶金学分野で公知の任意の方法により1つ又は複数の非希土類金属と共に合金化してもよい。消毒剤は、その化学的及び/又は物理的特性のほとんど又は全てではないにしても、少なくとも幾つかを合金内で保持して、化学的に及び/又は物理的に感染性物質を不活化することができる。
【0200】
更に、消毒剤は、水晶、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、ケイ酸塩、カオリナイト、ボールクレー、骨灰、ステアタイト、ペツンツェ、アラバスター、ジルコニア、カーバイド、ホウ化物、ケイ酸塩、及びそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数から形成された無機結晶性酸化物材料、無機非晶質酸化物材料、又はそれらの組み合わせ等のセラミック内に組み込んでもよく、及び/又はセラミック上にコーティングを形成してもよい。消毒剤は、材料科学の分野内の公知の任意の方法により、セラミック内に組み込んでもよく、及び/又はセラミック上にコーティングしてもよい。
【0201】
別の実施形態では、消毒剤は、これらに限定されないが、水晶、長石、カオリン粘土、陶土、粘土、アルミナ、シリカ、ムライト、ケイ酸塩、カオリナイト、ボールクレー、骨灰、ステアタイト、ペツンツェ、アラバスター、ジルコニア、カーバイド、ホウ化物、ケイ酸塩、タルク、及びそれらの組み合わせ等の任意の鉱物に、化学的に及び/又は物理的に担持されていてもよい。消毒剤は、化学及び/又は鉱物学分野で公知の方法により、化学的及び/又は物理的に任意の鉱物に付着していてもよく、及び/又は混合されていてもよい。
【0202】
標準状態とは、溶媒が、任意の水ベースの流れ及び/又は供給源を含む水であることを意味する場合がある。他の場合では、標準状態とは、実施された及び/又は推定された標準的熱力学条件を意味する場合がある。更に他の場合では、標準状態とは、温度、圧力、イオン強度、逃散度、自由エネルギーのうちの1つ又は複数下等の、プロセスの任意選択条件下にあることを意味する場合がある。
【0203】
本明細書で使用される場合、医学には、限定するものではないが、予防、介入、外傷、非外傷、在宅看護、公衆衛生(実施及びプログラム)、機器、設備、消耗及び非消耗機器、医薬品、移植片及びデバイス、並びに医学分野の実施内で使用される補助的製品を含む、獣医学用、歯科用、及び(ヒト用)医学的応用が含まれる。
【0204】
本発明は、先述の希土類含有組成物を使用して上皮組織(例えば、粘膜組織又は皮膚)の疾患及び/又は感染を予防するための方法であって、表面に有効量の組成物を適用すること、又は皮膚若しくは粘膜組織と接触させることが意図されている対象をコーティングすることを含む方法を提供する。防御を与えることができる例には、これらに限定されないが、生物学的な疾患及び/又は感染を引き起こす作用剤により誘導されるものが含まれる。疾患及び/又は感染を予防するための1つ又は複数の希土類含有組成物を含むことができる製品の特定の例には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:脱毛の手段(例えば、脱毛剤、ワックス処理、及びカミソリ)、毛髪弛緩剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、チオグリコラート)、制汗剤(例えば、アルミニウムクロルヒドラート及び他のアルミニウム塩)、皮膚科治療剤(例えば、アルファヒドロキシ酸(AHA)、特にグリコール酸及びトリクロロ酢酸)、角質溶解性皮膚刺激状態(例えば、乾癬、ふけ等)、感染性皮膚刺激物(例えば、細菌及び真菌)、及び治療目的で適用される作用剤。刺激から防御しようとする上皮表面は、膣、肛門直腸、口、又は鼻を含む皮膚又は粘膜であってもよい。
【0205】
本発明は、感染を防御するための方法であって、身体の皮膚又は粘膜等の上皮組織に、有効量の上記希土類含有組成物の1つを適用することを含む方法を更に提供する。防御することができる感染因子の例には、これらに限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、単純ヘルペスウィルス(HSV)、クラミジア・トラコマーティス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoea)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含む性行為感染症に関連する感染因子、並びにこれらに限定されないが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、大腸菌、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、及びナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、HIV、水痘ウイルス、及び肝炎ウイルス(例えばA、B、及びC)を含む、医療現場で遭遇する可能性がある感染因子が含まれる。
【0206】
本発明のある代替的な非限定的な実施形態では、本発明の製剤及び/又はコーティングは、以下のものからなる群から選択される抗菌剤が欠如している:ヨードフォア、ヨウ素、安息香酸、ジヒドロ酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、セトリミド、これに限定されないが塩化ベンゼトニウムを含む第四級アンモニウム化合物、塩化デクアリニウム、クロルヘキシジン(遊離塩基及び塩を含む(下記を参照))等のビグアニド、クロロエレソール、クロルキシレノール、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4−ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレン、ホスカルネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾール、ケトコナゾール、及びそれらの薬学的に許容される塩。
【0207】
実施例
以下の例は、本発明のある実施形態を例示するために提供されており、本発明に対する制限として解釈されるべきではない。
【0208】
実施例I
本研究の各試験では、約1グラムのセリア(CeO)粉末を、20mLの10pfu/Lアデノウイルス2型と接触させ、接触時間は約24時間だった。ウイルス個体数(10pfu/L)は、10pfu/LのNSF試験個体数の100倍である。
【0209】
脱イオン水試料に由来する生存ウイルスを計数することにより、セリア粉末は、アデノウイルスを少なくとも約5log10効率的に減少させることが示された。qPCRによる更なる分析は、アデノウイルスの吸着が、約2.9〜4.2log10の範囲の除去であることを示した。qPCR分析は、セリア粉末によるアデノウイルスの吸着が、ウイルス個体数のほぼ全ての減少の原因であることを示唆した。更に、qPCRは、遠心分離中に溶液から除去されなかったセリア微粉に吸着したアデノウイルス遺伝物質も検出した可能性があり、計数とqPCR分析とのわずかな違いをもたらした。その一方で、損傷(すなわち、非生存)ウイルスに由来する非吸着遺伝物質が、上清溶液のqPCR分析中に検出された可能性がある。
【0210】
セリア粉末へのアデノウイルスの負荷は、1グラムのセリア当たり約2×l0pfuだった。アデノウイルスの負荷値は、MS2/frについて観察された負荷値の約25%である。MS2/fr研究では、約4log10の除去でカラムにおけるブレイクスルーが示された。負荷培地を、牛肉ブロス又はリン酸アンモニウムのいずれかで抽出した。生存ウイルスが、抽出中に見出された。生存ウイルスレベルは、ウイルス検出レベル以下であった(すなわち、約1%よりはるかに少ない)。しかしながら、qPCR分析は、アデノウイルス遺伝物質を検出した:リン酸中で3〜5%(異常値である可能性が高い51%という結果を有する)及び牛肉ブロス抽出液で1〜2%。負荷及びqRCRの結果は、著しく異なるものではなかった。更に、リン酸抽出における51%のウイルス回収は、生物系での作業の困難さを考慮すれば、全くの異常であるとは判断しなかった。
【0211】
【表1】

同様の研究で、セリア粉末は、以下のような抗藻類特性、抗細菌特性、及び抗ウイルス特性を有することが示された。
【0212】
【表2】

実施例II
約0.2〜約0.5gの製紙用パルプ繊維、及び約30〜約50マイクロメートルの平均粒子径を有する約2gの酸化セリウム粉末を、15mLのプラスチック遠心分離チューブ中で共に混合した。約7mLの水を混合物に添加し、チューブを、約10〜約30秒間激しく振とうした。プラスチック遠心管の先端を切断して、直径が約2mmの開口部を形成した。製紙用パルプはろ過床を形成した。酸化セリウム粒子をほとんど失わずにろ過床を通して水を排水し、製紙用パルプ繊維及び酸化セリウムを含むろ過媒体を形成した。
【0213】
実施例III
約100グラムの炭酸セリウム(HEFA社から得た)を約600の水でスラリー化して、炭酸セリウムの水性懸濁液を形成した。炭酸セリウムの水性懸濁液を、13800kPa(2,000psi)の破裂板が取付けられた1リットルの316ステンレス鋼オートクレーブに充填した。オートクレーブを密閉し、オートクレーブに熱を加えた。十分な熱をオートクレーブに加えて、オートクレーブを約200℃の温度で約2時間維持した。オートクレーブ圧力は、1リットルのオートクレーブ内の約600mlの水を約200℃の温度で熱することにより到達した圧力だった。オートクレーブは、かき混ぜ及び/又は撹拌されなかった。200℃で2時間後、オートクレーブを冷却し、第1の試料を収集した。第1の試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図7に示す。第1の試料は、約11.63μmのMV、約0.16μmのMN、約0.33μmのMA、及び約1.56のSDを有していた。
【0214】
第1の試料の一部を乾燥した。乾燥された第1の試料を、300℃のマッフル炉で約3時間か焼して、か焼された第1の試料を形成した。か焼された第1の試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図8に示す。か焼された第1の試料は、約223μmのMV、約0.35μmのMN、約4.76μmのMA、及び約182.6のSDを有していた。
【0215】
第1の試料の別の一部を、約24時間静置しておき、その後依然として懸濁していた粒子を、水性試料として収集した。水性試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図9に示す。水性試料は、約0.26μmのMV、約0.22μmのMN、約0.24μmのMA、及び約0.07のSDを有していた。
【0216】
水性試料を、300℃のマッフル炉で約3時間か焼し、か焼された第2の試料を形成した。か焼された第2の試料の粒子粒分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図11に示す。か焼された第2の試料は、約21μmのMV、約0.15μmのMN、約0.3μmのMA、及び約15のSDを有していた。
【0217】
実施例IV
実施例IVは、約100グラムの炭酸セリウム(HEFA社から得た)を約600mlの水でスラリー化して、炭酸セリウムの水性懸濁液を形成した実施例IIIの対照プロセスである。
【0218】
炭酸セリウムの水性懸濁液を約3時間静置したままにし、その後第1の対照試料を収集した。第1の対照試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図11に示す。第1の対照試料は、約44.94μmのMV、約6.35μmのMN、約18.08μmのMA、及び約23.51のSDを有していた。
【0219】
第1の対照試料の一部を乾燥した。乾燥された第1の対照試料を、300℃のマッフル炉で約3時間か焼し、か焼された第1の対照試料を形成した。か焼された第1の対照試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図12に示す。か焼された第1の対照試料は、約94.33μmのMV、約0.35μmのMN、約19.96μmのMA、及び約84.04のSDを有していた。
【0220】
第1の対照試料の別の一部を、約24時間静置しておき、その後依然として懸濁していた粒子を、対照水性試料として収集した。対照水性試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図13に示す。対照水性試料は、約13.97μmのMV、約2.78μmのMN、約4.98μmのMA、及び約11.45のSDを有していた。
【0221】
第1の対照試料の一部を、約2時間超音波処理して、超音波処理試料を形成した。超音波処理試料の粒子径分布を、Microtrac(登録商標)分析で決定した。それを図14に示す。試料は、約33.38μmのMV、約6.02μmのMN、約17.21μmのMA、及び約21.48のSDを有していた。
【0222】
実施例V
製紙用パルプ及び綿繊維テンプレートを脱イオン水に浸漬して、繊維を「膨潤」させた。繊維を「膨潤」させた後、繊維を40重量%硝酸セリウム、Ce(NOに浸漬して、硝酸セリウムを繊維に吸収させる。硝酸セリウム含有繊維を、以下の条件下にて管状炉で加熱した:約70℃から約100℃の温度勾配で15分間;毎時50%の温度上昇で約400℃の最終温度;約400℃を約30分間維持;及びその後約3時間の冷却。
【0223】
約5m/g未満の表面積を有する脆性繊維材料を得た。材料を約700℃でか焼した。か焼した材料は、約5m/gの表面積を有していた。
実施例VI
約1.56グラムの綿繊維及び約0.61gの製紙用パルプを、脱イオン水で約45分間浸漬し、その後硝酸セリウム溶液で約17時間浸漬して、硝酸セリウム含有繊維を形成した。硝酸セリウム含有繊維を、160℃の管状炉で加熱した。材料は、繊維テンプレートを実質的に維持した。しかしながら、それは脆性であった。
【0224】
本発明の多くの変異及び改変を使用することができる。本発明の幾つかの特徴は提供されているが、他の特徴が提供されていないということはあり得るだろう。
種々の実施形態、配置、又は態様では、本発明は、種々の実施形態、配置、態様、副次的組み合わせ、及びそれらのサブセットを含む、本明細書に実質的に表示及び記述されている成分、方法、プロセス、システム、及び/又は装置を含む。当業者であれば、本開示を理解した後で本発明を製作し使用する方法を理解するだろう。種々の実施形態、配置、及び態様では、本発明は、例えば、性能の改善、実施の容易さ及び/又はコスト低減を達成するために、上述のデバイス又はプロセスで使用することができるそのような物品を含む、本明細書に表示及び/又は記述されていない物品又はその種々の実施形態、配置、又は態様の非存在下で、デバイス及びプロセスを提供することを含む。
【0225】
本発明の先述の考察は、例証及び説明のために示されている。先述の考察は、本発明を、本明細書で開示された形態に限定することを意図していない。先述の詳細な説明では、例えば、本発明の種々の特徴は、開示を単純化する目的で、1つ又は複数の実施形態、配置、又は態様にひとまとめにされている。本発明の実施形態、配置、又は態様の特徴は、上記で考察されたもの以外の代替的な実施形態、配置、又は態様と組み合わせることができる。本開示の方法は、請求の対象である発明が、各請求項に明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、本発明の態様は、単一の先述の開示された実施形態、配置、又は態様の特徴を全て含むものではない。したがって、以下の特許請求の範囲は、これにより、本発明の個々の好ましい実施形態としてそのままで成立する各請求項と共に、この詳細な説明に組み込まれる。
【0226】
更に、本発明の説明は、1つ又は複数の実施形態、配置、又は態様の説明を含んでいるが、ある変異及び改変、他の変異、組み合わせ、及び改変は、本発明の範囲内にあり、例えば、本開示を理解した後で当業者の技術及び知識内にあってもよい。特許請求されたものに対する代替的、同義的及び/又は等価な構造、機能、範囲、又はステップを含む代替的な実施形態、配置、又は態様を含む権利を、そのような代替的、同義的及び/又は等価な構造、機能、範囲、又はステップが、本明細書に開示されているか否かに関わらず、いかなる特許取得可能な主題も公に捧げる意図はなく、できる限り取得することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の希土類含有組成物を、第1の感染性生物学的物質個体数を有する感染性生物学的物質と接触させ、
前記1つ又は複数の希土類含有組成物と前記感染性生物学的物質との接触が、第2の感染性生物学的物質個体数を形成し、
前記第2の感染性生物学的物質個体数が、前記第1の感染性生物学的物質個体数より少なく、
前記1つ又は複数の希土類含有組成物の少なくとも1つが、約50ナノメートル〜約1,000マイクロメートルの平均粒子又は微粒子径及び少なくとも1m−1の平均表面積を有する粒子又は微粒子を含む、方法。
【請求項2】
前記感染性生物学的物質が、細菌、原生動物、ウイルス、真菌、プリオン、又はそれらの混合物のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、布地、衣料品、医療デバイス、治療用製剤、洗浄用組成物、セルロース化合物含有材料、ポリマー材料、コーティング材料、無機材料、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含むデバイスを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスが、織布又は不織布のうちの1つを含み、前記衣料品が、ヒトを含む動物により着用され、前記洗浄用組成物が、少なくとも1つの界面活性剤を有する液体又は固体を含み、前記セルロース化合物含有材料が、紙、綿、木材、木材含有製品、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、ポリマー製品が、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリ酸無水物、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリオキシド、ポリフィレン、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホアミド、ポリスルホナート、ポリスルホン、ポリスルホキシド、ポリチオ無水物、ポリチオアミド、ポリチオカルボナート、ポリチオエステル、ポリチオケトン、ポリチオイミド、ポリチオ尿素、ポリチオウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリビニル、セルロース、キチン、ケラチン、及びそれらの組み合わせ又は混合物のうちの少なくとも1つを含むホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、ポリマー混合物、ポリマー合金、又はそられの組み合わせのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記医療デバイスが、縫合糸、ガーゼ、スポンジ、スワブ、包帯、覆布、絆創膏、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記医療デバイスが、吻合器、手術器具、ライトハンドルカバー、医療用チューブ、医療用メッシュ、移植片、排出用部品、創傷吸引部品、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記治療用製剤が、エアゾルスプレー剤、粉末、クリーム剤、軟膏剤、膏薬、リニメント剤、ゲル剤、医療用液剤、傷口洗浄系、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記感染性生物学的物質が、生物に接しているか又は近接して配置され、前記生物が、動物又は植物のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動物が、ヒト、家畜、野生動物、食料源又は収入源として飼育される動物、伴侶動物、又はそれらの組み合わせのうちの1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記植物が、栽培植物、非栽培植物又は野生植物、栄養目的で栽培される植物、非食料目的で栽培される植物、及びそれらの組み合わせのうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物と前記感染性物質との接触が、前記感染性物質を死滅させる及び/又は不活化することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記死滅及び/又は不活化が、前記感染性物質と前記1つ又は複数の希土類含有組成物との相互作用を更に含み、前記相互作用が、化学的相互作用、物理的相互作用、又は化学的及び物理的相互作用の組み合わせのうちの1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の感染性生物学的物質個体数で除算された前記第2の感染性生物学的物質個体数が、商をなし、前記商が約1未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記商が、最大で多くとも約10−1、最大で多くとも約10−2、最大で多くとも約10−3、最大で多くとも約10−4、最大で多くとも約10−5、最大で多くとも約10−6、最大で多くとも約10−7、最大で多くとも約10−8、最大で多くとも約10−9、又は最大で多くとも約10−10である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記平均表面積が、約120m−1である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記平均粒子径が、約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記平均粒子径が、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つが、セリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つが、酸化セリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、酸化セリウム(IV)(CeO)及び酸化セリウム(III)(Ce)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
1つ又は複数の希土類含有組成物を標的領域に配置し、前記標的領域が、感染性生物学的物質の第1の個体数を有することと、
前記1つ又は複数の希土類含有組成物を、前記標的領域に含有されている前記感染性生物学的物質と接触させることと、
前記感染性生物学的物質を死滅させて及び/又は不活化して、前記感染性生物学的物質の第2の個体数を形成し、前記感染性生物学的物質の前記第2の個体数が、前記感染性生物学的物質の前記第1の個体数より少ないことと、を含む方法。
【請求項22】
前記感染性生物学的物質が、細菌、原生動物、ウイルス、真菌、プリオン、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の感染性生物学的物質個体数で除算された前記第2の感染性生物学的物質個体数が、約1未満の商をなす、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記商が、最大で多くとも約10−1、最大で多くとも約10−2、最大で多くとも約10−3、最大で多くとも約10−4、最大で多くとも約10−5、最大で多くとも約10−6、最大で多くとも約10−7、最大で多くとも約10−8、最大で多くとも約10−9、又は最大で多くとも約10−10である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記希土類含有組成物の1つ又は複数が、可溶性希土類含有組成物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶性組成物が、少なくとも約1M、少なくとも約1×10−1M、少なくとも約5×10−2M、少なくとも約1×10−2M、又は少なくとも約1×10−3Mの総溶解希土類濃度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記希土類含有組成物の1つ又は複数が、水不溶性希土類含有組成物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記水不溶性希土類含有組成物が、約5×10−2M未満、約1×10−2M未満、約1×10−3M未満、約1×10−4M未満、約1×10−5M未満、約1×10−6M未満、約1×10−7M未満、約1×10−8M未満、約1×10−9M未満、又は約1×10−10M未満の総溶解希土類濃度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記標的領域が、動物又は植物のうちの1つに接しているか又はその付近にある、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記標的領域が、創傷、感染創傷、手術区域、感染し易い区域、前記感染性生物学的物質から防御しようとする区域、前記感染性生物学的物質で感染及び/若しくは罹患した区域、又はそれらの組み合わせのうちの1つである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記動物が、ヒトを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記動物が、家畜、野生動物、食料源又は収入源として飼育される動物、伴侶動物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記植物が、栽培植物、非栽培植物又は野生植物、栄養目的で栽培される植物、非食料目的で栽培される植物、及びそれらの組み合わせのうちの1つである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、粒子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記粒子が、約0.1ナノメートル〜約1,000マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記粒子が、少なくとも約1m−1の平均表面積を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子が、少なくとも約120m−1の平均表面積を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
セリウムが、前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの少なくとも1つを構成する、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの他方が、La、Nd、Pr、及びSmからなる希元素の群から選択される少なくとも1つの希土類元素を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つが、酸化セリウムを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、酸化セリウム(IV)(CeO)及び酸化セリウム(III)(Ce)のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項42】
1つ又は複数の希土類含有組成物と、
i)織布、
ii)不織布、
iii)衣料品、
iv)布地を含む医療デバイス、
v)ポリマーを含む医療デバイス、
vi)ポリマー成分を有する医療デバイス、
vii)医学的移植片、
viii)治療用製剤、
ix)洗浄用組成物、
x)セルロース化合物含有材料、
xi)ポリマー材料、
x)コーティング材料、及び
xi)無機材料のうちの1つとを含む物品。
【請求項43】
前記希土類含有組成物の1つ又は複数が、可溶性希土類含有組成物を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記水溶性組成物が、少なくとも約1M、少なくとも約1×10−1M、少なくとも約5×10−2M、少なくとも約1×10−2M、又は少なくとも約1×10−3Mの総溶解希土類濃度を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記希土類含有組成物の1つ又は複数が、可溶性希土類含有組成物を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記水不溶性組成物が、約5×10−2M未満、約1×10−2M未満、約1×10−3M未満、約1×10−4M未満、約1×10−5M未満、約1×10−6M未満、約1×10−7M未満、約1×10−8M未満、約1×10−9M未満、又は約1×10−10M未満の総溶解希土類濃度を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、粒子を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記粒子が、約0.1ナノメートル〜約1,000マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記粒子が、少なくとも約1m−1の平均表面積を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記粒子が、少なくとも約120m−1の平均表面積を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
セリウムが、前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの少なくとも1つを構成する、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの他方が、La、Nd、Pr、及びSmからなる希元素の群から選択される少なくとも1つの希土類元素を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物のうちの1つが、酸化セリウムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ又は複数の希土類含有組成物が、酸化セリウム(IV)(CeO)及び酸化セリウム(III)(Ce)のうちの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項55】
希土類塩の懸濁物を形成することと、
前記懸濁物をオートクレーブに充填することと、
熱及び超大気圧のうちの一方又は両方を前記懸濁物に適用し、オートクレーブされた懸濁物を形成することと、
前記オートクレーブされた懸濁物を液相及び固相に分離することと、及び
前記液相及び固相のうちの一方又は両方をか焼して、希土類含有粒子を形成することと、を含む方法。
【請求項56】
前記懸濁物が、水性懸濁物を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記希土類塩が、実質的に不溶性の希土類塩である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
熱及び圧力のうちの一方又は両方を前記懸濁物に適用する前に、前記オートクレーブを密閉することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記懸濁物が、熱及び圧力のうちの一方又は両方を前記懸濁物に適用している間、実質的に静止状態である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
液相及び固相のうちの一方又は両方が、か焼前に乾燥される、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記希土類含有粒子が、約0.1マイクロメートル〜約300マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記粒子の約80%が、約0.1マイクロメートル〜約2マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記希土類含有粒子が、約0.2マイクロメートル〜約0.7マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記粒子の約90%が、約0.2マイクロメートル〜約0.4マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−532201(P2012−532201A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519673(P2012−519673)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/041079
【国際公開番号】WO2011/005770
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510120056)モリーコープ ミネラルズ エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】MOLYCORP MINERALS LLC
【Fターム(参考)】