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希少ではない細胞を用いて希少細胞を検出する方法
説明

希少ではない細胞を用いて希少細胞を検出する方法

本発明は、希少ではない細胞からのデータを利用して循環性腫瘍細胞(CTC)などの希少細胞を検出する独創性に富んだ計算的な手法を提供する。本発明は、CTC検出の2つの異なる工程、すなわち、データ収集パラメータについて決定するための第1の工程およびデータの整理および解析の過程で決定を行うための第2の工程に適用可能である。さらに、本発明は、意志決定プロセスにおいて一次元および多次元のパラメータ化されたデータの両方を利用する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して医療診断に関し、より具体的には循環性腫瘍細胞(CTC)などの希少細胞の検出および分類に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
上皮がんを有する患者における細胞レベルでの長期的な疾患モニタリングに関して、重大なまだ満たされていない医学的必要性が存在する。治療反応および疾患進行を予測および監視することは、疾患の自然歴と治療圧力に対する選択的な選択工程とを経た上皮がん患者において特に重要である。それぞれの微少環境における原発性腫瘍および転移性腫瘍の理解において進展がみられるが、液相中のがんは血流内に広がり血流を占有するため、液相中のがんの動態の理解にはかなりの障壁が存在する。がんの循環性の構成要素は、その中に将来の転移を生じさせる細胞を含み、したがって研究にあたり説得力のある標的である。
【0003】
この液相の固形腫瘍の臨床的重要性を十分に特徴付けるための研究は、CTCの同定のための簡単に利用できかつ信頼性の高い実験手段がないことにより遅れている。血中CTCの性質が不明であること、および頻度が低く不明の場合もあることは、がん性の上皮細胞と正常な上皮細胞との区別の難しさと相まって、液相が臨床上重要となるメカニズムについての研究を著しく妨げている。理想的な液相の生検では、多くの上皮がん患者において有意な数の特定のCTC集団を見いだしかつ保存すべきであり、ならびに、計数だけでなくさらに分子解析、形態的解析および/または表現型解析も可能にする形態で病理学者および/または研究者にCTCを示すべきである。加えて、さらに解析のために残りの希少な集団を保存すべきである。
【0004】
限定はされないが、CTCは概して、非常に低い濃度で固形腫瘍から生じ、様々な種類のがんを有する患者の血流内に進入する上皮細胞である。CTCはまた、血液内で生じ、全身に小さなコロニーを形成する能力を有すると考えられている。既存腫瘍によるCTCの脱落または転移は、多くの場合二次性腫瘍の形成をもたらす。二次性腫瘍は典型的には、検出できず、全てのがん死亡のうち90%をもたらす。循環性腫瘍細胞は、原発腫瘍と転移腫瘍との間の関連性を提供する。これにより、転移性の上皮悪性腫瘍の早期検出および処置管理のために、循環性腫瘍細胞の同定および特性評価を使用することへの可能性がもたらされる。がん治療を受けているがん患者の血液中に存在するCTCの数および特性評価は全体的な予後予測および療法に対する反応と相関しているため、がん患者におけるCTCの検出は、そのような患者の原発性または二次性のがんの増殖の早期診断および予後予測の決定の有効な手段を提供する。したがって、CTCは、臨床症状が現れる前の腫瘍の拡大または転移の早期指標として機能する。
【0005】
CTCの検出は、がんの管理と治療において、予後的かつ潜在的な治療上重要な意味を持っているが、血流におけるそれらの不顕性の性質のために、これらの希少な細胞は容易には検出されない。CTCは、1800年代に最初に記載されたが、ごく最近の技術的進歩によって信頼性の高いそれらの検出が可能となっている。循環性腫瘍細胞の検出における課題は、それらが他の有核細胞と比較して、比較的低い頻度で、通常1:100,000未満の頻度で存在していることである。この課題を補うために、循環性腫瘍細胞を検出するための多くの従来の手法は、他の細胞性の構成要素(例えば非CTC細胞)、最も重要なことにはCTCに最も類似している他の有核細胞からCTCを優先的に分離する、実験的濃縮方法に依存している。
【0006】
現在、CTCの計数/特性評価のための陽性濃縮で最も利用されている方法は、表面タンパク質EpCAMを標的とする免疫磁気濃縮法および「CTCチップ」である。CTCを検出するために最も広く用いられている方法論である、J&JのVeridex技術は、免疫磁気濃縮を利用する。本技術は、上皮由来細胞上にのみ発現する上皮細胞接着分子(EpCAM)に結合する抗体と連結させた磁性流体を用いる、腫瘍細胞集団の免疫磁気濃縮に依存している。この方法論は、解析のために7.5 mLの血液を必要とし、一部の転移性がん患者でのみ2個を上回るCTCを見いだす。
【0007】
マイクロ流体すなわち「CTCチップ」技術は、CTCの計数/特性評価のための別の陽性濃縮法である。この方法では1〜3 mLの血液を利用し、全血液が、EpCAMで被覆された78,000個のマイクロポストを通過して流れる。EpCAM陽性細胞は、ポストに接着し、続いてサイトケラチン、CD45およびDAPIで染色される。この方法論によると、CTCは、比較的高い純度でほとんど全ての転移性がん患者で見いだされ、健常対照者では見いだされなかった。さらにCTCチップ技術は、最近の2報の文献で報告されたように、全ての患者において他の技術よりおよそ10から100倍、多数のCTCを同定する。
【0008】
CTC検出のために唯一日常的に用いられている技術は、免疫磁気濃縮に基づく。この現在の「ゴールドスタンダード」でありかつFDAに認可された試験はCellSearch(登録商標)と呼ばれ、免疫磁気濃縮工程を使用して、上皮細胞接着分子(EpCAM)を発現する細胞を単離する。さらにCTCとして同定されるためには、細胞は、核を含有し、細胞質サイトケラチンを発現し、かつ5ミクロンより大きな直径を有さなければならない。このシステムでは、転移性の乳がん、前立腺がんおよび結腸直腸がんを有する患者におけるCTC数の計数および監視の予後予測における有用性が明らかにされているが、このシステムの感度は低く、多くの患者ではCTCが全くまたはほとんど見いだされない。多くの後続のCTC技術は、より高い感度を報告し、濃縮戦略の変更を追求しているが、これは、検出可能な事象を、最初の濃縮工程のために選択されるタンパク質の十分な発現を有する事象へと、あからさまに偏らせている。
【0009】
顕微鏡に基づく標準化された手法もまた、乳がん、結腸直腸がんおよび肺がんの患者の症例研究において、CTCを同定し、形態的特性評価を行い、証明するために、以前から利用されている。
【0010】
多くのCTC検出手法が現在使われているが、現行の手法による重要な限界が明らかになっている。例えば、CTCを計数/特性評価するための正の選択方法の重要な限界の1つは、正の物理的選択が常にCTCの損失をもたらし、効率が100%未満であることである。よって、現行の方法を用いて1試料あたりに検出されるCTC数は多くの場合、特定の試料について確固とした解釈または臨床上有意義な内容を提供するには少なすぎる。現行の方法のさらに限界は、CTCの不均一性による低いCTCの検出を含む。例えば、関心対象のCTC集団内の個別のCTCの特徴の違いは、現行の方法論を用いて検出されるCTCの計数をさらに妨害する。個別のCTC間の大きさのばらつき、およびCTCを検出するために用いられる細胞表面マーカーの個別のCTC間で変動する発現または下方制御された発現が、そのような違いに含まれる可能性がある。既存の方法論のさらに限界は、純度レベルの限界、および純度が変動するといった限界を含む。いかなる濃縮も、一定数の偽陽性、例えば濃縮物に接着する他の有核血液細胞を有する。例えば、Veridexマグネットは典型的には、5〜10個の陽性細胞に対し5,000〜10,000個の偽陽性を有する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、試料を解析して、CTCなどの希少細胞を検出、計数、かつ特性評価するための革新的な方法の発見に一部基づく。したがって、本発明は、臨床、研究および開発の場で用いるための試料の臨床上有意義な解析を可能にする、改良された検出および特性評価のための方法を提供する。
【0012】
したがって本発明は、試料中の希少ではない細胞(希少細胞と比較して、10、50、100、200、300、400、500、1,000、5,000、10,000倍またはそれより高い濃度で存在する細胞)からのデータを利用することによる、試料中の希少細胞の改良された検出および特性評価のための方法を提供する。よって本発明の方法は、類似度測定を利用して細胞の非類似度を評価するが、最大距離排除(the biggest distance exclusion)、例えば、明らかに希少ではない細胞に関連する事象と、周囲にある希少ではない細胞の類似度に基づくカットオフの微細な区別との両方を必要とする。
【0013】
本方法は、少なくとも1つの希少細胞と、希少細胞の少なくとも10倍の濃度で存在する少なくとも1つの希少ではない細胞とを有することが疑われる試料を提供する工程;試料と、細胞マーカーに結合する因子などの少なくとも1種の検出可能な因子とを接触させる工程;試料に関して細胞の画像処理を行い、画像を作製する工程;および画像から細胞を解析することにより、少なくとも1つの希少細胞を試料中の他の細胞と比較して検出し、それによって試料中の希少細胞を検出する工程を含む。本発明の種々の局面において、本方法は、スライドなどの固体支持体上に被検希少細胞および少なくとも1つの細胞をプレーティングし、細胞と検出可能な因子との接触および細胞の画像処理を容易にする工程をさらに含む。本発明の種々の局面において、検出可能な因子は、細胞マーカーに結合する因子など、細胞を染色するために用いられる任意の因子であり、陽性マーカー、陰性マーカー、核マーカー、内容マーカー、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0014】
本発明の種々の局面において、本明細書に記載される方法は、蛍光シグナルなどの検出可能なシグナルを含むスライドを効率的に画像処理するための装置で行われる。装置は典型的には、画像の処理能力を有する少なくとも1つのシステムプロセッサと、コンピュータモニタと、入力デバイスと、電源と、顕微鏡サブシステムとを有するコンピュータを含んでもよい。したがってこの装置は、本発明を実施するのに必要とされる種々の解析を行うための実行コードを有するコンピュータを含む。顕微鏡サブシステムは、画像を取得するための光学式検知アレイを含む。試料の動きおよび焦点調節のための二次元移動ステージ、ならびに複数の試料の解析および保存のためのインプットおよびアウトプットメカニズム。装置はまた、透過光源ならびに蛍光を発する試料のための照射/蛍光励起光源を含んでもよい。
【0015】
本発明の1つの態様において、本方法は、希少細胞の存在の検出を容易にする、細胞の画像処理を行うための最適な露光限界を確立する工程を含む。1つの局面において、検出可能な因子に対する露光限界は、少なくとも1つの細胞からのシグナルを用いて決定される。種々の局面において、検出可能なマーカーは、陽性マーカー、陰性マーカー、核マーカーまたは内容マーカーであってもよい。関連する局面において、露光限界は、スライドを再画像化するために、第1の画像から集められた細胞および/または被検希少細胞に関連するデータを用いて設定されてもよい。
【0016】
別の態様において、本方法は、希少細胞の検出を容易にするために、露光設定を最小化し、データ収集時間を最小化しかつ処理を最大化する工程を含む。
【0017】
別の態様において、本方法は、希少ではない細胞に関連するデータを利用して希少細胞の検出を容易にする精度管理パラメータを作製する工程を含む。種々の局面において、精度管理パラメータは、スライド上の少なくとも1つの希少ではない細胞の分布、希少ではない細胞のマーカーのアライメントによる複数の細胞画像のアライメント、細胞染色の品質、希少ではない細胞全体にわたる陽性マーカーの分布、または反復処理による細胞の損失である。
【0018】
別の態様において、本方法は、強度のカットオフ範囲を決定し、偽陰性ならびに偽陽性を最小化し、希少細胞の検出を容易にする工程を含む。1つの局面において、検出可能な因子は陽性マーカーであり、かつ強度範囲は、陽性マーカーの背景シグナルに関する、平均値、標準偏差、変動係数、他の統計パラメータまたはそれらの任意の組み合わせを用いて決定される。別の局面において、検出可能な因子は陽性マーカーであり、かつ強度範囲は、陽性マーカーの最も高いシグナル事象を同定し、最も高いシグナル事象の全てまたはサブセットのシグナルから計算される平均値および標準偏差と比較することにより、単一の画像またはその画像の一部分の範囲内で決定される。さらに別の局面において、検出可能な因子は陰性マーカーであり、かつ陰性マーカーに関する強度範囲は、希少ではない細胞(全ての希少ではない細胞、あるいは特定のサブセットのいずれか)の陰性マーカーのシグナルの平均値および標準偏差を用いて決定される。
【0019】
別の態様において、細胞および核の大きさ(絶対的および相対的;全体的および見かけ上)ならびに分布などの、希少ではない細胞の細胞学的特徴が、希少ではない細胞の検出を容易にするために利用される。
【0020】
別の態様において、本方法は、希少ではない細胞に関連するデータを利用し希少細胞を計数し、よってそれらの検出を促進する工程を含む。種々の態様において、データは、全強度、平均強度、分割強度、フィクストサークル(fixed circle)、バリアブルサークル(variable circle)、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよいがこれに限定されない。
【0021】
別の態様において、本方法は、希少細胞および希少ではない細胞の内容マーカーの発現レベルを決定し、希少細胞の検出を促進する工程を含む。
【0022】
本発明の種々の局面において、希少細胞は、CTCまたはその亜集団である。
【0023】
したがって、別の態様において、本発明は、対象においてがんを診断またはその予後を予測するための方法を提供する。本方法は、本明細書に記載されるような改良されたCTCの検出および特性評価の方法を行う工程、および検出されたCTCを解析する工程を含み、CTCの解析に基づく診断または予後予測を提供し、それによって対象のがんを診断またはその予後を予測する工程を含む。
【0024】
別の態様において、本発明は治療計画に対する対象の応答性を決定するための方法を提供する。方法は、本明細書に記載されるような改良されたCTCの検出および特性評価の方法を行い、CTCを解析し、それによって治療計画に対する対象の応答性を決定する工程を含む。
【0025】
別の態様において、本発明は、臨床試験のための候補対象を決定するための方法を提供する。本方法は、本明細書に記載されるような改良されたCTCの検出および特性評価の方法を行い、CTCを解析し、それによって臨床試験のための候補対象を決定する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】予測されたSKBR3に対してプロットされた、観察されたSKBR3の平均のグラフ表示である。正常な対照血液の4つの一定分量に様々な数のSKBR2細胞を添加し、1枚のスライドあたりおよそ10、30、100および300個のがん細胞を有する4枚のスライドを作製した。4通りそれぞれの平均、ならびに標準偏差を示すエラーバーを示す。
【図2】がん患者で見られるCTCの代表的な亜集団の種々の画像表示である。亜集団の各CTCは、サイトケラチン陽性、CD45陰性であり、DAPI染色核を含み、かつ各CTCは、円形状である周囲の白血球とは形態的に異なる。
【図3】9つの異なるがん患者試料に関する2台の別のプロセッサ間のCTC数を比較するグラフ表示である。CTC/mL数は0から203の範囲であった。
【図4】3ヶ月間にわたる4人の異なる前立腺がん患者からの経時的採血におけるCTCおよびPSAのレベルをプロットする4つのグラフを含むグラフ表示である。2人の患者は、CTCおよびPSAのレベルが増加し、2人の患者はCTCおよびPSAのレベルが減少/安定していた。PSAレベルは、CTC数が増加している患者で増加し、CTC数が減少/安定している患者で減少した。
【図5】CTC亜集団(HD-CTC)に対する患者全体の推定上の希少細胞集団の発生率を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、混合集団からCTCなどの希少細胞を陽性濃縮するための物理的方法を省略する方法を提供し、それによって希少細胞の損失を最小化する。この方法論はさらに、カットオフ値などの異なるパラメータを用いる同一のまたは異なるマーカーの検出により、CTCの亜集団または他の希少な集団などの細胞集団のサブセットの捕捉/同定を可能にし、事象と非事象を区別することが可能である。例えば、本明細書に詳細に記載されているように、異なるカットオフは、異なる細胞亜集団を特性評価するのに利用されてもよい。
【0028】
本開示はCTCおよびその亜集団を強調しているが、同じ方法論は、希少ではない細胞という背景において任意の他の希少細胞を見いだすために用いられてもよい。本明細書で用いる「希少細胞」は、(1)液体試料中の総有核細胞集団のうち約5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.01%または0.001%を下回る細胞型の細胞、または(2)液体試料1ミリリットルあたり細胞100万個未満で存在する細胞型の細胞、のいずれかを含むことを意図する。例示的な希少細胞は、CTC、循環性上皮細胞(CEC)、塞栓における白血球、がん幹細胞、活性化されたもしくは感染した血液細胞などの、活性化された細胞または感染した細胞、および胎児細胞を含むがこれに限定されない。
【0029】
したがって、明細書全体のCTCへの言及は希少細胞への言及を含み、その逆も同様であることが、当業者には理解されるであろう。
【0030】
本方法は、顕微鏡検査、サイトメトリー、自動化および演算処理の使用により、他の血液細胞という背景からの、CTCまたはCTCの亜集団などの希少細胞の同定を可能にする。本発明は、これらの構成要素を個別にあるいは集合的に利用して希少細胞を同定する。利点として、より多くの希少細胞を見いだし、その後の内容マーカーの解析を可能にする方法でそれらを提示し、かつ時間と資源について効率的な方法でそれを行う能力が含まれる。
【0031】
さらに本開示は、がん患者のCTCの亜集団を同定する能力を有する次世代アッセイに一部基づく。同定された1つの特定の亜集団は、がん患者の小さなコホートに由来する。本明細書において高度に定義されたCTC(HD-CTC)亜集団として称されるCTC亜集団などのCTCの亜集団を定義する特定のパラメータの使用に加えて、本アッセイでは、以前の試みよりも少量の血液で、より高い感度がもたらされる。このアッセイの革新的で重要な局面は、単純さおよび血液検体の最小限の処理を求める要望によって推進され、かつ診断品質の画像による専門家の解釈を可能にするという要望にも合致する。
【0032】
CTCまたはその亜集団などの希少細胞の集団を同定するために用いられる手法は、任意の単一のタンパク質濃縮戦略に依存しないという点で独特である。全ての有核血液細胞は、希少な事象の位置を特定しかつそれらを形態的に評価するために複数の色で画像化される。この濃縮を行わない戦略は、不均一であることが既知の希少細胞の集団の研究を可能にしつつ、高い感度と高い特異性を可能にする「調節可能な特異性/感度」の能力を有するアッセイをもたらす。物理的濃縮と比べて重要な利点および差異は、物理的濃縮が「はい」または「いいえ」であるのに対し、結果を調節できるという点にある。この手法の別の重要な利点は、関心対象の特定の集団を同定および特性評価するために1つまたは複数の解析パラメータを追求することができるという点である。
【0033】
本組成物および方法を記載する前に、この発明が、記載された特定の組成物、方法、および実験条件に限定されず、したがって組成物、方法および条件は様々である可能性があることが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲においてのみ限定されるため、本明細書で用いられる用語は特定の態様を記載することのみを目的とし、限定を意図しないことも理解されるべきである。
【0034】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈上明確に他の意味を指す場合を除き、複数への言及を含む。よって、例えば、「その方法(the method)」への言及は、1つもしくは複数の方法、および/または本開示などを読むことによって当業者に明らかになる本明細書において記載された種類の工程を含む。
【0035】
他に定められていない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等である任意の方法および材料が本発明の実施または試験で用いられうるが、好ましい方法および材料をこれから記載する。
【0036】
概して、「1つの循環性腫瘍細胞」への言及は1個の細胞への言及を意図し、一方「複数の循環性腫瘍細胞」または「循環性腫瘍細胞のクラスター」への言及は1個より多い細胞への言及を意図する。しかしながら、当業者は、「複数の循環性腫瘍細胞」への言及が1個または複数個の循環性腫瘍細胞を含む循環性腫瘍細胞の集団を含むことを意図することを理解している。
【0037】
用語「循環性腫瘍細胞」(CTC)またはCTC「クラスター」は、対象試料中に見いだされる任意のがん細胞またはがん細胞のクラスターを意味することを意図する。典型的には、CTCは、固形腫瘍から剥離している。したがって、CTCは多くの場合、進行がんを有する患者の循環中に非常に低い濃度で見いだされ、固形腫瘍から脱落した上皮細胞である。CTCはまた、肉腫由来の中皮またはメラノーマ由来のメラノサイトであってもよい。CTCはまた、原発腫瘍、二次性腫瘍または三次性腫瘍から生じる細胞であってもよい。CTCはまた、循環性がん幹細胞であってもよい。用語「循環性腫瘍細胞」(CTC)またはCTC「クラスター」はがん細胞を含むが、循環中で通常は見いだされない非腫瘍細胞、例えば循環性上皮細胞または循環性内皮細胞を含むことも意図される。したがって、腫瘍細胞および非腫瘍性上皮細胞がCTCの定義の中に包含される。
【0038】
本明細書で用いられる用語「がん」は、異形成、過形成、固形腫瘍および造血がんを含むがこれに限定されない、当技術分野において周知である様々な種類のがんを含む。多くの種類のがんは、転移し循環性腫瘍細胞を脱落するかまたは転移性である、例えば転移した原発がんから生じる二次性がんであることが公知である。さらにがんは、以下の臓器または組織を含んでもよいがこれに限定されない:脳、心臓、肺、胃腸、尿生殖路、肝臓、骨、神経系、婦人科、血液、皮膚、乳房、および副腎。さらにがん細胞の種類は、グリオーム(シュワン細胞腫、神経膠芽腫、星状細胞腫)、神経芽腫、褐色細胞腫、傍神経節腫、髄膜腫、副腎皮質がん、髄芽腫、横紋筋肉腫、肝臓がん、様々な種類の血管のがん、骨芽細胞性骨がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮筋腫、唾液腺がん、脈絡叢がん、乳がん、膵がん、大腸がん、および巨核芽球性白血病;ならびに悪性黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮がん、カポジ肉腫、母斑 異形成母班、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、線維肉腫または血管肉腫などの肉腫、およびメラノーマを含む皮膚がんを含む。
【0039】
本明細書に記載の方法を用いて、CTCなどの希少細胞が、任意の適切な種類の試料から検出および特性評価されてもよい。本明細書で用いられる用語「試料」は、本発明により提供される方法に適した任意の試料を指す。試料は、検出に適した希少細胞を含む任意の細胞であってもよい。試料の供給源は、全血、骨髄、胸水、腹水、中枢性の脊髄液、尿、唾液および気管支洗浄液を含む。1つの局面において、試料は、例えば全血またはその任意の画分もしくは成分を含む血液試料である。本発明による使用に適した血液試料は、静脈、動脈、末梢、組織および索など、血液細胞またはそれらの成分を含む公知の任意の供給源から抽出されてもよい。例えば、試料は、周知かつ日常的な臨床的な方法(例えば、全血を採血および処理するための手法)を用いて、入手および処理されてもよい。1つの局面において、例示的な試料は、がんを有する対象から採血された末梢血であってもよい。
【0040】
用語「血液成分」は、赤血球細胞、白血球細胞、血小板、内皮細胞、中皮細胞または上皮細胞を含む、全血の任意の成分を含むことを意図する。血液成分はまた、タンパク質、脂質、核酸および炭水化物などの血漿の成分、および妊娠、臓器移植、感染、外傷または疾患によって血液中に存在する可能性がある任意の他の細胞も含む。
【0041】
本明細書で用いられる「白血球細胞」は、白血球であるか、または網状赤血球もしくは血小板ではない造血系列の細胞である。白血球は、ナチュラルキラー細胞(「AK細胞」)、およびBリンパ球(「B細胞」)またはTリンパ球(「T細胞」)などのリンパ球を含むことができる。白血球はまた、単球、マクロファージ、ならびに好塩基球、好酸球および好中球を含む顆粒球などの、貪食細胞も含むことができる。白血球はまた、マスト細胞も含むことができる。
【0042】
本明細書で用いられる「赤血球細胞」または「RBC」は、赤血球である。特に「有核赤血球細胞」(「nRBC」)または「胎児有核赤血球細胞」と指定されていない限り、本明細書で用いる「赤血球細胞」は、非有核赤血球細胞を意味するよう用いられる。
【0043】
本発明は、生体試料を多くの様々な方法でアッセイまたは試験し、希少細胞を検出および特性評価しうる方法を提供する。試料は、1種または複数種の検出可能なマーカーで染色または標識され、蛍光顕微鏡検査および/または光学顕微鏡検査により試験されてもよい。評価から、希少ではないかまたはCTCではない細胞を排除することを目標とする通常の濃縮スキームとは異なり、本発明は、希少細胞またはCTCの同定および特性評価を支援するために、試料中に存在する希少ではない細胞またはCTCではない細胞に依存する。今回記載の非濃縮方法において、試料(例えば、血液、または尿、腹水、胸水、唾液および脳脊髄液などを含む他の体液)の処理は最小限であり、CTCなどの希少細胞は他の有核細胞(例えば、希少ではないまたはCTCではない)から分離されない。
【0044】
本明細書で用いられる用語「希少ではない細胞」および「複数の希少ではない細胞」は概して、本明細書で定義される希少細胞ではない任意の細胞を指す。同様に、本明細書で用いられる用語「CTCではない細胞」および「複数のCTCではない細胞」は概して、本明細書で定義されるCTCではない任意の細胞を指す。希少ではない細胞およびCTCではない細胞は、血液の場合、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球および単球を含む白血球細胞(白血球とも呼ばれる);赤血球細胞(赤血球)としても公知である);ならびに血小板などの、有核細胞または除核細胞を含んでもよい。
【0045】
血液の場合、CTCは他の有核細胞から分離されなくてもよいが、典型的には新生児の血液においてのみ有核のものが見いだされる赤血球細胞は、プレーティング前に試料から取り除かれる。これは通常、赤血球細胞を溶解することにより行われるが、複数の代替手法、例えばろ過または密度勾配遠心分離による細胞の除去が文献で周知であり、本方法によって利用されてもよい。赤血球細胞を取り除いた後、残った細胞は、回転され、再懸濁され、細胞の画像処理で用いられうる固体支持体上に細胞をプレーティングすることによって処理されてもよい。
【0046】
様々な固体支持体が、本技術分野において周知であり、スライド表面への細胞付着を促すよう処理されうるスライドを含む。スライドは、生物学的アッセイを行うための支持体を提供するのに十分な様々な材料から構築されてもよい。例示的局面において、支持体は、生物材料の支持体への静電相互作用を促す化合物でコーティングされうる材料によって構成される。様々な基質材料が当技術分野において周知であり、本発明による使用に適している。そのような材料は、ガラス;ポリカルボナートおよびポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィンなどの有機プラスチック;ポリアミド;ポリエステル;シリコン;ポリウレタン;エポキシ;アクリル;ポリアクリラート;ポリエステル;ポリスルホン;ポリメタクリラート;ポリカルボナート;PEEK;ポリイミド;ポリスチレン;およびフルオロポリマーの1種または複数種を含んでもよい。例示的局面において、スライドは、ガラスまたはプラスチックから製造され、1種または複数種の生物学的相互作用コーティング剤を含む。
【0047】
スライドは、その表面上に規定される1つまたは複数の有効領域を含んでもよい。本明細書で用いられる有効領域は、スライドが生物学的相互作用コーティング剤などによって化学的にまたは電気的に処理されて例えばスライドへの細胞の接着を促進する領域を含むことを意図する。例えばスライドは、その表面が正の電荷を持ち、負の電荷を持つ細胞の電気的付着によって表面に細胞を固定できるように、処理されてもよい。スライドは、スライドの大きさおよび目的の適用に応じて、1つから任意の数までの有効領域を含んでもよい。種々の局面において、スライドは有効領域を1つだけ含む。
【0048】
所定のスライドに付着する希少細胞またはCTCの総数は、初回サンプル量に一部依存する。種々の局面において、幅広い範囲の初回サンプル量が、本方法を実施するために用いられ、臨床上重要な結果を提供しうる。したがって、初回サンプル量は、約1 μl未満、2 μl、2.5 μl、3 μl、4 μl、5 μl、6 μl、7 μl、7.5 μl、8 μl、9 μl、10 μl、12.5 μl、15 μl、17.5 μl、20 μl、25 μl、50 μl、75 μl、100 μl、125 μl、150 μl、175 μl、200 μl、225 μl、250 μl、300 μl、400 μl、500 μl、750 μl、1 ml、2 ml、3 ml、4 ml、5 ml、6 ml、7 ml、8 ml、9 ml、または約10 mlより多い量であってもよい。例示的な局面において、初回サンプル量は、約200から500μl、200から1000 μl、1000から2000 μl、1000から3000 μlまたは1000から5000 μlの間である。別の例示的局面において、本明細書で記載されたように処理された試料は、約1個、2個、5個、7個、10個、15個、20個、30個、40個、50個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個または1000個より多くもの希少細胞またはCTCを含む。
【0049】
例えばスライド上に細胞をプレーティングすることによって、最小限に処理された細胞を固体支持体へ付着させた後に、蛍光顕微鏡検査および/または光学顕微鏡検査による細胞の試験を用いた細胞の画像処理を容易にするために、細胞を1種または複数種の検出可能なマーカーと接触させる。概して、検出可能なマーカーは、細胞の現象を検出および特性評価するのに有用な種々の因子を含む。例えば検出可能なマーカーは、試料中に存在するあるマーカーに特異的に結合するポリヌクレオチド、ポリペプチド、低分子、および/または抗体などの因子を含んでもよく、かつ該因子がその標的マーカーまたはリガンドに結合またはハイブリダイズした場合に検出可能であるように、標識される。例えば、検出可能なマーカーは、酵素標識、蛍光標識、または放射性核種標識を含んでもよい。さらにレポーター手段および標識は、当技術分野において周知である。
【0050】
マーカーは、公知の顕微鏡技術、組織学的技術、または分子生物学的技術によって同定可能な、試料中に存在する任意の細胞成分であることができる。マーカーは、例えばCTCを含む希少細胞を検出および特性評価し、希少ではない細胞およびCTCではない細胞と希少細胞とを区別するために、用いられうる。概して、マーカーは例えば、試料中に存在する細胞の、細胞表面上に存在する分子、過剰発現した標的タンパク質、核酸変異または形態的特徴であることができる。よってマーカーは、細胞内でもしくは細胞の表面上で検出されうる任意の細胞成分、または細胞の表面に結合もしくは凝集している高分子を含んでもよい。したがってマーカーは、物理的に細胞の表面上にあるマーカーに限定されない。例えばマーカーは、表面抗原、膜貫通型の受容体またはコレセプター、表面に結合している高分子、例えば結合もしくは凝集したタンパク質または炭水化物、および細胞質成分もしくは核成分などの細胞内成分などを含んでもよいがこれに限定されない。マーカーはまた、血小板またはフィブリンなどの、特定の細胞型に優先的に結合する血液成分を含んでもよい。
【0051】
1つの局面において、検出可能なマーカーは、検出できるように標識された抗体であってもよい。本発明の方法で有用な抗体は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、ならびにそれらの任意の断片、例えばFabおよびF(ab')2、ならびにそのような抗体または断片の組み合わせを含む。蛍光的に標識した抗体を作製するための方法は当技術分野において周知であり、例えば中間体官能基を用いることによって、蛍光分子を免疫グロブリンに直接的にまたは間接的に結合させてもよい。関連する局面において、検出可能なマーカーは、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)であってもよい。例えば、インサイチュー核酸ハイブリダイゼーション技術が当技術分野において周知であり、試料またはサブ試料(例えば個別の細胞)中に存在するRNAまたはDNAマーカーを同定するために用いられうる。
【0052】
本発明の種々の局面において、細胞を染色するために用いられる検出可能なマーカーは組織特異的であり、したがって特定の種類の細胞および/または組織の陽性マーカーとして用いられる、1種または複数種の検出可能なマーカーを含む。本明細書で用いられる「陽性マーカー」は、CTCなどの希少細胞に特異的に結合しているが、希少ではない細胞またはCTCではない細胞には結合していない、検出可能なマーカーである。例えば、陽性マーカーは、上皮および/または組織に特異的であってもよく、例えば、上皮細胞に優先的に結合しているサイトケラチンマーカーおよび/またはEpCAMマーカーが用いられてもよい。同様に、組織特異的であるマーカーが使用されてもよい。前立腺組織に関するPSAおよびPSMA、大腸組織に関するCDX2、および(TTF1陽性である肺がん患者の亜集団の)肺組織に関するTTF1など、当技術分野において公知でありかつ本発明の実施における使用に適した組織特異的マーカーの例は多数存在する。本明細書で用いられる「陽性マーカー」はまた、希少細胞またはCTCの亜集団に特異的に結合しているが、集団の全ての希少細胞またはCTCには結合していない検出可能なマーカーであってもよい。例えば、「陽性マーカー」は、HD-CTCに特異的に結合しているが、全てのCTCには結合していなくてもよい。
【0053】
本発明の種々の局面において、細胞を染色するために用いられる検出可能なマーカーは、希少ではない細胞またはCTCではない細胞に特異的に結合している1種または複数種の検出可能なマーカーを含み、陰性セレクターとして用いられてもよい。本明細書で用いられる「陰性マーカー」は、希少ではない細胞またはCTCではない細胞に特異的に結合し、かつ陰性セレクターである、検出可能なマーカーである。CTCではない細胞に対して最も一般に用いられる陰性マーカーはCD45であり、WBCに選択的に結合している。WBCの種々の亜集団に結合している、他の検出可能なマーカーまたは検出可能なマーカーの組み合わせが存在する。これらは、CD45との組み合わせまたはCD45に変わる方法を含む、種々の組み合わせで用いられてもよい。本明細書で用いられる「陰性マーカー」はまた、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の亜集団に特異的に結合しかつ陰性セレクターである、検出可能なマーカーであってもよい。
【0054】
CTCを同定するための陽性および陰性の検出可能なマーカーに加えて、細胞の核に特異的に結合し非細胞性物質からの細胞の区別を可能にする、さらに検出可能なマーカーが細胞を染色するために用いられてもよい。本明細書で用いられる「核マーカー」は、細胞の核成分に結合している検出可能なマーカーであり、非細胞性物質からの細胞の区別を可能にする。本発明での使用のための最も一般的な核マーカーはDAPIである。
【0055】
本発明の種々の局面において、細胞を染色するために用いられる検出可能なマーカーは、本明細書において「内容マーカー」として言及される1種または複数種の検出可能なマーカーを含む。内容マーカーは典型的には、FISHプローブまたは免疫組織化学プローブなどの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含んでもよい。1つの態様において、内容マーカーは、陽性マーカーおよび陰性マーカーと同時にスライドに適用されるか、または陽性マーカーおよび陰性マーカーの後ならびに画像処理による希少細胞の同定の後にスライドに適用される。内容マーカーは、EGFR、HER2、ERCC1、CXCR4、EpCAM、E-カドヘリン、Mucin-1、サイトケラチン、PSA、PSMA、RRM1、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、IGF1、cMET、EML4、または白血球関連受容体(LAR)に対する検出可能なマーカーを含む。いくつかの場合において、内容マーカーは、陽性マーカーであってもよい。
【0056】
陽性マーカー、または任意のマーカーからのシグナルの強度は、強度のスケールとして検出可能であり、開示の方法論に基づき高度に定量化できる。強度のスケールは、大幅に改良された定量化およびさらに分類を可能にする検出可能な事象の順位付けを可能にする。例えば、サイトケラチンに関して低強度のシグナルを発するCTCはがん幹細胞である可能性があり;高/低サイトケラチン細胞の数の変化は、反応の予測または反応(もしくは抵抗性の経過)の読出し情報となる可能性がある。同じことが、陽性マーカー、陰性マーカーおよび内容マーカーについても言える。
【0057】
本発明は、検出可能なマーカーを利用することによって、蛍光顕微鏡および/または光学顕微鏡を用いた細胞の検査による細胞の画像処理を促進する。例示的局面において、最小限に処理された細胞が、複数の蛍光マーカーにより染色され、次いで高速自動顕微鏡を用いて画像化される。典型的には、調製済みスライドは、自動システムに装填されてもよく、または任意の数の追加のスライドを保持するスライド保持具中に配置されてもよい。スライド保持具は、自動システムのインプットホッパーに装填される。次いで、操作者は各スライドについてスキャン領域の大きさ形状および位置を特定するデータを入力してもよく、またはシステムはスライド処理の間に各スライドのスキャン領域を自動的に探知することができる。スライドの処理パラメータは、スライドまたはスライド保持具上に存在するバーコードによって特定されてもよい。システム起動時に、スライド保持具は、X-Yステージ上に位置づけられ、スライド全体またはその一部が高速でスキャンされる。これは、低倍率または高倍率で行われてもよく、様々なレベルの倍率でおよび/またはスライドの様々な領域に対して繰り返されてもよい。画像は、本明細書に記載される種々の解析を行うために本技術分野において周知である、適当な保存媒体で保存されかつ実行コードを用いて解析されてもよい。本明細書において記載のように、露光限界および強度設定などの種々のパラメータが、希少ではない細胞またはCTCではない細胞に関するデータを用いて希少細胞、例えばCTCの検出を促進するために、画像処理工程全体にわたって調整されてもよい。
【0058】
本明細書で用いられる用語「画像」および「試料画像」は概して、希少細胞およびCTCなど種々の細胞を含む最小限に処理された試料の、画像、デジタル化したもの、またはその他を指す。典型的には、試料画像は、その表面に付着させた細胞を有しかつ任意で1種または複数種の検出可能なマーカーで染色されている、試料スライドの全てまたは一部の画像である。
【0059】
調節可能な特異度/感度を可能にし、かつ濃縮よりもデータの整理および解析に集中する本発明の利点の1つは、最小限の処理によって偏りを最小にすることが期待されることである。濃縮を必要とする他の技術では、希少細胞は、その過程で常に失われる。具体的には、WBCとCTCとを区別するための免疫捕捉またはサイズろ過の使用において、免疫捕捉の場合には標的抗原の発現のばらつき、またはWBCとCTCとの間の大きさの差のばらつきが、濃縮段階過程で一部のCTCを失わせる。これは、(i)不正確なCTC数;(ii)下流の特性評価または内容解析にとって少なすぎるCTC;および(iii)CTCの種類のばらつきに基づいてある種類のCTCが優先的に失われるような選択バイアスの生成につながりうる。
【0060】
最小限に処理する手法の課題は、希少ではない細胞またはCTCではない細胞を背景にして、低い頻度の希少細胞またはCTCを見つけることは難しいということである。この低い頻度は、希少細胞またはCTC:希少ではない細胞またはCTCではない細胞が、1:1,000、1:10,000、1:100,000、1:1,000,000、さらに1:10,000,000、またはこれらの比率の間の任意の範囲であり得る。希少細胞を見つけ特性評価する能力を複雑にしているのは、陽性マーカーおよび陰性マーカーが非常に選択的である一方で、偽陽性または偽陰性のいずれかをもたらす点で完全ではないことにある。言い換えれば、希少細胞上に陰性マーカーの多少の背景染色および/または希少ではない細胞上に陽性マーカーの多少の背景染色を有することは一般的である。アッセイ最適化はこの背景染色を最小にするために利用されるが、アッセイ最適化によりこの現象を完全に除去することは難しい。
【0061】
前記のように、希少細胞を見つけるための多くの他の手法は、希少ではない細胞を取り除くことを試みる。本発明は、希少細胞またはCTCを見つけ特性評価するのを支援するために、希少ではない細胞またはCTCではない細胞を用いる。希少ではない細胞およびCTCではない細胞を解析しうる多くの方法が、本開示全体にわたって論じられる。本開示全体にわたって、希少ではない細胞またはCTCではない細胞は典型的には、1つのグループとして言及され、そのようなものとして本明細書に記載の方法を用いて解析されてもよい。しかしながら、本発明はまた、希少ではない細胞が様々な個別のサブグループを包含する可能性があることも認識している。例えば、CTCの場合、様々な個別のサブグループは、好中球、マクロファージ、リンパ球、好酸球および好塩基球、ならびにアポトーシスまたは細胞分裂の種々の状態などの様々な状態の細胞を含んでもよく、大きさ、形状、核の特徴および染色パターンによって本明細書に記載の方法を用いて区別されうる。本発明のいくつかの態様において、希少細胞またはCTCを見つけるためにこれらサブグループの1つを用いることは、グループ全体を用いるよりも有用である可能性がある。本発明における希少ではないまたはCTCではない細胞の使用は、1つまたは複数のサブグループだけを用いることが態様のいくつかにおいて適当である可能性がある場合には、本発明をグループ全体のみに用いることに限定することを意味しない。
【0062】
本発明の実施可能な局面は、たとえそれらがそのようなものとしては決定的には同定されなかったとしても、希少ではない細胞またはCTCではない細胞に対する希少細胞またはCTCの低い頻度によって、希少ではない細胞またはCTCではない細胞として細胞の大部分を扱うことが可能となる点にある。希少細胞およびCTCの低い頻度は、そのような細胞を無視して、細胞が希少ではない細胞またはCTCではない細胞であると仮定し、精度管理、カットオフ、標準化および較正の測定基準を導き出すことを可能とする。希少細胞は少量であるため、これらの基準が希少細胞の集団を考慮に入れて改良される場合には、外れ値除去法を利用してもよい。外れ値除去法は、希少細胞の集団が測定基準の要素に織り込まれないことを数学的に保証する。
【0063】
本明細書に記載のように、開示した方法論は、希少細胞の集団または希少細胞の亜集団の検出、計数および特性評価を可能にする。露光限界、露光設定、精度管理、強度カットオフ限界、細胞サイズおよび形状の較正、細胞計数ならびに内容評価に関係し、そのそれぞれがより詳細に順に記載される、規定されたパラメータを適用することによって、本方法論は、試料中の希少ではない細胞からのデータを利用して、希少細胞を同定しかつ特性評価する。種々の局面において、アッセイは、個別のチャネル画像を用いた蛍光画像の同時の細胞形態評価を可能にし、実験全体または局所的な環境のいずれかに由来する、希少ではない細胞または希少ではない細胞の候補、例えばCTCではない細胞またはCTCではない細胞の候補に対して、絶対的かつ相対的な対象の大きさおよび蛍光強度に関する補助的な半定量的データを用いた細胞ごとの注釈付けによって増強される。
【0064】
露光限界の確立
ばらつきはアッセイ最適化および機器標準化により最小化されるべきだが、マーカーの染色のばらつきは一般的であり、スライドごと、バッチごと、操作者ごと、およびその日ごとである。低すぎるまたは高すぎる設定は誤った情報をもたらすことから、特定のスライドに対して正しい露光を選択することは重要である。標準的な手法はスライド上の大部分の事象に対して一般的であるマーカーでは機能するが、希少細胞またはCTCに特異的であるマーカーについては難しい。画像処理システムのダイナミックレンジの範囲内では、希少細胞またはCTCのシグナル、および希少ではない細胞またはCTCではない細胞における背景は、露光時間に比例する。しかし、画像処理システム中の電子機器により生じるシグナルと背景の両方におけるランダム変動であるノイズは、露光が増大する場合に減少する。理想的には、露光は、画像処理システムを飽和させることなしにシグナルを最大化するように設定されるべきである。しかし、これは、データ収集時間におよぼす影響のために実際的ではない。希少細胞またはCTCは、非常に低い頻度で存在していることから、希少細胞またはCTCは少数の試料画像では見つけることができず、試料画像を用いて陽性マーカーに対する露光を設定することができない。これをさらに複雑にすることに、それらの標的細胞に対する陽性マーカーと陰性マーカーの両方の発現および染色には本来ばらつきが存在している。少数の試料画像による露光の設定は、標的とする希少細胞またはCTCのこの本来のばらつきを捕捉しない可能性がある。
【0065】
本発明の1つの態様において、希少ではない細胞またはCTCではない細胞からのシグナルが陽性マーカーの露光限界を設定するために利用される。希少ではない細胞またはCTCではない細胞は陽性マーカーに関して選択の標的ではないため、これは幾分直観に反している。しかしながら、本態様においては、非特異的染色、自己蛍光および光学システム特性などの蛍光源から発生し可視であるが弱いシグナルが試料画像中の希少ではない細胞またはCTCではない細胞から観察されるように、露光が調整される。明視野像、核マーカーおよび陰性マーカーが、試料画像における希少ではない細胞またはCTCではない細胞を同定するために用いられてもよい。弱いシグナルは、試料画像の非細胞領域と比較する際の、希少ではない細胞またはCTCではない細胞における区別可能な細胞シグナルである。この工程は、陽性マーカーの標的が低い頻度である場合に、陽性マーカーに対する露光を設定する方法を提供し、かつ陽性マーカーのシグナル/背景比を最大化するのを助け、データを収集するのに必要とされる合計時間をさらに最小化しながら、その両方が希少細胞またはCTCを見つける助けとなる。この現象は、シグナルが弱いかかすかである場合に特に当てはまる。ひとたび細胞の背景が非細胞の背景上で統計的に有意であったなら、この特定のマーカーの露光時間がデータ収集の速度に関して最適化される。その後の全ての最適化は、インシリコで行うことができる。ひとたび露光が設定されれば、スライド全体がその設定で画像化される準備が整う。
【0066】
上記態様は、陽性マーカーの露光の設定を容易にするが、希少ではない細胞またはCTCではない細胞はまた、希少細胞またはCTCの臨床上の解釈に関連した方法で、陰性マーカー、核マーカーおよび内容マーカーに関して露光を設定するために用いられてもよい。1つの態様において、細胞の核の内容の評価、具体的には生細胞か死細胞かの分類を可能にし、細胞の種類ごとの生細胞:死細胞の比率の計算を容易にするレベルに、試料画像中の希少ではない細胞またはCTCではない細胞上の核マーカーが設定される。希少ではない細胞またはCTCではない細胞の核マーカーに対するこれらの露光レベルは、希少細胞またはCTCの核マーカーの同様の評価、特に正常細胞と悪性細胞との核の形状を区別するための評価に関して、満足のいくものである。
【0067】
別の態様において、陰性マーカーに対する露光は、希少ではない細胞またはCTCではない細胞上の陰性マーカーからのシグナルの分布に注目することにより、試料画像から設定され、ここで露光は、特に希少細胞またはCTCにおいて陰性マーカーに関する微弱シグナルが生じる可能性があるダイナミックレンジの下限で、シグナル/背景比率を最大化するように選択される。
【0068】
別の態様において、内容マーカーに対する露光は、希少ではない細胞またはCTCではない細胞から設定される。試料画像中の希少ではない細胞またはCTCではない細胞を用いる内容マーカーのシグナルの設定は、特定の内容マーカーによって決まる。例えば、いくつかの内容マーカーは、希少細胞またはCTCと比較した場合に、希少ではない細胞またはCTCではない細胞において比較的高い発現を有する可能性があり、その場合、試料画像中の希少ではない細胞またはCTCではない細胞からの情報を用いて、内容マーカーについて上方境界を設定する。反対に内容マーカーは、希少細胞またはCTCと比較した場合に、希少ではない細胞またはCTCではない細胞で比較的低い発現を有する可能性があり、その場合、試料画像中の希少ではない細胞またはCTCではない細胞からの情報を用いて、内容マーカーについて下方境界を設定する。
【0069】
上記態様は、スライドを画像化し希少細胞またはCTCを見いだす前に、希少ではない細胞またはCTCではない細胞を用いて、種々のマーカーについて試料画像から露光限界を設定しているが、別の態様では、スライド全体の最初の画像処理事象の過程で取得される画像の、希少ではない細胞もしくはCTCではない細胞、および/または希少細胞もしくはCTCの情報が、スライドの選択領域を再画像化する際の露光限界を設定するために用いられる。選択領域は、最適な焦点またはより高倍率である画像を収集することを含む、様々な理由のために再画像化される。本態様において、スライド全体の希少ではない細胞またはCTCではない細胞、および希少細胞またはCTCにおける種々のマーカーに関するシグナルの分布が、所望のシグナルまたは所望のダイナミックレンジを最大化する、より優れた露光を計算するために用いられてもよい。
【0070】
データ収集時間を最小化しかつ処理を最大化するための露光設定の最小化
上記のように、露光設定は、シグナル、またはシグナル:背景パラメータを最適化するように調整されうる。しかしながら、別の態様において、露光設定は、データ収集時間を最小化しかつ処理を最大化することを目標に調整される。例えば、CCDカメラのダイナミックレンジを十分に利用するには5秒の露光時間を要するが、非細胞の背景上に細胞の背景を得るには500ミリ秒しか要さないと認めた場合には、データ収集時間を10倍節約しうる。よって、露光時間は、最大のシグナル(もしくはシグナル:背景)または最小の時間のいずれかについて最適化されうる。
【0071】
精度管理
別の態様において、希少細胞またはCTCを同定するのを支援するための、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の使用はまた、精度管理パラメータとしてのそれらの使用を含む。希少ではない細胞またはCTCではない細胞は、より高い頻度で表示されかつスライド全体にわたって分布するため、それらは、特定のスライドならびにスライド全体およびデータ一式全体の両方に対し、スライドの処理および画像処理の品質を評価するための利用可能な資源を提供する。
【0072】
1つの態様において、本発明は、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の分布を観察し、核マーカーを用いて、希少ではない細胞またはCTCではない細胞を同定する工程を提供する。本態様において、目標は細胞を見つけることであり、希少ではない細胞またはCTCではない細胞と、希少細胞またはCTCとを区別する必要はなく、よって陽性マーカーまたは陰性マーカーをこれらの分類を区別するために利用することはできない;しかしながら、細胞の圧倒的多数は希少ではない細胞またはCTCではない細胞であるため、スライド上の細胞の分布を決定するために利用した細胞の多くは、希少ではない細胞またはCTCではない細胞である。望ましい分布は細胞間の重複が最小である、細胞の均一な分布であることから、細胞の分布は精度管理の観点から重要である。その理想的な分布から相当程度の逸脱が存在する場合、さらに処理からスライドを排除することを選択してもよい。核マーカーが本実施例において用いられるが、明視野像およびライトギムザなどの通常の染色を含む、細胞を同定するための任意の方法で十分である。
【0073】
別の態様において、核マーカーおよび陰性マーカーの共存が、精度管理の方法として用いられ、異なる画像のアライメントが満足のいくものであるか否かを評価する。本態様において、核マーカーおよび陰性マーカーは、かなりの重複部分を有するはずである。
【0074】
別の態様において、陰性マーカー事象と核マーカー事象間の比は、陰性マーカー染色の有効性の尺度となり、ここでは12を超えない、より高い比率が望ましい。望ましい陰性マーカーは、0.8、0.9、1.0または1.1の比を有しうる。別の態様において、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の集団に関して、陰性マーカーの平均値、標準偏差および変動係数(CV)を含む分布が精度管理パラメータとして用いられ、ここで陰性マーカーの分布は、過去の実験の予測される分布パターンと一致する、および/またはWBCの通常の発現パターンの分布と一致する。
【0075】
別の態様において、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の集団に関して、陽性マーカーの平均値、標準偏差およびCVを含む分布が精度管理パラメータとして用いられ、ここで陽性マーカーの分布は過去の実験から予測される分布パターンと一致する。
【0076】
上記の精度管理方法は全般的なスライド品質を評価するための方法を記載するが、同じ方法が、1つの画像または画像のグループを評価するために用いられてもよい。いくつかの例において、ある領域において1つの画像または画像のグループから導き出されるパラメータが、スライド全体に対して計算された同じパラメータと比較されてもよい。別の例において、上記の精度管理パラメータが異なるスライド間で比較されてもよい。
【0077】
別の態様において、スライド上に配置された既知の数の希少ではない細胞またはCTCではない細胞に対する、核マーカー事象または陰性マーカー事象の比を比較することによって、細胞の損失が処理中のスライドから計算されてもよく、ここで希少ではない細胞またはCTCではない細胞の既知の数は、本実験で用いられるWBCの数および量から導き出される。
【0078】
CTC検出のための強度カットオフ限界の設定(偽陰性の最小化)
上述のとおり、希少細胞およびCTC検出のための本手法の課題は、(1)希少ではない細胞またはCTCではない細胞に対し、CTCなどの希少細胞の相対的頻度が低いこと;および(2)CTCおよびCTCではない細胞それぞれに対する陽性マーカーおよび陰性マーカーの染色が不完全であることである。しかしながら、本方法はこれらの課題に立ち向かい、これらを強みに変える。1つの態様において、大量の希少ではない細胞またはCTCではない細胞上の陽性マーカー由来の背景シグナルを用いて平均値、標準偏差およびCVを計算する。続いてこれらの基準を用いて、希少ではない細胞またはCTCではない細胞からCTCなどの希少細胞を分離するための検出カットオフを決定する。1つの局面において、係数10に、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の陽性マーカーシグナルに関する標準偏差を乗じかつ平均値を加えたものが、希少細胞またはCTCを区別するためのカットオフとして用いられ、ここで推定上の希少細胞またはCTCは、カットオフを上回る陽性マーカーシグナルを有するように決定される。他の局面において、基準は、5、7.5、12.5、15、17.5、もしくは20以上またはこれらの数の間の任意の数の係数を用いる。基準の計算はスライド全体に基づいて設定されてもよい。あるいは、画像に基づいて、または領域に基づいて設定されてもよい。
【0079】
別の態様において、カットオフは、一番高い陽性マーカー事象のシグナルを特定し、次いでそのシグナルを別のシグナル事象間の標準偏差と比較することにより、各画像内で動的に決定されてもよい。例示的な局面において、カットオフは、5個の最も高い陽性マーカー事象のシグナルを特定し、次いでそのシグナルを次の50個の陽性シグナル事象間の標準偏差と比較することにより、各画像内で動的に決定されてもよい。陽性マーカー事象はまた、複数の陽性マーカーまたは陽性マーカーの包含、および陰性マーカー事象の排除を含むことができる。数値「5」は、10×倍率と仮定して、1視野あたり1から10まで様々であることができる(すなわち、1視野あたり5個以下の希少細胞もしくはCTC、または500分の1以下の相対的濃度と仮定する)。この手法は、完全に数的であり形状解析によるものではないという利点を有する。事象を見逃す危険性を最小限にすることによって、潜在的な事象の数を確実かつ実質的に低減することが予想される。
【0080】
別の態様において、陰性マーカーシグナルのカットオフは、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の平均値および標準偏差を用いて設定される。この場合、カットオフは、1、2、3、4、5、6、7、8、9 または10の係数に、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の陰性マーカーシグナルの標準偏差を乗じ、かつ陰性マーカーシグナルの平均から引くことによって導き出される。推定上のCTCは、カットオフを下回る陰性マーカーシグナルを有する。上記のように、このカットオフは、スライド上の全ての希少ではない細胞またはCTCではない細胞からのシグナルを用いることによって全般的に、またはその画像またはその領域における希少でない細胞またはCTCではない細胞からのシグナルのみを用いることによって画像または領域レベルで、導かれてもよい。
【0081】
大きさおよび形状の較正
本発明の別の態様において、スライド上で測定した希少ではない細胞またはCTCではない細胞に関して、細胞サイズおよび細胞サイズの分布が、文献中でWBCとして発表された大きさおよび分布と比較される。加えて、分布は、自動細胞計数器から得られたWBCのサブグループの百分率を用いることによって個別の患者の違いについて補正してもよい。次いで、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の、発表された大きさと計算された大きさとの比を補正係数として用いて、その比をスライド上で測定した希少細胞またはCTCの大きさに乗じることによって、希少細胞またはCTCの正確な大きさを決定してもよい。較正は、スライド間、血液チューブ間、患者間、および適用間の、標準化ならびに比較を可能にする。
【0082】
別の態様において、本発明者らは、推定上の希少細胞またはCTCを、妥当な希少細胞またはCTCとして認定するために、画像またはスライド上で測定した希少ではない細胞またはCTCではない細胞の、核の大きさ、核の大きさの分布、および輪郭パターンのうち1つまたは複数を、推定上の希少細胞またはCTCの核の大きさおよび輪郭パターンと比較し、カットオフ値を適用する。
【0083】
計数
本発明の態様において、希少ではない細胞またはCTCではない細胞の情報は、体液中の希少細胞またはCTCの濃度を正確に計算するために用いられる。本態様の1つの例において、CTCと、CTCではない細胞との合計(全ての核マーカー事象)に対するCTCの比を決定し、次いでそれをその実験に使用した元の体液の体積で割り、最後にそれに体液中の細胞の元の濃度を乗ずる。後の測定は、標準的な自動細胞計数器(または血球計算器)の使用により得られてもよい。
【0084】
内容評価
上述のように、内容マーカーの希少細胞またはCTCでの発現レベルを評価してもよい。しかしながら、処理および画像処理の変動により生じるスライド可変性のために、発現レベルを決定するための普遍的なパラメータを提供することは難しい。この課題を軽減するために、最初に、患者集団の希少ではない細胞またはCTCではない細胞の内容マーカーの発現レベルおよびその分布が決定される。次いで、個別のがん患者について、希少細胞またはCTC細胞、および希少ではない細胞またはCTCではない細胞における内容マーカーの発現レベルが決定される。希少細胞またはCTCと、希少ではない細胞またはCTCではない細胞との間の発現レベルの比は、スライドごとの変動を正規化する相対的測定となる。加えて、その比に、対照集団からの希少ではない細胞またはCTCではない細胞の発現レベルの平均値を乗ずることにより、スライドごとの変動を補正した希少細胞またはCTC発現の絶対値を提供する。
【0085】
核の形状および大きさは、潜在的な豊富な情報源である。血液細胞の場合には細胞の種類について、希少細胞またはCTCの場合には細胞の状態について、詳細な情報をもたらすことが予測される。例えば、核の形状は、細胞の悪性の性質に対する洞察をもたらし、細胞の生存および/または細胞周期の状態への洞察をもたらすことができる。例えば、化学療法が成功しつつある患者では、CTCにおいてスパイクが見られることがあるが、核の解釈は、これらのCTCが生育不能/アポトーシス中であることを示す可能性がある。
【0086】
核の大きさおよび形状を用いる別の潜在的な機会は、細胞を特性評価する手段として前方散乱および側方散乱を用いるFACS解析に類似する。FACSで前方散乱および側方散乱を再現するために、核および他の細胞成分について十分に詳細な情報を収集することが可能になる。
【0087】
本発明の種々の態様において、単一のパラメータまたはパラメータの組み合わせが、決定されるデータおよび調査される希少細胞集団に部分的に依存するアッセイを行うのに利用されてもよい。さらに、特定の希少細胞集団の亜集団が、開示された方法論を用いて同定されてもよい。例えば実施例1に示すように、CTCの亜集団が、特異的なアッセイパラメータをさらに規定することによって同定されかつ区別されてもよい。実施例は、HD-CTCと称するCDC亜集団の同定および分類を開示する。
【0088】
本発明の1つの態様において、開示したアッセイのパラメータをさらに規定することによって、HD-CTCの厳密な分類が確立された。任意の特定の理論に拘束されることなく、本明細書で分類されるHD-CTC亜集団は、インタクトな状態の腫瘍細胞となる可能性が最も高いCTCを含む。全ての他のCTCは、規定したパラメータを部分的に満たすが、厳密な組み入れ基準のうち1つまたは複数を欠く。HD-CTCではないCTCは、さらに下流の方法論で行われた評価における信頼性が低い可能性があるCTCである。
【0089】
1つの態様において、HD-CTCは、(a)陽性マーカーを含み;(b)インタクトな核を有し;かつ(c)正常なWBCと形態的に異なる、陰性マーカーに関して陽性ではない細胞である。本明細書に記載のように、陽性マーカーは、サイトケラチンおよび/またはEpCAMなど、上皮細胞に選択的に結合しているマーカーであってもよい。さらに、本明細書で記載のように、陰性マーカーは、WBCに選択的に結合しているCD45など、がんではない細胞に特異的な任意のマーカーであってもよい。インタクトな核の決定は典型的には、DAPIの画像処理によって決定されるが、他の適当な核マーカーが当技術分野において周知である。例示的態様において、HD-CTCは、(a)サイトケラチン陽性であり;(b)CD45陰性であり;(c)インタクトな核を有し;かつ(d)正常なWBCと形態的に異なる、細胞である。
【0090】
種々の態様において、陽性マーカーは、有核白血球細胞のサイトケラチンの強度より1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍高い強度を有してもよい。種々の態様において、陰性マーカーの強度は、全ての細胞事象の最低で10%、5%、4%、3%、2%またはそれ未満である。
【0091】
種々の態様において、HD-CTCの核は、インタクトかつ非アポトーシス状態である。細胞質中の軽度のアポトーシス性の変化は、核がアポトーシス状態であると思われない限り、許容される。
【0092】
種々の態様において、HD-CTCは正常なWBCとは形態的に異なっている。例えばHD-CTCは、大きさが拡大しているとして主に具現化される、標準的な診断的細胞病理で用いられる判定基準によって悪性上皮細胞と一致する形態を有してもよいが、核および細胞質の構築的構成、細胞質の形状、ならびに核の形状などの細胞形態学的特性を含んでもよい。代表的なHD-CTCのギャラリーを図2に示す。
【0093】
本発明で記載する方法は、希少ではない細胞の解析から導き出されるデータを用いて希少細胞を検出するのに有用だが、全体にわたって記載しているように、本発明はまた希少細胞の特性評価にも有用である。具体的には、細胞の画像処理および解析を行うための、検出可能なマーカーおよび演算方法の種々の組み合わせの使用が、がんの予後の評価および疾患再発をもたらす可能性がある治療不成功の早期検出のための治療効果のモニタリングに有用な、意味のある特性評価を可能にする。加えて本発明によるCTC解析は、治療を完了していて症状が起こる前の患者において早期再発の検出を可能にする。これは、CTCの存在が、腫瘍の進行および拡散、治療への反応の乏しさ、疾患の再発、ならびに/またはある期間にわたる生存の低下と、関連しているおよび/または関係性を有していることから可能である。よって、明らかになったCTCの計数および特性評価は、治療への反応に基づく初期リスクおよび続発リスクを予測するベースライン特性に関して患者を階層化するための方法を提供する。
【0094】
本明細書で用いられる用語「対象」は、本方法が行われる任意の個体または患者を指す。一般的に、対象はヒトであるが、当業者に理解されるように、対象は動物であってもよい。よって、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む家畜、および霊長類(サル、チンパンジー、オランウータンおよびゴリラを含む)などの哺乳動物を含む他の動物が、対象の定義内に含まれる。
【0095】
したがって、別の態様において本発明は、対象におけるがんを診断するかまたは予後を予測するための方法を提供する。本方法は、本明細書に記載のCTCを検出する工程を含む。次いでCTCが、対象におけるがんを診断するかまたはがんの予後を予測するために解析されてもよい。したがって本発明の方法は、例えばがん患者およびがんの危険性がある患者を評価するために用いられてもよい。本明細書に記載された任意の診断または予後予測の方法において、がん細胞などのがんの指標、または任意の他の疾病の指標の、1つもしくは複数の存在または非存在が、診断または予後予測を行うために用いられてもよい。
【0096】
1つの局面において、血液試料は、本明細書に記載のCTCを検出するために、患者から採血され、処理される。本発明の方法を用いて血液試料中のCTCの数が決定され、CTCは細胞の画像処理で収集した検出可能なマーカーおよび他のデータの解析によって特性評価される。例えば、試料中のCTCの数および特性評価を決定するために解析が行なわれてもよく、この測定から、当初の血液試料中に存在するCTCの数が決定されてもよい。
【0097】
種々の局面において、対象のCTCの数および特性評価の解析は、対象の進行および病状を評価するために、様々な間隔で特定の時間的経過にわたって行われてもよい。例えば、時間の関数として循環性上皮細胞のレベルおよび特性評価を追跡するために、1日、2日、3日、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年などの一定の間隔で解析が行われてもよい。既存のがん患者の場合、これは、疾患の進行の有効な指標を提供し、患者の血流におけるCTCの存在などの循環性上皮細胞の増加、減少または変化がないことに基づき、適当な治療選択がなされるよう医師を支援する。2倍、5倍または10倍以上となる、経時的なCTC数の任意の増加は、患者の予後を低下させ、かつ患者が治療を変更すべきとする初期の指標である。同様に、2倍、5倍または10倍以上となる任意の増加は、予後および治療に対する反応をさらに評価するために、患者が画像処理などのさらに検査を受けるべきであることを示す。2倍、5倍または10倍以上となる、経時的なCTC数の任意の減少は、疾患の安定および治療に対する患者の反応を示し、治療を変更しないという指標である。がんの危険性があるものにとって、検出されるCTC数の突然の増加は、患者に腫瘍が成長しているという早期の警告であり、よって早期診断をもたらす可能性がある。1つの態様において、明らかになったCTCの検出は、がんのステージ分類を引き上げる。
【0098】
本明細書において提供される任意の方法において、追加の臨床評価を提供するために、追加の解析を行い、CTCを特性評価してもよい。例えば、画像解析に加えて、遺伝子チップ解析などの遺伝子発現解析およびPCR技術が使用され、特定のがんマーカーに特異的なプライマーによって多重化され、CTCを生じさせた腫瘍の種類、転移の状態、および悪性度などの情報を入手してもよい。さらに、細胞サイズ、DNAもしくはRNA解析、プロテオーム解析、またはメタボローム解析が、患者のがんの特性評価に関する追加の情報を評価する手段として行われてもよい。種々の局面において、解析は、以下のマーカーの1種または複数種に対する抗体またはそれらに特異的なプライマーを用いる多重PCRを含む:EGFR、HER2、ERCC1、CXCR4、EpCAM、E-カドヘリン、Mucin-1、サイトケラチン、PSA、PSMA、RRM1、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、IGF1、cMET、EML4、または白血球関連受容体(LAR)。
【0099】
例えば、追加の解析は、特定の治療計画に対する対象の反応性の決定を行う、またはがんの治療における候補薬剤の有効性を決定するのに十分なデータを提供する可能性がある。したがって、本発明は、本明細書において記載したような、対象のCTCを検出する工程および検出したCTCを解析する工程によって、特定の治療計画に対する対象の反応性を決定する、またはがんの治療における候補薬剤の有効性を決定する方法を提供する。例えば、患者にひとたび薬物治療が施されれば、本発明の方法を用いて薬物治療の効力を決定することができる。例えば、薬物治療の前に患者から採取された試料、ならびに薬物治療と同時にまたは薬物治療の後に患者から採取された1つまたは複数の細胞性試料が、本発明の方法を用いて処理されてもよい。各処理済み試料の解析の結果を比較することによって、薬物治療の効力または薬剤に対する患者の反応性を決定してもよい。このように、失敗した化合物に関して早期の識別がなされ得、または有望な化合物に関して早期の確認がなされうる。
【0100】
候補化合物の臨床活性についての洞察を与える4つの重要な指標として、HER2、EGFR、CXCR4およびEphB4 RTKが包含される。HER2は、mRNA安定性およびHER2転写物の細胞内局在を決定することにより、細胞の悪性度の指標を提供する。変異獲得に対するEGFRの耐性、および/または獲得された変異は、候補化合物と組み合わせて用いうる代替となりうる化合物に加えて、候補化合物の活性の重要な指標を提供する。白金により誘発されるDNA修復障害のレベルの評価は、CXCR4マーカーの状態、および転移の状況について洞察を与える。さらに、EphB4受容体チロシンキナーゼの状態の評価は、細胞の転移の可能性についての洞察を与える。したがって、本発明の方法を用いて、そのような候補薬剤を摂取する患者が、頻回採血によって、および時間の関数として各試料における循環性上皮細胞、例えばCTCの数を決定することによって、監視されてもよい。Her2、EGFR、CXCR4およびEphB4 RTKの指標のさらに解析は、がんの病状および候補薬剤の効力について情報を提供する。同様に、ERRC1、サイトケラチン、PSA、PSMA、RRM1、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、IGF1、cMET、およびEML4などが、候補化合物の臨床活性について洞察を与える。臨床活性のこれらの指標の解析は、本明細書に記載の検出可能なマーカーの解析(例えば、免疫組織化学的検査、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH))、またはシークエンシング、遺伝子型判定、遺伝子発現もしくは他の分子解析技術などの技術によるさらに解析によってもよい。
【0101】
CTCの解析は、特定の臨床試験の候補被験者を決定する方法を提供する。例えば候補者の検出されたCTCは、特定の臨床試験の治療計画が成功する可能性を秘めているか否かを決定するために、特定のマーカーが存在しているか否か決定するように解析されてもよい。したがって、別の態様において本発明は、臨床試験の候補被験者を決定するための方法を提供する。本方法は、本明細書に記載されるような被験者のCTCを検出する工程を含む。次いでCTCは、候補被験者が特定の臨床試験に適しているか否かを決定するように解析されてもよい。
【0102】
臨床試験中のCTCの解析は、患者が試験薬に反応しているか否かについての情報を提供し、ここで明らかになったCTCが実質的に変化しないことまたは減少することは反応を示し、明らかになったCTCの増加は反応が乏しいことを示す。増加または減少は、2倍、または10倍以上であってもよい。この情報は、薬物有効性の初期の指標であり、治験担当医師によって臨床試験の副次的エンドポイントとして用いられてもよい。
【0103】
以下の実施例は本発明を例示することを意図し、限定することを意図しない。
【実施例】
【0104】
実施例1
CTCアッセイおよびCTC亜集団の同定
本明細書で示すデータは、本明細書に定義されるHD-CTCなどの、CTCおよびCTCの亜集団に適用される本発明の方法論を実証する。アッセイは、アッセイの信頼性および頑強性に対応するよう管理された前向きプロトコル、ならびにCellSearch(登録商標)との分割した試料の比較によって行われる。この技術的確認の後に、アッセイを用いて、転移性の乳がん、前立腺がんおよび膵臓がんならびに正常な対照を有する患者における、CTCおよび特定のCTC亜集団の発生率および有病率を調査した。アッセイにより標的とされるCTCの特定の亜集団は、細胞がインタクトな核を有し、サイトケラチンを発現するがCD45は発現せず、周囲の白血球細胞(WBC)と形態的に異なり、かつ下流の解析に適したインタクトな悪性上皮細胞と一致する細胞学的特徴を有することが必要とされる。
【0105】
以下の方法およびプロトコルが利用された。
【0106】
患者および血液試料収集は、以下のように行われた。試料は、IRB承認済みプロトコルにしたがって、Scripps Clinic、University of California, San Diego, Billings Clinic、およびUniversity of California, San Franciscoで、転移性がん患者から抗凝固処理血液チューブに収集された。地域拠点ではない拠点(UCSF, Billings Clinic)からの試料は、試料が24時間以内に受領され処理されるように翌日配達で輸送された。地域拠点(Scripps ClinicおよびUCSD)からの試料は、地域拠点ではない拠点から届く試料を模倣するために室温で16〜24時間保持された。血液検体は、TSRI Normal Blood Donor Serviceからの正常な対照者からも採血された。
【0107】
HD-CTC検出用の血液試料処理は以下のように行われた。血液検体を5分間振とうした後に、白血球細胞(WBC)数をHemocue(商標)白血球細胞システム(HemoCue, Sweden)を用いて測定した。WBC数に基づき、一定量の血液を赤血球溶解に供した(塩化アンモニウム液)。遠心分離の後、有核細胞をPBSで再懸濁し、特別注文のガラススライド(Marienfeld, Germany)上に単層として付着させた。ガラススライドは、標準的な顕微鏡検査のスライドと同じ大きさだが、生細胞が最大に保持されうるよう独自のコーティングがなされている。各スライドは、およそ300万個の有核細胞を保持することができ、よって、スライド1枚あたりにプレーティングされる細胞の数は患者のWBC数によって決まる。15枚のスライドを作製するのに十分な血液を溶解し、続いて、細胞保存剤を添加した後に細胞をスライド上で乾燥させた。15枚のスライドを全て、-80℃で少なくとも24時間保存した。
【0108】
この調査のためのがん患者におけるHD-CTC検出のために、4枚のスライドを試験に用いた。各患者に対して作製された残りのスライドは、将来の試験のために-80℃で保存された。各患者由来の4枚のスライドを解凍し、次いで細胞を2%パラホルムアルデヒドで固定し、冷却したメタノールで透過処理し、非特異的結合部位をヤギの血清でブロックした。続いて、スライドをモノクローナル抗panサイトケラチン抗体(Sigma)およびCD45-Alexa647(Serotec)と共にインキュベートした。PBS洗浄後、スライドをAlexa Flour 555ヤギ抗マウス抗体(Invitrogen)と共にインキュベートした。細胞をDAPIで対比染色し、水系封入剤で封入した。
【0109】
画像処理および技術的解析は以下のように行われた。各患者からの4枚のスライドを全て、高速かつ信頼性の高いスキャニング用に開発されかつ最適化されている、特別注文の蛍光走査型顕微鏡を用いてスキャンした。結果を標準化するために、1台の走査装置がこの報告における全ての患者試料に対して用いられた。さらに、光源を毎週較正し、かつスキャン中の各患者のスライド上の各蛍光体の露光を標準化するために、アルゴリズムを開発した。各スライドは、10×倍率で3色で全体的にスキャンされ、6900を越える画像を生成した。結果として生じた画像を、サイトケラチン強度、CD45強度、ならびに核および細胞質の形状および大きさを含む多数の測定に基づいて有力な候補HD-CTCを同定する解析アルゴリズムに供した。次いで、技術解析者が、有力な候補を生じさせるアルゴリズムに目を通し、色素凝集物などの明らかに細胞ではないヒットを取り除く。
【0110】
専門の解析および解釈は以下のように行われた。全ての有力な候補CTCは、病理学者がHD-CTCとして各候補細胞を入れるまたは排除することができるウェブベースのレポートを通じて、解析および解釈のために血液病理学者に提示される。細胞が、サイトケラチン陽性、CD45陰性であり、同定可能なアポトーシス変化(小疱形成、変性した外観)または破壊された外観を有さないインタクトなDAPI染色核を含み、かつ周囲の白血球細胞(通常、形状に基づく特性であるが、場合によっては純粋に大きさに基づく)と形態的に異なる場合、細胞はHD-CTCとして分類される。それらは、明らかに外周にありかつその中に核全体が包含される細胞質を有していなければならない。細胞質は、小疱形成および不規則な密度などのアポトーシス性の変化、または辺縁の細胞質境界における軽度の破壊を示してもよいが、その核との会合が問題になるほど破壊されてはいけない。画像は、個別の蛍光チャネル表示能力を有するデジタル画像、ならびに合成画像として提示される。各細胞像は、相対的な核の大きさ、蛍光強度、および比較蛍光強度に関する補助的な統計データによって注釈付けされる。各HD-CTC候補は、問題となる細胞対背景の白血球細胞の、細胞形態の特徴の状況比較を可能とするのに十分な周囲のWBCを有する視野内で提示される。
【0111】
細胞株の試験は以下のように行われた。ドナーからの4つの一定分量(各2 ml)に様々な数のSKBR-3細胞を添加し、1枚のスライドあたりおよそ300個、100個、30個および10個のがん細胞を有する4枚のスライドを作製した。次いで、HD-CTC試料調製プロトコルにしたがって単一の操作者が、16枚のスライドを処理し、解析した。1台の装置が、16枚全てのスライドを画像化するために用いられた。
【0112】
HD-CTC分類:
HD-CTCは、(a)サイトケラチン陽性(有核白血球細胞のサイトケラチン強度の6倍を超える強度)であり;(b)CD45陰性(全ての細胞事象の最低で2%の強度)であり;(c)DAPIの画像処理によりインタクトな非アポトーシス状態に見える核を含み;かつ(d)正常なWBCと形態的に異なる細胞、として定義された。
【0113】
HD-CTCの形態評価のために包含される要件は、(1)周囲のWBCの核の平均より30%大きい核の大きさ、および(2)周囲の有核WBCより600%高い平均強度を有し、外周にサイトケラチン陽性である細胞質を含む。通常、要件ではないが、HD-CTCの特徴は、周囲のWBCの核の平均的大きさの最大5倍の極めて大きな核、伸長を含み周囲のWBCの核とは異なる核の輪郭、高い頻度で偏心した分布、および/または多角形もしくは伸長した細胞質の形状を有する大きな細胞質ドメイン、ならびにダブレットおよび3個またはそれより多いHD-CTCのクラスターを含む。サイトケラチン陽性、CD45陰性でありかつ核を含むが、組み入れ基準を満たさない、例えばWBCと同じサイズであるか、または外周にない細胞質を含む他の細胞様の物体は、HD-CTCとして計数されないが、アッセイにより追跡される。この手法の目的は、CTCの特定の表現型に関する厳密な組み入れ基準を設定しつつ、アポトーシス性の腫瘍細胞もしくは腫瘍細胞断片、または上皮から間葉へ変化しつつある細胞など一部の要件のみを満たすが、依然として臨床上意味を持つ可能性がある事象についてデータを保持することにある。
【0114】
結果
スパイクイン試験を用いるアッセイの直線性および感度:
アッセイの直線性および感度を試験するために、10個から300個の範囲に特定した乳がん細胞株SKBR3の希釈物を、正常な対照血液に添加した。試験を4重で行い、方法の段落で説明したHD-CTCアッセイにしたがって、処理し、解析した。観察されたSKBR3の平均が、予測されたSKBR3に対してプロットされ、0.9997の相関係数(R2)を示す(図1)。
【0115】
がんを有する患者におけるHD-CTC数のアッセイ頑強性:
HD-CTCアッセイのアッセイ頑強性を複数のプロセッサおよび分割試料に対して試験した。9つの異なる患者試料に対して2台の別々のプロセッサにより、2重の試験が行われた。分割サンプルを用いる2台のプロセッサ間の1mlあたりのHD-CTCの数の比較は、0.979の相関係数(R2)を有する(図3)。全てのデータは、試験に関して盲検化された単一の操作者により解析された。
【0116】
正常対照者からの試料におけるアッセイ特異度:
施設の健常人ドナープールからの15人の健常人ドナーを、24歳から62歳の年齢幅を有する8人の女性および7人の男性からなる対照集団として評価した。1人を除く全ての健常人対照において、体積によって補正されたそのような事象の数は、1mlあたりHD-CTC1個以下であった。外れ値は、1mlあたり4個のHD-CTC数を有する健常な女性ドナーであった。彼女の細胞の明示的評価によると、それらのうち約1/3は全ての組み入れ基準を強く満たしたが、残りの2/3は全ての基準を満たすものの1つまたは複数の基準による組み入れについては下限近くであった。4人の他の健常人ドナーは1mlあたり1個のHD-CTCを有した。これらの細胞の明示的評価は類似パターンを示し、その中で約1/3は全ての基準を強く満たしたが、細胞の残りの2/3は基準を満たすものの1つまたは複数の基準による組み入れについては下限近くであった。組み入れの下限近くで包含される事象の例としては、周囲のWBCより30%大きく測定されるが、形態的評価では著しく大きく見えない細胞、およびわずかに焦点から外れていて目測で検出できないアポトーシス性の核変化を有している可能性がある細胞、さらにカットオフを超える客観的サイトケラチン強度測定値を有するが、単一のチャネル蛍光評価では周囲のWBCより主観的には著しく明るくは見えないまれに表れる細胞がある。
【0117】
(表1)HD-CTCアッセイのCellSearch(登録商標)との比較

【0118】
HD-CTCアッセイのCellSearch(登録商標)との比較:
合計で15名の患者、転移性乳がん5名および転移性前立腺がん10名について、CellSearch(登録商標)とHD-CTCアッセイの両方によりCTCを評価した。チューブ2本分の血液を各患者から収集した。チューブ1本分の7.5 mLの血液をCellSave(商標)チューブ(Veridex, Raritan NJ)中に収集し、CellSearch(登録商標)アッセイを用いるCTCの計数のためにQuest Diagnostics (San Juan Capistrano, CA)に送付した。試料がQuest Diagnosticsで処理される時期を模倣するために、第2のチューブ用の血液を各患者から収集し、標準的なHD-CTCプロセスと一致するように、採血の24時間後にHD-CTCプロトコルにしたがって処理した。CellSearch(登録商標)アッセイは、試験した患者の5/15で7.5 mLの血液あたり2個またはそれより多いCTCを検出した。これに対し、HD-CTCアッセイは、有意に多い患者において有意に多い数のCTCを検出した(HD-CTCは試験した患者の14/15で同定された。表1)。
【0119】
転移性がんを有する患者におけるHD-CTCの発生率:
30名の転移性乳がん患者、20名の転移性前立腺がん患者、18名の転移性膵臓がん患者および15名の正常な対照者のさらにコホートについても、HD-CTCを計数した。この手法を用いて、前立腺がん患者の80%(平均=92.2)、乳がん患者の70%(平均=56.8)、膵臓がん患者の50%(平均=15.8)、および正常対照者の0%(平均=0.6)で、1mLあたり5個以上のHD-CTCが見いだされた(表2)。
【0120】
(表2)コホートから得られた血液1mL中にHD-CTCを有する患者の割合

【0121】
HD-CTCの形態:
患者内でおよび患者間でCTCの不均一な集団が観察された。CTCは様々な形状、大きさおよびサイトケラチン強度を有した。いくつかのケースでは、大きいサイズ、多角形の細胞質形状などの特有の細胞学的特徴は、患者の試料内で極めて特徴的でありかつ変化がなかった。他のケースでは、単一の試料内のHD-CTC間で細胞形態学的多様性が存在した。細胞サイズも異なり;多くの患者試料は、一様に近傍のWBC核の大きさの3〜4倍の核を有するHD-CTCを有する一方で、他の患者は近傍のWBC核の大きさのわずかに1.3倍の核を有する細胞を有した。一部の患者は、大きさに幅があった。平均的なWBC核の1.3倍というHD-CTC核の大きさの下限は、サイトケラチンによる偽の非特異的染色、例えばCD45陽性およびサイトケラチン陽性を示すWBCとして発明者らが同定した細胞の最大の核サイズの評価に基づいて選択された。
【0122】
興味深いことに、詳細な形態評価を可能にするこのプラットフォームを用いて、このコホートの大多数のがん患者(88%)において、2個のHD-CTCからなるクラスターから、30個以上のHD-CTCからなるクラスターまでの範囲のHD-CTCクラスターが同定された(データは示さず)。各HD-CTCは、サイトケラチン陽性、CD45陰性であり、DAPI染色核を含み、周囲の有核細胞とは形態的に異なっていた。
【0123】
HD-CTCの計数に加えて、アポトーシスを示す核を有した細胞、外周にサイトケラチンを有さなかった細胞、周囲のWBCと同じ大きさまたはそれより小さかった他の細胞、およびサイトケラチンがわずかあるいは陰性であった細胞を含む、異なる分類の細胞の数を追跡した(画像は示さず)。具体的には、一部のCTCは、以下の1つまたは複数を含む種々の形態学的または形態計測学的な組み入れ基準を欠いたため、除外された:(a)弱すぎるサイトケラチン強度;(b)小さすぎる核サイズ;(c)外周の包囲が不十分なサイトケラチン(核の2/3未満を囲む);(d)2個の非常に大きな細胞のクラスターであると思われるが、サイトケラチンが弱すぎる;(e)核がアポトーシス性の崩壊変化を示す;(f)小さすぎる核および外周の包囲が不十分な細胞質;細胞がアポトーシスの後期にあるように見える;(g)小さすぎる核(周囲のWBC核と同じ大きさ);(h)サイトケラチンは存在するが外周にはない;ならびに(i)外周の包囲が不十分な細胞質、小さすぎる核。
【0124】
これらの事象の多くは実際には、プラットフォームで利用される最小限の処理に対して二次的に生じるアノイキスまたは破壊の様々な工程における循環性悪性上皮細胞を表している可能性があるが、二次的方法論による下流解析に適した、インタクトで循環性で機能的で悪性で潜在的に転移性の上皮細胞である可能性が非常に高い細胞の「純粋な」集団を同定することが目標である。断片化された、破壊された、核が濃縮した、または他の方法で損傷を受けたがん細胞は、標準的な診断病理学では評価可能であると見なされず、よってそれらはこの液相生検プラットフォームでも除外される。腫瘍組織量全体を反映すること、または腫瘍組織量および腫瘍血管分布および血管内免疫監視の効率を含む、まだよく理解されていない複雑な式の一部を反映することによって、それらの存在が患者の腫瘍バイオロジーと全般的に相関する可能性があることが認識されているため、それらは計数され追跡されるが;それらは二次的解析には有用ではなく、よってHD-CTCとして指定されない。
【0125】
多くの患者は、HD-CTCに加えて、周囲のWBCとは形態学的に異なり、その試料内のHD-CTCの核に類似する核を有し、CD45陰性であるが、サイトケラチンも弱いかまたは陰性である、細胞を相当数有した(データは示さず)。単一の前立腺がん患者で見いだされる代表的な種類のCTCは、サイトケラチンとCD45が陰性だがこの患者で見られる他のCTC、すなわちサイトケラチン陽性でCD45陰性でありかつDAPI染色核を有する典型的なCTCと同様に大きな核を示すCTC、ならびに4個の細胞のCTCクラスターを含んだ。
【0126】
上皮から間葉への転換が起こるがん細胞が存在する可能性に関する最近の議論の積み重ねを踏まえると、これらの細胞の外観とタンパク質発現のパターンによって、それらの細胞が、そのような細胞型の可能性がある候補と同定される。
【0127】
考察
HD-CTCプラットフォームの頑強性を、細胞株と患者試料の両方で評価した。このコホートに対して用いられた現行のHD-CTCアッセイはほとんど自動化されておらず、完全に手動のウェットラボ処理であるにも関わらず、アッセイの再現性は、2人の個別の技術者により処理された9つの異なる試料に対して9%未満の平均CVであり、印象的であった。
【0128】
CTCを定義するために用いられた判定基準は、異なる技術間で異なっている。本開示では、真の腫瘍細胞となる可能性が最も高い亜集団を同定した。たとえ厳密な基準を用いたとしても、発明者らのアッセイを用いるCTCの発生率は、多くの技術よりはるかに高く、CTCチップによって報告されるものと同じ範囲であった。さらに、CellSearch(登録商標)との直接比較によって、より高い割合の患者で有意に多いCTCを示した。他の技術では偶発的にCTCのダブレットおよびクラスターを観察しているのに対し、CTCのクラスターが多くの患者で観察された。
【0129】
試験した小さなコホートにおいて、本発明の方法論を用いる異なる細胞の種類間のCTCの検出の頻度および相対的濃度(前立腺>乳>膵臓)が、CellSearch(登録商標)など他の方法を用いて観察される知見と対応することは、注目すべきことである。
【0130】
観察では、前立腺がん患者の小集団の臨床経過の間、CTCが追跡され、連続的な作図が行われた(図4)。連続的なHD-CTC検出は、治療的臨床試験に組み込まれてもよい。これによって、同様に治療されかつ長期間の臨床経過観察が行われる、一定の臨床的特徴を有する患者の試験を可能にすることが期待される。これらの細胞と患者の結果を相関させて、患者の予後とモニタリングの値を決定することに加え、関心対象の薬物が分子レベルで標的を攻撃する効果を評価するための薬力学的ツールとして、これらのHD-CTCが役立つことが期待される。
【0131】
要約すると、HD-CTCアッセイが(i)転移性のがんを有する多くの患者において有意な数のCTCを見いだし、(ii)CellSearch(登録商標)システムよりも改善された感度を有し、(iii)下流の特性評価にとって理想的な形態でHD-CTCを提供し、(iii)長期間冷凍で保存され、次いで新たなアッセイまたはマーカーが入手可能になるときに遡及的に解析されうる試料の将来的収集を可能とするようなデータを本実施例はもたらす。
【0132】
実施例2
CTCアッセイおよび希少細胞集団の同定
本明細書で示すデータは、推定上の希少細胞集団の同定を実証する。本明細書に記載の方法論を用いて、推定上の希少細胞集団を同定した。試料の処理および画像処理を実施例1に記載のとおりに行った。さらに、HD-CTCを実施例1に記載のとおりに同定し、定義した。
【0133】
アッセイの実施において、CTCはサイトケラチン陽性ではないと仮定した。推定上の希少細胞集団は、以下の特徴を有するように同定された:(a)サイトケラチンがわずかまたは陰性;(b)CD45陰性;および(c)DAPI画像処理によりインタクトで非アポトーシス性に見える核。図5は、同定されたHD-CTCに対する患者全体の推定上の希少細胞集団の発生率を示す。
【0134】
本発明を記載してきたが、本発明の精神と範囲の範囲内で、変更および変形が包含されることが理解される。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象からの試料中の細胞を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)少なくとも1つの希少細胞と、希少細胞の濃度の少なくとも10倍の濃度で存在する少なくとも1つの細胞とを有することが疑われる試料を提供する工程;
(b)試料を少なくとも1つの検出可能な因子と接触させる工程;
(c)(b)の工程の試料に対して細胞の画像処理を行い、細胞画像を作製する工程;および
(d)(c)の工程の画像から細胞を解析することにより試料中の他の細胞と比較して少なくとも1つの希少細胞を検出し、それによって試料中の希少細胞を検出する工程。
【請求項2】
少なくとも1つの希少細胞と、少なくとも1つの希少ではない細胞とがスライドに付着されている(a')の工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(d)の工程が、解析を行うための実行コードを含むコンピュータで行われる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
(d)の工程の結果がグラフィカルユーザインターフェイス上に示される(e)の工程をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
(c)の工程の細胞の画像処理が、少なくとも1種の検出可能な因子に対する露光限界を最適化する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種の検出可能な因子に対する露光限界が、少なくとも1つの希少ではない細胞からのシグナルを用いて決定される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の検出可能な因子が、細胞マーカーと結合し、かつ陽性マーカー、陰性マーカー、核マーカー、内容マーカー、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
露光限界が、画像を作製する前に最適化される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
露光限界が、画像を作製した後に最適化される、請求項5記載の方法。
【請求項10】
(d)の工程を行う前に試料が再画像化される(c')の工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項11】
(c)の工程の細胞の画像処理が、露光時間を最適化しデータ収集時間を短縮する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの細胞からのシグナルが、精度管理パラメータを決定するために用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
精度管理パラメータが、スライド上の少なくとも1つの細胞の分布である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
精度管理パラメータが、複数の細胞画像のアライメントである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の検出可能な因子が陰性マーカーおよび核マーカーであり、かつアライメントが、異なる画像上にそれぞれ存在する核マーカーからのシグナルを陰性マーカーからのシグナルと合わせることによって決定される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
精度管理パラメータが細胞染色の品質である、請求項12記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1種の検出可能な因子が陰性マーカーおよび核マーカーであり、かつ細胞染色の品質が、核マーカーからのシグナルに対する陰性マーカーからのシグナルの比を計算することによって決定される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
比が1.2未満である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種の検出可能な因子が陰性マーカーであり、かつ精度管理パラメータが希少ではない細胞全体にわたる陰性マーカーの分布である、請求項12記載の方法。
【請求項20】
分布が、平均値、標準偏差、変動係数、またはそれらの任意の組み合わせを用いて計算される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の検出可能な因子が陽性マーカーであり、かつ精度管理パラメータが希少ではない細胞全体にわたる陽性マーカーの分布である、請求項12記載の方法。
【請求項22】
分布が、平均値、標準偏差、変動係数、またはそれらの任意の組み合わせを用いて計算される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
精度管理パラメータが細胞損失である、請求項12記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種の検出可能な因子が核マーカーまたは陰性マーカーであり、かつ細胞損失が、スライド上の希少ではない細胞の数に対する核マーカーからのシグナルまたは陰性マーカーからのシグナルの比を計算することによって決定される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
(c)の工程の細胞の画像処理が、強度限界を最適化し希少細胞を他の細胞から区別する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種の検出可能な因子が陽性マーカーであり、かつ強度限界が、陽性マーカーの背景シグナルに関する平均値、標準偏差、変動係数、またはそれらの任意の組み合わせを用いて決定される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
平均値、標準偏差または変動係数が、スライド全体に基づくか、単一のスライドに基づくか、単一スライドの領域に関するか、またはそれらの任意の組み合わせに関して決定される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1種の検出可能な因子が陽性マーカーであり、かつ陽性マーカーの最も高いシグナルを同定し、最も高いシグナルをさらに陽性マーカーのシグナルから計算される標準偏差と比較することによって、強度限界が単一画像内で決定される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
強度限界が、5から20の間の係数に標準偏差を乗じかつ平均値を加えたものと等しい、請求項26記載の方法。
【請求項30】
強度限界が、係数12.5に標準偏差を乗じかつ平均値を加えたものと等しい、請求項29記載の方法。
【請求項31】
強度限界が、係数15に標準偏差を乗じかつ平均値を加えたものと等しい、請求項30記載の方法。
【請求項32】
強度限界が、試料画像ごとに計算される、請求項29記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1種の検出可能な因子が陰性マーカーであり、かつ陰性マーカーに関する強度限界が、希少ではない細胞の陰性マーカーからのシグナルの平均値および標準偏差を用いて決定される、請求項25記載の方法。
【請求項34】
平均値および標準偏差が、スライド全体に基づくか、単一のスライドに基づくか、単一スライドの領域に関するか、またはそれらの任意の組み合わせに関して決定される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
(d)の工程が、少なくとも1つの細胞の細胞サイズ、少なくとも1つの細胞の細胞サイズの分布またはそれらの組み合わせを測定する工程、および少なくとも1つの細胞の細胞サイズまたは細胞サイズの分布を既知の細胞サイズおよび分布と比較する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項36】
(d)の工程の解析が、少なくとも1つの細胞の核の大きさ、少なくとも1つの細胞の核の大きさの分布、少なくとも1つの細胞の輪郭パターンまたはそれらの組み合わせを測定する工程、および核の大きさ、核の大きさの分布または輪郭パターンを推定上の希少細胞と比較し、疑わしい希少細胞を希少細胞として同定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項37】
(d)の工程の解析が、試料を採取した対象の体液中の希少細胞の濃度を決定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項38】
検出可能な因子が内容マーカーであり、かつ(d)の工程の解析が内容マーカーの発現レベルを決定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項39】
内容マーカーの発現レベルが、少なくとも1つの希少細胞および少なくとも1つの細胞で決定され、患者集団の内容マーカーの発現レベルと比較される、請求項36記載の方法。
【請求項40】
希少細胞が循環性腫瘍細胞(CTC)である、請求項1記載の方法。
【請求項41】
CTCが、陽性マーカーを発現し、インタクトな核を有し、かつ正常なWBCと形態的に異なっており、CTCが、陰性マーカーに関して陽性ではない、請求項40記載の方法。
【請求項42】
陽性マーカーがサイトケラチンまたはEpCAMである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
陰性マーカーがCD45である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
対象に診断または予後予測を提供する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項45】
対象ががんを有することが既知であり、かつがん治療を受けている、請求項40記載の方法。
【請求項46】
治療が化学療法である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
内容マーカーが化学療法剤を決定するために用いられる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
対象が候補薬剤を投与されている、請求項44記載の方法。
【請求項49】
がん治療に対する対象の反応性を決定する工程をさらに含む、請求項44記載の方法。
【請求項50】
対象においてがんを診断するまたは予後を予測するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)請求項40記載の方法を行う工程;および
(b)検出されたCTCを解析して診断または予後予測を提供し、それによって対象におけるがんを診断するかまたは予後を予測する工程。
【請求項51】
治療計画に対する対象の反応性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)請求項40記載の方法を行う工程;および
(b)検出されたCTCを解析し、それによって治療計画に対する対象の反応性を決定する工程。
【請求項52】
治療計画が、(b)の工程の結果に基づいて変更される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
臨床試験のための候補対象を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)請求項40記載の方法を行う工程;および
(b)検出されたCTCを解析し、それによって臨床試験のための候補対象を決定する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508729(P2013−508729A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535345(P2012−535345)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/053431
【国際公開番号】WO2011/050103
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【出願人】(312012575)エピック サイエンシズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】