説明

希釈装置

【課題】希釈装置を提供する。
【解決手段】希釈装置は入口ポートと出口ポートとを含む。希釈装置は、内部流路を画成する第1の多孔管も含む。第1の多孔管は、第1の多孔管の外側の外側領域と内部流路との間に連通する複数の細孔を有する。希釈装置は、第1の多孔管の周囲に配置された第2の多孔管も含む。第2の多孔管は、第1の多孔管を中心としてその周囲に第1の室を画成する。第2の多孔管は、第2の多孔管の外側の外側領域と第1の室との間に連通する複数の細孔を有する。希釈装置は、第2の多孔管の周囲に配置されたハウジングをさらに含む。ハウジングは、第2の多孔管を中心としてその周囲に第2の室を画成する。ハウジングは、第2の室に連通する入口ポートを有する。第1の多孔管は、第2の室に連通する第1の多孔管の第1の端部にポートを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンまたは他の排出源からのガス、例えば排気ガスをサンプリングするための、より詳しくは、これらのガスをサンプリングして、そのガス内に含まれている粒子を分析するための希釈装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護に対する重要性が高まっているので、業界および政府は、固定されたおよび固定されていない既存の排出源を監視および規制するために、また固定されたおよび固定されていない、環境に優しい新たな排出源を開発するために、より優れた方法を見出すことに労力を割いている。
【0003】
例えば、モータ付き車両からの排気ガスまたはエミッションは、一定の最大汚染物質レベルを超えないように米国連邦政府によって規制されている。これらの規制により、このような基準に適合させるために、エンジンを試験および分析するためのますます複雑な試験機器が開発されてきた。一例として、米国環境保護庁(EPA)によって定められている規則は、ディーゼルトラックのエンジン等の種々の種類のエンジンに関する微粒子制限基準を含む。規制される粒子は、凝縮水の他に、希釈後に捕集され得る排気ガスストリーム中の物質である。これらの微粒子は、凝集炭素粒子、吸収された炭化水素、および硫酸塩を含むことがある。
【0004】
このような規制に従うために、排出源の製造または使用に関わる業界、およびこのような規制を執行する義務がある政府機関は、排気ガスの希釈工程のシミュレートを行うシステムに依存している。既知の方法は、ダイリューショントンネルを有する制御サンプリングシステムによって希釈用空気を排気ガスに添加するステップを含む。上記方法に関する大きな問題は、希釈される排気ガスストリームと希釈用空気ストリームとから得られた測定の誤差が除去されることと、それらのストリームの個々の流量を正確に制御する必要があることである。
【0005】
排出源のサイズ、より詳しくは、排出源からの排気ガスの質量流量が可能であった場合、フルサンプリング希釈システムを使用することが可能であり、このフルサンプリング希釈システムにおいて、排出源からの全ての排気ガスの流れが、ある量の希釈用空気と混合される。しかし、対応するダイリューショントンネルに必要なサイズが大きいことにより、フルサンプリング希釈システムによる試験が実用的でない程度に、排出源のサイズが大きかった場合、比例サンプリング希釈システムを使用することが可能であり、この比例サンプリング希釈システムにおいては、排気ガスの流れの一部のみがサンプリングされ、低減される希釈用空気および排気質量流量の要求に加えて、より小さなダイリューショントンネルが必要となる。
【0006】
今日使用されている全種類の希釈システムの性能調査は、政府機関と試験研究所と排出源の製造業者との間に大きな相違があることを示し続けている。この相違は、否定的な結果をもたらすことがある。一方では、試験研究所間の格差が、成果の小さい試験研究所に対して競合上の優位性をもたらす可能性がある。他方では、試験毎の相違を観察することにより、試験費用の増加が生じるが、この理由は、統計的に大きな結果を得るために、多数の試験が必要となるからである。試験毎の相違に影響を与える複数の粒子メカニズムが存在するが、それらで最も重要なことは、熱伝達による、拡散、重力沈降および乱流等の機械的工程による、ならびに堆積された粒子の再飛沫同伴、および壁部に堆積して付着した粒子に関する排気粒子の溶解可能な部分の炭化水素ガス相交換によるダイリューショントンネルおよび排気管の壁部への粒子堆積である。したがって、堆積メカニズムを除去することが極めて望ましい。
【0007】
(特許文献1)は、サンプリング装置の壁部への粒子の熱伝達堆積と、壁部に付着したこれらの粒子に対する炭化水素ガス相成分交換とを部分的に除去することによって、試験結果の相違を低減することを目的とするダイリューショントンネルと、ダイリューショントンネルを小型化して、大型の試験研究所のサンプリングシステムと同等の結果を得ることができる完全に携帯型のサンプリングシステムを製造することと、可変エンジン作動パラメータを監視でき、排気ガスの引き出し量を自動制御でき、また予め選択されたガイドライン内において、正常範囲の作動温度および作動圧力内で希釈用空気量を変更できるサンプリングシステムとを開示している。
【0008】
特に、(特許文献1)は、エンジンの排気ガスストリームに配置されたサンプリングプローブと清浄希釈用空気源とフィルタアセンブリとを含むダイリューショントンネルを使用するガスサンプリングシステムを開示している。このダイリューショントンネルは、空気分配管または拡散管を貫通する複数の分配孔を有する空気分配管または拡散管と、ミクロンサイズの複数の細孔を有しかつ空気分配管内に第1の室を画成する中央多孔管と、空気分配管を中心として第2の室を形成するハウジングとを含む。第2の室は希釈用空気源に接続され、また中央管は排気ガスの流れのサンプリングプローブとフィルタアセンブリとの間に接続される。
【0009】
しかし、既知のガスサンプリングシステムでは、種々の希釈工程の正確なシミュレーションが不可能である。特に、粒子の形成および増大に対する追加の滞留時間を有することが望ましい。従来の滞留室がトンネルに取り付けられている場合、適切な希釈比率が増加することなく、滞留時間が増加されるという不自然な状態が存在する。このことにより、大気処理と比較して、粒度の不自然な構成変化および増大が生じる。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,058,440号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題の1つ以上を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一形態では、本開示は希釈装置に関する。希釈装置は入口ポートと出口ポートとを含み得る。希釈装置は、内部流路を画成する第1の多孔管も含み得る。第1の多孔管は、第1の多孔管の外側の外側領域と内部流路との間に連通する複数の細孔を有することが可能である。希釈装置は、第1の多孔管の周囲に配置された第2の多孔管も含み得る。第2の多孔管は、第1の多孔管を中心としてその周囲に第1の室を画成することが可能である。第2の多孔管は、第2の多孔管の外側の外側領域と第1の室との間に連通する複数の細孔を有し得る。希釈装置は、第2の多孔管の周囲に配置されたハウジングをさらに含むことが可能である。ハウジングは、第2の多孔管を中心としてその周囲に第2の室を画成し得る。ハウジングは、第2の室に連通する入口ポートを有することが可能である。第1の多孔管は、第2の室に連通する第1の多孔管の第1の端部にポートを含み得る。
【0013】
他の形態では、本開示は、動力源に接続された排気サンプリングシステムによって流体の流れを制御する方法に関する。本方法は、動力源の排気流の一部を抽出するステップと、その一部を希釈装置の滞留室内に導くステップとを含み得る。さらに、本方法は、滞留室の周囲の多孔壁を通して希釈ガスを滞留室内に導くステップを含み得る。その上、本方法は、滞留室の中央領域の多孔管を通して希釈ガスを滞留室内に導くステップと、滞留室に連通する出口ポートを通して、排気流の一部と希釈ガスとの混合流を希釈装置の外へ導くステップとを含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、例えば、エンジン排気から採取されたサンプルガスの粒子を分析するためにガスサンプリングシステムで使用するための希釈装置に関する。ダイリューショントンネルは、清浄空気等の希釈ガスをサンプルガスに導入することによってサンプルガスを希釈するように構成される。次に、希釈されたサンプルガスを分析して、ガスの粒子の量および性質等の特性を決定することができる。固定されているかまたは固定されていない源から大気中への排気ガスのシミュレーションを含むが、それらに限定されない多くの用途に、希釈工程を用いることができる。
【0015】
図1は、本開示の例示的な実施形態による試験セル100を示している。試験セル100は、機械的および電気的に接続され、および/またはさもなければダイナモメータ14に接続された動力源10を含む。空気フィルタ4、温度・湿度制御装置6、および流量制御装置8を、例えば動力源10の吸気マニホールドに流体接続することも可能である。さらに、動力源10の排気マニホールドまたは他の排気放出装置を試験セル100の排気システム18に流体接続し得る。例えば、排気システム18は、例えば微粒子および/または他の有害汚染物質を抽出するように構成された排気ファンおよび/または1つ以上のフィルタを含んでもよい。さらに、排気システム18は、例えば、動力源10および/または排気サンプリングシステム20からの排気ガスに作用するように構成された真空源または他の装置を含んでもよい。排気ガスを環境に放出するように、排気システム18を構成し得る。
【0016】
図1に示されているように、排気サンプリングシステム20は流体式でありおよび/またはさもなければ動力源10に接続することが可能であり、また排気サンプリングシステム20の抽出管56は、動力源10の排気流の一部を抽出するように構成することが可能である。排気サンプリングシステム20は、試験セル100内に配置されかつ排気サンプリングシステム20および/または試験セル100の構成部材に電気的に接続された排気サンプリングシステム制御装置22を含み得る。例えば、流量制御装置8および/または試験セル制御装置24に電気的に通信するように、排気サンプリングシステム制御装置22を構成してもよい。図1に示されているように、動力源10に燃料を供給すべく構成された燃料システム16に動力源10を流体接続することも可能である。図1には示されていないが、燃料システム16が、例えば、燃料ポンプ、燃料タンク、流量計、複数の弁、および/または調整された燃料流を動力源10に供給するように構成された他の従来の構成部材を含み得ることが理解される。これらの構成部材は、例えば、動力源10に供給される燃料流の量、流量および/または他の特性を測定するように構成することも可能である。
【0017】
上記の1つ以上の構成部材は、流れライン26を介して互いに接続することが可能である。例えば、流れライン26を介して、空気フィルタ4を温度・湿度制御装置6に接続してもよく、また流れライン26を介して、温度・湿度制御装置6を流量制御装置8に接続してもよい。燃料ライン30を介して、燃料システム16を動力源10に接続することが可能であり、また排気ライン58を介して、動力源10を排気システム18に接続することが可能である(図2に図示)。例示的な実施形態では、燃料ライン30および排気ライン58は流れライン26であり得る。排気サンプリングシステム20の抽出管56は排気ライン58に接続することが可能であり、また抽出管56は、排気ライン58を通過する動力源10の排気流34の一部98を抽出するように構成することが可能である。排気サンプリングシステム20は、流れライン26を介して排気システム18に接続することも可能であり、また排気サンプリングシステム20は、サンプリングサイクル中におよび/またはその後に、流体の流れを排気システム18に導くように構成することが可能である。機械的なおよび/または他の従来のリンク28を介して、動力源10をダイナモメータ14に接続することも可能である。
【0018】
図1に示されているように、制御線32を介して、温度・湿度制御装置6、流量制御装置8、動力源10、ダイナモメータ14、燃料システム16、および/または排気サンプリングシステム制御装置22を試験セル制御装置24に電気的に接続することが可能である。さらに、制御線32を介して、流量制御装置8を排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続することが可能である。制御線32によって、上記構成部材のそれぞれが、検出情報、制御信号、および/または他の電気信号を試験セル制御装置24および/または排気サンプリングシステム制御装置22に伝達しおよび/またはさもなければ送信することが可能になり得る。さらに、制御線32によって、試験セル制御装置24および/または排気サンプリングシステム制御装置22が、接続された構成部材のそれぞれに制御信号を送信することが可能になり得る。
【0019】
図1に示されている動力源10は、例えば、任意の火花点火エンジン、ディーゼルエンジン、および/または公知の他の機械的または電気的動力源であり得る。ダイナモメータ14は、例えば、rpm、トルク、および/または動力源によって発生した出力パワーを算出できる他の動力源作動特性を測定するために使用される任意の従来の装置であり得る。空気フィルタ4は、例えば、汚れおよび他の浮遊粒子が動力源10を通過する前に、このような粒子を捕獲および/またはさもなければ捕捉するように構成された任意の従来のフィルタ装置であり得る。このような粒子によって、例えば、動力源のシリンダ、壁部、ピストンおよびピストンリングに対して損傷が生じる可能性がある。空気フィルタ4は、例えば、浮遊粒子の捕獲および/または除去を補助するように構成された交換可能なフィルタ要素を含んでもよい。
【0020】
排気サンプリングシステム制御装置22および/または試験セル制御装置24は、例えば、中央処理装置、電子制御モジュール、コンピュータ、無線送信機、または公知の他の任意の種類の制御装置であってもよい。制御装置22、24は、例えば、キーボード、モニタ、プリンタ、タッチスクリーン、制御パネル、あるいはユーザが、コマンドを入力し、および/または試験セル100および/または排気サンプリングシステム20の構成部材から、検出および/または算出された情報を受信することを可能にする他の任意の装置等の操作者インターフェース(図示せず)に接続することが可能である。例示的な実施形態では、制御装置22、24は、動力源の試験/検定サイクルの形態を制御することが可能であり、またより後に検索および使用するための情報を記憶するように構成することが可能である。
【0021】
濾過された周囲空気が動力源10に入る前に、その濾過された周囲空気の温度および/または湿度を検出および/または制御するように、温度・湿度制御装置6を構成し得る。温度・湿度制御装置6は、例えば、熱電対、湿度計、熱交換器、および/または温度および湿度の検出および/または制御を補助するように構成された他の従来の構成部材を含んでもよい。流量制御装置8は、例えば、流体の流れの流量、圧力および/または他の流れ特性を測定および/または調整するように構成された任意の装置または装置集合体であり得る。例示的な実施形態では、流量制御装置8は、試験セル100の流量制御装置8および/または他の構成部材を通過する流体の圧力および/または流量の変化を検出するように構成された層流要素および/または圧力差トランスデューサを含むことが可能である。上記試験セルの構成部材のそれぞれは公知であり、またこれらの構成部材については、本開示でさらに詳細に説明しない。さらに、図1の破線のそれぞれが制御線32を示していることと、図1の実線のそれぞれが、抽出管56と、排気ライン58と、機械的なおよび/または他の従来のリンク28とを除いては、流れライン26を示していることが理解される。
【0022】
次に、図2を参照すると、本開示の例示的な実施形態による排気サンプリングシステム20は希釈側106と全体側108とを含む。希釈側106の希釈装置54は動力源10の排気ライン58(図1)に流体接続することが可能であり、さらに、希釈側106は、例えば、圧縮空気源38と、流れ処理アセンブリ40と、冷却装置42と、流量センサ46と、複数の流量制御弁および/または他の種類の弁とを含むことが可能である。その上、希釈側106の希釈装置54は全体側108のフィルタ62に流体接続することが可能であり、さらに、全体側108は、例えば、流量センサ76と、真空部80と、複数の流量制御弁および/または他の種類の弁50とを含むことが可能である。排気サンプリングシステム制御装置22および/または試験セル制御装置24(図1)を排気サンプリングシステム20の1つ以上の構成部材に電気的に接続し得る。図2に示されている破線のそれぞれが制御線32であり、また図2に示されている排気サンプリングシステム20の構成部材に接続されている実線のそれぞれが、流れライン26であることが理解される。
【0023】
以下により詳細に説明するように、周囲空気の希釈流36を圧縮し、処理し、冷却し、測定し、および/または調整するように、希釈側106の構成部材を構成し得る。希釈流36と、動力源10の排気流から抽出される排気ガスの流れとを混合することが可能である。さらに、希釈流36の流量と混合流(希釈流および抽出流)の流量との検出された差に応じて、希釈側構成部材で希釈流36の流量を迅速に調整することが可能である。
【0024】
圧縮空気源38は、例えば、ガスを圧縮できかつ流れライン26を通して圧縮ガスを供給できる空気圧縮機または他の任意の装置を含み得る。例えば、本開示の一実施形態では、圧縮空気源38は、公知の種類の空気圧縮機であることが可能であり、また約70〜110psiの圧縮空気を供給することが可能である。この範囲は大きくしたり小さくしたりすることが可能である。実質的に一定で実質的に均一な圧縮空気流を排気サンプリングシステム20の構成部材に供給するように、圧縮空気源38を構成し得る。図2に示されているように、希釈流36は圧縮空気源38の吸気口に入ることが可能であり、また圧縮空気源38内で圧縮されることが可能である。
【0025】
流れライン26を介して、圧縮空気源38を流れ処理アセンブリ40に流体接続し得る。本開示の流れライン26は、公知の任意の種類のチューブ、パイプ、またはホースであることが可能である。流れライン26は、例えば、プラスチック、ゴム、アルミニウム、銅、鋼、または圧縮ガスを制御して供給できる他の任意の材料であってもよく、また可撓性または剛性であってもよい。排気サンプリングシステム22の構成部材の間の圧力低下を減少させつつ、排気サンプリングシステム22の作動を容易にするように、流れライン26の長さを最小にすることが可能である。
【0026】
流れ処理アセンブリ40は、希釈流36を濾過し、処理し、および/またはさもなければ清浄化するように構成された任意のアセンブリおよび/または構成部材集合体であり得る。例示的な実施形態では、流れ処理アセンブリ40は、活性炭洗浄装置、化学乾燥剤または他の乾燥手段からなり得る気流乾燥機、および/または微粒子フィルタ(図示せず)を含むことが可能である。流れ処理アセンブリ40の構成部材が、単一のハウジング内に配置された別個の装置であり得ることが理解される。代わりに、流れ処理アセンブリ40の構成部材を別個のハウジング内に配置してもよい。例えば、希釈流36から炭化水素を除去するように、流れ処理アセンブリ40の活性炭洗浄装置を構成し得る。流れ処理アセンブリ40の空気乾燥機は、例えば、希釈流36から水を除去するように構成することが可能であり、また微粒子フィルタは公知の種類の超微細粒子フィルタであることが可能である。このような微粒子フィルタは、例えば、化学乾燥剤から再び飛沫同伴された材料、活性炭洗浄装置からの活性炭、および/または他の任意の浮遊不純物等の、希釈流36内に含まれた不純物を捕獲および/または除去するように構成することが可能である。流れライン26を介して、流れ処理アセンブリ40を冷却装置42に接続し得る。
【0027】
冷却装置42は、それを通過する流体の流れの温度を低下させるように構成された任意の装置または装置集合体であることが可能である。冷却装置42を例えば冷却源に接続して、冷却装置42を通過する流体の流れの温度の低下を補助することが可能である。例えば、冷却装置42は、例えばラジエータおよび/または他の任意の従来の熱交換装置等の熱交換器を含んでもよい。本開示の例示的な実施形態では、希釈流36の温度を約20℃に低下させるように、冷却装置42を構成し得る。冷却装置42は、流れライン26を介して流量センサ46に流体接続することが可能であり、また隔離弁44は冷却装置42と流量センサ46との間の流れライン26内に配置することが可能である。例示的な実施形態では、圧縮空気源38、流れ処理アセンブリ40、および/または冷却装置42を、独立して制御可能であり、したがって、排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続しなくてもよいことが理解される。
【0028】
隔離弁44は、例えば、ポペット弁、バタフライ弁、またはボール弁等の公知の任意の種類の制御可能な流体弁であり得る。隔離弁44は、空気流が隔離弁44を通過することを完全に制限するように制御することが可能であるか、または制限されない流れの通過を許容することが可能である。例示的な実施形態では、隔離弁44は、例えば冷却装置42と流量センサ46との間の流体接続を実質的に完全に開きおよび/または実質的に完全に閉じるように構成されたボール弁であり得る。例えばソレノイド等の任意の従来の空気圧アクチュエータおよび/または電気アクチュエータによって、隔離弁44を制御することが可能である。
【0029】
流量センサ46は、それを通過する流れの体積流量および/または他の特性を検出するように構成された任意の装置および/または装置集合体であり得る。例示的な実施形態では、流量センサ46は、希釈流36の体積流量を測定するように構成された層流要素を含むことが可能である。例えば、層流要素は、例えばハニカム構造の一列の小さな管を含んでもよく、また層流要素は公知の任意の従来の種類の層流要素であってもよい。
【0030】
さらに、上記層流要素に加えて、流量センサ46は、例えば、それを通過する希釈流36の圧力および/または温度を検出するように構成された1つ以上の構成部材を含むことが可能である。このような圧力および/または温度の測定を用いて、希釈流36の密度を導出し得る。このようにして、排気サンプリングシステム制御装置22は、これらの追加の構成部材の密度出力に関連する層流要素の体積出力を用いて、例えば希釈流36の質量流量を決定することが可能である。
【0031】
流量センサ46の追加の構成部材は、例えば、圧力差トランスデューサと絶対圧力トランスデューサと白金抵抗サーミスタとを含んでもよい。これらの追加の要素は図2に示されていないが、圧力差トランスデューサが、層流要素の上流側および/または下流側に配置され、かつ層流要素を横切る圧力低下を測定するように構成された1つ以上の圧力センサを含み得ることが理解される。絶対圧力トランスデューサは、層流要素の上流側または下流側に配置することが可能であり、例えば希釈流36の絶対圧力を測定するように構成することが可能である。さらに、白金抵抗サーミスタは、層流要素の入口のすぐ上流側に配置することが可能であり、また層流要素に入る希釈流36の温度を検出するように構成することが可能である。白金抵抗サーミスタは、その中に利用されている白金および/または他の金属によって本質的に安定でき、また比較的精密なおよび/または正確な温度測定を行うように構成することが可能である。
【0032】
流量センサ46は、流れライン26を介して希釈装置に流体接続することが可能であり、また流量制御弁50は流れライン26内に配置することが可能である。流量制御弁50は、加圧流体の流れを調整するように構成された公知の任意の種類の制御可能な流体弁であり得る。例えば排気サンプリングシステム制御装置22から送信された制御信号に迅速に応答するように、流量制御弁50を構成することが可能である。
【0033】
流量制御弁50は、例えば、流量制御弁50の使用中に、プランジャに生じる機械的抵抗力が実質的にゼロであるように磁界に維持されたプランジャを有する電磁弁であり得る。このようにして、流量制御弁50は実質的に直ちに変化することが可能である。流量制御弁50は、75ミリ秒以下の応答時間を有することが可能であり、また排気サンプリングシステム制御装置22によって送信された実質的に連続する流れコマンドを受信してそれに応答するように構成することが可能である。流れコマンドに従って、希釈流36および/または抽出流の流量を調整するように、流量制御弁50を構成し得る。流れコマンドは、例えば、混合流37と希釈流36との体積差および/または質量差に応じたものであり得る。
【0034】
動力源10(図1)の排気流から抽出される排気流サンプルの割合を制御するように、流量制御弁50を構成することも可能である。本明細書に用いられる際、「割合」という用語は、抽出時に、動力源10によって発生した全ての排気流34に対して抽出される排気流量を意味する。
【0035】
本開示の例示的な実施形態では、排気サンプリングシステム20はベンチュリ48をさらに含み得る。ベンチュリ48は、例えば、臨界流ベンチュリまたは公知の他の任意の種類のベンチュリであってもよい。図2に示されているように、ベンチュリ48の入口を流量センサ46の出口の下流側にまた流量制御弁50の入口の上流側に流体接続し得るように、ベンチュリ48を流量制御弁50に対して平行に配置し得る。流量制御弁50の出口の下流側のおよび弁52の上流側の流れライン26に、ベンチュリ48の出口を接続することも可能である。例示的な実施形態では、排気サンプリングシステム20の希釈側106を通過する最大流量の約80%を受け入れるように、ベンチュリ48を寸法決めしおよび/またはさもなければ構成することが可能である。このような実施形態では、流量制御弁50によって、希釈側106を通過する最大流量の残りの20%を制御し得る。例えば、排気サンプリングシステム20の希釈側106を通過する希釈流36の流量および/または他の特性を検出するように、ベンチュリ48を構成してもよい。ベンチュリ48は、例えば排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続することが可能であり、例えば、検出された流量情報を排気サンプリングシステム制御装置22に送信するように構成することが可能である。本開示の他の例示的な実施形態では、ベンチュリ48を省略し得ることが理解される。このような実施形態では、流量制御弁50は単一の流量制御位置であり得る。
【0036】
流れライン26を介して、流量制御弁50の出口を弁52の入口に流体接続することが可能である。弁52は、標準的な2ウェイ弁、3ウェイ弁、または公知の他の任意の種類の制御可能な流量弁であり得る。例示的な実施形態では、流量測定装置46と76を較正しかつ互いに直線状に配置するために、希釈側106からバイパスライン66を介して排気サンプリングシステム20の全体側108に希釈流36を通過させるように導くべく、弁52を構成することが可能である。さらに、希釈側106からバイパスライン66への流れを実質的に完全に制限しつつ、希釈流36を希釈装置54の入口114に送るように、弁52を構成することが可能である。
【0037】
図1について上述したように、希釈装置54の抽出管56を排気ライン58内に配置しおよび/またはそれに流体接続することが可能である。作動中に、動力源10の排気流34の少なくとも一部を抽出するように、抽出管56を構成し得る。抽出管56を通して排気流34の抽出部を希釈装置54に供給し得るように、抽出管56を希釈装置54に流体接続し得る。
【0038】
以下に詳細に説明する希釈装置54は、希釈流36を受け入れるように構成することが可能であり、また希釈流36と上記排気流34の抽出部とを混合することが可能であり、これによって、抽出部が希釈される。希釈装置の出口は、流れライン26を介してフィルタ62の入口に流体接続することが可能であり、また弁60は希釈装置54とフィルタ62との間の流れライン26内に配置することが可能である。弁60は、例えばオン/オフ弁であってもよく、また弁60は、例えば上記隔離弁44と機械的に同様であってもよい。希釈装置54とフィルタ62との間の流体接続を実質的に完全に開くかまたは実質的に完全に閉じるように、弁60を構成し得る。
【0039】
フィルタ62は、例えば、粒子状物質フィルタホルダおよび/または公知の他の任意の種類の排気流微粒子排出測定フィルタであってもよい。このような種類のフィルタは、例えば、処理済みの高効率ファイバーグラスベースのセルロース、石英、テフロン(PTFE)ベースの活性炭含浸セルロース、発泡体、または最新技術で現在認識されている微粒子排出試験用の他の試験フィルタ媒体を含み得る。
【0040】
本開示の例示的な実施形態では、1つ以上の診断装置または補助測定装置70は、例えば、排気サンプリングシステム20の希釈装置54、フィルタ62および/または他の構成部材の入口および/または出口に近接して配置することが可能である。診断装置70は、例えば、排気サンプリングシステム20の構成部材の内部にあっても外部にあってもよく、例えば、排気サンプリングシステム20の1つ以上の流れライン26に流体接続することが可能である。診断装置70は、例えば、流量計、排出計量器、粒度センサ、圧力トランスデューサ、無線装置、またはエンジン排気を検出するように構成された他の検出装置および/またはサンプリング装置等の公知の任意の検出装置であり得る。このような診断装置70は、例えば、すすレベルおよび/またはガスレベル、温度、圧力、および/または他の流量特性を検出することが可能である。診断装置70のそれぞれは、排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続することが可能であり、また制御線32を介して検出情報を排気サンプリングシステム制御装置22に送信するように構成することが可能である。図2に示されているように、例示的な実施形態では、フィルタ62に関連付けられた診断装置70は、例えば、フィルタ62を横切る圧力低下を検出するように構成された圧力差トランスデューサであってもよい。このような例示的な診断装置は、フィルタ62の入口に近接してまたフィルタ62の出口に近接して流体接続することが可能である。
【0041】
本開示の例示的な実施形態では、1つ以上の補助測定装置99を試験フィルタ62の入口に近接して配置し得る。補助測定装置99は、例えば、排気サンプリングシステム20の構成部材の内部にあっても外部にあってもよく、例えば、排気サンプリングシステム20の1つ以上の流れライン26に流体接続することが可能である。補助測定装置99は、例えば、流量計、排出計量器、粒度センサ、圧力トランスデューサ、無線装置、またはエンジン排気を検出するように構成された他の検出装置および/またはサンプリング装置等の公知の任意の検出装置であり得る。測定装置99は、例えば、すす、粒度、ガス状排出物濃度レベル、質量流量、温度、圧力、および/または他の流量特性を検出することが可能である。補助測定装置99のそれぞれは、排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続することが可能であり、また制御線32を介して検出情報を排気サンプリングシステム制御装置22に送信するように構成することが可能である。図2に示されているように、例示的な実施形態では、補助測定装置99は、例えば、排出源の展開手段または検定手段として使用するために意図されたガス状排出物濃度測定システムであり得る。
【0042】
本開示の例示的な実施形態では、排気サンプリングシステム20はサーミスタ59をさらに含むことが可能である。サーミスタ59は、例えば、抵抗器、感温半導体、および/または公知の他の任意の種類の温度センサであってもよい。サーミスタ59は、例えば、高速応答サーミスタであってもよく、また温度変化にさらされた場合に材料または構成部材の抵抗が急速に変化する材料または構成部材を含んでもよい。図2に示されているように、サーミスタ59の構成部材は排気ライン58に流体接続することが可能であり、またサーミスタ59は、それを通過する排気流34の温度変化を検出するように構成することが可能である。サーミスタ59は、例えば、排気サンプリングシステム制御装置22に電気的に接続することが可能であり、例えば、検出された温度、流量、および/または他の情報を排気サンプリングシステム制御装置22に送信するように構成することが可能である。本開示の他の例示的な実施形態では、サーミスタ59を省略し得ることが理解される。
【0043】
弁52を弁64に流体接続するバイパスライン66を介して、排気サンプリングシステム20の希釈側106を全体側108に接続することが可能である。制御線32を介して、フィルタ62の出口を弁64に接続することも可能である。それに応じて、使用中に、弁52を通して、バイパスライン66を介して、希釈流36を弁64に導くことが可能であり、これにより、例えば、希釈装置54およびフィルタ62を迂回する。代わりに、弁64を通過する前に、弁52を通して、希釈流36を希釈装置54とフィルタ62とに導いてもよく、また弁52は、流れがバイパスライン66を通して希釈側から通過することを妨げてもよい。弁52について上述したように、弁64は、例えば、2ウェイ弁、3ウェイ弁、または公知の他の任意の種類の制御可能な流量弁であってもよい。任意の範囲の流れがフィルタ62から排気サンプリングシステム20の全体側108の下流側構成部材に通過することを許容するように、弁64を寸法決めしおよび/またはさもなければ構成することが可能である。したがって、弁52よりも大きい体積流(すなわち混合流)を制御するように、弁64を寸法決めすることが可能である。流れライン26を介して、弁64の出口を流量制御弁74の入口に流体接続し得る。
【0044】
流量制御弁74は、排気サンプリングシステム20の希釈側106について上述した流量制御弁50と構造的に同様であってもよい。図2に示されているように、弁64と流量制御弁74との間に、流れライン26を流体接続し得る。弁68は、流れライン26に流体接続され、また弁64の出口から出る流れの少なくとも一部を受け入れるように構成されることが可能である。弁68は公知の任意の2ウェイ弁または3ウェイ弁であり得る。周囲空気72の流れが流れライン26を通って流量制御弁74に通過することを許容するように、弁68を構成することが可能である。代わりに、検出のために、弁64から出る流れの一部を受け入れるように、弁68を構成してもよい。診断装置70を弁68の出口に流体接続して、弁64から受け入れられた流れの検出を補助することが可能である。
【0045】
例示的な実施形態では、弁68の出口に流体接続された診断装置70は、例えば、弁68を通った流れを測定するように寸法決めされた流量計であり得る。弁68を通った流れは、例えば、抽出管56を通った流れと容量的に同様であってもよい。このような例示的な実施形態では、希釈流36を弁68に導くように、弁52および弁64を制御することが可能であり、したがって、希釈装置54およびフィルタ62を迂回する。例えば、品質管理チェック中に、流量センサ76、流量制御弁74、流量センサ46、ベンチュリ48、および流量制御弁50を直列に配置してもよく、また真空部80と圧縮空気源38とによって、流動電位を発生させてもよい。さらに、例示的な品質管理チェック中に、流量センサ46を通る流れは、例えば毎分85リットルに設定することが可能であり、また流量センサ76を通る流れは、例えば毎分100リットルに設定することが可能である。これらの2つの流れの差は、弁68を通して引き込まれた周囲空気の流れ(流れの矢印72で図示)であり得る。周囲空気の流れの体積は、排気サンプリングシステム20が排気ガスをサンプリングした場合に抽出管56によって抽出される排気ガスの流れと実質的に同一であり得る。しかし、作動中に所定時間だけ、抽出管56を通して、また弁68に近接した診断装置70を通して、流れが同時に生じることが理解される。
【0046】
抽出管56によって動力源の排気流から抽出された流れの体積および/または他の特性を直接測定することが困難である場合があることが理解される。例えば、排気流から抽出された流れの量を直接測定することによって、任意の流量計、または流れを直接測定するために使用される他の装置が粒子状物質で急速に汚染される可能性がある。さらに、抽出流は、600℃を超える温度を有する場合があり、したがって、従来の流量計は、このような高温流を測定するのに適していない場合がある。したがって、抽出流をインライン流量計で測定することが困難であるので、品質検査としての排出試験の前にまたはそれに続いて、予想された抽出流を診断装置70で直接測定することが有用であり得る。
【0047】
流れライン26を介して、流量制御弁74の出口を流量センサ76に流体接続することが可能である。例えば、排気サンプリングシステム20の全体側108を通過する流れの圧力、体積、質量および/または他の特性を測定するように、流量センサ76を構成し得る。流量センサ76は公知の任意の種類の流量センサであることが可能である。例示的な実施形態では、流量センサ76は、希釈側106について上述した流量センサ46と同様の体積測定装置であり得る。このようにして、流量センサ76は、層流要素と、流量センサ76を通過する質量流量の算出を補助するように構成されたいくつかの追加の構成部材とを含むことが可能である。このような構成部材は、例えば、白金抵抗サーミスタと絶対圧力トランスデューサとを含んでもよい。圧力低下を測定するように構成された圧力トランスデューサを流量センサ46の層流要素に関連付けることが可能であると共に、本開示の例示的な実施形態では、例えば流量センサ76を横切る圧力低下を検出および/または測定するために、対応する圧力トランスデューサを必要としなくてもよいことが理解される。さらに、流量センサ46について上述したように、流量センサ76を通過する流れの密度の定義を補助するように、流量センサ76の構成部材を構成し得る。それに応じて、流量センサ76を通過する流れの質量を測定するように、流量センサ76を構成し得る。
【0048】
例示的な実施形態では、流量センサ76は容量型の流量計を含むことが可能である。このような流量計は、例えば、噛合歯車(図示せず)に配置された1つ以上のローブセットを含んでもよい。このような歯車は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、白金、および/または他の任意の同種の金属からなることが可能であり、また噛合時に互いの摩擦および/または抵抗を低減するように極めて精密に加工することが可能である。例示的な実施形態では、流れが流量センサ76を通して導かれたときに、流量センサ76を通して導かれている流れの量に正比例する流れによって、内側ローブおよび/または歯車を移動および/または回転させることが可能である。
【0049】
流れライン26を介して、流量センサ76の出口を弁78に流体接続し得る。弁78は、希釈側106について上述した隔離弁44と構造的に同様であることが可能である。それに応じて、排気サンプリングシステム20の流量センサ76と真空部80との間の流体接続を実質的に開きおよび/または実質的に閉じるように、弁78を構成し得る。真空部80は公知の任意の従来の負圧源であることが可能である。真空部80は、例えば、市販の真空装置、真空ポンプ、および/または負圧を発生させることができる他の任意の装置を含んでもよい。真空部80は、図2に示されている排気サンプリング部20のような排気サンプリングシステムを通して流れを引き込む際に有用な任意のパワーまたは容量であり得る。本開示の例示的な実施形態では、低い圧力スパイク痕を有するように、真空部80を構成することが可能である。このような真空部80は、実質的に一定の負圧を排気サンプリングシステム20の構成部材に導くように構成することが可能である。
【0050】
図3に示されているように、本開示の例示的な実施形態によれば、希釈装置54はダイリューショントンネル110を含む。排気流34の抽出部をダイリューショントンネル110に導き得るように、ダイリューショントンネル110を抽出管56に流体接続し得る。
【0051】
図3に示されているように、ダイリューショントンネル110は、長手方向軸線Xに沿って延びることが可能であり、また第1の端部172と第2の端部174との間に延びる多孔管112を画成する流れ室構造を含むことが可能である。図3に示されているように、キャップ125を多孔管112の第2の端部174に配置して、第2の端部174で空気流を阻止することが可能である。
【0052】
多孔管112は内部流路115と多孔壁118とを含み得る。細孔121(例えば、直径0.5ミクロンであるが、それに限定されない)は、壁部118内に形成され、また多孔管112の外側の外側領域と多孔管112の内部流路115とを連通する。多孔管112は、正確に制御される所望の気孔率を提供する複数の細孔を有する多孔質材料、例えば、焼結ステンレス鋼からなり得る。
【0053】
ダイリューショントンネル110は、多孔管112を中心としてその周囲に第1の環状室(滞留室)132を画成するように、多孔管112の周囲に形成された第2の管(拡散管)130を含むことが可能である。拡散管130は、複数の細孔121を有する多孔質材料、例えば、焼結ステンレス鋼からなり得る。細孔121は、多孔管112の外側の外側領域と滞留室132とを連通することが可能である。
【0054】
ダイリューショントンネル110は、拡散管130を中心としてその周囲に第2の環状室(希釈流室)142を形成し得るハウジング140を含むことも可能である。入口ポート146は、ハウジング140を通して半径方向に形成され、また希釈流36を受け入れるために、制御された流量の希釈ガス源(例えば、流れライン26を介した圧縮空気源38)と連通し得る。図3に示されているように、希釈流36の少なくとも一部が多孔管112の内部流路115に流入し得るべく、多孔管112は、希釈流室142と流体連通する第1の端部172に入口をさらに含むことが可能である。
【0055】
滞留室132と希釈流室142とを横切って配置されるプレート180によって、多孔管112をダイリューショントンネル110内に固定し得る。プレート180は、粒子およびガス流が滞留室132から出口116に通過することを許容するようにプレート180を通る複数の孔182を含むことが可能である。希釈用空気流室142のプレート180の部分は、希釈流の通過を許容するための孔181を含むことも可能である。
【0056】
使用中に、矢印Aで示されているような排気ガスの流れは抽出管56から滞留室132に達することが可能である。希釈流はハウジング140の入口ポート146からダイリューショントンネル110に入り得る。希釈流がダイリューショントンネル110に入った後に、希釈流の部分は、拡散管130の多孔壁を通過することが可能であり、また滞留室132に入ることが可能である。希釈流の残りは、第1の端部172を通して多孔管112の内部流路115に入ることが可能であり、また多孔管112から滞留室132に拡散することが可能である。滞留室132において、排気ガスの流れは、両方の経路から来た希釈流によって希釈される。例示的な一実施形態では、滞留室132の希釈されていないかまたは部分的に希釈された排気ガスは拡散管130の多孔壁を横切ることができない。混合および希釈は滞留室132で行われる。次に、混合流は孔182を通過して出口116に至ることが可能である。流れライン26を介して、ダイリューショントンネル110の出口116をフィルタ62の入口に流体接続し得る。
【0057】
滞留室132は、排気ガスと、中央多孔管112から外部拡散管130に達する希釈流とを十分に混合し得る環境を提供することが可能であり、このようにして、十分な希釈が行われる。混合空気流は、ダイリューショントンネル110内に比較的長時間滞留することが可能であり、また混合流の温度段階は比較的高温状態から比較的低温状態に変化することが可能である。
【0058】
図4に示されているように、本開示の他の実施形態によれば、希釈装置54は、入口ポート242と出口ポート244との間に延びかつ出口ポート244で上記ダイリューショントンネル110に接続されたダイリューショントンネル240、例えば湾曲したトンネルをさらに含むことが可能である。湾曲したトンネル240は、多孔壁152によって画成された内部流路150を含み得る。細孔160(例えば、直径約0.5ミクロンであるが、それに限定されない)は、壁部152に形成され、また内部流路150の外側の外側領域と内部流路150の内部とを連通する。湾曲したトンネル240は、多孔壁152とハウジング162との間に配置された環状室(トンネル室)164を画成するように、多孔壁152の周囲に形成されたハウジング162を含み得る。ハウジング162は、それを通して半径方向に形成された入口ポート166を含むことが可能であり、また制御された流量の希釈流源(例えば、流れライン26を介した圧縮空気源38)に連通することが可能である。例示的な一実施形態では、ダイリューショントンネル240は抽出部材として機能し得る。内部流路150は、排気ガスの流れ34の上流方向に面する入口ポート242を有することが可能である。このようにして、粒子を含んだ排気ガスの流れ34の比例したサンプルを内部流路150の内部に導き得る。初期の希釈工程の流量を変更するには、内部流路150の内径が、内部流路150の長さ全体にわたって一定であってもなくてもよい。例示的な一実施形態では、内部流路150の希釈されていないかまたは部分的に希釈された排気ガスは多孔壁152を横切ることができない。混合および希釈は内部流路150で行われる。上記のように、湾曲したトンネル240の出口244をダイリューショントンネル110に接続し得る。ダイリューショントンネル110は、湾曲したトンネル240から来た混合流にさらなる希釈を行うことが可能である。
【0059】
他の例示的な実施形態では、希釈装置54は、湾曲したトンネル240とダイリューショントンネル110とを含み得る。ダイリューショントンネル110は、図4に示されているように、滞留室132と流体連通する第2の出口97をさらに含むことが可能である。一実施形態では、希釈装置54から第2の出口97を通して導かれる混合流96は、入口146を通して希釈装置54内に導かれる希釈流36Aに等しくてもよい。入口ポート166を通して希釈装置54内に導かれる希釈流36Bを加えた、排気流34から比例して抽出されかつ入口ポート242を通して希釈装置54内に導かれる抽出流98は、出口116を通して希釈装置54から抽出される混合流95に等しくてもよい。この例示的な実施形態では、出口116を通って希釈装置54から出た混合流95は過渡的サイクルで一定に維持することが可能であり、また抽出流98と排気流34との割合は、入口ポート166を通る希釈流36Bを調整することによって維持または変更することが可能である。いくつかの例示的な実施形態では、入口146を通る希釈流36A、入口ポート166を通る希釈流36B、または両方の組み合わせを制御することによって、抽出流98の割合を維持し得る。
【0060】
いくつかの例示的な実施形態では、ダイリューショントンネル110は、湾曲したトンネル240に接続された滞留室としてのみ機能することが可能である。例示的な一実施形態では、湾曲したトンネル240のハウジングl62の入口ポート166のみを通して、希釈流36を希釈装置54内に導き得る。希釈流はダイリューショントンネル110のハウジング140の入口146を通して希釈装置54内には導かれない。したがって、希釈装置54の出口116を通る混合流37は、湾曲したトンネル240の入口242内に導かれる抽出流98を加えた、入口166を通る希釈流36に等しくてもよい。
【0061】
上記例はダイリューショントンネル用のある好ましい幾何学的構造を示しているが、それらが、本発明によって意図された全ての可能な幾何学的構造の包括的なリストであることが意図されない。他の多数の可能な構造が存在することが明らかである。例えば、多孔質部材は、排気ガスの流れの方向に伸長する円錐形状であってもよい。さらに、多孔質部材、拡散管、およびハウジングは、排気ガスの流れの方向における希釈量の変更を可能にするかまたは所定のエンジン排気流量状態下で一定のサンプリング割合量を維持する他の任意の幾何学的構造をとってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
希釈装置54を含む開示される排気サンプリングシステム20は、任意のディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、天然ガスエンジン、および/または他の内燃機関、炉、あるいは公知の動力源と共に使用することが可能である。上述したように、上記動力源を試験し、設計し、開発し、および/または検定するために、排気サンプリングシステム20を使用し得る。任意の機械、オンロード車両、オフロード車両、据え付け機械、および/または公知の他の排気発生装置に関連して、上記動力源を使用し得ることが理解される。
【0063】
次に、開示される排気サンプリングシステム20を使用して例示的な動力源を検定するための方法について、図5に示されているサンプリング方法184を参照して説明する。政府規制によって、検定されている特定の動力源に応じた異なる試験シナリオが必要となり得ることが理解される。例えば、定常状態の流動状態下で、いくつかの動力源を検定してもよく、一方、過渡的流動状態下で、他の動力源を検定してもよい。本明細書に用いられる際、「過渡的流動状態」という用語は、試験サイクル中に変更され、修正され、および/またはさもなければ変化される流動状態を意味する。本開示の排気サンプリングシステム20を使用して、過渡的流動状態および定常状態の流動状態の両方で動力システムを検定することが可能である。しかし、本発明の説明では、過渡的流動状態の検定方法についてのみ説明する。
【0064】
図2に示されている排気サンプリングシステム20を使用しようとするために、ユーザは、システム20を熱平衡状態にすることが可能である。熱平衡において、排気サンプリングシステム20のそれぞれの構成部材は実質的に同一の温度であることが可能であり、例示的な実施形態において、定格温度は約30℃であることが可能である。検定のために、例えば、フィルタ62およびその構成部材を約47℃(約±5℃)の温度に維持し得ることが理解される。熱平衡に達すると、ユーザは、サンプリングが開始するまでシステムのアイドル動作を維持することが可能である。熱平衡を実現するために、ユーザは、例えば、所望の混合流量と所望の希釈流量とを設定し得る。所望の希釈流量は、流量制御弁50を介して希釈装置54に導くべき希釈流36の体積に一致することが可能である。所望の混合流量は、排気サンプリングシステム20の全体側108のフィルタ62に導くべき混合流37の体積に一致することが可能である。
【0065】
システムが熱平衡状態になっている間、希釈流36は、圧縮空気源38、流れ処理アセンブリ40、冷却装置42、開いた隔離弁44、流量センサ46、および開いた流量制御弁50を通過し得る。次に、弁52は、希釈装置54を通して希釈流36を導くことが可能であり、またバイパスライン66を実質的に流体的にシールすることが可能である。さらに、弁60を実質的に閉じることが可能であり、このようにして、例えば、排気サンプリングシステム20がアイドル状態であった間に抽出管56に蓄積する可能性がある擬似微粒子および/または他の異物を追い出すように、抽出管56を通して希釈流36を導くことが可能である。次に、希釈流36は、排気流34に合流することが可能であり、また試験セル100の排気システム18によって除去することが可能である。図2に示されているように、弁68を開いて、周囲空気の流れが、流れの矢印72によって示されているように弁68に入ることを許容することによって、ガス流82を発生させ得る。代わりに、操作者は、弁を制御して、排気流34のサンプルを抽出しまたフィルタ62を通してサンプルを導いてもよい。操作者は、暖機中にサンプルを抽出した後にフィルタ媒体を廃棄し得る。
【0066】
図5に示されているように、排気サンプリングシステム20が熱平衡に達すると、ユーザはシステムを較正することが可能である(ステップ186)。較正中に、ユーザは、例えば、サンプリング中に制御アルゴリズムで用いるための1つ以上の多項式を導出するために、排気サンプリングシステムの希釈側106を全体側108に較正し得る。特に、較正中に、弁44および流量制御弁50は開いたままであることが可能であり、また弁52は、バイパスライン66を通して希釈流36を弁64に導くことが可能である。次に、希釈流36は流量制御弁74を通過することが可能であり、また弁68は、希釈流36のいずれもが流れライン26を通過することができないように完全に閉じることが可能である。このような構成において、流量センサ46と流量センサ76とを直列に配置し得る。ユーザによって指定された一連の流れ位置全体にわたって、排気サンプリングシステム20を作動させることが可能である。排気サンプリングシステム20の流量センサ46、流量センサ76および/または他の構成部材を使用して、流れ位置のそれぞれで希釈流36を測定することにより、排気サンプリングシステム制御装置22は、流量センサ46と流量センサ76との関係を表す多項式を算出し得る。この多項式を用いて、排気サンプリングシステム20の作動中に、流量センサ46によって行われた流量測定を、センサ76によって行われた流量測定に数学的に補正することが可能である。
【0067】
較正後、操作者は、試験フィルタ媒体カートリッジをフィルタ62に装着することが可能であり、また試験セル制御装置24を使用してエンジンを第1の試験位置に制御することが可能である。第1の試験位置において、排気サンプリングシステム20の1つ以上の診断装置70および/または試験セル100は、動力源10の1つ以上の作動特性を検出し得る(ステップ188)。このような作動特性は、例えば、動力源10の吸気口への空気流量、燃料消費率、動力源の温度、および/または排気流34の質量流量を含むことが可能である。上記の検出された作動特性に基づいて、排気サンプリングシステム制御装置22は抽出流の所望の質量流量を算出することが可能である(ステップ190)。抽出流の算出された所望の質量流量は、排気流34から抽出すべき所望の排気流量に一致し得る。さらに、抽出された所望の質量流量は排気流34の質量流量に実質的に比例し得る。
【0068】
次に、排気サンプリングシステム制御装置22は、排気サンプリングシステム20の構成部材を制御して、排気流34の算出された所望の部分を抽出することが可能である(ステップ192)。さらに、排気サンプリングシステム制御装置22は、動力源の排気流の抽出部を希釈するために、圧縮機38、流れ処理アセンブリ40、冷却装置42、流量センサ46および/または流量制御弁50を制御して、希釈流36を希釈装置54に導くことが可能である(ステップ194)。本明細書に用いられる際、「希釈」という用語は、圧力および/または温度等の環境状態をシミュレートするように、抽出された排気流と周囲空気の流れとを混合することを意味することが理解される。排気サンプリングシステム20の作動中に、排気サンプリングシステム20の構成部材が、比較的高い希釈比率(すなわち、抽出流98の流量に対する希釈流36の流量が比較的高くてもよい)で作動し得ることが理解される。このような高い希釈比率は、混合流37がフィルタ62に達する前に抽出流の温度を約52℃に低下させるために必要となり得る。
【0069】
使用中に、排気サンプリングシステム20は、流量制御弁74、50のそれぞれによって、混合流37と希釈流36との差を実質的に連続してまた実質的に直ちに制御することが可能である。このようにして、流れ37、36の差を制御することにより、ユーザは、例えば、排気流34から抽出される流れ98の体積を制御し得るが、この理由は、混合流37の体積が、抽出流98の体積を加えた希釈流36の体積に等しいからである。例示的な一実施形態では、排気流34を測定することが可能である。代わりに、測定されたエンジン吸気流、または燃料流を加えたエンジン吸気流に基づいて、排気流34を算出してもよい。混合流37と希釈流36との差を制御することによって、ユーザは、過渡的試験サイクル中に抽出流98と排気流34との割合を正確に制御し得る。上記制御方法は、例えば、排気流34または抽出流の質量流量および/または他の特性を直接検出することなく、排気流34の移動を考慮するので有利であり得る。さらに、上記制御方法によって、上述したこのような流れを直接測定する困難が回避される。
【0070】
全体側の質量流量と希釈側の質量流量との瞬時差が動力源の排気質量流量に連続的に比例することを保証するように、排気サンプリングシステム20を制御し得る。このことを実現するために、ステップ188について上述した動力源10の作動特性を連続的に監視し、また比例したサンプリングをもたらすシステム流量設定値を算出するように、排気ガスサンプリングシステム制御装置22を構成し得る。特に、排気流量が変化する過渡的検定試験において、500ミリ秒以内で排気流量の変化に応答するように、排気サンプリングシステム20の構成部材を構成し得る。
【0071】
混合流37は希釈装置54からフィルタ62に通過することが可能であり、これによって、混合流37内に含まれた微粒子をフィルタ媒体内で抽出および捕捉することが可能である。次に、濾過された混合流37はフィルタ62から弁64を通ってまた流量制御弁74を通って流量センサ76に通過することが可能であり、ここで、重量測定による質量の決定を行うことが可能である(ステップ196)。検出された情報は流量センサ76の1つ以上の構成部材から排気サンプリングシステム制御装置22に送信することが可能であり、また排気サンプリングシステム制御装置22は検出データを記憶しおよび/またはそれを操作者またはユーザに提供することが可能である(ステップ198)。
【0072】
次に、混合流37は流量センサ76から、開いた弁78を通って真空部80に通過し得る。混合流37は、流れの矢印82によって示されているように排気サンプリングシステム20から出ることが可能である。適切な量のデータが、排気サンプリングシステム制御装置22によって収集および/または記憶されると、排気サンプリングシステム制御装置22は、検定のために、連続するサンプリングを必要とし得るかどうかを決定することが可能である(ステップ202)。連続するサンプリングが必要とされる場合、排気サンプリングシステム制御装置22は、上記のように動力源10の作動特性の検出を継続し得る(ステップ188)。代わりに、十分な量のデータが得られている場合、排気サンプリングシステム制御装置22はサンプリングを停止してもよい(ステップ204)。過渡的検定手順において、ユーザが、異なる種々の絞り値および/または他の設定値によって動力源10を作動させ得ることが理解される。このような手順の間に、例えばエンジン吸気流量に基づいて、動力源10の作動特性を連続的に検出または決定することが可能である。動力源10の検出された作動特性と、排気サンプリングシステム20の全体側108を通過する混合流37の検出された流量とに応じて、希釈装置54に供給された希釈流36の流量を連続的に変更し得る。
【0073】
例示的な実施形態では、比較的低出力の動力源10が、例えば試験セル100の比較的大きい体積の1つ以上の構成部材のような比較的大きい体積の排気システムに接続される用途において、排気サンプリングシステム20の過渡応答を遅延させるように、排気サンプリングシステム20を制御することも可能であることが理解される。使用中に、サーミスタ59は、排気流34の温度の変化を検出することが可能であり、また検出された温度情報を排気サンプリングシステム制御装置22に送信することが可能である。排気サンプリングシステム制御装置22は、例えば、上記のサーミスタ59から受信された温度入力および排気流34の質量流量に基づいて、排気流34の体積流量を算出し得る。例示的な実施形態では、排気サンプリングシステム制御装置22は約80Hzで体積流量を算出することが可能であり、また試験セルの操作者は、例えば排気ライン58の長さおよび直径に基づいて排気システムの体積を入力することが可能である。粒子が排気流34内で例えば動力源10と抽出管56との間を移動するのにかかる時間が、排気サンプリングシステム20の認識されている応答時間を超えた場合、排気サンプリングシステム制御装置22は、例えば流量制御弁50を制御することによって排気サンプリングシステム20の比例応答を遅延させ得る。例えば、排気サンプリングシステム20の認識されている応答時間が200ミリ秒であり、また動力源10と抽出管56との間における算出された粒子の移動時間が、所定の瞬間において300ミリ秒であった場合、排気サンプリングシステム制御装置22は、排気サンプリングシステム20によって過渡応答を100ミリ秒だけ遅延させてもよい。
【0074】
開示される排気サンプリングシステム20の他の実施形態は、仕様を考慮すれば当業者には明らかであろう。例えば、隔離弁44および弁78は、排気サンプリングシステム20内で流れライン26から他の位置に流体の流れを導くように構成された3ウェイ弁であってもよい。さらに、試験フィルタ媒体カートリッジの挿入および/または取り外しを補助するために、フィルタ62には1つ以上のボスを設けてもよい。
【0075】
図6は、動力源の排気流の抽出部を希釈する例示的な方法を示している。ステップ212において、希釈装置54の抽出管56により、動力源10の排気流34の一部98を制御可能に抽出し得る。ステップ214において、抽出部を希釈装置54の滞留室132内に導くことが可能である。ステップ216において、希釈ガスは入口ポート146を通して第2の室142内に導かれる。希釈ガスは多孔管130を通って滞留室132内に通過し得る。希釈ガスの部分は第1の端部172を通って多孔管112に入ることが可能である。多孔管112に入った希釈ガスは多孔壁118を通って滞留室132内に拡散し得る(ステップ218)。抽出部は、滞留室132内において、中央多孔管112から来るおよび外部多孔管130から来る希釈ガスと混合することが可能である。ステップ220において、排気ガスと希釈流との混合流は、希釈装置54から、滞留室132に連通する出口ポート116を通って流れ得る。
【0076】
本開示のダイリューショントンネルは、従来のダイリューショントンネルと比較して、複数の利点を提供する。特に、本開示のダイリューショントンネルは、粒子の形成および増大に対して追加の滞留時間を提供する。滞留室の構造によって、適切な希釈比率が増加するにつれて滞留時間が増加される環境が提供される。これにより、大気の希釈工程のより良いシミュレーションを実現できる。第2の組の流れ分配装置および制御装置を付加することによって、希釈拡散量を容易にまた広範囲にわたって変更することができる。このことにより、異なる希釈工程を正確かつ費用効果的に行うための自由度が付加される。
【0077】
希釈装置およびサンプリングシステムに種々の修正および変更をなし得ることが当業者には明らかであろう。他の実施形態は、開示される希釈装置およびサンプリングシステムの仕様および実施を考慮すれば当業者には明らかであろう。仕様および実施例は例示的なものに過ぎないと考えるべきであり、真の範囲は、次の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本開示の例示的な実施形態による試験セルの概略図である。
【図2】本開示の例示的な実施形態によるサンプリングシステムの概略図である。
【図3】本開示の例示的な実施形態によるサンプル希釈装置の図面である。
【図4】本開示の他の例示的な実施形態によるサンプル希釈装置の図面である。
【図5】本開示の例示的な実施形態によるサンプリング方法のフローチャートである。
【図6】本開示の例示的な実施形態に従って排気ガスの流れを希釈する開示される例示的な方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
4 空気フィルタ
6 温度・湿度制御装置
8 流量制御装置
10 動力源
14 ダイナモメータ
16 燃料システム
18 排気システム
20 排気サンプリングシステム
22 排気サンプリングシステム制御装置
24 試験セル制御装置
26 流れライン
28 機械的なおよび/または他の従来のリンク
30 燃料ライン
32 制御線
34 排気流
36 希釈流
36A 希釈流
36B 希釈流
37 混合流
38 圧縮空気源
40 流れ処理アセンブリ
42 冷却装置
44 隔離弁
46 流量センサ/流量測定装置
48 ベンチュリ
50 複数の流量制御弁および/または他の種類の弁
52 弁
54 希釈装置
56 抽出管
58 排気ライン
59 サーミスタ
60 弁
62 フィルタ
64 弁
66 バイパスライン
68 弁
70 1つ以上の診断装置または補助測定装置
72 周囲空気
74 流量制御弁
76 流量センサ/流量測定装置
78 弁
80 真空部
82 ガス流
95 混合流
96 混合流
97 第2の出口
98 抽出流/排気流の一部
99 1つ以上の補助測定装置
100 試験セル
106 希釈側
108 全体側
110 ダイリューショントンネル
112 多孔管
114 入口
115 内部流路
116 出口
118 多孔壁
121 細孔
125 キャップ
130 第2の管(拡散管)
132 第1の環状室(滞留室)
140 ハウジング
142 第2の環状室(希釈流室)/希釈空気流室
146 入口ポート
150 内部流路
152 多孔壁
160 細孔
162 ハウジング
164 環状室(トンネル室)
166 入口ポート
172 第1の端部
174 第2の端部
180 プレート
181 孔
182 複数の孔
184 サンプリング方法
240 ダイリューショントンネル/湾曲したトンネル
242 入口ポート
244 出口ポート
A 矢印
X 長手方向軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈装置であって、
第1の流体入口ポートおよび混合流体出口ポートと、
内部流路を画成する第1の多孔管であって、第1の多孔管の外側の外側領域と内部流路との間に連通する複数の細孔を有する第1の多孔管と、
第1の多孔管の周囲に配置された第2の多孔管であって、第2の多孔管と第1の多孔管との間に第1の室が配置され、第2の多孔管が、第2の多孔管の外側の外側領域と第1の室との間に連通する複数の細孔を有する第2の多孔管と、
第1および第2の多孔管を囲むハウジングであって、第2の多孔管の周囲に第2の室を少なくとも部分的に画成し、第2の室に連通する第2の流体入口ポートを有するハウジングと
を備え、
第1の多孔管が、第2の室に連通する第1の多孔管の第1の端部にポートを含む、希釈装置。
【請求項2】
第1の室と流体連通する第2の出口をさらに含む請求項1に記載の希釈装置。
【請求項3】
希釈装置の第1の流体入口ポートに結合されているトンネルをさらに含み、トンネルが、多孔壁によって画成された内部流路と、多孔壁の周囲に形成され多孔壁の周囲にトンネル室を少なくとも部分的に画成するハウジングとを含み、トンネルのハウジングが、トンネル室に連通する入口を有する請求項1に記載の希釈装置。
【請求項4】
排気サンプリングシステムであって、
圧縮空気源に流体接続されかつ希釈流の特性を検出するように構成された第1の流量センサと、
第1の流量センサに流体接続されかつ希釈流を希釈装置の希釈流入口ポートに制御可能に導くように構成された流量制御弁と、
希釈装置の出口ポートに流体接続されかつ混合流の特性を検出するように構成された第2の流量センサと、
希釈流の検出された特性と混合流の検出された特性との差に基づき、希釈装置の抽出部材によって抽出されるエンジン排気ガスの流れの質量流量を制御するように構成された制御装置と
を備え、
希釈装置が、
内部流路を有する第1の多孔管であって、第1の多孔管が、第1の多孔管の外側に配置された第1の室と内部流路との間に連通する複数の細孔を有し、第1の室が、外壁の外側に配置された第2の室との間を連通する複数の細孔を有する外壁を有し、第2の室が希釈流入口ポートに連通し、第1の多孔管が、第2の室に連通する第1の多孔管の第1の端部にポートを含む第1の多孔管を含む、排気サンプリングシステム。
【請求項5】
動力源に接続された流体サンプリングシステムによって流体の流れを制御する方法であって、
動力源からの流体の一部を抽出するステップと、
流体の一部を希釈装置の室内に導くステップと、
室の周囲の多孔壁を通して希釈ガスを室内に導くステップと、
希釈ガスを室の中央領域の多孔管を通して室内に導くステップと、
室に連通する出口ポートを通して、流体の一部と希釈ガスとの混合流を希釈装置の外へ導くステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−164609(P2008−164609A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337034(P2007−337034)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】