説明

帯域割り当て装置

【課題】本発明は、ONUからの帯域要求に応じて、OLTと上位SW間で使用する帯域を公平に割り当てることで、上位SW下部に収容されているONUへの帯域利用の公平性を担保することを目的とする。
【解決手段】本願発明の帯域割り当て装置は、個別装置1に対応付けられた重み及び個別装置1の要求帯域を、個別装置1を収容する前段の集線装置2ごとに管理する前段集線装置要求帯域管理テーブル21と、前段集線装置要求帯域管理テーブル21から、個別装置1に対応付けられた重み及び個別装置1の要求帯域を読み出し、要求のある個別装置1の重みの総和及び要求帯域の総和を算出する前段集線装置帯域通知部22と、前段の集線装置2ごとの重みの総和を用いて前段の集線装置2の出力方路帯域を割り当てる後段集線装置帯域割当部33と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステムにおいてONU及び当該ONUを収容するOLTに帯域を割り当てるOLT帯域割り当て装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力方路の帯域を共用する装置を2段構成の集線装置に収容し、前段の集線装置2が個別装置1に帯域を割り当て、後段の集線装置3で前段の集線装置2に帯域を割当するシステムとして(図5)、例えば、特許文献1と特許文献2に示される前段の集線装置2に集合型ONUを用いたPONシステム(図6)や、特許文献3に示される複数装置からの回線を収容するSW(SWitch)をカスケードに接続した装置がある。
【0003】
これらの装置では、出力方路の有効利用のために前段の集線装置2に割り当てる帯域を動的に変更する。前段の集線装置2に対する帯域割り当ては、特許文献1と2に示される方式では、後段の集線装置3であるOLTから前段の集線装置2であるONUに対するPONの動的帯域割当のプロトコルによって割り当てられ、特許文献3では後段の集線装置3から前段の集線装置2に対する輻輳通知によって通知される。
【0004】
しかし、これらの構成では、どの前段の集線装置2に集線されるかによって、割当帯域に多寡が発生し、異なる前段の集線装置2に集線される個別装置1間での公平性が担保できない問題がある。例えば、輻輳の少ない前段の集線装置2に収容される個別装置1は、輻輳の大きい前段の集線装置2に収容される個別装置1よりも割当帯域が大きくなり、不公平な割り当てとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−314564号公報
【特許文献2】特開2001−94565号公報
【特許文献3】特開2001−16206号公報
【特許文献4】特開2003−264588号公報
【特許文献5】特開2003−264586号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】O. Yoshihara, N. Oota, and N. Miki, “Dynamic Band Allocation Circuit, Dynamic Band Allocation Method, Dynamic Band Allocation Program, and Recording Medium,” US Patent 7433312, 2005(三鬼−太田DBA)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ONUからの帯域要求に応じて、OLTと上位SW間で使用する帯域を公平に割り当てることで、上位SW下部に収容されているONUへの帯域利用の公平性を担保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の帯域割り当て装置は、個別装置に対応付けられた重み及び前記個別装置の要求帯域を、前記個別装置を収容する前段の集線装置ごとに管理する前段集線装置要求帯域管理テーブルと、前記前段集線装置要求帯域管理テーブルから、前記個別装置に対応付けられた重み及び前記個別装置の要求帯域を読み出し、要求のある前記個別装置の重みの総和及び前記要求帯域の総和を前記前段の集線装置ごとに算出する算出部と、前記算出部の算出した前記前段の集線装置ごとの前記重みの総和を用いて、前記前段の集線装置の出力方路帯域を割り当てる後段集線装置帯域割当部と、を備える。
【0009】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする後段集線装置不足カウンタをさらに備え、前記後段集線装置帯域割当部は、前記後段集線装置不足カウンタの値の高い順に、前記前段の集線装置の出力方路帯域を算出して割り当ててもよい。
【0010】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする後段集線装置不足カウンタをさらに備え、前記後段集線装置帯域割当部は、前記後段集線装置不足カウンタの値が零に漸近するように、前記前段の集線装置の出力方路帯域を算出して割り当ててもよい。
【0011】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記後段集線装置不足カウンタは、出力方路帯域に前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和を乗じ、前記個別装置の重みの総和の合計で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新してもよい。
【0012】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段の集線装置は、前記個別装置に対する割当不足をカウントする前段集線装置不足カウンタと、前記前段集線装置不足カウンタの値の高い順に、前記後段集線装置帯域割当部から割り当てられた出力方路帯域を前記個別装置に割り当てる前段集線装置帯域割当部と、をさらに備えてもよい。
【0013】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする前段集線装置不足カウンタと、前記前段集線装置不足カウンタの値が零に漸近するように、前記後段集線装置帯域割当部から割り当てられた出力方路帯域を前記個別装置に割り当てる前段集線装置帯域割当部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段集線装置不足カウンタは、出力方路帯域に前記個別装置の重みを乗じ、前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新してもよい。
【0015】
本願発明の帯域割り当て装置では、前記前段集線装置不足カウンタは、前記前段の集線装置への割り当て帯域に前記個別装置の重みを乗じ、前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新してもよい。
【0016】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ONUからの帯域要求に応じて、OLTと上位SW間で使用する帯域を公平に割り当てることで、上位SW下部に収容されているONUへの帯域利用の公平性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るネットワークシステムの構成例を示す。
【図2】実施形態1に係るネットワークシステムの具体例を示す。
【図3】実施形態1に係る帯域割当のフローの一例を示す。
【図4】実施形態1に係る帯域割当の方法の他形態を示す。
【図5】従来のシステム構成の一例を示す。
【図6】集合型ONUを収容するPONシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0020】
(実施形態1)
図1を利用して、本願発明の構成を説明する。ここで、本実施形態に係るネットワークシステムは、個別装置1と、前段の集線装置2と、後段の集線装置3と、を備える。個別装置1は、帯域要求部11を備える。前段の集線装置2は、前段集線装置要求帯域管理テーブル21と、前段集線装置帯域通知部22と、前段集線装置帯域割当部23と、前段集線装置不足カウンタ24と、を備える。後段の集線装置3は、後段集線装置要求帯域管理テーブル31と、後段集線装置輻輳判断部32と、後段集線装置帯域割当部33と、後段集線装置不足カウンタ34と、を備える。
【0021】
前段集線装置要求帯域管理テーブル21は、個別装置1に対応付けられた重み及び個別装置1の要求帯域を、個別装置1を収容する前段の集線装置2ごとに管理する。前段集線装置帯域通知部22は、算出部としての機能を有する。算出部は、前段集線装置要求帯域管理テーブル21から、個別装置1に対応付けられた重み及び個別装置1の要求帯域を読み出し、要求のある個別装置1の重みの総和及び要求帯域の総和を算出する。前段集線装置帯域割当部23は、後段集線装置帯域割当部33から割り当てられた出力方路帯域を、個別装置1に対応付けられた重み付けを用いて個別装置1に割り当てる。前段集線装置不足カウンタ24は、個別装置1への割り当て不足をカウントする。
【0022】
後段集線装置輻輳判断部32は、輻輳判断部としての機能を有する。輻輳判断部は、前段集線装置帯域通知部22の算出した要求帯域の総和から輻輳を検知する。後段集線装置帯域割当部33は、後段集線装置輻輳判断部32が輻輳と判断している間、前段の集線装置2ごとの重みの総和を用いて前段の集線装置2の出力方路帯域を割り当てる。後段集線装置不足カウンタ34は、前段の集線装置2への割り当て不足をカウントする。
【0023】
ONUを収容するOLTを前段の集線装置2とし、OLTの出力を集線するSWを後段の集線装置3とする例で示すが、特許文献1の集合ONUを収容するPONであってもよいし、PON以外の複数の集線装置が多段に集線していてもよいし、2段以上の段数で集線していてもよい(図5)。複数のPONの代わりに同一のPONであるが、異なる波長を使って通信するWDM/TDM−PONや複数の冗長経路を切り替えてまたは同時に使って通信するPONであってもよい。
【0024】
図2に、本実施形態に係るネットワークシステムの具体例を示す。本願のシステムは、ONU1〜ONU4と、OLT5〜OLT6と、ONU1〜ONU4とOLT5〜OLT6とを接続するODN(Optical Distribution Network)と、OLTの出力を集線するSWと、から構成される。以下ONU→OLT→SWへの上り帯域の割当に着目して説明するが、下り帯域割当も同様である。ONU1〜ONU4は個別装置1としての機能を有する。OLT5〜OLT6は前段の集線装置2としての機能を有する。SWは、後段の集線装置3としての機能を有する。
【0025】
ONUはOLTに対し、帯域を要求する。OLTは収容するONUで帯域要求のあるONUに、OLTが割当可能な帯域に当該ONUの帯域割当の重み付けの値、例えば保証帯域の値を乗じ、当該OLTが収容するONUで帯域要求のあるONUの帯域割当の重みの値の総和で除した帯域を割当する。
【0026】
OLTが割当可能な帯域は例えば、SWから当該OLTが割り当てられた帯域であり、当該OLTが割り当てられた帯域からONUとのOAM(Operation, Administration, and Maintenance)のための帯域や固定割当のための帯域を除きSWとのOAMのための帯域を加えた帯域である。
【0027】
帯域割当は、当該ONUが要求する帯域を上限として割り当ててもよいし、当該OLTに収容する全ONUの要求する帯域以上の割当可能な帯域がある場合は、特許文献4に示される非所要帯域割当をしてもよい。更に、非特許文献1に示すように前段集線装置不足カウンタ24としてDeficitカウンタを備え、そのカウンタ値の零に漸近する割当であってもよい。Deficitカウンタは指数平均でカウントしてもよいし、スライディングウインドウや、ジャンピングウインドウでカウントしてもよい。割当不足の代わりに割当超過をカウントしてもよい。非所要帯域割当をする場合や、フラグメント防止のために割当帯域の粒度が大きいことによってOLTからの割当帯域とONUの利用帯域が合致しない場合は、カウンタでの演算で割当帯域の代わりに利用帯域を用いてもよい。これらは以降の説明でも同様である。
【0028】
ここで図3を用いて本実施形態に係る帯域割当の方法について説明する。
OLTはONUから帯域要求を受信する(ステップSL21)。
前段集線装置帯域通知部22は、要求のあるONUの重みを、前段集線装置要求帯域管理テーブル21から読み出す(ステップSL22)。
要求のあるONUの不足カウンタ値を、前段集線装置不足カウンタ24から読み出す(ステップSL23)。
前段集線装置帯域通知部22はSWに対し、収容するONUの要求帯域の総和と、収容するONUで要求のあるONUの帯域割当の重みの総和を通知する(ステップSL24)。SWは、OLTからの通知を受信する(ステップSS21)。
【0029】
ここで、要求のあるONUの帯域割当の重みの総和の通知は、ONU毎の帯域割当の重みの値をSW側の後段集線装置要求帯域管理テーブル31で保持し、帯域要求のあるONUをSWに通知することで替えてもよい。また、通知するONUの帯域割当の重みの総和が保証帯域の総和である場合で、いずれかのONUの要求帯域が当該ONUの保証帯域未満である場合は、そのONUの要求帯域を保証帯域に替えて総和をとってもよい。
【0030】
要求のあるONUの帯域割当の重みの総和の通知に代えて、当該OLTが収容する全ONUのDeficitカウンタの総和を通知してもよい。Deficitカウンタの総和を通知する場合は、Deficitカウンタの積算の際に、ONUを収容するOLTが割当て可能な帯域に当該ONUの帯域割当の重みの比を乗じ当該OLTに収容するONUで帯域要求のあるONUの帯域割当ての重みの総和で除した値から当該ONUへの割当帯域を減じた値を用いる代わりに、非輻輳時に当該ONUに割り当てうる最大の帯域、例えば、PONで割当てに用いうる帯域またはSWの出力方路の帯域に当該ONUの帯域割当の重みの比を乗じ当該OLTに収容するONUで帯域要求のあるONUの帯域割当ての重みの総和で除した値から当該ONUへの割当帯域を減じた値を用いるのが好ましい。
【0031】
後段集線装置帯域輻輳判断部32は、後段集線装置要求帯域管理テーブル31から各OLTの要求帯域を読み出し、輻輳を検知する。後段集線装置帯域輻輳判断部32が輻輳を検知している間、SWはステップSS22及びステップSS23を行う。
【0032】
後段集線装置帯域割当部33は、OLTごとに帯域割当を行い、OLTに通知する(ステップSS22)。このとき、SWは収容するOLTで帯域要求のある又は帯域割当の重みの値の総和が零で無いOLTに、SWが割当可能な帯域に、当該OLTの帯域割当の重みの値の総和を乗じ、当該SWが収容するOLTで帯域要求のある又は帯域割当の重みの値の総和が零でないOLTの帯域割当の重みの値の総和の合計で除した帯域を割当する。
【0033】
SWが割当可能な帯域は例えば、SWの出力方路の帯域、又は、当該SWの出力方路の帯域からOLTとのOAMのための帯域や固定割当のための帯域を除いた帯域である。帯域割当は、当該OLTが要求する帯域の総和を上限として、割当してもよいし、当該SWに収容する全OLTの要求する帯域の総和の合計以上の割当可能な帯域がある場合は、非所要帯域割当をしてもよい。
【0034】
更に、後段集線装置不足カウンタ34としてDeficitカウンタを備える場合、後段集線装置不足カウンタ34はOLT毎の不足カウンタ値を算出する(ステップSS23)。後段集線装置帯域割当部33の割り当ては、そのカウンタ値の零に漸近する割当であってもよい。Deficitカウンタを備えると、複数の割当周期での割当で割当帯域の平準化が図れるため望ましい。SWでのOLTへの割当がOLTからONUへの割当に反映されるまでの遅延が生ずることから、SWのDeficitカウンタでカウントする周期は、OLTでカウントする周期よりも長いことが望ましい。また、SWに十分にバッファがある場合は、特許文献5に示すようにSWのバッファ中のキュー長に応じたOLTに対する帯域割当ての切り替えを併用してもよい。
【0035】
OLTは、SWからの通知を受信する(ステップSL25)。前段集線装置帯域割当部23は、ONUに対応付けられた重み付けの比を用いて各ONUに帯域割り当てを行う(ステップSL26)。前段集線装置不足カウンタ24は、ONU毎の不足カウンタ値を算出する(ステップSL27)。
【0036】
本実施形態では、SWの出力方路帯域が1000Mbpsであるとし、ONU1およびONU2がOLT5に対してそれぞれ200Mbpsに相当する帯域を要求し、ONU3およびONU4がOLT6に対してそれぞれ300Mbpsに相当する帯域を要求し、各ONUの保証帯域の値は等しいとする。
【0037】
発明の構成によれば、SWは出力方路帯域を、要求帯域の和を上限に割り当て、余剰帯域を重みの和の比で割り当てを行うので、OLT5に400Mbpsを割り当て、OLT6に600Mbps割り当てる。
【0038】
図4に、本実施形態に係る帯域割当の方法の他形態を示す。本形態は、ステップSL26及びステップSL27に代えて、ステップSL36及びステップSL37を有する。
本形態では、OLTがONU毎に前段集線装置不足カウンタ24を備え、ステップSL36において、前段集線装置帯域割当部23が不足カウンタ値の大きいONUから順に割り当てを行う。
【0039】
OLT5では、要求帯域の合計が割り当て量と等しいため、ONU1から割り当てても、ONU2から割り当てても、いずれのONUにも200Mbpsずつ割り当てられる。
【0040】
OLT6では、初期の不足カウンタが等しいため、まずONU3に要求量である400Mbpsを割り当て、ONU4に残りの200Mbpsを割り当てる。
【0041】
そして、ステップSL37において、ONUの前段集線装置不足カウンタ24は、次式を用いて不足カウンタの値D(t−1)をD(t)に更新する。
【数1】

ただし、αは0<α≦1で定められる平滑化係数である。
【0042】
ここで、式(1)におけるDは、OLTへの割当量BにONUの重みWを乗じ、OLT下部のONUの重みの総和ΣWで除した値から、ONUへの割当量Aを減じた値を加算することによって算出される。すなわち前段集線装置不足カウンタ24は次式を用いて不足カウンタの値を更新する。
【数2】

【0043】
例えば、OLT6の前段集線装置不足カウンタ24は、ONU3の不足カウンタ値に、出力方路帯域1000MbpsにONU3の重み1を乗じ、OLT6下部のONUの重みの総和2で除した値から、割り当て量400Mbpsを減じた値である100Mbpsを加算する。OLT6の前段集線装置不足カウンタ24は、ONU4の不足カウンタ値に、出力方路帯域1000MbpsにONU4の重み1を乗じ、OLT6下部のONUの重みの総和2で除した値から割り当て量200Mbpsを減じた値である300Mbpsを加算する。
【0044】
OLT6では、次回割り当て時に、不足カウンタ値の大きいONU4に要求量である400Mbpsを割り当て、その次にONU3に残りの200Mbpsを割り当てる。
【0045】
本願では、帯域要求のあるONUの帯域割当の重みの値の総和の比に応じてOLTに帯域を割当し、帯域割当の重みの値の総和の比に応じた帯域をOLTで帯域要求のあるONUに割当するので、結果としてどのONUも、全OLTに収容されるONUで帯域要求のあるONUの重みの総和に対する、それぞれの帯域割当の重みの比で帯域割当することができる。従って、特定のOLTに帯域要求のあるONUが偏った場合も収容されるOLTによらずにONUに対して公平に帯域割当することが出来る。
【0046】
更に、SWからOLTに個別のONUに対する割当抑止の通知をしなくてもよいので、そのための通信量が増大する問題もない。また、割当抑止の通知をしなくてもよいことから、順次通信するための抑止までの遅延によって、その順番による不公平性が生じる問題もない。また個別のONUに対する割当帯域をSWで保持する必要がないため、SWにおける処理量も増大しない。また抑止の伴うOLTとSWでのDeficitカウンタの積算の特殊処理をする必要もない。
【0047】
また、帯域要求のあるONUの帯域割当の重みの値の総和の通知として、当該OLTが収容する全ONUのDeficitカウンタの総和の通知を用いる場合は、一部のOLTにのみ、少量の帯域を、連続的に要求を要求するONUが収容される場合でも公平性が担保できる。これは収容されるOLTへの帯域割当の量によらずに、全ONUで共通のDeficitカウンタを積算し、そのDeficitカウンタの値を零に漸近するように割当するからである。
【0048】
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1と不足カウンタ算出方法と割り当て方法のみ異なる例を説明する。本実施形態では、後段集線装置不足カウンタ34及び前段集線装置不足カウンタ24が零に漸近するようにラウンドロビンで算出し、不足カウンタ値を割り当て帯域基準に算出する。
【0049】
後段集線装置帯域割当部33が、出力方路帯域を、要求帯域の和を上限に割り当て、余剰帯域を後段集線装置不足カウンタ34の値が大きい順に行う。初期状態を除き、OLT5の不足カウンタ値が常に大きくなるため、後段集線装置帯域割当部33は、OLT5に400Mbpsを割り当て、その後にOLT6に600Mbps割り当てる。
【0050】
後段集線装置不足カウンタ34は、OLT5には、出力方路帯域1000MbpsにOLT5下部のONUの重みの総和2を乗じ、OLT5及びOLT6の重みの総和の合計4で除した値から割り当て量400Mbpsを減じた値である100Mbpsを加算することによって不足カウンタ値を更新する。後段集線装置不足カウンタ34は、OLT6の不足カウンタには、出力方路帯域1000MbpsにOLT6下部のONUの重みの総和2を乗じ、OLT5及びOLT6の重みの総和の総和4で除した値から割り当て量600Mbpsを減じた値である−100Mbpsを加算することによって不足カウンタ値を更新する。
【0051】
OLT6では、各ONUの初期の不足カウンタの値が等しいため、OLT6の前段集線装置帯域割当部23は、ラウンドロビンによりONU3およびONU4に300Mbpsを割り当てる。
【0052】
OLT6の前段集線装置不足カウンタ24は、ONU3およびONU4の不足カウンタの値に、OLT割り当て帯域600MbpsにONUの重み1を乗じ、OLT6のONUの重みの総和2で除した値から割り当て量300Mbpsを減じた値である0Mbpsを加算することによって不足カウンタ値を更新する。
【0053】
OLT6では、次回割り当て時以降も同様に割り当てる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1:個別装置
2:前段の集線装置
3:後段の集線装置
11:帯域要求部
21:前段集線装置要求帯域管理テーブル
22:前段集線装置帯域通知部
23:前段集線装置帯域割当部
24:前段集線装置不足カウンタ
31:後段集線装置要求帯域管理テーブル
32:後段集線装置輻輳判断部
33:後段集線装置帯域割当部
34:後段集線装置不足カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別装置に対応付けられた重み及び前記個別装置の要求帯域を、前記個別装置を収容する前段の集線装置ごとに管理する前段集線装置要求帯域管理テーブルと、
前記前段集線装置要求帯域管理テーブルから、前記個別装置に対応付けられた重み及び前記個別装置の要求帯域を読み出し、要求のある前記個別装置の重みの総和及び前記要求帯域の総和を前記前段の集線装置ごとに算出する算出部と、
前記算出部の算出した前記前段の集線装置ごとの前記重みの総和を用いて、前記前段の集線装置の出力方路帯域を割り当てる後段集線装置帯域割当部と、
を備える帯域割り当て装置。
【請求項2】
前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする後段集線装置不足カウンタをさらに備え、
前記後段集線装置帯域割当部は、前記後段集線装置不足カウンタの値の高い順に、前記前段の集線装置の出力方路帯域を算出して割り当てることを特徴とする請求項1に記載の帯域割り当て装置。
【請求項3】
前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする後段集線装置不足カウンタをさらに備え、
前記後段集線装置帯域割当部は、前記後段集線装置不足カウンタの値が零に漸近するように、前記前段の集線装置の出力方路帯域を算出して割り当てることを特徴とする請求項1に記載の帯域割り当て装置。
【請求項4】
前記後段集線装置不足カウンタは、出力方路帯域に前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和を乗じ、前記個別装置の重みの総和の合計で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新することを特徴とする請求項2又は3に記載の帯域割り当て装置。
【請求項5】
前記前段の集線装置は、前記個別装置に対する割当不足をカウントする前段集線装置不足カウンタと、
前記前段集線装置不足カウンタの値の高い順に、前記後段集線装置帯域割当部から割り当てられた出力方路帯域を前記個別装置に割り当てる前段集線装置帯域割当部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の帯域割り当て装置。
【請求項6】
前記前段の集線装置への割り当て不足をカウントする前段集線装置不足カウンタと、
前記前段集線装置不足カウンタの値が零に漸近するように、前記後段集線装置帯域割当部から割り当てられた出力方路帯域を前記個別装置に割り当てる前段集線装置帯域割当部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の帯域割り当て装置。
【請求項7】
前記前段集線装置不足カウンタは、出力方路帯域に前記個別装置の重みを乗じ、前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新することを特徴とする請求項5又は6に記載の帯域割り当て装置。
【請求項8】
前記前段集線装置不足カウンタは、前記前段の集線装置への割り当て帯域に前記個別装置の重みを乗じ、前記前段の集線装置下部の前記個別装置の重みの総和で除した値から、実際の割当量を減じた値を加算することによって、不足カウンタ値を更新することを特徴とする請求項5又は6に記載の帯域割り当て装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106264(P2013−106264A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249903(P2011−249903)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】