説明

帯状部材の切断用具

【課題】梱包用バンドなどの張力が発生している帯状部材の切断の際に、引きちぎれの発生が抑えられ、しかも、簡便性を備えた構造とする、新規な切断用具を提案する。
【解決手段】帯状部材5を切断するための刃部21・31と、前記帯状部材5の被切断部位5aの両側の部位を挟持するための挟持機構23・33と、をそれぞれ有する一対のアーム部材2・3を有し、前記一対のアーム部材2・3が回動可能に連結される、帯状部材の切断用具1であって、前記両アーム部材2・3の挟持機構23・33にて、前記被切断部位5aの両側の部位を挟持した状態において、前記被切断部位5aを、前記両アーム部材2・3の刃部21・31にて切断する構成とする、帯状部材の切断用具1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包資材として用いられるバンドなどの帯状部材を切断するための切断用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1乃至3に開示されるように、先端部に刃物を設けた切断用具が知られている。これらの切断用具は、切断の対象物の特性や、作業箇所(例えば高所など)に応じて特殊な機構を採用することにより、切断の作業性の向上などを図ることとしている。
【0003】
これら特許文献に開示されるように、特殊な機構を採用するものも知られている一方で、一般的な紐やバンドなどの帯状部材の切断においては、周知の構造のハサミ(V字状に枢結される一対の刃物を有するハサミ)が切断用具として用いられている。
【0004】
例えば、図8(a)に示される梱包の形態のように、パレット80に積み上げた資材81を梱包用フィルム82で覆うとともに、荷崩れがしないように梱包用フィルム82を外側から梱包用バンド83にて取り囲むものがあるとする。このような梱包の場合において、開梱の際には、周知の構造のハサミ84を用いて梱包用バンド83を切断するということが行われ得る。また、このような梱包においては、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる梱包用バンド83が多く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−66820号公報
【特許文献2】特開平9−110021号公報
【特許文献3】実用新案登録第3071627号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8(a)に示されるような梱包の形態の場合、積み上げた資材81の梱包用バンド83は、荷崩れを防止するためにしっかりとした締め付けがなされるようになっており、図8(b)に示すように、梱包用バンド83には張力90が発生した状況となっている。このため、開梱作業の際に、ハサミによって梱包用バンド83に切込み85が入った際には、切込み85が入っていない未切込箇所86に張力90が集中し、未切込箇所86が引きちぎられるという現象が生じることが確認された。
【0007】
そして、このように未切込箇所86が引きちぎられることになると、梱包用バンド83の破片87が飛散する可能性があり、この飛散によって予期せぬ不具合が発生することも懸念される。特に、合成樹脂からなる梱包用バンド83は、繊維状の破片87が形成されることが懸念され、また、その破片87が微小なものとなるため、飛散の可能性が高くなるものと考えられる。
【0008】
これに対し、例えば、作業員ひとりが梱包用バンドの切断箇所の両側を手で押さえることで張力を和らげるとともに、もう一人の作業員がハサミで切断をする、という二人掛りによる作業によれば、上記の問題は解消されるとも考えられる。しかし、二人掛りの作業となると、人員配置の問題が生じたり、作業効率が悪くなったりするなど、新たな課題が生じることになる。
【0009】
他方、周知の構造のハサミは、その操作も簡易であり、持ち運びも容易であって、簡便なものであることは明らかであることから、このような簡便性を備えるものによって、上記の問題を解決できることが望まれるものである。
【0010】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑み、梱包用バンドなどの張力が発生している帯状部材の切断の際に、引きちぎれの発生が抑えられ、しかも、簡便性を備えた構造とする、新規な切断用具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1に記載のごとく、
帯状部材を切断するための刃部と、
前記帯状部材の被切断部位の両側の部位を挟持するための挟持機構と、
をそれぞれ有する一対のアーム部材を有し、
前記一対のアーム部材が回動可能に連結される、帯状部材の切断用具であって、
前記両アーム部材の挟持機構にて、前記被切断部位の両側の部位を挟持した状態において、
前記被切断部位を、前記両アーム部材の刃部にて切断する構成とする、
帯状部材の切断用具とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載のごとく、
前記両アーム部材における前記刃部の反対側の部位には、それぞれ、指を挿入するための指挿入部が設けられる構成とするものである。
【0014】
また、請求項3に記載のごとく、
前記挟持機構は、アーム部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材に弾性部材を介して連結され、ベース部材に対して相対移動可能な挟持用部材と、を有する構成とするものである。
【0015】
また、請求項4に記載のごとく、
前記ベース部材は、前記アーム部材に対して着脱可能に構成される構成とするものである。
【0016】
また、請求項5に記載のごとく、
挟持用部材における帯状部材に接する表面が、摩擦面で構成されることとするものである。
【0017】
また、請求項6に記載のごとく、
前記アーム部材における前記指挿入部が配置される側が、紐状部材で結ばれる構成とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
アーム部材を回動させるだけで、被切断部位に対し帯状部材に作用する張力を直接的に作用させることなく、被切断部位の切断を行うことができ、切断の過程において、未切込箇所が引きちぎられるといった不具合を防止でき、被切断部位の破片の発生や飛散を確実に防止することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明においては、
指挿入部に指を入れるとともに、アーム部材を回動させて刃部を互いに近づけて帯状部材を挟み込むことにより、帯状部材を切断できることとなり、周知の構造のハサミと同等の操作によって切断作業を行うことが可能となって、操作性が極めて良好なものとなる。また、片手による作業が可能であることから、作業員一人によって切断作業を行い得ることはいうまでもない。
【0021】
また、請求項3に記載の発明においては、
挟持機構によって帯状部材が挟持された状態では、弾性部材が圧縮されて弾性反力が生じ、この弾性反力によって、帯状部材をしっかりと挟持した状態とすることができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明においては、
アーム部材の刃部が摩耗した場合などにおいては、ベース部材を取外すことで、刃部のメンテナンスなどを容易に行うことが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明においては、
帯状部材と摩擦面の間に、高い摩擦力が生じることとなって、挟持機構によって帯状部材を挟持した際において、帯状部材が滑って挟持機構から外れてしまうことを、より確実に防止することが可能となる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明においては、
切断が完了して、指挿入部へかける力を解放した際においても、紐状部材によって、指挿入部の離れあう距離が制限されることになり、前記弾性部材が弾性復帰した際に生じる反力によって、指挿入部の距離が大きく開かれて、挿入した指に大きな負担や衝撃が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の切断用具の一実施例について示す図。
【図2】切断用具を分解した状態について示す図。
【図3】(a)は挟持機構のアーム部材への固定について示す図。(b)はストッパー部材を棒状部材に固定した状態について示す図。(c)は挟持機構の構成部材について示す図。
【図4】(a)は帯状部材を挟持する前の状態について示す図。(b)は帯状部材を挟持した状態について示す図。(c)は帯状部材を切断する状態について示す図。
【図5】(a)は帯状部材を挟持した状態について示す図。(b)は帯状部材を切断する状態について示す図。(c)は帯状部材が切断された状態について示す図。
【図6】(a)は帯状部材を挟持した状態について示す図。(b)は帯状部材の一部に切込みが入った状態について示す図。(c)は帯状部材の全部に切込みが入った状態について示す図。(d)帯状部材が切断された状態について示す図。
【図7】切断用具の他の構成例について示す図。
【図8】(a)は従来の梱包の一形態について示す図。(b)は周知の構造のハサミによって梱包用バンドが切断される際の状況について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態は、図1の実施例に示すごとく、
帯状部材5を切断するための刃部21・31と、
前記帯状部材5の被切断部位5aの両側の部位を挟持するための挟持機構23・33と、
をそれぞれ有する一対のアーム部材2・3を有し、
前記一対のアーム部材2・3が回動可能に連結される切断用具1であって、
前記両アーム部材2・3の挟持機構23・33にて、前記被切断部位5aの両側の部位を挟持した状態において、
前記被切断部位5aを、前記両アーム部材2・3の刃部21・31にて切断する構成とする、
切断用具1とするものである。
以下、実施例の詳細について説明する。
【0027】
図1に示すごとく、切断用具1は、一対のアーム部材2・3を回動軸4によって回動可能に連結される構成とするものであって、各アーム部材2・3の一端側には刃部21・31が設けられ、他端側には指を挿入するための指挿入部22・32がそれぞれ設けられている。
【0028】
この構成により、図1に示すごとく、指挿入部22・32に指を入れるとともに、回動軸4を支点として、アーム部材2・3を回動させて刃部21・31を互いに近づけて帯状部材5を挟み込むことにより、帯状部材5を切断できることとしている。なお、切断の対象とする帯状部材5としては、図1に示されるような幅を有する帯状のもののほか、断面が円形、楕円形、多角形のものなども含むものである。
【0029】
また、図1に示すごとく、各アーム部材2・3において、刃部21・31が形成される部位においては、それぞれ挟持機構23・33が設けられる構成としている。この挟持機構23・33は、帯状部材5を切断する際において、帯状部材5の被切断部位5aの両側を挟み込んで挟持する構成としている。
【0030】
また、図2は、一対のアーム部材2・3を分解した状態について示すものである。
各アーム部材2・3は、刃部21・31が形設される第一アーム部2a・3aと、第一アーム部2a・3aの刃部21・31とは反対側の部位に形設される第二アーム部2b・3bと、有する構成としている。また、第二アーム部2b・3bにおいては、挟持機構23・33のベース部材23c・33cがそれぞれ固定される構成としている。
【0031】
また、図2に示す挟持機構23・33は、分解された状態を示すものである。両アーム部材2・3の挟持機構23・33は、同様の構成であり、図3(a)(b)(c)を用いて、アーム部材2の挟持機構23の構成について説明する。挟持機構23は、アーム部材2の第二アーム部2bに固定されるベース部材23cと、ベース部材23cに弾性部材23s・23sを介して連結され、ベース部材23cに対して相対移動可能な挟持用部材23a・23bと、を有する構成としている。
【0032】
図3(a)(b)(c)に示すごとく、ベース部材23cは、縦幅W1、横幅W2とする板状の部材であって、その一側面がアーム部材2の第二アーム部2bに対し溶接や接着剤などで固定される。また、このベース部材23cには、複数箇所(本実施例では4箇所)に、貫通孔23d・23dが設けられている。
【0033】
また、図3(a)(b)(c)に示すごとく、挟持用部材23a・23bは、それぞれ、縦幅W3、横幅W4とする板状の部材であって、その一側面の複数箇所(本実施例では2箇所)には、棒状部材23e・23eが突設されている。そして、この棒状部材23e・23eには、棒状部材23e・23eを内側に貫通させるようにして、弾性部材23s・23sが取付られるようになっている。本実施例では、弾性部材23s・23sは、螺旋状のスプリング部材であって、このスプリング部材に棒状部材23e・23eが挿通されるようになっている。なお、弾性部材23s・23sは、金属、ゴム、樹脂、などの各種の素材にて構成されることができ、特に限定されるものではない。また、螺旋状のものに限らず、筒状のものや、板発バネ状のものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0034】
また、図3(a)(b)(c)に示すごとく、棒状部材23e・23eに弾性部材23s・23sを取付けた状態とするとともに、棒状部材23e・23eの先端部23f・23fが、ベース部材23cの貫通孔23d・23dにそれぞれ挿通されて、ベース部材23cから先端部23f・23fが突出された状態とする。なお、貫通孔23d・23dの内径は、棒状部材23e・23e(先端部23f・23f)の外径よりも大きく構成され、棒状部材23e・23eが貫通孔23d・23dを通じて進退できるようになっている。
【0035】
また、図3(a)(b)(c)に示すごとく、ベース部材23cから突出した先端部23f・23fに、貫通孔23d・23dの内径よりも大きな外径を有するストッパー部材23g・23gが取付けられる。これにより、棒状部材23e・23eがベース部材23cから抜け落ちない状態となる。なお、本実施例では、棒状部材23e・23eについて、先端部23f・23fに雄ネジが形設されるボルト部材にて構成するとともに、ストッパー部材23g・23gをナット部材にて構成することで、簡易な構造を実現できるものであるが、特にこの構成に限定されるものではない。
【0036】
また、図3(c)に示すごとく、挟持用部材23a・23bは、その間に幅W5の隙間23hが形設されるように配設されるようになっている。そして、この隙間23hの間に、アーム部材2の第一アーム部2a、第二アーム部2bが配置されるようになっており、後述するように、この隙間23hを第一アーム部2aが通過して、帯状部材の切断が可能となっている。
【0037】
以上のようにして、図3(a)(b)(c)に示すごとく、挟持機構23において、挟持用部材23a・23bが、それぞれ、弾性部材23s・23sを介してベース部材23cに取付けられた状態となる。また、挟持用部材23a・23bとベース部材23cの間の距離は、弾性部材23s・23sの変形によって変化するように構成される。また、挟持用部材23a・23bは、第一アーム部2aの刃部21の側に配置されるようになっている。
【0038】
なお、図3(a)(b)(c)に示すアーム部材2側の挟持機構23の構成は、図2に示すアーム部材3に設けられる挟持機構33にも同様に適用されるものであり、挟持機構33については、説明を省略する。また、図5(a)に示すごとく、挟持機構23・33は対向して配置されることにより、それぞれの挟持用部材23a・23bと、挟持用部材33a・33bが、それぞれ対向して配置されるようになっている。
【0039】
次に、図4乃至図6を用いて、帯状部材5の切断について説明する。
図4(a)に示すごとく、挟持機構23・33は、アーム部材2・3にそれぞれ設けられ、互いの挟持用部材23a・33aが対向した状態となる。この状態において、挟持用部材23a・33aの間に帯状部材5を配置した状態として、アーム部材2・3を回動させる。そうすると、図4(b)に示すごとく、挟持用部材23a・33aの間に、帯状部材5が挟持された状態となる。
【0040】
また、図4(b)の状態では、図5(a)に示すごとく、挟持用部材23a・33a、及び、挟持用部材23b・33bによって、帯状部材5が挟持された状態となっている。また、挟持用部材23a・23b、挟持用部材33a・33bのそれぞれの間には、幅W5の隙間23h・33hが存在するため、この幅W5に相当する範囲においては、帯状部材5が挟持されない状態となっている。この挟持されない帯状部材5の幅W5に相当する範囲内に、被切断部位5a(刃部21・31によって切断される部位)が形成されることになる。
【0041】
また、図4(b)及び図5(a)に示すごとく、挟持機構23・33によって帯状部材5が挟持された状態では、弾性部材23s・33sが圧縮されて、挟持用部材23a・23bとベース部材23cの距離、及び、挟持用部材33a・33bとベース部材33cの距離が、それぞれ小さくなる。また、これにより、棒状部材23e・33eが、それぞれ、ベース部材23c・33cから突き出された状態となる。このような状態となることによって、弾性部材23s・33sに弾性反力が生じ、この弾性反力によって、帯状部材5がしっかりと挟持された状態となる。
【0042】
また、図4(b)の状態においては、図5(a)、及び、図6(a)に示すごとく、帯状部材5に張力T1・T2が作用している状況であっても、被切断部位5aについては、その両側が、挟持用部材23a・33a、挟持用部材23b・33bによってそれぞれ挟持された状態となるため、この被切断部位5aには張力T1・T2が直接的に作用しない状況になっている。このように、帯状部材5において、被切断部位5aの両側を挟持機構23・33によって挟みこむことにより、被切断部位5aにおいては、張力T1・T2が直接的に作用しないこととなっている。なお、張力T1・T2は、梱包などの際に荷崩れ防止のために帯状部材5をしっかりと締め回すことにより発生しているものであり、挟持機構23・33によって帯状部材5が挟持された場合であっても、被切断部位5aに張力は存在することになるが、この張力は、帯状部材5の全体に作用する張力T1・T2よりも極めて小さいものとなる。
【0043】
また、図4(b)の状態においては、図5(a)に示すごとく、刃部21・31が帯状部材5の被切断部位5aに到達していない状況となる。即ち、刃部21・31が帯状部材5に到達する前において、挟持機構23・33による帯状部材5の挟持が完了された状態となる。
【0044】
そして、図4(c)に示すごとく、アーム部材2・3をさらに回動させることにより、刃部21・31による帯状部材5の切断が行われる。この切断の際には、図5(b)に示すごとく、帯状部材5において被切断部位5aの両側が挟持機構23・33によって挟持された状況となっているため、被切断部位5aに張力T1・T2が直接的に作用しない状況にて切断を行うことができる。
【0045】
また、図6(b)に示すごとく、被切断部位5aにおける切断が開始されて、切込み5bが入った段階においても、被切断部位5aには張力T1・T2が直接的に作用しない。このため、図6(c)に示すごとく、張力T1・T2によって切込み5bの箇所を大きく開かせることなく切断を完了させることができる。
【0046】
また、図6(b)に示すごとく、切断の過程において、切込み5bが入っていない未切込箇所5cについても、張力T1・T2が直接的に作用しないため、張力T1・T2が未切込箇所5cに直接的に集中することがない。このため、未切込箇所5cが張力T1・T2によって引きちぎられることを確実に抑えることができる。
【0047】
以上のようにして、図4(c)図5(b)に示すごとく帯状部材5の切断を完了し、アーム部材2・3を回動させていた手の力を緩めると、まずは、図4(b)及び図5(c)に示すように、アーム部材2・3の刃部21・31が帯状部材5から離れあい、その次に、図4(a)に示すごとく、挟持機構23・33の挟持用部材23a・33aが離れあうことによって、帯状部材5が開放されて、図6(d)に示すごとく、帯状部材5の切断作業を完了させることができる。
【0048】
以上のようにして、本発明を実施することが可能となる。
即ち、図1に示すごとく、
帯状部材5を切断するための刃部21・31と、
前記帯状部材5の被切断部位5aの両側の部位を挟持するための挟持機構23・33と、
をそれぞれ有する一対のアーム部材2・3を有し、
前記一対のアーム部材2・3が回動可能に連結される切断用具1であって、
前記両アーム部材2・3の挟持機構23・33にて、前記被切断部位5aの両側の部位を挟持した状態において、
前記被切断部位5aを、前記両アーム部材2・3の刃部21・31にて切断する構成とする、
切断用具1とするものである。
【0049】
これにより、アーム部材2・3を回動させるだけで、被切断部位5aに対し帯状部材5に作用する張力T1・T2を直接的に作用させることなく、被切断部位5aの切断を行うことができ、切断の過程において、未切込箇所が引きちぎられるといった不具合を防止でき、被切断部位5aの破片の発生や飛散を確実に防止することができる。
【0050】
また、図1に示すごとく、前記両アーム部材2・3における前記刃部21・31の反対側の部位には、それぞれ、指を挿入するための指挿入部22・32が設けられる構成とするものである。
【0051】
これにより、指挿入部22・32に指を入れるとともに、アーム部材2・3を回動させて刃部21・31を互いに近づけて帯状部材5を挟み込むことにより、帯状部材5を切断できることとなり、周知の構造のハサミ(V字状に枢結される一対の刃物を有するハサミ)と同等の操作によって切断作業を行うことが可能となって、操作性が極めて良好なものとなる。また、片手による作業が可能であることから、作業員一人によって切断作業を行い得ることはいうまでもない。
【0052】
また、図1に示すごとく、前記挟持機構23・33は、アーム部材2・3に固定されるベース部材23c・33cと、前記ベース部材23c・33cに弾性部材23s・33sを介して連結され、ベース部材23c・33cに対して相対移動可能な挟持用部材23a・23bと、を有する構成としている。
【0053】
これにより、図4(b)及び図5(a)に示すごとく、挟持機構23・33によって帯状部材5が挟持された状態では、弾性部材23s・33sが圧縮されて弾性反力が生じ、この弾性反力によって、帯状部材5をしっかりと挟持した状態とすることができる。
【0054】
さらに、以上の実施例の他、図7に示すごとく、前記ベース部材23c・33cは、前記アーム部材2・3に対して着脱可能に構成される、こととしてもよい。
【0055】
これにより、アーム部材2・3の刃部21・31が摩耗した場合などにおいては、ベース部材23c・33cを取外すことで、刃部21・31のメンテナンスなどを容易に行うことが可能となる。なお、ベース部材23c・33cの着脱を可能にする具体的な構成については、特に限定するものではないが、例えば、ベース部材23c・33cにアーム部材2・3を嵌入固定するための溝部23k・33kを設けることなどによって実現することができる。
【0056】
また、図7に示すごとく、挟持用部材33a・33b(挟持用部材23a・23bも同様)における帯状部材5に接する表面が、摩擦面33m・33mで構成されることとしてもよい。
【0057】
これにより、帯状部材5と摩擦面33m・33mの間に、高い摩擦力が生じることとなって、挟持機構23・33によって帯状部材5を挟持した際に、帯状部材5が滑って挟持機構23・33から外れてしまうことを、より確実に防止することが可能となる。なお、摩擦面33m・33mを形成する方法としては、表面を凹凸面で形成することや、高摩擦を発生するシート状のものを表面に貼付することなどの方法が適用され得る。
【0058】
また、図7に示すごとく、アーム部材2・3における前記指挿入部22・32が配置される側(回動軸4を挟んで刃部21・31と反対となる側)が、紐状部材6で結ばれる構成としてもよい。
【0059】
これにより、切断が完了して、指挿入部22・32へかける力を解放した際においても、紐状部材6によって、指挿入部22・32の離れあう距離が制限されることになり、前記弾性部材23s・23sが弾性復帰した際に生じる反力によって、指挿入部22・32の距離が大きく開かれて、挿入した指に大きな負担や衝撃が発生することを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、梱包用バンドなどの張力が発生した状態の帯状部材を切断するための切断用具として、幅広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 切断用具
2 アーム部材
3 アーム部材
4 回動軸
5 帯状部材
5a 被切断部位
21 刃部
22 指挿入部
23 挟持機構
23a 挟持用部材
23c ベース部材
23s 弾性部材
33 挟持機構
T1 張力
T2 張力



【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材を切断するための刃部と、
前記帯状部材の被切断部位の両側の部位を挟持するための挟持機構と、
をそれぞれ有する一対のアーム部材を有し、
前記一対のアーム部材が回動可能に連結される、帯状部材の切断用具であって、
前記両アーム部材の挟持機構にて、前記被切断部位の両側の部位を挟持した状態において、
前記被切断部位を、前記両アーム部材の刃部にて切断する構成とする、
帯状部材の切断用具。
【請求項2】
前記両アーム部材における前記刃部の反対側の部位には、それぞれ、指を挿入するための指挿入部が設けられる構成とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の帯状部材の切断用具。
【請求項3】
前記挟持機構は、アーム部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材に弾性部材を介して連結され、ベース部材に対して相対移動可能な挟持用部材と、を有する構成とする、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯状部材の切断用具。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記アーム部材に対して着脱可能に構成される構成とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の帯状部材の切断用具。
【請求項5】
前記挟持用部材における帯状部材に接する表面が、摩擦面で構成される、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の帯状部材の切断用具。
【請求項6】
前記アーム部材における前記指挿入部が配置される側が、紐状部材で結ばれる構成とする、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の帯状部材の切断用具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−36330(P2011−36330A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185025(P2009−185025)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】