説明

帯電促進添加剤を備えたエレクトレットウェブ

熱可塑性樹脂と帯電促進添加剤とのブレンドを含む、エレクトレットウェブが提示される。帯電促進添加剤は、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む。このブレンドから調製されるウェブは、フィルム又は不織繊維ウェブの形態であってよい。不織マイクロファイバーウェブは、濾材として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帯電促進添加剤を含有する不織熱可塑性マイクロファイバーウェブなどの不織繊維ウェブを包含するエレクトレットウェブ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトレットは、準永久電荷を示す誘電材料である。エレクトレットは、例えば、食品包装用フィルム、エアフィルタ、濾過用面体及び呼吸用マスクなどの種々のデバイスにおいて、並びにマイクロフォン、ヘッドフォン、及び静電記録装置などの電気音響的装置内の静電的要素として有用である。
【0003】
エアゾール濾過に使用されるマイクロファイバーウェブの性能は、繊維に電荷を付与し、エレクトレット材料を形成することによって改善することができる。特に、エレクトレットはエアゾールフィルタにおける粒子捕捉を向上させるのに有効である。マイクロファイバーウェブ内にエレクトレット材料を形成するために、多くの方法が知られている。このような方法としては、例えば、メルトブローン繊維がダイオリフィスから出て、繊維が形成された時点で、電子又はイオンなどの帯電粒子と衝突させることが挙げられる。他の方法としては、例えば、ウェブが形成された後で、DCコロナ放電によって繊維を帯電させること、又はカーディング及び/若しくはニードルタッキング(摩擦帯電)によって繊維マットへ電荷付与することが挙げられる。近年、ウォータージェット又は水滴のストリームが、濾過促進エレクトレット電荷(filtration enhancing electret charge)を提供するのに十分な圧力で不織ウェブに衝突する方法(ハイドロチャージング)が議論されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
帯電促進添加剤含有エレクトレットウェブが、本開示にて提示されている。これらの帯電促進添加剤は、ハイドロチャージング、又はDCコロナ放電とハイドロチャージングとの組み合わせなど様々な異なる帯電メカニズムによって帯電させることが容易なエレクトレットウェブを提供する。
【0005】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、エレクトレットウェブは、熱可塑性樹脂と、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤と、を含む。エレクトレットウェブは不織繊維ウェブの形態であってよく、あるいは不織マイクロファイバーウェブの形態であってもよい。
【0006】
本明細書に記載される他の実施形態では、エレクトレット濾材は、熱可塑性樹脂と、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤とのブレンドを含む不織マイクロファイバーウェブを含む。エレクトレット濾材は、呼吸用マスクフィルタ、室内換気システムフィルタ、車両換気システムフィルタ、空調装置フィルタ、炉フィルタ、室内空気清浄機フィルタ、真空掃除機フィルタ又はコンピュータディスクドライブフィルタを構成してもよい。
【0007】
熱可塑性材料を提供する工程と、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤を提供する工程と、熱可塑性材料及び帯電促進添加剤をホットメルト混合して熱可塑性ブレンドを形成する工程と、熱可塑性ブレンドをメルトブローしてマイクロファイバーウェブを形成する工程と、このウェブを帯電させる工程と、を含む、エレクトレットウェブの調製方法もまた開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示において有用なエレクトレットウェブとしては、熱可塑性樹脂と帯電促進添加剤とのブレンドが挙げられる。そのようなブレンドから調製されるウェブは、熱可塑性樹脂のみで調製されるウェブよりも強化された特性を示し得る。有用な帯電促進添加剤としては、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が挙げられる。
【0009】
エレクトレットウェブは、各種形態であってよい。例えば、ウェブは連続又は不連続フィルムであってよく、あるいは繊維ウェブであってよい。繊維ウェブは、濾材形成に特に有用である。いくつかの実施形態では、ウェブは不織マイクロファイバーウェブである。典型的には、マイクロファイバーは、平均直径が1〜100マイクロメートルであって、このマイクロファイバーは円形断面を有さずともよい。
【0010】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
【0011】
用語「アルキル」とは、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状又はそれらの組み合わせであることができ、通常、1〜20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第3ブチル(t−ブチル)、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられる。
【0012】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を備えた炭化水素であるアルケンのラジカルである一価の基を意味する。アルケニルは、直鎖、分岐鎖、環状又はそれらの組み合わせであることができ、通常、2〜20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を含有する。代表的アルケニル基としては、エテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルが挙げられる。
【0013】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素3重結合を備えた炭化水素であるアルキンのラジカルである一価の基を意味する。アルキニルは、直鎖、分枝鎖、環状又はこれらの組み合わせであってよく、典型的には、2〜20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を含有する。代表的アルキニル基としては、エチニル、n−プロピニル、及びn−ブチニルが挙げられる。
【0014】
用語「ヘテロアルキル」とは、ヘテロ原子を含有するアルキル基を意味する。これらヘテロ原子は側枝原子、例えばフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素のようなハロゲンであるか、又は窒素、酸素、若しくはイオウのような鎖状原子であってよい。ヘテロアルキル基の一例は、−CHCH(OCHCHOCHCHなどのポリオキシアルキル基である。
【0015】
用語「置換アルキル」とは、炭化水素主鎖に沿って置換基を含有するアルキル基を意味する。これらの置換基は、アルキル基、ヘテロアルキル基又はアリール基であってよい。置換アルキル基の一例は、ベンジル基である。
【0016】
用語「アリール」とは、1〜5個の環(連結又は縮合していてよい)を含有するラジカルである芳香族炭素環式基を意味する。アリール基は、アルキル基又はヘテロアルキル基によって置換されてよい。アリール基の例としては、フェニル基、ナフタレン基、及びアントラセン基が挙げられる。
【0017】
用語「N−置換アミノ炭素環式芳香族」とは、炭素環式基、すなわち内部の環状構造が炭素原子及び水素原子のみを含有し、つまり連結又は縮合し得る1〜5個の環を含有するラジカルであって、少なくとも1つの置換アミノ基によって置換された環状基を意味する。置換アミノ基は、−NR型の基であって、式中、R基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。
【0018】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、1種のモノマーから調製した材料、例えばホモポリマー、又は2種若しくはそれ以上のモノマーから調製した材料、例えばコポリマー、ターポリマーなど、の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得る高分子材料の製造プロセスを意味する。用語「コポリマー」及び「コポリマー材料」とは、少なくとも2種類のモノマーから調製したポリマー材料を意味する。
【0019】
用語「室温」及び「周囲温度」は、同じ意味で用いられ、20℃〜25℃の範囲の温度を意味する。
【0020】
本発明で使用する場合、用語「ホットメルト加工性」とは、例えば、熱及び圧力によって固体から粘稠な流体へと変化することができる組成物を意味する。組成物は、実質的に化学的に変化したり、分解したり、あるいは目的とした用途に使用不能になったりすることなく、ホットメルト加工が可能でなければならない。
【0021】
指示がない限り、明細書及び請求項に使用される外観の寸法、量、物理的特性を表す全ての数字は、用語「約」によって全ての事例において改変されると理解されたい。したがって、反対に指定されるまで、本明細書の数字は、本明細書で開示される教示を使用する所望の特性によって変化し得る近似値である。
【0022】
本開示で有用な熱可塑性樹脂としては、ウェブに形成し帯電させた際に、多量の捕捉された静電荷を保持することが可能な、任意の熱可塑性非導電性ポリマーが挙げられる。典型的には、このような樹脂は、使用目的での温度で、1014オームcmより大きいDC(直流)固有抵抗を有する。捕捉電荷を得ることができるポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリラクチドなどのポリエステル類、及びペルフルオロ化ポリマー類、並びにコポリマー類が挙げられる。特に有用な材料としては、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、これらのブレンド、又はプロピレン及び4−メチル−1−ペンテンのうち少なくとも1つから形成されるコポリマー類が挙げられる。
【0023】
帯電促進添加剤は、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料である。典型的には、帯電促進添加剤は熱的に安定であるため、ホットメルト加工可能な組成物での使用に適したものとなっている。N−置換アミノ炭素環式芳香族材料は、一般に以下の式Iにより示すことができる。
N−Ar(G)
式I
式中、Arはアリール基であり、R基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、nは、N−置換アミノアリール基において置換される場所の数を示す整数であり、Gは、N−置換アミノアリール基における置換基を示し、各Gは独立して、水素、アルキルアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は−NRであり、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。いくつかの実施形態では、式IのArは、フェニル基であり、nは5である。他の実施形態では、式IのArは、ナフタレン基であり、nは7である。他の実施形態では、式IのArは、アントラセン基であり、nは9である。
【0024】
有用なN−置換アミノ炭素環式芳香族材料の種類の1つには、以下の式IIで記載されるものがある。Z及びZは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は−NRであり、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル又は置換アルキルである)である。R基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。Z基及びZ基は、炭素環式芳香環上の任意の場所に位置してもよいが、典型的には、置換アミノ基に対して3、5位に位置する。
【化1】

【0025】
式IIで記載される材料に含まれる好適な電荷促進添加剤の種類の1つとしては、例えば、式II中のZ基及びZ基が、芳香環の3位及び5位に位置する−NR基であるものが挙げられ、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、R基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。場合によっては、芳香環の置換は対称であり、これは−NR基及びZ及びZ(存在するのであれば)のそれぞれが同一であることを意味する。いくつかの実施形態では、Rは水素であり、Rはアリール基である。典型的には、Rは置換アリール基であり、式中、置換基は、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されるフェニル基である。他の実施形態では、Rは、5〜25個の炭素原子、又は10〜25個の炭素原子、又は更には12〜25個の炭素原子を有するアルキル基で置換された、フェニル基である。これらの実施形態のいくつかでは、RはRと同一であり、RがRと同一である場合は、Z及びZは−NR基である。そのような帯電促進添加剤の2つの例を、以下の式III及び式IVとして示される。
【化2】

【0026】
式IIで記載される材料に含まれる帯電促進添加剤の他の好適な種類としては、例えば、Z基が水素であり、Z基が−NRであるようなものが挙げられ、式中、R及びRは水素であり、R及びRはアリール基である。典型的には、R及びRは置換アリール基であり、式中、置換基は、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、R及びRは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されるフェニル基である。他の実施形態では、R及びRは、5〜25個の炭素原子、又は10〜25個の炭素原子、又は更には12〜25個の炭素原子を有するアルキル基で置換されるフェニル基である。そのような帯電促進添加剤の一例が、以下の式Vとして示される。
【化3】

【0027】
式Iによって表されるN−置換アミノ炭素環式芳香族材料の別の有用なクラスは、Arがナフタレン環であって、nが7であり、各Gが水素であり、Rが水素であり、Rがアリール基であるものである。典型的には、Rは置換アリール基であり、式中、置換基は、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、5〜25個の炭素原子、又は10〜25個の炭素原子、又は更には12〜25個の炭素原子を有するアルキル基で置換されるフェニル基である。そのような帯電促進添加剤の一例が、以下の式VIとして示される。
【化4】

【0028】
典型的には、帯電促進添加剤は、熱可塑性樹脂と帯電促進添加剤とのブレンド中に、そのブレンドの総重量を基準として0.1〜5重量%の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、帯電促進添加剤は、0.1〜3重量%、又は0.25〜2重量%の範囲の量で存在する。
【0029】
熱可塑性樹脂と帯電促進添加剤とのブレンドは、周知の方法により調製することができる。典型的には、ブレンドは溶融押出技術を使用して処理されるため、バッチプロセスで、そのブレンドを事前ブレンドし、ペレットを形成してもよく、又は連続プロセスで、熱可塑性樹脂及び帯電促進添加剤を押出成形機内で混合してもよい。連続プロセスが使用される場合は、熱可塑性樹脂及び帯電促進添加剤を固体として予め混合してもよく、又は個別に押出成形機へと加え、溶融状態で混合させることも可能である。
【0030】
事前ブレンドペレットを形成するために使用してよい溶融混合機の例としては、分散混合、分配混合、又は分散混合及び分配混合の組み合わせを提供するようなものが挙げられる。バッチ法の例としては、BRABENDER(例えば、C.W.Brabender Instruments,Inc.;South Hackensack,NJから市販されているBRABENDER PREP CENTER)又はBANBURY内部混合及びロールミル装置(例えば、Farrel Co.;Ansonia,CTから入手可能な装置)を使用するものが挙げられる。バッチ混合後、生成された混合物を直ちにクエンチし、後で処理するために混合物の融解温度未満で保管してよい。
【0031】
連続法の例として、一軸スクリュー押出成形、二軸スクリュー押出成形、ディスク押出成形、往復式一軸スクリュー押出成形、及びピンバレル一軸押出成形が挙げられる。連続法としては、キャビティトランスファーミキサー(例えば、RAPRA Technology,Ltd.;Shrewsbury,Englandから市販されているCTM)及びピン混合要素、静的混合要素又は分配混合要素(例えば、MADDOCK混合要素又はSAXTON混合要素から市販されている)との両方を利用するものが挙げられる。
【0032】
バッチプロセスにより調製された事前ブレンドペレットを押し出すために使用してよい押出機の例としては、連続加工について前述した同一タイプの装置が挙げられる。有用な押出成形条件は、一般には、添加剤なしで樹脂を押出成形するのに好適であるものである。
【0033】
熱可塑性樹脂及び帯電促進添加剤の押し出されたブレンドは、フィルム若しくはシートへとキャスト又はコーティングされるか、あるいは既知の技術を使用して不織繊維ウェブへとメルトブローされてよい。メルトブロー不織マイクロファイバーウェブは、濾材として特に有用である。
【0034】
メルトブロー不織マイクロファイバーのエレクトレット濾材は、濾過用接顔部などの呼吸用マスクのエアフィルタ要素として、あるいは家庭用及び工業用空調機、空気清浄機、真空掃除機、医療用エアラインフィルタ、乗り物用空調システム、並びにコンピュータ、コンピュータディスクドライブ、及び電子機器などの一般的装置用空調システムなどの目的のために、特に有用である。呼吸用マスクの用途においては、エレクトレット濾材は、成形された又は折り畳まれた半面の呼吸用マスク、取り換え可能なカートリッジ若しくはキャニスター又は前置フィルタの形態であってよい。
【0035】
本開示において有用なメルトブローマイクロファイバーは、Van A.Wenteの「Superfine Thermoplastic Fibers」(Industrial Engineering Chemistry,vol.48,pp.1342〜1346)、及びNaval Research Laboratoriesのリポート番号4364(1954年5月25日発行)、表題「Manufacture of Super Fine Organic Fibers」(Van A.Wente et al.)に記載されるように調製することができる。
【0036】
繊維エレクトレット濾材のための有用なメルトブローマイクロファイバーは、Davies,C.N.「The Separation of Airborne Dust and Particles」Institution of Mechanical Engineers,London,Proceedings 1B,1952に記載の方法に従って計算され、典型的には、約3〜30マイクロメートルの有効繊維直径を有し、いくつかの実施形態では、約7〜15マイクロメートルの有効繊維直径を有する。
【0037】
ステープルファイバーもまた、ウェブ内に存在してよい。一般に、ステープルファイバーが存在することで、ブローマイクロファイバーのみからなるウェブよりも、より嵩高でより密度の小さいものとなる。約90重量%以下のステープルファイバーが存在することが好ましく、より好ましくは約70重量%以下である。ステープルファイバーを含有するウェブの例は、米国特許第4,118,531号(Hauser)に開示されている。
【0038】
活性炭又はアルミナなどの吸着粒子材料もまたウェブ内に含まれてよい。このような粒子は、ウェブ内容物の約80容積百分率以下の量で存在する。粒子充填ウェブの例は、例えば米国特許第3,971,373号(Braun)、同第4,100,324号(Anderson)及び同第4,429,001号(Kolpin)に記載されている。
【0039】
様々な追加の添加剤を、熱可塑性組成物(例えば、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤及びこれらの組み合わせを含む)とブレンドすることができる。更に、N−置換アミノ炭素環式芳香族材料の機能を妨害しないのであれば、必要に応じて他の種類の帯電促進添加剤を加えてもよい。
【0040】
本開示に従って調製されたエレクトレット濾材は一般に、約10〜500g/cmの範囲の坪量を有し、いくつかの実施形態では、約10〜100g/cmの範囲の坪量を有する。メルトブローマイクロファイバーウェブの製造において、坪量は、例えばコレクター速度又はダイスループットのいずれかを変化させることによりコントロールすることができる。濾材の厚さは、典型的には約0.25〜20ミリメートルであり、いくつかの実施形態では約0.5〜2ミリメートルである。通常、繊維エレクトレットウェブの複数の層が、フィルタ要素に使用される。繊維エレクトレットウェブの固体性は、典型的には約1%〜25%、より典型的には約3%〜10%である。固体性とは、ウェブの固体画分を定義する単位のないパラメーターである。一般に本開示の方法は、媒体の坪量、厚さ、又は固体性に関わりなく、エレクトレットウェブに、概して均一な電荷分布をウェブ全域にわたって提供する。エレクトレット濾材、及びそれが製造される樹脂には、その電気伝導度を増大させる恐れのある一切の不必要な処理、例えば、電離放射線、ガンマ線、紫外線照射、熱分解、酸化などへの暴露を施してはならない。
【0041】
エレクトレットウェブは、それが形成された時点で帯電されてよく、あるいはウェブはウェブ形成後に帯電されてもよい。エレクトレット濾材において、媒体は一般に、ウェブを形成した後に帯電される。一般に、当該技術分野において既知の任意の標準的な帯電方法を使用してよい。例えば、帯電は、ハイドロチャージングを包含する様々な方法で実施してよい。また、DCコロナ放電とハイドロチャージングとを組み合わせて使用してもよい。
【0042】
好適なDCコロナ放電プロセスの例は、米国再発行特許第30,782号(van Turnhout)、同第31,285号(van Turnhout)、同第32,171号(van Turnhout)、米国特許第4,215,682号(Davis et al.)、同第4,375,718号(Wadsworth et al.)、同第5,401,446号(Wadsworth et al.)、同第4,588,537号(Klaase et al.)、及び同第4,592,815号(Nakao)に記載されている。
【0043】
ウェブのハイドロチャージングは、ウェブに濾過促進エレクトレット帯電(filtration enhancing electret charge)を提供するのに十分な圧力で、水の噴流又は水滴流をウェブ上へと衝突させることによって実施される。最適な結果を達成するために必要となる圧力は、使用する噴霧器の種類、ウェブを形成するポリマーの種類、ポリマーへの添加剤の種類及び濃度、ウェブの厚さ及び密度、並びにハイドロチャージングに先立つDCコロナ表面処理などの前処理の実施の有無によって変化する。一般に、約69〜3450kPa(10〜500psi)の範囲の圧力が好適である。
【0044】
水の噴流又は水滴流は、任意の好適な噴霧手段により提供され得る。一般に、油圧駆動により交絡加工した繊維に有用な装置が、本開示の方法において有用であるが、作動は一般に水流交絡にて使用される場合よりも低圧にてハイドロチャージング中実施される。ハイドロチャージングは、米国特許第5,496,507号(Angadjivand)に記載された方法、並びに流体ウエッティング及びディウェッティングプロセスを使用して、エレクトレット電荷を付与するための、その他の各種派生的方法、例えば、日本特許出願第2002161467号(Horiguchi)、同第2002173866号(Takeda)、同第2002115177号(Takeda)、同第2002339232号(Takeda)、同第2002161471号(Takeda)、日本特許第3,780,916号(Takeda)、日本特許出願第2002115178号(Takeda)、同第2003013359号(Horiguchi)、米国特許第6,969,484号(Horiguchi)、同第6,454,986号(Eitzman)、日本特許出願第2004060110号(Masumori)、同第2005131485号(Kodama)、及び同第2005131484号(Kodama)に記載されている方法が包含されると理解されている。
【0045】
濾過性能をモデル化するために、様々な試験プロトコルが開発されてきた。これらの試験は、ジオクチルフタレート(DOP)などの標準的忌避エアゾールを使用したフィルタウェブのエアゾール浸透の測定を含み、これは通常、フィルタウェブを抜けるエアゾール浸透(%Pen)及びフィルタウェブを横断する圧力低下(ΔP)として表現される。これら2つの測定値から、品質係数(QF)として知られている量が、次の等式によって算出され得る。
QF=−In(%Pen/100)/ΔP
式中、Inは自然対数を表す。QF値が大きい場合は、濾過性能がより高いことを示し、QF値の低下は、濾過性能の低下と有効な相関関係がある。これらの値の測定についての詳細は、実施例セクションにて示す。典型的には、本開示の濾材は、毎秒6.9cmの面速度にて0.3以上の測定QF値を有する。
【実施例1】
【0046】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲の範囲に限定するものではない。実施例及びその他の明細書に記載される全ての部、百分率、比率などは、特に記載のない限り、重量による。使用した溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)より入手した。
【0047】
【表1】

【0048】
試験方法
濾過試験
サンプルについて% DOPエアゾール浸透(% Pen)及び圧力低下(ΔP)の試験をし、品質係数(QF)を算出した。不織マイクロファイバーウェブの濾過性能(% PEN及びQF)は、自動フィルタ試験機AFT型式8127(TSI,Inc.,St.Paul,MNから入手可能)を使用し、忌避エアゾールとしてのジオクチルフタレート(DOP)及びフィルタにわたる圧力低下(ΔP(水柱mm))を測定するMKS圧力変換器を使用して評価した。DOPエアゾールは、100mg/mの上流側濃度を有する、名目上、単分散の0.3マイクロメートル質量中央径である。このエアゾールを、エアゾールイオン化装置を停止させ、42.5リットル/分の較正流量(6.9cm/秒の面速度)で濾材のサンプルを通して噴出した。総試験時間は、23秒であった(立ち上がり時間15秒、サンプル時間4秒、及びパージ時間4秒)。DOPエアゾールの濃度を、濾材の上流側と下流側の両方において、較正した光度計を使用し、光散乱により測定した。DOP % Penは、次のように定義される。% Pen=100×(DOP下流側濃度/DOP上流側濃度)各材料について、6個の別個の測定をBMFウェブ上の異なった箇所で行い、結果を平均した。
【0049】
次式によりQFを計算するために、% Pen及びΔPを使用した。
QF=−In(% Pen/100)/ΔP
式中、Inは自然対数を表す。QF値が大きい場合は、濾過性能がより高いことを示し、QF値の低下は、濾過性能の低下と有効な相関関係がある。
【0050】
元素分析:
元素分析サンプルを、LECO 932 CHNS元素分析器(LECO Corp,St.Joseph,MI)を使用し、燃焼によって、炭素、水素、及び窒素の重量%について分析した。サンプルは、3重にして試験を行った。また、較正チェックを行うためにスルファメサジン標準を使用した。それぞれの個別の試験の結果を、算出した平均値及び標準偏差とともに示す。
【0051】
熱安定性分析:
帯電促進添加剤サンプルの熱安定性は、TA Instruments,New Castle,Delawareから入手可能な熱重量分析器(TGA)型式2950で測定した。約5〜10ミリグラムの材料をTGA内に配置し、空気雰囲気下で、室温から500℃まで、10℃/分の速度で加熱しながら、重量喪失を測定した。結果は、2%の重量損失が起こる温度として示される。
【0052】
合成例
合成例SE−1:帯電促進添加剤−1の調製
【化5】


磁気攪拌子を備えた3つ口丸底フラスコ内に、フロログルシン二水和物(6.63グラム、97%)、4−ドデシルアニリン(36.40グラム、97%)、ヨウ素(0.13グラム、99%)、及びトルエン(30ミリリットル)を載置した。このフラスコをディーン・スタークトラップ及び凝縮器に備えた付けた後、次に130℃で12時間、一定の撹拌状態下で加熱した。反応混合物の温度を約60℃まで冷却させた(混合物が粘稠な液体になった)後、反応混合物を200ミリリットルのエタノールにゆっくりと注入して沈殿させた。この沈殿を、濾過によってピンク色固体として得た。エタノールからの2回の再結晶によって(各回に対し150ミリリットル)、50℃にて真空下(3.59kPa(27mmHg))で一夜の乾燥後、淡ピンク色粉末として帯電促進添加剤−1(31.0グラム、87.8%収率)を得た。元素分析及びH NMRスペクトルを以下の結果で得た。元素分析:(算出値:C,84.15;H,10.95;N,4.91;実測値:C,84.28;H,10.86,N,4.85);H NMR(400MHz CDCl)δ7.07(d,J=8.32Hz,6H),7.02(d,J=8.32Hz,6H),6.21(s,3H),5.51(s,3H),2.53(t,J=7.6Hz,6H),1.65−1.50(m,6H),1.28−1.15(m,54H),0.88(t,J=7.6Hz,9H)。上述の熱安定性試験方法を使用して、熱安定性を測定した。結果を下記の表1に示す。
【0053】
合成例SE−2:帯電促進添加剤−2の調製
【化6】


磁気攪拌子を備えた3つ口丸底フラスコ内に、フロログルシン二水和物(20.00グラム、97%)、4−ブチルアニリン(73.63グラム、97%)、及びヨウ素(0.40グラム、99%)を載置した。このフラスコをディーン・スタークトラップ及び凝縮器を備え付けた後、次に150℃で20時間、一定の撹拌状態下で加熱した。反応混合物の温度を約60℃まで冷却させた(混合物が粘稠な液体になった)後、反応混合物を200ミリリットルのエタノールにゆっくりと注入して沈殿させた。この沈殿を、濾過によってピンク色固体として得た。エタノールからの再結晶によって、50℃にて真空下(3.59kPa(27mmHg))で一夜の乾燥後、淡ピンク色粉末として帯電促進添加剤−2(42.0グラム、67.5%収率)を得た。元素分析及びH NMRスペクトルを以下の結果で得た。元素分析:(算出値:C,83.19;H,8.73;N,8.08;実測値:C,83.08;H,8.79,N,8.00);H NMR(400MHz CDCl)δ7.08(d,J=8.24Hz,6H),7.02(d,J=8.24Hz,6H),6.21(s,3H),5.51(s,3H),2.55(t,J=7.6Hz,6H),1.65−1.53(m,6H),1.40−1.30(m,6H),0.93(t,J=7.60Hz,9H)。上述の熱安定性試験方法を使用して、熱安定性を測定した。結果を下記の表1に示す。
【0054】
合成例SE−3:帯電促進添加剤−3の調製
【化7】


磁気攪拌子を備えた3つ口丸底フラスコ内に、レゾルシノール(5.83グラム、98%)、4−ドデシルアニリン(30.00グラム、97%)、及びヨウ素(0.15グラム、99%)を載置した。フラスコを凝縮器に取り付け、Nでフラッシングして空気を除去した後、フラスコを油槽に載置した。油を加熱し、混合物が液化したとき電磁攪拌器を作動させた。混合物を190℃で24時間、一定の撹拌状態下で加熱した。反応混合物は、室温まで冷却する間に凝固し、エタノール(60ミリリットル)をフラスコに加えた。フラスコを再加熱し、混合物を5分間煮沸した。得られた溶液を一晩冷蔵室に載置して、濾過により収集された暗赤色の固体が得られた。アセトン(100ミリリットル)に溶解し、活性炭(2.0グラム)を加えることで、変色を除去した。このように処理された固体を、塩化メチレンを溶出溶媒として使用して、シリカゲル(70〜150メッシュ、Alfa Aesarから市販されている)に通過させることにより、クロマトグラフィによって更に精製した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して除去し、この固体を50℃にて真空下(3.59kPa(27mmHg))で一夜乾燥させた後、明淡色の粉末(6.50グラム、収率20.6%)として純生成物を得た。以下の結果とともに、元素分析及びH NMRスペクトルを得た。元素分析:(算出値:C,84.50;H,10.81;N,4.69;実測値:C,84.64;H,10.52,N,4.69);H NMR(400MHz CDCl)δ7.10−7.05(m,5H),7.02(d,J=8.36Hz,4H),6.67(s,1H),6.55(d,J=8.0Hz,2H),5.58(bs,2H),2.54(t,J=7.84Hz,4H),1.65−1.50(m,4H),1.40−1.20(m,36H),0.93(t,J=7.84Hz,6H)。上述の熱安定性試験方法を使用して、熱安定性を測定した。結果を下記の表1に示す。
【0055】
合成例SE−4:帯電促進添加剤−4の調製
【化8】


磁気攪拌子を備えた3つ口丸底フラスコ内に、β−ナフトール(20.60グラム)、4−ドデシルアニリン(35.00グラム、97%)、及びヨウ素(0.50グラム、99%)を入れた。フラスコを凝縮器に取り付け、Nでフラッシングして空気を除去した後、フラスコを油槽に載置した。油を加熱し、混合物が液化したとき電磁攪拌器を作動させた。混合物を190℃で48時間、一定の撹拌状態下で加熱した。反応混合物は、室温まで冷却する間に凝固し、エタノール(100ミリリットル)をフラスコに加えた。フラスコを加熱し、混合物を5分間煮沸した。得られた溶液を一晩冷蔵室に載置して、濾過により収集された暗灰色の固体が得られた。エタノール(80ミリリットル)からの再結晶によって、50℃にて真空下(3.59kPa(27mmHg))で一夜の乾燥後、灰緑色粉末として帯電促進添加剤−4(19.6グラム、39%収率)を得た。以下の結果とともに、元素分析及びH NMRスペクトルを得た。元素分析:(算出値:C,86.76;H,9.62;N,3.61;実測値:C,86.32;H,9.45,N,3.59);H NMR(400MHz CDCl)δ7.72(d,J=8.88Hz,2H),7.62(d,J=8.24Hz,1H),7.40−7.35(m,2H),7.30−7.24(m,1H),7.20−7.08(m,5H),5.77(s,1H),2.58(t,J=7.04Hz,2H),1.70−1.50(m,2H),1.35−1.20(m,18H),0.93(t,J=7.04Hz,3H)。上述の熱安定性試験方法を使用して、熱安定性を測定した。結果を下記の表1に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
実施例1〜11及び比較実施例C1〜C6
実施例及び比較実施例の各々について、後述の手順が続く。これらの実施例のデータを、表2及び表3に示す。
【0058】
工程A−マイクロファイバーウェブの調製
各サンプルについて、上述の帯電促進添加剤の1つ(帯電促進添加剤1、2、3又は4のいずれか)を選択し、表2に示す濃度にて2種類の等級のポリプロピレンの一方と乾燥配合し、そのブレンドをVan A.Wente,「Superfine Thermoplastic Fibers,」Industrial Engineering Chemistry,vol.48,1342〜1346頁、及びNaval Research Laboratory Report 111437(Apr.15,1954)に記載の通りに押し出した。押出温度は、約250℃〜300℃の範囲であり、押出成形機はBRABENDER円錘二軸スクリュー押出成形機(Brabender Instruments,Inc.から市販されている)であり、約2.5〜3kg/時(5〜7ポンド/時)の速度で稼働させた。ダイの幅は25.4cm(10インチ)であり、1cm当たり10個の穴(1インチ当たり25個の穴)があった。49〜97g/mの坪量、7.3〜14.1マイクロメートルの有効繊維直径、及び約0.71〜1.55ミリメートルの厚さを有するメルトブローマイクロファイバー(BMF)ウェブが形成された。
【0059】
同様に、各比較例において、帯電促進添加剤は加えず、実施例のウェブと対応する同じ等級のポリプロピレンからBMFウェブを調製した。各実施例について、特定のウェブ特性を表2にまとめる。
【0060】
工程B−エレクトレット調製:
上述の工程Aで調製した各BMFウェブを、ハイドロチャージング、又はコロナ前処理及びハイドロチャージングの組み合わせという2つのエレクトレット帯電法のうちの1つによって帯電させた。表2は、各サンプルに適用される特定の帯電法についてまとめている。
【0061】
帯電法1−ハイドロチャージング:
5マイクロS/cm未満の伝導度を有する高純度水の微細スプレーを、896キロパスカル(130psig)の圧力及び約1.4リットル/分の流量で稼動するノズルから連続的に発生させた。工程Aにて調製し選択したBMFウェブを、多孔質ベルトによって、約10cm/秒の速度で水噴霧を通過させて搬送しながら、同時にウェブを通して水を下方から真空引きした。各BMFウェブは、ハイドロチャージャーへ2回通し(連続して、各面に対して1回)、次にフィルタ試験に先だって一晩完全に乾燥させた。
【0062】
帯電法2−コロナ前処理及びハイドロチャージング:
上記の工程Aにて調製し選択したBMFウェブを、DCコロナ放電によって前処理した。コロナ前処理は、毎秒約3cmの速度で、放電ソース長1cm当たり約0.01ミリアンペアのコロナ電流を備えたコロナブラシソースの下に、接地表面上のウェブを通過させることによって実施した。コロナソースは、その上をウェブが搬送される接地表面から約3.5cm上方にあった。コロナソースは、正のDC電圧によって駆動させた。次に、BMFウェブを、帯電法1に記載されるようなハイドロチャージングによって帯電させた。
【0063】
濾過性能:
上記の工程Bで調製した各帯電したサンプルを、1メートルの切片に切断した。各切片を、% DOPエアゾール浸透(% Pen)及び圧力低下(ΔP)について試験し、品質係数(QF)を上述の試験方法に記載する通りに算出した。これらの結果を、表3に% Pen、ΔP及びQFとして示す。
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、
N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤と、を含む、エレクトレットウェブ。
【請求項2】
前記ウェブが不織繊維ウェブを含む、請求項1に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項3】
前記ウェブが不織マイクロファイバーウェブを含む、請求項2に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項4】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(a)を含む、請求項1に記載のエレクトレットウェブ。
(a)
N−Ar(G)
式中、Arはアリール基であり、
基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
各Gは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は
−NRであり、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
Arは、nが5の場合はフェニル基、nが7の場合はナフタレン基、又はnが9の場合はアントラセン基である。
【請求項5】
Arがフェニル基又はナフタレン基であり、
は水素であり、Rは、1〜25個の炭素原子を含むアルキル置換基を有するアリール基であり、
nは5又は7に等しく、
少なくとも1つのGは、−NRに等しく、式中、各Rは水素であり、各Rは、1〜25個の炭素原子を含むアルキル置換基を有するアリール基であり、G基の残部は水素である、請求項4に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項6】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(b)を含む、請求項4に記載のエレクトレットウェブ。
【化1】


(b)
式中、Z及びZは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は−NRであり、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。
【請求項7】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(c)〜(f)又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載のエレクトレットウェブ。
【化2】

【請求項8】
前記不織マイクロファイバーウェブが、
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、又はポリエステルを含む、請求項3に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項9】
前記不織マイクロファイバーウェブが、
ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレンと4−メチル−1−ペンテンとのコポリマー、又はこれらの混合を含む、請求項3に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項10】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、前記ウェブの0.1〜5.0重量%を構成する、請求項1に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項11】
前記ウェブが静電荷を含み、前記静電荷がハイドロチャージング、又はDCコロナ処理とハイドロチャージングとの組み合わせによって付与される、請求項1に記載のエレクトレットウェブ。
【請求項12】
熱可塑性樹脂と
N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤とのブレンドを含む、不織マイクロファイバーウェブを含む、エレクトレット濾材。
【請求項13】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(a)を含む、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
(a)
N−Ar(G)
式中、Arはアリール基であり、
基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
各Gは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は
−NRであり、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
Arは、nが5の場合はフェニル基、nが7の場合はナフタレン基、又はnが9の場合はアントラセン基である。
【請求項14】
Arがフェニル基又はナフタレン基であり、
は水素であり、
は、1〜25個の炭素原子を含むアルキル置換基を有するアリール基であり、
nは5又は7に等しく、
少なくとも1つのGは、−NRに等しく、式中、各Rは水素であり、各Rは、1〜25個の炭素原子を含むアルキル置換基を有するアリール基であり、前記G基の残部は水素である、請求項13に記載のエレクトレット濾材。
【請求項15】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(b)を含む、請求項13に記載のエレクトレット濾材。
【化3】


式中、Z及びZは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は−NRであって、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであって、
各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであって、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであって、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルである。
【請求項16】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(c)〜(f)又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載のエレクトレット濾材。
【化4】

【請求項17】
前記不織マイクロファイバーウェブが、
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、又はポリエステルを含む、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
【請求項18】
前記不織マイクロファイバーウェブが、
ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレンと4−メチル−1−ペンテンとのコポリマー、又はこれらの混合を含む、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
【請求項19】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、前記ウェブの0.1〜5.0重量%を構成する、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
【請求項20】
前記ウェブが電荷を含み、前記電荷がハイドロチャージング、又はDCコロナ処理とハイドロチャージングとの組み合わせによって付与される、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
【請求項21】
前記ウェブが、毎秒6.9センチメートルの面速度において0.3以上のQFによって測定されるような濾過性能を示すのに十分な静電荷を有する、請求項20に記載のエレクトレット濾材。
【請求項22】
前記濾材が、
呼吸用マスクフィルタ、室内換気システムフィルタ、車両換気システムフィルタ、空調装置フィルタ、炉フィルタ、室内空気清浄機フィルタ、真空掃除機フィルタ又はコンピュータディスクドライブフィルタを構成する、請求項12に記載のエレクトレット濾材。
【請求項23】
熱可塑性材料を提供する工程と、
N−置換アミノ炭素環式芳香族材料を含む帯電促進添加剤を提供する工程と、
前記熱可塑性材料及び前記帯電促進添加剤をホットメルト混合して熱可塑性ブレンドを得る工程と、
前記熱可塑性ブレンドをメルトブローしてマイクロファイバーウェブを形成する工程と、
前記ウェブを静電帯電させる工程と、を含む、エレクトレットウェブの調製方法。
【請求項24】
前記N−置換アミノ炭素環式芳香族材料が、以下の構造(a)によって表される、請求項23に記載の方法。
(a)
N−Ar(G)
式中、Arは、アリール基であり、
基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
各Gは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は
−NRであり、式中、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであって、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又は置換アルキルであり、
Arは、nが5の場合はフェニル基、nが7の場合はナフタレン基、又はnが9の場合はアントラセン基である。
【請求項25】
前記熱可塑性材料が、
ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレンと4−メチル−1−ペンテンとのコポリマー、及びこれらの混合を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ホットメルト加工可能な帯電促進添加剤が、前記形成されたマイクロファイバーウェブの0.1〜5.0重量%を構成する、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2011−524472(P2011−524472A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512498(P2011−512498)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/042652
【国際公開番号】WO2009/148744
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】