説明

帯電器及び画像形成装置

【課題】帯電器に印加する電圧を低く変更することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしない、画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に設けられた帯電器2は、シールドケース800と、シールドケース800に収容された電極100、200及びグリッド電極300と、排気ファン800とを含む。グリッド電極300は網板状でその両端がメッシュ保持部610、620により張設される。帯電器2が感光体表面を帯電させていないときに感光体を回転駆動する駆動源が逆回転すると、メッシュ保持部620が矢示F方向に移動して感光体表面からグリッド電極300を離隔させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によりトナー像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ機又はこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置における静電潜像担持体表面を静電潜像形成前に帯電させる帯電器に関する。また、本発明は帯電器を備えた画像形成装置にも関係している。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置では、通常、感光体ドラム(静電潜像担持体の一例)の表面が帯電器により帯電され、その帯電域に光学系から原稿画像に対応する画像露光がなされて静電潜像が形成され、この潜像が現像装置により現像されて可視トナー像となり、これが転写装置により転写材上に転写され、定着装置により定着される。トナー像転写後、感光体上に残留するトナーはクリーニング装置により清掃される。
【0003】
この帯電器は、コロナ放電によるもの、感光体表面に接触する帯電ブラシや帯電ローラ等の接触帯電部材を用いるもの等、種々知られている。このうち、コロナ放電による帯電器は、通常、感光体表面近傍に配置され、放電ワイヤ等の放電電極部材に放電電圧を印加して感光体を帯電させる。放電電極部材と感光体表面との間に感光体帯電制御用のグリッド電極を設けたものもあり、これはスコロトロン方式の帯電器として広く採用されている。
【0004】
このような帯電器により感光体を帯電させるときには、通常、放電に伴いオゾンや窒素酸化物が発生し、その窒素酸化物が空気中の物質などと結合して硝酸アンモニウムなどの硝酸化合物が生成されて帯電器の周囲に発生し、さらに、このような放電生成物が対向する感光体表面上に付着することがある。その付着量が多くなると、放電生成物による酸化膜が感光体表面に形成され、酸化膜自体が親水性であるために、高湿時に空気中の水分を吸収して、感光体表面上の抵抗を低下させる。これによって感光体表面の横方向へのリークが発生し、その結果、「像流れ」と称される画像不良が発生する。
【0005】
像流れの主な原因は、窒素酸化物(特に、二酸化窒素)に起因するものであると考えられている。この窒素酸化物と水とが反応すると硝酸が生成され、さらには空気中のアンモニアと反応すると水溶性を持ちながら感光体表面に付着する。その後、高湿下ではさらに水分を吸収していき、感光体表面の抵抗値を低下させるので、帯電器で感光体表面上を均一に帯電しようとしても、放電生成物の付着部分とそうでない部分の境界に導電路が形成されるため画像部と非画像部との境界がぼけてしまい、その結果、画像がぼけた状態あるいは白く抜けた状態になり、像流れが発生する。
【0006】
このような像流れ防止の対策としては、感光体に付着した放電生成物を除去することが考えられる。感光体に付着した放電生成物を除去するには、表面が磨耗しやすい感光体を用いて、その感光体に圧接する部材(例えば、クリーニングブレード)によって、放電生成物ととともに感光体表面を削り取るように構成すればよい。
【0007】
特開平5−323833号公報(特許文献1)は、感光体表面を研磨する装置を開示する。この感光体研磨装置は、感光体表面から残留トナーを定常的に除去するクリーニング装置を有する電子写真装置において、感光体を研磨する研磨ブレードを有し、非作像時に該研磨ブレードを作動する駆動手段を備える。この感光体研磨装置によると、研磨ブレードにより感光体表面を研磨し、長期にわたってトナーフィルミングなどの付着物による感光体の劣化を防止し、しかも経時的変化によるクリーニング不良も生じない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−323833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された感光体研磨装置は、トナーを除去するクリーニングブレードの摩耗や欠けによるクリーニング能力の経時的劣化による黒スジや黒帯などの不良に対応するものでしかなく、放電生成物について検討されていない。さらに、上述した特許文献1のように構成すると、感光体表面を研磨するため感光体の寿命が縮められる欠点がある。近年、感光体表面上に保護層を形成して長寿命化を図る傾向を考慮すれば、このような構成は好ましくない。さらに、このような研磨処理部を設ける場合、製造コストが高くなるとともに、感光体の周囲に研磨処理部を設けるスペースが必要になるため、画像形成装置が大型化するという問題がある。
【0010】
なお、像流れ要因物質である放電生成物の発生量を抑制するために帯電器に印加される電圧を低くする対策もある。しかしながら、高速の画像形成動作が必要な場合、帯電に必要な電荷が感光体上に十分供給されず、画像上に帯電むらが生じて必要な表面電位を形成できなかったことにより、背景部にトナーが付着する「かぶり」と称される画像不良が発生する。このため、帯電器に印加する電圧を低くして放電生成物の発生量を抑制することは現実的でない。
【0011】
そこで本発明は、電子写真方式の画像形成装置において回転駆動される静電潜像担持体表面を静電潜像形成に先立って帯電させる帯電器であって、放電電極とグリッド電極とシールドケースとを有する帯電器であり、帯電器に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしないで該静電潜像担持体への放電生成物の付着を抑制できる、帯電器を提供することを第1の課題とする。
【0012】
また本発明は、トナー像を形成する画像形成装置であり、回転駆動される静電潜像担持体の表面を帯電器で帯電させ、該帯電器による静電潜像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成する画像形成部を少なくとも1つ有する電子写真方式の画像形成装置であって、少なくとも1つの画像形成部において、帯電器に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしないで該静電潜像担持体への放電生成物の付着を抑制でき、ひいてはそれだけ良好に画像形成できる、画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記第1の課題を解決するため本発明は次の帯電器を提供する。
電子写真方式の画像形成装置において回転駆動される静電潜像担持体表面を静電潜像形成に先立って帯電させる帯電器であって、放電電極と、グリッド電極と、シールドケースとを有する帯電器であり、
前記シールドケースは、予め定められた位置に固設されるケースであって、前記放電電極を収容しているとともに前記静電潜像担持体に向けられる開口部を有しており、
前記グリッド電極は、前記シールドケースの開口部に配設され、前記静電潜像担持体の回転軸に沿った方向の両端がそれぞれ保持部により保持されて張設される網板状のものであり、
前記帯電器が静電潜像担持体表面を帯電させているときには前記網板状のグリッド電極が張られるように、帯電させていないときには前記網板状のグリッド電極が前記シールドケースの方へ緩むように、グリッド電極の張設状態を調整する調整機構を備えていることを特徴とする、帯電器。
【0014】
画像形成装置における画像形成中は像流れがほとんど発生しない。画像形成中は帯電器により静電潜像担持体表面が帯電されて放電生成物が発生するが、それらは排気ファンにより排気される。このため、静電潜像担持体表面に付着しても、放電生成物の多くは排気されるため、微量の付着に過ぎない(付着していてもクリーニングブレードによる研磨で除去される)。像流れの原因となる放電生成物の静電潜像担持体への付着が発生するのは画像形成後、帯電器及び静電潜像担持体の駆動が停止し、しばらく放置した後である。すなわち、画像形成による放電時間の増加とともに像流れ要因となる物質が、帯電器の中の特定の部位に蓄積した時に、帯電器及び静電潜像担持体の駆動を停止すると、放電生成物が徐々に静電潜像担持体表面に移動して付着していく。この停止中は、排気ファンによる排気が行なわれないため、静電潜像担持体表面上への付着量は時間とともに増加していくので、次の画像形成時、或いはウォーミングアップ時に、クリーニングブレードで研磨しても、短時間で放電生成物を除去できない。本発明者は、研究の結果、放電生成物が蓄積する特定の部位がグリッド電極であることを解明した。
【0015】
本発明に係る帯電器においては、調整機構により、網板状のグリッド電極が、静電潜像担持体表面を帯電させているときに張って所定の間隔(グリッド電極と静電潜像担持体表面との間隔)を保持し、かつ、帯電させていないときに緩んでその間隔が広がるように、張設状態が変更される。このため、静電潜像担持体を帯電させる必要がないときには、放電生成物が蓄積するグリッド電極が静電潜像担持体から離隔するので、放電生成物が徐々に静電潜像担持体表面に移動して付着していくことを抑制できる。このようにすると、帯電器に印加される電圧を、例えば高速画像形成等において画像形成に支障がでるほど、低くして放電生成物の発生自体を減らす必要もなく「かぶり」と称される画像不良も発生しない。さらに、前記シールドケースは、前記放電電極と前記グリッド電極とを収容して予め定められた位置に固定され、調整機構は、グリッド電極の張設状態を調整するに過ぎず、グリッド電極を静電潜像担持体表面から離隔させるためにシールドケースごと(放電電極及びグリッド電極)を移動させる場合に比べて、帯電器を大型化しなくて済む。さらに、放電生成物の除去のために静電潜像担持体表面を研磨する必要もないので、静電潜像担持体表面の寿命が徒に短くなることもない。
【0016】
前記調整機構は、前記静電潜像担持体を回転駆動させる駆動源により、前記網板状のグリッド電極を緩めることができるようにも構成できる。このようにすると、グリッド電極の張設状態を調整するための新たな駆動源を設ける必要がなく、帯電器を大型化しなくて済み、製造コストの上昇も抑制できる。
【0017】
前記調整機構は、前記静電潜像担持体が前記駆動源により画像形成時の回転方向とは逆回転方向に駆動されると回転する揺動ギアと、前記保持部とを含んでおり、前記保持部は、前記帯電器が静電潜像担持体表面を帯電させていないときに前記駆動源が前記静電潜像担持体を逆回転方向に回転して前記揺動ギアが所定量だけ回転すると、前記網板状のグリッド電極を保持する少なくとも一端が他端に近づくようにも構成できる。このようにすると、支持部によりその両端が支持された網板状のグリッド電極の少なくとも一端が他端に近づいて網板状のグリッド電極が緩んでグリッド電極と静電潜像担持体表面との間隔が広がる。このとき、前記駆動源が逆回転方向に回転して前記揺動ギアが所定量だけ回転することにより、一端が他端に近づく。このため、グリッド電極の張設状態を調整するための新たな駆動源を設ける必要がなく、帯電器を大型化しなくて済み、製造コストの上昇も抑制できる。
【0018】
前記帯電器は、前記静電潜像担持体の回転軸方向における中央部を臨む位置に設けられた、放電生成物を排出する排出口をさらに含むようにも構成できる。このように中央部を臨む位置に排出口を設けると、中央部から放電生成物が排出される。このため、帯電器内で発生した放電生成物は、像流れに最も耐力のある中央部近傍に集められ、非中央部における放電生成物の蓄積が減るとともに、中央部でもその発生を抑えられる。
【0019】
前記帯電器は、前記排出口に対応する位置に設けられた排出ファンをさらに含むようにも構成できる。このように中央部を臨む位置に排出口及び排出ファンを設けると、中央部から放電生成物がより積極的に排出される。このため、帯電器内で発生した放電生成物は、像流れに最も耐力のある中央部近傍に集められ、非中央部における放電生成物の蓄積が減るとともに、中央部でもその発生を抑えられる。
【0020】
本発明はまた、前記第2の課題を解決するため、回転駆動される静電潜像担持体の表面を帯電器で帯電させ、該帯電器による静電潜像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成する画像形成部を少なくとも1つ有する電子写真方式の画像形成装置であり、少なくとも1つの画像形成部における前記帯電器は、本発明に係る帯電器である画像形成装置を提供する。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、帯電器として本発明に係る帯電器を備えており、該帯電器は、帯電器に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしないで該静電潜像担持体への放電生成物の付着を抑制でき、ひいてはそれだけ良好に画像形成できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によると、電子写真方式の画像形成装置において回転駆動される静電潜像担持体表面を静電潜像形成に先立って帯電させる帯電器であって、放電電極とグリッド電極とシールドケースとを有する帯電器であり、帯電器に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしないで該静電潜像担持体への放電生成物の付着を抑制できる、帯電器を提供することができる。
【0023】
また本発明によると、トナー像を形成する画像形成装置であり、回転駆動される静電潜像担持体の表面を帯電器で帯電させ、該帯電器による静電潜像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成する画像形成部を少なくとも1つ有する電子写真方式の画像形成装置であって、少なくとも1つの画像形成部において、帯電器に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置を大型化することなく、しかも静電潜像担持体の寿命を徒に短くしないで該静電潜像担持体への放電生成物の付着を抑制でき、ひいてはそれだけ良好に画像形成できる、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の1例を示している。図1に示す画像形成装置A(以下、プリンタAと記載する場合がある)は、タンデム型のフルカラープリンタである。このプリンタAは、駆動ローラ81とこれに対向するローラ82に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト8を有している。中間転写ベルト8は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ81により図中反時計方向(図中矢印方向)αに回される。
【0026】
駆動ローラ81には中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ9が臨んでおり、駆動ローラ81に対向するローラ82には残トナー等を清掃するクリーニング装置83が臨んでいる。クリーニング装置83に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0027】
2次転写ローラ9の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ81に支持された中間転写ベルト8の部分に押圧され、中間転写ベルト8との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト8の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転することができる。2次転写ローラ9には、図示省略の電源から所定のタイミングで2次転写バイアスを印加することができる。
【0028】
中間転写ベルト8及び2次転写ローラ9の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録紙等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容カセット10が配置されている。
【0029】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。記録媒体収容カセット10に収容された記録媒体Sは、媒体供給ローラ11にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0030】
中間転写ベルト8を巻き掛けた駆動ローラ81とローラ82との間には、中間転写ベルト8に沿って、ローラ82から駆動ローラ81に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0031】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像器4、1次転写ローラ5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。
【0032】
各画像形成部においては、感光体1、帯電器2、現像器4及びクリーニング装置6を含むプロセスカートリッジが形成されている。すなわち、イエロー画像形成部Yを形成するためのイエロープロセスカートリッジYC、マゼンタ画像形成部Mを形成するためのマゼンタプロセスカートリッジMC、シアン画像形成部Cを形成するためのシアンプロセスカートリッジCC、ブラック画像形成部Kを形成するためのブラックプロセスカートリッジKCである。各プロセスカートリッジは画像形成装置本体に対し着脱可能である。
【0033】
1次転写ローラ5は中間転写ベルト8を間にして感光体1に対向しており、ベルトの走行に従動回転する。1次転写ローラ5には、感光体1上に形成されるトナー像を中間転写ベルト8へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から所定のタイミングで印加できる。露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施せるものである。
【0034】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。各画像形成部における帯電器2は、それには限定されないが、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで電源から帯電用の電圧が印加される。
【0035】
各画像形成部における現像器4は、トナーを主体とする所謂一成分現像剤を用いる一成分現像器である。現像器4は、それには限定されないが本例では、非磁性トナー(ここでは負帯電性の非磁性トナー)を主体とする現像剤(所謂一成分現像剤)用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加される現像ローラ41で反転現像することができる。
【0036】
このプリンタAによると、画像形成装置動作を制御する図示省略の制御部の指示、制御のもとに、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを中間転写ベルト8に1次転写する。
【0037】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像器4の現像バイアスが印加された現像ローラ41にて現像されて可視イエロートナー像となり、該トナー像が1次転写ローラ5にて中間転写ベルト8上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ5には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0038】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト8に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて中間転写ベルト8に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト8に転写される。
【0039】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト8上に重ねて転写されるタイミングで形成される。かくして中間転写ベルト8上に形成された多重トナー像は中間転写ベルト8の回動により2次転写ローラ9へ向け移動する。
【0040】
一方、記録媒体Sが記録媒体収容カセット10から媒体供給ローラ11にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0041】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト8にて送られてくる多重トナー像に合わせて、中間転写ベルト8と2次転写ローラ9とのニップ部に供給され、図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ9にて該多重トナー像が記録媒体S上に2次転写される。その後記録媒体Sは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイTに排出される。
【0042】
トナー像の中間転写ベルト8への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置6で清掃され、2次転写により中間転写ベルト8上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置83で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0043】
なお、本発明に係る画像形成装置は、このようなタンデム型のフルカラー画像形成装置に限定されるものではない。サイクル型のフルカラー画像形成装置であっても、本実施の形態に係る画像形成装置として適用できる。さらに、モノクロの画像形成装置であっても構わない。すなわち、静電潜像担持体が保持するトナー像を記録媒体に転写させる転写部を備え、静電潜像形成前に静電潜像担持体に一様に帯電させる帯電器を搭載した画像形成装置であればよい。
【0044】
[帯電器の構成]
図2は、図1の画像形成装置における帯電器2を示す斜視図である。図2は、グリッド電極300を上に向けて全体を分解した状態で示されている。帯電器2は、平行な、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200(ともに放電電極)を備えており、また、これらの放電ワイヤ(第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200)と感光体1との間に配置される網板状(メッシュ状)のグリッド電極300を備えている。さらに、グリッド電極300とは反対側で第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200に向かい合う安定板400を備えている。なお、この帯電器2の全体は、シールドケース800に収められている。このシールドケース800の下方には排気ファン820が設けられている。
【0045】
帯電器2におけるコロナ放電により発生した放電生成物は、安定板400の排出口401及びシールドケース800の排出口810を矢示C方向に通って、矢示D方向へ(すなわち、帯電器2の外部方向へ)、排気ファン820により排出される。なお、排気ファン820は、この画像形成装置Aが作動中は、基本的に動作されている。詳しくは後述するが、従来のように帯電中に作動されることに加えて、帯電停止中であっても本実施の形態のようにグリッド電極300を感光体1から離隔させた状態で、排気ファン820を作動させて、放電生成物を帯電器2の外部(画像形成装置Aの外部)へ排出する。
【0046】
第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200は、タングステン線(直径50μm程度)を金メッキ処理したものである。また、グリッド電極300はステンレススチール板を網板状に打ち抜いて形成したメッシュタイプの電極である。安定板400は、感光体1には向かわないイオン流を生成して放電中に発生するオゾン等の放電生成物を帯電器2の外部へ排出するように、排出口401を備えている。
【0047】
図2に示すように、帯電器2は両側にホルダ510及びホルダ520を備えており、安定板400の両端部がこれらホルダの切欠き段部513及び切欠き段部523に嵌合され、図示しないネジその他の適当な手段にて固定される。ホルダ510は、第1コロナ放電ワイヤ100を掛けるピン511を有するとともに、第2コロナ放電ワイヤ200を掛けるピン512を有する。ホルダ520は、第1コロナ放電ワイヤ100を掛ける導電性係止部521を有するとともに、第2コロナ放電ワイヤ200を掛ける導電性係止部522を有する。
【0048】
第1コロナ放電ワイヤ100は、その一端部のバネ状フック部101がピン511に掛けられ、他端部のフック部102が導電性係止部521に掛けられる。第2コロナ放電ワイヤ200は、その一端部のバネ状フック部201がピン512に掛けられ、他端部のフック部202が導電性係止部522に掛けられる。このようにして、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200は、所定位置に張設される。このように張設された第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200は、例えば、感光体1から等距離にあり、感光体1と平行である。
【0049】
また、ホルダ510の近傍にはメッシュ保持部610が設けられ、ホルダ520の近傍にはメッシュ保持部620が設けられている。メッシュ保持部610には、係合部材611がワイヤと平行な方向に摺動できるように嵌合されており、板バネ等にて内側を弾力的に支えられている(すなわち、グリッド電極300を図2における左方向に引っ張っている)。また、メッシュ保持部620には係合部材621が固設されている。メッシュ保持部620は、矢示E方向及び矢示F方向に揺動可能であって、矢示E方向にあるとグリッド電極300を張り、矢示F方向にあるとグリッド電極300を緩ませる。なお、メッシュ保持部610も、このメッシュ保持部620と同じ構成にすることもできる。このメッシュ保持部620の詳細については、後述する。
【0050】
グリッド電極300は、その一端部の孔301がメッシュ保持部610の係合部材611に(矢示A方向)、他端部の孔302がメッシュ保持部620の係合部材621に(矢示B方向)、それぞれ掛けられ、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200と感光体1との間に張設される。このように張設されたグリッド電極300は、例えば、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200を含む面と平行である。
【0051】
第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200には、ホルダ520中の導電性係止部521及び導電性係止部522を介して電圧が印加される。また、グリッド電極300はバリスタ700を介して接地される。さらに、安定板400も接地される。
【0052】
図2における帯電器2においては、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200に数kVの高電圧をかけコロナ放電を発生させる。発生した電荷は感光体1上に移動し、感光体1表面上を帯電させるが、このとき所望の電位にするためにグリッド電極300にも電圧を印加する。グリッド電極300上の電位と感光体1上の電位が等しくなったとき、感光体1上への電荷の移動は停止して、第1コロナ放電ワイヤ100及び第2コロナ放電ワイヤ200から発生する電荷はシールドケース800に流れ込む。シールドケース800は、グリッド電極300と同電位にしても接地しても構わない。
【0053】
[グリッド電極退避機構]
本実施の形態に係る画像形成装置Aの帯電器2においては、像流れの現象を確実に抑えることができるように、像流れ要因物質の汚染源である部位を特定し、その部位に対策機構を設けることで、感光体1表面上に像流れ要因物質の蓄積を防止することを特徴とする。
【0054】
画像形成中において像流れはほとんど発生しない。何故なら、画像形成中は帯電によりオゾン、窒素酸化物(NOx)等の多量の放電生成物が発生するが、それらの物質は図2に示すように排気ファン820により排気されるとともに、感光体1表面に付着しても多くは排気ファン820により排気されているため、微量の付着となっている。そのため、ウォーミングアップ時などに行なわれるクリーニングブレードの研磨等で十分対応できる。
【0055】
像流れが発生するのは画像形成後、帯電器2及び感光体1の駆動が停止し、しばらく放置した後である。すなわち記録媒体Sへの画像形成による放電時間の増加とともに像流れ要因となる物質が、帯電器2の中の特定の部位に蓄積した時に、帯電器2及び感光体1の駆動を停止すると、放電生成物が徐々に感光体1表面に移動して付着していく。この停止中は、排気ファン820による排気及びクリーニングブレードによる研磨が行なわれないため、感光体1表面上への付着量は時間とともに増加していく。よって、次の画像形成時、或いはウォーミングアップ時に、感光体1が駆動して、クリーニングブレードで研磨しても、短時間で放電生成物が除去されることはない。また停止時において排気ファン820による排気処理を、画像形成後も延長して行なうという対策も考えられるが、画像形成装置Aの主電源が切断されると対応できない。
【0056】
このため、本実施の形態においては、像流れ要因物質が蓄積している帯電器2の部位を特定し、対策機構を設けることで像流れを防止するものである。像流れ要因となる物質が蓄積する範囲を探索したところ、グリッド電極300を耐久品から新品に交換して一晩放置後、像流れが発生しなかったことから、グリッド電極300が像流れ要因の物質を蓄積する汚染源となっていることが判明した。よって、本実施の形態に係る画像形成装置Aにおける帯電器2においては、帯電終了後に、グリッド電極300を感光体1から遠ざける機構(以下、退避機構)を設け、像流れを抑制することとした。
【0057】
[グリッド電極退避機構の構成]
グリッド電極300の退避機構の構成を図3〜図8に示す。図3、図4及び図5はグリッド電極300が通常通りの張設状態(退避していない帯電状態)を示す、斜視図、側面図及び正面図であって、図6、図7及び図8はグリッド電極300が退避状態(非帯電状態)を示す、斜視図、側面図及び正面図である。これらの図を参照して、グリッド電極300の退避機構の構成を以下に説明する。
【0058】
このグリッド電極300の退避機構は、感光体1を駆動させる駆動ギア110に噛合する揺動ギア120と、グリッド電極300と感光体1との距離を一定に保持するために所定の付勢力を与えグリッド電極300を保持するメッシュ保持部620と、メッシュ保持部620の一部である係止部640を下方へ押すカム140と、カム140と揺動ギア120とを連結するアイドルギア130とで構成される。
【0059】
メッシュ保持部620は、軸630により押さえられて、メッシュ保持部620の係止部640がカム140の突起部142により下方へ押されると、図6及び図8に示すように、矢示F方向へ傾く。メッシュ保持部620は係合部材621でグリッド電極300の他端部の孔302を係止している(矢示B方向)。このため、メッシュ保持部620が矢示F方向に傾くと、グリッド電極300を緩ませて、感光体1とグリッド電極300との距離を広げる。
【0060】
一方、メッシュ保持部620は、軸630により押さえられて、メッシュ保持部620の係止部640がカム140の突起部142により下方へ押されている状態でなくなると、図3及び図5に示すように、図示しない復帰部材(例えばバネ等の弾性部材や上述したメッシュ保持部610において係合部材611を摺動させる板バネ)により、矢示E方向へ傾く。このため、メッシュ保持部620が矢示E方向に傾くと、グリッド電極300を張らせて、感光体1とグリッド電極300との距離を所定の距離(例えば1mm)に保持する。
【0061】
画像形成中は、感光体1は、図3に示す矢印の方向に回転する。その間、揺動ギア120の回転軸122は、駆動ギア110により図3及び図4の白抜き矢印で示すように斜め上方へ押し上げられている。このため、揺動ギア120はアイドルギア130とは噛合しないで離隔している、すなわち、駆動ギア110によって揺動ギア120が回転されているだけ(空回転)の状態である。このため、画像形成中は(すなわち帯電中は)、図3〜図5に示すように、メッシュ保持部620は矢示E方向に弾性材等で保持される。その結果、グリッド電極300は、感光体1と所定の距離を保持する。
【0062】
帯電終了後は、感光体1は、図6に示す矢印の方向に所定の量だけ逆回転する。そのとき、揺動ギア120の回転軸122は、駆動ギア110により図6及び図7の白抜き矢印で示すように斜め下方へ押し下げられる。このため、揺動ギア120はアイドルギア130に噛合する。噛合したアイドルギア130は、駆動ギア110の回転力を、カム140へ伝達する。すなわち、駆動ギア110の所定の回転(この所定の回転とは、少なくとも図6に示すように突起部142が係止部640を押し下げるだけの回転)によって、揺動ギア120が回転され、アイドルギア130を介してカム140が回転される状態である。このため、帯電終了後は、図6〜図8に示すように、メッシュ保持部620は矢示F方向に移動される。
【0063】
その結果、グリッド電極300は、緩んで、感光体1と所定の距離(帯電中の距離)を保持できず、距離が大きくなる。すなわち、画像形成における帯電が終了すると、感光体1は、画像形成中とは逆方向に所定の量だけ回転移動する。このことで揺動ギア120がアイドルギア130と噛合し、アイドルギア130によって、カム140が所定の変位量だけ動かされる。メッシュ保持部620が図6の矢示F方向に動くことによりグリッド電極300の張力が弱まりグリッド電極300が緩むことにより、グリッド電極300を感光体1から遠ざけることが可能となる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、上述したようにグリッド電極300を退避させる退避機構を備えるが、この退避機構は、シールドケース800(シールドケース800は固定されているので移動しない)の位置を移動させるものではなく、グリッド電極300のみを感光体1から退避させる点も特徴である。帯電終了後にシールドケース800を動かさないで、感光体1からグリッド電極300を退避する方向に移動させることで像流れの発生を防止する。このような効果を得るために、帯電器2自体、又は、シールドケース800を含めたグリッド電極300を移動させるのではなく、グリッド電極300のみを退避させるため、新たな大きい退避スペースを必要せず、シールドケース800を移動させるための大きな駆動源も必要としない。
【0065】
[画像形成装置の動作]
以上のような構造を有する帯電器2を備えた画像形成装置Aの動作を説明する。
【0066】
画像形成中であって帯電器2が継続して帯電している場合においては、感光体1を回転させる駆動ギア110が、回転軸112に設けられたモータ(図示しない)により、図3〜図5に示す方向に(図4における時計回り方向に)回転される。この駆動ギア110の回転により揺動ギア120が斜め上方に押し上げられて(図3及び図4の白抜き矢印の方向に押し上げられて)、揺動ギア120がとアイドルギア130とが離隔してカム140が回転しない。
【0067】
カム140が回転しないので、グリッド電極300を張設するメッシュ保持部620は、正立状態(図2、図3及び図5に示す矢示E方向にある状態)で、グリッド電極300は、感光体1と所定の距離を保持している。このため、帯電器2により感光体1表面が所望の電位に帯電される。
【0068】
帯電器2による帯電が終了した場合においては、感光体1を回転させる駆動ギア110が、回転軸112に設けられたモータ(図示しない)により、図6〜図8に示す方向に(図7における反時計回り方向に)、所定の量だけ回転される。この駆動ギア110の回転により揺動ギア120が斜め下方に押し下げられて(図6及び図7の白抜き矢印の方向に押し下げられて)、揺動ギア120とアイドルギア130とが噛合して、アイドルギア130を介してカム140が回転する。
【0069】
カム140が回転すると、グリッド電極300を張設するメッシュ保持部620は、傾斜状態(図2、図6及び図8に示す矢示F方向にある状態)で、グリッド電極300は、帯電中における所定の距離(感光体1とグリッド電極300との距離)よりも長い距離を保持する。このため、感光体1に放電生成物が付着することを抑制して、像流れ等の画像不良を抑制できる。
【0070】
[グリッド電極から感光体までの距離と像流れとの関係]
なお、このように画像形成装置Aを動作させた場合における、グリッド電極300から感光体1までの距離と、像流れとの関係について説明する。
【0071】
【表1】

【0072】
グリッド電極300と感光体1との距離を変化させたときの、像流れを確認した結果を表1に示す。表1の中で、「○」は像流れ未発生、「△」はハーフトーン画像では像流れが発生するが文字パターン等では像流れは目立たないレベル、「×」は文字パターンでも像流れが発生するレベルである。この表1からわかるように、グリッド電極300と感光体1との距離を遠ざけると、像流れが改善することが確認された。なお、グリッド電極300を退避させない場合の距離は1mmである。
【0073】
さらに、上述した帯電器2においては、感光体1の回転軸の中央部を臨む位置(中央部近傍)において、最もグリッド電極300が感光体1から遠ざかる。このため、図9に示すように、この中央部近傍に排出口810を設けると、排気ファン820により帯電器2内で発生した放電生成物は、像流れに最も耐力のある中央部近傍に集められる。このため、非中央部における放電生成物の蓄積が減るとともに、中央部でもその発生を抑えられる。なお、排気ファン820を他の機能を備えたファンと共用しても構わない。この場合、帯電器2が備えるのは、シールドケース800に設けられた排出口810までとなる。
【0074】
【表2】

【0075】
グリッド電極300と感光体1との距離を変化させ、かつ、排気口の位置を変化させたときの、像流れを確認した結果を表2に示す。表2に示すように、排気口を端部に設けるよりも、排気口を中央部近傍に設けたときの方が、像流れのレベルが改善されることがわかる。
【0076】
以上のようにして、本実施の形態に係る帯電器2を備えた画像形成装置Aによると、帯電器2に印加する電圧を画像形成に支障をきたすほど低く設定することなく、かつ、画像形成装置Aを大型化することなく、しかも感光体1の寿命を徒に短くしないで感光体1への放電生成物の付着を抑制でき、ひいてはそれだけ良好に画像形成できる、画像形成装置を提供することができる。
【0077】
なお、上述した実施の形態においては、グリッド電極300を緩めてグリッド電極300と感光体1との距離を広げる機構であるメッシュ保持部620の駆動を感光体1の駆動ギアから伝達される回転力としたが、本発明はこれに限定されない。他の駆動源であっても構わない。
【0078】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの構成の概要を示す図である。
【図2】図1の帯電器の分解斜視図である。
【図3】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の斜視図(その1)である。
【図4】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の側面図(その1)である。
【図5】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の正面図(その1)である。
【図6】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の斜視図(その2)である。
【図7】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の側面図(その2)である。
【図8】帯電器におけるグリッド電極の退避機構の正面図(その2)である。
【図9】排気ファンを含めた帯電器周辺の正面図である。
【符号の説明】
【0080】
A プリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
YC、MC、CC、KC プロセスカートリッジ
1 感光体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像器
5 1次転写ローラ
6 クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 2次転写ローラ
10 記録媒体収容カセット
11 媒体供給ローラ
41 現像ローラ
81 駆動ローラ
82 ローラ
83 クリーニング装置
100、200 コロナ放電ワイヤ
101、201 バネ状フック部
102、202 フック部
110 駆動ギア
112 回転軸
120 揺動ギア
130 アイドルギア
140 カム
142 突起部
300 グリッド電極
400 安定板
401 排出口
510、520 ホルダ
511、512 ピン
521、522 導電性係止部
610、620 メッシュ保持部
611、621 係合部材
630 軸
640 係止部
700 バリスタ
800 シールドケース
810 排出口
820 排気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置において回転駆動される静電潜像担持体表面を静電潜像形成に先立って帯電させる帯電器であって、放電電極と、グリッド電極と、シールドケースとを有する帯電器であり、
前記シールドケースは、予め定められた位置に固設されるケースであって、前記放電電極を収容しているとともに前記静電潜像担持体に向けられる開口部を有しており、
前記グリッド電極は、前記シールドケースの開口部に配設され、前記静電潜像担持体の回転軸に沿った方向の両端がそれぞれ保持部により保持されて張設される網板状のものであり、
前記帯電器が静電潜像担持体表面を帯電させているときには前記網板状のグリッド電極が張られるように、帯電させていないときには前記網板状のグリッド電極が前記シールドケースの方へ緩むように、グリッド電極の張設状態を調整する調整機構を備えていることを特徴とする、帯電器。
【請求項2】
前記調整機構は、前記静電潜像担持体を回転駆動させる駆動源により、前記網板状のグリッド電極を緩めることができるように構成されている、請求項1に記載の帯電器。
【請求項3】
前記調整機構は、
前記静電潜像担持体が前記駆動源により画像形成時の回転方向とは逆回転方向に駆動されると回転する揺動ギアと、前記保持部とを含んでおり、
前記保持部は、前記帯電器が静電潜像担持体表面を帯電させていないときに前記駆動源が前記静電潜像担持体を逆回転方向に回転して前記揺動ギアが所定量だけ回転すると、前記網板状のグリッド電極を保持する少なくとも一端が他端に近づくように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の帯電器。
【請求項4】
前記帯電器は、前記静電潜像担持体の回転軸方向における中央部を臨む位置に設けられた、放電生成物を排出する排出口をさらに含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の帯電器。
【請求項5】
前記帯電器は、前記排出口に対応する位置に設けられた排出ファンをさらに含む、請求項4に記載の帯電器。
【請求項6】
回転駆動される静電潜像担持体の表面を帯電器で帯電させ、該帯電器による静電潜像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成する画像形成部を少なくとも1つ有する電子写真方式の画像形成装置であり、少なくとも1つの画像形成部における前記帯電器は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の帯電器であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−2436(P2010−2436A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158641(P2008−158641)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】