説明

帯電装置、画像形成装置及び帯電ローラと感光体ドラム間のギャップ保持方法

【課題】帯電ローラの被覆層の寸法精度を必要とせずにローラ端部における異常放電やリークを防止し、帯電ローラに対向する感光体ドラムの画像形成領域を均一に帯電させる。
【解決手段】帯電装置は、帯電ローラ及びギャップ保持部材を備える。帯電ローラは、帯電電圧が印加される導電性ローラと、この導電性ローラの外周面を覆う部材であって、その端部が導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された被覆層を有している。帯電ローラは、導電性ローラを介して印加される帯電電圧によって近接配置された感光体ドラムを非接触で帯電する。ギャップ保持部材は、この帯電ローラの端部から離間した位置で帯電ローラの両端にそれぞれ固定され、被覆層と感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら感光体ドラムに当接し、感光体ドラムの回転に伴い帯電ローラと共に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、帯電装置、この帯電装置を用いた画像形成装置及び帯電ローラと感光体ドラム間のギャップ保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の技術として、像担持体である感光体ドラムに対して所定の帯電ギャップを置いて、この感光体ドラムを非接触で帯電する帯電装置を備えた画像形成装置が提案されている。
【0003】
このような画像形成装置で利用される帯電装置は、感光体ドラムの画像形成領域に対向する金属製の帯電ローラの外周面が導電性を有する被覆層(例えば帯電チューブ)で覆われている。また、帯電ローラの両端には、ギャップ保持部材が固定され、両端のギャップ保持部材を感光体ドラムの外周面に当接させることで、感光体ドラムとの間に所定の微小な帯電ギャップが保持される。そして、帯電ローラの両端面から軸方向に突出して形成された軸部の各軸受けを圧縮スプリングの付勢力で感光体ドラムの方へ押圧させ、感光体ドラムの回転に伴い帯電ローラが回転すると、帯電ギャップにより感光体ドラムが非接触で帯電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006―72065号公報
【特許文献2】特開2007―121480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術においては、帯電ローラの両端にギャップ保持部材を設置するためには、被覆層の端部の位置が帯電ローラの端部の位置と一致する必要がある。すなわち、被覆層の端部が帯電ローラの端部より内側となる場合、露出した金属シャフトから高電圧が感光体ドラム側にリークしてしまう可能性がある。逆に、被覆層の端部が帯電ローラの端部の外側まで達し、被覆層をギャップ保持部材の手前で折り曲げて成形する場合には、折り曲げた箇所が突出または凹んでしまい、感光体ドラムとの適正なギャップを保持できず、異常放電や帯電ムラを招く可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、帯電ローラの被覆層の寸法精度を必要とせずにローラ端部における異常放電やリークを防止し、帯電ローラに対向する感光体ドラムの画像形成領域を均一に帯電させることができる帯電装置、この帯電装置を用いた画像形成装置及び帯電ローラと感光体ドラム間のギャップ保持方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る帯電装置は、帯電ローラ及びギャップ保持部材を備えている。帯電ローラは、帯電電圧が印加される導電性ローラと、この導電性ローラの外周面を覆う部材であって、その端部が導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された被覆層を有している。帯電ローラは、導電性ローラを介して印加される帯電電圧によって近接配置された感光体ドラムを非接触で帯電する。ギャップ保持部材は、帯電ローラの端部から離間した位置で帯電ローラの両端にそれぞれ固定され、被覆層と感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら感光体ドラムに当接し、感光体ドラムの回転に伴い帯電ローラと共に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の帯電装置が利用される画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】図1に示す画像形成ユニットの概略構成図。
【図3】図2に示す帯電装置と感光体ドラムの当接状態を説明する概観図。
【図4】図2に示す帯電装置と感光体ドラムの当接状態を説明する断面図。
【図5】図4の要部を拡大した図。
【図6】本発明の第2の実施形態における帯電装置と感光体ドラムの当接状態を説明する断面図。
【図7】図6の要部を拡大した図。
【図8】図6に示すギャップ保持部材の上面図。
【図9】本発明の第3の実施形態における帯電装置と感光体ドラムの当接状態を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態によれば、帯電装置は、帯電ローラ及びギャップ保持部材を備えている。帯電ローラは、帯電電圧が印加される導電性ローラと、この導電性ローラの外周面を覆う部材であって、その端部が導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された被覆層を有している。帯電ローラは、導電性ローラを介して印加される帯電電圧によって近接配置された感光体ドラムを非接触で帯電する。ギャップ保持部材は、帯電ローラの端部から離間した位置で帯電ローラの両端にそれぞれ固定され、被覆層と感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら感光体ドラムに当接し、感光体ドラムの回転に伴い帯電ローラと共に回転する。
【0010】
<第1の実施形態>
以下、添付図面を例にとって、本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の帯電装置が使用される画像形成装置1を示す概略構成図である。同図に示されるように、画像形成装置1は4連タンデム方式である。画像形成装置1は上方に排紙部3を備える。
【0011】
画像形成装置1は、中間転写ベルト10の下側に画像形成ユニット11を有する。画像形成ユニット11は、中間転写ベルト10に沿って並列に配置される4組の画像形成ユニット11Y、11M、11C及び11Kを備える。画像形成ユニット11Y、11M、11C及び11Kは、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像をそれぞれ形成する。画像形成装置1の画像形成ユニット11近傍には、環境検知部である温湿度センサ15が設けられる。
【0012】
図2は、本発明の第1の実施形態における画像形成ユニットを示す概略構成図である。図2に示されるように、各画像形成ユニット11Y、11M、11C及び11Kは、像担持体である感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kをそれぞれ有する。各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kは、矢印m方向に回転する。各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲には、回転方向に沿って、帯電装置13Y、13M、13C及び13K、現像装置14Y、14M、14C及び14K、並びに感光体クリーナ16Y、16M、16C及び16Kがそれぞれ配置される。
【0013】
各帯電装置13Y、13M、13C及び13Kは、接続された電源(図示省略する)より帯電電圧が印加されることで帯電し、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの回転に伴ってそれぞれ回転する。そして、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kは非接触で均一に帯電される。更に、各帯電装置13Y、13M、13C及び13Kには、帯電ローラと逆回りに回転する筒状の帯電ローラクリーナ19が当接されており、帯電ローラに付着するトナーやゴミなどの異物が除去される。帯電ローラクリーナ19は例えばスポンジなどで形成される。
【0014】
各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲の帯電装置13Y、13M、13C及び13Kから現像装置14Y、14M、14C及び14Kに至る間には、レーザ露光装置17によるそれぞれの露光々が照射される。レーザ露光装置17は、半導体レーザ素子から出射されたレーザビームで感光体ドラム12を軸線方向に走査するもので、ポリゴンミラー17a、結像レンズ系17b、ミラー17c等を有する。これにより各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上に静電潜像が形成される。
【0015】
各現像装置14Y、14M、14C及び14Kは、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上の静電潜像を現像する。各現像装置14Y、14M、14C及び14Kは現像剤であるイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーと、キャリアとを有する二成分現像剤により現像を行う。
【0016】
中間転写ベルト10は、バックアップローラ21、従動ローラ20及び第1〜第3のテンションローラ22〜24により張架されて、矢印s方向に回転される。
【0017】
中間転写ベルト10は、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向し、接触する。中間転写ベルト10の感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向する位置には、1次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kが設けられる。各1次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kは、各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上に形成されるトナー像を中間転写ベルト10に1次転写する。各感光体クリーナ16Y、16M、16C及び16Kは、1次転写後に各感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上の残留トナーを除去し回収する。
【0018】
中間転写ベルト10のバックアップローラ21により支持される2次転写部には、2次転写ローラ27が対向される。2次転写部では、バックアップローラ21に所定の2次転写バイアスが印加されている。シート紙Pが、中間転写ベルト10と2次転写ローラ27間を通過すると、シート紙P上に、中間転写ベルト10上のトナー像が2次転写される。シート紙Pは、給紙カセット4a、4b或いは、手差し機構31から給紙される。2次転写終了後、中間転写ベルト10はベルトクリーナ10aによりクリーニングされる。
【0019】
給紙カセット4a、4bから2次転写ローラ27に到る間には、ピックアップローラ2a、2b、分離ローラ5a、5b、搬送ローラ6a、6b及びレジストローラ対36が設けられる。手差し機構31の手差しトレイ31aからレジストローラ対36に到る間には、手差しピックアップローラ31b、手差し分離ローラ31cが設けられる。更に、縦搬送路34方向に沿って、2次転写部より下流には定着装置30が設けられる。定着装置30は、2次転写部にてシート紙Pに転写されたトナー像を、シート紙Pに定着する。定着装置30の下流には、シート紙Pを排紙ローラ41方向或いは、再搬送ユニット32方向に振り分けるゲート33が設けられる。排紙ローラ41に導かれたシート紙Pは、排紙部3に排紙される。また、再搬送ユニット32に導かれたシート紙Pは、再度2次転写ローラ27方向に導かれる。
【0020】
次に、帯電装置13Y、13M、13C及び13Kについて詳述する。尚、帯電装置13Y、13M、13C及び13Kは同一構造である。同様に、これらの帯電装置にそれぞれ対応する感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kは同一構造である。したがって、以下の説明においては、帯電装置13Y,13M,13C及び13Kを代表する帯電装置13及び感光体ドラム12Y,12M,12C及び12Kを代表する感光体ドラム12の関係を説明する。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施形態における帯電装置13と感光体ドラム12の当接状態を説明する概観図である。図3に示すように、帯電装置13の帯電ローラ130の両端に設けられたギャップ保持部材133において感光体ドラム12に当接し、帯電ローラ130の中央部分の外周面では感光体ドラム12の画像形成領域との間に所定のギャップが保持されている。
【0022】
帯電ローラ130は、回転軸の両端面から軸方向に突出して形成された軸部の各軸受け部材51において圧縮スプリング52の付勢力で感光体ドラム12の方向へ押圧されている。感光体ドラム12の回転軸121の左端側には、感光体ドラム12を回転駆動するためのドラム駆動ギア53が固定されている。同様に、帯電装置13の帯電ローラ130の左端側には帯電ローラ130を回転駆動するための帯電ローラ駆動ギア54が固定されている。そして、モータ(図示省略する)の駆動力がドラム駆動ギア53に伝達されると感光体ドラム12が回転駆動される。これに伴い、モータの駆動力が帯電ローラギア54に伝達されると帯電ローラ130が回転駆動され、帯電ギャップによって感光体ドラム12が非接触で帯電される。
【0023】
図4は、本発明の第1の実施形態における帯電装置13と感光体ドラム12の当接状態を説明する断面図である。図5は、図4の要部を拡大した断面図である。図4及び図5に示すように、帯電装置13は、帯電ローラ130及びギャップ保持部材133を備えている。帯電ローラ130は、画像形成装置1に内部に設けられた電源(図示省略する)に接続されて帯電電圧が印加される金属製の導電性ローラ131とこの導電性ローラ131の外周面を覆う部材である被覆層132とを有し、帯電ローラ131を介して印加される帯電電圧によって感光体ドラム12を非接触で帯電する導電性ローラ131は、帯電部131a、第1の回転軸部131b及び第2の回転軸部131cを含む。帯電部131aは、感光体ドラムの画像形成領域に対応する帯電領域である。第1の回転軸部131bは、帯電部131aの端面から帯電部131aの外径D4よりも小さい外径D2で突出して形成された領域である。第2の回転軸部131cは、第1の回転軸部131bの先端から第1の回転軸部131bの外径D2よりも小さい外径D1で突出して形成された領域である。
【0024】
被覆層132は、導電性ローラ131の帯電部131aの外周面を覆う導電性の部材であり、例えばチューブ状に形成される。被覆層132は、帯電対応部132a及び延長部132bを含む。帯電対応部132aは、帯電部131aの外周面を覆う領域である。延長部132bは、被覆層132の端部が帯電部131aの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さL1で延長された領域である。
【0025】
被覆層132の素材は、体積抵抗率が小さすぎると感光体ドラム12への電圧集中(リーク)や異常放電の原因となるため、例えば体積抵抗率が約106Ω・cm以上の樹脂であることが好ましい。しかし、体積抵抗率が大きすぎると帯電量の不足により、均一画像を得るための十分な帯電電位を得ることが出来なくなる。そのため、例えば体積抵抗率が約1012Ω・cm以下の樹脂であることが好ましい。したがって、例えば、カーボンと導電性材料であるポリエーテルエステルアミドとを含む熱可塑性樹脂などを用いることが好ましい。また、絶縁性の熱可塑性樹脂と導電性樹脂を所定の割合で配合した素材を用いることもできる。
【0026】
被覆層132の厚さT1は、導電性ローラ131の帯電部131aを覆った際の外径D5がギャップ保持部材133の当接部分における外径D6よりも小さくなるように設定する。被覆層132の厚さT1は、薄すぎるとリークによる異常放電が発生する場合や亀裂が生じ易くなる場合もある。そのため、被覆層132の厚さT1は、例えば約50μm以上の厚さに設定することが好ましい。しかし、被覆層132の厚さT1は、厚すぎると抵抗の影響で感光体ドラム12への帯電が難しくなる。そのため、被覆層132の厚さT1は、例えば約200μm以下の厚さに設定することが好ましい。
【0027】
そして、延長部132bの長さL1は、ギャップ保持部材133の端面にチューブ端部が接触しないようにギャップ保持部材133の突出している長さL2よりも短く設定する。この際、延長部132bの長さL1が短すぎると、異常放電の可能性が生じる。そのため、延長部132bの長さL1は、例えば約0.5mm以上の長さに設定することが好ましい。しかし、延長部132bの長さL1が長すぎると、装置が大型化してしまう。そのため、延長部132bの長さL1は、約2mm以下の長さに設定することが好ましい。
【0028】
ギャップ保持部材133は、被覆層132と感光体ドラム12との間に所定の微小な帯電ギャップGを保ちながら感光体ドラム12に当接し、感光体ドラム12の回転に伴い導電性ローラ131と共に回転する部材である。ギャップ保持部材133は、被覆層132の端部から離間した位置で第1の回転軸部131b及び第2の回転軸部131cにそれぞれ固定されている。
【0029】
ギャップ保持部材133の素材は、感光体ドラム12に対して加圧された状態で接触することを考慮し、磨耗に強いことが求められる。したがって、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネード、ABS樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
ギャップ保持部材133は、当接部133a及び突出部133bを有している。当接部133aは、感光体ドラム12に外周面で当接するリング形状の領域を指す。また、突出部133bは、当接部133aの端面から帯電部131aの外径D4よりも小さい外径D3で突出して帯電部131aに当接する領域を指す。尚、突出部133bの内径は、導電性ローラ131の第1の回転軸部131bの外径と一致し、嵌め込み可能な形状に形成されている。
【0031】
導電性ローラ131と感光体ドラム12間のギャップ保持は、具体的には以下の方法で行われる。
先ず、帯電電圧が印加される導電性ローラ131の帯電領域(帯電部131a)の外周面を帯電領域(帯電部131a)の長手方向の長さよりも長く形成された導電性の被覆層132で覆い、この被覆層132の端部を導電性ローラ131の端面よりも導電性ローラ131の延在方向に沿って所定の長さで延長して延長部132bを形成する。例えば、導電性ローラ131の帯電部131aを被覆層132で覆った後、延長部132bを形成するために被覆層132を長めに切断するだけでよい。
【0032】
次に、被覆層132と感光体ドラム12との間に所定の帯電ギャップを保つギャップ保持部材133を被覆層132の端部(延長部132b)から離間させた位置で導電性ローラ131の両端(第1の回転軸部131b及び第2の回転軸部131c)にそれぞれ固定する。
【0033】
そして、導電性ローラ131の両端に設けられたギャップ保持部材133を感光体ドラム12の外周面に当接させ、感光体ドラム12の画像形成領域と被覆層132の帯電領域(帯電対応部132a)を対向させて配置する。
【0034】
この第1の実施形態によれば、画像形成時において、導電性ローラ131は第2の回転軸部131cに固定されている圧縮スプリング52を介して接続電源(図示省略する)から帯電電圧が印加されると、帯電部131a及び第1の回転軸部131bにも一様に帯電電圧が印加される。帯電部131aが帯電されると、この帯電部131aを覆っている導電性の被覆層132も帯電される。すなわち、感光体ドラム12の画像形成領域に対向している帯電対応部132aが帯電される。更に、この帯電対応部132aから所定の長さL1で延長されている延長部132bも一様に帯電される。この際、導電性ローラ131の帯電部131aの外周面には、被覆層132の帯電対応部132aが隅々まで均一に覆われているため、その帯電電位は均一となる。
【0035】
また、被覆層132と導電性ローラ131の帯電部131aの端部の長さを従来のように高精度で一致させる必要は無い。すなわち、簡易な方法によって被覆層132の帯電対応部132aを端部に到るまで均一に帯電させることが可能となる。
【0036】
更に、被覆層132の端部の折り曲げによる突出や凹みが生じることを回避できる。そのため、これらを原因とする異常放電やリークを防止することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
次に、この発明の第2の実施形態について図6乃至図8を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態における帯電装置13と感光体ドラム12の当接状態を説明する断面図である。図7は、図6の要部を拡大した断面図である。図8は、本発明の第2の実施形態におけるギャップ保持部材133の上面図である。この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態に対してギャップ保持部材133の形状が異なるものである。他は第1の実施形態と同様であることから、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
この実施形態は図6−8に示すように、ギャップ保持部材133は、当接部133a、第1の突出部133b及び第2の突出部133cを有している。当接部133aは、感光体ドラム12に外周面で当接するリング形状の領域である。
【0039】
第1の突出部133bは、当接部133aの端面から帯電部131aの外径D4よりも小さい外径D3で突出して帯電部131aに端面で当接する領域である。第1の突出部133bの突出によって、導電性ローラ131の帯電部131aとギャップ保持部材133の当接部133aは確実に離間された状態で固定される。
【0040】
第2の突出部133cは、第1の突出部133bと同一の端面から被覆層132の外径D5よりも大きい内径D6で帯電対応部132aの端部と感光体ドラム12との間までリング状に突出する領域である。第2の突出部133cの厚さT3は、ギャップ保持部材133の強度を考慮して任意に変更可能である。
【0041】
また、図7においては第2の突出部133cも当接部133aと同様に感光体ドラム12に当接する構成であるが、延長部132bの外周の空間内に突出していれば十分である。すなわち、当接部133aの当接面よりも導電性ローラ131の回転軸寄りであって感光体ドラム12に当接しない位置から突出するように形成してもよい。
【0042】
第2の突出部133cが当接部133aの端面から突出する長さL3は、第1の突出部133bが当接部133aの端面から突出する長さL2よりも長く設定し、感光体ドラム12の画像形成領域は境界面Aより導電性ローラ131の中央側に設定するものとする。
【0043】
この第2の実施形態によれば、前述の第1の実施形態と比べて被覆層132の端部をギャップ保持部材133によって外周の離れた位置から保護し、感光体ドラム12を帯電させることができる。
【0044】
このため、仮に導電性ローラ131の端部において異常放電やリークなどが生じた場合であっても帯電対応部132aに対向する感光体ドラム12の画像形成領域を均一に帯電させることができるという利点がある。
【0045】
<第3の実施形態>
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して導電性ローラ131の形状が異なるものである。他は第1の実施形態と同様であることから、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
図9は、本発明の第3の実施形態における帯電装置13と感光体ドラム12の当接状態を説明する断面図である。この実施形態はFIG.9に示すように、前述の第1の実施形態と比べて導電性ローラ131から第2の回転軸部131bが省略され、帯電部131aと、帯電部131aの端面から帯電部131aの外径よりも小さい外径で突出して形成された回転軸部131dのみで形成されている。
【0047】
また、ギャップ保持部材133の形状も回転軸部131dの形状に合わせた貫通孔が中心部分に形成されている。
【0048】
この第3の実施形態によれば、導電性ローラ131の形状が単純になるため、この導電性ローラ131の回転軸部131dに固定されるギャップ保持部材133の形状も同様に単純となる。
【0049】
したがって、前述の第1及び第2の実施形態と比べて導電性ローラ131及びギャップ保持部材133の製造がそれぞれ容易となる利点がある。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置
11Y、11M、11C,11K…画像形成ユニット
12,12Y,12M,12C,12K…感光体ドラム
13,13Y,13M,13C,13K…帯電装置
14Y、14M、14C,14K…現像装置
16Y、16M、16C,16K…感光体クリーナ
17…レーザ露光装置
19…帯電ローラクリーナ
130…帯電ローラ
131…導電性ローラ
131a…帯電部
131b…第1の回転軸部
131c…第2の回転軸部
131d…回転軸部
132…被覆層
132a…帯電対応部
132b…延長部
133…ギャップ保持部材
133a…当接部
133b…第1の突出部
133c…第2の突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電電圧が印加される導電性ローラと、この導電性ローラの外周面を覆う部材であって、その端部が前記導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された被覆層とを有し、前記導電性ローラを介して印加される前記帯電電圧によって近接配置された感光体ドラムを非接触で帯電する帯電ローラと、
この帯電ローラの前記端部から離間した位置で前記帯電ローラの両端にそれぞれ固定され、前記被覆層と前記感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら前記感光体ドラムに当接し、前記感光体ドラムの回転に伴い前記帯電ローラと共に回転するギャップ保持部材と、
を備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
感光体ドラムの画像形成領域に対応する帯電部と、この帯電部の端面から突出して形成された回転軸部を含み、帯電電圧が印加される導電性ローラと、前記帯電部の外周面を覆う帯電対応部と、端部が前記帯電部の端面よりも前記導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された延長部を含む被覆層とを有し、前記導電性ローラを介して印加される前記帯電電圧によって前記感光体ドラムを非接触で帯電する帯電ローラと、
前記感光体ドラムに外周面で当接する当接部と、この当接部の端面から前記帯電部の外径よりも小さい外径で突出して前記帯電部に当接する突出部とを有し、前記被覆層の前記端部から離間した位置で前記回転軸部にそれぞれ固定され、前記被覆層と前記感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら前記感光体ドラムに当接し、前記感光体ドラムの回転に伴い前記帯電ローラと共に回転するギャップ保持部材と、
を備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
感光体ドラムの画像形成領域に対応する帯電部と、この帯電部の端面から前記帯電部よりも小さい外径で突出した第1の回転軸部と、この第1の回転軸部の先端から前記第1の回転軸部のよりも小さい外径で突出した第2の回転軸部を含み、帯電電圧が印加される導電性ローラと、前記帯電部の外周面を覆う帯電対応部と、端部が前記帯電部の端面よりも前記導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された延長部を含む被覆層とを有し、前記導電性ローラを介して印加される前記帯電電圧によって前記感光体ドラムを非接触で帯電する帯電ローラと、
前記感光体ドラムに外周面で当接する当接部と、この当接部の端面から前記帯電部の外径よりも小さい外径で突出して前記帯電部に当接する突出部とを有し、前記被覆層の前記端部から離間した位置で前記第1及び第2の回転軸部にそれぞれ固定され、前記被覆層と前記感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら前記感光体ドラムに当接し、前記感光体ドラムの回転に伴い前記帯電ローラと共に回転するギャップ保持部材と、
を備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
前記ギャップ保持部材は、前記突出部と同一の前記端面から前記被覆層の外径よりも大きい内径で前記帯電対応部の端部と前記感光体ドラムとの間までリング状に突出する第2の突出部を更に有することを特徴とする請求項2または請求項3記載の帯電装置。
【請求項5】
前記被覆層の素材は、体積抵抗率が約106Ω・cm以上、かつ、約1012Ω・cm以下の樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の帯電装置。
【請求項6】
前記ギャップ保持部材の素材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の帯電装置。
【請求項7】
前記延長部の長さは、約0.5mm以上、かつ、約2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の帯電装置。
【請求項8】
前記被覆層の厚さは、約50μm以上、かつ、約200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の帯電装置。
【請求項9】
静電潜像及びトナー像が形成される感光体ドラムと、
この感光体ドラムに近接配置され、前記感光体ドラムを非接触で帯電させる帯電装置と、
前記感光体ドラムの画像形成領域を露光し、前記静電潜像を書込む露光装置と、
前記感光体ドラムに形成された前記静電潜像を現像剤によって現像し、前記感光体ドラムの表面に前記トナー像を形成する現像装置と、
前記感光体ドラムに形成された前記トナー像を被転写媒体へ転写する転写装置と、
からなり
前記帯電装置は、帯電電圧が印加される導電性ローラと、この導電性ローラの外周面を覆う部材であって、その端部が前記導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長された被覆層を有し、前記導電性ローラを介して印加される前記帯電電圧によって近接配置された感光体ドラムを非接触で帯電する帯電ローラと、
この帯電ローラの前記端部から離間した位置で前記帯電ローラの両端にそれぞれ固定され、前記被覆層と前記感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保ちながら前記感光体ドラムに当接し、前記感光体ドラムの回転に伴い前記帯電ローラと共に回転するギャップ保持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
帯電電圧が印加される導電性ローラの帯電領域の外周面を前記帯電領域の長手方向の長さよりも長く形成された導電性の被覆層で覆い、この被覆層の端部を前記導電性ローラの端面よりも導電性ローラの延在方向に沿って所定の長さで延長した延長部を形成し、
前記被覆層と前記感光体ドラムとの間に所定の帯電ギャップを保つギャップ保持部材を前記被覆層の前記端部から離間させた位置で前記帯電ローラの両端にそれぞれ固定し、
前記ギャップ保持部材を前記感光体ドラムに当接させ、前記感光体ドラムの画像形成領域と前記被覆層の帯電領域を対向させて配置する、
帯電ローラと感光体ドラム間のギャップ保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−22577(P2011−22577A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159664(P2010−159664)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】