説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】帯電機会を増やし、像保持体の表面の帯電ムラが抑制された帯電装置及び画像形成装置を得る
【解決手段】帯電チューブ70の感光体ドラム40側でたわませ、駆動ロール72と従動ロール74の間で、感光体ドラム40の表面から帯電チューブ70を浮き上がらせるようにしている。帯電チューブ70をたわませることで、帯電チューブ70をたわませない場合と比較して、放電領域が増大する。さらに、駆動ロール72と従動ロール74の間で、感光体ドラム40の表面から帯電チューブ70を浮き上がらせるようにすることで、感光体ドラム40と帯電チューブ70との接触部Pとは別に、接触部Qが設けられため、帯電機会が増える。これにより、1周目で感光体ドラム40の表面の帯電電位が飽和可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に備えられた感光体ドラムの表面は、帯電装置により帯電された後、露光装置のレーザ光により照射される。これにより、感光体ドラムの表面には、静電潜像が形成される。さらに、この静電潜像を現像装置で現像することでトナー画像が感光体ドラムの表面に形成され、転写装置によってこのトナー画像はシート材に転写される。そして、感光体ドラム上に残った残留電荷は、最終的には除電され、感光体ドラムは次の動作に備える。
【0003】
このように、帯電、静電潜像形成、現像、転写、除電という一連のサイクルが、安定的に繰り返されるためには、感光体ドラムの表面電位を安定させる必要がある。
【0004】
このため、例えば、特許文献1では、ベルト状の誘電体を用い、感光体の回転方向上流側で感光体の表面を除電し、その下流側で感光体を帯電させるようにしている。また、特許文献2は、チューブ状フィルムの張架により、感光体の表面との間に設けられる微小ギャップを広く形成し、感光体の帯電効率を上げるようにしている。
【0005】
さらに、特許文献3は、チューブ状フィルムの表面に凹部を形成し、帯電機会を向上させるようにしている。また、特許文献4は、感光体の回転方向上流側に設けられた感光体表面とのギャップの異常放電を抑制して、その下流側のギャップで放電させることによって、安定した電位を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−72712号公報
【0007】
【特許文献2】特開平9−114185号公報
【0008】
【特許文献3】特開平10−198123号公報
【0009】
【特許文献4】特開2002−23461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、帯電機会を増やし、像保持体の表面の帯電ムラが抑制された帯電装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、帯電装置において、複数の支持部材に巻掛けられ、前記支持部材に巻掛けられた部分で像保持体の表面に接触し、支持部材の間でたるみ前記像保持体の表面から浮き上がっている巻掛け部材と、前記巻き掛け部材を支持している支持部材に電圧を印加する印加手段と、を有している。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の帯電装置において、前記支持部材間に設けられ、前記巻掛け部材を支持して前記像保持体の表面から浮き上がらせる浮き上がらせ手段を有している。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の帯電装置において、前記巻掛け部材の前記像保持体の反対側に、該巻掛け部材を覆って巻掛け部材の膨らみを抑える抑え部材を設けている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の帯電装置において、前記浮き上がらせ手段が、前記巻掛け部材を支持する支持面が円弧状の受け部材である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の帯電装置において、少なくとも一方の前記支持部材が駆動力を有しており、前記像保持体の移動方向上流側に位置する支持部材の前記巻掛け部材の搬送力が、下流側の支持部材の巻掛け部材の搬送力よりも大きくなっている。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の帯電装置において、前記像保持体の移動方向上流側の支持部材で像保持体の表面を除電し、下流側の支持部材で像保持体の表面を帯電させる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、画像形成装置において、像保持体の表面を帯電させる請求項1〜6の何れか1項に記載の帯電装置と、前記像保持体上の静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体上の画像を被転写部材に転写する転写手段と、を有している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、帯電機会を増やし、像保持体の表面の帯電ムラを抑制することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、支持部材間で、巻掛け部材と像保持体の表面との間に隙間を設けることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、巻掛け部材の像保持体側において、たるませることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、少なくとも支持面が円弧状であれば良く、筒体に限るものではない。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、支持部材間で巻掛け部材を浮き上がらせることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、除電機能と帯電機能を持たせることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、像保持体の帯電ムラが抑制され、帯電ゴーストが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を示す説明図である。
【図4】(A)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の構成を示す概略側面図であり、(B)は、(A)の第1変形例である。
【図5】(A)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を説明するための比較例であり、(B)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を示す説明図である。
【図6】(A)、(B)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の構成を示す第2変形例である。
【図8】本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の構成を示す第3変形例である。
【図9】(A)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を説明するための比較例であり、(B)は、本実施形態に係る画像形成装置の帯電装置の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0027】
<画像形成装置の構成>
【0028】
図1に示されるように、画像形成装置10は、筐体12を有しており、筐体12の下部には、シート材供給装置14が配置されている。また、筐体12の上部には、画像が形成されたシート材を排出する排出部16が形成されている。
【0029】
シート材供給装置14と排出部16の間には、感光体ユニット30、転写ユニット32、電源ユニット41、及び制御ユニット44が配置されており、感光体ユニット30には、感光体フレーム46が設けられ、感光体フレーム46には、4つの感光体ドラム40が回転自在に支持されている。
【0030】
シート材供給装置14には、給紙カセット18が備えられている。この給紙カセット18には、多数のシート材Pが積層収容されており、給紙カセット18の底部には、シート材Pが積載されるボトムプレート20が設けられている。
【0031】
このボトムプレート20は、感光体ドラム40の転写部34へシート材Pを給紙する際に、昇降手段(図示省略)によって上方へ移動して、ボトムプレート20に積載された最上部のシート材Pをピックアップロール22に押し当てる構成となっている。そして、給紙カセット18を筐体12から引き出すと、ボトムプレート20は、昇降手段によって下方へ移動する。
【0032】
シート材Pを転写部34へ送り出すとき、ボトムプレート20に積載された最上部のシート材Pが、ピックアップロール22に押し当てられるが、シート材Pは、このピックアップロール22によって順次取り出され、シート材Pの搬送方向に沿って、ピックアップロール22の下流側(以下、「シート材Pの搬送方向に沿って」の文言を省略する場合もする)で回転駆動する給紙ロール24と分離ロール26によって、一枚ずつ搬送されるようになっている。
【0033】
そして、給紙カセット18から搬送されたシート材Pは、給紙ロール24及び分離ロール26の下流側に配置されたレジストローラ28により一時停止され、予め定められたタイミングで感光体ユニット30と転写ユニット32との間へ送り出される。
【0034】
ここで、各感光体ドラム40の周囲には、感光体ドラム40を帯電させる帯電チューブ(巻掛け部材)70(後述する)を備えた帯電手段としての帯電装置48と、各感光体ドラム40に書き込まれた潜像をトナー(現像剤)で現像する現像手段としての現像ユニット50と、転写がなされた後に感光体ドラム40に残留するトナーを除去するクリーニング装置54と、が設けられており、感光体ユニット30は、4つの感光体ドラム40、帯電装置48、現像ユニット50、及びクリーニング装置54を感光体フレーム46に保持させて一体化され、筐体12に対して着脱可能となっている。
【0035】
4つの現像ユニット50に対応した4つのトナーボックス56は、感光体ユニット30の裏面側方に接続されている。このトナーボックス56は、各色用(マゼンダ、イエロー、シアン、及びブラック用)であり、トナー供給部58とトナー回収部60とが一体になって構成されている。
【0036】
トナー供給部58は、現像ユニット50に接続されており、各色のトナーを現像ユニット50に供給する構成となっている。また、トナー回収部60は、クリーニング装置54に接続されて各色のトナーを回収する構成となっている。
【0037】
また、感光体ドラム40にレーザ光で潜像を書き込む露光装置62は、感光体ユニット30の背面側であって、各感光体ドラム40に対応した位置に配置され、表面が帯電された感光体ドラム40に対してレーザを照射して潜像を形成するようになっている。
【0038】
一方、転写ユニット32は、感光体ユニット30の表側であって、感光体ユニット30に対向して縦方向に配置されている。この転写ユニット32には、上下方向に設けられた2つの支持ロール64と、この2つの支持ロール64に巻き掛けられた搬送ベルト66と、搬送ベルト66を挟んで各感光体ドラム40に対向する位置に設けられた転写ロール68と、が設けられている。
【0039】
転写ユニット32の下流側には、搬送ベルト66に転写されたトナー画像をシート材Pに定着する定着装置36が設けられており、定着装置36の下流側には、排出ロール38が設けられ、該排出ロール38によりシート材Pが排出部16へ排出可能とされる。
【0040】
<画像形成装置の作用>
【0041】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0042】
画像形成する際には、まず、帯電装置48が、感光体ドラム40の表面を帯電部電位でマイナス帯電させる。そして、表面が帯電した感光体ドラム40上の画像部分が露光部電位になるように露光装置62で露光を行ない、感光体ドラム40上に静電潜像が形成される。
【0043】
すなわち、制御ユニット44から供給された画像データに基づき、半導体レーザ(図示省略)をオン・オフして変調することによって、該画像データに対応した潜像が各感光体ドラム40上に形成される。
【0044】
さらに、回転する感光体ドラム40上の静電潜像が現像ユニット50を通過すると、静電気力によって現像ユニット50に収納された現像剤のトナーが静電潜像へ付着し、静電潜像はトナー画像として可視化される。
【0045】
そこで、給紙カセット18に載せられたシート材Pがピックアップロール22によって送り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール24と分離ロール26によって、一枚ずつ搬送される。給紙カセット18から搬送されたシート材Pは、レジストローラ28により一時停止され、予め定められたタイミングで、感光体ユニット30と転写ユニット32との間に送りだされる。
【0046】
そして、シート材Pは、搬送ベルト66によって保持されて各感光体ドラム40の転写部34へ搬送され、転写部34を通過するときに、感光体ドラム40上のトナー画像がシート材Pに順次転写される。このようにして、シート材Pへ転写されたトナー画像は、定着装置36で定着され、シート材Pは、排出ロール38によって排出部16へ排出される。
【0047】
<帯電装置>
【0048】
ここで、本実施形態に係る帯電装置について説明する。
【0049】
図1及び図2に示すように、感光体ドラム40の周囲に設けられた帯電装置48には、図示しない感光体ドラム40のギアを介して駆動力が伝達される駆動ロール(支持部材)72と、駆動ロール72に対して従動する従動ロール(支持部材)74と、が備えられており、感光体ドラム40の回転方向(矢印方向)の上流側に駆動ロール72が配設され、下流側に従動ロール74が配置されている。
なお、ここでは、支持部材の一方を駆動ロール72として、後述する帯電チューブ70を駆動回転可能としたが、感光体ドラム40の回転と共に帯電チューブ70を回転させることができれば良いため、2つの支持部材を従動ロールとし、感光体ドラム40に対して帯電チューブ70を従動回転させるようにしても良い。
【0050】
以下、この二つの支持部材については、駆動ロール72及び従動ロール74として、説明を行う。駆動ロール72及び従動ロール74の表面には、導電性の帯電チューブ70が巻掛けられている。この帯電チューブ70には、駆動ロール72及び従動ロール74の少なくとも一方を介してバイアス電源が接続されており、マイナス電圧が印加(マイナス印加)されるようになっている。また、帯電チューブ70は、張力を掛けた状態で駆動ロール72及び従動ロール74に巻掛けた場合の帯電チューブ71の長さよりも長く設定して、帯電チューブ70をたるませるようにしている。
【0051】
また、図3に示すように、帯電チューブ70の感光体ドラム40の反対側には、駆動ロール72及び従動ロール74を囲むようにして帯電チューブ70と対面する抑え部材76を設けており、帯電チューブ70の感光体ドラム40の反対側が膨らむ(図2参照)ことを抑制し、帯電チューブ70の感光体ドラム40側でたわませ、駆動ロール72と従動ロール74の間で、感光体ドラム40の表面から帯電チューブ70を浮き上がらせるようにしている。
【0052】
また、駆動ロール72と従動ロール74の間には、図4(A)に示すように、帯電チューブ70をたわませ、帯電チューブ70を浮き上がらせて、感光体ドラム40の表面との間に隙間を設けた状態で、帯電チューブ70の外周面をロール(浮き上がらせ手段)78で支持するようにしている。
【0053】
なお、ここでは、ロール78を用いたが、感光体ドラム40の表面との間に隙間を設けた状態で、帯電チューブ70の外周面を支持することができれば良いため、必ずしもロールである必要はなく、図4(B)に示すように、帯電チューブ70を支持する支持面側が円弧状を成す受け部材80を用いても良い。
【0054】
ここで、図3に示すように、帯電チューブ70を浮き上がらせるため、感光体ドラム40の回転方向上流側に位置する駆動ロール72の搬送力(矢印F1)が、感光体ドラム40の回転方向下流側に位置する従動ロール74の搬送力(矢印F2)よりも大きくなるようにしている(F1>F2)。帯電チューブ70の上流側と下流側の搬送力の差は、帯電チューブ70を移動させる駆動ロール72と従動ロール74の外径寸法、回転速度の差などによって設定される。
【0055】
具体的には、駆動ロール72の外径寸法を従動ロール74の外径寸法よりも大きくしたり、駆動ロール72の回転速度を感光体ドラム40の移動速度より速くして、従動ロール74の回転速度を感光体ドラム40の移動速度より遅く、もしくは感光体ドラム40の移動速度と等速にしたりして、駆動ロール72の搬送力が従動ロール74の搬送力よりも大きくなるようにする。なお、従動ロール74にモータなどの駆動装置を連結させて、従動ロール74も駆動させるようにしても良い。
【0056】
さらに、これに加え、駆動ロール72及び従動ロール74は感光体ドラム40との間で挟持力を有するため、従動ロール74の挟持力を駆動ロール72の挟持力よりも大きくして、駆動ロール72と従動ロール74の間で帯電チューブ70を浮き上がらせるようにしても良い。
【0057】
ところで、一般的に、感光体ユニット30(図1参照)では、感光体ドラム40の周囲に除電器を設けて、転写後の感光体ドラム40の表面を除電し、感光体ドラム40の表面を帯電させるときの電位の安定化を図っている。
【0058】
仮に、感光体ドラム40の表面を除電しない場合、感光体ドラム40を1周回転させただけでは、感光体ドラム40の帯電電位が飽和せず、感光体ドラム40の2周回転以降で感光体ドラム40の帯電電位が飽和することになる。
【0059】
感光体ドラム40の帯電電位が飽和していない状態、つまり、感光体ドラム40の各周回で電位差が生じてしまったままの状態で印字動作を行うと、感光体ドラム40の帯電時において電位が低い部分は、より低い電位となって、現像される濃度が濃くなる。これが、いわゆるポジ・ゴースト現象である。
【0060】
このため、本実施形態では、駆動ロール72及び従動ロール74の表面に、マイナス印加される帯電チューブ70を巻掛け、帯電チューブ70をたわませた状態で、駆動ロール72及び従動ロール74を介して帯電チューブ70を感光体ドラム40の表面にそれぞれ接触させるようにしている。図5(B)に示すように、帯電チューブ70をたわませることで、図5(A)に示すように、帯電チューブ70をたわませない場合と比較して、放電領域C2(>C1)が増大する。
【0061】
さらに、本実施形態では、図6(A)に示すように、感光体ドラム40の移動方向に沿って、感光体ドラム40と帯電チューブ70との接触部Pとは別に、接触部Qが設けられる。帯電チューブ70と感光体ドラム40の表面との間の隙間tによって電位差が生じ、放電することによって感光体ドラム40の表面が帯電するが、接触部Pから該隙間tまでが放電領域Aとなる。そして、接触部Pとは別に、接触部Qを設けることで、放電領域Aとは別に、放電領域Bが形成される。つまり、接触部を増やすことで、帯電機会が増える。
【0062】
以上のような構成により、図6(B)に示すように、感光体ドラム40の表面を複数回帯電させることで、1周目で感光体ドラム40の表面の帯電電位が飽和可能となる。
【0063】
<その他の実施形態>
【0064】
上記の実施形態では、駆動ロール72及び従動ロール74の少なくとも一方を介してバイアス電源が接続させ、帯電チューブ70がマイナス印加されるようにしたが、図7に示すように、駆動ロール72をグランド(GND)に接続し、従動ロール74を電源ユニット41と接続された電源(印加手段)82と接続して、従動ロール74にはマイナス電圧が印加されるようにしても良い。
【0065】
駆動ロール72をグランド(GND)に接続することで、該駆動ロール72を介して、帯電チューブ70と感光体ドラム40との接触部Pにおいて、感光体ドラム40の表面の残留電位が除電され、電位が約0となる。つまり、この場合、駆動ロール72は感光体ドラム40の除電器として機能する。
【0066】
そして、従動ロール74にマイナス電圧を印加することで、該従動ロール74を介して帯電チューブ70が負帯電する。これにより、帯電チューブ70と感光体ドラム40との接触部Qにおいて、感光体ドラム40の表面が負帯電する。つまり、この場合、従動ロール74は感光体ドラム40の帯電器として機能する。
【0067】
これにより、感光体ドラム40の帯電ムラが抑制され、帯電ゴーストが抑えられる。また、感光体ドラム40上の電位が安定する。
【0068】
なお、ここでは、駆動ロール72をグランド(GND)に接続したが、図8に示すように、交流電圧84により駆動ロール72に印加される電圧の実効値がゼロとなるようにしても良い。この場合、感光体ドラム40の表面が除電される。つまり、駆動ロール72は感光体ドラム40の除電器として機能する。
【0069】
ところで、本実施形態では、図9(B)に示すように、駆動ロール72及び従動ロール74の表面に帯電チューブ70を巻掛けるようにしたが、例えば、図9(A)に示すように、別体の帯電器100、102を2個並べた場合、感光体ドラム40の回転方向(矢印方向)に沿った上流側の帯電器100の端部の位置Rと、下流側の帯電器102の端部の位置Sが帯電器100、102の軸方向でズレてしまう。
【0070】
上流側で除電していない領域を下流側で帯電してしまうと、帯電電位が上昇してしまいいわゆる電界剥離現象(BCO)が発生する。この場合、感光体ドラム40の表面の電位差は100v以上となってしまう場合がある。また、帯電器100又は帯電器102を片側に寄せる構成を取るにしても、帯電器100と帯電器102とで、各部材の個体ばらつきが生じるため、軸方向のズレを吸収することはできない。
【0071】
しかし、図9(B)に示すように、1本の帯電チューブ70を用いた場合は、感光体ドラム40の回転方向(矢印方向)に沿った上流側と下流側とで、帯電チューブ70の端部の位置にズレは生じないため、帯電装置48の端部の位置不良に起因する問題が生じない。
【0072】
なお、ここでは、駆動ロール72及び従動ロール74の間に、感光体ドラム40の表面との間に隙間を1箇所設けるようにしたが、帯電ロールを3本以上設けて、隙間を複数箇所設けるようにしても良い。これにより、隙間が1箇所の場合よりも帯電機会が増え、さらに安定した感光体ドラム40の表面電位が得られる。また、ここでは、像保持体としてドラム状を用いたが、ベルト状の像保持体であっても勿論良い。
【符号の説明】
【0073】
10 画像形成装置
32 転写ユニット(転写装置)
40 感光体ドラム(像保持体)
41 電源ユニット(印加手段)
48 帯電装置
50 現像ユニット(現像装置)
68 転写ロール(現像装置)
70 帯電チューブ(巻掛け部材)
72 駆動ロール(支持部材)
74 従動ロール(支持部材)
76 抑え部材
78 ロール(受け部材、浮き上がらせ手段)
80 受け部材(浮き上がらせ手段)
82 電源(印加手段)
84 交流電圧(印加手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材に巻掛けられ、前記支持部材に巻掛けられた部分で像保持体の表面に接触し、支持部材の間でたるみ前記像保持体の表面から浮き上がっている巻掛け部材と、
前記巻き掛け部材を支持している支持部材に電圧を印加する印加手段と、
を有する帯電装置。
【請求項2】
前記支持部材間に設けられ、前記巻掛け部材を支持して前記像保持体の表面から浮き上がらせる浮き上がらせ手段を有する請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記巻掛け部材の前記像保持体の反対側に、該巻掛け部材を覆って巻掛け部材の膨らみを抑える抑え部材を設けた請求項1又は2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記浮き上がらせ手段が、前記巻掛け部材を支持する支持面が円弧状の受け部材である請求項2又は3に記載の帯電装置。
【請求項5】
少なくとも一方の前記支持部材が駆動力を有しており、
前記像保持体の移動方向上流側に位置する支持部材の前記巻掛け部材の搬送力が、下流側の支持部材の巻掛け部材の搬送力よりも大きい請求項1〜4の何れか1項に記載の帯電装置。
【請求項6】
前記像保持体の移動方向上流側の支持部材で像保持体の表面を除電し、下流側の支持部材で像保持体の表面を帯電させる請求項1〜5の何れか1項に記載の帯電装置。
【請求項7】
像保持体の表面を帯電させる請求項1〜6の何れか1項に記載の帯電装置と、
前記像保持体上の静電潜像を現像する現像装置と、
前記像保持体上の画像を被転写部材に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−230902(P2010−230902A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77248(P2009−77248)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】