説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】塑性変形させたグリッド110を備える構成において、グリッド110の長手方向における帯電性のばらつきを抑制する。
【解決手段】グリッド110の短手方向両端部(線状部132)は、支持されておらず、シールドケース102に対して非接触となっている。これにより、グリッド110の短手方向両端側でシールドケース102に支持される構成に比べて、グリッド110の長手方向において電位が変動しにくく、グリッド110の長手方向において帯電性のばらつきが発生しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感光体ドラムの曲率に沿って配置されたグリッド電極を有するスコロトロン帯電装置が開示されている。このスコロトロン帯電装置では、公開公報図5に示すように、グリッド電極23は、複数の開口部231と、短手方向に間隔が一定のパターン線232を有している。長手方向両端部には、張設するための引掛け部233A、233Bが一体に形成されている。233A、233Bはそれぞれ、引掛けるための本体部233aと、短手方向外側へ拡がるように延びる一対の腕部233bとから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2008−262114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、塑性変形させた電位制御板を備える構成において、電位制御板の長手方向における帯電性のばらつきを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、回転すると共に円弧状の外周面を有する被帯電体の該外周面に対向して設けられ、該被帯電体の回転軸方向に沿って延びる放電電極と、前記被帯電体の外周面と円筒又は円柱状の被帯電体の回転軸方向に沿って延びる放電電極と、前記被帯電体と前記放電電極との間に配置され、前記被帯電体の回転軸方向に沿って長さを有し、絞り加工により自立的に形状維持するように塑性変形された電位制御板と、前記電位制御板の長手方向端部のみで前記電位制御板を支持する支持部材と、を備える帯電装置である。
【0006】
請求項2の発明は、前記電位制御板は、少なくとも被帯電体の回転方向下流端を含む回転方向下流側の一部において、前記被帯電体との距離が、前記被帯電体の回転方向下流側に行くにつれて離れるように塑性変形されている請求項1に記載の帯電装置である。
【0007】
請求項3の発明は、前記電位制御板は、前記被帯電体との距離が一定となるように、長手方向から見て円弧状に塑性変形されている請求項1に記載の帯電装置である。
【0008】
請求項4の発明は、前記放電電極が2本以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電装置である。
【0009】
請求項5の発明は、前記電位制御板の長手方向端部において前記放電電極側の表面に突き当たる突き当て部材を有する請求項1〜4の帯電装置と、前記帯電装置によって帯電される被帯電体としての感光体と、前記感光体の軸方向端部に設けられ、前記電位制御板の長手方向端部において前記表面の反対側の裏面に突き当たる突き当て部材と、を備える画像形成装置である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電装置と、オーバー・コート層を有し、前記帯電装置によって帯電される被帯電体としての感光体と、備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の構成によれば、電位制御板の短手方向両端側が支持された構成に比べ、電位制御板の長手方向における帯電性のばらつきを抑制できる。
【0012】
本発明の請求項2の構成によれば、被帯電体の回転方向下流端側で被帯電体との距離が離れない構成に比べ、被帯電体の回転方向下流側における帯電性のばらつきを抑制できる。
【0013】
本発明の請求項3の構成によれば、電位制御板が平板状に形成された構成に比べて、帯電効率がよくなる。
【0014】
本発明の請求項4の構成によれば、放電電極が1本である構成に比べて、帯電効率の改善効果が高い。
【0015】
本発明の請求項5の構成によれば、突き当て部材を備えない構成に比べ、電位制御板の形状維持が図られる。
【0016】
本発明の請求項6の構成によれば、放電生成ガスの影響を受けやすいオーバー・コート層を有する感光体において、放電生成ガスの発生に起因する画像欠陥を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る感光体周辺の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る帯電装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】本実施形態に係るグリッドの構成を示す斜視図である。
【図6】突き当て部材を備える帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】第1変形例に係るグリッドを備える帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図8】第2変形例に係るグリッドを備える帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】第3変形例に係るグリッドを備える帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】第4変形例に係るグリッドを備える帯電装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】適用例1に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図12】適用例2に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0019】
画像形成装置10は、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0020】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0021】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0022】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0023】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38へ記録用紙Pを搬送可能とされている。
【0024】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された搬送路55を有しており、搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0025】
一方、画像形成部14には、回転すると共に円弧状の外周面を有する被帯電体の一例として、円筒又は円柱状の感光体62が、装置本体10Aの中央部に設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図1における時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62は、その表面に、感光体62の表面の摩耗を抑制するオーバー・コート層を有している。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電装置100が設けられている。帯電装置100の具体的な構成については、後述する。
【0026】
感光体62の回転方向における帯電装置100よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、帯電装置100により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。
【0027】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0028】
図2に示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。この感光体62の外周面と対向する位置が、現像処理を行う現像位置となる。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0029】
現像器72Yは、その内部にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。現像器72Yは、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74を備えている。
【0030】
現像ロール74は、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層を、感光体62に対向する位置に搬送し、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)にトナーを付着させて現像を行う。
【0031】
なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0032】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図2における反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0033】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0034】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0035】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置60が設けられている。クリーニング装置60では、クリーニングブレード64が中間転写ベルト68に接触してトナーを掻き取るようになっている。このクリーニング装置60のクリーニングブレード64及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、中間転写ベルト68の外周面から離れるようになっている。
【0036】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0037】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面への放電により一次転写ロールの帯電履歴を除電する除電装置81が設けられている。除電装置81は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面にマイナス放電を行い、一次転写ロールによるプラス帯電の履歴を除去し、次の画像形成に影響を与えないようにするためのものである。また、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電装置100の上流側に、感光体62の外周面に光を照射してマイナス帯電の履歴をキャンセルする除電手段75を設けられている。
【0038】
図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0039】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行う場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0040】
(帯電装置100の構成)
次に、帯電装置100の構成について説明する。
【0041】
帯電装置100は、図2に示すように、感光体62側が開口した筐体の一例として、アルミニウム製のシールドケース102を備えている。シールドケース102は、感光体62の回転軸方向に沿って延びる細長い箱状とされている(図3参照)。シールドケース102内には、図2に示すように、シールドケース102内を幅方向(感光体62の回転方向)中央部で仕切っている仕切板104が設けられている。
【0042】
シールドケース102内には、感光体62の外周面に対向して設けられ感光体62の回転軸方向に沿って延びる放電電極の一例としての放電ワイヤ106・108が、仕切板104を挟んだ両側に設けられている。放電ワイヤ106・108は、タングステン等の金属線で構成されている。なお、放電電極としては、樹脂が被覆されたワイヤや板状の金属板等で構成された放電部材であってもよく、放電がなされるものであればよい。
【0043】
放電ワイヤ106・108は、電源(図示省略)から電圧が印加されることで、マイナス電荷を発生させると共に感光体62の表面へこのマイナス電荷を供給する放電動作を行うようになっている。この放電動作により、感光体62が帯電するようになっている。
【0044】
シールドケース102の開口側であって、かつ、放電ワイヤ106・108と感光体62との間には、電位制御板の一例としてのグリッド110が感光体62の回転軸方向に沿って配置されている。グリッド110は、一部がメッシュ状に形成された金属板で構成されると共に、感光体62の外周面に沿って湾曲状に形成されている。
【0045】
また、グリッド110は、感光体62の回転軸方向に長さを有している。すなわち、グリッド110の長手方向が感光体62の回転軸方向に沿っており、グリッド110の短手方向が感光体62の回転方向に沿っている。なお、グリッド110は、メッシュ状である構成に限られず、例えば、スリット状であってもよく、複数の開口を有していればよい。
【0046】
このグリッド110では、放電ワイヤ106・108で発生したマイナス電荷が、グリッド110の開口を通過して感光体62に供給されるようになっており、制御部(図示省略)によって制御されるグリッド電圧により、グリッド110を通過するマイナス電荷の通過量が制御される。これにより、感光体62の帯電電位が制御される。
【0047】
具体的には、感光体62の電位に対してグリッド110の電圧(電位)が高い場合には、その電位差によりマイナス電荷が感光体62へ向かうのでマイナス電荷の通過量が多く、感光体62にマイナス電荷が供給されることで、感光体62とグリッド110との電位差が小さくなると、マイナス電荷の通過量が減少するようになっている。従って、グリッド110のグリッド電圧を高く設定することで、グリッド電圧を低く設定した場合よりも、マイナス電荷の通過量が増加し、感光体62の帯電電位が高くなる。
【0048】
ここで、グリッド110は、具体的には、図4及び図5に示すように、放電ワイヤ106・108側へ凸状に湾曲された湾曲部120と、湾曲部120の外周を枠状に囲む枠部130と、を備えて構成されている。
【0049】
枠部130は、平らな平板で構成されている。また、枠部130は、湾曲部120に対する感光体62の回転方向上流側及び下流側において感光体62の回転軸方向に沿って線状に延びる一対の線状部132と、湾曲部120に対する感光体62の回転軸方向一端側及び他端側において一対の線状部132の一方から他方までの幅を有する幅広部134・135と、を有している。
【0050】
一方(図5における左上側)の幅広部134には、後述の引掛け部162が引っ掛けられる2つの引掛け孔136が形成されている。他方(図5における右下側)の幅広部135には、後述のトーションバネ172が引っ掛けられる2つの引掛け孔138と、後述の突き当て部174が差し込まれる2つの差込孔137が形成されている。
【0051】
湾曲部120は、メッシュ状にされたメッシュ部122を有している。メッシュ部122は、例えば、四角形状を並べられた格子状、六角形状が並んだ亀の子状に形成されている。
【0052】
メッシュ部122の外周には、メッシュ部122を枠状に囲む枠部分124が形成されている。メッシュ部122には、グリッド110の短手方向中央部において、メッシュ部122を二つの領域に仕切る仕切部126が、グリッド110の長手方向に沿って形成されている。
【0053】
メッシュ部122は、感光体62の画像領域(非帯電領域)に対向して配置されており、この部分で少なくとも、感光体62の外周面に沿って湾曲状に形成されている。具体的には、メッシュ部122及び枠部分124の一部で、感光体62との距離が一定となるように、長手方向から見て円弧状に塑性変形されている。
【0054】
湾曲部120は、絞り加工により自立的に形状維持するように構成されている。すなわち、湾曲部120は、外力を排除すると平板に復帰する弾性変形ではなく、湾曲状態が維持される塑性変形をしている。
【0055】
本実施形態では、絞り加工は、具体的には、プレス絞り加工を用いているが、絞り加工としては、ロール絞り加工など、他の加工を用いてもよい。
【0056】
一方、シールドケース102内におけるシールドケース102の長手方向両端部には、図3に示すように、グリッド110の長手方向両端部を支持する支持部材160・170が設けられている。
【0057】
支持部材160には、幅広部134の引掛け孔136のそれぞれに引っ掛けられる2つの引掛け部162が形成されている。2つの引掛け部162は、シールドケース102の短手方向に沿って並んで配置されている。
【0058】
支持部材160には、2つの引掛け部162を間に挟んだ両側の位置に、グリッド110と感光体62との距離を規定するための突き当て部164が形成されている。突き当て部164は、引掛け部162よりも感光体62側へ突出している。
【0059】
支持部材170には、幅広部135の引掛け孔138のそれぞれに引っ掛けられる2つのトーションバネ172が設けられている。2つのトーションバネ172は、シールドケース102の短手方向に沿って並んで配置されている。トーションバネ172が引掛け孔138に引っ掛けられると共に引掛け部162が引掛け孔136に引っ掛けられた状態において、トーションバネ172に対する引掛け部162側とは反対の方向(図3においてA方向)へトーションバネ172がグリッド110を付勢し、グリッド110に長手方向の張力を付与している。
【0060】
支持部材170には、トーションバネ172に対するシールドケース102の長手方向中央部側の位置に、グリッド110と感光体62との距離を規定するための突き当て部174が2つ形成されている。突き当て部174は、それぞれ、トーションバネ172の先端よりも感光体62側へ突出している。
【0061】
グリッド110は、前述のように、その長手方向両端部(幅広部134・135)が、引掛け部162及びトーションバネ172によって支持されている。具体的には、グリッド110は、感光体62の被帯電領域の外側(詳細には、感光体62をその軸方向一端部で支持する支持部材に対向する位置)において、引掛け部162及びトーションバネ172によって支持されている。また、グリッド110の短手方向両端部(線状部132)は、支持されておらず、シールドケース102に対して非接触となっている。従って、本実施形態に係るグリッド110は、その長手方向両端部でのみ支持されている。
【0062】
なお、帯電装置100には、感光体62の回転軸方向に沿って移動して放電ワイヤ106・108及びグリッド110を清掃する清掃部材150が設けられている。
【0063】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0064】
本実施形態に係る画像形成装置によれば、グリッド110は、メッシュ部122において感光体62との距離が一定となるように円弧状に塑性変形されている。これにより、メッシュ部122が平板状に形成された構成に比べて、帯電効率がよくなる。
【0065】
また、本実施形態では、放電ワイヤが放電ワイヤ106・108の2本で構成されており、放電ワイヤ106・108のそれぞれにおいて帯電効率が向上する。従って、本実施形態の構成によれば、放電ワイヤが1本である構成に比べ、帯電効率の改善効果が高い。
【0066】
また、本実施形態では、特に、絞り加工によってグリッド110を塑性変形させている。このため、効果的に自立的に湾曲形状を維持する。これにより、グリッド110は、グリッド110の長手方向両端部でのみ支持される本実施形態の構成において、感光体62との距離が一定に保たれる。
【0067】
また、本実施形態では、グリッド110の短手方向両端部(線状部132)は、支持されておらず、シールドケース102に対して非接触となっている。これにより、グリッド110の短手方向両端側でシールドケース102に支持される構成に比べて、グリッド110の長手方向において電位が変動しにくく、グリッド110の長手方向において帯電性のばらつきが発生しにくい。
【0068】
また、本実施形態では、感光体62は、その表面に、感光体62の表面の摩耗を抑制するオーバー・コート層を有している。このため、オーバー・コート層を有していない感光体に比べ、感光体62の表面の摩耗量が少ないため、放電ワイヤの放電により発生する放電生成ガスにより変質、もしくは表面への放電生成ガスから生じる放電生成物の付着量が多くなる。これに対して、本実施形態の構成によれば、前述のとおり、帯電効率が上げるので放電生成ガスの発生が抑制され、放電生成ガスの影響を受けやすいオーバー・コート層を有する感光体において、放電生成ガスの発生に起因する画像欠陥(画像の濃度バラつきや濃度抜けなど)が抑制される。
【0069】
なお、本実施形態では、放電ワイヤが2本設けられていたが、放電ワイヤは、1本であっても、3本以上であってもよい。
【0070】
また、本実施形態では、図6に示すように、グリッド110の枠部分124(メッシュ部122の長手方向外側)に突き当たる突き当て部材を、さらに備える構成であってもよい。具体的には、図6に示すように、グリッド110の放電ワイヤ106・108側の表面(図6における上面)に突き当たる突き当て部材180・182が、シールドケース102の長手方向一端部におけるシールドケース102内に設けられている。突き当て部材180は、グリッド110の短手方向一端部の表面に突き当たっている。突き当て部材182は、グリッド110の短手方向他端部の表面に突き当たっている。
【0071】
突き当て部材180・182は、例えば、支持部材160に設けられている。また、突き当て部材180・182は、具体的には、湾曲部120の枠部分124(メッシュ部122でない部分)であって、感光体62との距離が一定となるように円弧状に塑性変形されていた部分に突き当たっている。
【0072】
さらに、図6に示すように、グリッド110の感光体62側の裏面(図6における下面)に突き当たる突き当て部材190が、感光体62をその軸方向一端部で支持する支持部材62Aに設けられている。突き当て部材190は、突き当て部材180と突き当て部材182とが突き当たる部分の間の位置、具体的には、グリッド110の短手方向中央部の裏面に突き当たっている。また、突き当て部材190は、具体的には、湾曲部120の枠部分124(メッシュ部122でない部分)であって、感光体62との距離が一定となるように円弧状に塑性変形されていた部分に突き当たっている。
【0073】
なお、突き当て部材180・182・190は、グリッド110の長手方向他端側に対しても同様に設けられており、グリッド110に突き当たっている。
【0074】
また、本実施形態では、グリッド110が、少なくとも、メッシュ部122において感光体62との距離が一定となるように円弧状に塑性変形されていたが、グリッド110が感光体62の外周面に沿って湾曲状に形成される形状としては、以下に示す構成であってもよい。
【0075】
(グリッド110の第1変形例)
【0076】
第1変形例に係るグリッド210では、図7に示すように、メッシュ部222が感光体62の回転方向上流から回転方向下流側に向かって、徐々に曲率が大きくなった湾曲形状に自立的に維持されている。これにより、メッシュ部222の感光体62に対する距離が、感光体62の回転方向上流から回転方向下流側に向かって、徐々に長くなっている。
【0077】
一般に、グリッド110によって制御される制御電位に対する感度は、感光体62の回転方向下流側において上流側よりもよいが、感光体62とメッシュ部222を感光体62の回転方向下流側で離すことで、感光体62の回転方向上流側との感度の差が小さくなる。
【0078】
これにより、グリッド110における感光体62の回転方向下流側で、感光体62の回転軸方向で帯電電位のばらつきが生じても、その影響が小さくなる。
【0079】
なお、第1変形例の構成では、放電ワイヤが2本設けられていたが、放電ワイヤは、1本であっても、3本以上であってもよい。
【0080】
(グリッド110の第2変形例)
【0081】
第2変形例に係るグリッド310では、図8に示すように、メッシュ部322が感光体62の回転方向上流側において、感光体62との距離が一定となるように長手方向から見て円弧状に塑性変形され、感光体62の回転方向下流側において、平板状に形成されている。これにより、メッシュ部222の感光体62に対する距離が、感光体62の回転方向上流から回転方向下流側に向かって、徐々に長くなっている。
【0082】
この構成により、第1変形例と同様に、感光体62とメッシュ部222を感光体62の回転方向下流側で離すことで、感光体62の回転方向上流側との感度の差が小さくなる。
【0083】
これにより、グリッド110における感光体62の回転方向下流側で、感光体62の回転軸方向で帯電電位のばらつきが生じても、その影響が小さくなる。
【0084】
また、帯電装置100で発生するイオン風が、グリッド110に沿って流れるため、該イオン風が、感光体62の回転方向下流側に向く。これにより、放電生成ガスが排出しやすくなる。
【0085】
なお、第2変形例の構成では、放電ワイヤが2本設けられていたが、放電ワイヤは、1本であっても、3本以上であってもよい。
【0086】
(グリッド110の第3変形例)
【0087】
第3変形例に係るグリッド410では、図9に示すように、メッシュ部422が、グリッド110の短手方向中央部Bと感光体62の回転中心Cとを通る線分BCを半径とする円の曲率よりも大きい曲率とされた円弧状に自立的に維持されている。これにより、メッシュ部422の感光体62に対する距離が、感光体62の回転方向中央部から回転方向上流側に向かって、徐々に長くなると共に、感光体62の回転方向中央部から回転方向下流側に向かって、徐々に長くなっている。このように、第3変形例では、被帯電体の回転方向下流端を含む回転方向下流側の一部において、感光体62との距離が、感光体62の回転方向下流側に行くにつれて離れている。
【0088】
なお、第3変形例の構成では、放電ワイヤが2本設けられていたが、放電ワイヤは、1本であっても、3本以上であってもよい。
【0089】
(グリッド110の第4変形例)
【0090】
第4変形例に係るグリッド510では、図10に示すように、メッシュ部522が、グリッド110の短手方向中央部Bで屈曲している。メッシュ部522は、中央部Bよりも感光体62の回転方向上流側において、放電ワイヤ106と感光体62の回転中心Cとを通る線分106Cと直交し、中央部Bよりも感光体62の回転方向下流側において、放電ワイヤ108と感光体62の回転中心Cとを通る線分108Cと直交している。
【0091】
なお、第4変形例の構成では、放電ワイヤが2本設けられていたが、放電ワイヤは、3本以上であってもよい。また、なお、第4変形例の構成では、仕切板104が設けられていたが、仕切板104がない構成であってもよい。
【0092】
(帯電装置100が適用される画像形成装置の構成)
本実施形態に係る帯電装置100が適用される画像形成装置について、前述の画像形成装置10以外の適用例を説明する。ここでは、適用例を2つ挙げ、それぞれについて説明する。
【0093】
[適用例1に係る画像形成装置の構成]
図11は、適用例1に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
図11において、254は矢印J方向に回転駆動する静電潜像保持体である感光体(像保持体)であり、その周囲に順に、感光体254表面を均一帯電する前述の帯電装置100、感光体254表面に像様の光を照射して静電潜像を形成する露光器(静電潜像形成手段)258、並びに、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤を感光体254表面に供給し静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置(現像手段)260からなるトナー像形成手段と、感光体254表面に形成されたトナー像を用紙(記録媒体)Pに転写する転写器(転写手段)264と、感光体62の外周面への放電により転写器264の帯電履歴を除電する除電装置270と、感光体254表面に残存するトナーやごみ等の不純物を掻き取って除去するブレード式のクリーニング装置(清掃手段)266と、感光体254表面の静電潜像を除去する除電器268と、が配され、さらに転写器264に対して用紙Pの搬送方向(矢印K方向)下流には、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着器(定着手段)272が配されている。
【0094】
露光器258としては、感光体254表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いることが好ましい。
【0095】
現像装置260は、トナー(体積平均粒径5.8μm)及びキャリアからなる二成分現像剤が収容されており、該二成分現像剤の内キャリアが現像スリーブ(現像剤保持体)表面にいわゆる磁気ブラシを形成し、これによりトナーが感光体254表面に供給されて静電潜像が現像される。
【0096】
転写手段として、本例においてはロール型の接触型転写帯電器(転写器264)を用いているが、その他ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器であってもよいし、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等であってもよい。
【0097】
除電装置270は、クリーニング装置266による残留トナー等の回収前に、例えば、感光体254の外周面にマイナス放電を行い、転写器264によるプラス帯電の履歴を除去し、次の画像形成に影響を与えないようにするためのものである。
【0098】
本例においては、清掃手段として、クリーニング装置266のようにゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードを用い、その一方のエッジを感光体254表面に当接させて、表面に付着したトナー等を除去する方式のものを採用している。ただし、本実施形態において、導電性プラスチックを用いたブラシ等、その他公知のクリーニング方式の清掃手段を採用しても構わない。
【0099】
定着器272としては、一対のロール型の像定着部材を備える2ロール方式の定着手段が例示されるが、本実施形態においてその他の定着方式を採用しても勿論構わない。
【0100】
矢印J方向に回転駆動する感光体254は、まず、その表面が帯電装置100によって均一に帯電された上で、露光器258によって画像情報に応じて露光され、感光体254表面に露光部/非露光部に基づく電位の隔たりからなる静電潜像が形成される。次いで、一方の電位に帯電されたトナーが現像装置260によって感光体254表面に供給され、静電潜像が現像されてトナー像とされたのち、転写器264によって用紙P表面に転写される。未定着のトナー像を表面に有する用紙Pは、矢印K方向に搬送されて、定着器272のニップに挿通され、熱及び圧力が加えられてトナーが溶融し、用紙Pに固着して永久画像が形成される。
【0101】
一方、トナー像転写後の感光体254表面は、除電装置270の放電により転写器264の帯電履歴が除電された後、転写器264で転写されずに残った残留トナーや紙粉等のゴミ(不純物)がクリーニング装置266により除去され、次いで残存する静電潜像が除電器268によって除去されて一連の画像形成サイクルが終了し、次の画像形成サイクルに備える。
【0102】
[適用例2に係る画像形成装置の構成]
図12は、適用例2に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
画像形成装置374は、感光体(静電潜像保持体)376、帯電手段である帯電器378、静電潜像形成手段である露光器380、現像手段であるロータリー現像装置382、中間転写手段である一次転写ロール384、及び、クリーニングブレードによるクリーニング装置386からなるトナー像形成手段と、複数色のトナー像が積層され、一括して記録用紙(記録媒体)Pに転写させる中間転写体388と、一次転写ロール384と共に中間転写体388を張架支持する3つの支持ロール390,392,394と、二次転写手段(転写手段)である二次転写ロール396と、感光体62の外周面への放電により転写器264の帯電履歴を除電する除電装置として用いられる前述の帯電装置100と、中間転写体388表面に残存するトナーやごみ等の不純物を掻き取って除去するブレード式の中間転写体クリーニング装置(清掃手段)398と、二次転写後の記録用紙Pを搬送する搬送ベルト302と、搬送ベルト302により搬送されてきた記録用紙Pを2つの加熱ロール304及び加圧ロール306で挟み込み、熱と圧力でトナー像を定着する定着装置(定着手段)308と、を備えて構成されている。
【0103】
感光体376は、全体としてドラム状に形成されたもので、その外周面(ドラム表面)に感光層を有している。この感光体376は図12の矢印M方向に回転可能に設けられている。帯電器378は、感光体376の表面を一様に帯電するものである。露光器380は、帯電器378によって一様に帯電された感光体376に像様の光Lを照射することにより、静電潜像を形成するものである。
【0104】
ロータリー現像装置382は、それぞれイエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用トナーを収容する4つ現像器382Y,382M,382C,382Kを有するものである。本置では、現像器382Yにはイエロートナー、現像器382Mにはマゼンタトナー、現像器382Cにはシアントナー、現像器382Kにはブラックトナーがそれぞれ収容されている。
【0105】
このロータリー現像装置382は、上記4つの現像器382Y,382M,382C,382Kが順に感光体376と近接、対向するように回転駆動することにより、それぞれの色に対応する静電潜像にトナーを転移してトナー像を形成するものである。
【0106】
一次転写ロール384は、感光体376との間で中間転写体388を挟持しつつ、感光体376表面に形成されたトナー像をエンドレスベルト状の中間転写体388の外周面に転写(一次転写)するものである。クリーニング装置386は、転写後に感光体376表面に残ったトナー等をクリーニング(除去)するものである。中間転写体388は、その内周面が複数の支持ロール390,392,394及び一次転写ロール384によって張架され、矢印N方向及びその逆方向に周回可能に支持されている。二次転写ロール396は、図示しない用紙搬送手段によって矢印O方向に搬送される記録用紙(記録媒体)Pを支持ロール394との間で挟持しつつ、中間転写体388外周面に転写されたトナー像を記録用紙Pに転写(二次転写)するものである。
【0107】
図12の画像形成装置374における感光体(静電潜像保持体)376、帯電器(帯電手段)378、露光器(静電潜像形成手段)380、定着装置(定着手段)308については、適用例1に係る画像形成装置おける前述の定着器272と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0108】
また、一次転写ロール(中間転写手段)384及び二次転写ロール(転写手段)396については転写器64と同様であり、クリーニング装置386及び中間転写体クリーニング装置398についてはクリーニング装置66と同様であるため、これらについても詳細な説明は割愛する。
【0109】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いればよい。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。なお、本例においては、中間転写体としてベルト状のものを用いているが、ドラム状(円筒状)のものであっても問題ない。
【0110】
帯電装置100は、回転すると共に円弧状の外周面を有する被帯電体の一例としての中間転写体388を介して支持ロール392に対向して設けられている。すなわち、帯電装置100は、支持ロール392に巻き掛けられて円弧状となった中間転写体388の外周面に対向している。帯電装置100は、クリーニング装置398による残留トナー等の回収前に、例えば、中間転写体388の外周面にマイナス放電を行い、二次転写ロール396によるプラス帯電の履歴を除去し、次の画像形成に影響を与えないようにするために用いられる。
【0111】
画像形成装置374は、順次、感光体376表面にトナー像を形成して中間転写体388外周面(表面)に重ねて転写するものであり、次のように動作する。すなわち、まず、感光体376が回転駆動され、帯電器378によって感光体376の表面が一様に帯電された(帯電工程)後、その感光体376に露光器380によるマゼンタ像様の像光が照射されて静電潜像が形成される。
【0112】
この静電潜像は例えばマゼンタ用の現像器382Mによって現像された後、そのトナー像が一次転写ロール384によって中間転写体388外周面に転写される。このとき中間転写体388に転写されずに感光体376表面に残ったマゼンタトナー等は、クリーニング装置386によりクリーニングされる。
【0113】
また、マゼンタ色のトナー像が、外周面に形成された中間転写体388は、該外周面にマゼンタ色のトナー像を保持したまま、一旦矢印N方向と逆方向に周回移動(この時、感光体376と中間転写体388とが離間するように構成されている。)し、次の例えばシアン色のトナー像が、マゼンタ色のトナー像の上に積層されて転写される位置に備えられる。
【0114】
以降、シアン、イエロー、ブラックの各トナーについても、上記同様に帯電器378による帯電、露光器380による像光の照射、各現像器382C,382Y,382Kによるトナー像の形成、中間転写体388外周面へのトナー像の転写が順次、繰り返される。
【0115】
こうして中間転写体388外周面に対する4色のトナー像の転写が終了すると、このトナー像は二次転写ロール396により一括して記録用紙Pに転写される(二次転写工程)。これにより、記録用紙Pの画像形成面には、画像形成面から順にマゼンタトナー像、シアントナー像、イエロートナー像、ブラックトナー像が積層された記録画像が得られる。二次転写ロール396によってトナー像が記録用紙P表面に転写された後に、定着器308によって転写されたトナー像が加熱定着される(定着工程)。
【0116】
一方、トナー像の一括転写後の中間転写体388外周面は、粒子供給装置100により潤滑材粒子が供給された後、二次転写ロール396で転写されずに残った残留トナーや紙粉等のゴミ(不純物)が中間転写体クリーニング装置398により除去されて一連の画像形成サイクルが終了し、次の画像形成サイクルに備える。
【0117】
以上、図11及び図12に示す2つの構成の画像形成装置を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る帯電装置100は、従来公知の電子写真方式の画像形成装置に適用することができ、勿論、いずれの場合も本発明の画像形成装置を構成する。
【0118】
例えば、上記実施形態では色数分の現像器を有するロータリー現像装置によって、1つの感光体376に各色の潜像を形成して、その都度中間転写体388に転写する構成の装置を例示しているが、色数分の感光体、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段等を有するトナー像形成手段をユニットとして色数分用意し、各色ユニットを中間転写体に対向させて並列に配置(物理的に直線状でなくても構わない。)して、それぞれのユニットで形成された各色のトナー像を中間転写体に一次転写して順次積層し、一括して記録媒体に二次転写する、一般的にタンデム方式と呼ばれる画像形成装置に適用してもよい。
【0119】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0120】
10 画像形成装置
62 感光体(被帯電体の一例)
100 帯電装置
106 放電ワイヤ(放電電極の一例)
108 放電ワイヤ(放電電極の一例)
110 グリッド(電位制御板の一例)
160 支持部材
170 支持部材
180 突き当て部材
182 突き当て部材
190 突き当て部材
210 グリッド(電位制御板の一例)
254 感光体(被帯電体の一例)
310 グリッド(電位制御板の一例)
388 中間転写体(被帯電体の一例)
410 グリッド(電位制御板の一例)
510 グリッド(電位制御板の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転すると共に円弧状の外周面を有する被帯電体の該外周面に対向して設けられ、該被帯電体の回転軸方向に沿って延びる放電電極と、
前記被帯電体の前記外周面と前記放電電極との間に配置され、前記被帯電体の回転軸方向に沿って長さを有し、絞り加工により自立的に形状維持するように塑性変形された電位制御板と、
前記電位制御板の長手方向端部のみで前記電位制御板を支持する支持部材と、
を備える帯電装置。
【請求項2】
前記電位制御板は、少なくとも被帯電体の回転方向下流端を含む回転方向下流側の一部において、前記被帯電体との距離が、前記被帯電体の回転方向下流側に行くにつれて離れるように塑性変形されている請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記電位制御板は、前記被帯電体との距離が一定となるように、長手方向から見て円弧状に塑性変形されている請求項1に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記放電電極が2本以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記電位制御板の長手方向端部において前記放電電極側の表面に突き当たる突き当て部材を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電される被帯電体としての感光体と、
前記感光体の軸方向端部に設けられ、前記電位制御板の長手方向端部において前記表面の反対側の裏面に突き当たる突き当て部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
オーバー・コート層を有し、前記帯電装置によって帯電される被帯電体としての感光体と、
備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−189691(P2012−189691A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51627(P2011−51627)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】