説明

帯電部材、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】本発明の構成を有しない場合に比較して、トナーや外添剤の付着による汚染が抑制され、また、画像形成装置の輸送時に、プロセスカートリッジ内の像保持体と帯電部材とが擦れることにより生じる静電メモリが防止され、また耐久性及び耐ブリード性が向上する帯電部材を提供することである。
【解決手段】帯電部材は、基材と、前記基材上に設けられ且つ被帯電体に接触し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を架橋してなる最外層と、を少なくとも備え、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、まず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像保持体表面に帯電装置を用いて電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を、中間転写体を介するかあるいは直接、記録紙等の転写材に静電的に転写し、記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
【0003】
帯電装置は、像保持体などの被帯電体を帯電させるという重要な働きをする装置であり、像保持体に直接接触して像保持体を帯電させる接触帯電方式の帯電装置と、像保持体とは接触せずに像保持体近傍でコロナ放電などにより像保持体を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置との2種類の帯電装置に大別される。近年、放電による副次的なオゾンや窒素酸化物などの生成がない接触帯電方式を採用する帯電装置が増えている。
【0004】
接触帯電方式の帯電装置には、像保持体表面と直接接触し、像保持体表面の動きに合わせて従動回転して像保持体を帯電させる帯電部材が備えられている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ロール最外周に有機ポリマーを含有する最外層を備え、最外層の表面にFガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させて、最外層の表面が、F:8原子%以上、且つ、O:25原子%以上を有し、最外層の表面におけるフッ素原子に対する酸素原子の原子比は1.5から11.5の範囲内にある導電性ロールが記載されている。
【0006】
特許文献2には、導電性支持部材と、該導電性支持部材上に形成された導電性弾性体層と、導電性弾性体層上に形成された下地層と、最外層とを少なくとも有する帯電部材が記載され、該最外層が、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択される少なくとも一種のポリマーと、ポリオールとポリイソシアネートとを少なくとも含有する塗工液で形成された膜厚50nm以上2μm以下である表層であることが記載されている。
【0007】
特許文献3には、最外層が少なくとも炭素原子及び窒素原子を含有する主鎖からなる高分子化合物を含有し、高分子化合物が撥水性を有する基を有し、撥水性を有する基がシリコン原子及びフッ素原子の少なくとも一方である帯電部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−216887号公報
【特許文献2】特開2007−264254号公報
【特許文献3】特開平11−167245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、本発明の構成を有しない場合に比較して、トナーや外添剤の付着による汚染が抑制され、また耐久性及び耐ブリード性が向上する帯電部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明に至った。
【0011】
(1)基材と、前記基材上に設けられ且つ被帯電体に接触し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を架橋させてなる最外層と、を少なくとも備え、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材である。
【0012】
(2)前記最外層のゲル分率が50%以上である上記(1)に記載の帯電部材である。
【0013】
(3)前記基材と前記最外層の間に、合成ゴムからなる弾性層を有する上記(1)または(2)に記載の帯電部材である。
【0014】
(4)前記弾性層に導電性粒子が含有されている上記(3)に記載の帯電部材である。
【0015】
(5)像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含み、前記帯電手段に用いる帯電部材が上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の帯電部材であるプロセスカートリッジである。
【0016】
(6)潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記潜像形成手段に用いる帯電部材が上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の帯電部材である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐久性が向上し、付着物による汚染が抑制され、さらに被帯電体にばらつきのない帯電を付与する帯電部材が得られる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐汚染性が向上した帯電部材が得られる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、被帯電体にばらつきのない帯電を付与する帯電部材が得られる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、被帯電体にばらつきのない帯電を付与する帯電部材が得られる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、プロセスカートリッジが、耐久性が向上し、トナーや外添剤の付着による汚染がなく、さらに被帯電体にばらつきのない帯電を付与する帯電部材を有し、高画質が得られる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像形成装置が、耐久性が向上し、トナーや外添剤の付着による汚染がなく、さらに被帯電体にばらつきのない帯電を付与する帯電部材を有し、高画質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る帯電部材を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る帯電部材の概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る帯電装置の概略斜視図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態における帯電部材、プロセスカートリッジおよび画像形成装置について、以下に説明する。
【0025】
本実施形態の帯電部材は、基材と、前記基材上に設けられ且つ被帯電体に接触し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を架橋させてなる最外層と、を少なくとも備え、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材である。
【0026】
また、本実施の形態における帯電部材は、基材と、基材上に設けられた最外層とを少なくとも含むものであれば、その層構成は特に限定されず、基材上に直接最外層を設けてもよく、基材と最外層との間に導電性の弾性層等を1層以上中間層として設けてもよい。
【0027】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ、説明する。
【0028】
(帯電部材)
図1は、本実施形態に係る帯電部材を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係
る帯電部材の概略断面図である。なお、図2は、図1のA−A断面図である。
【0029】
本実施形態に係る帯電部材121は、図1及び図2に示すように、例えば、シャフト30(芯体)と、シャフト30の外周面に配設された導電性弾性層31と、導電性弾性層31の外周面に配設された最外層32と、を有するロール部材である。
【0030】
なお、ここでは、ロール部材の形態を例に挙げるが、帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状等の形状を挙げられる。これらのなかでも、本実施形態において説明するロール状部材が好ましく、則ち、いわゆる帯電ロールの形態を取るものが好ましい。
【0031】
なお、本明細書において導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることを意味する。また、本明細書において半導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1010Ωcm以下であることを意味する。
【0032】
本実施形態に係る帯電部材121は、上記構成に限られず、例えば、導電性弾性層31を有しない態様、導電性弾性層31とシャフト30との間に配設される中間層、導電性弾性層31と最外層32との間に配設される抵抗調整層又は移行防止層、最外層32の外側(最表面)に配設されるコーティング層(保護層)を設けた構成であってもよい。また、本実施形態に係る帯電部材121は、シャフト30と最外層32とで構成される形態であってもよい。
【0033】
本実施形態における基材は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄(快削鋼等);導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものが用いられる。本実施形態においては、シャフト30は、導電性の棒状部材であり、シャフト30としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。シャフト30は、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0034】
導電性弾性層31は、例えば、弾性材料と、導電剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。そして、導電性弾性層31は、所望によりシャフト30の外周面に直接形成される層である。
【0035】
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが望ましく用いられる。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0036】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。ここで、上記「電子導電剤」とは、「導電性粒子」を含む意味であり、本実施の形態では、「導電性粒子」として、例えば、カーボンブラックまたは酸化スズを用いることがより好ましい。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
【0037】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
ここで、カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0039】
これら導電剤の粒子径としては、1nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、以下の方法で測定される。
【0040】
導電剤を電子顕微鏡で観察し、導電剤の100個の直径を測定し、その平均をとることで平均粒子径とした。本明細書では、この方法により測定した値を用いている。
【0041】
また、粒子径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
【0042】
導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより望ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより望ましい。
【0043】
導電性弾性層31に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
【0044】
導電性弾性層31の形成に際しては、この層を構成する導電剤、弾性材料、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダー等で混合し、押出機によって溶融混合して、押出成形する方法が挙げられる。
【0045】
導電性弾性層31の厚みは、1mm以上10mm以下程度とすることが望ましく、2mm以上5mm以下程度とすることがより望ましい。そして、弾性層の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
【0046】
(最外層)
本実施形態における最外層32(本実施形態の帯電部材)は、被帯電体に接触し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を架橋させてなる最外層である。
【0047】
[フルオロカーボンシロキサンゴム組成物]
フルオロカーボンシロキサンゴム組成物としては、(A)下記構造式(1)(3)(4) に示されるようなフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上のシリル基を含有し、フルオロカーボンポリマー中の脂肪族不飽和基量に対して前記シリル基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、及び(D)触媒を含有するものが挙げられ、これを硬化させることにより最外層を形成することができる。
【0048】
まず、(A)成分について説明する。(A)成分としては下記構造式(1)に示されるような材料(脂肪族不飽和基以外の部分の構造を示した材料)が挙げられる。なお、「(A)成分」を以下「主鎖」ともいう。
【0049】
【化1】

【0050】
ここで、構造式(1)において、R10は未置換又は置換の一価の炭化水素基を表す。a,eはそれぞれ独立に0又は1を表し、b,dはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、cは0〜8の整数を表す。また、xは1以上の整数を表す。
【0051】
なお、R10で 表される未置換又は置換の一価の炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、xは10〜30であることが好ましい。なお、構造式(1)中には示されていないが、その末端部分には脂肪族不飽和基が設けられる。また、構造式(1)で示される材料の好適な具体例としては、例えば、以下の構造式(2)に示される材料が挙げられる。
【0052】
【化2】

【0053】
なお(A)成分として含まれる脂肪族不飽和基は、一価の脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも含む。該一価の脂肪族不飽和炭化水素基の炭素数は2〜3であることが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、エチニル基等の炭素数2〜3のアルケニル基が挙げられ、特にビニル基が好ましい。
【0054】
この脂肪族不飽和基は分子鎖の末端にあることが好ましく、例えばビニルジアルキルシリル基、ジビニルアルキルシリル基、トリビニルシリル基を主鎖に有することが好ましい。この場合、脂肪族不飽和基の主鎖に含まれるアルキル基は、炭素数1〜8アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0055】
また、(A)成分としては下記構造式(3)や下記構造式(4)として示される材料も好適に利用される。
【0056】
CH=CH−(X)p―Rf’−(X’)p―CH=CH・・・(3)
CH=CH−(X)p―Q−Rf’−Q−(X’)p―CH=CH・・・(4)
【0057】
構造式(3),(4)中、Xは−CH−、−CHO−、−CHOCH−又は−Y−NR−CO−(但し、Yは−CH−又は下記構造式(5A)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、X’は−CH−、−OCH−、−CHOCH−又は−CO−NR’−Y’−(但し、Y’は−CH−又は下記構造式(5B)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。
【0058】
Rf’は2価のパーフルオロポリエーテル構造であり、(−C2dO−)(但し、dは1〜6の整数、qは1〜500の整数を意味する)で示されるものが好ましい。pは独立に0又は1、Qは炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよく、具体的にはアルキレン基、エーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基である。
【0059】
【化3】

【0060】
なお、構造式(3)や(4)として示される直鎖状フルオロポリエーテル化合物としては、特に下記構造式(6)で示されるものが好適である。
【0061】
【化4】

【0062】
構造式(6)中、Xは−CH−、−CHO−、−CHOCH−又は−Y−NR−CO−(但し、Yは−CH−又は上記構造式(5A)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。)であり、X’は−CH−、−OCH−、−CHOCH−又は−CO−NR’−Y’−(但し、Y’は−CH−又は上記構造式(5B)で示される基であり、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基である。また、pは独立に0又は1、rは2〜6の整数、m、nはそれぞれ0〜200の整数である。
【0063】
なお、構造式(3),(4)に示される直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、重量平均分子量が1,000〜100,000、特に3,000〜50,000であることが望ましい。
【0064】
重量平均分子量の測定は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0065】
また、構造式(6)で表される直鎖状フルオロポリエーテル化合物の具体例としては、下記化合物(6A)〜(6G)等が例示される。なお、下記化合物(6A)〜(6G)中、m、nは構造式(6)に示すものと同様である。
【0066】
【化5】

【0067】
【化6】

【0068】
【化7】

【0069】
(B)成分は、1分子中に2個以上のシリル基を含有し、フルオロカーボンポリマー中の脂肪族不飽和基量に対して前記シリル基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサンである。
【0070】
シリル基は、更に置換基を有していてもよく、シリル基が有する置換基としては、アルキル基が好ましく、中でもメチル基がより好ましい。ここで、シリル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0071】
また、本発明で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであり、硬化剤として前述のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが使用される。
【0072】
即ち、この場合には、フルオロカーボンポリマー中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーン系ゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが使用されるが、本発明においては特に下記構造式(7)〜(9)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好適に使用される。
【0073】
【化8】

【0074】
構造式(7)及び(8)において、s及びtは0以上の整数を表し、uは2以上の整数を表す。Rは脂肪族不飽和結合を有しない未置換又は置換の一価炭化水素基を表す。また、式(7)〜(9)において、Rfは含フッ素有機基を表し、Rはケイ素原子と含フッ素有機基Rfとの間に介在する二価の基を表す。
【0075】
としては、炭素数が1〜12が好ましく、炭素数が1〜8がより好ましい。Rの具体例としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;ベンジル基,フェニルエチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、クロロプロピル基、クロロシクロヘキシル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化炭化水素基;2−シアノエチル基等のシアノ炭化水素基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0076】
はケイ素原子と含フッ素有機基Rfとの間に介在する二価の基であり、脂肪族不飽和結合を有しない二価の炭化水素基、又は、一般式−R5−O−R6−(但し、R5及びR6は脂肪族不飽和結合を有しない二価の炭化水素基である)で表されるエーテル基を有する二価の炭化水素基が挙げられる。Rとしては炭素数1〜8が好ましく、具体的には下記に示すものが挙げられる。
【0077】
【化9】

【0078】
なお、Rのうちで特に好適な基は、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCH−O−CH−である。
【0079】
Rfとしてはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキルエーテル基が挙げられる。パーフルオロアルキル基としては式C2p+1(但し、pは4〜10の整数である)で表されるものが挙げられ、この中でもC13−,C17−,C1021−が好ましい。パーフルオロアルキルエーテル基としては特に炭素数が5〜15のものが好ましく、具体的には下記のものが例示される。
【0080】
【化10】

【0081】
また、本発明に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして(CHHSiO0.5単位とSiO単位とからなる共重合体も好適に用いられる。該共重合体としては下記化合物がより好ましい。
【0082】
【化11】

【0083】
なお、これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、通常、1,000cSt以下であることが好ましい。上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にそのシリル基の数が、(A)成分のフルオロカーボンポリマー中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
【0084】
(C)成分として用いる充填剤としては、一般的なシリコーン系ゴム組成物に使用されている種々の充填剤が用いられる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などが例示される。
【0085】
これらの充填剤は、(A)成分100部(質量部、以下同じ)に対して0.1部以上300部以下、特に1部以上200部以下の割合で配合されることが好適である。この充填剤の配合量が0.1部未満の場合には、十分な補強効果を得ることができない場合があり、また300部を超える割合で配合された場合には、硬化物の機械的強度が低下するという不都合を生じる場合がある。
【0086】
(D)成分として用いる触媒としては、付加反応用触媒として知られている公知の触媒である塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示されるが、これらの錯体はアルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0087】
これらの白金族金属系触媒の配合量は、触媒の有効量であればよいが、通常、(A)成分100部に対して、白金族金属換算で1ppm以上500ppm以下、特に5ppm以上20ppm以下の割合で使用することが好ましい。
【0088】
本実施の形態で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、耐溶剤性が損なれない範囲において、種々の配合剤が添加される。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等が必要に応じて配合される。
【0089】
最外層を形成する材料の硬度の調整については、公知の充填剤、あるいは架橋及び加硫状態を調整することにより達成される。
【0090】
本実施の形態における帯電部材121は、最外層32の表面の十点平均表面粗さRzが、2μm以上20μm以下であることを要し、3μm以上12μm以下であることが望ましく、5μm以上12μm以下であることがより望ましく、7μm以上12μm以下であることが特に望ましい。この範囲に設定することによって、ばらつきのない帯電性を付与しうるとともに、最外層32にトナーや外添剤などの異物が付着しにくくなり、耐汚染性が高くなるという副次的な効果を有する。十点平均表面粗さRzが2μm未満であると、トナーや外添剤などの異物が付着することがある。十点平均表面粗さRzが20μmよりも大きい場合には、凹凸部分にトナー及び紙粉等が溜まり易くなると共に、局所的に異常放電が発生しやすなり、白抜け等の画像欠陥が起こることがある。
【0091】
なお、当該十点平均表面粗さRzとは、JIS B0601(1994)に規定された表面粗さのことである。十点平均表面粗さRzは、表面粗さ測定器等を用いて測定されるが、本発明においては、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いた。表面粗さの測定に際しては、測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した際の平均値を十点平均表面粗さRzとして求めた。
【0092】
また、最外層32に配合される導電剤としては、上記導電性弾性層31に配合される導電剤が同様に挙げられる。
【0093】
また、その他添加剤としては、例えば、導電剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の通常最外層に添加され得る材料が挙げられる。
【0094】
最外層の形成方法としては、基材上に浸漬塗布法、スプレー塗布法等で形成する方法のいずれを用いてもよいが、製造工程の簡易性の点では浸漬法が有利である。
【0095】
形成された最外層用の塗布液層の乾燥条件は、用いる樹脂や触媒の種類、量に応じて決定されるが、乾燥温度としては40℃以上200℃以下であることが好ましく、50℃以上180℃以下であることがより好ましい。乾燥時間は、5分以上5時間以下であることが好ましく、10分以上3時間以下であることがより好ましい。
【0096】
乾燥手段としては、熱風乾燥などが挙げられる。
【0097】
本実施の形態におけるゲル分率の測定は、JIS K6796に準じて行われる。
【0098】
具体的には、最外層の材料を溶剤に溶解して得られた最外層形成用塗布液組成物をアルミ板にバーコータで塗布し、塗布液の厚さが100ミクロンの膜を作製する。これを十分に乾燥したのち、塗布液に含まれる樹脂及び触媒の種類に応じた硬化温度および硬化時間で加熱硬化する。室温(25℃)まで冷却後、作製した最外層の質量を測定し、これを溶剤抽出前の材料の質量とした。
【0099】
次に、この最外層を、塗布液を調製するのに用いた溶剤中に24時間浸漬したのち、溶剤をろ過し、残留した最外層樹脂フイルム物を十分にろ過し、質量を測定する。この質量を抽出後の質量とする。
【0100】
以下の式に従って、架橋度を算出する。
(式):ゲル分率=100×(抽出後の質量)/(溶剤抽出前の質量)
算出した架橋度が50%以上となっていると最外層中のポリマーの架橋密度が向上しており、耐クラック性が良好な膜であると判断される。測定サンプルは、帯電部材から最外層部分だけを切り出して測定してもよい。
【0101】
最外層32の膜厚は、帯電部材としての摩耗による耐久性を考慮すると厚いほうが好ましいが、厚くしすぎると潜像保持部材への帯電性能が低下する傾向があり、このため、厚みは、0.01μm以上1000μm以下の範囲で選択され、具体的には、3μm以上25μm以下であることが望ましい。そして、最外層の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下の範囲であることが望ましい。
【0102】
上記方法により、基材上に、最外層を有する本実施形態の帯電部材を得る。
【0103】
本実施形態に係る帯電部材121は、例えば、シャフト30の外周面に、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等を利用して、シャフト30の外周面に、弾性層31及び最外層32を順次形成することで製造される。
【0104】
(帯電装置)
以下、本実施形態に係る帯電装置について説明する。図3は、本実施形態に係る帯電装
置の概略斜視図である。本実施形態に係る帯電装置は、帯電部材として、上記本実施形態
に係る帯電部材を適用した形態である。
【0105】
本実施形態に係る帯電装置12は、図3に示すように、例えば、帯電部材121と、クリーニング部材122と、が特定の食い込み量で接触して配置されている。そして、帯電部材121のシャフト30及びクリーニング部材122のシャフト122Aの軸方向両端は、各部材が回転自在となるように導電性軸受け123(導電性ベアリング)で保持されている。導電性軸受け123の一方には電源124が接続されている。なお、本実施形態に係る帯電装置は、上記構成に限られず、例えば、クリーニング部材122を備えない形態であってもよい。
【0106】
クリーニング部材122は、帯電部材121の表面を清掃するための清掃部材であり、例えば、ロール状で構成されている。クリーニング部材122は、例えば、シャフト122Aと、シャフト122Aの外周面に弾性層122Bと、で構成される。
【0107】
シャフト122Aは、導電性の棒状部材であり、その材質は例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属が挙げられる。また、シャフト122Aとしては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。シャフト122Aは、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0108】
弾性層122Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有していることがよい。弾性層122Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂材料又はゴム材料を含んで構成される。
【0109】
これらの発泡性の樹脂材料又はゴム材料のなかでも、帯電部材121との従動摺擦によりトナーや外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電部材121の表面にクリーニング部材122の擦れによるキズをつけ難くするために、また、長期にわたり千切れや破損が生じ難くするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好適に適用される。
【0110】
ポリウレタンとしては、特に限定するものではなく、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステル、アクリルポリールなど)と、イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)の反応物が挙げられ、これらの鎖延長剤(例えば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど)による反応物であってもよい。なお、ポリウレタンは、発泡剤(水やアゾ化合物(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)を用いて発泡させるのが一般的である。
【0111】
弾性層122Bのセル数としては、20/25mm以上80/25mm以下であることが望ましく、30/25mm以上80/25mm以下であることがさらに望ましく、30/25mm以上50/25mm以下であることが特に望ましい。
【0112】
弾性層122Bの硬さとしては、100N以上500N以下が望ましく100N以上400N以下がさらに望ましく、150N以上400N以下が特に望ましい。
【0113】
導電性軸受け123は、帯電部材121とクリーニング部材122とを一体で回転自在に保持すると共に、当該部材同士の軸間距離を保持する部材である。導電性軸受け123は、導電性を有する材料で製造されていればいかなる材料及び形態でもよく、例えば、導電性のベアリングや導電性の滑り軸受けなどが適用される。
【0114】
電源124は、導電性軸受け123へ電圧を印加することにより帯電部材121とクリーニング部材122とを同極性に帯電させる装置であり、公知の高圧電源装置が用いられる。
【0115】
本実施形態に係る帯電装置12では、電源124から導電性軸受け123に電圧が印加されることで、帯電部材121とクリーニング部材122とが同極性に帯電する。これにより、像保持体表面の異物(例えばトナーや外添剤)をクリーニング部材122及び帯電部材121表面に蓄積させるが抑制され、像保持体に移行でき、像保持体のクリーニング装置で異物が回収される。そのため、長期にわたり帯電部材121とクリーニング部材122とに汚れが蓄積することが抑制され、帯電性能が維持される。
【0116】
(画像形成装置、プロセスカートリッジ)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備える。そして、帯電手段(帯電装置)として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。
【0117】
一方、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、例えば上記構成の画像形成装置に脱着され、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、を備える。そして、帯電手段として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。本実施形態に係るプロセスカートリッジは、必要に応じて、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段及び転写後の像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
【0118】
次に、本実施形態に係る画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて図面を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図5は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【0119】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図4に示すように、像保持体10を備え、その周囲に、像保持体を帯電する帯電装置12と、帯電装置12により帯電された像保持体10を露光して潜像を形成する露光装置14と、露光装置14により形成した潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置16と、現像装置16により形成したトナー像を記録媒体Aに転写する転写装置18と、転写後の像保持体10表面の残留トナーを除去するクリーニング装置20と、を備える。また、転写装置18により記録媒体Aに転写されたトナー像を定着する定着装置22を備える。
【0120】
そして、本実施形態に係る画像形成装置101は、帯電装置12として、例えば、帯電部材121と、帯電部材121に接触配置されたクリーニング部材122と、帯電部材121及びクリーニング部材122の軸方向両端を各部材が回転自在となるように保持する導電性軸受け123(導電性ベアリング)と、導電性軸受け123の一方に接続された電源124と、が配設された、上記本実施形態に係る帯電装置が適用されている。
【0121】
一方、本実施形態の画像形成装置101は、帯電装置12(帯電部材121)以外の構成については、従来から電子写真方式の画像形成装置の各構成として公知の構成が適用される。以下、各構成の一例につき説明する。
【0122】
像保持体10は、特に制限なく、公知の感光体が適用されるが、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造の有機感光体が好適に適用される。また、像保持体10は、その最外層が電荷輸送性を有し架橋構造を有する保護層で被覆されているものも好適に適用される。この保護層の架橋成分としてシロキサン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アクリル樹脂で構成された感光体も好適に適用される。
【0123】
露光装置14としては、例えば、レーザ光学系やLEDアレイ等が適用される。
【0124】
現像装置16は、例えば、現像剤層を表面に形成させた現像剤保持体を像保持体10に接触若しくは近接させて、像保持体10の表面の潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置である。現像装置16の現像方式は、既知の方式として二成分現像剤による現像方式が好適に適用される。この二成分現像剤による現像方式には、例えば、カスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。
【0125】
転写装置18としては、例えば、コロトロン等の非接触転写方式、記録媒体Aを介して導電性の転写ロールを像保持体10に接触させ記録媒体Aにトナー像を転写する接触転写方式のいずれを適応してもよい。
【0126】
クリーニング装置20は、例えば、クリーニングブレードを像保持体10の表面に直接接触させて表面に付着しているトナー、紙粉、ゴミなどを除去する部材である。クリーニング装置20としては、クリーニングブレード以外にクリーニングブラシ、クリーニングロール等を適用してもよい。
【0127】
定着装置22としては、ヒートロールを用いる加熱定着装置が好適に適用される。加熱定着装置は、例えば、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対し特定の接触圧で接触して配置され、円筒状芯金の外周面あるいはベルト状基材表面に耐熱弾性体層を形成した加圧ローラ又は加圧ベルトと、で構成される。未定着のトナー像の定着プロセスは、例えば、定着ローラと加圧ローラ又は加圧ベルトとの間に未定着のトナー像が転写された記録媒体Aを挿通させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。
【0128】
なお、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、中間転写体を利用した中間転写方式の画像形成装置、各色のトナー像を形成する画像形成ユニットを並列配置させた所謂タンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0129】
一方、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、図5に示すように、上記図4に示す画像形成装置において、露光のための開口部24A、除電露光のための開口部24B及び取り付けレール24Cが備えられた筐体24により、像保持体10と、像保持体を帯電する帯電装置12と、露光装置14により形成した潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置16と、転写後の像保持体10表面の残留トナーを除去するクリーニング装置20と、を一体的に組み合わせて保持して構成したプロセスカートリッジ102である。そして、プロセスカートリッジ102は、上記図4に示す画像形成装置101に脱着自在に装着されている。
【実施例】
【0130】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
【0131】
<感光体1の作製>
まず、ホーニング処理を施した外径Φ84mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10質量部、イソプロパノールを400質量部、及びブタノールを200質量部を混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引層を形成した。
【0132】
次に、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部質量を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0133】
次に、下記式(V−3)で示される電荷輸送材料を2質量部、下記式(V−4)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量 50,000)を3質量部、及びクロロベンゼンを20部質量と混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
【0134】
【化12】

【0135】
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「感光体1」とした。
【0136】
<感光体2の作製>
レゾール型フェノール樹脂(PL−2211、群栄化学製)を7質量部、及びメチルフェニルポリシロキサン0.03質量部を準備した。これをイソプロパノール15部及びメチルエチルケトン5質量部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬コーティング法で感光体1上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、膜厚3μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体2」とした。
【0137】
<クリーニング部材の作製>
イノアックコーポレーション製ポリウレタンEP70を20mm×20mm×250mmの大きさにカットし、帯電部材用クリーニングパッドaとした。さらに、該クリーニングパッドaにSUS303により形成された外径φ5mm、長さ230mmの芯材を挿入し、ホットメルト接着剤で芯材とウレタンフォームにより形成されたクリーニングパッドaとを接着させた後、芯材両端からそれぞれ5mm位置までのクリーニングパッドaを切り落とし、弾性ロール素材を得た。研削処理し、外径φ9mmの帯電部材用クリーニングロールaを得た。
【0138】
また、使用したウレタンフォームをイノアックコーポレーション性ポリウレタンRSCに換えた以外、上記同様にして帯電部材用クリーニングロールbを得た。
【0139】
[帯電部材の作製]
<帯電ロールの作製>
−導電性弾性層の形成−
表1に示した材料を用い、表2に示した組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303により形成された直径8mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの導電性弾性層を有する帯電ロールAを得た。なお、以下、配合量は「質量部」である。
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
<最外層の形成>
[(A)成分]
ポリマー1:
【化13】

【0143】
ポリマー2:
【化14】

【0144】
ポリマー3:
【化15】

【0145】
ポリマー4:
【化16】

【0146】
[(B)成分]
オルガノハイドロジェンポリシロキサン1:
【化17】

【0147】
[(B)成分]
オルガノハイドロジェンポリシロキサン2:
【化18】

【0148】
[(C)成分]
充填剤1:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
【0149】
[(C)成分]
充填剤2:AEROSIL R974(日本アエロジル社製)
【0150】
−最外層の形成−
表3,表4に示す組成の混合物をベンゾトリフルオライドで固形分20%に希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、前記帯電ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ10μmの最外層を形成し、表3,4に示す実施例、比較例及び参考例の帯電部材(帯電ロール)を得た。これを、前記感光体1または感光体2を組み込んだ画像形成装置に組み込み、画像形成装置を得た。
【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
<帯電部材の評価>
各実施例および比較例で得られた帯電ロールについて、耐汚染性、保管後の画質評価、耐ブレード性、耐久性及び画質を評価した。
【0154】
−耐汚染性評価−
上述の方法で作製された実施例および比較例の帯電ロールとして図4に示すDocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、DocuCentre Color400CP用のマゼンタトナーを用い、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で25,000枚印刷後、28℃、85%RH環境下で25,000枚印字)を行った。なお、途中で大きな問題が発生した場合には、その時点で印字を中止した。
【0155】
画質評価は、初期及び50,000枚走行後の画像について、目視によってハーフトーン画像中での濃度ムラの有無により以下の基準で判定した。
A:濃度ムラ等の欠陥無し。
B:極軽微な濃度ムラ発生。
C:軽微な濃度ムラ発生。
D:実使用不可の濃度ムラ発生。
【0156】
−保管評価−
表3,4に示す実施例、比較例及び参考例の帯電ロールをDocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジにセットし、45℃、95%環境下に1ヶ月放置した後、前述複写機を用いて通常環境でハーフトーン画像を出力し、下記の基準でハーフトーン画像中での帯電ロールピッチのスジの発生有無を目視により評価した。
A:スジの欠陥無し。
B:極軽微なスジ発生。
C:軽微なスジ発生。
D:実使用不可のスジ発生。
【0157】
−帯電均一性(耐ブリード性)−
帯電ロールをDocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、28℃、85%RH環境下で3日間放置したのちA4用紙10枚印字テストを行った後に、DocuCentre Color400CPで50%ハーフトーン画像を印刷し、得られた画像のうち感光体と帯電部材との接触部分の画像を目視で観察し、帯電部材の弾性層由来のブリードによる画像欠陥の有無を以下の基準で判定した。
A:画像乱れが全く無い
B:画像の乱れはあるが極軽微で全く問題ない
C:若干の画像の乱れはあるが問題ない
D:画像の乱れ部分がある
E:大部分に画像の乱れが発生
【0158】
−耐久性及び画質評価−
帯電ロールをDocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で50,000枚)を行った後に、DocuCentre Color400CPで50%ハーフトーン画像を印刷し、得られた画像を目視で観察し、以下の基準で判定した。
A:画像乱れが全く無い
B:画像の乱れはあるが極軽微で全く問題ない
C:若干の画像の乱れはあるが問題ない
D:画像の乱れ部分がある
E:大部分に画像の乱れが発生
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
【符号の説明】
【0160】
10 像保持体、12 帯電装置、14 露光装置、16 現像装置、18 転写装置、20 クリーニング装置、22 定着装置、24 筐体、24A 開口部、24B 開口部、24C 取り付けレール、30 シャフト、31 導電性弾性層、32 最外層、101 画像形成装置、102 プロセスカートリッジ、121 帯電部材、122 クリーニング部材、122A シャフト、122B 弾性層、123 導電性軸受け、124 電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に設けられ且つ被帯電体に接触し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を架橋してなる最外層と、を少なくとも備え、
電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記最外層のゲル分率が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記基材と前記最外層の間に、合成ゴムからなる弾性層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記弾性層に導電性粒子が含有されていることを特徴とする請求項3に記載の帯電部材。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を含み、
前記帯電手段に用いる帯電部材が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記潜像形成手段に用いる帯電部材が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−68490(P2012−68490A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214030(P2010−214030)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】