説明

帯電部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】トナー等の表面への付着が、より低減された帯電部材の提供。
【解決手段】基体、弾性層および表面層を有している帯電部材であって、該表面層は、Si−O−Sr結合を有し、かつ、一般式(1)および一般式(2)で示される構成単位を有している高分子化合物を含有している帯電部材。前記帯電部材と感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジ。前記帯電部材を有する電子写真装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電部材およびそれを用いたプロセスカートリッジ等に関する。
【背景技術】
【0002】
接触帯電方式を採用した電子写真装置においては、長期間の使用によって、電子写真感光体と接触している帯電部材の表面にトナー、トナーに用いられている外添剤、放電生成物や紙粉などが付着することがある。
【0003】
たとえば、電子写真装置には、トナー像の転写工程後においても電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するためにクリーニングブレードが設けられている。しかしながら、近年のトナーは小粒径化、および、球形化が進み、クリーニングブレードをすり抜け易くなってきている。クリーニングブレードをすり抜けたトナーは、電子写真感光体と帯電部材とのニップにおいて帯電部材の表面に移行し、やがて、帯電部材の表面に固着してしまう場合がある。表面にトナーの固着部分を有する帯電部材は、その部分の電子写真感光体を帯電させる能力が、他の部分と異なる場合があり、電子写真感光体を均一に帯電させるうえでの障害となることがある。
【0004】
また、電子写真装置を用いた画像形成を間欠的に行う場合、電子写真感光体の回転が一旦停止することがある。このとき、電子写真感光体のクリーニングブレード当接部には、トナーが溜まった状態となる。そして、その後に、電子写真感光体が再び回転し始めたとき、電子写真感光体のクリーニングブレードとの当接部に溜まっていたトナーがクリーニングブレードをすり抜け、帯電ローラの表面にスジ状に付着することがある。スジ状にトナーが付着した帯電部材によって帯電された電子写真感光体によって形成された電子写真画像には、帯電部材に付着したスジ状のトナーに対応したスジ状のムラが現れることがある。
【0005】
このような課題をもたらすトナーの付着について、特許文献1は、ゾルゲル法によって形成される、金属および/または半金属のアルコキシルドと有機ケイ素化合物とからなり、かつ、導電性フィラーが分散されてなる導電性有機・無機ハイブリッド被膜を開示している。そして、特許文献1には、当該有機・無機ハイブリッド被膜が、水との接触角が大きいことから、トナーの離型性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−080785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らによる特許文献1に係る発明の検討の結果、上記したような間欠的な電子写真画像形成の際の、帯電部材へのトナーのスジ状の付着を抑制するためには、帯電部材表面の表面自由エネルギーのより一層の低減を図る必要があるとの認識を得た。
【0008】
そこで、本発明の目的は、電子写真感光体を停止状態から起動させた場合にも、トナーなどのスジ状の付着をより確実に抑制し得る帯電部材を提供することにある。また、本発明は、高品位な電子写真画像を安定して形成可能なプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、基体、弾性層および表面層を有している帯電部材であって、該表面層は、Si−O−Sr結合を有し、かつ、下記一般式(1)で示される構成単位および下記一般式(2)で示される構成単位を有している高分子化合物を含有している帯電部材が提供される。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
上記一般式(1)中、RおよびRは、各々独立に以下の一般式(3)〜(6)のいずれかを示す。
【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
一般式(3)〜(6)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。記号「*」および「**」は、各々、一般式(1)中のケイ素原子及び酸素原子への結合部位を示す。
【0018】
また、本発明によれば、前記帯電部材と感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジが提供される。更に本発明によれば、前記帯電部材を有する電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トナー等が表面に付着し難く、長期に亘って安定した帯電性能を発揮し得る帯電部材を得ることができる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る帯電部材の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係るプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の構成図である。
【図3】本発明の現像方法に使用される現像装置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の合成物の17O─NMR測定したスペクトル例を示す図である。
【図5】本発明の合成物の17O─NMR測定したスペクトル例を示す図である。
【図6】本発明の合成物の29Si─NMR測定したスペクトル例を示す図である。
【図7】動摩擦係数測定機の概略図である。
【図8】動摩擦係数測定のチャートの一例を示す図である。
【図9】本発明に係る表面層の形成工程における架橋反応の説明図である。
【図10】本発明に係る高分子化合物の化学構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る電子写真装置に用いられる帯電部材(以下単に「帯電部材」という場合がある)は、基体、該基体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有するものである。
【0022】
帯電部材の最も簡単な構成は、基体上に導電性弾性層および表面層の2層を設けた構成であるが、基体と導電性弾性層との間や導電性弾性層と表面層との間に別の層を1つまたは2つ以上設けることができる。本発明に係る帯電ローラの断面を示した図1において、101は基体であり、102は導電性弾性層であり、103は表面層である。
【0023】
〔基体〕
基体としては、導電性を有するものが用いられる。材料としては、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケル等が挙げられる。
【0024】
〔導電性弾性層〕
導電性弾性層を構成する材料としては、従来の帯電部材の弾性層(導電性弾性層)に用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体を1種または2種以上用いることができる。
【0025】
ゴムとしては以下のものが挙げられる。ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、アクリロニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびアルキルエーテルゴム。
【0026】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーが挙げられる。スチレン系エラストマーの市販品としては、三菱化学(株)製「ラバロン」、クラレ(株)製「セプトンコンパウンド」が挙げられる。オレフィン系エラストマーの市販品としては、三菱化学(株)製の「サーモラン」、三井化学(株)製の「ミラストマー」、住友化学工業(株)製の「住友TPE」およびアドバンストエラストマーシステムズ社製の「サントプレーン」が挙げられる。また、導電性弾性層には、導電剤を適宜使用することによって、その導電性を所定の値にすることができる。導電性弾性層の電気抵抗値は、導電剤の種類および使用量を適宜選択することによって調整することができ、その電気抵抗値の好適な範囲は10〜10Ωであり、より好適な範囲は10〜10Ωである。
【0027】
導電性弾性層に用いられる導電剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、帯電防止剤、電解質が挙げられる。導電剤として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、および、熱分解カーボンなどの導電性のカーボン、天然グラファイトおよび人造グラファイトの如きグラファイトを用いることもできる。
【0028】
また、導電性弾性層には、無機または有機の充填剤や架橋剤を添加してもよい。導電性弾性層の硬度は、帯電部材と被帯電体である電子写真感光体とを当接させた際の帯電部材の変形を抑制する観点から、MD−1硬度で50度以上であることが好ましく、特には70度以上90度以下であることがより好ましい。
【0029】
〔表面層〕
表面層は、ディッピング法やコーティング法により、導電性弾性層の上に形成される。電子写真感光体との当接ニップを十分に確保するために設けた導電性弾性層の機能を十分に発揮させる観点から、帯電部材の表面層の弾性率は2000MPa以下であることが好ましい。一方、一般的に、表面層の弾性率を小さくするほど架橋密度が低下する傾向にある。この為、帯電部材の表面にブリードアウトした低分子量成分が電子写真感光体表面を汚染することもあるので、帯電部材の表面層の弾性率は100MPa以上であることが好ましい。
【0030】
表面層の層厚は、厚いほど上記の低分子量成分のブリードアウトの抑制効果が大きい。その一方で、表面層の層厚は薄いほど、帯電部材としての帯電能が向上する。そのため、表面層の層厚の目安としては、0.01〜0.10μm、特には、0.02〜0.08μmとすることが好ましい。
【0031】
また、表面層の体積抵抗率の目安としては、1×1010〜1×1016Ω・cmとすることが好ましい。更に、帯電部材の表面へのトナーや外添剤の固着をより一層抑える観点から、帯電部材の表面、即ち、表面層の表面の粗さ(Rzjis)は、15μm以下、特には、10μm以下、更には、5μm以下であることが好ましい。
【0032】
表面層は、Si−O−Sr結合を有し、かつ、下記一般式(1)で示される構成単位、および下記一般式(2)で示される構成単位を有している高分子化合物を含有する。
【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
上記一般式(1)中、RおよびRは、各々独立に以下の一般式(3)〜(6)のいずれかを示す。
【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
上記一般式(3)〜(6)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。n、m、l、q、s、およびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。また、記号「*」および記号「**」は、各々、一般式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合部位を示す。
【0041】
前記表面層中のケイ素原子とストロンチウム原子のモル含有量の合計量を100モル%としたとき、ストロンチウム原子の含有量が5モル%以上20モル%以下であることが好ましい。これにより、表面自由エネルギーの低減効果をより一層享受し得る。
【0042】
前記一般式(1)のRおよびRは、各々独立に下記一般式(8)〜(11)で示される構造からなる群から選ばれるいずれかであることが好ましい。
【0043】
【化13】

【0044】
【化14】

【0045】
【化15】

【0046】
【化16】

【0047】
一般式(8)〜(11)において、N、M、L、Q、SおよびTは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。x’およびy’は、各々独立に0もしくは1を示す。記号「*」および記号「**」は、各々一般式(1)におけるケイ素原子および酸素原子との結合部位を示す。
【0048】
前記表面層に含まれる高分子化合物として、Si─O─Sr結合に加えて、Si─O─Zr結合を有し、かつ、前記一般式(1)で示される構成単位、前記一般式(2)で示される構成単位、及び下記一般式(7)で示される構成単位を有している高分子化合物であることが好ましい。これらの構成単位を含む高分子化合物を含む表面層は、動摩擦係数を低下させるうえで好ましい。
【0049】
【化17】

【0050】
本発明に係る高分子化合物の一例として、一般式(1)中のRが一般式(3)で示され、Rが一般式(4)で示されるものであるときの構造を図10(a)に示す。また、他の例として、一般式(1)中のRが一般式(3)で示され、Rが一般式(4)で示され、一般式(2)で示される構造に加えて、上記一般式(7)で示される構造を含み、Si−O−Sr結合と、Si−O−Zr結合とを分子内に有する高分子化合物の構造の一部を図10(b)に示す。
【0051】
前記表面層中のケイ素原子、ストロンチウム原子とジルコニウム原子のモル含有量の合計量を100モル%としたとき、ストロンチウム原子の含有量が5モル%以上20モル%以下であり、ジルコニウム原子の含有量が40モル%以上67モル%以下であることが好ましい。ストロンチウム原子とジルコニウム原子のモル含有量がこの範囲である場合は、表面自由エネルギーも低く、動摩擦係数も低くなる為に、トナー及び外添剤等が帯電部材の表面へ付着あるいは固着することを抑制できる。前記帯電部材の動摩擦係数(μd)が0.15以上0.35以下、かつ前記帯電部材の表面自由エネルギー(γTotal)が25[mJ/m]以上35[mJ/m]以下であることが好ましい。動摩擦係数と表面自由エネルギーがこれらの範囲である場合は、トナー及び外添剤等が帯電部材の表面へ付着あるいは固着することを抑制できる。
【0052】
本発明の電子写真用の帯電部材は例えば次の工程〔1〕〜〔3〕を含む方法によって製造することができる。
【0053】
工程〔1〕においては、一般式(12)で示される第1の加水分解性シラン化合物と、一般式(13)で示される第2の加水分解性シラン化合物と、一般式(14)で示される加水分解性ストロンチウム化合物と、一般式(15)で示される加水分解性ジルコニア化合物と、水と、アルコールとを含む混合液を加熱還流させて、該混合液中の加水分解性化合物の加水分解及び縮合が行なわれる。
【0054】
【化18】

【0055】
上記の一般式(12)〜(15)中、Zは2価の有機基、Rは飽和または不飽和の炭化水素基、Rはカチオン重合可能な有機基、Rは置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を示す。
【0056】
工程〔2〕においては、前記工程〔1〕で得られた加水分解縮合物を含む液体に光重合開始剤を添加して表面層形成用のコーティング液を調製する。
【0057】
工程〔3〕においては、基体の周面に形成してなる導電性弾性層の周面に該コーティング液の塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて表面層を形成する。
【0058】
〔帯電部材の製造方法〕
以下、帯電部材の製造工程を順次説明する。
【0059】
工程〔1〕:
第1の加水分解性シラン化合物としてはカチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物が好ましい。カチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、一般式(12)中のRがエポキシ基やオキセタン基の如き環状エーテル基、および、ビニルエーテル基であるものが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性および反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。Rは、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。一般式(12)中のZの2価の有機基としては、アルキレン基およびアリーレン基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
【0060】
一般式(12)中のRの飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、更にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がより好ましい。
【0061】
以下に、一般式(12)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン。
【0062】
第2の加水分解性シラン化合物としては、アルキル置換もしくはアリール置換または無置換の加水分解性シラン化合物が好ましい。一般式(13)中、Rは、フェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。フェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基が好ましく、更には炭素数6〜10のものが好ましい。またアルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0063】
一般式(13)中のRの飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がより好ましい。
【0064】
以下に、一般式(13)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン。
【0065】
一般式(13)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、Rが炭素数6〜10の直鎖状のアルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、Rがフェニル基を有する加水分解性シラン化合物を組み合わせることが、加水分解・縮合と反応によりモノマー構造が変化しても溶媒への相溶性が良好となるので更に好ましい。加水分解性ストロンチウム化合物は、一般式(14)で表されるが、式中のRの飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がより好ましい。
【0066】
以下に、一般式(14)で示される構造を有する加水分解性ストロンチウム化合物の具体例を示す。ストロンチウムジイソプロポキシド、ストロンチウムジメトキシプロポキシド。
【0067】
一般式(12)、(13)及び(14)の化合物の合計を100モル%とした場合、一般式(14)の化合物のモル比を、5モル%以上20モル%以下、特には、10モル%以上15モル%以下とすることが好ましい。一般式(14)の化合物を添加すると、何故表面自由エネルギーが低下するかは、現段階で明確ではないが、その添加量を5モル%以上とすることにより、表面自由エネルギーの低下効果、つまり、表面層への現像剤等の付着の抑制効果が大きい。また、20モル%以下であると、一般式(14)の化合物による2次元状の反応の進行による膜の緻密性の低下、および膜の過度の柔軟化が抑えられる。その結果、感光体との当接部における動摩擦係数の急激な上昇、およびそれに伴う帯電部材と感光体との間の摺擦による現像剤の物理的な付着あるいは固着が抑えられる。
【0068】
一般式(15)で示される加水分解性ジルコニア化合物において、Rの飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、および、t−ブチル基を挙げられる。
【0069】
一般式(15)で示される構造を有する加水分解性ジルコニア化合物の具体例を以下に示す。ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn─プロポキシド、ジルコニウムテトラn─ブトキシド、ジルコニウムテトラt─ブトキシド、ジルコニウムテトラ2エチルヘキソシド、ジルコニウムテトラ2メチル−2ブトキシド。
【0070】
更に一般式(12)、(13)、(14)及び(15)の化合物の合計を100モル%とした場合、一般式(14)の化合物のモル比を5モル%以上20モル%以下、かつ一般式(15)の化合物のモル比を40モル%以上67モル%以下、好ましくは50モル%以上60モル%以下に調整することが好ましい。
【0071】
上述した一般式(14)の化合物の添加量を増大させると、動摩擦係数も増加傾向にあるが、これを抑制するのに一般式(15)の化合物を添加することで動摩擦係数の増加を抑制できることが分かった。これは一般式(15)の化合物の構造上、4つの反応点があり、非常に緻密な膜を形成し易い。つまり硬い膜を形成し易い為であると考える。この為、感光体との当接部での変形にエネルギーをあまり使用せず、結果として動摩擦係数が低下する方向となる。
【0072】
ここで一般式(15)の化合物のモル比を40モル%以上とすることで、動摩擦係数の低下効果、つまり物理的な付着の抑制効果が大きい。また、一般式(15)の化合物のモル比を67モル%以下とすることで、表面自由エネルギーの増加を抑えることができる。
一般式(15)の化合物から生じるZr−OHの残存確率が大きくなると、膜の表面自由エネルギーは増加する方向となるものと推察される。また、合成段階でも一般式(15)の化合物のモル比が67モル%以下であれば、急激な加水分解及び縮合反応を抑制することができるため、白濁、沈殿が生じにくい。
【0073】
また、加水分解縮合物を調製する際の水の添加量(モル数W)に対する、一般式(12)、(13)、(14)及び(15)の化合物の全モル数Zの比W/Zは、0.2以上3.0以下であることが好ましい。この比は0.4以上2.0以下であることがより好ましい。W/Zをこの範囲内とすることで、縮合が十分となり、未反応のモノマーが残存しにくい。また、縮合の進行が過度に早まることがなく、白濁や沈殿が生じにくい。またコーティング液を合成する際のアルコールとしては、第1級アルコールのみ、第1級アルコールと第2級アルコールの混合系、または第1級アルコールと第3級アルコールの混合系を用いることが好ましい。特にエタノール単独、メタノール/2−ブタノールの組み合わせ、エタノール/2−ブタノールの組み合わせが好ましい。
【0074】
〔構造単位の測定例〕
次に表面層の化合物の構造単位(結合状態)の測定例を示す。化合物を合成する際にアルコキシルド部位を加水分解する為に水を用いるが、使用する水の10%としてH17Oを用い、17O─NMR測定により、結合状態を把握する。測定装置として、Avance500 NMR装置、BBO5mmφのプローブを用い、室温で測定した。図4にSi─O─Sr結合の測定結果の一例を示す。70ppm〜200ppmに検出されるピークが─Si─O─Sr─に由来するピークである。また、図5にSi−O−Zr結合の測定結果の一例を示す。120ppm〜250ppmのブロードなピークは、−Si−O−Zr−に由来するピークであり、250ppm〜350ppmのブロードのピークは、ZrO4/2構造に、また350ppm〜450ppmのブロードのピークはZrO3/2の構造に帰属される。また、各ピークの積分比は、図5に示すように2.35:1.23:1.00となる。
【0075】
また、Si原子の結合状態は、JMN−EX400NMR装置(JEOL製)、FGオートチューンプローブ(モデル:NM−40TH5AT/FG2)を用い、室温で測定できる。測定条件は以下の表1に示す通りである。
【0076】
【表1】

【0077】
図6に測定結果の一例を示す。66ppm〜72ppmのブロードのピークは、一般式(1)の構造に帰属することが出来る。
【0078】
工程〔2〕:
工程〔2〕においては、前記工程〔1〕で得られた加水分解、縮合物を含む液体に光重合開始剤を添加してコーティング液を調製する。光重合開始剤としては、特に限定されないが、光照射による架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合開始剤としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
【0079】
その他のカチオン重合開始剤としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物が挙げられる。各種カチオン重合開始剤の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記式(19)で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製)、及び、下記式(20)で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)が好ましい。
【0080】
【化19】

【0081】
【化20】

【0082】
また、光重合開始剤は、一般式(12)、(13)、(14)及び(15)の化合物の縮合物の固形分の100質量部に対して、1.0〜5.0質量部添加することが好ましい。光重合開始剤の添加量を上記範囲内とすることで、コーティング液の塗膜を十分に硬化させることができ、また、光重合開始剤のコーティング液への溶解性が低下し難い。コーティング液を調製する際には、粘度調整や塗布性向上のために、合成に使用した溶剤以外に、揮発性を考慮した適当な溶剤を用いても良い。適当な溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。
【0083】
工程〔3〕:
工程〔3〕においては、先ず、基体上に形成された導電性弾性層の周面にコーティング液の塗膜を形成する。コーティング液を導電性弾性層上に塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布などを採用することができる。次に、この塗膜を光照射によって硬化させて表面層を形成する。塗膜に活性エネルギー線を照射すると、コーティング液に含まれる縮合物が有するカチオン重合可能な基は開裂し、これによって架橋反応して硬化する。
【0084】
例えば、前記一般式(12)で示される第一の加水分解性シラン化合物としての、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、前記一般式(13)で示される加水分解性ストロンチウム化合物とを加水分解させて得られる縮合物は、カチオン重合可能な基としてエポキシ基を有する。このような縮合物のエポキシ基は、カチオン重合触媒(図9中、Rと記載)の存在下で、エポキシ環が開環し、連鎖的に重合が進む。その結果、SrO2/2を含むポリシロキサン同士が架橋し、硬化して本発明に係る高分子化合物が形成される。なお、図9中、nは1以上の整数を表す。
【0085】
カチオン重合可能な基を開裂させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。活性エネルギー線の照射時に発生した熱により、導電性弾性層が膨張し、その後冷却によって収縮することがある。この為、表面層がこの膨張・収縮に十分に追従しないと、シワやクラックが多い表面層になってしまう場合がある。しかしながら、紫外線を用いる架橋反応であれば、短時間(15分以内)に加水分解性縮合物を架橋することができる上、熱の発生も少ないため、表面層のシワやクラックが発生しにくい。
【0086】
また、帯電部材が温湿度の変化が急激な環境に置かれる場合、その温湿度の変化による導電性弾性層の膨張・収縮に表面層の膨張・収縮が十分に追従しないと、表面層にシワやクラックが発生することがある。しかしながら、架橋反応を熱の発生が少ない紫外線によって行えば、導電性弾性層と表面層との密着性が高まり、導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従できるようになる為、環境の温湿度の変化による表面層のシワやクラックも抑制することができる。また、架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による導電性弾性層の劣化を抑制することができるため、導電性弾性層の電気的特性の低下を抑制することもできる。
【0087】
紫外線としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、又はエキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm]=紫外線強度[mW/cm]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離で行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、例えばウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができる。エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、例えばウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
【0088】
<電子写真装置、プロセスカートリッジ>
図2は、本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例である。この電子写真装置は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される円筒状の感光体1を有する。感光体は支持体、支持体上に形成された感光層、電荷注入層、表面層等を有するものであってもよい。感光体の表面は、帯電部材3により、正又は負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光の露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受け、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。帯電部材3による感光体1の表面の帯電の際、帯電部材3には、電圧印加手段(不図示)から直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。
【0089】
感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5に設けられる現像ローラにより現像剤が供給され反転現像又は正規現像されてトナー像となる。次いで、感光体1の表面のトナー像は、転写ローラ6に印加される転写バイアスによって、感光体1と転写ローラ6との間に感光体の回転と同期して搬送された紙等の転写材Pに順次転写される。トナー像が転写された転写材Pは、感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて、トナー像が定着された画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合、この画像形成物は、再循環搬送機機構に導入されて転写部へ再導入される。
【0090】
トナー像転写後の感光体1の表面は、クリーニングブレード等のクリーニング手段7によって転写残りの現像剤(トナー)が除去され清浄面化され、さらに前露光手段からの前露光光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。感光体1、帯電部材3、現像手段5、クリーニング手段7とが一体化されてプロセスカートリッジ9を構成している。このプロセスカートリッジ9は、電子写真装置本体のレール等の案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱可能になっている。上記部材の他、転写手段等から適宜選択してカートリッジ化し、電子写真装置本体に着脱可能とすることもできる。
【0091】
図3は、上記現像手段5の現像装置の模式断面図である。図3において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体としての電子写真感光体ドラム501は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ508は、現像剤容器としてのホッパー503によって供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤504を担持して、矢印A方向に回転する。こうすることによって、現像スリーブ508と感光体ドラム501とが対向している現像領域Dに現像剤504を搬送する。図3に示すように、現像スリーブ508内には、現像剤504を現像スリーブ508上に磁気的に吸引且つ保持するために、磁石(N1、S1等)が内接されているマグネットローラ505が配置されている。本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ508は、基体としての金属円筒管506と、その上に被覆された導電性樹脂被覆層507を有する。ホッパー503中には、現像剤504を攪拌するための攪拌翼510が設けられている。513は、現像スリーブ508とマゲネットローラ505とが非接触状態にあることを示す間隙である。現像剤504は、現像剤を構成する磁性トナー相互間及び現像スリーブ508上の導電性樹脂被覆層507との摩擦により、感光体ドラム501上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図3の例では、現像領域Dに搬送される現像剤504の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード502が設けられている。この磁性規制ブレード502は、現像スリーブ508の表面から約50〜500μmのギャップ幅を持って現像スリーブ508に臨むように、ホッパー503から垂下されている。マグネットローラ505の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード502に集中することにより、現像スリーブ508上に現像剤504の薄層が形成される。
【0092】
現像剤(トナー)としては、例えば、現像剤用結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したものが使用される。形式として、磁性材料を必須成分とする磁性一成分現像剤と磁性材料を含まない非磁性一成分現像剤があるが、現像装置に適応して適宜選択される。また、本発明で使用する現像剤(トナー)は、いずれの形式であっても、質量平均粒径が4μm以上11μm以下の範囲にあることが好ましい。このようなものを使用すれば、トナーの帯電量あるいは画質及び画像濃度等がバランスのとれたものとなる。
【実施例】
【0093】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0094】
〔実施例1〕
〔1〕導電性弾性層の形成及び評価
中高ニトリル[商品名:JSR、N230SV(結合アクリロニトリル量35.0%)、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)32、比重0.98、JSR(株)製]100部、充填剤としてのカーボンブラック[商品名:Printex45、粒子径26nm、窒素吸着比表面積90m/g、DBP吸収量52cm/100g、デグサ社製]48部、充填剤として炭酸カルシウム[商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製]20部、酸化亜鉛5部およびステアリン酸亜鉛1部を6Lニーダーで20分間混練した。この混練物に加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィド[商品名:サンセラーTBZTD、三新化学工業(株)製]4.5部、加硫剤としてのイオウ1.2部を加え、オープンロールでさらに8分間混練することによって、導電性弾性層用の混練物Iを得た。
【0095】
次に、直径6mm、長さ252mmの円柱形の鋼製の基体(表面をニッケルメッキ加工したもの)の円柱面軸方向中央を挟んで両側115.5mmまでの領域(あわせて軸方向幅231mmの領域)に、金属およびゴムを含む熱硬化性接着剤(商品名:メタロックN−33、(株)東洋化学研究所製)を塗布し、これを30分間温度80℃で乾燥させた後、さらに1時間温度120℃で乾燥させた。次にクロスヘッド押出機を使用して、基体上に混練物Iを外径8.75〜8.90mmの円筒形に押し出し、円筒形押出物の長さが242mmとなるように端部を切断した。
【0096】
続いてこの円筒形押出物を加硫することによって、基体上に導電性弾性層(1次加硫品)を有するローラを得た。尚、加硫温度の急速な立ち上げを避けるために、連続加熱炉は、第1ゾーンを温度80℃に設定して30分で通過させ、第2ゾーンを温度160℃に設定して30分かけて通過させた。
【0097】
次に、このローラの導電性弾性層(ゴム部分)の両端を切断し、その軸方向幅を232mmとした。その後、導電性弾性層の表面を回転砥石で研磨することによって、端部直径8.26mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状とした。このときのローラ表面の十点平均粗さ(Rz)は8.5μmで、振れが20μmの導電性弾性ローラ1を得た。十点平均粗さ(Rz)はJISB6101に準拠して測定した。振れの測定は、ミツトヨ(株)製高精度レーザー測定機LSM−430vを用いて行った。詳しくは、該測定機を用いて外径を測定し、最大外径値と最小外径値の差を外径差振れとし、この測定を5点で行い、5点の外径差振れの平均値を被測定物の振れとした。導電性弾性ローラ1のMD−1硬度は58度であった。
【0098】
〔2〕帯電ローラの作成及び評価
<加水分解縮合物の調製>
(合成―1)
下記表2に記載の材料を300mlのナスフラスコに入れ、フットボール型攪拌子(全長45mm、径20mm)を用いて、室温(温度25℃)で、該撹拌子の回転数を500rpmとして1分間攪拌し、混合した。次いで、該撹拌子の回転数を900rpmに変更して、イオン交換水(pH=5.5)11.95gを滴下しながら添加した。イオン交換水滴下後の反応液の固形分は、28.00質量%である。
【0099】
【表2】

【0100】
イオン交換水滴下後、温度を120℃に設定したオイルバス中に上記ナスフラスコを浸し、撹拌子の回転数を750rpmとして撹拌を続けた。ナスフラスコの内容物は20分後に温度120℃に到達した。20時間加熱還流を行って、縮合物中間体−Iを得た。
【0101】
(合成―2)
下記表3に記載の材料を50mlのナスフラスコに入れ、室温で3時間攪拌して、加水分解性シラン化合物と加水分解性ストロンチウム化合物との加水分解縮合物を含む、液状の縮合物−1を合成した。
【0102】
【表3】

【0103】
<評価(1):固形分濃度の算出(残存モノマー量の測定)>
得られた縮合物−1に含まれる残存モノマー量を以下の手順で測定した。縮合物―1の合成に使用した加水分解性シラン化合物、および、加水分解性ストロンチウム化合物が理論的に完全に脱水・縮合反応した構造体から求められる質量に対して計算を行う。測定は、A)予め質量を測定したアルミカップに、B)(2)の工程で出来上がった縮合物−1を約2.000〜3.000g精密天秤で秤量する。更に200℃×30分間オーブン中に放置し、その後、C)再度精密天秤で質量を測定し、固形分を算出する。
【0104】
【数1】

【0105】
理論的に求めた質量に対して、測定で求められた固形分が同等ならば、ほぼ残モノマーが非常に少ないということになる。逆にオーブン中で未反応のモノマーがある場合、揮発により質量減少が生じるので、固形分を測定すれば残モノマーを定量することが出来る。縮合物−1の固形分濃度は25.25[質量%]であった。
【0106】
<評価(2):縮合物−1の外観評価>
液状の縮合物―1の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:目視で合成液が均一なもの。
B:目視で合成液が若干乳白色となるが、孔径0.5μmのメンブレンフィルターを用いて濾過すればコーティング液として使用可能なもの。
C:白濁化し、沈殿物が生成するもの。
【0107】
<表面層形成用のコーティング液の調製>
光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩[商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製]を、メタノールで希釈し、濃度を10質量%とした。そして、50gの縮合物−1の固形分100質量部に対して、光カチオン重合開始剤の量が3.0質量部となるように、上記光カチオン重合開始剤のメタノール希釈液を添加した。次いで、エタノールを更に添加して、縮合物−1の固形分濃度を3.0質量%に調整し、本実施例に係る帯電ローラの表面層形成用のコーティング液−1を調製した。
【0108】
<表面層の形成>
コーティング液−1を、先に作成した導電性弾性ローラ1の導電性弾性層上にリング塗布(吐出量:0.008ml/s、リング部のスピード:20mm/s、総吐出量:0.064ml)した。次に、導電性弾性層上のコーティング液─1の塗膜に対して、波長が254nmの紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射し、該塗膜中の縮合物―1を架橋させて、該塗膜の硬化膜を形成した。この硬化膜を数秒間放置して乾燥させて表面層を形成し、帯電ローラ1を得た。なお、紫外線の照射には、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製)を用いた。
【0109】
<評価(3):表面層の膜厚の測定>
表面層の膜厚は以下の方法を用いて測定した。すなわち、帯電ローラ1の最表面を直接ESCAによるAr+イオンスパッタにより、厚み方向の分析を行った。そして、Si2pピーク強度が変化しなくなった深さまでを膜厚とした。
使用した装置;Quantum2000(アルバックファイ社製)、
X線;モノクロAl kα、25w15kV100μm、
pass energy;23.5eV、
step width ;0.1eV、
試料傾斜角;45、
Ar+スパッタ;4kV、2×2mm
6sec/cycle(スパッタ速度;30nm/min. SiO)。
【0110】
<評価(4):帯電ローラの表面自由エネルギー>
帯電ローラ1の表面自由エネルギーを算出するために、下記表4に示す、表面自由エネルギーの3成分が既知の3種のプローブ液体に対する接触角を接触角計(商品名:CA−X ROLL型、協和界面株式会社製)を用いて測定した。接触角θの測定条件は以下のとおりである。
測定:液滴法(真円フィッティング)。
液量:1μl。
着滴認識:自動。
画像処理:アルゴリズム−無反射。
イメージモード:フレーム。
スレッシュホールドレベル:自動。なお、下記において、L、Sはそれぞれ液体、固体の当該項目を示す。
γ:分散力項。
γ:極性項。
γ:水素結合項。
【0111】
【表4】

【0112】
上記表4において、γL、γL及びγLは、各々、分散力項、極性項および水素結合項を表す。上記表4のプローブ液体3種の表面自由エネルギーの各々(γL、γL、γL)と、測定によって得た各プローブ液体に対する接触角θを、下記数式(2)に代入し、各プローブ液体についての3つの方程式を作成し、それら3元連立方程式を解くことによって、γS、γS及びγSを算出した。そして、γS、γS及びγSの和を表面自由エネルギー(γTotal)とした。なお、本発明の帯電部材の全表面自由エネルギー(γTotal)は、25mJ/mを超えて35mJ/m以下であることが望ましい。
【0113】
【数2】

【0114】
<評価(5):帯電ローラの動摩擦係数の測定>
帯電ローラ1を用い、以下に示す動摩擦係数測定を行った。本発明において、帯電部材の表面の動摩擦係数(μ)は、次のようにして測定される値を意味する。この測定方法は、オイラーのベルト式に準拠している。本発明において動摩擦係数の測定に用いる測定機の概略図を図7に示す。図7において、601は測定対象である帯電部材であり、602は帯電部材に所定の角度θで接触させたベルト(厚さ100μm、幅30mm、長さ180mm、ポリエチレンテレフタレート(PET)製(商品名:ルミラーS10 #100、東レ(株)製))である。また、603はベルト602の一端に繋がれた重りであり、604はベルト202の他端に繋がれた荷重計であり、605は荷重計604に接続された記録計である。図7に示す状態で、帯電部材601を所定の方向および所定の速度で回転させたとき、荷重計604で測定された力をF[g重]、重りの重さとベルトの重さとの和をW[g重]とすると、動摩擦係数は以下の数式(3)で求められる。
【0115】
【数3】

【0116】
この測定方法により得られるチャートの一例を図8に示す。帯電部材を回転させた直後の値が回転を開始するのに必要な力であり、それ以降が回転を継続するのに必要な力であるから、回転開始点(すなわちt=0[秒]の時点)の摩擦係数が静摩擦係数であり、t>0[秒]の任意の時間における摩擦係数が任意の時間における動摩擦係数である。本発明では、回転開始点から10秒後に得られる摩擦係数をもって、上記の動摩擦係数(μ)とした。本発明においては、W=100[g重]とし、帯電部材の回転速度を115rpmとし、測定環境を23℃、53%RHとした。
【0117】
<評価(6):画像評価>
帯電ローラ1を用いて以下の評価を行った。まず、帯電ローラ1と電子写真感光体とを、これらを一体に支持するプロセスカートリッジ(商品名:「HP 35A(CB435A)」、HP社製)に組み込んだ。このプロセスカートリッジを、A4サイズの紙を縦方向に出力するレーザービームプリンター(商品名:「HP LaserJet P1006 Printer」、HP社製)に装填した。なお、このレーザービームプリンターのプリントスピードは17枚/分であり、画像解像度は600dpiである。また、帯電ローラとともにプロセスカートリッジに組み込んだ電子写真感光体は、支持体上に層厚14μmの有機感光層を形成してなる有機電子写真感光体である。また、この有機感光層は、支持体側から電荷発生層とポリカーボネート(結着樹脂)を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層であり、この電荷輸送層は電子写真感光体の表面層となっている。
【0118】
現像剤(トナー)としては、現像剤用結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したもので、実際にはプロセスカートリッジ(商品名:「HP 35A(CB435A)」、HP社製)に充填してあるものを使用した。
【0119】
上記のレーザープリンターを用いて、温度25℃、相対湿度55%の環境下で750枚のハーフトーン画像を出力した。ハーフトーン画像とは、A4サイズの紙上に、電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔118スペースの横線を描く画像である。また、ハーフトーン画像出力は、1枚出力する毎に、7秒間かけて電子写真感光体ドラムの回転を停止させる、いわゆる、間欠モードで行った。
【0120】
750枚のハーフトーン画像の出力終了後、上記の環境下に上記レーザープリンターを1時間静置し、その後、再度ハーフトーン画像を1枚出力した。このハーフトーン画像を評価用ハーフトーン画像1と称する。評価用ハーフトーン画像1の端部に、クリーニング不良に起因する画像不良が発生しているか否かを目視により確認した。そして、評価用ハーフトーン画像1に画像不良が認められた場合には、さらにハーフトーン画像を1枚出力した。これを評価用ハーフトーン画像2と称する。評価用ハーフトーン画像2を目視で観察し、クリーニング不良に起因する画像不良が発生しているか否かを観察した。そして、評価用ハーフトーン画像2にも画像不良が確認された場合には、横線の画像を20枚出力した。得られた20枚の横線が描かれた電子写真画像を目視で観察し、スジの有無を観察した。
【0121】
上記の各画像の観察結果を、以下の基準にて評価した。
AA:評価用ハーフトーン画像1にスジの発生が認められなかった。
A :評価用ハーフトーン画像1の端部にわずかにスジの発生が認められた。しかし、評価用ハーフトーン画像2には、スジが認められなかった。
B :評価用ハーフトーン画像1の端部にわずかにスジの発生が認められた。評価用ハーフトーン画像2の端部にもわずかにスジの発生が認められた。一方、20枚の横線の画像のうち、4枚目以降の画像にはスジの発生が認められなかった。
C :評価用ハーフトーン画像1の端部に多少のスジが認められた。評価用ハーフトーン画像2の端部にも多少のスジが認められた。一方、20枚の横線の画像のうち、11枚目以降の画像にはスジが認められなかった。
D :評価用ハーフトーン画像1の端部に鋭いスジが認められた。評価用ハーフトーン画像2の端部にも鋭いスジが認められた。また、20枚の横線の画像の全てにスジが認められた。
【0122】
〔実施例2〜22〕
<縮合物2〜22の調製>
実施例1と同様にして調製した縮合物中間体−Iを用いて、原料の配合量を表5に示す組成にしたこと以外は実施例1と同様にして縮合物−2〜22を調製した。なお、表5中、「ZriPr」はジルコニウムイソプロポキシドを示す。実際の反応においては、「ZriPr」として、「AKZ955」(商品名、Gelest製、ヘプタン中の濃度75%)を用いた。縮合物2〜22について、実施例1に記載の評価(1)および(2)を行った。
【0123】
【表5】

【0124】
<表面層形成用コーティング液の調製>
上記縮合物2〜22を用いたこと以外は、実施例1における表面層形成用コーティング液−1と同様にして表面層形成用コーティング液−2〜22を得た。尚、縮合物20〜22については、合成液が目視で若干乳白色となったので、各縮合物を孔径0.5μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、この各縮合物に対して光重合開始剤の希釈液を添加した。
【0125】
<表面層の形成>
上記表面層形成用コーティング液―2〜22を用いたこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ2〜22を作成し、実施例1と同様にして評価(3)〜(6)を行った。上記実施例1〜22について、評価(1)〜(6)の結果を表6に示す。また、各実施例に係る縮合物中の加水分解性化合物(加水分解性シラン化合物、加水分解性ストロンチウム化合物、加水分解性ジルコニウム化合物)のモル比を併せて表6に示す。
【0126】
【表6】

【0127】
〔実施例23〜29〕
<縮合物中間体−II〜VIの調製>
下記表7に示すように、加水分解性化合物の種類および量を替えたこと以外は、実施例1における縮合物中間体−Iと同様にして縮合物中間体−II〜VIを調製した。
【0128】
【表7】

【0129】
なお、表7中の、加水分解性化合物の略語は、各々下記のものを意味する。
ECTMS:エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン[商品名:KBM−303、信越化学工業(株)製]、
DeTMS:デシルトリメトキシシラン[商品名:KBM−3103、信越化学工業(株)製]、
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン[商品名:KBM−103、信越化学工業(株)製]。
【0130】
<縮合物23〜29の調製>
実施例1と同様にして調製した縮合物中間体−Iまたは上記で調製した縮合物中間体−II〜VIを用いると共に、原料の配合量を下記表8に示す組成としたこと以外は、実施例1の縮合物1と同様にして縮合物23〜29を調製した。これらの縮合物について、評価(1)及び(2)を行った。
【0131】
【表8】

【0132】
<表面層形成用コーティング液の調製>
コーティング液−23の調製:
50gの縮合物23の固形分100質量部に対して、光カチオン重合開始剤の量が1.0質量部となるように、実施例1と同様にして調製した光カチオン重合開始剤のメタノール希釈液を添加してコーティング液−23を得た。
【0133】
コーティング液−24の調製:
50gの縮合物24の固形分100質量部に対して、光カチオン重合開始剤の量が5.0質量部となるように実施例1と同様にして調製した光カチオン重合開始剤のメタノール希釈液を添加してコーティング液−24を得た。
【0134】
コーティング液−25の調製:
縮合物25を用いたこと以外は、コーティング液−23と同様にしてコーティング液25を得た。
【0135】
コーティング液−26〜29の調製:
縮合物26〜29を用いたこと以外は、実施例1のコーティング液−1と同様にしてコーティング液26〜29を調製した。
【0136】
<帯電ローラ22〜29の作成>
上記コーティング液―22〜29を用いたこと以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを作成し、評価(3)〜(6)に供した。上記実施例23〜29に係る縮合物23〜29中の加水分解性化合物(加水分解性シラン化合物、加水分解性ストロンチウム化合物、加水分解性ジルコニウム化合物)のモル比を表9に示す。なお、表9中、「SriPr」はストロンチウムイソプロポキシドを示し、「ZrnPr」はジルコニウムテトラn―プロポキシド示す。また、各実施例について、評価(1)〜(6)の結果を表10に示す。
【0137】
【表9】

【0138】
【表10】

【0139】
〔比較例1〜5〕
<縮合物31〜34の調製>
実施例1と同様にして製造した縮合物中間体−Iを用いて、原料の配合量を表11に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして縮合物31〜34を調製した。尚、縮合物中間体−Iをそのまま縮合物30とした。縮合物30〜33について評価(1)および(2)を行った。なお、縮合物34については、白濁、沈殿が生じたため、評価(1)は行わなかった。
【0140】
【表11】

【0141】
<コーティング液−30〜33の調製>
縮合物30〜33を用いたこと以外は、コーティング液−1と同様にしてコーティング液−30〜33を調製した。
【0142】
<帯電ローラ30〜33の作成>
コーティング液−30〜33を用いたこと以外は、帯電ローラ1と同様にして帯電ローラ30〜34を作成し、評価(3)〜(6)に供した。
【0143】
上記比較例1〜5に係る縮合物30〜34の調製に用いた加水分解性化合物(加水分解性シラン化合物、加水分解性ストロンチウム化合物、加水分解性ジルコニウム化合物)のモル比および各比較例について、評価(1)〜(6)の結果を表12に示す。なお、比較例5については、縮合物34を用いた帯電ローラの作成を行わなかった。
【0144】
【表12】

【0145】
以上のとおり、金属アルコキシルドの種類、量、組み合わせにより、動摩擦係数及び表面自由エネルギーを最適値とした本発明の電子写真用帯電部材によれば、特に感光体を停止状態から起動する際に、クリーニングブレード端部からすり抜けたトナー及び外添剤等が帯電部材の表面に付着あるいは固着することを抑制できる。
【符号の説明】
【0146】
101 基体
102 導電性弾性層
103 表面層
1 電子写真感光体
2 帯電部材(帯電ローラ)
3 像露光手段
4 現像手段
5 クリーニング手段
6 中間転写ベルト
8 転写部材(転写ローラ)
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体、弾性層および表面層を有している帯電部材であって、該表面層は、Si−O−Sr結合を有し、かつ、下記一般式(1)で示される構成単位および下記一般式(2)で示される構成単位を有している高分子化合物を含有していることを特徴とする帯電部材:
【化1】

【化2】

[上記一般式(1)中、RおよびRは、各々独立に以下の一般式(3)〜(6)のいずれかを示す:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

[一般式(3)〜(6)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立して水素、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。記号「*」および記号「**」は、各々、一般式(1)中のケイ素原子及び酸素原子への結合部位を示す。]]。
【請求項2】
前記表面層中のケイ素原子とストロンチウム原子のモル含有量の合計量を100モル%としたときのストロンチウム原子の含有量が5モル%以上20モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記一般式(1)のRおよびRが各々独立に下記一般式(8)〜(11)で示される構造からなる群から選ばれるいずれかである請求項1または2に記載の帯電部材:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

[一般式(8)〜(11)において、N、M、L、Q、SおよびTは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。x’およびy’は、各々独立に0もしくは1を示す。記号「*」および記号「**」は、各々一般式(1)におけるケイ素原子および酸素原子との結合部位を示す。]。
【請求項4】
前記高分子化合物が、下記一般式(7)で示される構成単位を更に有し、かつ、Si─O─Zr結合を更に有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材:
【化11】

【請求項5】
前記表面層中のケイ素原子、ストロンチウム原子およびジルコニウム原子のモル含有量の合計量を100モル%としたときのストロンチウム原子の含有量が5モル%以上20モル%以下であり、ジルコニウム原子の含有量が40モル%以上67モル%以下である請求項4に記載の帯電部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電部材と感光体とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電部材を有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−93719(P2012−93719A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200449(P2011−200449)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】