帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
【課題】長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、変形の発生を抑制できる帯電部材を提供する。更に、電子写真装置に使用されてトナーの融着や付着を抑制し、Cセット画像や汚れ画像を抑制した良好な画像を出力することができる耐久性に優れた帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供する。更に、電子写真装置の大型化や消費電力の増大を抑制し、オゾンの発生を抑制できる帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置の提供。
【解決手段】導電性支持体a上に被覆層bを有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層cを有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有する。または、平均粒径(Bμm)として式(1)0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)を満たす。
【解決手段】導電性支持体a上に被覆層bを有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層cを有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有する。または、平均粒径(Bμm)として式(1)0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、より詳しくは、オゾンの発生を抑制し、高電圧印加条件下でも耐久性に優れた帯電部材や、これを用いて良好な画像が得られるプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置、いわゆる電子写真装置は、電子写真感光体、感光体を帯電するための帯電手段、帯電された感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段を有する。更に、電子写真装置は、感光体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給する現像手段及び現像剤を記録材上に転写する転写手段、転写された現像剤を記録材に定着して記録材に画像を形成する定着手段が設けられたものが一般的である。
【0003】
このような電子写真装置における帯電手段としては、電子写真感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に、直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することによって感光体の表面を帯電する方式のものが多く採用されている。
【0004】
帯電部材に印加する電圧として、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を採用した場合、交流電源が必要となって電子写真装置の大型化やコストアップを招いたり、電力消費量が増加する。また、交流電流の使用によるオゾン等の多量発生によって帯電部材や電子写真感光体の耐久性が低下したりする。かかる観点からは、帯電部材への印加電圧は直流電圧のみであることが好ましい。
【0005】
また、被帯電体である感光体の帯電の安定性、オゾン発生の低減、あるいは、低コスト化という観点から、接触式の帯電手段が多用されている。このような接触式の帯電手段の場合、帯電部材は、停止時においても、例えば、バネ等の押圧力により感光体に当接した状態に設置され、作動時において、停止時の配置で感光体に従動回転するようになっている場合が多い。
【0006】
電子写真装置や、これら電子写真装置の中心部分を収めた、いわゆるカートリッジ等の製品が製造されてからユーザーが初めて使用するまで、帯電部材が感光体の一定の位置にバネ等の押圧力で当接された状態が数週間から数年など長期に亘り継続することもあり得る。また、ユーザーが電子写真装置を長期に亘って使用しない場合は、当然、帯電部材が感光体の一定の位置に当接された状態が長期に亘り継続することになる。このように電子写真装置が長期間駆動されない場合、感光体と帯電部材との当接部では帯電部材が変形し、当初の形状に復元せず、圧縮永久歪みによる変形やへたり、いわゆるCセットが発生することがある。帯電部材にCセットが発生した電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、ハーフトーン画像を出力した際、長手方向の横黒スジ及び/又は横白スジ(Cセット画像)となって現れる。これは、帯電部材の帯電ムラによるものであることが明らかにされている。
【0007】
帯電部材の変形(Cセット)を抑制するためには、帯電部材自体を硬くするという方法、例えば、帯電部材の表面のマイクロ硬度が80゜以下の硬度の大きい帯電部材を用いる方法が報告されている(特許文献1、2)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、これらの帯電部材の変形量は20μm程度と大きく、例えば前記したような、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとしたような状況においては、Cセットの改善を十分には図ることができなかった。このようなCセットの発生に伴い、感光体やこれを介して帯電部材にトナー融着または付着が発生し、経時に伴い融着、または付着トナーが蓄積される。そして、トナーの融着、付着した帯電部材を用いた電子写真装置により画像形成を行うと、白ポチや黒ポチ、あるいはスジ状の画像不良(汚れ画像)が発生する。
【0008】
このような汚れ画像を抑制するためには、帯電部材の硬度を低くすることが好ましいことが報告されている(特許文献3、4)。
【0009】
また、帯電ローラの中間層が表面層形成用塗工液の溶剤に可溶性の樹脂組成物からなり、表面層が膜厚300μm以上での硬度が80〜95度の溶剤可溶性フッ素系樹脂組成物をベースとし、膜厚が10μm以下である帯電ローラが報告されている(特許文献5)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記帯電ローラを用いた電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとし、画像形成枚数を増加させた場合、トナー付着による汚れ画像が発生し、Cセット画像が発生してしまった。
【0010】
また、1kg荷重時のアスカーC硬度が48度以下で、且つ33.85g荷重時のマイクロゴム硬度が65〜85度である帯電ロールが報告されている(特許文献6)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記帯電ローラを用いた電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとし、画像形成枚数を増加させた場合、トナー付着による汚れ画像が発生し、Cセット画像が発生してしまった。
【0011】
また、近年、電子写真装置に対して、より一層の高速化、高画質化及び耐久性に優れることの要請が高まっている。これらの要請を満たすためには、当接部の変形(Cセット)や、画像不良を招く帯電部材へのトナー付着に対し、より高度な対応を強いられている。Cセット画像及び汚れ画像は、帯電部材の印加電圧を直流電圧のみの電圧とした場合において、特に発生し易いことも明らかとなった。帯電部材への印加電圧が直流電圧のみの場合、帯電部材の耐久性の向上を図り、Cセット画像と汚れ画像の発生を抑制するのは、非常に困難である。
【特許文献1】特開平10−293438号公報
【特許文献2】特開平11−084821号公報
【特許文献3】特開平08−152763号公報
【特許文献4】特開2000−291634号公報
【特許文献5】特開2002−251053号公報
【特許文献6】特開平09−258524号公報
【特許文献7】特開平04−303860号公報
【特許文献8】特開2004−109688号公報
【特許文献9】特開2005−165213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、変形の発生を抑制できる帯電部材を提供することにある。更に、本発明の課題は、電子写真装置に使用されてトナーの融着や付着を抑制し、Cセット画像や汚れ画像を抑制した良好な画像を出力することができる耐久性に優れた帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供することにある。更に、本発明の課題は、電子写真装置の大型化や消費電力の増大を抑制し、オゾンの発生を抑制できる帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来、帯電部材は比較的柔らかいとされる領域の硬度を有することが好ましいとされていた。これは、帯電部材の硬度が大きいと、感光体との当接不良や、スリップにより正確な従動回転がされない等の弊害が生じ易い。更に、この弊害に起因して感光体が均一に帯電されないことにより、紙等の記録材に転写されずに感光体上にトナー成分が残留し、この残留トナー成分が帯電部材に押しつぶされ、帯電部材表面に汚れとなって付着する。このため、汚れ画像が発生し、帯電部材の耐久性が低下するという弊害が発生する。特に、接触帯電方式を用いる場合にこの傾向が強いとされている。
【0014】
本発明者らは比較的硬度が高い帯電部材について検討を行った。マイクロ硬度が60°以上の帯電部材は、Cセット量はある程度小さいものの、汚れ画像が発生する場合が多いことを確認した。また、このマイクロ硬度領域の帯電部材総てがCセット画像の発生を免れ得るわけではないことも確認した。本発明者らは、Cセット量が小さくても、帯電部材の放電状態を制御しなければ、汚れ画像が発生してしまうのではないかと考えた。
【0015】
本発明者らは、帯電部材として、マイクロ硬度を60〜98°を有するものを選択した。98°を超える範囲では金属のように非常に硬く、感光体との当接不良によるトナー付着等による汚れ画像が発生するからである。そして、マイクロ硬度60〜98°の高硬度を有する帯電部材において、最外層に特定の粒子径を有する高分子化合物粒子をバインダーと共に含有させ、その表面状態を特定のものとすることにより、Cセットの発生を抑制し、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像と汚れ画像の発生を同時に抑制することができることの知見を得た。
【0016】
かかる最外層に含まれる高分子化合物粒子が、平均粒子径として2.5〜50μmを有する場合、帯電部材表面に微小の凹凸を形成させ、帯電部材が感光体とその表面の凸部の上部で点状に接触した状態で当接する。このため、帯電部材において、感光体との接触が面状である場合と比較して、トナー汚れを顕著に抑制することができることの知見を得た。また、帯電部材を感光体に点状に接触した状態で当接させるためには、帯電部材のマイクロ硬度は、上記の範囲であることが必要であることの知見を得た。硬度が前述した範囲外、特に60°未満になると、帯電部材がその表面に凹凸を有するものの、感光体との当接部では表面の凹凸がつぶされてしまい、接触面を点状とすることが困難であることが分かった。
【0017】
また、帯電部材がその表面の凸部の上部において感光体と点状に接触することにより、Cセットの発生を抑制できることの知見を得た。感光体との面接触により当接していた従来の高分子化合物粒子を含有しない帯電部材においては、Cセットが長手方向の全長に亘って発生していた。これに対し、高分子化合物粒子を含有する帯電部材においては、感光体と点状に接触するため、凸部が受ける圧力による歪を凹部において吸収することができ、帯電部材におけるCセットの発生を抑制できることの知見を得た。更に、表面に存在する高分子化合物粒子により形成される凸部が変形を生じた場合であっても、バインダーの変形を抑制することができ、Cセット画像の顕在化を抑制できることの知見を得た。これにより、帯電部材におけるマイクロ硬度の下限を60°に低減し、感光体との当接面積を拡張し、感光体表面のより均一な帯電を行うための接触面積を確保することができることを見い出した。
【0018】
また、本発明者らは、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材における最外層に含まれる高分子化合物粒子が、平均粒子径(Bμm)として、式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすものが、CセットやCセット画像の発生を抑制することができることを見い出した。
【0019】
更に、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材を感光体に接触配置して使用する場合、マイクロ硬度が60°未満の帯電部材と比較して、感光体にブルーム現象が生じやすいということが確認されていた。これは、帯電部材が高硬度であると、感光体と帯電部材との当接面積が縮小され、当接圧力が大きくなるために、帯電部材からの滲出物が多量となり、ブルームとなって感光体に付着することが考えられる。特定の高分子化合物粒子を含有する最外層を有する帯電部材とすることにより、ブルーム現象を抑制できることの知見を得た。これは、表面に微小の凹凸を有する帯電部材が、感光体と点状接触により当接することにより、接触面積が当接面積より縮小するにも拘わらず、表面の凹凸が圧力を吸収しバインダー部分に負荷される圧力が低減されるためと考えられる。また、バインダー部分の滲出が生じた場合であっても、凹部に収容され感光体のブルーム現象を抑制することができると考察することができる。かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0020】
なお、高分子化合物粒子を含有する帯電部材が特許文献7〜9に記載されているが、いずれも、本発明者らが求める特性を有するものではない。帯電部材において高分子化合物粒子を含有するものの、帯電部材と感光体との接触を点状として当接することができていないためではないかと考察することができる。
【0021】
すなわち、本発明は、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする帯電部材や、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすことを特徴とする帯電部材に関する。
【0022】
また、本発明は、電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジや、電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の帯電部材は、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、その変形のCセットを抑制し、感光体のブルーム現象を抑制することができ、更に、電子写真装置の大型化や消費電力の増大を抑制し、オゾンの発生を抑制できる。かかる帯電部材を用いた本発明のプロセスカートリッジや電子写真装置は、トナーの融着や付着を抑制し、Cセット画像や汚れ画像などを抑制し、良好な画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の帯電部材は、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする。
【0025】
本発明の帯電部材に用いられる導電性支持体は、導電性を有し、感光体表面を所定の静電量に帯電できるように、その上に積層して設けられる被覆層、最外層を密着支持する機能を有するものであればいずれであってもよい。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。導電性支持体の形状は、帯電部材の形状を定めるものであって、例えば、円筒、円柱、平板状、ブレード状、ベルト状、シート形状、フィルム形状等などを挙げることができる。
【0026】
本発明の帯電部材に用いられる被覆層は、導電性支持体上に設けられ、感光体表面を均一に帯電できるように、帯電部材に導電性、弾性などを付与するために設けられる。かかる被覆層としては少なくとも最外層を含有し、必要に応じて諸機能を有する、導電性被覆層、弾性被覆層など2層以上設けることができる。例えば、ローラー形状の導電性支持体a上に形成された被覆層として、図1に示すように、最外層cの1層を有するもの、図2に示すように、弾性被覆層bと、弾性被覆層b上に形成された最外層cの2層を有するもの、図3に示すように、弾性被覆層b、抵抗層d、最外層cの3層を有するもの、図4に示すように、弾性被覆層b、抵抗層d、第2の抵抗層e、最外層cの4層を有するものなどを挙げることができる。また、平板形状の導電性支持体a1上に形成された被覆層として、図5に示すように、最外層c1の1層を有するもの、図6に示すように、弾性被覆層b1と、弾性被覆層b1上に形成された最外層c1の2層を有するもの、ベルト形状の導電性支持体a2上に形成された被覆層として、図7に示すように、最外層c2の1層を有するもの、図8に示すように、弾性被覆層b2と、弾性被覆層b2上に形成された最外層c2の2層を有するものなどを例示することができる。
【0027】
上記被覆層は、放電により感光体を帯電させる帯電部材の機能を発揮するため、帯電部材の体積抵抗率を制御するという観点から、被覆層全体として所定の体積抵抗率を有することが好ましい。具体的には、被覆層全体として、23℃/50%RH環境下で102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の体積抵抗率を有すると、感光体の帯電をより均一に行うことができ、Cセットが生じていた場合であっても、その顕在化を抑制できるため、好ましい。
【0028】
ここで被覆層等の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Hiresta−UPを用い、測定対象試料に250Vの電圧を30秒間印加したときの測定値とすることができる。被覆層がゴムや樹脂等の固形である場合の体積抵抗率の測定ついては、固形材料を用いて2mm厚の膜を成形し、これを測定対象試料とすることができる。溶液を塗布して形成する被覆層の体積抵抗率の測定については、塗布液をアルミニウムシート上にコーティングし、これを測定対象試料とすることができる。
【0029】
本発明の帯電部材における被覆層の最外層は、十点平均表面粗さ(Rzjis)として、3≦Rzjis≦40、表面凹凸平均間隔(RSm)として、20≦RSm≦80を満たすことが好ましい。帯電部材の表面粗さ、凹凸平均間隔を上記の範囲とすることにより、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させることができる。これにより、Cセットの発生の抑制、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像の発生を抑制することができる。
【0030】
ここで、十点平均表面粗さ、表面凹凸平均間隔は、JISB0601表面粗さの規格に準じて測定した測定値である。その測定は、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用いて行うことができる。十点平均表面粗さは、具体的には、帯電部材の無作為の6点における10点平均表面粗さを上記測定器により測定し、その6点の平均値を用いる。また、表面凹凸平均間隔(RSm)も、具体的には、十点平均表面粗さ(Rz)と同様に、帯電部材の無作為の6点における10点凹凸平均間隔を上記測定器により測定し、その6点の平均値を用いる。
【0031】
上記表面凹凸形状を有する最外層は、バインダーと高分子化合物粒子を含有するものである。最外層に用いるバインダーとしては、種々のバインダーとして用いられている公知のバインダーを採用することができ、例えば、樹脂、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムなどのゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマー等を挙げることができる。
【0032】
上記樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等を挙げることができる。
【0033】
上記合成ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴム等を挙げることができる。
【0034】
上記熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0035】
これらは、単独で用いてもよいし、混合又は共重合体として2種以上用いてもよい。これらの中で、最外層に用いるバインダーとしては、感光体やその他の部材を汚染しないように、離型性の高い点から、樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
最外層に用いる高分子化合物粒子は、平均粒径として2.5〜50μmを有するものであれば、特に制限されるものではない。高分子化合物粒子の平均粒径が2.5μm以上であれば、帯電部材と感光体とを点状接触により当接させることができ、電子写真装置による画像形成においてCセット画像を抑制することができる。一方、高分子化合物粒子の平均粒径が50μm以下であれば、表面の凹凸形状に拘わらず、感光体を均一に帯電することができ、電子写真装置による画像形成において画像上白ポチや黒ポチの発生を抑制することができる。
【0037】
また、高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として、マイクロ硬度(A°)とするとき、式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすものであってもよい。高分子化合物粒子の平均粒子径Bがマイクロ硬度(A)との関連において、式(1)を満たす場合、図9に示す斜線部に相当する。帯電部材と感光体とを点状接触により当接させることができ、電子写真装置による画像形成においてCセット画像を抑制することができ、感光体を均一に帯電することができ、電子写真装置による画像形成において画像上白ポチや黒ポチの発生を抑制することができる。
【0038】
このような高分子化合物粒子は、その平均粒径をB(μm)としたとき、B/10(μm)を超えて7B(μm)以下の粒径分布範囲を有することが好ましく、より好ましくは、B/5(μm)を超えて5B以下である。粒径分布がこの範囲内であれば、帯電部材表面の凹凸を、感光体と点状接触により当接するように、帯電部材表面全体に亘ってより均一に設けることが容易になり、Cセットの発生、Cセット画像の発生を抑制できる。
【0039】
ここで、高分子化合物粒子の平均粒径は、二次凝集した粒子を除いた1次粒子のみを透過型電子顕微鏡(TEM)にて100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒径を求め、それを平均粒径として求めることができる。上記粒度分布は、この体積平均粒子径としての分布である。
【0040】
また、上記高分子化合物粒子は、円形度0.9以上の粒子の割合が80%以上であることがより好ましい。円形度0.9以上の粒子を個数にして80%以上含むことより、感光体と帯電部材を点状接触により当接させる凹凸を、帯電部材表面全面に亘って均一に形成することが容易になり、上記効果を顕著に奏するものとできる。
【0041】
上記高分子化合物粒子の円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として一般的に用いられているものであり、フロー式粒子像分析装置による粒子形状を検出し、粒子形状から式(2)により求めることができる。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された樹脂粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは樹脂粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。本発明の高分子化合物粒子の円形度は、東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置(FPIA−1000)を用いて粒子形状を測定し、各粒子の円形度を算出した後、算出値から各粒子を、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満、・・・、0.990以上1.000未満及び1.000の61分割した分割範囲に分類し、各分割範囲に属する粒子数を求め、粒子全体の平均値として算出した値である。かかる円形度は、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0044】
上記粒子の円形度の具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤を加えた後、測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子として5mm口径のチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならないように適宜冷却する。その後、樹脂粒子の形状測定を行う。上記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時の樹脂粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように分散液濃度を再調整し樹脂粒子を1000個以上計測する方法を挙げることができる。
【0045】
このような高分子化合物粒子の材質としては、例えば、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、及び、これらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0046】
これらの高分子化合物の中で、粒子としたとき、比較的硬度が高く変形しにくく、帯電部材を感光体に点状に接触して当接でき、Cセット変形量を抑制することができることから、樹脂材料が好ましく、特には、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などが好ましい。
【0047】
本発明の帯電部材の最外層においては、上記バインダー100重量部に対して、上記高分子化合物粒子を10〜100重量部含有することが好ましく、より好ましくは、20〜80重量部である。高分子化合物粒子の含有量を上記範囲とすることにより、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させるために形成する帯電部材表面の凹凸を、帯電部材表面全体に亘って、より均一に形成することが容易となる。これにより、帯電部材におけるCセットの発生を抑制し、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像の発生を抑制することができる。
【0048】
最外層には、被覆層が上記体積抵抗率を有するものとするために、導電性粒子を含有させることが好ましい。最外層に含有させる導電性粒子としては、被覆層を上記体積抵抗率を有するものとするため、体積抵抗率が1×108Ω・cm未満の粒子が好ましい。
【0049】
ここで粒子の体積抵抗率は、粒子が絶縁性領域である場合は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Hiresta−UPを用い、測定対象試料の抵抗に合わせた電圧(測定する抵抗領域によって好適な印加電圧が異なる)を印加したときの測定値とすることができる。また、導電性領域の粒子の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Loresta−GPを用い、測定対象試料に10Vの電圧を印加したときの測定値とすることができる。
【0050】
測定対象試料の使用量としては、粒子の密度等を考慮して適宜選択することが好ましく、例えば、後述するカーボンブラックの場合は、0.5gを用い、10.1MPa(102kgf/cm2)の圧力をかけて圧縮したものを測定対象試料とすることができる。
【0051】
かかる導電性粒子としては、金属酸化物系導電性粒子、金属系導電性粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性粒子等を挙げることができる。これらの中でも、カーボンブラックは、ゴム、樹脂、エラストマー等のバインダーに含有させると、補強性を発揮することから、帯電部材のマイクロ硬度を高く維持するために、好都合な導電性粒子である。このようなカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0052】
カーボンブラックは、バインダー100重量部に対して、20〜100重量部含有していることが好ましい。カーボングラックの含有量がこの範囲であると、帯電部材に所定の体積抵抗率を付与することができると共に、所定の硬度を付与することがより容易になる。
【0053】
さらに、カーボンブラックは金属酸化物系粒子にカーボンブラックを被覆した複合粒子として使用することが好ましい。カーボンブラックは、粒子が数珠状につらなっているため、バインダーに対して、均一に存在させることが困難な傾向にある。導電性のカーボンブラックがバインダー中に偏在すると、帯電部材の体積抵抗率の制御が困難となり、その部分に体積抵抗率の低下による過剰放電が生じ、ポチ状の帯電不良となって、電子写真装置により形成される画像に悪影響を及ぼし兼ねない。このため、カーボンブラックを金属酸化物に被覆した複合粒子として使用することにより、導電性粒子をバインダーへ均一に分散させることができ、体積抵抗率制御及びマイクロ硬度制御をより容易に行うことができる。
【0054】
上記複合粒子は、図10に示すように、コア粒子301と被覆層303からなり、コア粒子に一般的にバインダーへの分散性がよい金属酸化物又は複合金属酸化物などの金属酸化物系粒子を用いることにより、バインダーに対して容易に均一に分散させることができる。金属酸化物は粒子径を小さく制御しやすいため、複合粒子の粒子径をより小径とすることができるため、好ましい。このような複合粒子は、カーボンブラックの炭素骨格構造ではなく、小径粒子構造を有し、導電性粒子としてバインダーに均一に分散させることが容易になり、最外層の体積抵抗率を所定の範囲に制御することが容易になる。複合粒子の被覆成分のカーボンブラックは、バインダーと結合し、バインダーの補強としての機能を有するため、帯電部材の硬度の制御を容易にすることができる。
【0055】
上記金属酸化物系粒子としては、具体的には、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウム等を挙げることができる。これらの金属酸化物系粒子は、絶縁性粒子であることが好ましい。ここで絶縁性粒子とは、1×108Ω・cmより大きい体積抵抗率を有するものをいう。金属酸化物系粒子が絶縁性であることにより、カーボンブラックによる導電経路を制御することができ、最外層を所定の体積抵抗範囲に制御することが容易になるのである。かかる金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが好ましい。
【0056】
金属酸化物系粒子の形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよいが、金属酸化物系粒子の形状は複合粒子の形状に大きく影響を及ぼすため、バインダーへの分散性等をより向上させるために、球状または粒状が好ましい。また、金属酸化物系の平均粒子径は、複合粒子の形状に大きく影響を及ぼすため、1〜1000nmが好ましく、より好ましくは5〜500nmである。
【0057】
金属酸化物系粒子は表面処理されていることが好ましい。これにより、金属酸化物系粒子表面とカーボンブラックをより強固に付着させることができ、複合粒子をゴム、樹脂、エラストマー等のバインダーに分散させる際に、カーボンブラックの脱離等を抑制することができる。
【0058】
表面処理としては、好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上を用いることができる。より好ましくはアルコキシシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤であり、更に、好ましくは、有機ケイ素化合物を挙げることができる。
【0059】
上記有機ケイ素化合物としては、式(1)
【0060】
【化1】
【0061】
で表わされるアルコキシシラン、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、式(2)
【0062】
【化2】
【0063】
で表わされるポリシロキサン、式(3)
【0064】
【化3】
【0065】
で表わされる変成ポリシロキサン、式(4)
【0066】
【化4】
【0067】
で表わされる末端変成ポリシロキサン並びに式(5)
【0068】
【化5】
【0069】
で表されるフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物を例示することができる。
【0070】
式(1)で表されるアルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0071】
金属酸化物系粒子へのカーボンブラックの付着強度を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、又は、前記アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましい。
【0072】
また、式(2)で表されるポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンを挙げることができ、式(3)で表されるポリエーテル変成ポリシロキサン及び式(4)で表される末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンを挙げることができる。
【0073】
式(5)で表されるフルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン及びヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0074】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0075】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のチタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート及びビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることができる。
【0076】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のアルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネート等を挙げることができる。
【0077】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート及びジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等を挙げることができる。
【0078】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のオリゴマーとしては、分子量300以上、10,000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10,000以上、100,000程度のものが好ましい。金属酸化物系粒子への均一な被覆処理を考慮すれば、液状、もしくは、水又は各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0079】
表面処理剤の被覆量は金属酸化物系粒子に対して0.01〜15.0質量%が好ましい。0.01質量%以上であれば、金属酸化物系粒子へカーボンブラックを充分付着することができる。15.0質量%以下であれば、金属酸化物系粒子に対しカーボンブラックを十分強固に、かつ十分な量の付着を達成することができ、表面処理剤の浪費を回避することができる。より好ましくは0.02〜12.5質量%、最も好ましくは0.03〜10.0質量%である。
【0080】
金属酸化物系粒子に被覆するカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。カーボンブラックの付着量は、金属酸化物粒子100質量部に対して1〜500質量部である。1質量部以上であれば、得られる複合粒子の電気抵抗を低減することができる。500質量部以下であれば、無駄な消費を回避して電気抵抗の低減効果を十分に得ることができる。
【0081】
上記複合粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよいが、前記分散性等をより向上させるためには、球状又は粒状が好ましい。
【0082】
かかる複合粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、5〜500nmである。この範囲であれば、バインダーへの均一分散、体積抵抗率制御及びマイクロ硬度制御をより容易に行うことができる。また、複合粒子同士の凝集による最外層への分散性の低下を抑制することも容易である。
【0083】
上記複合粒子の体積抵抗値は、付着に用いるカーボンブラックの体積抵抗値と金属酸化物系粒子の体積抵抗値との間で任意に制御することができる。具体的には1.0×10〜1.0×108Ω・cmであり、好ましくは5.0×10〜5.0×107Ω・cmである。
【0084】
上記複合粒子は、金属酸化物系粒子とカーボンブラックとを混合することにより得ることができる。金属酸化物系粒子へのカーボンブラックの付着は、まず、金属酸化物系粒子を表面処理し、次いで、表面処理された金属酸化物粒子とカーボンブラックを混合することによって行うことができる。
【0085】
金属酸化物系粒子の表面処理は、金属酸化物系粒子と表面処理剤又は表面処理剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、金属酸化物系粒子に表面処理剤又は表面処理剤の溶液を噴霧しながら機械的に混合攪拌することによって行うことができる。
【0086】
表面処理剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いる場合、アルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として施与されていてもよい。この場合においてもその後のカーボンブラックの付着への悪影響は見られない。
【0087】
表面処理剤を均一に金属酸化物系粒子の表面に被覆するためには、凝集した金属酸化物系粒子を予め粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0088】
金属酸化物系粒子とカーボンブラック、表面処理されている金属酸化物系粒子とカーボンブラック、金属酸化物系粒子と表面処理剤との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、特に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機などを用いることができ、これらのうちホイール型混練機が複合粒子の作製に好適である。また、混合攪拌後、必要に応じて更に乾燥など熱処理を行ってもよい。
【0089】
更に、金属酸化物系粒子の表面処理に関しては、金属酸化物系粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、処理剤を粒子表面に付着させる方法を挙げることができる。分散の手段としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、粒子表面に表面処理剤を固着させる。また、必要に応じて、この後、更に熱処理を行ってもよい。また、混合溶液中には反応促進のための触媒を添加することができる。更に、必要に応じて表面処理後の粒子に更に粉砕処理を施してもよい。
【0090】
金属酸化物系粒子は、粒子表面を予め、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。これにより、金属酸化物系粒子表面とカーボンブラックとの付着力を強めることができる場合もある。
【0091】
中間被覆物の被覆量としては、0.01〜20質量%が好ましい。0.01質量%以上であれば、カーボンブラックの付着向上効果が得られ、20質量%以下であれば、無駄な消費を回避して付着力向上効果を得ることができる。
【0092】
上記複合粒子は、バインダー100重量部に対して、40〜200重量部含有していることが好ましく、より好ましくは、50〜100重量部である。複合粒子の含有量がこの範囲であれば、最外層を上記体積抵抗率の範囲に制御することが容易になると同時に、帯電部材のマイクロ硬度を後述する範囲に制御することが容易になるため、好ましい。
【0093】
上記最外層には、上記高分子化合物粒子や上記導電性粒子の他、本発明の効果を損なわない範囲で他の粒子を含有させることができる。
【0094】
かかる粒子としては、上記体積抵抗率が1×108Ω・cm以下の導電性粒子や、体積抵抗率が1×108Ω・cmを超える絶縁性粒子に分類して、以下に記載する。
【0095】
このような導電性粒子としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、銅、アルミニウム及びニッケル等の粒子を挙げることができる。
【0096】
絶縁性粒子としては、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。また、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭等も使用することができる。上記フェライトとしては、例えば、“電子材料シリーズフェライト”(丸善(株),平成9年10月10日発行,第5刷)等に記載されているフェライトを挙げることができ、具体的には、MnFe2O4、FeFe2O4、ZnFe2O4、MgFe2O4及びγ−Fe2O4等を例示することができる。上記活性炭としては、例えば、“新版活性炭−基礎と応用”((株)講談社,1992年10月20日発行,第2刷)等に記載されている活性炭等を挙げることができ、具体的には、木材系活性炭、ヤシ殻系活性炭、及び石炭系活性炭等を例示することができる。
【0097】
これらの粒子は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コーティング等を施したものでもよい。粒子の分散性を高めるために、粒子には表面処理を施すことが好ましい。
【0098】
このような表面処理としては、前述した表面処理の他に、脂肪酸、脂肪酸金属塩による表面処理を挙げることができる。かかる脂肪酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができ、炭素数12〜22のものが好ましい。脂肪酸金属塩としては、飽和又は不飽和の脂肪酸と金属との塩類を用いることができ、炭素数12〜18の脂肪酸とマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属及び亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、鉛、スズ等の金属との塩類を挙げることができる。
【0099】
上記表面処理剤の被覆量は、0.01〜15.0質量%が好ましい。この範囲内であれば、金属酸化物粒子に十分な分散性を付与することができる。より好ましくは0.02〜12.5質量%、更に好ましくは0.03〜10.0質量%である。
【0100】
上記最外層には、帯電部材の表面の離型性を向上させるために、離型剤を含有することが好ましい。最外層に離型剤を含有させることで、帯電部材の表面の汚れ付着を低減することができ、帯電部材の耐久性を向上させることができる。また、帯電部材と感光体との間での相対移動が滑らかになり、スティックスリップのような不規則な移動状態の発生を低減し、その結果、帯電部材の表面の不規則な摩耗の発生や異音の発生等を抑制することができる。離型剤が液体の場合は、最外層を形成するときにレベリング剤としても作用する。
【0101】
このような離型剤として、低表面エネルギーを有するもの、摺動性を有するものなどを利用することができ、その性状として、液体、固体のものを用いることができる。固体で摺動性を有するもの(固体潤滑剤)としては、例えば固体潤滑ハンドブック(発行所;株式会社幸書房、昭和57年3月15日発行の二版)に記載の物質、具体的には、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素及び一酸化鉛等の金属酸化物を挙げることができる。また、オイル状、あるいは固体状(離型性樹脂あるいはその粉末、ポリマーの一部に離形性を有する部位を導入したもの)の珪素やフッ素を分子内に含む化合物、ワックス、高級脂肪酸、その塩やエステル、その他誘導体を挙げることができる。
【0102】
上記最外層の厚さとしては、15〜100μmの厚さを有することが好ましい。より好ましくは、20〜80μmである。最外層の厚さが上記範囲であれば、帯電部材のマイクロ硬度を60〜98°の範囲内とすることが容易となり、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させるために形成する帯電部材表面の凹凸を、帯電部材表面全体に亘って、より均一に形成することが容易となる。上記最外層の膜厚は、作製した帯電部材をカッターナイフなどで切断し、層の断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡により観察し、その厚さを実測することにより求めることができる。
【0103】
上記被覆層として設けられる弾性被覆層としては、弾性を与えるためには、その結着材料として、上記最外層に用いられるバインダー成分として例示したゴムや熱可塑性エラストマー等のエラストマーを挙げることができる。その中でも、帯電部材と感光体との十分なニップを確保する観点から、ゴム、特には合成ゴムがより好ましい。
【0104】
合成ゴムの中でも、抵抗が均一であるという観点から、極性ゴムを用いるのが好ましい。極性ゴムとしては、NBR、エピクロルヒドリンゴムを挙げることができる。これは、弾性被覆層の抵抗制御及び硬度制御をより行い易いからである。
【0105】
エピクロルヒドリンゴムとしては、GECO(エチレンオキサイド(以下EOとも称す)−エピクロルヒドリン(以下EPとも称す)−アリルグリシジルエーテル(以下AGEとも称す)共重合体)やECO(エチレンオキサイド−エピクロルヒドリン共重合体)ではEOの共重合比率を変化させ、体積抵抗率を制御することが知られている。
【0106】
弾性被覆層の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で102〜108Ω・cmであることが好ましい。弾性被覆層の体積抵抗率をこの範囲とすることにより、帯電部材の帯電能力を十分発揮することができ、前述したCセット画像及び汚れ画像の発生をより抑制することが可能となる。
【0107】
弾性被覆層の体積抵抗率を上記範囲とするため、エピクロルヒドリンゴム中のエチレンオキサイドユニット含有量は55〜85mol%であることが好ましい。55mol%以上であれば上記体積抵抗値を満たすものとできる。
【0108】
弾性被覆層は硬度等を調整するため、軟化油、可塑剤等の添加剤や、上記の粒子を添加してもよい。
【0109】
弾性被覆層の体積抵抗率は、上記の結着材料中にカーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加し、調整することができる。
【0110】
エピクロルヒドリンゴム成分を使用する場合、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。ただし、エピクロルヒドリンゴム成分を使用する場合は、前述の通り、体積抵抗率はエチレンオキサイドユニット含有量によって大きく左右される。
【0111】
また、弾性被覆層に添加剤を用いる場合、添加剤のブリードアウト防止を強化する観点から、弾性被覆層と最外層との間に、1層又は2層以上の抵抗層を設けてもよい。抵抗層の体積抵抗率は、102Ω・cm以上1016Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が1016Ω・cm以下であれば、帯電部材に感光体を均一に帯電する機能を付与することができ、Cセット画像の顕在化を抑制することができる。一方、体積抵抗率が102Ω・cm以上であれば、感光体の表面のピンホールや傷等によるリークを防止することができる。抵抗層の体積抵抗率を調整は、抵抗層に1種又は2種以上の導電性粒子を含有させることにより行うことができる。
【0112】
本発明の被覆層として、設けられる最外層、弾性被覆層、抵抗層など各層には、最外層に含有される上記各種物質の他、種々な機能を付与する材料を適宜含有させることができる。このような材料としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール等の老化防止剤や、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤等を挙げることができる。
【0113】
また、上記被覆層を構成する各層表面は、表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理等を挙げることができる。
【0114】
上記被覆層の各層の形成は、例えば、予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆することによって行ってもよいし、静電スプレー塗布やディッピング塗布等の塗布法によって行ってもよい。また、押出成形によって大まかに層形成した後、研磨等によって層の形状を整える方法であってもよく、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。
【0115】
塗布法によって層を形成する場合、塗布液に用いる溶剤としては、結着材料を溶解することができる溶剤であればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類や、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類や、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類や、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を挙げることができる。
【0116】
粒子を被覆層材料に分散する方法としては、被覆層材料と粒子とを、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー又はスーパーミキサー等により混合する、あるいは、バンバリーミキサーや加圧ニーダー等で混合する等、公知の方法を用いることができる。
【0117】
また、塗布法によって層を形成する場合は、溶剤、被覆層材料及び粒子を混合し、前述のボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。
【0118】
本発明の帯電部材は、マイクロ硬度が60〜98°である。帯電部材のマイクロ硬度がこの範囲であれば、最外層に含有される上記高分子化合物粒子と相俟って、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、帯電部材の変形を抑制し、電子写真装置に使用されてCセット画像の発生を抑制し、トナーの融着や付着を抑制し、良好な画像を出力することができ、更には、帯電部材からの滲出物を抑制し、耐久性に優れたものとできる。帯電部材のマイクロ硬度は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%RH環境においてピークホールドモードで測定した値とすることができる。具体的には、帯電部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて帯電部材が転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から帯電部材の中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを帯電部材のゴム端部から30〜40mmの位置の両端部及び中央部のそれぞれ周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、得られた測定値の平均値をマイクロ硬度として採用することができる。
【0119】
また、本発明の帯電部材は、23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧を印加した際、流れる電流値C(μA)が、300≦C≦5000を満たすことが好ましい。被覆層が、23℃/50%RH環境下において102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の範囲の体積抵抗率を有することと相俟って、帯電部材全体として、23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧印加した際、電流値C(μA)が300≦C≦5000を満たすことで、感光体の帯電をより均一に行うことができ、Cセット画像の顕在化を抑制することができる。帯電部材の抵抗として、このような比較的低い範囲とすることで、感光体を帯電する際の放電を安定して行うことができるため、帯電部材のCセット変形や汚れが、電子写真装置により形成される画像に与える影響を、より小さくできるのではないかと考えられる。
【0120】
上記帯電部材に流れる電流値は、図11に示すように、口径30mmのSUS製の円筒電極131、固定抵抗器132、記録器(レコーダー)133および電源134などから構成された測定装置による測定値を採用することができる。具体的には、帯電部材がローラー形状である場合は、両端の導電性支持体部分に各500g、全体で1kgを荷重して円筒電極131に押圧し、帯電部材135および円筒電極131を従動回転させながら測定を行う。23℃/50%RH環境下で、電源134から200Vを回路に印加したとき、回路に流れる電流の測定値を電流値とする。帯電部材がシート形状あるいはベルト形状等である場合は、両端口径6mm(長さ15mm)中央部口径12mm(長さ228mm)のローラー形状であるSUS製電極を用意し、口径12mmの部分をベルトあるいはシート状の帯電部材で被覆し、上記ローラー形状の帯電部材と同様の方法で、測定した測定値を電流値とする。帯電部材と円筒電極との密着性が不十分な場合には、その間に導電性のグリースを塗布して密着性及び導電性を確保して測定することができる。
【0121】
本発明の帯電部材の形状は、ローラー形状が好ましいが、シート形状、ベルト形状、フィルム形状、板状等とすることもできる。ローラー形状の帯電部材としては、帯電部材と感光体との均一密着性を良好にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。円筒形状の帯電部材は、一般的に、支持体の両端部に所定の押圧力が与えられて感光体と当接することになり、押圧力が長手方向中央部において小さく、長手方向両端部にいくほど大きくなるため、中央部に対応する画像と両端部に対応する画像との間に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状はこのような濃度ムラを抑制することができる。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30〜200μmが好ましい。30μm以上であれば、端部が当接して中央部が当接しないという状態を免れることができ、200μm以下であれば、逆に、中央部は当接するが、端部が当接しないという状態を免れることができる。
【0122】
本発明の電子写真装置は、電子写真感光体と、上記帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有するものであれば、特に制限されるものではなく、一例として、図12の概略構成図に示す電子写真装置を挙げることができる。
【0123】
図12に示す電子写真装置には、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される円筒状の感光体1が設けられる。感光体1の表面に当接されて、ローラー形状の帯電部材3が設けられ、感光体の回転に伴い帯電部材が従動回転し、感光体表面が正又は負の所定電位に均一に帯電されるようになっている。帯電部材は直流電圧と交流電圧を重畳して印加されるものであっても、直流電圧のみが印加されるものであってもよいが、直流電圧のみが印加されるものが、電力消費量の低減、装置の小型化、オゾンの発生の抑制、装置の耐久性などの点から、好ましい。更に、回転する感光体表面を露光するスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)が設けられ、露光手段から出力される露光光(画像露光光)4Lを受けた感光体の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。感光体1の表面に形成された静電潜像を現像する現像手段5が設けられ、現像手段5により静電潜像に現像剤が供給され、トナー像が形成される。更に、トナー像を転写する転写手段6が設けられ、感光体表面に形成されたトナー像が、転写手段(転写ローラー等)からの転写バイアス電源によって、感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期して供給された紙等の転写材Pに順次転写されていく。転写材上に転写されたトナー像を転写材に定着する加熱手段などを備えた定着手段8が設けられ、トナー像が定着された画像形成物(プリント、コピー)が装置外へプリントアウトされるようになっている。更に、クリーニングブレード等のクリーニング手段7が設けられ、トナー像転写後の感光体が表面から転写残りの現像剤が除去され、清浄面化された後、繰り返し画像形成に使用される。また、感光体1の表面をクリーニング手段7によって清浄面化した後、帯電部材3による帯電の前に露光光などにより感光体の表面の除電処理を行なう除電手段が設けられていてもよい。
【0124】
本発明の電子写真装置の他の実施例として、図13の概略構成図に示す電子写真装置を挙げることができる。
【0125】
図13に示す電子写真装置には、直径24mmなどの円筒状の感光体151が設けられこの感光体151は、矢印方向に、120mm/sなどのプロセススピードで回転駆動する。感光体151に、例えば、一端で0.5kg重、両端で合計1kg重のバネによる押圧力で、接触、当接される帯電部材である帯電ローラー153が設けられ、帯電ローラーは感光体151の回転に対して順方向に回転するようになっている。帯電ローラーには直流電圧のみを印加する電源S1が接続され、帯電ローラー153に、電源S1から、例えば、−1000Vの直流電圧が印加されることで、感光体151の表面が−400Vに帯電(接触帯電)されるようになっている。
【0126】
電子写真装置には、レーザービームスキャナーなどの露光手段154が設けられ、帯電ローラー153により−400V(暗部電位)に帯電された感光体151の表面に、レーザービームスキャナー154により目的の画像情報に対応した露光(画像露光)光154Lが照射されることにより、感光体の表面の電位−400Vが選択的に−150V(明部電位)に減衰して、感光体151の表面に静電潜像が形成される。
【0127】
感光体151の周囲には、更に、現像手段155が設けられる。現像手段155には、トナー(現像剤)を収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体155aと、収容されているトナーを撹拌する撹拌部材155bと、トナー担持体155aのトナーの担持量(トナー層厚)を調整するトナー規制部材155cとが設けられる。現像手段155において、感光体151の表面に形成された静電潜像の明部電位部に、−350V(現像バイアス)に帯電しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて、静電潜像がトナー像として可視化される。この電子写真装置においては、トナー担持体155aは、感光体と接触しているか、又は、担持するトナーを介して感光体と接触した状態となっている、接触現像方式が採用されている。このため、トナー担持体155aは、接触安定性の確保という点から、導電性支持体上に導電性を付与した、ゴム製などの弾性被覆層を設けた現像ローラーであることが好ましい。弾性被覆層には弾性材料として発泡体を用いてもよいし、また、弾性被覆層上に別途層を設けたり、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理等の表面処理を施したりしてもよい。
【0128】
更に、転写ローラーなどの転写手段156が設けられる。転写ローラー156は、導電性支持体上に中抵抗に調整された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラーであって、感光体151に所定の押圧力で転写ニップ部を有して接触するように配置され、転写ローラーは感光体151の回転と順方向に感光体151の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転するようになっている。また、転写ローラーには、電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されるようになっている。この転写ニップ部に、給紙機構部(図示せず)から所定のタイミングで供給される転写材Pの裏面に、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加された転写ローラー156が押圧されると、トナー像が感光体151表面から転写材Pの表面に静電転写される。
【0129】
更に、定着手段(図示せず)が設けられ、転写材P上に転写されたトナー像が、加熱などにより転写材P上に定着され、トナー像が定着された転写材Pが画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が再循環搬送機機構(図示せず)に導入されて転写ニップ部へ再導入されるようになっている。
【0130】
更に、クリーニングブレードなどを備えたクリーニング手段(図示せず)が設けられ、感光体151の表面の転写残りのトナーが、クリーニング手段によって回収された後、感光体151は再び画像形成状態となり、上記操作が反復されるようになっている。
【0131】
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、上記帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であるものであれば、特に制限されるものではない。一例として、上記図12に示す電子写真装置の、感光体1、帯電部材3、現像手段5、転写手段6及びクリーニング手段7等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めて一体とし、電子写真装置本体のレール等の案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在としたプロセスカートリッジ9を挙げることができる。このプロセスカートリッジは、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成したものである。
【0132】
上記感光体1としては、例えば、円筒状の導電性支持体と、該支持体上に形成された無機感光材料及び/又は有機感光材料を含有する感光層とを有し、感光体の表面を所定の極性、電位に帯電させるための電荷注入層を更に有するものとすることができる。
【0133】
上記現像手段3としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式、及び磁気ブラシ方式等を採用することができる。フルカラー画像などのカラー画像を出力する電子写真装置の場合は、トナーの飛散を抑制するため、接触現像方式であることが好ましい。
【実施例】
【0134】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[複合粒子の作製]
金属酸化物系粒子としてのシリカ粒子(平均粒子径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0135】
次に、カーボンブラック粒子(粒子径15nm、体積抵抗率2.0×102Ω・cm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合粒子を得た。この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0136】
得られた複合粒子は、平均粒径が15nm、体積抵抗率は1.2×102Ω・cmであった。
[酸化チタン粒子の作製]
針状ルチル型酸化チタン粒子(平均粒径15nm、縦:横=3:1)、体積抵抗率5.2×1010Ω・cm)1000g、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110g、溶媒としてトルエン3000gを配合してスラリーを調製した。
【0137】
このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0138】
湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の粒子は、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕した。
[帯電部材の作製]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製芯金を導電性支持体として使用した。これに、熱硬化性接着剤(メタロックU−20 東洋化学研究所製)を塗布し、乾燥した。
【0139】
次に、エピクロルヒドリンゴム三元共重合体(エチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)=56mol%/40mol%/4mol%)100質量部、炭酸カルシウム45質量部、脂肪族ポリエステル系可塑剤5質量部、ステアリン酸亜鉛1質量部、2−メルカプトベンズイミダゾール(MB)(老化防止剤)0.5質量部、酸化亜鉛5質量部、四級アンモニウム塩2質量部、及び、カーボンブラック(平均粒径:50nm、体積抵抗率:0.1Ω・cm)5質量部を、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
【0140】
この原料コンパウンドに、上記エピクロルヒドリンゴム三元共重合体に対して1質量%の硫黄(加硫剤)、1質量%のジベンゾチアジルスルフィド(DM)(加硫促進剤)及び0.5質量%のテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性被覆層用コンパウンドを得た。
【0141】
接着剤を塗布した導電性支持体上に、この弾性被覆層用コンパウンドを押出成型機にて押し出し、外径が約10mmのローラー形状になるように成型し、次いで、電気オーブンの中で160℃で1時間、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラー形状になるように表面の研磨加工を行って、導電性支持体上に弾性被覆層を形成した。このときクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmとした。
【0142】
続いて、カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業(株)製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が15質量%となるように調整した。
【0143】
この溶液666.6質量部に対して、上記アクリルポリオール溶液の固形分100質量部に対して、
前記複合粒子 70質量部
前記酸化チタン粒子 20質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.08質量部
(商品名;SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3の混合物
80.14質量部
を入れ混合溶液を調整した。
【0144】
このとき、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=1.0」となるように添加した。HDIとIPDIについては、HDI(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)、IPDI(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)を使用した。
【0145】
450mLのガラス瓶に上記混合溶液251.11gと、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gを混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて48時間分散した。分散後、高分子化合物粒子である架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(平均粒径:8.0μm、体積抵抗率:1.0×1015Ω・cm)9質量部(バインダー100重量部に対して30重量部相当量)を添加した後、更に1時間分散して分散溶液を得た。高分子化合物粒子の物性等については、表1に示す。
【0146】
この表面被覆層用塗布液を、弾性被覆層上に1回ディッピング塗布し、常温で30分間以上風乾し、次いで80℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥し、更に160℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、弾性被覆層上に表面被覆層を形成した。ディッピング塗布浸漬時間は9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度が20mm/s、最終速度は2mm/sになるように調節し、20mm/sから2mm/sの間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0147】
このようにして、導電性支持体上に弾性被覆層及び最外層をこの順に有する帯電部材を作製した。
【0148】
得られた帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
[Cセット変形量の測定]
帯電部材のCセット変形量を測定した。
【0149】
帯電部材がローラー状の帯電ローラーである場合、導電性支持体を軸として、ローラーの半径を測定し、当接部でもっとも変形している部分と当接していない部分の半径の差をもって、Cセット変形量とした。測定は、東京光電子工業(株)の全自動ローラー測定装置を用い、帯電ローラーを1°ずつ回転させ360°測定を行った。当接部の半径でもっとも小さい値と、当接していない部分の半径との差をもってCセット変形量とした。本測定をローラー長手中央部と中央部から90mmの位置の3点で測定し、最も大きな変形量を、帯電部材の変形量とした。
【0150】
また、帯電部材が、シート状、ベルト状、板状等である場合には、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用いて行った。詳しくは、本測定器により、JIS B0601表面粗さの規格における10点平均表面粗さの測定と同条件で、当接部が測定できるように8mmの長さを測定し、当接部で最も変形している部分と、当接していない部分との差をもって、Cセット変形量とした。本測定を帯電部材長手中央部と中央部から90mmの位置の3点で行い、最も大きな変形量を、帯電部材の変形量とした。Cセット変形量の結果を表3に示す。
[Cセット画像評価]
作製した帯電部材を、直径24mmの電子写真感光体ドラムに、一端で0.5kg重、両端で合計1kg重のバネによる押し圧力で当接させ、40℃/95%RH環境に1ヶ月間放置した。
【0151】
40℃/95%RH環境に1ヶ月間放置後は、前記環境から感光体ドラムと当接した状態で、帯電部材を取り出し、23℃/50%RH環境に6時間放置した。その後、帯電部材を、図12に示す構成の電子写真装置(帯電部材には直流電圧−1000Vのみを印加)に装着し、23℃/50%RH環境下において、ハーフトーン画像を出力し、その出力画像におけるCセット画像を評価した。
【0152】
40℃/95%RH環境は、通常の電子写真装置の使用環境より、温度・湿度ともに高く、帯電部材の変形量が大きくなる。従って、この条件下でCセット画像が発生しなければ、長期に亘ってCセットに関する問題が発生しないということができる。
【0153】
帯電部材による帯電後の電子写真感光体の表面電位(暗部電位)VDは−400Vとなるように調節した。また、プロセススピードは120mm/sとした。
【0154】
出力画像の評価は以下の基準により画像ランクとして行った。結果を表3に示す。
【0155】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状の画像欠陥がある
ランク4:スジの画像欠陥が目立つ
[感光体へのブルーム評価]
ブルームの評価は、上記と同様の条件下で帯電部材と感光体とを当接、放置後、当接した感光体だけを新品の帯電部材Cローラと組み合わせて上記の条件で画像出力を行い、以下の基準により行った。ブルームが発生している場合は、感光体周期で、スジが発生する。
結果を表3に示す。
【0156】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状の画像欠陥がある
ランク4:スジの画像欠陥が目立つ
[耐久画像評価]
作製した帯電部材を図12に示す構成の電子写真装置(帯電部材には直流電圧のみ印加するもの)に装着し、低温低湿15℃/10%RH環境、23℃/50%RH環境、30℃/80%RH環境下において各々耐久評価を行った。1枚画像を出力すると電子写真装置の回転を停止させた後、また画像形成動作を再開するという動作を繰り返し(E文字1%印字画像を間欠耐久)、20000枚の画像出力耐久試験を行った。耐久試験中はプロセススピードを120mm/sに設定し、耐久試験中、10000枚目および20000枚目の出力画像について評価を行った。ハーフトーン画像を用い、その出力画像を、以下の基準により評価した。結果を表3に示す。
【0157】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状、ポチ状の画像欠陥がある
ランク4:スジ状、ポチ状の画像欠陥が目立つ
[実施例2〜13]
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液の固形分の質量%、導電性粒子(複合粒子)の添加質量部数、高分子化合物粒子の物性及び添加質量部数、高分子化合物粒子を添加する前のペイントシェーカー分散時間を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。表1の質量部は前記アクリルポリオールの固形分100質量部に対しての質量部である。前記ポリオール固形分を変更した場合は、粒子等の添加質量部は表1になるように調整した。また、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3の混合物の添加質量部も、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=1.0」となるように調整して添加した。更に、最外層作成時には、膜厚が表2となるように、ディッピング塗布引き上げ速度の調整を行った。引き上げ速度を早くすると膜厚は上昇し、遅くすると減少することが検討よりわかっている。従って、目的の膜厚を得るために、初期速度及び最終速度の変更を行った。初期速度と最終速度の間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0158】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0159】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例14〜16]
高分子化合物粒子の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。
【0160】
実施例14は架橋スチレン樹脂粒子、実施例15はシリコン樹脂粒子、実施例16はウレタン樹脂粒子を用いた。
【0161】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0162】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例17、18]
高分子化合物粒子の種類を表1に示すように2種類に変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。高分子化合物粒子1種類につき添加質量部の半分ずつを添加した。
実施例17及び18では、ウレタン樹脂粒子を使用した。
【0163】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0164】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例19]
前記酸化チタンを添加しない点の外は、ほぼ実施例18と同様に帯電部材を作製した。その他変更した条件については、表1に示している。帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0165】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例20〜23]
導電性粒子をカーボンブラック粒子(粒子径20nm、体積抵抗率1.5×102Ω・cm)に変更し、高分子化合物粒子を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。
【0166】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0167】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[比較例1、2、5〜8]
実施例20と同様に帯電部材を作製した。高分子化合物粒子を添加する場合は、表1に高分子化合物粒子の物性等を示している。高分子化合物粒子を添加しない場合は、表1への高分子化合物粒子の種類を不記入とした。
【0168】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0169】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[比較例3、4]
導電性粒子を実施例1と同様の複合粒子とした以外は、比較例1と同様に帯電部材を作製した。
【0170】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0171】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
結果からも、本発明の帯電部材においては、帯電部材の変位が抑制され、画像汚れがなく、耐久性に優れ、感光体へのブルームも抑制できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図2】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図3】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図4】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図5】本発明の帯電部材の一例の板状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図6】本発明の帯電部材の一例の板状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図7】本発明の帯電部材の一例のベルト状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図8】本発明の帯電部材の一例のベルト状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図9】本発明の帯電部材の一例に含まれる高分子化合物粒子の特性を示す図である。
【図10】本発明の帯電部材の一例に含まれる複合粒子の概略構成図を示す図である。
【図11】本発明の帯電部材の電流値を測定するための装置の構成を示す図である。
【図12】本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の一例の概略構成を示す図である。
【図13】本発明の電子写真装置の一例の概略構成図を示す図である。
【符号の説明】
【0177】
a、a1、a2 支持体
b、b1、b2 弾性被覆層
c、c1、c2 最外層
d 抵抗層
e 抵抗層
1 感光体
2 軸
3 帯電部材(帯電ローラー)
4L 露光光(画像露光光)
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
131 円筒電極
132 固定抵抗器
133 記録器(レコーダー)
134 電源
135 帯電部材
P 転写材
151 感光体
153 帯電ローラー
154 レーザービームスキャナー
154L 露光光
155 現像装置
155a トナー担持体
155b 撹拌部材
155c トナー規制部材
156 転写ローラー
S1 電源
S2 電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、より詳しくは、オゾンの発生を抑制し、高電圧印加条件下でも耐久性に優れた帯電部材や、これを用いて良好な画像が得られるプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置、いわゆる電子写真装置は、電子写真感光体、感光体を帯電するための帯電手段、帯電された感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段を有する。更に、電子写真装置は、感光体表面に形成された静電潜像に現像剤を供給する現像手段及び現像剤を記録材上に転写する転写手段、転写された現像剤を記録材に定着して記録材に画像を形成する定着手段が設けられたものが一般的である。
【0003】
このような電子写真装置における帯電手段としては、電子写真感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に、直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することによって感光体の表面を帯電する方式のものが多く採用されている。
【0004】
帯電部材に印加する電圧として、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を採用した場合、交流電源が必要となって電子写真装置の大型化やコストアップを招いたり、電力消費量が増加する。また、交流電流の使用によるオゾン等の多量発生によって帯電部材や電子写真感光体の耐久性が低下したりする。かかる観点からは、帯電部材への印加電圧は直流電圧のみであることが好ましい。
【0005】
また、被帯電体である感光体の帯電の安定性、オゾン発生の低減、あるいは、低コスト化という観点から、接触式の帯電手段が多用されている。このような接触式の帯電手段の場合、帯電部材は、停止時においても、例えば、バネ等の押圧力により感光体に当接した状態に設置され、作動時において、停止時の配置で感光体に従動回転するようになっている場合が多い。
【0006】
電子写真装置や、これら電子写真装置の中心部分を収めた、いわゆるカートリッジ等の製品が製造されてからユーザーが初めて使用するまで、帯電部材が感光体の一定の位置にバネ等の押圧力で当接された状態が数週間から数年など長期に亘り継続することもあり得る。また、ユーザーが電子写真装置を長期に亘って使用しない場合は、当然、帯電部材が感光体の一定の位置に当接された状態が長期に亘り継続することになる。このように電子写真装置が長期間駆動されない場合、感光体と帯電部材との当接部では帯電部材が変形し、当初の形状に復元せず、圧縮永久歪みによる変形やへたり、いわゆるCセットが発生することがある。帯電部材にCセットが発生した電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、ハーフトーン画像を出力した際、長手方向の横黒スジ及び/又は横白スジ(Cセット画像)となって現れる。これは、帯電部材の帯電ムラによるものであることが明らかにされている。
【0007】
帯電部材の変形(Cセット)を抑制するためには、帯電部材自体を硬くするという方法、例えば、帯電部材の表面のマイクロ硬度が80゜以下の硬度の大きい帯電部材を用いる方法が報告されている(特許文献1、2)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、これらの帯電部材の変形量は20μm程度と大きく、例えば前記したような、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとしたような状況においては、Cセットの改善を十分には図ることができなかった。このようなCセットの発生に伴い、感光体やこれを介して帯電部材にトナー融着または付着が発生し、経時に伴い融着、または付着トナーが蓄積される。そして、トナーの融着、付着した帯電部材を用いた電子写真装置により画像形成を行うと、白ポチや黒ポチ、あるいはスジ状の画像不良(汚れ画像)が発生する。
【0008】
このような汚れ画像を抑制するためには、帯電部材の硬度を低くすることが好ましいことが報告されている(特許文献3、4)。
【0009】
また、帯電ローラの中間層が表面層形成用塗工液の溶剤に可溶性の樹脂組成物からなり、表面層が膜厚300μm以上での硬度が80〜95度の溶剤可溶性フッ素系樹脂組成物をベースとし、膜厚が10μm以下である帯電ローラが報告されている(特許文献5)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記帯電ローラを用いた電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとし、画像形成枚数を増加させた場合、トナー付着による汚れ画像が発生し、Cセット画像が発生してしまった。
【0010】
また、1kg荷重時のアスカーC硬度が48度以下で、且つ33.85g荷重時のマイクロゴム硬度が65〜85度である帯電ロールが報告されている(特許文献6)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記帯電ローラを用いた電子写真装置により画像形成を行うと、例えば、帯電部材への印加電圧を直流電圧のみとし、画像形成枚数を増加させた場合、トナー付着による汚れ画像が発生し、Cセット画像が発生してしまった。
【0011】
また、近年、電子写真装置に対して、より一層の高速化、高画質化及び耐久性に優れることの要請が高まっている。これらの要請を満たすためには、当接部の変形(Cセット)や、画像不良を招く帯電部材へのトナー付着に対し、より高度な対応を強いられている。Cセット画像及び汚れ画像は、帯電部材の印加電圧を直流電圧のみの電圧とした場合において、特に発生し易いことも明らかとなった。帯電部材への印加電圧が直流電圧のみの場合、帯電部材の耐久性の向上を図り、Cセット画像と汚れ画像の発生を抑制するのは、非常に困難である。
【特許文献1】特開平10−293438号公報
【特許文献2】特開平11−084821号公報
【特許文献3】特開平08−152763号公報
【特許文献4】特開2000−291634号公報
【特許文献5】特開2002−251053号公報
【特許文献6】特開平09−258524号公報
【特許文献7】特開平04−303860号公報
【特許文献8】特開2004−109688号公報
【特許文献9】特開2005−165213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、変形の発生を抑制できる帯電部材を提供することにある。更に、本発明の課題は、電子写真装置に使用されてトナーの融着や付着を抑制し、Cセット画像や汚れ画像を抑制した良好な画像を出力することができる耐久性に優れた帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供することにある。更に、本発明の課題は、電子写真装置の大型化や消費電力の増大を抑制し、オゾンの発生を抑制できる帯電部材や、これを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来、帯電部材は比較的柔らかいとされる領域の硬度を有することが好ましいとされていた。これは、帯電部材の硬度が大きいと、感光体との当接不良や、スリップにより正確な従動回転がされない等の弊害が生じ易い。更に、この弊害に起因して感光体が均一に帯電されないことにより、紙等の記録材に転写されずに感光体上にトナー成分が残留し、この残留トナー成分が帯電部材に押しつぶされ、帯電部材表面に汚れとなって付着する。このため、汚れ画像が発生し、帯電部材の耐久性が低下するという弊害が発生する。特に、接触帯電方式を用いる場合にこの傾向が強いとされている。
【0014】
本発明者らは比較的硬度が高い帯電部材について検討を行った。マイクロ硬度が60°以上の帯電部材は、Cセット量はある程度小さいものの、汚れ画像が発生する場合が多いことを確認した。また、このマイクロ硬度領域の帯電部材総てがCセット画像の発生を免れ得るわけではないことも確認した。本発明者らは、Cセット量が小さくても、帯電部材の放電状態を制御しなければ、汚れ画像が発生してしまうのではないかと考えた。
【0015】
本発明者らは、帯電部材として、マイクロ硬度を60〜98°を有するものを選択した。98°を超える範囲では金属のように非常に硬く、感光体との当接不良によるトナー付着等による汚れ画像が発生するからである。そして、マイクロ硬度60〜98°の高硬度を有する帯電部材において、最外層に特定の粒子径を有する高分子化合物粒子をバインダーと共に含有させ、その表面状態を特定のものとすることにより、Cセットの発生を抑制し、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像と汚れ画像の発生を同時に抑制することができることの知見を得た。
【0016】
かかる最外層に含まれる高分子化合物粒子が、平均粒子径として2.5〜50μmを有する場合、帯電部材表面に微小の凹凸を形成させ、帯電部材が感光体とその表面の凸部の上部で点状に接触した状態で当接する。このため、帯電部材において、感光体との接触が面状である場合と比較して、トナー汚れを顕著に抑制することができることの知見を得た。また、帯電部材を感光体に点状に接触した状態で当接させるためには、帯電部材のマイクロ硬度は、上記の範囲であることが必要であることの知見を得た。硬度が前述した範囲外、特に60°未満になると、帯電部材がその表面に凹凸を有するものの、感光体との当接部では表面の凹凸がつぶされてしまい、接触面を点状とすることが困難であることが分かった。
【0017】
また、帯電部材がその表面の凸部の上部において感光体と点状に接触することにより、Cセットの発生を抑制できることの知見を得た。感光体との面接触により当接していた従来の高分子化合物粒子を含有しない帯電部材においては、Cセットが長手方向の全長に亘って発生していた。これに対し、高分子化合物粒子を含有する帯電部材においては、感光体と点状に接触するため、凸部が受ける圧力による歪を凹部において吸収することができ、帯電部材におけるCセットの発生を抑制できることの知見を得た。更に、表面に存在する高分子化合物粒子により形成される凸部が変形を生じた場合であっても、バインダーの変形を抑制することができ、Cセット画像の顕在化を抑制できることの知見を得た。これにより、帯電部材におけるマイクロ硬度の下限を60°に低減し、感光体との当接面積を拡張し、感光体表面のより均一な帯電を行うための接触面積を確保することができることを見い出した。
【0018】
また、本発明者らは、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材における最外層に含まれる高分子化合物粒子が、平均粒子径(Bμm)として、式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすものが、CセットやCセット画像の発生を抑制することができることを見い出した。
【0019】
更に、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材を感光体に接触配置して使用する場合、マイクロ硬度が60°未満の帯電部材と比較して、感光体にブルーム現象が生じやすいということが確認されていた。これは、帯電部材が高硬度であると、感光体と帯電部材との当接面積が縮小され、当接圧力が大きくなるために、帯電部材からの滲出物が多量となり、ブルームとなって感光体に付着することが考えられる。特定の高分子化合物粒子を含有する最外層を有する帯電部材とすることにより、ブルーム現象を抑制できることの知見を得た。これは、表面に微小の凹凸を有する帯電部材が、感光体と点状接触により当接することにより、接触面積が当接面積より縮小するにも拘わらず、表面の凹凸が圧力を吸収しバインダー部分に負荷される圧力が低減されるためと考えられる。また、バインダー部分の滲出が生じた場合であっても、凹部に収容され感光体のブルーム現象を抑制することができると考察することができる。かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0020】
なお、高分子化合物粒子を含有する帯電部材が特許文献7〜9に記載されているが、いずれも、本発明者らが求める特性を有するものではない。帯電部材において高分子化合物粒子を含有するものの、帯電部材と感光体との接触を点状として当接することができていないためではないかと考察することができる。
【0021】
すなわち、本発明は、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする帯電部材や、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすことを特徴とする帯電部材に関する。
【0022】
また、本発明は、電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジや、電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の帯電部材は、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、その変形のCセットを抑制し、感光体のブルーム現象を抑制することができ、更に、電子写真装置の大型化や消費電力の増大を抑制し、オゾンの発生を抑制できる。かかる帯電部材を用いた本発明のプロセスカートリッジや電子写真装置は、トナーの融着や付着を抑制し、Cセット画像や汚れ画像などを抑制し、良好な画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の帯電部材は、導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする。
【0025】
本発明の帯電部材に用いられる導電性支持体は、導電性を有し、感光体表面を所定の静電量に帯電できるように、その上に積層して設けられる被覆層、最外層を密着支持する機能を有するものであればいずれであってもよい。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。導電性支持体の形状は、帯電部材の形状を定めるものであって、例えば、円筒、円柱、平板状、ブレード状、ベルト状、シート形状、フィルム形状等などを挙げることができる。
【0026】
本発明の帯電部材に用いられる被覆層は、導電性支持体上に設けられ、感光体表面を均一に帯電できるように、帯電部材に導電性、弾性などを付与するために設けられる。かかる被覆層としては少なくとも最外層を含有し、必要に応じて諸機能を有する、導電性被覆層、弾性被覆層など2層以上設けることができる。例えば、ローラー形状の導電性支持体a上に形成された被覆層として、図1に示すように、最外層cの1層を有するもの、図2に示すように、弾性被覆層bと、弾性被覆層b上に形成された最外層cの2層を有するもの、図3に示すように、弾性被覆層b、抵抗層d、最外層cの3層を有するもの、図4に示すように、弾性被覆層b、抵抗層d、第2の抵抗層e、最外層cの4層を有するものなどを挙げることができる。また、平板形状の導電性支持体a1上に形成された被覆層として、図5に示すように、最外層c1の1層を有するもの、図6に示すように、弾性被覆層b1と、弾性被覆層b1上に形成された最外層c1の2層を有するもの、ベルト形状の導電性支持体a2上に形成された被覆層として、図7に示すように、最外層c2の1層を有するもの、図8に示すように、弾性被覆層b2と、弾性被覆層b2上に形成された最外層c2の2層を有するものなどを例示することができる。
【0027】
上記被覆層は、放電により感光体を帯電させる帯電部材の機能を発揮するため、帯電部材の体積抵抗率を制御するという観点から、被覆層全体として所定の体積抵抗率を有することが好ましい。具体的には、被覆層全体として、23℃/50%RH環境下で102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の体積抵抗率を有すると、感光体の帯電をより均一に行うことができ、Cセットが生じていた場合であっても、その顕在化を抑制できるため、好ましい。
【0028】
ここで被覆層等の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Hiresta−UPを用い、測定対象試料に250Vの電圧を30秒間印加したときの測定値とすることができる。被覆層がゴムや樹脂等の固形である場合の体積抵抗率の測定ついては、固形材料を用いて2mm厚の膜を成形し、これを測定対象試料とすることができる。溶液を塗布して形成する被覆層の体積抵抗率の測定については、塗布液をアルミニウムシート上にコーティングし、これを測定対象試料とすることができる。
【0029】
本発明の帯電部材における被覆層の最外層は、十点平均表面粗さ(Rzjis)として、3≦Rzjis≦40、表面凹凸平均間隔(RSm)として、20≦RSm≦80を満たすことが好ましい。帯電部材の表面粗さ、凹凸平均間隔を上記の範囲とすることにより、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させることができる。これにより、Cセットの発生の抑制、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像の発生を抑制することができる。
【0030】
ここで、十点平均表面粗さ、表面凹凸平均間隔は、JISB0601表面粗さの規格に準じて測定した測定値である。その測定は、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用いて行うことができる。十点平均表面粗さは、具体的には、帯電部材の無作為の6点における10点平均表面粗さを上記測定器により測定し、その6点の平均値を用いる。また、表面凹凸平均間隔(RSm)も、具体的には、十点平均表面粗さ(Rz)と同様に、帯電部材の無作為の6点における10点凹凸平均間隔を上記測定器により測定し、その6点の平均値を用いる。
【0031】
上記表面凹凸形状を有する最外層は、バインダーと高分子化合物粒子を含有するものである。最外層に用いるバインダーとしては、種々のバインダーとして用いられている公知のバインダーを採用することができ、例えば、樹脂、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムなどのゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマー等を挙げることができる。
【0032】
上記樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等を挙げることができる。
【0033】
上記合成ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴム等を挙げることができる。
【0034】
上記熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0035】
これらは、単独で用いてもよいし、混合又は共重合体として2種以上用いてもよい。これらの中で、最外層に用いるバインダーとしては、感光体やその他の部材を汚染しないように、離型性の高い点から、樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
最外層に用いる高分子化合物粒子は、平均粒径として2.5〜50μmを有するものであれば、特に制限されるものではない。高分子化合物粒子の平均粒径が2.5μm以上であれば、帯電部材と感光体とを点状接触により当接させることができ、電子写真装置による画像形成においてCセット画像を抑制することができる。一方、高分子化合物粒子の平均粒径が50μm以下であれば、表面の凹凸形状に拘わらず、感光体を均一に帯電することができ、電子写真装置による画像形成において画像上白ポチや黒ポチの発生を抑制することができる。
【0037】
また、高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として、マイクロ硬度(A°)とするとき、式(1)
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
を満たすものであってもよい。高分子化合物粒子の平均粒子径Bがマイクロ硬度(A)との関連において、式(1)を満たす場合、図9に示す斜線部に相当する。帯電部材と感光体とを点状接触により当接させることができ、電子写真装置による画像形成においてCセット画像を抑制することができ、感光体を均一に帯電することができ、電子写真装置による画像形成において画像上白ポチや黒ポチの発生を抑制することができる。
【0038】
このような高分子化合物粒子は、その平均粒径をB(μm)としたとき、B/10(μm)を超えて7B(μm)以下の粒径分布範囲を有することが好ましく、より好ましくは、B/5(μm)を超えて5B以下である。粒径分布がこの範囲内であれば、帯電部材表面の凹凸を、感光体と点状接触により当接するように、帯電部材表面全体に亘ってより均一に設けることが容易になり、Cセットの発生、Cセット画像の発生を抑制できる。
【0039】
ここで、高分子化合物粒子の平均粒径は、二次凝集した粒子を除いた1次粒子のみを透過型電子顕微鏡(TEM)にて100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒径を求め、それを平均粒径として求めることができる。上記粒度分布は、この体積平均粒子径としての分布である。
【0040】
また、上記高分子化合物粒子は、円形度0.9以上の粒子の割合が80%以上であることがより好ましい。円形度0.9以上の粒子を個数にして80%以上含むことより、感光体と帯電部材を点状接触により当接させる凹凸を、帯電部材表面全面に亘って均一に形成することが容易になり、上記効果を顕著に奏するものとできる。
【0041】
上記高分子化合物粒子の円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として一般的に用いられているものであり、フロー式粒子像分析装置による粒子形状を検出し、粒子形状から式(2)により求めることができる。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された樹脂粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは樹脂粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。本発明の高分子化合物粒子の円形度は、東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置(FPIA−1000)を用いて粒子形状を測定し、各粒子の円形度を算出した後、算出値から各粒子を、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満、・・・、0.990以上1.000未満及び1.000の61分割した分割範囲に分類し、各分割範囲に属する粒子数を求め、粒子全体の平均値として算出した値である。かかる円形度は、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0044】
上記粒子の円形度の具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤を加えた後、測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子として5mm口径のチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならないように適宜冷却する。その後、樹脂粒子の形状測定を行う。上記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時の樹脂粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように分散液濃度を再調整し樹脂粒子を1000個以上計測する方法を挙げることができる。
【0045】
このような高分子化合物粒子の材質としては、例えば、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、及び、これらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0046】
これらの高分子化合物の中で、粒子としたとき、比較的硬度が高く変形しにくく、帯電部材を感光体に点状に接触して当接でき、Cセット変形量を抑制することができることから、樹脂材料が好ましく、特には、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などが好ましい。
【0047】
本発明の帯電部材の最外層においては、上記バインダー100重量部に対して、上記高分子化合物粒子を10〜100重量部含有することが好ましく、より好ましくは、20〜80重量部である。高分子化合物粒子の含有量を上記範囲とすることにより、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させるために形成する帯電部材表面の凹凸を、帯電部材表面全体に亘って、より均一に形成することが容易となる。これにより、帯電部材におけるCセットの発生を抑制し、電子写真装置により形成される画像においてCセット画像の発生を抑制することができる。
【0048】
最外層には、被覆層が上記体積抵抗率を有するものとするために、導電性粒子を含有させることが好ましい。最外層に含有させる導電性粒子としては、被覆層を上記体積抵抗率を有するものとするため、体積抵抗率が1×108Ω・cm未満の粒子が好ましい。
【0049】
ここで粒子の体積抵抗率は、粒子が絶縁性領域である場合は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Hiresta−UPを用い、測定対象試料の抵抗に合わせた電圧(測定する抵抗領域によって好適な印加電圧が異なる)を印加したときの測定値とすることができる。また、導電性領域の粒子の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で、三菱化学(株)製の抵抗測定装置Loresta−GPを用い、測定対象試料に10Vの電圧を印加したときの測定値とすることができる。
【0050】
測定対象試料の使用量としては、粒子の密度等を考慮して適宜選択することが好ましく、例えば、後述するカーボンブラックの場合は、0.5gを用い、10.1MPa(102kgf/cm2)の圧力をかけて圧縮したものを測定対象試料とすることができる。
【0051】
かかる導電性粒子としては、金属酸化物系導電性粒子、金属系導電性粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性粒子等を挙げることができる。これらの中でも、カーボンブラックは、ゴム、樹脂、エラストマー等のバインダーに含有させると、補強性を発揮することから、帯電部材のマイクロ硬度を高く維持するために、好都合な導電性粒子である。このようなカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0052】
カーボンブラックは、バインダー100重量部に対して、20〜100重量部含有していることが好ましい。カーボングラックの含有量がこの範囲であると、帯電部材に所定の体積抵抗率を付与することができると共に、所定の硬度を付与することがより容易になる。
【0053】
さらに、カーボンブラックは金属酸化物系粒子にカーボンブラックを被覆した複合粒子として使用することが好ましい。カーボンブラックは、粒子が数珠状につらなっているため、バインダーに対して、均一に存在させることが困難な傾向にある。導電性のカーボンブラックがバインダー中に偏在すると、帯電部材の体積抵抗率の制御が困難となり、その部分に体積抵抗率の低下による過剰放電が生じ、ポチ状の帯電不良となって、電子写真装置により形成される画像に悪影響を及ぼし兼ねない。このため、カーボンブラックを金属酸化物に被覆した複合粒子として使用することにより、導電性粒子をバインダーへ均一に分散させることができ、体積抵抗率制御及びマイクロ硬度制御をより容易に行うことができる。
【0054】
上記複合粒子は、図10に示すように、コア粒子301と被覆層303からなり、コア粒子に一般的にバインダーへの分散性がよい金属酸化物又は複合金属酸化物などの金属酸化物系粒子を用いることにより、バインダーに対して容易に均一に分散させることができる。金属酸化物は粒子径を小さく制御しやすいため、複合粒子の粒子径をより小径とすることができるため、好ましい。このような複合粒子は、カーボンブラックの炭素骨格構造ではなく、小径粒子構造を有し、導電性粒子としてバインダーに均一に分散させることが容易になり、最外層の体積抵抗率を所定の範囲に制御することが容易になる。複合粒子の被覆成分のカーボンブラックは、バインダーと結合し、バインダーの補強としての機能を有するため、帯電部材の硬度の制御を容易にすることができる。
【0055】
上記金属酸化物系粒子としては、具体的には、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウム等を挙げることができる。これらの金属酸化物系粒子は、絶縁性粒子であることが好ましい。ここで絶縁性粒子とは、1×108Ω・cmより大きい体積抵抗率を有するものをいう。金属酸化物系粒子が絶縁性であることにより、カーボンブラックによる導電経路を制御することができ、最外層を所定の体積抵抗範囲に制御することが容易になるのである。かかる金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが好ましい。
【0056】
金属酸化物系粒子の形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよいが、金属酸化物系粒子の形状は複合粒子の形状に大きく影響を及ぼすため、バインダーへの分散性等をより向上させるために、球状または粒状が好ましい。また、金属酸化物系の平均粒子径は、複合粒子の形状に大きく影響を及ぼすため、1〜1000nmが好ましく、より好ましくは5〜500nmである。
【0057】
金属酸化物系粒子は表面処理されていることが好ましい。これにより、金属酸化物系粒子表面とカーボンブラックをより強固に付着させることができ、複合粒子をゴム、樹脂、エラストマー等のバインダーに分散させる際に、カーボンブラックの脱離等を抑制することができる。
【0058】
表面処理としては、好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上を用いることができる。より好ましくはアルコキシシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤であり、更に、好ましくは、有機ケイ素化合物を挙げることができる。
【0059】
上記有機ケイ素化合物としては、式(1)
【0060】
【化1】
【0061】
で表わされるアルコキシシラン、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、式(2)
【0062】
【化2】
【0063】
で表わされるポリシロキサン、式(3)
【0064】
【化3】
【0065】
で表わされる変成ポリシロキサン、式(4)
【0066】
【化4】
【0067】
で表わされる末端変成ポリシロキサン並びに式(5)
【0068】
【化5】
【0069】
で表されるフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物を例示することができる。
【0070】
式(1)で表されるアルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0071】
金属酸化物系粒子へのカーボンブラックの付着強度を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、又は、前記アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましい。
【0072】
また、式(2)で表されるポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンを挙げることができ、式(3)で表されるポリエーテル変成ポリシロキサン及び式(4)で表される末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンを挙げることができる。
【0073】
式(5)で表されるフルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン及びヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0074】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0075】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のチタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート及びビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることができる。
【0076】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のアルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネート等を挙げることができる。
【0077】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート及びジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等を挙げることができる。
【0078】
金属酸化物系粒子の表面処理に用いられるカップリング剤のオリゴマーとしては、分子量300以上、10,000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10,000以上、100,000程度のものが好ましい。金属酸化物系粒子への均一な被覆処理を考慮すれば、液状、もしくは、水又は各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0079】
表面処理剤の被覆量は金属酸化物系粒子に対して0.01〜15.0質量%が好ましい。0.01質量%以上であれば、金属酸化物系粒子へカーボンブラックを充分付着することができる。15.0質量%以下であれば、金属酸化物系粒子に対しカーボンブラックを十分強固に、かつ十分な量の付着を達成することができ、表面処理剤の浪費を回避することができる。より好ましくは0.02〜12.5質量%、最も好ましくは0.03〜10.0質量%である。
【0080】
金属酸化物系粒子に被覆するカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。カーボンブラックの付着量は、金属酸化物粒子100質量部に対して1〜500質量部である。1質量部以上であれば、得られる複合粒子の電気抵抗を低減することができる。500質量部以下であれば、無駄な消費を回避して電気抵抗の低減効果を十分に得ることができる。
【0081】
上記複合粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよいが、前記分散性等をより向上させるためには、球状又は粒状が好ましい。
【0082】
かかる複合粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、5〜500nmである。この範囲であれば、バインダーへの均一分散、体積抵抗率制御及びマイクロ硬度制御をより容易に行うことができる。また、複合粒子同士の凝集による最外層への分散性の低下を抑制することも容易である。
【0083】
上記複合粒子の体積抵抗値は、付着に用いるカーボンブラックの体積抵抗値と金属酸化物系粒子の体積抵抗値との間で任意に制御することができる。具体的には1.0×10〜1.0×108Ω・cmであり、好ましくは5.0×10〜5.0×107Ω・cmである。
【0084】
上記複合粒子は、金属酸化物系粒子とカーボンブラックとを混合することにより得ることができる。金属酸化物系粒子へのカーボンブラックの付着は、まず、金属酸化物系粒子を表面処理し、次いで、表面処理された金属酸化物粒子とカーボンブラックを混合することによって行うことができる。
【0085】
金属酸化物系粒子の表面処理は、金属酸化物系粒子と表面処理剤又は表面処理剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、金属酸化物系粒子に表面処理剤又は表面処理剤の溶液を噴霧しながら機械的に混合攪拌することによって行うことができる。
【0086】
表面処理剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いる場合、アルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として施与されていてもよい。この場合においてもその後のカーボンブラックの付着への悪影響は見られない。
【0087】
表面処理剤を均一に金属酸化物系粒子の表面に被覆するためには、凝集した金属酸化物系粒子を予め粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0088】
金属酸化物系粒子とカーボンブラック、表面処理されている金属酸化物系粒子とカーボンブラック、金属酸化物系粒子と表面処理剤との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、特に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機などを用いることができ、これらのうちホイール型混練機が複合粒子の作製に好適である。また、混合攪拌後、必要に応じて更に乾燥など熱処理を行ってもよい。
【0089】
更に、金属酸化物系粒子の表面処理に関しては、金属酸化物系粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、処理剤を粒子表面に付着させる方法を挙げることができる。分散の手段としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、粒子表面に表面処理剤を固着させる。また、必要に応じて、この後、更に熱処理を行ってもよい。また、混合溶液中には反応促進のための触媒を添加することができる。更に、必要に応じて表面処理後の粒子に更に粉砕処理を施してもよい。
【0090】
金属酸化物系粒子は、粒子表面を予め、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。これにより、金属酸化物系粒子表面とカーボンブラックとの付着力を強めることができる場合もある。
【0091】
中間被覆物の被覆量としては、0.01〜20質量%が好ましい。0.01質量%以上であれば、カーボンブラックの付着向上効果が得られ、20質量%以下であれば、無駄な消費を回避して付着力向上効果を得ることができる。
【0092】
上記複合粒子は、バインダー100重量部に対して、40〜200重量部含有していることが好ましく、より好ましくは、50〜100重量部である。複合粒子の含有量がこの範囲であれば、最外層を上記体積抵抗率の範囲に制御することが容易になると同時に、帯電部材のマイクロ硬度を後述する範囲に制御することが容易になるため、好ましい。
【0093】
上記最外層には、上記高分子化合物粒子や上記導電性粒子の他、本発明の効果を損なわない範囲で他の粒子を含有させることができる。
【0094】
かかる粒子としては、上記体積抵抗率が1×108Ω・cm以下の導電性粒子や、体積抵抗率が1×108Ω・cmを超える絶縁性粒子に分類して、以下に記載する。
【0095】
このような導電性粒子としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、銅、アルミニウム及びニッケル等の粒子を挙げることができる。
【0096】
絶縁性粒子としては、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。また、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭等も使用することができる。上記フェライトとしては、例えば、“電子材料シリーズフェライト”(丸善(株),平成9年10月10日発行,第5刷)等に記載されているフェライトを挙げることができ、具体的には、MnFe2O4、FeFe2O4、ZnFe2O4、MgFe2O4及びγ−Fe2O4等を例示することができる。上記活性炭としては、例えば、“新版活性炭−基礎と応用”((株)講談社,1992年10月20日発行,第2刷)等に記載されている活性炭等を挙げることができ、具体的には、木材系活性炭、ヤシ殻系活性炭、及び石炭系活性炭等を例示することができる。
【0097】
これらの粒子は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コーティング等を施したものでもよい。粒子の分散性を高めるために、粒子には表面処理を施すことが好ましい。
【0098】
このような表面処理としては、前述した表面処理の他に、脂肪酸、脂肪酸金属塩による表面処理を挙げることができる。かかる脂肪酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができ、炭素数12〜22のものが好ましい。脂肪酸金属塩としては、飽和又は不飽和の脂肪酸と金属との塩類を用いることができ、炭素数12〜18の脂肪酸とマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属及び亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、鉛、スズ等の金属との塩類を挙げることができる。
【0099】
上記表面処理剤の被覆量は、0.01〜15.0質量%が好ましい。この範囲内であれば、金属酸化物粒子に十分な分散性を付与することができる。より好ましくは0.02〜12.5質量%、更に好ましくは0.03〜10.0質量%である。
【0100】
上記最外層には、帯電部材の表面の離型性を向上させるために、離型剤を含有することが好ましい。最外層に離型剤を含有させることで、帯電部材の表面の汚れ付着を低減することができ、帯電部材の耐久性を向上させることができる。また、帯電部材と感光体との間での相対移動が滑らかになり、スティックスリップのような不規則な移動状態の発生を低減し、その結果、帯電部材の表面の不規則な摩耗の発生や異音の発生等を抑制することができる。離型剤が液体の場合は、最外層を形成するときにレベリング剤としても作用する。
【0101】
このような離型剤として、低表面エネルギーを有するもの、摺動性を有するものなどを利用することができ、その性状として、液体、固体のものを用いることができる。固体で摺動性を有するもの(固体潤滑剤)としては、例えば固体潤滑ハンドブック(発行所;株式会社幸書房、昭和57年3月15日発行の二版)に記載の物質、具体的には、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素及び一酸化鉛等の金属酸化物を挙げることができる。また、オイル状、あるいは固体状(離型性樹脂あるいはその粉末、ポリマーの一部に離形性を有する部位を導入したもの)の珪素やフッ素を分子内に含む化合物、ワックス、高級脂肪酸、その塩やエステル、その他誘導体を挙げることができる。
【0102】
上記最外層の厚さとしては、15〜100μmの厚さを有することが好ましい。より好ましくは、20〜80μmである。最外層の厚さが上記範囲であれば、帯電部材のマイクロ硬度を60〜98°の範囲内とすることが容易となり、感光体と帯電部材とを点状接触により当接させるために形成する帯電部材表面の凹凸を、帯電部材表面全体に亘って、より均一に形成することが容易となる。上記最外層の膜厚は、作製した帯電部材をカッターナイフなどで切断し、層の断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡により観察し、その厚さを実測することにより求めることができる。
【0103】
上記被覆層として設けられる弾性被覆層としては、弾性を与えるためには、その結着材料として、上記最外層に用いられるバインダー成分として例示したゴムや熱可塑性エラストマー等のエラストマーを挙げることができる。その中でも、帯電部材と感光体との十分なニップを確保する観点から、ゴム、特には合成ゴムがより好ましい。
【0104】
合成ゴムの中でも、抵抗が均一であるという観点から、極性ゴムを用いるのが好ましい。極性ゴムとしては、NBR、エピクロルヒドリンゴムを挙げることができる。これは、弾性被覆層の抵抗制御及び硬度制御をより行い易いからである。
【0105】
エピクロルヒドリンゴムとしては、GECO(エチレンオキサイド(以下EOとも称す)−エピクロルヒドリン(以下EPとも称す)−アリルグリシジルエーテル(以下AGEとも称す)共重合体)やECO(エチレンオキサイド−エピクロルヒドリン共重合体)ではEOの共重合比率を変化させ、体積抵抗率を制御することが知られている。
【0106】
弾性被覆層の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で102〜108Ω・cmであることが好ましい。弾性被覆層の体積抵抗率をこの範囲とすることにより、帯電部材の帯電能力を十分発揮することができ、前述したCセット画像及び汚れ画像の発生をより抑制することが可能となる。
【0107】
弾性被覆層の体積抵抗率を上記範囲とするため、エピクロルヒドリンゴム中のエチレンオキサイドユニット含有量は55〜85mol%であることが好ましい。55mol%以上であれば上記体積抵抗値を満たすものとできる。
【0108】
弾性被覆層は硬度等を調整するため、軟化油、可塑剤等の添加剤や、上記の粒子を添加してもよい。
【0109】
弾性被覆層の体積抵抗率は、上記の結着材料中にカーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加し、調整することができる。
【0110】
エピクロルヒドリンゴム成分を使用する場合、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。ただし、エピクロルヒドリンゴム成分を使用する場合は、前述の通り、体積抵抗率はエチレンオキサイドユニット含有量によって大きく左右される。
【0111】
また、弾性被覆層に添加剤を用いる場合、添加剤のブリードアウト防止を強化する観点から、弾性被覆層と最外層との間に、1層又は2層以上の抵抗層を設けてもよい。抵抗層の体積抵抗率は、102Ω・cm以上1016Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が1016Ω・cm以下であれば、帯電部材に感光体を均一に帯電する機能を付与することができ、Cセット画像の顕在化を抑制することができる。一方、体積抵抗率が102Ω・cm以上であれば、感光体の表面のピンホールや傷等によるリークを防止することができる。抵抗層の体積抵抗率を調整は、抵抗層に1種又は2種以上の導電性粒子を含有させることにより行うことができる。
【0112】
本発明の被覆層として、設けられる最外層、弾性被覆層、抵抗層など各層には、最外層に含有される上記各種物質の他、種々な機能を付与する材料を適宜含有させることができる。このような材料としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール等の老化防止剤や、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤等を挙げることができる。
【0113】
また、上記被覆層を構成する各層表面は、表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理等を挙げることができる。
【0114】
上記被覆層の各層の形成は、例えば、予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆することによって行ってもよいし、静電スプレー塗布やディッピング塗布等の塗布法によって行ってもよい。また、押出成形によって大まかに層形成した後、研磨等によって層の形状を整える方法であってもよく、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。
【0115】
塗布法によって層を形成する場合、塗布液に用いる溶剤としては、結着材料を溶解することができる溶剤であればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類や、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類や、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類や、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を挙げることができる。
【0116】
粒子を被覆層材料に分散する方法としては、被覆層材料と粒子とを、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー又はスーパーミキサー等により混合する、あるいは、バンバリーミキサーや加圧ニーダー等で混合する等、公知の方法を用いることができる。
【0117】
また、塗布法によって層を形成する場合は、溶剤、被覆層材料及び粒子を混合し、前述のボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の公知の溶液分散手段を用いることができる。
【0118】
本発明の帯電部材は、マイクロ硬度が60〜98°である。帯電部材のマイクロ硬度がこの範囲であれば、最外層に含有される上記高分子化合物粒子と相俟って、長期に亘って使用されない状態が継続した場合であっても、帯電部材の変形を抑制し、電子写真装置に使用されてCセット画像の発生を抑制し、トナーの融着や付着を抑制し、良好な画像を出力することができ、更には、帯電部材からの滲出物を抑制し、耐久性に優れたものとできる。帯電部材のマイクロ硬度は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%RH環境においてピークホールドモードで測定した値とすることができる。具体的には、帯電部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて帯電部材が転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から帯電部材の中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを帯電部材のゴム端部から30〜40mmの位置の両端部及び中央部のそれぞれ周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、得られた測定値の平均値をマイクロ硬度として採用することができる。
【0119】
また、本発明の帯電部材は、23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧を印加した際、流れる電流値C(μA)が、300≦C≦5000を満たすことが好ましい。被覆層が、23℃/50%RH環境下において102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の範囲の体積抵抗率を有することと相俟って、帯電部材全体として、23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧印加した際、電流値C(μA)が300≦C≦5000を満たすことで、感光体の帯電をより均一に行うことができ、Cセット画像の顕在化を抑制することができる。帯電部材の抵抗として、このような比較的低い範囲とすることで、感光体を帯電する際の放電を安定して行うことができるため、帯電部材のCセット変形や汚れが、電子写真装置により形成される画像に与える影響を、より小さくできるのではないかと考えられる。
【0120】
上記帯電部材に流れる電流値は、図11に示すように、口径30mmのSUS製の円筒電極131、固定抵抗器132、記録器(レコーダー)133および電源134などから構成された測定装置による測定値を採用することができる。具体的には、帯電部材がローラー形状である場合は、両端の導電性支持体部分に各500g、全体で1kgを荷重して円筒電極131に押圧し、帯電部材135および円筒電極131を従動回転させながら測定を行う。23℃/50%RH環境下で、電源134から200Vを回路に印加したとき、回路に流れる電流の測定値を電流値とする。帯電部材がシート形状あるいはベルト形状等である場合は、両端口径6mm(長さ15mm)中央部口径12mm(長さ228mm)のローラー形状であるSUS製電極を用意し、口径12mmの部分をベルトあるいはシート状の帯電部材で被覆し、上記ローラー形状の帯電部材と同様の方法で、測定した測定値を電流値とする。帯電部材と円筒電極との密着性が不十分な場合には、その間に導電性のグリースを塗布して密着性及び導電性を確保して測定することができる。
【0121】
本発明の帯電部材の形状は、ローラー形状が好ましいが、シート形状、ベルト形状、フィルム形状、板状等とすることもできる。ローラー形状の帯電部材としては、帯電部材と感光体との均一密着性を良好にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。円筒形状の帯電部材は、一般的に、支持体の両端部に所定の押圧力が与えられて感光体と当接することになり、押圧力が長手方向中央部において小さく、長手方向両端部にいくほど大きくなるため、中央部に対応する画像と両端部に対応する画像との間に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状はこのような濃度ムラを抑制することができる。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30〜200μmが好ましい。30μm以上であれば、端部が当接して中央部が当接しないという状態を免れることができ、200μm以下であれば、逆に、中央部は当接するが、端部が当接しないという状態を免れることができる。
【0122】
本発明の電子写真装置は、電子写真感光体と、上記帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有するものであれば、特に制限されるものではなく、一例として、図12の概略構成図に示す電子写真装置を挙げることができる。
【0123】
図12に示す電子写真装置には、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される円筒状の感光体1が設けられる。感光体1の表面に当接されて、ローラー形状の帯電部材3が設けられ、感光体の回転に伴い帯電部材が従動回転し、感光体表面が正又は負の所定電位に均一に帯電されるようになっている。帯電部材は直流電圧と交流電圧を重畳して印加されるものであっても、直流電圧のみが印加されるものであってもよいが、直流電圧のみが印加されるものが、電力消費量の低減、装置の小型化、オゾンの発生の抑制、装置の耐久性などの点から、好ましい。更に、回転する感光体表面を露光するスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)が設けられ、露光手段から出力される露光光(画像露光光)4Lを受けた感光体の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。感光体1の表面に形成された静電潜像を現像する現像手段5が設けられ、現像手段5により静電潜像に現像剤が供給され、トナー像が形成される。更に、トナー像を転写する転写手段6が設けられ、感光体表面に形成されたトナー像が、転写手段(転写ローラー等)からの転写バイアス電源によって、感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期して供給された紙等の転写材Pに順次転写されていく。転写材上に転写されたトナー像を転写材に定着する加熱手段などを備えた定着手段8が設けられ、トナー像が定着された画像形成物(プリント、コピー)が装置外へプリントアウトされるようになっている。更に、クリーニングブレード等のクリーニング手段7が設けられ、トナー像転写後の感光体が表面から転写残りの現像剤が除去され、清浄面化された後、繰り返し画像形成に使用される。また、感光体1の表面をクリーニング手段7によって清浄面化した後、帯電部材3による帯電の前に露光光などにより感光体の表面の除電処理を行なう除電手段が設けられていてもよい。
【0124】
本発明の電子写真装置の他の実施例として、図13の概略構成図に示す電子写真装置を挙げることができる。
【0125】
図13に示す電子写真装置には、直径24mmなどの円筒状の感光体151が設けられこの感光体151は、矢印方向に、120mm/sなどのプロセススピードで回転駆動する。感光体151に、例えば、一端で0.5kg重、両端で合計1kg重のバネによる押圧力で、接触、当接される帯電部材である帯電ローラー153が設けられ、帯電ローラーは感光体151の回転に対して順方向に回転するようになっている。帯電ローラーには直流電圧のみを印加する電源S1が接続され、帯電ローラー153に、電源S1から、例えば、−1000Vの直流電圧が印加されることで、感光体151の表面が−400Vに帯電(接触帯電)されるようになっている。
【0126】
電子写真装置には、レーザービームスキャナーなどの露光手段154が設けられ、帯電ローラー153により−400V(暗部電位)に帯電された感光体151の表面に、レーザービームスキャナー154により目的の画像情報に対応した露光(画像露光)光154Lが照射されることにより、感光体の表面の電位−400Vが選択的に−150V(明部電位)に減衰して、感光体151の表面に静電潜像が形成される。
【0127】
感光体151の周囲には、更に、現像手段155が設けられる。現像手段155には、トナー(現像剤)を収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体155aと、収容されているトナーを撹拌する撹拌部材155bと、トナー担持体155aのトナーの担持量(トナー層厚)を調整するトナー規制部材155cとが設けられる。現像手段155において、感光体151の表面に形成された静電潜像の明部電位部に、−350V(現像バイアス)に帯電しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて、静電潜像がトナー像として可視化される。この電子写真装置においては、トナー担持体155aは、感光体と接触しているか、又は、担持するトナーを介して感光体と接触した状態となっている、接触現像方式が採用されている。このため、トナー担持体155aは、接触安定性の確保という点から、導電性支持体上に導電性を付与した、ゴム製などの弾性被覆層を設けた現像ローラーであることが好ましい。弾性被覆層には弾性材料として発泡体を用いてもよいし、また、弾性被覆層上に別途層を設けたり、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理等の表面処理を施したりしてもよい。
【0128】
更に、転写ローラーなどの転写手段156が設けられる。転写ローラー156は、導電性支持体上に中抵抗に調整された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラーであって、感光体151に所定の押圧力で転写ニップ部を有して接触するように配置され、転写ローラーは感光体151の回転と順方向に感光体151の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転するようになっている。また、転写ローラーには、電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されるようになっている。この転写ニップ部に、給紙機構部(図示せず)から所定のタイミングで供給される転写材Pの裏面に、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加された転写ローラー156が押圧されると、トナー像が感光体151表面から転写材Pの表面に静電転写される。
【0129】
更に、定着手段(図示せず)が設けられ、転写材P上に転写されたトナー像が、加熱などにより転写材P上に定着され、トナー像が定着された転写材Pが画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が再循環搬送機機構(図示せず)に導入されて転写ニップ部へ再導入されるようになっている。
【0130】
更に、クリーニングブレードなどを備えたクリーニング手段(図示せず)が設けられ、感光体151の表面の転写残りのトナーが、クリーニング手段によって回収された後、感光体151は再び画像形成状態となり、上記操作が反復されるようになっている。
【0131】
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、上記帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であるものであれば、特に制限されるものではない。一例として、上記図12に示す電子写真装置の、感光体1、帯電部材3、現像手段5、転写手段6及びクリーニング手段7等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めて一体とし、電子写真装置本体のレール等の案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在としたプロセスカートリッジ9を挙げることができる。このプロセスカートリッジは、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成したものである。
【0132】
上記感光体1としては、例えば、円筒状の導電性支持体と、該支持体上に形成された無機感光材料及び/又は有機感光材料を含有する感光層とを有し、感光体の表面を所定の極性、電位に帯電させるための電荷注入層を更に有するものとすることができる。
【0133】
上記現像手段3としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式、及び磁気ブラシ方式等を採用することができる。フルカラー画像などのカラー画像を出力する電子写真装置の場合は、トナーの飛散を抑制するため、接触現像方式であることが好ましい。
【実施例】
【0134】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[複合粒子の作製]
金属酸化物系粒子としてのシリカ粒子(平均粒子径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0135】
次に、カーボンブラック粒子(粒子径15nm、体積抵抗率2.0×102Ω・cm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合粒子を得た。この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0136】
得られた複合粒子は、平均粒径が15nm、体積抵抗率は1.2×102Ω・cmであった。
[酸化チタン粒子の作製]
針状ルチル型酸化チタン粒子(平均粒径15nm、縦:横=3:1)、体積抵抗率5.2×1010Ω・cm)1000g、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110g、溶媒としてトルエン3000gを配合してスラリーを調製した。
【0137】
このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0138】
湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の粒子は、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕した。
[帯電部材の作製]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製芯金を導電性支持体として使用した。これに、熱硬化性接着剤(メタロックU−20 東洋化学研究所製)を塗布し、乾燥した。
【0139】
次に、エピクロルヒドリンゴム三元共重合体(エチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)=56mol%/40mol%/4mol%)100質量部、炭酸カルシウム45質量部、脂肪族ポリエステル系可塑剤5質量部、ステアリン酸亜鉛1質量部、2−メルカプトベンズイミダゾール(MB)(老化防止剤)0.5質量部、酸化亜鉛5質量部、四級アンモニウム塩2質量部、及び、カーボンブラック(平均粒径:50nm、体積抵抗率:0.1Ω・cm)5質量部を、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
【0140】
この原料コンパウンドに、上記エピクロルヒドリンゴム三元共重合体に対して1質量%の硫黄(加硫剤)、1質量%のジベンゾチアジルスルフィド(DM)(加硫促進剤)及び0.5質量%のテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性被覆層用コンパウンドを得た。
【0141】
接着剤を塗布した導電性支持体上に、この弾性被覆層用コンパウンドを押出成型機にて押し出し、外径が約10mmのローラー形状になるように成型し、次いで、電気オーブンの中で160℃で1時間、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラー形状になるように表面の研磨加工を行って、導電性支持体上に弾性被覆層を形成した。このときクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmとした。
【0142】
続いて、カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業(株)製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が15質量%となるように調整した。
【0143】
この溶液666.6質量部に対して、上記アクリルポリオール溶液の固形分100質量部に対して、
前記複合粒子 70質量部
前記酸化チタン粒子 20質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.08質量部
(商品名;SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3の混合物
80.14質量部
を入れ混合溶液を調整した。
【0144】
このとき、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=1.0」となるように添加した。HDIとIPDIについては、HDI(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)、IPDI(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)を使用した。
【0145】
450mLのガラス瓶に上記混合溶液251.11gと、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gを混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて48時間分散した。分散後、高分子化合物粒子である架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(平均粒径:8.0μm、体積抵抗率:1.0×1015Ω・cm)9質量部(バインダー100重量部に対して30重量部相当量)を添加した後、更に1時間分散して分散溶液を得た。高分子化合物粒子の物性等については、表1に示す。
【0146】
この表面被覆層用塗布液を、弾性被覆層上に1回ディッピング塗布し、常温で30分間以上風乾し、次いで80℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥し、更に160℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、弾性被覆層上に表面被覆層を形成した。ディッピング塗布浸漬時間は9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度が20mm/s、最終速度は2mm/sになるように調節し、20mm/sから2mm/sの間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0147】
このようにして、導電性支持体上に弾性被覆層及び最外層をこの順に有する帯電部材を作製した。
【0148】
得られた帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
[Cセット変形量の測定]
帯電部材のCセット変形量を測定した。
【0149】
帯電部材がローラー状の帯電ローラーである場合、導電性支持体を軸として、ローラーの半径を測定し、当接部でもっとも変形している部分と当接していない部分の半径の差をもって、Cセット変形量とした。測定は、東京光電子工業(株)の全自動ローラー測定装置を用い、帯電ローラーを1°ずつ回転させ360°測定を行った。当接部の半径でもっとも小さい値と、当接していない部分の半径との差をもってCセット変形量とした。本測定をローラー長手中央部と中央部から90mmの位置の3点で測定し、最も大きな変形量を、帯電部材の変形量とした。
【0150】
また、帯電部材が、シート状、ベルト状、板状等である場合には、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用いて行った。詳しくは、本測定器により、JIS B0601表面粗さの規格における10点平均表面粗さの測定と同条件で、当接部が測定できるように8mmの長さを測定し、当接部で最も変形している部分と、当接していない部分との差をもって、Cセット変形量とした。本測定を帯電部材長手中央部と中央部から90mmの位置の3点で行い、最も大きな変形量を、帯電部材の変形量とした。Cセット変形量の結果を表3に示す。
[Cセット画像評価]
作製した帯電部材を、直径24mmの電子写真感光体ドラムに、一端で0.5kg重、両端で合計1kg重のバネによる押し圧力で当接させ、40℃/95%RH環境に1ヶ月間放置した。
【0151】
40℃/95%RH環境に1ヶ月間放置後は、前記環境から感光体ドラムと当接した状態で、帯電部材を取り出し、23℃/50%RH環境に6時間放置した。その後、帯電部材を、図12に示す構成の電子写真装置(帯電部材には直流電圧−1000Vのみを印加)に装着し、23℃/50%RH環境下において、ハーフトーン画像を出力し、その出力画像におけるCセット画像を評価した。
【0152】
40℃/95%RH環境は、通常の電子写真装置の使用環境より、温度・湿度ともに高く、帯電部材の変形量が大きくなる。従って、この条件下でCセット画像が発生しなければ、長期に亘ってCセットに関する問題が発生しないということができる。
【0153】
帯電部材による帯電後の電子写真感光体の表面電位(暗部電位)VDは−400Vとなるように調節した。また、プロセススピードは120mm/sとした。
【0154】
出力画像の評価は以下の基準により画像ランクとして行った。結果を表3に示す。
【0155】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状の画像欠陥がある
ランク4:スジの画像欠陥が目立つ
[感光体へのブルーム評価]
ブルームの評価は、上記と同様の条件下で帯電部材と感光体とを当接、放置後、当接した感光体だけを新品の帯電部材Cローラと組み合わせて上記の条件で画像出力を行い、以下の基準により行った。ブルームが発生している場合は、感光体周期で、スジが発生する。
結果を表3に示す。
【0156】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状の画像欠陥がある
ランク4:スジの画像欠陥が目立つ
[耐久画像評価]
作製した帯電部材を図12に示す構成の電子写真装置(帯電部材には直流電圧のみ印加するもの)に装着し、低温低湿15℃/10%RH環境、23℃/50%RH環境、30℃/80%RH環境下において各々耐久評価を行った。1枚画像を出力すると電子写真装置の回転を停止させた後、また画像形成動作を再開するという動作を繰り返し(E文字1%印字画像を間欠耐久)、20000枚の画像出力耐久試験を行った。耐久試験中はプロセススピードを120mm/sに設定し、耐久試験中、10000枚目および20000枚目の出力画像について評価を行った。ハーフトーン画像を用い、その出力画像を、以下の基準により評価した。結果を表3に示す。
【0157】
ランク1:非常に良い
ランク2:良い
ランク3:ハーフトーン画像にわずかにスジ状、ポチ状の画像欠陥がある
ランク4:スジ状、ポチ状の画像欠陥が目立つ
[実施例2〜13]
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液の固形分の質量%、導電性粒子(複合粒子)の添加質量部数、高分子化合物粒子の物性及び添加質量部数、高分子化合物粒子を添加する前のペイントシェーカー分散時間を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。表1の質量部は前記アクリルポリオールの固形分100質量部に対しての質量部である。前記ポリオール固形分を変更した場合は、粒子等の添加質量部は表1になるように調整した。また、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3の混合物の添加質量部も、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=1.0」となるように調整して添加した。更に、最外層作成時には、膜厚が表2となるように、ディッピング塗布引き上げ速度の調整を行った。引き上げ速度を早くすると膜厚は上昇し、遅くすると減少することが検討よりわかっている。従って、目的の膜厚を得るために、初期速度及び最終速度の変更を行った。初期速度と最終速度の間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0158】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0159】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例14〜16]
高分子化合物粒子の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。
【0160】
実施例14は架橋スチレン樹脂粒子、実施例15はシリコン樹脂粒子、実施例16はウレタン樹脂粒子を用いた。
【0161】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0162】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例17、18]
高分子化合物粒子の種類を表1に示すように2種類に変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。高分子化合物粒子1種類につき添加質量部の半分ずつを添加した。
実施例17及び18では、ウレタン樹脂粒子を使用した。
【0163】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0164】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例19]
前記酸化チタンを添加しない点の外は、ほぼ実施例18と同様に帯電部材を作製した。その他変更した条件については、表1に示している。帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0165】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例20〜23]
導電性粒子をカーボンブラック粒子(粒子径20nm、体積抵抗率1.5×102Ω・cm)に変更し、高分子化合物粒子を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様に帯電部材を作製した。
【0166】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0167】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[比較例1、2、5〜8]
実施例20と同様に帯電部材を作製した。高分子化合物粒子を添加する場合は、表1に高分子化合物粒子の物性等を示している。高分子化合物粒子を添加しない場合は、表1への高分子化合物粒子の種類を不記入とした。
【0168】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0169】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[比較例3、4]
導電性粒子を実施例1と同様の複合粒子とした以外は、比較例1と同様に帯電部材を作製した。
【0170】
帯電部材表面のマイクロ硬度、最外層膜厚、表面粗さ、電流値等の測定は、前述した方法を用いて行った。結果を表2に示す。
【0171】
また、Cセット変形量、Cセット画像、感光体へのブルーム、耐久画像評価を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
結果からも、本発明の帯電部材においては、帯電部材の変位が抑制され、画像汚れがなく、耐久性に優れ、感光体へのブルームも抑制できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図2】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図3】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図4】本発明の帯電部材の一例のローラー形状帯電部材の断面図を示す図である。
【図5】本発明の帯電部材の一例の板状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図6】本発明の帯電部材の一例の板状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図7】本発明の帯電部材の一例のベルト状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図8】本発明の帯電部材の一例のベルト状の帯電部材の断面図を示す図である。
【図9】本発明の帯電部材の一例に含まれる高分子化合物粒子の特性を示す図である。
【図10】本発明の帯電部材の一例に含まれる複合粒子の概略構成図を示す図である。
【図11】本発明の帯電部材の電流値を測定するための装置の構成を示す図である。
【図12】本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の一例の概略構成を示す図である。
【図13】本発明の電子写真装置の一例の概略構成図を示す図である。
【符号の説明】
【0177】
a、a1、a2 支持体
b、b1、b2 弾性被覆層
c、c1、c2 最外層
d 抵抗層
e 抵抗層
1 感光体
2 軸
3 帯電部材(帯電ローラー)
4L 露光光(画像露光光)
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
131 円筒電極
132 固定抵抗器
133 記録器(レコーダー)
134 電源
135 帯電部材
P 転写材
151 感光体
153 帯電ローラー
154 レーザービームスキャナー
154L 露光光
155 現像装置
155a トナー担持体
155b 撹拌部材
155c トナー規制部材
156 転写ローラー
S1 電源
S2 電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として式(1)を満たすことを特徴とする帯電部材。
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
【請求項3】
前記高分子化合物粒子が、粒径分布範囲としてB/10(μm)を超えて7B(μm)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記高分子化合物粒子が、円形度0.9以上の粒子を80%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項5】
最外層が、十点平均表面粗さ(Rzjis)として、3≦Rzjis≦40、表面凹凸平均間隔(RSm)として、20≦RSm≦80を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項6】
最外層が、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項7】
最外層が、金属酸化物粒子にカーボンブラックを被覆した複合粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項8】
最外層が、バインダー100重量部に対して、高分子化合物粒子を10〜100重量部含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項9】
最外層が、バインダー100重量部に対して、カーボンブラックを20〜100重量部含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項10】
最外層が、バインダー100重量部に対して、複合粒子を40〜200重量部含有することを特徴とする請求項1〜10に記載の帯電部材。
【請求項11】
最外層が、15〜100μmの膜厚を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項12】
被覆層が、23℃/50%RH環境下において102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項13】
23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧印加した際、流れる電流値C(μA)が、300≦C≦5000を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項14】
電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項15】
電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置。
【請求項16】
帯電部材が、直流電圧のみが印加されることを特徴とする請求項15に記載の電子写真装置。
【請求項1】
導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径として2.5〜50μmを有することを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
導電性支持体上に被覆層を有し、マイクロ硬度(A°)が60〜98°である帯電部材であって、被覆層がバインダーと高分子化合物粒子を含有する最外層を有し、前記高分子化合物粒子が、平均粒径(Bμm)として式(1)を満たすことを特徴とする帯電部材。
0.01A2−1.5A+58≦B≦−0.014A2+2A−20 (1)
【請求項3】
前記高分子化合物粒子が、粒径分布範囲としてB/10(μm)を超えて7B(μm)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記高分子化合物粒子が、円形度0.9以上の粒子を80%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項5】
最外層が、十点平均表面粗さ(Rzjis)として、3≦Rzjis≦40、表面凹凸平均間隔(RSm)として、20≦RSm≦80を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項6】
最外層が、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項7】
最外層が、金属酸化物粒子にカーボンブラックを被覆した複合粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項8】
最外層が、バインダー100重量部に対して、高分子化合物粒子を10〜100重量部含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項9】
最外層が、バインダー100重量部に対して、カーボンブラックを20〜100重量部含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項10】
最外層が、バインダー100重量部に対して、複合粒子を40〜200重量部含有することを特徴とする請求項1〜10に記載の帯電部材。
【請求項11】
最外層が、15〜100μmの膜厚を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項12】
被覆層が、23℃/50%RH環境下において102Ω・cm以上1016Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項13】
23℃/50%RH環境下において200Vの直流電圧印加した際、流れる電流値C(μA)が、300≦C≦5000を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項14】
電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材とが一体化されてなり、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項15】
電子写真感光体と、請求項1〜13のいずれかに記載の帯電部材と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置。
【請求項16】
帯電部材が、直流電圧のみが印加されることを特徴とする請求項15に記載の電子写真装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−93937(P2007−93937A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282404(P2005−282404)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】
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