説明

帯電部材、電子写真装置およびプロセスカートリッジ

【課題】電気抵抗が低く、ばらつきや環境依存性が小さく、長期間、使用した場合でも、通電劣化が小さく、帯電横スジ等の画像不良の発生が無い帯電部材を提供する。
【解決手段】帯電部材を良導電性の支持体と該支持体上の少なくとも1層以上からなる弾性層とで形成し、該弾性層は、分子末端が特定の原子団により末端変性処理されているブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーポリマーに、導電性粒子としてカーボンブラックを分散した半導電性加硫ゴムで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電部材、電子写真装置およびプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
接触帯電方式に用いる帯電ローラの弾性体層は、通常、体積固有抵抗率で1×103〜1×107Ω・cm程度の導電性を有している。このような導電性の弾性体層を得るために、カーボンブラック等の導電粒子を配合した電子導電系の導電性ゴム組成物を用いて弾性体層を形成することが特許文献1には記載されている。
【0003】
しかしながら、このようにして形成された弾性体層は、特許文献1に記載されているように、その電気抵抗が導電粒子の分散状態に依存し、ローラ内での抵抗ムラが大きくなり易いという課題を有している。また、このような弾性体層を備えた帯電部材は、直流電圧の継続的な印加により弾性体層中の導電粒子の凝集が促進され、電気抵抗が徐々に変化することがある。
【0004】
特許文献2は、帯電部材の導電性の被覆層の形成用材料にカーボンブラック等の導電性粒子を分散させる際にビーズミルを用いることで、使用に伴う電気抵抗の変化という課題の解決を図ることができることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−090714号公報
【特許文献2】特開2007−292298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記特許文献2に係る発明が、電子導電系の導電性ゴム組成物を用いて形成された弾性体層を有する帯電部材の経時的な電気抵抗の変化という課題の解決に有効であることを確認した。しかしながら、帯電部材の使用に伴う電気抵抗の変動の、より一層の抑制のためには更なる技術開発が必要であるとの認識を得た。そこで、本発明者らは、材料面から上記の課題を解決すべく検討を行った。その結果、弾性体層の原料としてのバインダーポリマーとして、特定の末端変性基を有するブタジエン骨格を有する重合体を用いたところ、上記の課題の解決に極めて有効であることを見出した。
【0007】
本発明の目的は、電気抵抗が均一で、長期の継続的な通電によっても電気抵抗が変化しにくく、その結果として帯電性能の経時的な変化が少ない帯電部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置およびプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、導電性支持体と弾性層とを有する帯電部材であって、
該弾性層は加硫ゴムを含み、
該加硫ゴムは、下記式(1)または下記式(2)で示される、ブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーと、該バインダー中に分散された導電性カーボンブラックと、を含有する組成物の加硫物である帯電部材が提供される:
【0009】
【化1】

【0010】
(構造式(1)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R1は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R2およびR3は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。nは1乃至2の整数であり、mは1乃至2の整数であり、kは1乃至2の整数である。ただし、n+m+kは3乃至4の整数である。)
【0011】
【化2】

【0012】
(構造式(2)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R10は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R11およびR12は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。jは1乃至3の整数であり、hは1乃至3の整数であり、j+hは2乃至4の整数である)。
【0013】
また、本発明によれば、上記の帯電部材と、該帯電部材により帯電可能に配置された電子写真感光体とを有している電子写真装置が提供される。
【0014】
更に、本発明によれば、上記の帯電部材を有し、かつ、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、長期間の使用によっても電気抵抗の変化が小さく、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する帯電部材を得られる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を安定して提供することのできる電子写真装置および電子写真装置用のプロセスカートリッジを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電子写真装置の断面図である。
【図2】本発明に係る帯電ローラの断面図である。
【図3】電気抵抗の測定法の説明図である。
【図4】本発明にかかる重合体とカーボンブラックとの相互作用の説明図である。
【図5】共重合体Pのリビング重合末端と構造式(5)との反応スキームを示す説明図である。
【図6】共重合体Pのリビング重合末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応スキームを示す説明図である。
【図7】2分子の共重合体Pのリビング重合体末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応スキームを示す説明図である。
【図8】本発明に係るプロセスカートリッジの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<帯電部材>
以下、本発明に係る帯電ローラについて図2を用いて説明する。すなわち、本発明に係る帯電ローラ1は芯金11と、その外周に設けられた弾性層12と、を有する。また、帯電ローラ1は、オプションとして表面層13を有している。
(弾性層)
弾性層12は加硫ゴムを含んでいる。該加硫ゴムはブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーと、該バインダー中に分散された導電性粒子としての導電性カーボンブラックとを含む組成物の加硫物である。
【0018】
そして、ブタジエン骨格を有する重合体は、下記構造式(1)または下記構造式(2)で表わされる構造を有している。
【0019】
【化3】

【0020】
構造式(1)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R1は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R2およびR3は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。nは1乃至2の整数であり、mは1乃至2の整数であり、kは1乃至2の整数である。ただし、n+m+kは3乃至4の整数である。
【0021】
【化4】

【0022】
構造式(2)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R10は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R11およびR12は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。jは1乃至3の整数であり、hは1乃至3の整数であり、j+hは2乃至4の整数である。
【0023】
すなわち、本発明に係る弾性層の構成材料である、ブタジエン骨格を有する重合体は、末端に第一級アミノ基とアルコキシシリル基とを有するか、あるいは、各々の末端にそれぞれ第一級アミノ基とアルコキシシリル基とを有する。
【0024】
上記構造式(1)および構造式(2)で表わされる構造を有する重合体は、弾性層の形成の際のカーボンブラックとの混練の際の熱やせん断応力等により、アルコキシシリル基にカチオンを生じると考えられる。このカチオンの作用により、アルコキシシリル基とカーボンブラック表面の官能基(ヒドロキシル、キノン、エステル、カルボキシル、エーテル等)とが反応し、重合体とカーボンブラックとの間に化学結合が形成されるものと推定される。そして、重合体とカーボンブラックとが化学的に結合することにより、カーボンブラックが微分散され、かつ、分散状態が安定化するものと考えられる。
【0025】
図4(a)は、構造式(1)で表わされる重合体の末端のアルコキシシリル基とカーボンブラック表面のヒドロキシル基とが反応し、重合体とカーボンブラックとが化学的に結合した状態を示している。また、図4(b)は、構造式(2)で表わされる重合体の末端のアルコキシシリル基とカーボンブラック表面のヒドロキシル基とが反応し、重合体とカーボンブラックとが化学的に結合した状態を示している。
【0026】
構造式(1)において、アルキレン基(R1)を介してケイ素原子に結合しているアミノ基は、詳細なメカニズムは不明であるが、アルコキシシリル基とカーボンブラック表面の官能基との反応の促進に何らかの貢献をしているものと本発明者らは推測している。
【0027】
同様に、構造式(2)において、アルキレン基(R10)を介して重合体に結合しているアミノ基も同様に、末端のアルコキシシリル基とカーボンブラック表面の官能基との反応の促進に何らかの貢献をしているものと本発明者らは推測している。これらの推測はアミノ基を有しない以外は構造式(1)と同一の構造を有する重合体、およびアミノ基を有しない以外は構造式(2)と同一の構造を有する重合体を用いて形成した弾性層は、経時的な電気抵抗の変化の抑制効果が、本願発明に係る弾性層と比較して劣っていたとの実験結果に基づく。
【0028】
このように、本発明に係る弾性層中においては、カーボンブラックが架橋されたゴムと化学的に結合し、架橋されたゴム中に高度に分散された状態にあるものと考えられる。その結果、本発明に係る弾性層中においては、カーボンブラックの位置が、帯電部材を長期にわたって通電状態を維持した場合であっても移動しにくくなっている。そのため、かかる弾性層を備えた本発明に係る帯電部材は、長期の使用によっても、局所的な電気抵抗のムラが生じにくくなっていると考えられる。
【0029】
構造式(1)または構造式(2)で表わされ、かつ、Pが、共役ジオレフィンと芳香族ジビニル化合物との共重合体の鎖である重合体は、例えば下記(a)または(b)の方法で合成することができる。
【0030】
(a)炭化水素溶媒中で、ブタジエン骨格を有する共役ジオレフィンと芳香族ジビニル化合物とを、有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属を含む重合開始剤に用いてアニオン重合させる。そして、重合が実質的に完了した時点で、保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物(以降「末端変性剤」ともいう)を添加してリビング重合末端において反応させ、次いで脱保護(加水分解)する。
【0031】
この方法は、1段の反応で第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有する重合体を得ることができる。この方法において、重合反応および末端変性剤との反応は通常0〜120℃の温度範囲で行われる。また、末端変性剤の、保護された第1級アミノ基を脱離させる加水分解は80〜150℃、特には、90〜120℃の温度範囲で、末端変性剤の2倍モル以上の水もしくは酸性水を添加し、10分以上、特には30分以上反応させることにより行う。
【0032】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物としては、下記構造式(3)〜(4)で表わされる化合物が挙げられる。
【0033】
【化5】

【0034】
【化6】

【0035】
構造式(3)および(4)において、R1、R2およびR3は各々、構造式(1)におけるR1、R2およびR3と同義である。R4〜R6は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基等のアリール基またはR4〜R6から選ばれる2つが結合してそれらが結合しているケイ素原子と共に4〜7員環を形成するに必要な原子団を示す。
【0036】
上記構造式(3)および(4)で表わされる末端変性剤の具体例を以下に挙げる。
【0037】
下記構造式(5)に示されるN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等。
【0038】
【化7】

【0039】
ここで、図5に、共役ジオレフィンと芳香族ジビニル化合物との共重合体Pのリビング重合末端と上記構造式(5)との反応スキームを示す。
【0040】
また、共役ジオレフィンと芳香族ジビニル化合物との共重合体Pのリビング重合末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応スキームを図6に示す。更に、上記シラシクロペンタンは2分子のリビング重合体末端と反応することができ、その際の反応スキームを図7に示す。
【0041】
重合開始剤として用いる有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属としては、有機リチウム化合物又はリチウムアミド化合物が好ましく用いられる。前者の有機リチウム化合物を用いると、重合開始末端に炭化水素基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いると、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
【0042】
重合開始剤とともにカリウム化合物を添加してもよい。カリウム化合物の例を以下に挙げる。カリウムアルコキシド(カリウムイソプロポキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−アミロキシド、カリウム−n−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシド等)。有機酸(カリウムフェノキシド;イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、2−エチルヘキサン酸等)のカリウム塩。有機スルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸等)のカリウム塩。有機亜リン酸部分エステル(亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリル)のカリウム塩。
【0043】
重合の際に使用される溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒を用いることができる。炭化水素溶媒の例を以下に挙げる。ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等。中でもシクロヘキサンおよびヘプタンが好ましい。
【0044】
(b)炭化水素溶媒中で共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物を下記構造式(6)または下記構造式(7)で表わされるリチウムアミド開始剤を用いてアニオン重合させる。そして、重合が実質的に完了した時点で、下記構造式(8)で表わされるアルコキシシラン化合物を添加してリビング重合末端に反応せしめ、次いで、加水分解する。この方法におけるリチウムアミド開始剤による重合反応、およびアルコキシシラン化合物との反応は、0〜120℃の温度範囲で行われる。また、第1級アミノ基の保護基の脱離のための反応は、方法(a)と同様に行われる。
【0045】
(R456Si)−N−R10−Li (6)
【0046】
【化8】

【0047】
上記構造式(6)〜(7)において、R4〜R6は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基等のアリール基またはR4〜R6から選ばれる2つが結合してそれらが結合しているケイ素原子と共に4〜7員環を形成するに必要な原子団を示す。また、R7およびR8は各々独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基等のアリール基を示す。dは1〜7の整数である。
【0048】
【化9】

【0049】
上記構造式(8)において、R2およびR3は、前記構造式(2)におけるR2およびR3と同義である。Xはハロゲン元素を示す。また、jは1乃至3の整数、hは1乃至3の整数であり、j+hは2乃至4の整数である。
【0050】
本発明に係るブタジエン骨格を有する重合体の例としては、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体が挙げられる。
【0051】
上記共役ジオレフィンの具体例を以下に挙げる。1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、又はこれらの混合物等。これらのうち、1,3−ブタジエンは、電気抵抗の経時劣化の抑制効果に優れた弾性層を形成し得るため、特に好ましい。
【0052】
上記芳香族ビニル化合物の具体例を以下に挙げる。スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等。中でもスチレンが特に好ましい。
【0053】
バインダーポリマーは、上記の末端変性された重合体以外に、他のポリマーを含んでいてもよい。他のポリマーの具体例を以下に挙げる。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンホモポリマー(CHC)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)等。
【0054】
本発明において、弾性層は導電粒子としてのカーボンブラックを含む。カーボンブラックの配合量は、弾性層の電気抵抗を所望の値になる様、調整して配合することができる。
【0055】
組成物中におけるカーボンブラックの配合量の目安は、ブタジエン骨格を有する重合体100質量部に対して30乃至70質量部である。
【0056】
配合されるカーボンブラックの種類については特に限定されない。用い得るカーボンブラックの具体例を以下に挙げる。ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等。
【0057】
重合体との化学結合の形成に関与するカーボンブラックの表面官能基は、DIN ISO 787/9に準拠して測定されるカーボンブラックのpHと、DIN 53552に準じて測定されるカーボンブラックの揮発分によって表される。カーボンブラックのpHが低いほど表面官能基の数が多いことを意味する。また、揮発分が大きいほど表面官能基の数が多いこととなる。そして、表面官能基の数が多いほど、カーボンブラックと重合体との結合は強固となる。従って、好ましいカーボンブラックのpH範囲は3〜9であり、また、好ましいカーボンブラックの揮発分の範囲は0.3〜5.0wt%である。
【0058】
さらに、組成物には、必要に応じてゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、可塑剤、又は分散剤等を添加することができる。これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。
【0059】
弾性層は、例えば以下のように形成することができる。
(1)未加硫の組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これを加硫缶で加硫成形したものに芯金を圧入後、表面を研磨して所望の外径とする方法。
(2)ある程度、加硫させた組成物をクロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の金型内部に固定、加熱し、成形体を得る方法。
【0060】
帯電部材の表面へのトナーや紙粉等の汚れの付着を抑制するために、弾性層の表面に紫外線照射や電子線照射等を行って表面改質してもよく、また、弾性層の周面を被覆するように表面層を形成してもよい。表面層としては、バインダー、カーボンブラックを分散させたものの被膜を用い得る。ここで、バインダーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等を用いることができる。また、表面層として、シリコーン等のオキシアルキレン基を有するポリシロキサンからなるゾル−ゲル膜を用いることもできる。
【0061】
表面層の形成方法としては、上記した材料を溶剤に溶解または分散させた液を、ディッピング、リング塗工、ビーム塗工、ロールコーター、スプレー等の塗工法によって、弾性層表面にコーティングする方法等を挙げることができる。なお、本発明の実施形態における帯電ローラには、必要に応じて、弾性層や表面層以外に接着層、拡散防止層、下地層、プライマー層を設けてもよい。
<電子写真装置>
図1に本発明に係る帯電部材を備えた電子写真装置の断面図を示す。電子写真感光体21は、アルミニウムなどの導電性を有する導電性支持体21bと、導電性支持体21b上に形成した感光層21aを基本構成層とするドラム形状の電子写真感光体である。軸21cを中心に図上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0062】
本発明に係る帯電ローラ1は、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21に対して押し付けられている。そして、電子写真感光体21が不図示の駆動手段により回転させられると、それに伴って従動回転する。電源23で摺擦電源23aにより、芯金11の所定の直流(DC)バイアスが印加されることで電子写真感光体21が所定の極性および所定の電位に帯電される。
【0063】
帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受け、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。
【0064】
静電潜像は、現像部材25によりトナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から電子写真感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写されていく。本例の転写手段26は転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、転写部への再搬送手段へ搬送される。像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて電子写真感光体ドラム上の残留電荷が除去(除電)される。
<プロセスカートリッジ>
また、図8は、本発明に係る帯電ローラ81を備え、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている、本発明の一実施態様に係るプロセスカートリッジの断面図である。図8に示したプロセスカートリッジにおいて、電子写真感光ドラム83は、帯電ローラ81によって帯電可能なように配置されている。また、85は電子写真感光ドラム83の表面に、静電潜像を現像するための現像剤を供給する現像ローラである。さらに、87は電子写真感光ドラム83の周面に残留している現像剤を除去するクリーニングブレードである。
【0065】
なお、本発明に係るプロセスカートリッジは、図8に示した構成に限定されず、例えば、電子写真感光ドラム83や現像ローラ85の一方または双方を有しないものも本発明の範囲内のものである。
【実施例】
【0066】
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味しており、試薬等は特に指定のないものは市販の高純度品を用いた。
(末端変性重合体の合成)
<末端変性共重合ゴム−1>
窒素置換した、内容積15リットルのオートクレーブに下記表1−1に記載の材料を投入した。
【0067】
【表1−1】

【0068】
オートクレーブ中の内容物の温度を20℃に調整した後、n−ブチルリチウム645mg(10.08mmol)をオートクレーブ内に添加し、重合を開始した。重合転化率が99%に達した時点で、1,3−ブタジエン30gを追加し、さらに5分重合させた。その後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン3381mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した後、生成重合体を凝固させた。次いで、温度60℃で24時間減圧乾燥し、末端変性されたスチレン−ブタジエン共重合体(末端変性共重合ゴム−1)を得た。
<末端変性共重合ゴム−2>
窒素置換した、内容積15リットルのオートクレーブに下記表1−2に記載の材料を投入した。
【0069】
【表1−2】

【0070】
オートクレーブの内容物の温度を20℃に調整した後、n−ブチルリチウム645mg(10.08mmol)を添加して重合を開始した。重合転化率が99%に達した時点で、イソプレン30gを追加し、さらに5分重合させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン3381mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した後、生成重合体を凝固させた。その後、60℃で24時間減圧乾燥し、末端変性されたブタジエン骨格を有する共重合体ゴム(末端変性共重合ゴム−2)を得た。
<末端変性共重合ゴム−3>
窒素置換した、内容積15リットルのオートクレーブに下記表1−3に記載の材料を投入した。
【0071】
【表1−3】

【0072】
オートクレーブの内容物の温度を20℃に調整した後、n−ブチルリチウム645mg(10.08mmol)を添加して重合を開始した。重合転化率が99%に達した時点で、1,3−ブタジエン30gを追加し、さらに5分重合させた後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン3381mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した後、生成重合体を凝固させた。その後、60℃で24時間減圧乾燥し、末端変性されたブタジエン骨格を有する共重合体ゴム(末端変性共重合ゴム−3)を得た。
<末端変性共重合ゴム−4>
末端変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランをN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシランに変更した以外は、末端変性共重合ゴム−1と同様の方法で、末端変性共重合ゴム−4を得た。
<未変性共重合ゴム−1>
末端変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランを未添加とした以外は、末端変性共重合ゴム−1と同様にして未変性共重合ゴム−1を得た。
<未変性共重合ゴム−2>
末端変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランを未添加とした以外は、末端変性共重合ゴム−3と同様にして未変性共重合ゴム−2を得た。
<実施例1>
(ゴム材料の調製)
下記表1−4に記載の材料を3リットル加圧ニーダーにて、充填率65vol%、ブレード回転数30rpmで16分混合して未加硫ゴム組成物を得た。
【0073】
【表1−4】

【0074】
この未加硫ゴム組成物156質量部に対して下記表1−5に記載の材料を加え、ロール径12インチのオープンロールにて、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpm、ロール間隙2mmで20分混合、弾性層用の未加硫ゴム組成物を得た。
【0075】
【表1−5】

【0076】
(帯電ローラの成形)
得られた未加硫ゴム組成物をベント式ゴム押出機(φ45mmベント押出機、L/D=20、中田エンジニアリング社製)によってチューブ状に押出し、加硫缶を用いた加圧水蒸気により160℃、30分の一次加硫を行った。そして、外径10mm、内径5.5mm、長さ250mmのゴムチューブを得た。
【0077】
次に、直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部232mmに導電性ホットメルト接着剤を塗布し、80℃で30分間乾燥した。この接着剤を塗布した芯金に、前述のゴムチューブを圧入し、熱風炉にて160℃で30時間の二次加硫と接着処理を行った。得られた複合体のゴム両端部を突っ切り、ゴム部分の長さが232mmの未研磨ローラを作製した。
【0078】
未研磨ローラのゴム部分を研磨機(商品名;LEO−600−F4−BME、水口製作所製)で研磨し、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の性弾性層を有するゴムローラを得た。
【0079】
得られたゴムローラの表面に紫外線照射による表面改質処理を実施した。表面処理は254nmの波長の紫外線を積算光量が8500mJ/cm2になるように照射することによって行い、紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用いた。上記のようにして帯電ローラ1を作製した。
(電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定)
図3に帯電ローラの電気抵抗測定装置の概略図を示す。帯電ローラ1は芯金11の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状のアルミドラム41に圧接され、アルミドラム41の回転駆動に伴い従動回転する。
【0080】
この状態で、帯電ローラ1の芯金部分11に電源42を用いて直流電圧を印加し、41のアルミドラムに直列に接続した基準抵抗43にかる電圧を測定した。帯電ローラ1の電気抵抗は、測定された基準抵抗43の電圧から、回路に流れる電流値を求めることによって算出した。
【0081】
帯電ローラ1の電気抵抗は、温度23℃、湿度50%R.H.(以降「NN」とも記載する)環境下で、図3の装置を使用し、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を2秒印加して行った。このときのアルミドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の抵抗値は100Ωであった。
【0082】
データのサンプリングは電圧印加後1秒後から1秒間に周波数20Hzで行い、このときの平均値をローラ抵抗値とした。また、測定の最大抵抗と最小抵抗の比から、帯電ローラ1の電気抵抗の周ムラを測定した。
【0083】
上記の電気抵抗を、15℃、10%R.H.(以降「LL」とも記載する)環境下と、30℃、80%R.H.(以降「HH」とも記載する)環境下でも行い、LL及びHH環境下での電気抵抗値の比(LL/HH)を環境変動として表した。
【0084】
また、帯電ローラ1に関して、連続通電時の電気抵抗の変化を測定した。図3の抵抗測定装置を使用して、前述した電気抵抗の測定と同様に、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を2秒印加して、初期抵抗値の測定を行った。
【0085】
このときのアルミドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の抵抗値は100Ωである。次に、アルミドラムを30rpmで回転させながら、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を10分間印加した。その後、再度、初期抵抗値の測定と同様にしてローラの電気抵抗を測定した。初期抵抗値を、電圧の連続印加後の抵抗値で除して100倍して、抵抗保持率(%)とした。
(硬度の測定)
帯電ローラ1の硬度の測定は、マイクロ硬度計(商品名:MD−1 capa、タイプA;高分子計器株式会社製)を用い、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下でピークホールドモードで測定した。
【0086】
より詳しくは帯電部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて帯電部材が転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から帯電部材の中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを帯電部材のゴム端部から30〜40mmの位置の両端部及び中央部のそれぞれ周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、得られた測定値の平均値を弾性層の硬度とした。
(画像評価)
作製した帯電ローラ(電気抵抗の測定、および硬度の測定に供した帯電ローラとは別個体)を電子写真プロセスカートリッジに組み込み、このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用のレーザプリンタ(商品名:LBP5050、キヤノン製)に装着した。そして、このレーザプリンタを用いて電子写真画像を形成し、その画像を評価した。
【0087】
画像の出力は温度15℃、相対湿度10%RHの環境の下で行った。評価画像はA4紙にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)である。出力画像の評価は、1枚出力時(初期)のハーフトーン画像と、1%の印字濃度で2500枚プリント後(耐久後)に出力したハーフトーン画像の均一性を目視することによって行った。得られた初期と耐久後の画像から、帯電部材が高抵抗化することで発生する細かな横スジ状の画像不良(帯電横スジ)と、帯電部材の表面がトナー等で汚れることによって発生する縦スジ状の画像不良について以下の基準で評価した。
【0088】
A:画像不良が全く認められない。
【0089】
B:上記の画像不良が極わずかに認められる。
【0090】
C:上記の画像不良がわずかに認められる。
【0091】
D:上記の画像不良がはっきりと認められる。
<実施例2>
導電剤であるカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して30質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ2を成形した。
<実施例3>
導電剤であるカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して70質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ3を成形した。
<実施例4>
バインダーポリマーを合成された末端変性共重合ゴム−2とした以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ4を成形した。
<実施例5>
導電剤であるカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して25質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ5を成形した。
<実施例6>
導電剤であるカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して75質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ6を成形した。
<実施例7>
導電剤としてのカーボンブラックをトーカブラック#5500(商品名、東海カーボン社製、pH6、揮発分1.4wt%)とし、バインダーポリマー100質量部に対して50質量部配合した。それ以外は実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ7を成形した。
<実施例8>
導電剤としてのカーボンブラックをトーカブラック#7400(商品名、東海カーボン社製、pH7、揮発分1.5wt%)、バインダーポリマー100質量部に対して50質量部配合した。それ以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ8を成形した。
<実施例9>
導電剤としてのカーボンブラックをPrintex300(商品名、エボニックデグサ社製、pH9.5、揮発分0.6wt%)、バインダーポリマー100質量部に対して50質量部配合した。それ以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ9を成形した。
<実施例10>
導電剤としてのカーボンブラックをRaven1255(商品名、コロンビヤンカーボン社製、pH2.5、揮発分2.7wt%)、バインダーポリマー100質量部に対して50質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ10を成形した。
<実施例11>
バインダーポリマーを合成された末端変性共重合ゴム−3とした以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ11を成形した。
<実施例12>
バインダーポリマーを合成された末端変性共重合ゴム−4とした以外は、実施例1と同様にしてゴム材料を調整し、得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ12を成形した。
<比較例1>
バインダーポリマーを合成された未変性共重合ゴム−1とし、導電剤としてのカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して50質量部とした以外は、実施例8と同様にしてゴム材料を調整した。得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ13を成形した。
<比較例2>
バインダーポリマーを合成された未変性共重合ゴム−2とし、導電剤としてのカーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100質量部に対して45質量部とした以外は、実施例8と同様にしてゴム材料を調整した。得られた未加硫ゴムから実施例1と同様の方法で帯電ローラ14を成形した。
【0092】
実施例1乃至12に係る組成物の組成の一覧を表2に示す。また、実施例1〜12に係る帯電ローラの評価結果を表3に示す。
【0093】
更に、比較例1乃至2に係る組成物の組成の一覧および比較例1乃至2に係る帯電ローラの評価結果を各々表4および表5に示す。


【0094】
【表2】

【0095】
【表3】


【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
表3および表5から明らかなように、比較例1〜2は抵抗保持率が低く、長期の通電に伴う電気抵抗の変化が大きいことが分かる。また、長期の使用に伴って帯電横スジが発生し、高品位な電子写真画像の形成において、実施例に係る帯電部材と比較して相対的に劣っていることが分かる。また、電気抵抗の周ムラも2.0倍以上であり、弾性層中におけるーボンブラックの分散性も、実施例に係る帯電ローラの弾性層中におけるカーボンブラックの分散性と比較して相対的に劣っていることが分かる。
【0099】
実施例1〜12は本発明の範囲であり、電気抵抗の周ムラは1.9倍以下、抵抗保持率も50%以上であり、画像評価ランクは全ての項目でB以上であり、実用上問題無い良好な画像が得られている。
【符号の説明】
【0100】
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性層
13 表面層
21 像担持体
21a 感光層
21b 導電性支持体
21c 軸
23 電源
23a 摺擦電源
24 露光手段
25 現像手段
26 転写ローラ
27 転写材
28 前露光手段
29 クリーニング手段
41 アルミドラム
42 外部電源
43 基準抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と弾性層とを有する帯電部材であって、
該弾性層は加硫ゴムを含み、
該加硫ゴムは、下記式(1)または下記式(2)で示される、ブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーと、該バインダー中に分散された導電性カーボンブラックと、を含有する組成物の加硫物であることを特徴とする帯電部材:
【化1】

〔構造式(1)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R1は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R2およびR3は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。nは1乃至2の整数であり、mは1乃至2の整数であり、kは1乃至2の整数である。ただし、n+m+kは3乃至4の整数である。〕、
【化2】

〔構造式(2)中、Pはブタジエン骨格を有する重合体の鎖を示す。R10は炭素数1乃至12のアルキレン基である。R11およびR12は各々独立に炭素数1乃至20のアルキル基である。jは1乃至3の整数であり、hは1乃至3の整数であり、j+hは2乃至4の整数である。〕。
【請求項2】
前記構造式(1)または前記構造式(2)におけるPが、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体の鎖である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記共役ジオレフィンがブタジエンであり、前記芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の帯電部材と、該帯電部材によって帯電可能に配置されている電子写真感光体とを具備していることを特徴とする電子写真装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の帯電部材を具備し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−148297(P2011−148297A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265221(P2010−265221)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【特許番号】特許第4693941号(P4693941)
【特許公報発行日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】