説明

帯電部材の製造方法

【課題】トナー等の表面への付着が抑制された帯電部材の製造方法の提供。
【解決手段】(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つの原料ゴムと、シルセスキオキサンとを含む混合物の層を芯金上に形成する工程、(B)該混合物の層の表面に、該混合物の層中のシルセスキオキサンをブリードさせる工程、(C)該混合物の層の表面にブリードさせたシルセスキオキサンを硬化させる工程を有する帯電部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真装置に用いられる帯電部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接触帯電方式に用いられる帯電部材としては、感光体とのニップ幅を確保するために、ゴムや熱可塑性エラストマーを含む弾性層を有する構成が一般的である。かかる帯電部材においては、弾性層表面の高い粘着性により、トナーや外添剤等が当該弾性層表面に付着し、帯電部材の帯電性能に影響を与えることがある。特許文献1には、トナーとの離型性に優れた帯電部材を得ることを目的とし、半導電性弾性層の表面に紫外線を照射して当該半導電性弾性層の表面改質をして保護層を形成する帯電部材の製造方法によって当該目的を達成できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−149201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記特許文献1に記載された帯電部材においては、表面へのトナー等の付着抑制効果が未だ十分でない場合があるとの結論を得た。
【0005】
そこで、本発明の目的はトナーや外添剤の帯電部材表面への付着をより抑制することのできる帯電部材の製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明に係る帯電部材の製造方法は、
(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つの原料ゴムと、シルセスキオキサンとを含む混合物の層を芯金上に形成する工程と、
(B)該混合物の層の表面に、該混合物の層中のシルセスキオキサンをブリードさせる工程と、
(C)該混合物の層の表面にブリードさせたシルセスキオキサンを硬化させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればトナーや外添剤の帯電部材表面への付着がより抑制された帯電部材の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る帯電ローラの軸に直交する方向の模式的断面図である。
【図2】電子写真装置の模式的断面図である。
【図3】ベント式押出機の説明図である。
【図4】連続加硫装置の説明図である。
【図5】電子線照射装置の説明図である。
【図6】(a)は完全かご型、(b)は不完全かご型シルセスキオキサン誘導体の化学構造の説明図である。
【図7】(a)ははしご型、(b)はランダム型シルセスキオキサン誘導体の化学構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に係る帯電ローラを、軸に直交する方向に切断したときの断面図であり、11が芯金、12が弾性層であり、13はシルセスキオキサンの硬化物からなる表面層を示す。図1においては、弾性層12と表面層13との間に明確な界面があるように示したが、後述するように、本発明に係る帯電ローラの製造方法によれば、弾性層12と表面層13との間には明確な界面が存在しない場合もあり得る。
【0010】
以下に本発明に係る帯電部材の製造方法に係る工程(A)〜(C)について順次説明する。
【0011】
<工程A>
工程Aにおいては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つの原料ゴムと、シルセスキオキサンとを含む混合物の層を芯金上に形成する。
【0012】
<<原料ゴム>>
原料ゴムは弾性層にゴム弾性を与える材料である。ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム及びフッ素ゴムからなる群から選ばれる1つまたは2つ以上を用いる。
【0013】
ポリイソプレンの例としては、熱硬化型のゴムであるイソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、及び熱可塑性エラストマーであるスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体が挙げられる。ポリブタジエンの例としては、ブタジエンゴム(BR)が挙げられる。スチレンブタジエン共重合体の例としては、熱硬化型のゴムであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、及び熱可塑性エラストマーであるスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体等のスチレン系エラストマーが挙げられる。エチレンプロピレン共重合体の例としては、エチレン−プロピレンゴム(EPT)およびエチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)が挙げられる。ブチルゴムの例としては、イソプレン−イソブチレン共重合体(IIR)およびそのハロゲン化物が挙げられる。ニトリルゴムはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)である。ヒドリンゴムの例としては、エピクロルヒドリンホモポリマー(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(GECO)が挙げられる。クロロプレンゴムには硫黄変性品、非硫黄変性品を含む。ウレタンゴムには液状タイプ、ミラブルタイプ、熱可塑タイプを含む。いずれのベースポリマーも末端変性や不飽和結合の水添加物を用いても良い。これらのベースポリマーは単独で使用でき、他のポリマーとブレンドして使用してもよい。
【0014】
<<シルセスキオキサン>>
シルセスキオキサンとは、[(RSiO3/2)]で表されるユニットを基本構成単位とするポリシロキサンの総称である。本発明においては下記化学式(1)で示されるシルセスキオキサンを好適に用いることができる。
【0015】
化学式(1)
[(RSiO3/2)]n
上記化学式(1)中、Rは1価の有機基である。珪素の原子数に相当する式(1)中のnは6以上の整数である。nが6以上の場合、硬化後の架橋密度が特に大きく、充分に硬い表面層を容易に得ることができる。また、nの上限値としては、後述する工程(B)にかかる、シルセスキオキサンのブリードの容易さから、100以下、特には30以下が好ましい。式(1)中にRで示した1価の有機基は、各ユニット間で同一であってもよく、各々異なっていてもよい。有機基は、後述する工程Cにおいて、表面にブリードさせたシルセスキオキサンに硬化反応を生じさせる部分である。表面層の硬化は後述するように種々の方法を選択することが可能であり、本発明に用いるシルセスキオキサンには、硬化方法に最適な構造を有する有機基を導入することが出来る。有機基には硬化反応を効率良く行う為、官能基を有することが好ましい。有機基に導入される官能基としては、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタニル基、エポキシ基、ビニル基、カルボニル基等が挙げられる。硬化反応として紫外線照射や電子線照射を行う場合には、反応性が良好である為、有機基はオキセタニル基およびアクリロイル基の少なくとも一方を含有していることが好ましい。本発明に用いるシルセスキオキサンが、分子内にオキセタニル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも一方を有することが好ましい。
【0016】
[(RSiO3/2)]で表される繰り返し単位を有するシルセスキオキサン誘導体としては市販の化合物を使用することが出来る。有機基にアクリロイル基を含有するシルセスキオキサン誘導体の具体例としては、東亞合成株式会社製のAC−SQ(商品名)が挙げられる。また、有機基にオキセタニル基を含有するシルセスキオキサン誘導体の具体例としては、東亞合成株式会社製の商品名:OX−SQ(SI−20)、OX−SQ(TX−100)、OX−SQ(ME−20)が挙げられる。
【0017】
また、シルセスキオキサンには、図6(a)に示す完全かご型、図6(b)に示す不完全かご型、図7(a)に示すはしご型、及び図7(b)に示すランダム型の構造を有するものが知られている。本発明においてこれらの構造形式はいずれの形態であっても構わないし、これらの構造体の混合物でも構わない。シルセスキオキサンは無機シリカと有機シリコーンの中間的な性質を有する。そのため、未硬化状態では液状であり、原料ゴムに容易に混合できる。また、耐熱性が良好な為、弾性層の架橋工程(後述する工程D)や表面にブリードさせる工程(後述する工程B)において、高温処理が可能であり、加工時間の短縮を図ることが可能である。さらに、硬化後は無機シリカのような高硬度な表面層を形成することが可能である。また、シルセスキオキサン誘導体とともに、これらの官能基の重合開始剤を原料ゴムに同時に混合することも可能である。なお、重合開始剤はシルセスキオキサンとともに、表面にブリードするものを用いることが好ましい。かかる重合開始剤の例を以下に挙げる。
【0018】
ラジカル重合開始剤:ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド。
【0019】
カチオン重合開始剤:芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩、芳香族セレニウム塩。
【0020】
上記したシルセスキオキサンと原料ゴムとの混合には、公知のバンバリーミキサーや加圧式ニーダー等の密閉型混合機や、オープンロール等の開放型の混合機を用い得る。シルセスキオキサンは100質量部の原料ゴムに対して1質量部以上30質量部以下の比率で配合することが好ましい。1質量部以上でモノマーであるシルセスキオキサンの表面への移行が容易に確保され、より均一な表面層を形成できる。また、30質量部以下でモノマーであるシルセスキオキサンの表面への移行量が過剰になることによる表面層の膜厚の増大や、硬化処理後にも未硬化のモノマーが部材表面に染み出すことを特に抑制できる。なお、添加剤等を添加した後の混合物における原料ゴムの好ましい含有率は、40質量%以上85質量%以下である。また、シルセスキオキサンと原料ゴムとの混合物(混合物)には、更に、弾性層の電気抵抗を調整する目的で導電剤を添加することが好ましい。導電剤の例を以下に挙げる。炭素材料(カーボンブラック、グラファイト等);酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属;酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電化した導電粒子等の電子導電剤や、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン性界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルべタイン等の両性イオン界面活性剤;過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩;トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩。
【0021】
さらに、原料ゴムには、前述したシルセスキオキサンの硬化(重合)開始剤に加えて、必要に応じてゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、分散剤等を添加することができる。
【0022】
(混合物の層の形成工程)
原料ゴムとシルセスキオキサンとの混合物の層を芯金の周面に形成する方法の具体例としては下記の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)押出機を用いて前記混合物のチューブを成形し、そのチューブに芯金を圧入する方法。
(2)前記混合物を、クロスヘッドを用いて芯金と共押し出しして、芯金の周面に混合物の層を形成する方法。
(3)芯金を装着したキャビティ内に前記混合物を射出成形する方法。
【0023】
中でも、上記(2)の方法は連続生産が容易で、工程数が少なく、低コストでの製造に適しており好ましい。図3にベント式押出機を使用した押出成形の概要を模式的に示す。押出機3は、シリンダー31内に、スクリューダム部37を有する押出スクリュー32を回転自在に内挿している。押出スクリュー32の先端側のシリンダー31端部にはクロスヘッド33が取り付けられている。また、シリンダー31にはベント口35が設けられており、ベント口35は不図示の真空ポンプへ接続されており、その真空ポンプによりシリンダー31内が真空引きされる。材料投入口34より投入された混合物は、押出スクリュー32の回転によりクロスヘッド33側へと搬送される。混合物は、シリンダー内を通過する際に、ベント口に接続された真空ポンプにより揮発分が除去される。これにより、この後の工程で、成形体を加熱処理した場合に、混合物の層中の揮発分が加硫時の熱で気化することにより発生する気泡(ボイド)を防止できる。
【0024】
クロスヘッドへと搬送された未加硫ゴム(混合物)は、不図示の芯金供給装置より供給された芯金11の外周に積層され、クロスヘッド先端のダイス36を通り、芯金11と共に共押出される。この時、芯金供給装置から供給される芯金の送り速度を連続的に変化させることにより、クラウン形状の未加硫ゴムローラを形成することが出来る。すなわち、芯金先端部がダイス出口を通過し、芯金中央部かダイス出口を通過するまでの間は送り速度を遅く、また、芯金中央部がダイス出口を通過し、芯金後端部か通過するまでの間に送り速度を早く変化させる。この芯金送り速度の調速により、未加硫ゴムローラ中央直径が、未加硫ゴムローラ両端直径より円弧状に大きいクラウン形状の混合物の層が形成される。
【0025】
<工程B>
工程Bにおいては、工程Aに係る混合物の層中のシルセスキオキサンの少なくとも一部を、混合物の層の表面に移行(ブリード)させ、混合物の層の表面側にシルセスキオキサンを偏在させる。シルセスキオキサンの混合物の層の表面へのブリードは原料ゴムの活発な分子運動によって促進される。そのため、ブリード工程は混合物の層を加熱することより行なうことが好ましい。加熱条件の1つの目安としては、例えば、混合物の層の温度を50℃以上250℃以下の温度範囲に10分以上60分以下維持することが挙げられる。工程Bにおける加熱処理は連続加熱炉で行うことが好ましい。連続加熱炉を使用することで、混合物の層の形成工程からブリード工程の加熱処理まで、連続一環生産が可能となる。図4には、押出機3から押出された未加硫ゴムローラの連続加熱装置例の概要を模式的に示した。押出機3により、芯金11の外周に未加硫ゴムが積層された成形体は、不図示の搬送コンベアーによって、連続加熱炉4へ連続的に搬送される。連続加熱炉4は予め所定の温度に保たれており、搬送されるスピードと連続加熱炉4の長さにより、所定の時間加熱処理される。本発明において使用される連続加熱炉は2つの領域からなる構成とすることが好ましく、成形体入口側領域41と成形体出口側領域42は、それぞれ異なる温度に設定可能である。また、これらの温度設定を同一温度とすることも可能である。
【0026】
原料ゴムに熱硬化性のポリマーを用いる場合、工程Bと、熱硬化性ポリマーを架橋させる工程、すなわち、後述する工程Dとを同時に行うことが出来る。架橋反応によってベースポリマーの分子運動性が低下してモノマー(シルセスキオキサン)の移行速度が低下する傾向を抑制する観点から以下の方法が好ましい。すなわち、モノマーの混合物の層表面の移行とベースポリマーの架橋反応を効率的に行う為、成形体入口側41を低温、成形体出口側42を高温とすることが好ましい。低温側はモノマーの硬化温度未満でベースポリマーの架橋が充分に完了しない温度および時間設定とすることで、モノマーの移行を完了させる。高温側はベースポリマーの架橋が充分に完了する温度および時間設定とする。以上により、モノマーの移行(工程B)とベースポリマーの架橋反応(工程D)とを連続的に行い、加硫ゴムローラを得ることが出来る。
【0027】
<工程C>
工程Cにおいては、工程Bにおいて前記混合物の層の表面にブリードさせた前記シルセスキオキサンを硬化させる。
【0028】
シルセスキオキサンの硬化には、加熱、紫外線照射および電子線等の放射線照射から選ばれるいずれか1つ、またはこれらの組み合わせによって行なうことができる。シルセスキオキサンを加熱処理により硬化させる場合、シルセスキオキサンのブリード(工程B)とシルセスキオキサンの硬化(工程C)とを連続して同一装置で行うことも可能である。
【0029】
シルセスキオキサンの硬化は、形成されるシルセスキオキサンの架橋物の架橋密度を高くすることが可能な放射線処理を用いることが好ましい。表面層の架橋密度を特に高くすることによって、帯電ローラの弾性層からの低分子成分のブリードをより確実に抑制できる。また、帯電部材の表面の摩擦係数を低下させられるため、トナーや外添剤の表面への付着をより有効に抑制できる。特に、電子線照射は架橋効率が特に高く、硬化時間を特に短縮することが可能であり、重合開始剤の添加の観点からもより好ましい。また、放射線の透過深さが紫外線と比較して深く、処理膜厚を厚く出来ることから、より一層好ましい。
【0030】
図5に電子線照射装置例の概略図を示す。本発明に用いることのできる電子線照射装置はローラ(既に工程BおよびDを行っている場合は加硫ゴムローラ)を回転させながら混合物の層の表面に電子線を照射するものである。また、電子線照射装置は図5に示すように、電子線発生部51と照射室52と照射口53とを備えている。電子線発生部51は、電子線を発生するターミナル54と、ターミナル54で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管55とを有するものである。また電子線発生部の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、不図示の真空ポンプ等により10-6Torr以上10-7 Torr以下(133×10-6Pa以上133×10-7Pa以下)の真空に保たれている。不図示の電源によりフィラメント56に電流を通じて加熱するとフィラメント56は熱電子を放出し、この熱電子のうち、ターミナル54を通過したものだけが電子線として有効に取り出される。そして、電子線の加速電圧により加速管55内の加速空間で加速された後、照射口箔57を突き抜け、照射口53の下方の照射室52内を搬送されるローラ58に照射される。ローラ58に電子線を照射する場合には、照射室52の内部は窒素雰囲気とすることができる。また、ローラ58はローラ回転用部材59で回転させて照射室内を搬送手段により、図5において左側から右側に移動する。尚、電子線発生部51及び照射室52の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、不図示の鉛遮蔽が施されている。照射口箔57は金属箔からなり、電子線発生部内の真空雰囲気と照射室内の空気雰囲気とを仕切るものであり、また照射口箔57を介して照射室内に電子線を取り出すものである。ローラの照射に電子線を用いる場合には、上述した通り、ローラが電子線を照射される照射室52の内部は窒素雰囲気とすることができる。よって、電子線発生部51と照射室52との境界に設ける照射口箔57は、ピンホールがなく、電子線発生部内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があり、電子線が透過しやすいことが望ましい。その為、照射口箔57は比重が小さく、肉厚の薄い金属が望ましい。電子線の線量は、下記で定義される。
【0031】
線量(kGy)=[装置定数K×電子電流(mA)]/処理スピード(m/min)。
【0032】
ここで、装置定数Kは、装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標となる。例えば本来、電子線照射装置では、K=18以上とすることが求められる。したがって、一定の電子電流と処理スピードに対して、加速電圧を変えて線量を測定し、これから得られる装置定数Kが所定の値以上になるような加速電圧を求めることより、加速電圧を設定することができる。電子線の線量については、表面処理の効果に応じて適宜選択すれば良い。その調節は、電子電流、処理スピードのいずれでも行う事が可能であり、所望の線量が得られるように決めればよい。例えば、あらかじめ線量フィルムを用いてある電子電流・処理スピードでの線量を測定し装置定数Kを算出して、それを基に電子線の線量を算出することができる。
【0033】
本発明に係るシルセスキオキサンの架橋物の形成は、形態観察及び表面分析のいずれか、または両方により確認することができる。形態観察としては光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などの観察から表面層の形成を確認する方法がある。表面分析としては、フーリエ変換赤外分光硬度計のATR法、複合表面分析装置(ESCA)、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)等の表面分析装置により、帯電部材表面と内部の組成とを比較することによりシルセスキオキサンの架橋物の存在を確認できる。
【0034】
<工程D>
本発明においては原料ゴムに用いる材料に応じて、工程(D)として、前記混合物の層中の原料ゴムを加硫し弾性体層を形成する工程を行なってもよい。すなわち、原料ゴムとして熱硬化型のゴムを使用した場合、工程Dとして、当該熱硬化型のゴムの硬化工程を行ない、帯電部材の硬度等の調整を行なうことができる。工程Dは、工程AとBとの間、工程BとCとの間、または工程Cに続いて行うことができる。さらに、工程Dは、工程Bと同時に、または工程Cと同時に行うことも可能である。ただし、前述したようにシルセスキオキサンのブリードは混合物の層中の原料ゴムの分子運動を大きいほど促進される。そのため、工程Dは、工程Bの後に行なうことが好ましい。弾性体層の架橋工程は、通常、加熱処理にて行われ、その温度は120℃以上250℃以下で5分以上60分以下の時間実施される。さらに、弾性体層の架橋工程を、電子線照射にて行うことも可能である。
【0035】
<<電子写真装置>>
図2には、本発明で製造される帯電部材を用いることのできる電子写真装置の概略構成を示す。21は被帯電体としての電子写真感光体であり、図2の電子写真感光体は、アルミニウムなどの導電性を有する支持体21bと、支持体21b上に形成した感光層21aとを基本構成層とするドラム形状の電子写真感光体である。電子写真感光体21は、軸21cを中心に図上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。1は帯電ローラであり、本発明で製造される帯電部材を用いることができる。帯電ローラ1は電子写真感光体21に接触配置されて電子写真感光体を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)する。帯電ローラ1は、芯金11と、芯金11上に形成した弾性層12と、弾性層12上に形成された不図示のシルセスキオキサンの架橋物(図1中の13)とからなり、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。電源23で摺擦電源23aにより、芯金11の所定の直流(DC)バイアスが印加されることで電子写真感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。その静電潜像は、次いで、現像部材25により、トナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から電子写真感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写されていく。図2の転写手段26は転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、不図示の、転写部への再搬送手段へ搬送される。像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて電子写真感光体ドラム上の残留電荷が除去(除電)される。除電された電子写真感光体21の周面は、クリーニング部材29で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。帯電ローラ1は面移動駆動される電子写真感光体21に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体21の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。本発明で製造される帯電部材は、帯電ローラ以外に、現像部材、転写部材、除電部材や、給紙ローラなどの搬送部材としても使用可能である。
【実施例】
【0036】
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。また、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味し、試薬等は特に指定のないものは市販の高純度品を用いた。
【0037】
<実施例1>
(工程A−混合物の調製)
下記表1の材料を、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて、充填率70vol%、ブレード回転数35rpmで16分間混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0038】
【表1】

【0039】
次いで、下記表2の材料を、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールにて、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpm、ロール間隙2mmで、左右の切り返しを合計20回実施した。その後、ロール間隙を0.5mmとして薄通し10回を行い、原料ゴムの混合物を得た。
【0040】
【表2】

【0041】
(工程A−混合物の層の形成)
直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部228mmに導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU−20;東洋化学研究所製)を塗布し、80℃で30分間乾燥した。次に、上記混合物を、クロスヘッドを用いた押出成形によって、芯金を中心として同軸状に円筒形に同時に押出し、芯金の外周に混合物がコーティングされた未加硫ゴムローラを作製した。その際、押出機は、シリンダー直径45mm(Φ45)、L/Dが20の押出機を使用し、押出時の温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。また、押出時に芯金送り速度の調速を実施し、端部直径8.4mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状の混合物の層を有する未加硫ゴムローラとした。
【0042】
(工程BおよびD−ブリード工程および原料ゴムの架橋工程)
形成した未加硫ゴムローラの混合物の層の両端を切断し、混合物の層部分の軸方向幅を232mmとした後、連続加熱炉に投入しシルセスキオキサンを混合物の層の表面に移行させるとともに、弾性層の加硫も同時に行い、加硫ゴムローラを得た。その際、連続炉は2つの温度領域を有する加熱炉を使用し、初めに120℃30分、続いて160℃30分の熱処理を行った。
【0043】
(工程C)
得られた加硫ゴムローラの表面に電子線(EB)を照射し、シルセスキオキサンを硬化させ、表面にシルセスキオキサンの硬化物を有する帯電ローラを得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:150kV、電子電流:20mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。
【0044】
(シルセスキオキサンの硬化物の形成の確認)
上記帯電ローラについて、表面にシルセスキオキサンの架橋物が存在することを以下の方法により確認した。分析装置として顕微IR(商品名:AIM−8000R)を接続したFTIR−8300(商品名、島津製作所製)を使用した。また、ゲルマニウムプリズムを使用して全反射測定法(ATR法)により測定を行った。測定は帯電ローラ表面と、帯電ローラの表面から深さ方向に0.5mm切り取った弾性層について行い、表面と内部の赤外吸収スペクトルの分析を行い、シルセスキオキサン由来のピーク強度を比較した。その結果、帯電ローラ表面の測定において、弾性層内部の測定と比較して、シルセスキオキサンの硬化物に由来する強い赤外吸収のピーク(1080cm-1)が見られた。これによりシルセスキオキサンの架橋物が表面に存在していることを確認した。
【0045】
(リユース性(画像特性)評価)
作製した帯電ローラと、電子写真感光体とを、これらを一体に支持するプロセスカートリッジに組み込んだ。このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用の電子写真装置(商品名:Color LaserJet 2025dn ヒューレット・パッカード製)に組込み耐久評価を行った。評価は、15℃/10%RH(相対湿度)環境下で行い、4%の印字濃度で3000枚プリントを行った。その後、帯電ローラを取り出し、その表面を、水を染み込ませた不織布で拭取って、帯電ローラ表面の付着物を除去した。清掃後の帯電ローラを23℃/50%RH環境下で24時間放置乾燥させた後、再度、新品のプロセスカートリッジに組込み、耐久評価を行った。1サイクル目の耐久評価と同様の電子写真装置に組込み、15℃/10%RH環境下で行い、4%の印字濃度で3000枚プリントを行った。その後、出力したハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)の均一性を目視することにより、画像評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
A:帯電ローラのキズや、トナーや外添剤が付着することに起因する画像不良が出ていないもの。
B:上記の画像不良が極わずかに発生したもの。
C:上記の画像不良がわずかに発生したもの。
D:上記の画像不良がはっきりと発生したもの。
【0046】
<実施例2>
実施例1のA練りゴム組成物の調製に用いたシルセスキオキサンをオキセタニル基含有シルセスキオキサン(商品名:OX−SQ(SI−20)、東亞合成株式会社製):5質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして未加硫ゴムローラを形成した。形成した未加硫ゴムローラについて、連続加硫炉の温度条件を初めに120℃30分、続いて180℃30分に変更した以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作製した。上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物が表面に存在することを確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0047】
<実施例3>
実施例1のA練りゴム組成物の調製に用いた材料において以下の点を変更した。原料ゴムを同質量部数のSBR(商品名:Nipol 1507、日本ゼオン株式会社製)に変更した。また、シルセスキオキサンをオキセタニル基含有シルセスキオキサン化合物(商品名:OX−SQ(TX−100)、東亞合成株式会社製):5質量部に変更した。また、実施例1の混合物の調製に用いた材料において以下の点を変更した。加硫促進剤であるテトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名:PERKACIT−TBzTD、FLEXSYS社製)の質量部数を1質量部に変更した。さらに、加硫促進剤として、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンイミド(商品名:SANTOCURE−TBSI(TBSIと略記する)、FLEXSYS社製):1.0質量部を加えた。それら以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラを使用し、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物の存在を確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0048】
<実施例4>
実施例2のA練りゴム組成物の調製において、シルセスキオキサンを同質量部数のオキセタニル基含有シルセスキオキサン(商品名:OX−SQ(ME−20)、東亞合成株式会社製)に変更した。それ以外は、実施例2と同様にして帯電ローラを成形した。得られた帯電ローラについて、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物の存在を確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0049】
<実施例5>
実施例1のA練りゴム組成物の調製において、開始剤であるα−ヒドロキシケトン(商品名:DAROCURE 1173、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製):1質量部をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして加硫ゴムローラを成形した。得られた加硫ゴムローラの表面に紫外線(UV)を照射し、シルセスキオキサンを硬化させて帯電ローラを得た。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用い、254nmの波長の紫外線を積算光量が15000mJ/cm2になるように照射した。なお、加硫ゴムローラはローラ回転用部材により、60rpmのスピードで回転させながら紫外線を照射した。紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
【0050】
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[s]。
【0051】
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などで行うことが可能であり、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−A(商品名)を用いて測定した。得られた帯電ローラについて、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物の存在を確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0052】
<実施例6>
実施例3のA練りゴム組成物の調製に用いた原料ゴムを同質量部数のBR(商品名:Nipol BR1220L、日本ゼオン株式会社製)に変更し、シルセスキオキサンを同質量部数の実施例1で用いたシルセスキオキサンに変更した。それら以外は実施例3と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラについて、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物の存在を確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0053】
<実施例7>
実施例6のA練りゴム組成物の調製に用いた原料ゴムを同質量部数のEPDM(商品名:エスプレン 5754、住友化学株式会社製)に変更した。それ以外は、実施例6と同様にして未加硫ゴムローラを形成した。形成した未加硫ゴムローラについて、連続加硫炉の温度条件を初めに120℃30分、続いて180℃30分に変更した以外は実施例6と同様にして帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラについて、実施例1と同様にシルセスキオキサンの硬化物の存在を確認した。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0054】
<比較例1>
実施例1のA練りゴム組成物の調製に用いたシルセスキオキサンを同質量部数の下記化学式(2)で表される1官能アクリレートモノマー(商品名:NKエステル LA、新中村化学工業社製)に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを成形した。
【0055】
【化1】

【0056】
上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0057】
<比較例2>
実施例1のA練りゴム組成物の調製に用いたシルセスキオキサンを同質量部数の下記化学式(3)で表される2官能アクリレートモノマー(商品名:NKエステル A−HD、新中村化学工業社製)に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを成形した。
【0058】
【化2】

【0059】
上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0060】
<比較例3>
シルセスキオキサンを配合しない以外は、実施例1と同様にして加硫ゴムローラを成形した。得られた加硫ゴムローラの表面を実施例5と同様の方法で紫外線照射して帯電ローラを得た。この帯電ローラについて、実施例1と同様にリユース性評価を実施した。
【0061】
実施例及び比較例に係る帯電ローラの処方を表3に、製造条件を表4に、また評価結果を表5にまとめた。
【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
比較例1、2に係る帯電ローラは表面にシルセスキオキサンの硬化物が形成されておらず、得られた帯電ローラのリユース性評価で画像評価結果がCランク以下であった。また、比較例3は、シルセスキオキサンを含まずに紫外線照射による表面改質を行った例であるが、弾性体表面の摩擦係数や粘着性の低減効果が充分でなく、表面硬度も低い為、リユース性評価で画像評価結果がDランクである。実施例1〜7は本発明で製造した帯電ローラであり、リユース性評価での画像評価結果がBランク以上であり、良好な画像が得られている。
【符号の説明】
【0066】
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性層
13 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つの原料ゴムと、シルセスキオキサンとを含む混合物の層を芯金上に形成する工程と、
(B)該混合物の層の表面に、該混合物の層中のシルセスキオキサンをブリードさせる工程と、
(C)該混合物の層の表面にブリードさせたシルセスキオキサンを硬化させる工程と、
を有することを特徴とする帯電部材の製造方法。
【請求項2】
前記シルセスキオキサンが、分子内にオキセタニル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも一方を有する請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cが、前記混合物の層の表面に電子線を照射する工程を含む請求項1または2に記載の帯電部材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−154192(P2011−154192A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15695(P2010−15695)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】