説明

帯電部材及びこれを用いた画像形成装置

【課題】 帯電部材の使用後、きわめて簡単な作業で転写部材として再利用可能とする。
【解決手段】 帯電ローラ31fは、芯金31f1の外周に、高抵抗層である導電性ゴム層31f2を被覆し、この導電性ゴム層31f2の外周に、低抵抗層であるチューブ状導電層31f3を被着した構造となっており、チューブ状導電層31f3の内面が導電性ゴム層31f2の表面に圧着した状態で一体化されている。また、チューブ状導電層31f3の両端部までの長さが導電性ゴム層31f2の両端部までの長さより長く形成されており、このチューブ状導電層31f3の長くした端部f3Aが縮径された状態で、芯金31f1に導電性接着剤にて接着されている。さらに、このチューブ状導電層31f3の端部f3Aには、芯金31f1の軸芯方向に沿って所定長さの切欠き部f3A1が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置に用いられる帯電部材及びこの帯電部材を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機・レーザプリンタ・ファクシミリなどの電子写真方式を用いた画像形成装置においては、放電時に発生するオゾンの量がコロナチャージャーを用いる場合に比べて少ないというメリットがあることより、帯電ローラや転写ローラが用いられている。これらの帯電ローラや転写ローラは、従来、ほとんど再利用されずに廃棄されていた。そのため、地球資源の節約、環境保護という観点より、これらを再利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術は帯電ローラに関する再利用の技術であって、多層構造の帯電ローラの表面層である半導電性チューブの一端または両端の長さを下層より長くし、この長くした端部に切欠きを設けた構成としたものであり、使用後に表面層を剥離し、表面層のみを新しい表面層に交換して、再び帯電ローラとして再利用するものである。
【特許文献1】特開平8−137185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面に半導電性チューブを有する帯電部材において、帯電特性の劣化により使用不可と判断された場合、チューブを剥離し再度新品チューブを被覆させる必要がある。この場合、実際にチューブの再被覆を行うためには、所定の圧入装置や熱収縮装置が必要であるため、複写装置の設置されている現場から例えばサービスマン等が帯電部材を取り外して一旦持ち帰り、圧入装置や熱収縮装置のあるところで使用後のチューブの剥離と新品チューブの再被覆の作業を行う必要があった。そのため、帯電ローラの再利用には手間と時間がかかるといった問題があった。また、上記の帯電ローラは帯電以外の用途、例えば転写ローラとしては実際に使用出来ず、再利用の対象が帯電ローラのみに限定されてしまうといった問題もあった。
【0005】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、帯電部材の使用後、きわめて簡単な作業で転写部材として再利用可能とした帯電部材及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の帯電部材は、少なくとも導電性支持体上に設けられた第1の半導電層と、この第1の半導電層上に設けられた第2の半導電層とからなり、第2の半導電層の体積抵抗率が第1の半導電層の体積抵抗率よりも低く形成されているとともに、第2の半導電層が第1の半導電層に対して剥離可能に設けられていることを特徴とする。この場合、第2の半導電層は、静電潜像担持体(感光体ドラム)に帯電を付与するのに望ましい所定の抵抗値に形成する。これにより、帯電部材として安定した帯電を行うことができる。
【0007】
第2の半導電層は、第1の半導電層上に圧着して形成されている。このように、第2の半導電層を第1の導電層上に圧着して形成しているため、帯電ローラ径の真円度が保たれ安定化した帯電特性が得られる。さらに、静電潜像担持体である感光体ドラムとの接触回転による第2の半導電層自体のシワやねじれを防止し、帯電ムラの発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0008】
また、第2の半導電層の一端または両端の長さが第1の半導電層の長さより長く形成されており、この第2の半導電層の長くした端部が導電性支持体に接着されている。さらに、第2の半導電層の長くした端部に切欠き部が設けられた構成となっている。
【0009】
第2の半導電層は、画像形成に伴い、抵抗値変化やクリーニング残トナーによる汚れ、感光体ドラムとの接触による磨耗、傷等によって帯電電位の低下や帯電ムラ、感光体ドラムへのリークによる画像劣化が生じる。このため、画像濃度不足や濃度ムラ、リーク等の発生により、帯電ローラとして最も重要な機能である帯電特性の劣化により寿命と判断された場合には、この第2の半導電層を剥離することができる。この場合、第2の半導電層の長くした端部に切欠き部が設けられているので、この切欠き部から引き裂くようにすることで、第2の半導電層を容易に剥離することができる。
【0010】
また、第1の半導電層は、静電潜像担持体上のトナー画像を用紙に転写するのに望ましい所定の抵抗値に形成しておく。これにより、第2の半導電層を剥離した後の帯電ローラは、そのまま新品の転写ローラとして使用することができ、本転写ローラにより安定した転写が行われる。つまり、本発明によれば、帯電ローラから転写ローラへの再利用が可能となる。ただし、使用後の第2半導電層を剥離後、新品の第2半導電層を再び圧着することで、再度帯電ローラとして使用できることは当然である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の帯電部材及び画像形成装置によれば、画像濃度不足や濃度ムラ、リーク等の発生により、帯電ローラとして最も重要な機能である帯電特性の劣化により寿命と判断された場合には、表面層である第2の半導電層を剥離することができる。この場合、第2の半導電層の長くした端部に切欠き部が設けられているので、この切欠き部から引き裂くようにすることで、第2の半導電層を容易に剥離することができる。また、第1の半導電層を、静電潜像担持体上のトナー画像を用紙に転写するのに望ましい所定の抵抗値に形成しておけば、第2の半導電層を剥離した後の帯電ローラは、そのまま新品の転写ローラとして再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態では、本発明の帯電部材を用いた画像形成装置を複合機に適用した場合について説明する。
【0014】
−複合機の全体構成の説明−
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としての複合機1の内部構成の概略を示している。複合機1は、記録用紙(OHP等の記録媒体を含む。)に画像を形成する画像形成モードとしてコピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザによって選択される。
【0015】
この複合機1は、原稿読取部としてのスキャナ部2、画像形成部3及び原稿自動給紙部4を備えている。以下、各部について説明する。
【0016】
<スキャナ部2の説明>
スキャナ部2は、透明なガラス等で成る原稿台41上に載置された原稿の画像や原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22,23,24、結像レンズ25、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)26を備えている。
【0017】
上記露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22,23,24は、図1に一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
【0018】
原稿の画像読取動作として、上記原稿台41上に原稿が載置された場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21及び各反射鏡22,23,24が原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21及び各反射鏡22,23,24が図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
【0019】
上記各反射鏡22,23,24で反射されて結像レンズ25を通過した光は光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
【0020】
<画像形成部3の説明>
画像形成部3は、画像形成系31と用紙搬送系32とを備えている。
【0021】
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31a及びドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、上記光電変換素子26において変換された原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。感光体ドラム31bは、図1中に矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0022】
また、感光体ドラム31bの外周囲には、上記レーザスキャニングユニット31aの他に、現像装置(現像機構)31c、転写ローラ31dを有する図示しない転写ユニット(転写機構)、クリーニング装置(クリーニング機構)31e、図示しない除電器、帯電ローラ31fを有する図示しない帯電ユニットが周方向に亘って順に配設されている。現像装置31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ローラ31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての記録用紙に転写するものである。クリーニング装置31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するようになっている。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ローラ31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるものである。
【0023】
このため、記録用紙に画像を形成する際には、帯電ローラ31fによって感光体ドラム31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射する。その後、現像装置31cが感光体ドラム31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写ローラ31dによって、トナー像が記録用紙に転写される。更に、その後、感光体ドラム31bの表面に残留したトナーはクリーニング装置31eによって除去されると共に、感光体ドラム31bの表面の残留電荷が除電器によって除去される。これにより、記録用紙への画像形成動作(印刷動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録用紙に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0024】
一方、用紙搬送系32は、用紙収容部としての用紙カセット33に収容された記録用紙、または手差トレイ34に載置された記録用紙を1枚ずつ搬送して上記画像形成系31による画像形成を行わせると共に、画像形成された記録用紙を用紙排出部としての排紙トレイ35へ排出するものである。
【0025】
この用紙搬送系32は、主搬送路36と反転搬送路37とを備えている。主搬送路36の一端側は2つに分岐されており、一方の分岐端は用紙カセット33の排出側に対向していると共に、他方の分岐端は手差トレイ34の排出側に対向している。また、主搬送路36の他端は排紙トレイ35に対向している。反転搬送路37は、一端が転写ローラ31dの配設位置よりも上流側(図中下側)で主搬送路36に繋がっていると共に、他端が転写ローラ31dの配設位置よりも下流側(図中上側)で主搬送路36に繋がっている。
【0026】
主搬送路36の一方の分岐端(用紙カセット33の排出側に対向する部分)には断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されている。このピックアップローラ36aの回転により、用紙カセット33に収容されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。同様に、主搬送路36の他方の分岐端(手差トレイ34の排出側に対向する部分)には断面が半円状のピックアップローラ36bが配設されている。このピックアップローラ36bの回転により、手差カセット34に載置されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
【0027】
この主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36dが配設されている。このレジストローラ36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と記録用紙との位置合わせを行いながら記録用紙を搬送するものである。
【0028】
また、レジストローラ36dの配置位置よりもさらに上流側であって、主搬送路36の分岐部よりも下流側には、搬送されてきる記録用紙の端部を検出する用紙検出器36cが配設されている。用紙検出器36cは、後述する記録用紙の重送を検出する重送検出手段としての役目と、記録用紙の後端を検知する後端検知手段としての役目を担っている。
【0029】
主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも下流側には、記録用紙に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の定着ローラ39a,39bを備えた定着装置39が配設されている。更に、主搬送路36の下流端には、記録用紙を排紙トレイ35に排紙するための排出ローラ36eが配設されている。
【0030】
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1に実線で示す第1位置とこの第1位置から図中反時計回り方向に回動して反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには記録用紙が排紙トレイ35に向けて搬送され、第2位置にあるときには記録用紙が反転搬送路37へ供給可能となっている。反転搬送路37には搬送ローラ37aが配設されており、記録用紙が反転搬送路37に供給された場合(所謂スイッチバック搬送により記録用紙が反転搬送路37に供給された場合)には、この搬送ローラ37aによって記録用紙が搬送され、レジストローラ36dの上流側で記録用紙が反転されて再び転写ローラ31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、記録用紙の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
【0031】
なお、上記構成の画像形成部3において、用紙カセット33、手差トレイ34、ピックアップローラ36a,36b、用紙検出器36c、レジストローラ36dを含めて、以後、記録用紙給紙部ともいう。
【0032】
<原稿自動給紙部4の説明>
次に、原稿自動給紙部4について説明する。この原稿自動給紙部4は、所謂自動両面原稿搬送装置として構成されている。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿載置部としての原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排出部としての原稿排紙トレイ45及び各トレイ43,44,45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
【0033】
上記原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
【0034】
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には原稿ピックアップローラ47a及び捌きローラ47bが配設されている。捌きローラ47bの下側には捌き板47cが配設されており、原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚がこの捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図中B部分)よりも下流側にはPSローラ47e,47eが配設されている。このPSローラ47e,47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、このPSローラ47e,47eは原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、上記タイミングを調整して原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
【0035】
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e,47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、上記露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。この際、上記スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。上記原稿押え板42bの背面(上面)には図示しないコイルスプリングによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触しており、原稿が原稿読取部42を通過する際にプラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
【0036】
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42a上を通過した原稿が搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gを経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙される構成となっている。
【0037】
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図中実線で示すポジション1とこのポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g,47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
【0038】
−本発明に関わる帯電ローラの説明−
図2は、感光体ドラム31bの周辺に配置された帯電ローラ31fと転写ローラ31dの位置関係を示している。また、図3は、帯電ローラ31fの形状及び構造を示している。この例では、帯電ローラ31fは感光体ドラム31bに接触する接触方式の帯電ローラであり、感光体ドラム31bの軸芯方向(図中紙面に対して垂直方向)に平行に配置されており、所定の押圧力で感光体ドラム31bに圧接されている。同様に、転写ローラ31dも感光体ドラム31bの軸芯方向(図中紙面に対して垂直方向)に平行に配置されており、所定の押圧力で感光体ドラム31bに圧接されている。
【0039】
帯電ローラ31fは、例えばφ8mmの導電性の回転軸である芯金(例えば、ステンレス(SUS304))31f1の外周に、高抵抗層である導電性ゴム層(例えば、エピクロルヒドリンゴム)31f2を被覆し、この導電性ゴム層31f2の外周に、低抵抗層であるチューブ状導電層(例えばウレタン)31f3を被着した構造となっている。
【0040】
高抵抗層である導電性ゴム層31f2は、ウレタン、EPDM、シリコーン、クロロプレン等のスポンジ状またはソリッド状の導電性ゴム層導電材として、導電性カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アルミ等の金属粉やアルカリ金属塩、アンモニウム塩等のイオン導電性を有する材料を用いた。体積抵抗率としては、感光体ドラム31b上のトナー画像を用紙に転写可能な所定の抵抗値、例えば106〜1010Ω・cmが好ましい。また、ゴム硬度としては、アスカC硬度30〜90度の範囲が好ましい。本例では、ウレタンゴムに導電性カーボンを加えた、抵抗値108Ω・cm、アスカC硬度50度のスポンジ状の厚さ3mmのウレタンゴムを層状とした。
【0041】
低抵抗層であるチューブ状導電層31f3は、ナイロン、ウレタン、エラストマー、フッ素等の樹脂に同上の導電性材料を用いた。体積抵抗率としては、104〜108Ω・cmが好ましい。また、厚さは10〜300μm、表面粗さは20μm以下のものが好ましい。本例では、ナイロン樹脂にアルカリ金属塩を加えて106Ω・cmで厚さ150μm、表面粗さRz5.0μmのチューブ状とした。
【0042】
このような構成の帯電ローラ31fは、チューブ状導電層31f3の内面が導電性ゴム層31f2の表面に圧着した状態で一体化されている。また、本実施形態では、チューブ状導電層31f3の両端部までの長さが導電性ゴム層31f2の両端部までの長さより長く形成されており、このチューブ状導電層31f3の長くした端部f3Aが縮径された状態で、芯金31f1に導電性接着剤にて接着されている。さらに、このチューブ状導電層31f3の端部f3Aには、芯金31f1の軸芯方向に沿って所定長さの切欠き部f3A1が形成されている。この切欠き部f3Aは、使用済となったチューブ状導電層31f3を導電性ゴム層31f2から剥がすときに剥がし易くするためのものである。そのため、その本数については1本でもよいが、複数本設けてもよい。そして、剥がした後は、導電性ゴム層21f2の体積抵抗率が、上記したように、感光体ドラム31b上のトナー画像を用紙に転写可能な所定の抵抗値に設定されているので、そのまま転写ローラ31dとして再使用することが可能となる。
【0043】
このような構成の帯電ローラ31fは、次のようにして作製することができる。
【0044】
すなわち、チューブ状導電層31f3内に圧縮エアーを吹き込み、チューブの内径を広げながら、芯金31f1と高抵抗層である導電性ゴム層31f2とを挿入する。次に、全体を加熱してチューブ状導電層31f3を熱収縮させることにより、チューブ状導電層31f3の両端部f3Aを芯金31f1に接触させ、かつ導電性接着剤を使用して接着する。これにより、φ14.3mmの帯電ローラ31fとすることができる。
【0045】
一方、感光体ドラム31bは、アルミニウムの基材31b1上に、感光層として有機光導電体を用いたOPC(Organic Photoconductor)31b2が積層された構造となっている。この感光体ドラム31bに帯電ローラ31fが圧接されており、帯電ローラ31fは、感光体ドラム31bに従動回転するようになっている。そして、帯電ローラ31fの芯金31f1に定電圧電源51より定電圧(例えば、−1200V)を印加し、芯金31f1からチューブ状導電層31f3への直接通電により感光体ドラム31bの表面電位V0として−600Vを得ることができた。
【0046】
なお、図4は、帯電ローラ31fを感光体ドラム31bに対して約120μm以下の微小ギャップSを形成した非接触方式の用いれ例である。このように非接触方式とした場合でも、上記の接触方式と同一条件により感光体ドラム31fの表面電位V0として−600Vを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る帯電部材を用いた画像形成装置としての複合機の内部構成の概略構成図である。
【図2】感光体ドラムの周辺に配置された接触方式の帯電ローラと転写ローラの位置関係を示す概略構成図である。
【図3】帯電ローラの形状及び構造を示しており、(a)は軸心方向に沿った断面図、(b)は一端部の拡大図である。
【図4】感光体ドラムの周辺に配置された非接触方式の帯電ローラと転写ローラの位置関係を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 複合機
2 スキャナ部
3 画像形成部
4 原稿自動給紙部
31 画像形成系
31a レーザスキャニングユニット
31b 感光体ドラム
31c 現像装置(現像機構)
31d 転写ローラ
31e クリーニング装置(クリーニング機構)
31f 帯電ローラ
51 定電圧電源



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも導電性支持体上に設けられた第1の半導電層と、この第1の半導電層上に設けられた第2の半導電層とからなる帯電部材であって、
前記第2の半導電層の体積抵抗率が前記第1の半導電層の体積抵抗率よりも低く形成されているとともに、前記第2の半導電層が前記第1の半導電層に対して剥離可能に設けられていることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記第1の半導電層は、静電潜像担持体上のトナー画像を用紙に転写可能な所定の抵抗値に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記第2の半導電層が前記第1の半導電層上に圧着して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記第2の半導電層の一端または両端の長さが前記第1の半導電層の長さより長く形成されており、この第2の半導電層の長くした端部が前記導電性支持体に接着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項5】
前記第2の半導電層の長くした端部に切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の帯電部材。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の帯電部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−30565(P2006−30565A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208927(P2004−208927)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】