説明

帯電防止コーティング用組成物

【課題】乾燥するだけで成膜でき、透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性および導電性に優れた塗膜を形成できる帯電防止コーティング用組成物を提供する。
【解決手段】水溶性導電性高分子(A)と、バインダー樹脂(B)と、架橋剤(C)とを含むことを特徴とする帯電防止コーティング用組成物であって、前記架橋剤(C)がカルボキシル基またはその塩と反応し得る官能基を有することを特徴とする帯電防止コーティング用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基材への密着性、透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性、導電性に優れた塗膜を形成する帯電防止コーティング用組成物、並びに、それを塗布してなる帯電防止フィルムに関するものである。具体的には電子材料包装用のキャリアテープ、カバーテープ、およびトレイ、ならびにワープロ、コンピュータ、テレビなどの各種ディスプレイ、または偏光板などの光学部品の表面保護フィルム、電子部品の包装用などとして有用な帯電防止構成物が得られる帯電防止コーティング用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の半導体及び電子機器の微細化・高集積化に伴い、静電気の発生が加工製品への粉塵吸着や電気製品の誤作動などの問題を引き起こしている。このような静電気を効果的に除去するために、導電性物質を利用した帯電防止コーティング組成物を、部材へ直接塗布した帯電防止膜や、基材フィルムへ塗布した帯電防止フィルムとして使用することが提案されている。現在このような帯電防止コーティング組成物は、ディスプレイ素子の外面ガラスの帯電防止コーティング膜、半導体素子運搬用トレイ、偏光板及びバックライトユニットの保護フィルム、透明レンズのコーティング膜等の用途に使用されている。このような帯電防止機能を発現する材料として、カーボンブラック、金属粉、金属酸化物などの導電性粒子体組成物、π共役系導電性高分子、界面活性剤、イオン伝導系導電性高分子等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、このような導電性材料を含むコーティング液をプラスチック基材に塗布する場合、基材に対する透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性および帯電防止性などの性能を同時に満足する塗膜を得ることは容易ではない。
【0004】
たとえば、導電性粒子体組成物やπ共役系の導電性高分子を用いた場合、これらの材料が高価であるために高コストになることや、高透明性が損なわれてしまうという問題がある。一方、界面活性剤やイオン伝導系導電性高分子は材料が安価であり透明性も高いため、低コスト、高透明性の実現が可能である。しかし、安定した帯電防止性を発現させるためには多量の添加が必要であり、耐水性や耐溶剤性などの塗膜耐性を悪化させてしまうという問題がある。
【0005】
そこでカルボキシル基を持つイオン伝導系高分子と架橋剤を用いることで、耐水性、耐溶剤性に優れた塗膜を得る方法が提案されていたが(特許文献1参照)、実際は官能基を持つイオン伝導系高分子を単独でバインダーとして用いた場合、成膜性が悪く、透明性の高い塗膜は得られない。この成膜性を補うために水溶性ポリエステル樹脂を併用する方法が提案されていたが(特許文献2)、一般的に水溶性ポリエステル樹脂はカルボキシル基の量が十分でないため、実際は水溶性ポリエステルの添加量が増えるに従って塗膜の耐久性が悪化してしまう。そこで、高い塗膜の耐久性を得るために、十分な量のカルボキシル基を有するバインダー樹脂を併用する方法が考えられるが、一般的にこのような樹脂を用いた場合、バインダー樹脂によりイオン伝導系高分子の導電パスが阻害され、帯電防止性の悪化が生じるため、帯電防止性と膜耐性の両立が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−166109号公報
【特許文献2】特開平5−271524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、乾燥するだけで成膜でき、透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性および導電性に優れた塗膜を形成できる帯電防止コーティング用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式(1)で表される水溶性導電性高分子(A)と、
下記一般式(2)で表されるバインダー樹脂(B)と、
架橋剤(C)とを含むことを特徴とする帯電防止コーティング用組成物であって、
前記架橋剤(C)がカルボキシル基またはその塩と反応し得る官能基を有することを特徴とする帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0009】
一般式(1)
【化1】

【0010】
(式中、R1およびR2は、水素、カルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R1およびR2のうち少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R3およびR4は、水素またはメチル基を表し、Lはスルホン酸あるいはその塩を表し、nおよびmは整数であり、かつn/mの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
【0011】
一般式(2)
【化2】

【0012】
(式中、R5およびR6はカルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R5およびR6の少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R7およびR8は、水素またはメチル基を表し、pおよびqは整数であり、かつp/qの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
【0013】
また本発明は、水溶性導電性高分子(A)のR1およびR2がカルボキシル基あるいはその塩であり、かつR3およびR4が水素であることを特徴とする上記発明の帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0014】
また本発明は、水溶性導電性高分子(A)のR1およびR2がカルボキシル基あるいはその塩であり、かつR3およびR4が水素であることを特徴とする上記発明の帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0015】
また本発明は、バインダー樹脂(B)のR5およびR6がカルボキシル基あるいはその塩であり、かつR7およびR8が水素であることを特徴とする上記いずれかの発明の帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0016】
また本発明は、水溶性導電性高分子(A)を、組成物100重量%中に30〜70重量%含むことを特徴とする上記いずれかの発明の帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0017】
また本発明は、架橋剤(C)がアジリジン基を含有することを特徴とする上記いずれかの発明の帯電防止コーティング用組成物に関する。
【0018】
また本発明は、上記いずれかの発明の帯電防止コーティング用組成物から形成してなる帯電防止層を基材上に有することを特徴とする帯電防止構成物に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の帯電防止コーティング用組成物を用いた帯電防止フィルムは、低温・短時間の成膜が可能であり、さらに透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性および導電性が優れている。従って電子材料包装用のキャリアテープ、カバーテープ、およびトレイ、ならびにワープロ、コンピュータ、テレビなどの各種ディスプレイ、または偏光板などの光学部品の表面保護フィルム、電子部品の包装用などの帯電防止用途に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)は、下記一般式(1)で表される高分子である。具体的には、ベンゼンスルホン酸を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体とを共重合させて作製することができる。
【0021】
一般式(1)
【化3】

【0022】
(式中、R1およびR2は、水素、カルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R1およびR2のうち少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R3およびR4は、水素またはメチル基を表し、Lはスルホン酸あるいはその塩を表し、nおよびmは整数であり、かつn/mの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
【0023】
前記ベンゼンスルホン酸を有する重合性単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸あるいはこれらの塩等が挙げられる。
【0024】
前記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸等の(無水)ジカルボン酸等が挙げられる。
【0025】
前記重合性単量体の重合方法は、特に制限するものではなく、従来公知の方法が適用できる。具体的には、例えば、上記ベンゼンスルホン酸を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体とを、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)等を添加して加熱することにより、重合を行うことができる。
【0026】
また、本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)は、上記とは別の方法でも作製することができる。具体的には、例えば、ベンゼン環を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体とを重合して共重合物を作製し、この共重合物をスルホン化処理することによっても前記導電性高分子(A)を得ることができる。
【0027】
前記ベンゼン環を有する重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0028】
そして、前述の方法により重合性単量体を重合して共重合物を作成し、これに対してスルホン化処理を行う。このスルホン化処理の方法としては、特に制限するものではなく、従来公知の方法を適用することができる。具体的には、溶媒中に、前記共重合物を投入し、スルホン化剤を用いてスルホン化処理を行うものである。
【0029】
前記溶媒としては、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのクロロ炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、ジオキサン等が良好な溶媒として挙げられ、これらの中で、スルホン化剤と反応しにくく、中和時に塩を形成しないジクロロエタンなどを好適溶媒として挙げることができる。
【0030】
また、前記スルホン化剤としては、SO3、ルイス酸とSO3との錯体、クロロスルホン等が挙げられる。なお、上記溶媒中でのスルホン化剤の反応は、30℃以下の低温条件が好ましい。
【0031】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)として、特にスチレンスルホン酸あるいはその塩と、(無水)マレイン酸あるいはそのエステル化物またはアミド化物の繰り返し構造単位を有することが、帯電防止性と塗膜耐性のバランスが良いという理由から好ましい。
【0032】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)において、n/mの比率は0.1〜20の範囲から選ばれ、好ましくは、0.1〜10、更に好ましくは0.5〜5の範囲である。n/mの比率が0.1未満であると十分な導電性を得るのが困難である。またn/mが20を超えると、耐水性、耐溶剤性が悪化する恐れがある。
【0033】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)の分子量は、特に制限はないが、数平均分子量が2000〜15000の範囲が好ましく、より好ましくは5000〜10000の範囲であり、更に好ましくは5000〜8000の範囲である。水溶性導電性高分子(A)の数平均分子量が2000未満であると、十分な導電性、耐水性、耐溶剤性を得ることが困難になる恐れがある。また重量平均分子量が15000を超えると粘度が高すぎるために塗工性が悪化する恐れがある。
【0034】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)は実質的に水溶性を有するが、本発明で述べるところの実質的に水溶性とは、物理化学的に厳密なものを意味するのではなく、水に溶解および/または微分散するものも含む。以下、本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)の例として化学式(3)〜(9)を挙げるが、これに限定されるものではない。
【0035】
化学式(3) Mn=4000
【化4】

【0036】
化学式(4) Mn=5500
【化5】

【0037】
化学式(5) Mn=13000
【化6】

【0038】
化学式(6) Mn=8000
【化7】

【0039】
化学式(7) Mn=9000
【化8】

【0040】
化学式(8) Mn=6500
【化9】

【0041】
化学式(9) Mn=5500
【化10】

【0042】
なお、Mnは数平均分子量を表し、ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算で表したGPC(測定機:HLC−8020 東ソー社製)による測定値によるものである。
【0043】
本発明で使用されるバインダー樹脂(B)は、下記一般式(2)で表される高分子である。具体的には、ベンゼン環を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体とを共重合させて作製することができる。
【0044】
一般式(2)
【化11】

【0045】
(式中、R5およびR6はカルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R5およびR6の少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R7およびR8は、水素またはメチル基を表し、pおよびqは整数であり、かつp/qの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
【0046】
前記ベンゼン環を有する重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0047】
前記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸等の(無水)ジカルボン酸等が挙げられる。
【0048】
前記重合性単量体の重合方法は、特に制限するものではなく、従来公知の方法が適用できる。具体的には、例えば、上記ベンゼン環を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体を溶解し、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)等を添加して加熱することにより、重合を行うことができる。
【0049】
本発明で使用されるバインダー樹脂(B)として、特にスチレンと無水マレイン酸またはそのエステル化物や若しくはそのアミド化物の繰り返し構造単位を有することが、良好な帯電防止性を保ったまま高い塗膜耐性を得られるという点から好ましい。帯電防止性が良好な原因は、明確ではないが、水溶性導電性高分子(A)およびバインダー樹脂(B)の塗膜形成時に、これらの樹脂の構造に含まれるベンゼン環構造のπ電子が相互作用することが影響しているのではないかと推察される。
【0050】
本発明で使用されるバインダー樹脂(B)において、p/qの比率は0.1〜20の範囲から選ばれ、好ましくは、0.1〜10、更に好ましくは0.5〜5の範囲である。p/qの比率が0.1未満であると導電性が悪化する恐れがある。またp/qが20を超えると、十分な耐水性、耐溶剤性が得られない恐れがある。
【0051】
本発明で使用されるバインダー樹脂(B)の分子量は、特に制限はないが、数平均分子量が500〜6000の範囲が好ましく、更に好ましくは1500〜4500の範囲である。バインダー樹脂(B)の数平均分子量が500未満であると、十分な耐水性、耐溶剤性が得られない場合がある。数平均分子量が6000を超えると粘度が高すぎるために塗工性が悪化する恐れがある。
【0052】
本発明で使用されるバインダー樹脂(B)の市販品としては、例えば、サートマー社製のSMA1000、SMA2000およびSMA3000等のスチレンと無水マレイン酸の共重合物およびその塩、SMA1440、SMA17352、SMA2625およびSMA3840等のスチレンと無水マレイン酸の共重合物のエステル化物等が挙げられる。中でも、塗膜の耐水性、耐溶剤性が良いという理由から、スチレンと無水マレイン酸の共重合物あるいはその塩が好ましい。
【0053】
本発明で使用される架橋剤(C)は、アジリジン基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基からなる群より選ばれる官能基を有する。架橋剤(C)は、水溶性導電性高分子(A)およびバインダー樹脂(B)のカルボキシル基と反応し、帯電防止コーティング組成物から形成した塗膜へ耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性を付与する。
【0054】
アジリジン基を含有する架橋剤(C)としては、例えばN,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N´−ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート)、N,N´−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。市販品としては、日本触媒(株)製のケミタイトPZ−33、DZ−22Eなどが使用できる。
【0055】
カルボジイミド基を含有する架橋剤(C)としては、例えば、特開昭63−264128号公報、米国特許第4,820,863号明細書、米国特許第5,108,653号明細書、米国特許第5,047,588号明細書、米国特許第5,081,173号明細書などに記載されているものが使用できる。市販品としては日清紡(株)製のカルボジライトV−02、V−02−L2、V−04、V−06などが使用できる。
【0056】
オキサゾリン基を含有する架橋剤(C)としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を含むビニル系単量体を共重合したビニルあるいはアクリル樹脂等が挙げられる。市販品としては、日本触媒(株)製のエポクロスWS−300、WS−500、WS−700、エポクロスK−2010、K−2020、K−2030などが使用できる。
【0057】
エポキシ基を含有する架橋剤(C)としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル系、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル系、ジグリセロールポリグリシジルエーテル系、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル系、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル及びその水添化物などが使用できる。市販品としては、ナガセケムテック(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−810、EX−830、EX−850などが使用できる。
これら架橋剤(C)は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0058】
本発明で使用される架橋剤(C)としては、耐水性、耐溶剤性が良く、湿熱試験後に塗膜のヘイズ上昇が小さいという理由から、アジリジン基を含む化合物であるのが好ましい。
【0059】
架橋剤(C)に含まれる官能基量には、特に制限はないが、好ましくは架橋剤(C)1g中に前記官能基を1.5〜10mmol含有する事が好ましい。官能基が1.5mmol未満であると、前記導電性高分子(A)および前記バインダー樹脂(B)との反応点が少なく、低温・短時間での硬化の場合、高い耐水性、耐溶剤性が得られにくい。また10mmolを超えると架橋密度が高くなりすぎ、塗膜が脆くなる恐れがある。
【0060】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)、バインダー樹脂(B)、架橋剤(C)を用いる比率は、水溶性導電性高分子(A)およびバインダー樹脂(B)のカルボキシル基のモル数の和と、架橋剤(C)の官能基のモル数の比が1:0.4〜1.3になるように添加する。官能基のモル数の比が前記範囲内に無いと、塗膜の耐水性、耐溶剤性が低下する恐れがある。
【0061】
本発明で使用される水溶性導電性高分子(A)の配合量は、特に制限はないが、帯電防止コーティング用組成物中30〜70重量%が好ましく、更に好ましくは40〜60重量%である。水溶性導電性高分子(A)の配合量が30重量%未満であると、十分な帯電防止性が得られない場合がある。また、配合量が70重量%を超えると塗工性が悪化する恐れがある。
【0062】
本発明の帯電防止コーティング組成物で用いられる溶媒として、特に制限はないが、水、メタノール、エタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。水溶性導電性高分子(A)の溶解性が良いという理由から、溶媒として水を含むことが好ましい。溶媒を併用する場合、速乾性を向上させるという観点から、沸点あるいは水との共沸温度が100℃以下であるものが好ましい。
【0063】
本発明の帯電防止コーティング組成物は、所望する膜厚に合わせて、前記の溶媒を用いて任意の不揮発分濃度に調整することができる。通常不揮発分を0.3〜30重量%の範囲とするのが好ましい。
【0064】
本発明の帯電防止コーティング組成物は塗膜のレベリング性および耐摩耗性を向上させる目的で、添加剤として界面活性剤やレベリング剤などを併用してもよい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。添加剤の種類としては特に限定はされないが、アニオン性およびノニオン性の添加剤が好ましく、中でもノニオン性シリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0065】
前記添加剤の添加量としては特に制限はないが、水溶性導電性高分子(A)、バインダー樹脂(B)および架橋剤(C)の合計100重量部に対して0.1〜8重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.3〜5重量部である。前記添加剤の添加量が0.1重量部未満の時は十分なレベリング性や耐摩耗性向上の効果は得られず、8重量部を超えると耐水性および耐溶剤性が悪化する恐れがある。
【0066】
本発明の帯電防止コーティング組成物には、基材への密着性を向上させる目的で、密着性付与剤として水溶性ポリエステル系樹脂や水溶性ポリオレフィン系樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。また、ここで言う水溶性とは物理化学的に厳密なものを意味するのではなく、水に溶解および/または微分散するものを含む。
【0067】
前記密着性付与剤の添加量としては、特に制限はないが、水溶性導電性高分子(A)、バインダー樹脂(B)および架橋剤(C)の合計100重量部に対して0.1〜8重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.3〜5重量部である。前記添加剤の添加量が0.1重量部未満の時は十分な基材への密着性向上の効果は得られず、8重量部を超えると耐溶剤性が悪化する恐れがある。
【0068】
本発明の帯電防止構成物は、基材へ帯電防止コーティング組成物をコーティングし帯電防止層(以下塗膜とも言う)を形成することで得られる。
【0069】
上記基材としては、ガラスや、プラスチックの板、成型品、シート、フィルム、不織布等の絶縁性の基材に対して、用途に応じて任意のものを用いることが好ましい。ここでプラスチックとしては、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、トリアセチルセルロース、並びにこれらの混合物および共重合体、さらにはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂などをあげることができる。これらの中でも、基材フィルムとしては二軸配向したポリエステルフィルムが、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、電気的性質などに優れた性質を有することより好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが、高ヤング率である等の機械的特性に優れ、耐熱寸法安定性がよい等の熱的特性にも優れているため好ましい。なお基材にフィルムを用いて帯電防止層を形成した場合は、帯電防止フィルムと呼ぶ。
【0070】
コーティング方法としては、例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコーター法など、従来公知の方法を採用することができる。また、必要に応じて、基材表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理や、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などの有機物による公知の易接着層を施しても構わない。
【0071】
塗膜の乾燥および硬化の条件は、それぞれのコーティング法に適した条件が選択される。例えばロールコーティング法を用いる場合は、一般的に60〜120℃、5〜60秒で行われることが好ましい。またガラスにコーティングする場合はスピンコート法を用いることも好ましい。
【0072】
本発明において塗膜の厚みは5nm〜5μmの範囲、特に10〜300nmの範囲であることが好ましい。該塗膜の厚さが薄すぎると十分な耐摩耗性、帯電防止機能が得られないことがあり、逆に厚すぎると、光の透過率が不足したりブロッキングを起こしたりすることがある。
【0073】
本発明の帯電防止フィルムは、表面抵抗率がE+03〜E+11Ω/□と帯電防止性に優れ、基材との密着性、透明性、耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性に優れる。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例中における各評価は下記の方法に従った。
【0075】
(膜厚)
帯電防止フィルムをミクロトームULTRACUT−Sでフィルム表面に対し垂直に超薄切片を切り出し、この超薄切片を透過型電子顕微鏡LEM−2000を用いて加速電圧100kvで観察・撮影し測定した。
【0076】
(表面抵抗率)
帯電防止フィルムの帯電防止層に対して測定を行い、三菱化学(株)製のハイレスタUP MCP−HT450を用いて測定した。
【0077】
(ヘイズ・全光線透過率)
帯電防止フィルムに対して、日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH2000で測定した。
【0078】
(耐摩耗性)
帯電防止フィルムの帯電防止層に対して、テスター産業(株)製染色物磨耗堅牢度試験機AB−301を用い、ベンコットで、500g荷重、10往復後の塗膜の外観を目視で以下のとおり評価した。
◎:帯電防止層にはがれ、傷が全く観察されない。
○:帯電防止層に傷がわずかに観察される。
×:帯電防止層がはがれてしまい、基材表面が剥き出しになった。
【0079】
(耐水性・耐溶剤性)
帯電防止フィルムの帯電防止層に対して、テスター産業(株)製染色物磨耗堅牢度試験機AB−301を用い、水、エタノール、酢酸エチル、アセトンをそれぞれ染込ませたベンコットで、500g荷重、3往復後の塗膜の外観を目視で以下のとおり評価した。
◎:全く変化が観察されなかった。
○:塗膜がわずかに変色した。
×:塗膜が溶解し、基材表面が剥き出しになった。
【0080】
(塗膜外観)
帯電防止フィルムの帯電防止層に対して、塗りムラ、白化、ハジキ等の塗膜の外観不良を目視で以下のとおり評価した。
◎:外観不良が全く観察されなかった。
○:わずかに外観不良が観察された。
×:著しい外観不良が観察された。
【0081】
(基材密着性)
帯電防止フィルムの帯電防止層に対して、スコッチテープ(登録商標)No.600(3M社製)幅12.7mm、長さ15cmを気泡が入らないように粘着し、この上をJIS C2701(1975)記載の手動式荷重ロールでならし密着させ、テープ巾に切り出した。これを180度剥離した後に塗膜の外観を目視で以下のとおり評価した。
◎:塗膜のはがれが全く観察されない。
○:塗膜のはがれがわずかに観察される。
×:塗膜が完全にはがれてしまい、基材表面が剥き出しになった。
【0082】
(湿熱試験後のヘイズ変化)
帯電防止フィルムの帯電防止層を80℃−85%RH環境下に100時間エージングした後に、塗膜のヘイズを日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH2000で測定し、エージング前後でのヘイズ値の変化量を評価した。
【0083】
(実施例1)
水溶性導電性高分子(A)として化学式(3)の樹脂を37.13重量部、バインダー樹脂(B)としてスチレン/マレイン酸共重合物(SMA1000;サートマー社製、Mn=2,000)12.37重量部、架橋剤(C)としてカルボジイミド樹脂(カルボジライトV−02−L2;日清紡績(株)製)50.50重量部を混合し、帯電防止コーティング組成物の不揮発分が1.0重量%になるように水/エタノール=1/1の混合溶媒で希釈調整し帯電防止コーティング組成物を得た。得られた帯電防止コーティング組成物を、PETフィルム(東洋紡エステルフィルムA4100;東洋紡績(株)製)にバーコーター(#7)を用いて塗布し、120℃、30秒乾燥後、得られた乾燥膜厚0.09μmの帯電防止フィルムを評価した。
【0084】
(実施例2)
水溶性導電性高分子(A)として化学式(4)の樹脂を33.92重量部、バインダー樹脂(B)としてスチレン/マレイン酸共重合物(SMA2000;サートマー社製、Mn=3,000)19.15重量部、架橋剤(C)としてカルボジイミド樹脂(カルボジライトV−02−L2;日清紡績(株)製)45.29重量部、密着性付与剤として水溶性ポリエステル樹脂(Z565;互応化学工業製、Mn=25000)1.67重量部を
混合し、帯電防止コーティング組成物の不揮発分が1.0重量%になるように水/エタノール=1/1の混合溶媒で希釈調整し帯電防止コーティング組成物を得た。得られた帯電防止コーティング組成物を、PETフィルム(東洋紡エステルフィルムA4100;東洋紡績(株)製)にバーコーター(#7)を用いて塗布し、120℃、30秒乾燥後、得られた乾燥膜厚0.09μmの帯電防止フィルムを評価した。
【0085】
(実施例3)
水溶性導電性高分子(A)として化学式(4)の樹脂を40.83重量部、バインダー樹脂(B)としてスチレン/マレイン酸共重合物(SMA1000;サートマー社製、Mn=3,000)10.21重量部、架橋剤(C)としてエポキシ樹脂(デナコールEX−614B;ナガセケムテックス(株)製)42.33重量%、添加剤としてシリコーン系界面活性剤(BYK307;ビックケミー社製)7.10重量部を混合し、帯電防止コーティング組成物の不揮発分が1.0重量%になるようにメタノールで希釈調整し帯電防止コーティング組成物を得た。得られた帯電防止コーティング組成物を、PETフィルム(東洋紡エステルフィルムA4100;東洋紡績(株)製)にバーコーター(#7)を用いて塗布し、120℃、30秒乾燥後、得られた乾燥膜厚0.10μmの帯電防止フィルムを評価した。
【0086】
(実施例6)
水溶性導電性高分子(A)として化学式(6)の樹脂を40.85重量部、バインダー樹脂(B)としてスチレン/マレイン酸共重合物(SMA3000;サートマー社製、Mn=3,800)10.50重量部、架橋剤(C)としてオキサゾリン樹脂(WS−700;日本触媒(株)製)39.90重量部、添加剤としてシリコーン系界面活性剤(BYK302;ビックケミー社製)1.92重量部、密着性付与剤として水溶性ポリエステル樹脂(Z730;互応化学工業製、Mn=3000)7.67重量部を混合し、帯電防止コーティング組成物の不揮発分が1.0重量%になるように水/エタノール=1/1の混合溶媒で希釈調整し帯電防止コーティング組成物を得た。得られた帯電防止コーティング組成物を、PETフィルム(東洋紡エステルフィルムA4100;東洋紡績(株)製)にバーコーター(#7)を用いて塗布し、120℃、30秒乾燥後、得られた乾燥膜厚0.08μmの帯電防止フィルムを評価した。
【0087】
(実施例5、13)
表1に示す組成に従い、実施例1同様に、帯電防止コーティング組成物を調製後、塗工、乾燥工程を経て、帯電防止フィルムを得た。
【0088】
(実施例4、9、12)
表1に示す組成に従い、実施例2同様に、帯電防止コーティング組成物を調製後、塗工、乾燥工程を経て、帯電防止フィルムを得た。
【0089】
(実施例8、10、11、比較例4)
表1に示す組成に従い、実施例3同様に、帯電防止コーティング組成物を調製後、塗工、乾燥工程を経て、帯電防止フィルムを得た。
【0090】
(実施例7、比較例1〜3、5)
表1に示す組成に従い、実施例6同様に、帯電防止コーティング組成物を調製後、塗工、乾燥工程を経て、帯電防止フィルムを得た。
【0091】
【表1】

【0092】
表中に示す略語は以下の通り。
<バインダー樹脂(B)>
・SMA−1000:サートマー社製 SMA−1000(SMAベースレジン)
・SMA−2000:サートマー社製 SMA−2000(SMAベースレジン)
・SMA−3000:サートマー社製 SMA−3000(SMAベースレジン)
・SMA−1440:サートマー社製 SMA−1440(SMAエステルレジン)
・AN−119:ISP Technologies,Inc.製 GANTREZ AN−119(無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体)
【0093】
<架橋剤(C)>
・V−02−L2:日清紡績(株)製 カルボジライトV−02−L2(カルボジイミド)
・EX−614B:ナガセケムテックス(株)製 デナコールEX−614B(エポキシ)
・WS−700:日本触媒(株)製 エポクロスWS−700(オキサゾリン)
・PZ−33、DZ−22E:日本触媒(株)製 ケミタイトPZ−33、DZ−22E(アジリジン)
【0094】
<添加剤>
・BYK−302:ビックケミー社製 BYK−302(ノニオン性シリコーン界面活性剤)
・BYK−307:ビックケミー社製 BYK−307(ノニオン性シリコーン界面活性剤)
・ES−F:花王(株)製 エレクトロストリッパーF(アニオン性界面活性剤)
・NP−GS:花王(株)製 ネオペレックスGS(アニオン性界面活性剤)
【0095】
<密着性付与剤>
・Z565:互応化学工業(株)製 プラスコートZ565(水溶性ポリエステル)
・Z730:互応化学工業(株)製 プラスコートZ730(水溶性ポリエステル)
・SA1200:ユニチカ(株)製 アローベースSA1200(水溶性ポリオレフィン)
・SB1010:ユニチカ(株)製 アローベースSB1010(水溶性ポリオレフィン)
【0096】
<溶媒>
・MeOH:メタノール
・EtOH:エタノール
・IPA:イソプロパノール
・MEK:メチルエチルケトン
【0097】
得られた帯電防止フィルムの評価結果を表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
表2の結果より、比較例1では、水溶性導電性高分子(A)が無いため、導電性が得られなかった。比較例2では、バインダー樹脂(B)が無いため、耐溶剤性が若干劣り、ハジキ、白化といった塗膜外観不良が著しく、ヘイズ値が高い値となってしまった。比較例3では、架橋剤(C)が無いため、塗膜の耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性が悪かった。比較例4では、バインダー樹脂(B)に水溶性ポリエステルを使用しているため、耐溶剤性の著しい悪化が見られた。比較例5では、バインダー樹脂(B)にビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体を使用しているため、表面抵抗値の著しい悪化が見られた。
実施例1〜13は、表面抵抗値、耐溶剤性などの諸物性をすべてバランスよく満たしていた。中でも実施例3、6〜8、10、11では添加剤が添加されているため塗膜外観が良く、実施例3、6、7、11では添加剤としてシリコーン界面活性剤が添加されているため塗膜外観に加えて耐摩耗性も良好であった。更に、実施例2、4、6、7、9、12では密着付与剤が添加されているため密着性が良好であった。特に実施例7、11、12は水溶性導電性高分子(A)の繰り返し構造単位におけるR1およびR2がカルボキシル基またはその塩であり、R3およびR4が水素であり、バインダー樹脂(B)の繰り返し構造単位におけるR5およびR6がカルボキシル基またはその塩であり、R7およびR8が水素であり、架橋剤(C)がアジリジン基を含有していることで、耐水性、耐溶剤性、湿熱試験後のヘイズ変化の点でより良好な結果が得られた。
以上より本発明の帯電防止コーティング用組成物は、電子材料包装用のキャリアテープ、カバーテープ、およびトレイ、ならびにワープロ、コンピュータ、テレビなどの各種ディスプレイ、または偏光板などの光学部品の表面保護フィルム、電子部品の包装用などの帯電防止用途に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される水溶性導電性高分子(A)と、
下記一般式(2)で表されるバインダー樹脂(B)と、
架橋剤(C)とを含むことを特徴とする帯電防止コーティング用組成物であって、
前記架橋剤(C)がカルボキシル基またはその塩と反応し得る官能基を有することを特徴とする帯電防止コーティング用組成物。
一般式(1)
【化1】

(式中、R1およびR2は、水素、カルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R1およびR2のうち少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R3およびR4は、水素またはメチル基を表し、Lはスルホン酸あるいはその塩を表し、nおよびmは整数であり、かつn/mの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
一般式(2)
【化2】

(式中、R5およびR6はカルボキシル基あるいはその塩、炭素数1〜20のアルキレン基を有するエステル基または炭素数1〜20のアルキレン基を有するアミド基を表し、R5およびR6の少なくとも一方がカルボキシル基あるいはその塩であり、R7およびR8は、水素またはメチル基を表し、pおよびqは整数であり、かつp/qの比率が0.1〜20の範囲から選ばれる。)
【請求項2】
水溶性導電性高分子(A)のR1およびR2が、カルボキシル基あるいはその塩であり、かつR3およびR4が水素であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止コーティング用組成物。
【請求項3】
バインダー樹脂(B)のR5およびR6が、カルボキシル基あるいはその塩であり、かつR7およびR8が水素であることを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止コーティング用組成物。
【請求項4】
水溶性導電性高分子(A)を、組成物100重量%中に30〜70重量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止コーティング用組成物。
【請求項5】
架橋剤(C)が、アジリジン基を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の帯電防止コーティング用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の帯電防止コーティング用組成物から形成してなる帯電防止層を基材上に有することを特徴とする帯電防止構成物。

【公開番号】特開2011−122065(P2011−122065A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281079(P2009−281079)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】