説明

帯電防止コーティング組成物、それを用いた帯電防止ポリエステルフィルムおよびその製造方法

【課題】帯電防止コーティング組成物、それを用いた帯電防止ポリエステルフィルムおよびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明に係る帯電防止コーティング組成物およびそれを用いた帯電防止ポリエステルフィルムは、透明性およびコーティング後の見掛けに優れており、10〜1010Ω/sqの帯電防止性能が得られる他、有機溶媒で表面を拭き取った後であっても表面抵抗が1011Ω/sq未満の値を保つことから、帯電防止層の帯電防止剤が脱落若しくは溶解しない優れた耐溶剤性を有しつつも、卓越した防汚機能とともに、粘着テープからの剥離力および見栄えの良い表面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電防止コーティング組成物、それを用いた帯電防止ポリエステルフィルムおよびその製造方法に係り、さらに詳しくは、カチオン性共重合高分子樹脂を含むことから、高い帯電防止性、優れた透明性、耐溶剤性、防汚機能、粘着テープからの剥離力および優れた表面外観が得られる帯電防止コーティング組成物、それを用いた帯電防止ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高分子重合フィルムは、弾性に富んでいることから撓み易く、しかも、機械的な特性、耐熱性、透明性および耐薬品性に優れていることから、写真用、製図用、OHP用、電気電子部品用、一般産業用および包装用の材料などの用途に産業の全分野に亘って使用されている。
【0003】
しかしながら、上述した高分子重合フィルムの優れた諸物性にも拘わらず、フィルム表面の固有抵抗が極めて大きいため、摩擦が加えられると、フィルムの表面が帯電し易くなるという不都合を有している。この場合、高分子重合フィルムが帯電されると、静電気によってフィルムの表面に塵埃などの異物が付着し、前記フィルムが適用された製品に電気ショックが加えられて製品の不良が生じるという問題がある。
【0004】
また、有機溶剤などの化学物質が用いられるフィルムの製造工程や加工工程において放電が起こる場合には火災が発生する可能性があるという問題がある。特に、最近のディスプレイの大型化には目を見張るものがあり、これに伴い、パネルを保護するフィルムの大型化も進んで、既存よりも多量の静電気が蓄積されて問題視されている。
【0005】
上述のフィルムにおける静電気の発生を抑える公知の手法として、有機スルホン酸塩または有機リン酸塩などをフィルムの製造に際して混合する内部添加法、金属化合物を表面に蒸着する金属蒸着法、導電性無機粒子を表面に塗布する方法、アニオン性またはカチオン性単分子化合物または高分子化合物を表面に塗布する方法などが挙げられる。これらのうち、内部添加法は、経時変化に対する安定性には優れているものの、フィルム固有の優れた物性と帯電防止効果が低減してしまうという問題がある。また、前記金属蒸着法と導電性無機粒子を塗布する方法は、最近、帯電防止性に優れていることから脚光を浴びているが、製造コストが高過ぎて高度の帯電防止性が求められる特殊な分野でのみ用いられている。一方、前記アニオン性またはカチオン性単分子化合物を用いた塗布法は、帯電防止効果が比較的に良好であり、製造コストの面でも有利であるため汎用されており、種々の研究開発がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、アニオン性またはカチオン性単分子化合物または高分子化合物を表面に塗布する方法について、高分子型4級アンモニウム塩であるポリジアリールジメチルアンモニウムクロライドを帯電防止剤として用いた帯電防止性ポリエステルフィルムに関する技術が開示されている。また、 特許文献2には、アクリル系アミド末端に4級アンモニウム基が付いているアクリル系ポリマーを帯電防止剤として用いた技術が提案されている。さらに、 特許文献3には4級アンモニウム塩化物からなるカチオン変性ケイ素化合物を含有するケイ素化合物を基材フィルムに塗布し且つ硬化させて低反射層を形成した反射防止フィルムが提案されている。
【0007】
上述した種々の帯電防止型製品において、最近のディスプレイ産業の成長と相まって、帯電防止フィルムの需要が急増しつつあるのが現状である。
【0008】
一般に、この用途に最も多用されるものとして、カチオン性帯電防止型のものが挙げられ、伝導性高分子を用いたフィルムが高級フィルムとして上市されている。
【0009】
要するに、帯電防止ポリエステルフィルムの分野においては、優れた帯電防止性能と防汚性能を両立させることが求められるが、インラインコーティング方式によっては、前記2種類の機能を両立させるには難点があるということが指摘されている。
【0010】
また、保護フィルムの着脱時に用いられるテープと帯電防止面との剥離力が低ければ、保護フィルムが引き剥がされず、引き剥がされる過程で製品に悪影響を及ぼすという問題があり、貼付テープからの剥離力が高い製品が求められている。
【0011】
しかしながら、従来のインラインコーティングに際しては、フィルムコーティング面の高い表面張力などによってレベリング性、ウェット性(濡れ性)などのコーティング性が乏しく、これによって発生するコーティング欠点は、生産性および歩留まり低下の主原因となっている。上記の問題を解消するために界面活性剤の含量を増やすと、コーティング物性が低下してしまうため、最適なコーティング液組成を見出すことは極めて困難である。
【0012】
そこで、本発明者らは、上述した問題を解消するために鋭意努力した結果、カチオン性共重合高分子樹脂、ノニオン性低分子型ポリエーテルアクリル分散体、フッ素樹脂およびアセチレンジオール系界面活性剤を用いて製造した帯電防止コーティング組成物を、インラインコーティング方式によって、ポリエステルフィルムの上に塗布して帯電防止フィルムを製造する場合に、コーティング組成液の粘度および表面張力を制御してコーティング性を高めつつも、帯電防止性、透明性、防汚性、剥離力などのコーティング物性が制御し易い帯電防止ポリエステルフィルムを製造することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2003−0022713号
【特許文献2】米国特許第5,925,447号
【特許文献3】大韓民国公開特許第2002−0010877号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、カチオン性共重合高分子樹脂を含むことから、高い帯電防止性、優れた外観品質、耐溶剤性、防汚機能、粘着テープからの剥離力および見栄えのよい表面が得られる帯電防止コーティング組成物を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、前記組成物を用いた帯電防止ポリエステルフィルムを提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の帯電防止コーティング組成物は、カチオン性共重合高分子樹脂(A)100重量部と、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の官能基を含むノニオン性ポリエーテルアクリル分散体からなる水分散性低分子型アクリル樹脂(B)100〜1000重量部と、イソシアネート系、カルボキシイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系およびメラミン系よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の架橋剤樹脂(C)100〜1000重量部と、フッ素樹脂(D)10〜200重量部と、アセチレンジオール系界面活性剤(E)0.001〜1重量部と、を含む。
【0018】
前記カチオン性共重合高分子樹脂は、下記の一般式Iで表されるカチオン性単量体、疎水性単量体および架橋結合性単量体を共重合して得られることが好ましい。
【化1】

式中、ZはO、SまたはNHであり、RはHまたはCHであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基であり、Xはハライド、ナイトレート、アルキルスルファート、アルキルスルホネートおよびハロアルキルスルホネートよりなる群から選ばれるアニオンであり、nは2〜6の整数である。
【0019】
前記カチオン性単量体の含量は、単量体の総重量に対して、30〜70wt%であることが好ましい。
【0020】
前記水分散性アクリル樹脂は、数平均分子量が10,000〜20,000であることが好ましい。
【0021】
前記フッ素樹脂は、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体およびヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上であることが好ましい。
【0022】
前記界面活性剤は、下記の一般式IIで表されるアセチレンジオール系界面活性剤であることが好ましい。
【化2】

式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C3〜C10の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ハロゲンで置換されたアルキル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C5のアルキル基であり、m、n、p、qは、それぞれ独立して、0〜20の整数である。
【0023】
前記アセチレンジオール系界面活性剤は、トリフルオロメチル基、メチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含むことが好ましい。
【0024】
前記帯電防止コーティング組成物中の固形分の含量が、0.5〜10.0重量%であることが好ましい。
【0025】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの片面または両面に、前記帯電防止コーティング組成物が塗布されて帯電防止層が形成され、10〜1010Ω/sqの表面抵抗を有する。
【0026】
前記帯電防止ポリエステルフィルムの表面をエタノール、メチルエチルケトン、トルエンおよび酢酸エチルよりなる群から選ばれるいずれか一種の有機溶媒で洗浄した後の表面抵抗が10〜1011Ω/sqであってもよい。
【0027】
前記帯電防止ポリエステルフィルムが、500g/in以上のNITTO#31Bテープからの剥離力または100g/18mm以上の3M#244テープからの剥離力を有していてもよい。
【0028】
帯電防止ポリエステルフィルムの水接触角が85°以上であってもよい。
【0029】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステルフィルムを1軸延伸し、前記帯電防止コーティング組成物を1軸延伸されたポリエステルフィルムの片面または両面に塗布して帯電防止層を形成し、前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを前記1軸延伸と直交する方向へ再延伸して製造される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の帯電防止コーティング組成物およびそれを用いた帯電防止ポリエステルフィルムは、10〜1010Ω/sqの表面抵抗を有し、優れた帯電防止性能を示し、有機溶媒で表面を拭き取った後であっても表面抵抗が1011Ω/sq未満の値を保つことから、帯電防止層の帯電防止剤が脱落若しくは溶解しない優れた耐溶剤性を有しつつも、卓越した透明性、コーティング品質、防汚機能及び粘着テープからの剥離力を有する。
また、コーティング組成物のウェット性に優れており、しかも、コーティング縞、コーティング斑などが生じることがなく、見栄えがよい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を詳述する。
【0032】
本発明の帯電防止コーティング組成物は、カチオン性共重合高分子樹脂(A)100重量部と、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の官能基を含むノニオン性ポリエーテルアクリル分散体からなる水分散性低分子型アクリル樹脂(B)100〜1000重量部と、イソシアネート系、カルボキシイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系およびメラミン系よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の架橋剤樹脂(C)100〜1000重量部と、フッ素樹脂(D)10〜200重量部と、アセチレンジオール系界面活性剤(E)0.001〜1重量部と、を含む。
【0033】
カチオン性共重合高分子樹脂(A)
本発明の帯電防止コーティング組成物に含有されるカチオン性共重合高分子樹脂(A)は、優れた帯電防止性能を与えるために用いられ、本質的に、カチオン性単量体、疎水性単量体および架橋結合性単量体を共重合して得られる。このとき、前記カチオン性単量体は、下記の一般式Iで表される化合物である:
【化3】

式中、ZはO、SまたはNHであり、RはHまたはCHであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基であり、Xはハライド、ナイトレート、アルキルスルファート、アルキルスルホネートおよびハロアルキルスルホネートよりなる群から選ばれるアニオンであり、nは2〜6の整数である。
【0034】
例えば、カチオン性単量体は、2−アクリロキシエチルトリアルキルアンモニウム塩、好ましくは、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドまたは2−アクリロキシエチルブチルジメチルアンモニウムブロマイドであってもよい。
【0035】
前記カチオン性単量体の含量は、単量体の総重量に対して30〜70wt%であることが好ましい。カチオン性単量体の含量が30wt%未満である場合、所望の物性が得られ難く、70wt%を超える場合、粘度が高過ぎて流動性が悪化する虞がある。
【0036】
一方、前記疎水性単量体としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが使用可能である。また、前記架橋結合性単量体としては、コハク酸モノビニル、コハク酸モノメタクリル、コハク酸モノメタアリル、アジピン酸モノビニル、アジピン酸モノメタクリル、アジピン酸モノメタアリル、フタル酸モノビニル、フタル酸モノメタクリル、フタル酸モノメタアリルなどが単独でまたは併せて用いられる。
【0037】
水分散性アクリル樹脂(B)
本発明の帯電防止コーティング組成物に含有されるアクリル樹脂は、ポリエステルフィルムに塗布されて前記フィルム面とテープとの剥離力を高めるためものである。
【0038】
このため、本発明に用いられる好適なアクリル樹脂は、水に分散させた水分散型のものであり、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基およびカルボキシル基などの官能基が少なくとも1種以上含まれているノニオンのアクリル分散体からなる樹脂を用いる。このとき、優れた透明性とコーティング後の外観を改善するために、数平均分子量(Mn)10,000〜20,000のものを用いることが好ましい。アクリル樹脂の数平均分子量が10,000未満である場合、樹脂の接着力が低下する虞があり、20,000を超える場合、透明性およびコーティング後の外観に不利になることがある。用いられるアクリル分散体としては、アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、アクリロニトリルなどが使用可能である。
【0039】
一方、アクリル樹脂の添加量は、カチオン性共重合高分子100重量部に対して、100〜1000重量部である。このとき、アクリル樹脂の添加量が100重量部未満であれば、テープからの剥離力が低下して機能を発現することが困難になり、1000重量部を超えると、テープからの剥離力は十分に確保されるものの、透明性、コーティング後の外観および防汚機能などに劣るという問題が生じる。
【0040】
架橋剤樹脂(C)
本発明の帯電防止コーティング組成物中に含有される架橋剤は、架橋密度を調節して帯電防止層とポリエステルフィルムとの耐溶剤性および塗膜性能を向上させるために用いられる。このとき、好適な架橋剤成分としては、イソシアネート系、カルボキシイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系およびメラミン系よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の樹脂が使用可能である。
【0041】
一方、架橋剤の添加量は、カチオン性共重合高分子樹脂100重量部に対して、100〜1000重量部である。このとき、架橋剤樹脂の添加量が100重量部未満であれば、帯電防止性が発現し難い場合があり、耐溶剤性が弱くて白抜き現象が生じる虞がある。これに対し、1000重量部を超えると、透明性は良好であるものの、帯電防止性が発現し難くなるという問題が生じる。
【0042】
フッ素樹脂(D)
前記帯電防止コーティング組成物中に含有される前記フッ素樹脂は、ポリエステルフィルムに塗布されて前記フィルムの防汚性および耐溶剤性を向上させるためのものである。
【0043】
好適なフッ素樹脂としては、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体およびヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。
【0044】
このとき、フッ素樹脂の添加量は、カチオン性共重合高分子樹脂100重量部に対して、10〜200重量部である。もし、フッ素樹脂の添加量が10重量部未満であれば、防汚性が低下する一方、200重量部を超えると、フィルムの透明性、テープ剥離力および帯電防止性能が低下するという問題が生じる。
【0045】
界面活性剤(E)
本発明の帯電防止コーティング組成物に、界面活性剤としてアセチレンジオール系界面活性剤を含有することにより、優れた濡れ性、塗布レベリング性が得られ、且つ、粘着テープからの剥離力、防汚性などの主なコーティング物性を維持してコーティング後の外観物性の確保に有利である。このため、本発明の帯電防止コーティング組成物を用いて品質に優れており、しかも、コーティング後の外観に優れた帯電防止ポリエステルフィルムを提供することができる。
【0046】
本発明の帯電防止コーティング組成物に含有されるアセチレンジオール系界面活性剤は、下記の一般式IIで表される化合物である:
【化4】

式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C3〜C10の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ハロゲンで置換されたアルキル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C5のアルキル基であり、m、n、p、qは、それぞれ独立して、0〜20の整数である。
【0047】
前記アセチレンジオール系界面活性剤は、好ましくは、トリフルオロメチル基、メチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含む。
【0048】
本発明の実施例においては、アセチレンジオール系界面活性剤の好適な化合物として、2,5,8,11−テトラメチル6−ドデシン−5,8ジオールエトキシレート(2,5,8,11−Tetramethyl 6−dodecyn−5,8 diol ethoxylate)を用いるが、これに限定されない。
【0049】
一方、アセチレンジオール系界面活性剤の好適な添加量は、全体の帯電防止コーティング組成物の100重量部に対して、0.001〜1重量部である。もし、界面活性剤の添加量が0.001重量部未満であれば、塗膜のウェット性が低下し、1重量部を超えると、コーティング組成物中の微細気泡によりコーティングに際して外観上の欠点が生じる。
【0050】
固形分含量
上述した成分A、B、C、DおよびEを含む本発明の帯電防止コーティング組成物は、固形分の含量が0.5〜10.0重量%になるように溶媒に希釈されて用いられる。本発明において、固形分含量とは、溶媒を除く成分に対するwt%のことをいう。前記固形分の含量が10重量%よりも高い場合、高粘度によって流動性が悪化し、且つ、コーティング厚さが増えることに伴いフィルム成膜性が悪くなる。また、前記固形分の含量が0.5重量%よりも小さな場合には、テープ剥離力、防汚性、耐溶剤性など所要の物性が得られない。
【0051】
一方、前記帯電防止コーティング組成物に含有される溶媒は、実質的に水を主な媒体とする水性コーティング液である。さらに、本発明において用いられるコーティング組成物への塗布性の向上、透明性の向上などを目指して、本発明の効果を損わない程度の適量の有機溶媒を含有していてもよく、好適な有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、エタノール、メタノールなどが使用可能である。しかしながら、コーティング組成物中に多量の有機溶媒を含有させると、インラインコーティング法に適用する場合に乾燥、延伸および熱処理工程に際して爆発の危険性があるため、その含有量は、コーティング組成物に対して、10重量%以下、さらに好ましくは、5重量%以下に留める。
【0052】
後述する本発明の実施例によって示されるように、大型ディスプレイに用いて好適な帯電防止コーティング組成物において、従来の導電性高分子を含有する場合、カチオン性共重合高分子を含有する組成物よりも低い表面抵抗値を示すものの、大型ディスプレイに適用したとき、帯電防止フィルムの剥離に際して広い剥離表面によって問題が生じる虞がある。このため、本発明においては、帯電防止コーティング組成物に帯電防止剤としてカチオン性共重合高分子を含有することにより、延伸後であっても表面抵抗が10〜1010Ω/sq未満の帯電防止性が得られつつも、粘着テープからの剥離力、防汚性などの主なコーティング物性を保つことができる。
【0053】
本発明に係る帯電防止ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの片面または両面に前記帯電防止コーティング組成物を塗布して得られるものである。
【0054】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムに用いられる帯電防止コーティング組成物は、固形分としてカチオン性共重合高分子樹脂、低分子型アクリル樹脂、架橋剤、フッ素樹脂およびアセチレンジオール系界面活性剤を含有する水性コーティング液であり、その組成成分および含量は、上述した帯電防止コーティング組成物と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0055】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、前記帯電防止コーティング組成物の特定の組成に応じて所望の物性を最適化させることができる。すなわち、カチオン性共重合高分子を含有して10〜1010Ω/sq未満の性能を得、低分子型アクリル樹脂を含有して透明性および粘着テープからの剥離力を向上させるとともに、適切な架橋剤を含有して架橋密度を調節することにより耐溶剤性と塗膜性能を向上させ、フッ素樹脂の添加によって防汚性能を向上させることができる。なお、アセチレン系界面活性剤の添加によって剥離力、防汚性能などが低下することなく、さらにコーティング組成物のぬれ性を向上させることができる。
【0056】
このため、これをポリエステルフィルムの片面または両面に適用して製造された帯電防止ポリエステルフィルムは、透明性と帯電防止性に優れており、コーティング後の外観、剥離力および防汚性などに優れた帯電防止コーティング層を形成することができる。
【0057】
より具体的に、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、透明性と外観に優れており、コーティング面の特性のうち表面抵抗が10〜1010Ω/sqであり、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒で表面を拭き取った後であっても10〜1011Ω/sqの表面抵抗が保たれることから、帯電防止層の帯電防止剤が脱落若しくは溶解しない優れた耐溶剤性を有する。
【0058】
また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、水接触角が85°以上を示すことから、優れた防汚性能を有し、500g/in以上のNitto31Bテープからの剥離力、および100g/18mm以上の3M#244テープからの剥離力を有する。
【0059】
本発明に係る帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステルフィルムを1軸延伸するステップと、上述した帯電防止コーティング組成物を前記1軸延伸されたポリエステルフィルムの片面または両面に塗布して帯電防止層を形成するステップと、前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを前記1軸延伸方向に垂直な方向に再延伸するステップと、を含む。
【0060】
まず、ポリエステルフィルムを1軸延伸するステップ(ステップ1)を説明する。
【0061】
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、従来より帯電防止コーティングが適用される基材フィルムとして公知された通常の樹脂であれば、特に制限なしに使用可能であり、本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂を中心に説明しているが、これに限定されないということは言うまでもない。
【0062】
前記ポリエステルフィルムには、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得たポリエステルを用い、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを用い、これらに加えて、前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)が使用可能である。なお、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、これらのジカルボン酸成分およびグリコール成分はそれぞれ2種以上を併用してもよい。
【0063】
ポリエステルフィルムの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などが挙げられ、前記ポリエステルに第3成分を含有させた共重合体も採用可能である。
【0064】
上述した構成を有するポリエステル樹脂を真空乾燥後に押出機で溶融し、Tダイ(T−DIE)を用いてシート状に押出し、冷却ロールに静電密着法(ピニング法)により鋳造ドラムに密着して冷却固化させて未延伸ポリエステルシートを得、これをポリエステル樹脂のガラス転移温度以上に加熱されたロールにおいてロールとロールとの間の走速比の差による2.5〜4.5倍の1軸延伸を行い、1軸延伸ポリエステルフィルムを製造する。
【0065】
次に、帯電防止層を形成するステップ(ステップ2)を説明する。
【0066】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法のうち、ステップ2は、ステップ1において1軸延伸されたポリエステルフィルムの片面または両面に本発明の帯電防止コーティング組成物を塗布して帯電防止層を形成するステップである。より具体的に、帯電防止コーティング組成物を塗布する方法としては、マイヤーバー(meyer bar)方式、グラビア方式などの方法が挙げられ、塗布前にフィルムの表面に極性基を導入して、コーティング層とフィルムとの接着性や塗布性を向上させる目的でコロナ放電処理を施してもよい。本発明の製造方法のうち、ステップ2において用いられる前記帯電防止コーティング組成物の組成成分および含量は、上述した通りである。
【0067】
最後に、再延伸するステップを説明する。
【0068】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法のうち、ステップ3は、ステップ2における、帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを再延伸して2軸延伸ポリエステルフィルムを製造するステップである。
【0069】
このとき、ステップ3における延伸は、1軸延伸の方向に垂直な方向に行い、好適な延伸比は、3.0〜7.0倍である。延伸工程後に、熱固定、硬化および乾燥などの工程をさらに行ってもよいことはいうまでもない。
【0070】
本発明の製造方法により製造された2軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、5〜300μmであり、好ましくは、10〜250μmである。
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることはない。
【0072】
<実施例1>
ステップ1:1軸延伸ポリエステルフィルムの製造
平均粒径2.5μmの無定形球状シリカ粒子が20ppm含まれている極限粘度0.625dL/gのポリエチレンテレフタレートペレットを真空ドライヤーを用いて7時間160℃で十分に乾燥した後に溶融し、押出Tダイを用いて冷却ドラムに静電密着法により密着させて無定形未延伸シートにし、さらにこれを加熱して95℃でフィルムの進行方向に3.5倍延伸して1軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。次いで、コーティングされるフィルム面にコロナ放電処理を施してポリエステルフィルムを製造した。
【0073】
ステップ2:帯電防止コーティング組成物の塗布
コロナ処理された面に固形分として、カチオン性共重合高分子樹脂(ELECUT−007、竹本油脂株式会社製)100重量部、低分子量アクリル樹脂(ELECUT−CY11、竹本油脂株式会社製、数平均分子量15,000)200重量部、メラミン架橋剤(ELECUT−L02、竹本油脂株式会社製)200重量部、フッ素樹脂(ZONYL504、デュポン社製)100重量部、アセチレンジオール系界面活性剤(DYNOL−103、2,5,8,11−テトラメチル6−ドデシン−5,8ジオールエトキシレート)0.1重量部を水に混合して帯電防止コーティング液を製造した。このとき、固形分の含量は、全体の帯電防止コーティング液に対して、2.2重量%であった。前記帯電防止コーティング液をグラビアロールを用いて前記ステップ1において製造された1軸ポリエステルフィルムに塗布した。
【0074】
ステップ3:2軸延伸ポリエステルフィルムの製造
上述した塗布後、105〜140℃テンター区間で塗布されたコーティング液を乾燥させ、フィルムの進行方向に垂直な方向に3.8倍延伸し、240℃で4秒間熱処理して38μmの厚さの2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0075】
<比較例1>
カチオン性共重合高分子樹脂(ELECUT−007)100重量部、高分子量アクリル樹脂(ELECUT−CY04、竹本油脂株式会社製、分子量25,000)200重量部、メラミン架橋剤(ELECUT−L02)200重量部、フッ素樹脂(ZONYL−504)100重量部および界面活性剤(DYNOL−103)0.1重量部を水に混合して、固形分の総含量を2.2重量%にした以外は、実施例1の方法と同様にして2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0076】
<比較例2>
帯電防止コーティング液の組成中にアクリル樹脂を含有させなかった以外は、前記実施例1の方法と同様にして2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0077】
<比較例3>
帯電防止コーティング液の組成中に架橋剤を含有させなかった以外は、前記実施例1の方法と同様にして2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0078】
<比較例4>
帯電防止コーティング液の組成中にフッ素樹脂を含有させなかった以外は、前記実施例1の方法と同様にして2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0079】
<比較例5>
帯電防止コーティング液の組成中に界面活性剤を含有させなかった以外は、前記実施例1の方法と同様にして2軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0080】
<実験例>
実施例1および比較例1〜5に従い製造された帯電防止ポリエステルフィルムに対して、下記の物性を評価し、その結果を表1に示す。
【0081】
1.透過率
透過率測定器(日本電色工業株式会社製、型番NDH5000)を用いて、製造されたポリエステルフィルムの真ん中を測定した。
【0082】
2.コーティング後の外観:ウェット性の評価
蛍光灯、ハロゲン灯の光源からの透過および反射光を用いて、コーティング縞、コーティング斑などの見掛けの品質を確認した。
【0083】
○:目視でコーティング縞、コーティング斑などが見られない
△:目視でコーティング縞、コーティング斑などが見られるものの、良品のレベルである
×:目視でコーティング縞、コーティング斑などが激しく見られ、良品のレベルではない
【0084】
3.帯電防止性
帯電防止測定機器(三菱化学(株) 製、型番MCP−T600)を用いて、温度23℃、湿度50%RHの環境に試料を設けた後、JIS K7194に準拠して表面抵抗を測定した。
【0085】
4.水接触角
接触角測定機器(協和界面科学株式会社製、型番Dropmaster 300)を用いて、イオン交換水を蒸留して得た精製水で液滴法により水接触角を測定し、異なる位置で5回測定した後、平均値をとった。
【0086】
5.耐エタノール性
エタノールで布地(旭化成せんい株式会社製のBEMCOT)をぬらした後、前記コーティング処理の施されたフィルム面を0.5kg荷重で10回往復させ、次いで、コーティング面の状態を下記の基準に基づいて評価した。
【0087】
○:帯電防止性の変化が10Ω/sqの範囲内である
△:帯電防止性の変化が10Ω/sq以上、1011Ω/sq未満である
×:帯電防止性が1011Ω/sqを超えている
【0088】
6.テープからの剥離力−1
23℃、相対湿度50±5%の雰囲気下で、剥離力測定機器(ケミンストラメンツ社製のAR1000)を用いて、上記のようにして得られたフィルムのコーティング面に粘着テープ(日東電工株式会社製テープNO.31B、幅:25mm)を貼り付けた後、2kg荷重のゴムローラーで1回往復して圧着し、1時間放置後に剥離速度0.3MPMにて180°剥離した。このときに得られた剥離力の値を測定した。
【0089】
7.テープからの剥離力−2
23℃、相対湿度50±5%の雰囲気下で、剥離力測定機器(ケミンストラメンツ社製のAR1000)を用いて、上記のようにして得られたフィルムのコーティング面に粘着テープ(3M社製テープNO.244、幅:18mm)を貼り付けた後、2kg荷重のゴムローラーで1回往復して圧着し、1時間放置後に剥離速度0.3MPMにて180°剥離した。このときに得られた剥離力の値を測定した。
【0090】
【表1】

【0091】
上記の表1から明らかなように、カチオン性共重合高分子樹脂に、低分子型アクリル樹脂と適切な架橋剤にフッ素樹脂およびアセチレンジオール系界面活性剤を含有する帯電防止コーティング液を用いて帯電防止層を形成した、実施例1に従い製造されたポリエステルフィルムは、透明であり、外観に優れているとともに、コーティング面の表面抵抗が10〜1010Ω/sq未満であり、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒で表面を拭き取った後であっても表面抵抗が1011Ω/sq未満の値を保つことから、帯電防止層の帯電防止剤が脱落若しくは溶解しない優れた耐溶剤性を有することを確認した。なお、水接触角が85°以上であるため、優れた防汚性能を有し、500g/in以上のNitto31Bテープからの剥離力および100g/18mm以上の3M#244テープからの剥離力を有する他、低い表面張力および優れたウェット性能が得られることから、コーティング後の外観上の欠点がないか、あるいは、極力抑えられたポリエステルフィルムが得られた。
【0092】
これに対し、帯電防止コーティング液の組成中に高分子量のアクリル樹脂を含有させた比較例1の場合には、本発明が目指す透明性およびコーティング後の外観が不良であることを確認し、比較例2でのようにアクリル樹脂を含有していない場合には、外観には優れているものの、テープ剥離力などの物性は得られなかった。架橋剤を含有していない比較例3の場合には、コーティング後の外観および耐久性、剥離力などが全般的に不良であり、フッ素樹脂を含有していない比較例4の場合には、防汚機能が得られず、水接触角が格段に低下することを確認した。
【0093】
最後に、帯電防止コーティング液の組成中に界面活性剤を含有させなかった比較例5の場合、ウェット性能に劣っており、コーティング後の見掛けに致命的な問題があることを確認することができた。
【0094】
以上、本発明は記載された実施例についてのみ詳細に説明されたが、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変形および修正が可能であるということは当業者にとって自明であり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属するということはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の帯電防止コーティング組成物およびそれを用いた帯電防止ポリエステルフィルムは、帯電防止性だけではなく、テープ剥離力、防汚機能、耐溶剤性などに優れた性能を有していることから、大型ディスプレイ、具体的に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、個人向け携帯情報端末またはナビゲーション用のディスプレイなどの光学用の表示装置に表面保護フィルムとして好適に採用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性共重合高分子樹脂(A)100重量部と、
ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の官能基を含むノニオン性ポリエーテルアクリル分散体からなる水分散性低分子型アクリル樹脂(B)100〜1000重量部と、
イソシアネート系、カルボキシイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系およびメラミン系よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の架橋剤樹脂(C)100〜1000重量部と、
フッ素樹脂(D)10〜200重量部と、
アセチレンジオール系界面活性剤(E)0.001〜1重量部と、
を含む、帯電防止コーティング組成物。
【請求項2】
前記カチオン性共重合高分子樹脂は、下記の一般式Iで表されるカチオン性単量体、疎水性単量体および架橋結合性単量体を共重合して得られることを特徴とする請求項1に記載の前記帯電防止コーティング組成物:
【化1】

式中、ZはO、SまたはNHであり、RはHまたはCHであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基であり、Xはハライド、ナイトレート、アルキルスルファート、アルキルスルホネートおよびハロアルキルスルホネートよりなる群から選ばれるアニオンであり、nは2〜6の整数である。
【請求項3】
前記カチオン性単量体の含量は、単量体の総重量に対して、30〜70wt%であることを特徴とする請求項2に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【請求項4】
前記水分散性アクリル樹脂は、数平均分子量が10,000〜20,000であることを特徴とする請求項1に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【請求項5】
前記フッ素樹脂は、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体およびヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤は、下記の一般式IIで表されるアセチレンジオール系界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【化2】

式中、RおよびRは、それぞれ独立して、C3〜C10の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ハロゲンで置換されたアルキル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C5のアルキル基であり、m、n、p、qは、それぞれ独立して、0〜20の整数である。
【請求項7】
前記アセチレンジオール系界面活性剤は、トリフルオロメチル基、メチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、エステル基およびカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含むことを特徴とする請求項6に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【請求項8】
前記帯電防止コーティング組成物中の固形分の含量が、0.5〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の前記帯電防止コーティング組成物。
【請求項9】
ポリエステルフィルムの片面または両面に、請求項1に記載の帯電防止コーティング組成物が塗布されて帯電防止層が形成され、10〜1010Ω/sqの表面抵抗を有する帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項10】
前記帯電防止ポリエステルフィルムの表面をエタノール、メチルエチルケトン、トルエンおよび酢酸エチルよりなる群から選ばれるいずれか一種の有機溶媒で洗浄した後の表面抵抗が10〜1011Ω/sqであることを特徴とする請求項9に記載の前記帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項11】
前記帯電防止ポリエステルフィルムが、500g/in以上のNITTO#31Bテープからの剥離力または100g/18mm以上の3M#244テープからの剥離力を有することを特徴とする請求項9に記載の前記帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項12】
帯電防止ポリエステルフィルムの水接触角が85°以上であることを特徴とする請求項9に記載の前記帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項13】
ポリエステルフィルムを1軸延伸し、
請求項1に記載の帯電防止コーティング組成物を前記1軸延伸されたポリエステルフィルムの片面または両面に塗布して帯電防止層を形成し、
前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを再延伸して2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項14】
前記帯電防止コーティング組成物中の固形分の含量が、0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項13に記載の前記帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。

【公開番号】特開2012−246483(P2012−246483A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119481(P2012−119481)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【出願人】(500254664)トーレ アドバンスト マテリアルズ コリア インク. (9)
【Fターム(参考)】