説明

帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法、その方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルム及びその用途

【課題】帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法、その方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルム及びその用途を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、一軸延伸ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成し、それを再延伸して二軸延伸ポリエステルフィルムを製造することであって、ポリエステルフィルムの製造工程において、帯電防止層をインライン方式で形成して、フィルムに安定した帯電防止性能を与え、帯電防止層は、導電性高分子樹脂に、ポリウレタンバインダー樹脂、フッ素系防汚剤樹脂及び架橋剤樹脂を含む帯電防止コーティング液を塗布して形成されることによって、優れた帯電防止性能を有しながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能が向上して、光学用として優れた機能を有する帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法、その方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルム及びその用途に係り、さらに詳細には、ポリエステルフィルムの一面または両面に形成される帯電防止層にフッ素樹脂及びポリウレタン樹脂を添加して、透明性及び帯電防止性に優れながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能を向上させて、優れた機能の帯電防止ポリエステルフィルムを製造する方法、その方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルム及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
産業化の発達に伴い、各種の電子・電気機器、情報通信分野及び一般の生活用品に至るまで、多用な分野において静電気の発生による被害が増加するにつれて、前記関連分野で帯電防止への必要性が次第に高まりつつある。
【0003】
産業分野において静電気の発生による問題点としては、製品に静電気が発生しつつ不純物や埃が付着し、フィルムの製造工程やフィルムの加工工程において放電を起こすため、そのような工程で有機溶剤を使用する場合、引火の危険性が高い。
【0004】
さらに、電気・電子部品などの材料に静電気が発生すれば、製品が破損する主な原因となるため、電気・電子分野で帯電防止性能の提供は必須の要件となっている。
【0005】
帯電防止とは、絶縁体の表面に蓄積されている電荷を適切な方法で放電させることを言い、帯電防止を具現するためには、製品の表面に帯電防止層を形成して、表面に蓄積された電荷を放電させる。
【0006】
前記帯電防止層の形成を含んだ公知の帯電防止技術としては、有機スルホン酸及び有機リン酸のような陰イオン性化合物を利用した内部添加法、金属化合物を表面に蒸着する方法、導電性の無機粒子を塗布する方法、低分子型の陰イオン性または陽イオン性化合物を塗布する方法、及び導電性高分子を塗布する方法などがある。
【0007】
前記方法のうち内部添加法は、低コストであり、経時変化及び安定性に優れているという長所があるが、フィルム支持体固有の特性を阻害するという短所と、帯電防止効果の限界、ブルーミング(blooming)によるフィルムと積層剤との接着性の低下のような問題がある。金属化合物を表面に蒸着する方法は、帯電防止性に優れており、最近では導電性フィルムの用途として多く利用されているが、製造コストが高すぎるため、特定の用途としてのみ使用されている。
【0008】
また、低分子型の陰イオン性または陽イオン性化合物を塗布する方法は、帯電防止効果が比較的に良好であり、製造コストの側面で有利であるため、非常に広範に適用されているが、大気中の水分と結合して帯電防止性を示す特性のため、大気中の水分の含量が低い場合には帯電防止性が大きく低下し、溶媒抵抗性が悪く、他の面への転写可能性があるという短所のため、その適用が非常に制限される。
【0009】
したがって、前記問題点を解決するために、最近、水及び有機溶媒に溶解されるポリアニリン、ポリピロールまたはポリチオフェン導電性高分子が開発されて、それを利用して帯電防止ポリエステルフィルムまたは他の高分子の表面に導電性を与えるための応用研究が多く行われている。
【0010】
帯電防止についての公知の方法のうち、一般的に使用される方法は、ドーピングの完了した導電性高分子を製造した後、それを適当な溶媒に溶解させて、ポリエステルを始めとした各種の高分子の表面にコーティングする。このとき、適当なバインダーを共に溶解させることにより、コーティング層の接着力または表面硬度などの機械的性質を向上させる。
【0011】
その一例として、特許文献1では、導電性高分子単量体の一種である3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4−ethylenedioxythiophene)と酸化剤であるトルエンスルホン酸鉄(III)(iron(III) toluenesulfonate)とを常温で混合して合成した、導電性に優れた3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン高分子を開示している。前記合成された3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン高分子は、水に分散されている形で市販されてもいるが、3,4−エチレンジオキシチオフェンとトルエンスルホン酸鉄(III)とを混合して常温で長時間放置すれば、重合反応が起こりうるため、それを防止するために、反応抑制剤であるイミダゾール(imidazole)を少量混合してもよい。
【0012】
また、特許文献2では、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)及びポリ陰イオンからなる電気伝導性重合体を開示しており、高い電気伝導性、高い化学的安定性及び膜の形成時に塗膜が高い透明性を有するとして注目されている。
【0013】
しかし、前記電気伝導性重合体を含むコーティング液をプラスチック基材に塗布する場合、基材に対する密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性及び電気伝導性のすべての性能を同時に満たす塗膜を得ることは難しい。
【0014】
したがって、塗膜の耐水性を向上させるために、樹脂を架橋剤で架橋結合させる方法が試みられているが、特許文献3では、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)及びポリ陰イオンからなる電気伝導性重合体層と、それに隣接する層との密着性を向上させる目的で、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物が使用されているが、塗膜に耐水性を与えるには依然として不十分である。
【0015】
最近、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:以下、LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、PDP)市場を含むIT事業の成長と共に帯電防止フィルムの需要が急増している状況において、前述の多様な帯電防止技術の中でも前記電気・電子分野の用途に適用する帯電防止技術としては、陽イオン帯電防止技術を利用することが一般的であり、導電性ポリマーを利用した帯電防止技術は高級フィルム市場に進入している。
【0016】
したがって、帯電防止性能が要求される産業分野は、優れた帯電防止性能を有し、かつ粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能が向上した帯電防止フィルムが切実に要求される。
【0017】
すなわち、製品の用途によって変わりうるが、帯電防止フィルムが保護フィルムとして使用され、最後の工程で取り外すとき、テープと帯電防止面との接着力が低ければ、保護フィルムが取り外されなかったり、取り外す過程で製品に悪影響を及ぼす恐れがあるため、粘着テープとの高い密着力が求められる。また、工程上で製品の合否判定などの目的として、保護フィルム面にインク塗装を使用するが、インクと保護フィルム面との密着力が低下すれば問題が発生しうるため、高いインク密着力が求められる。
【特許文献1】米国特許第4959430号明細書
【特許文献2】特開平1−313521号公報
【特許文献3】特開平6−73271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、ポリエステルフィルムの一面または両面に形成された帯電防止層にフッ素樹脂及びポリウレタン樹脂を添加して、透明性及び帯電防止性に優れながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能が向上した帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法を提供するところにある。
【0019】
本発明の他の目的は、前記製造方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルムを提供するところにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、前記帯電防止ポリエステルフィルムの用途を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本発明は、一軸延伸ポリエステルフィルムを製造し、前記一軸延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面に帯電防止コーティング液を塗布して帯電防止層を形成し、前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを再延伸して二軸延伸ポリエステルフィルムを製造することからなる帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
【0022】
本発明の帯電防止コーティング液は、導電性高分子樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤樹脂100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部を含む。
【0023】
前記コーティング液のうち、導電性高分子樹脂は、ポリ陰イオンとポリチオフェンとの間の水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体との間の水分散体から選択されうる。
【0024】
前記コーティング液のうち、ポリウレタン樹脂は、ヒドロキシル基、アミン基及びカルボキシル基からなる官能基から選択される少なくとも一種以上を含む水分散タイプの樹脂でありうる。
【0025】
また、前記コーティング液のうち、架橋剤樹脂は、イソシアネート系、カルボニルイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系及びメラミン系からなる群から選択される何れか一つ以上の化合物でありうる。
【0026】
前記コーティング液のうち、フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル及びポリフッ化ビニリデンからなる群から選択される何れか一つでありさらに好ましくは、テトラフルオロエチレン樹脂を使用する。
【0027】
本発明の帯電防止コーティング液は、0.5ないし10重量%の固形分を含み、帯電防止コーティング液100重量部に対して、エマルジョンタイプのフッ素系界面活性剤0.01ないし1重量部をさらに含みうる。
【0028】
また、本発明は、前記帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法で製造されるが、表面抵抗値が1010Ω/sq以下の帯電防止性を有する。
【0029】
また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、最適の帯電防止コーティング液を使用することによって、優れた帯電防止性能を有しながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力、防汚性能及び耐溶剤性が向上した帯電防止ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0030】
このとき、テープとの密着力は、150ないし2000g/inであり、水接触角は、90°以上であって、優れたインクとの密着力を有する。
【0031】
さらに、本発明は、帯電防止ポリエステルフィルムを、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、個人用携帯情報端末機、及びナビゲーションからなる群から選択される何れか一つのディスプレイ表示装置に適用可能なディスプレイ表示装置用の表面保護フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、本発明は、一軸延伸ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成し再延伸することによって、安定した帯電防止性能を有し、かつ工程の短縮による製造コストを低減させることができる。また、前記帯電防止層に導電性高分子樹脂、ポリウレタンバインダー樹脂、架橋剤樹脂、フッ素系防汚剤樹脂及びフッ素系界面活性剤樹脂を含む帯電防止コーティング液を塗布することによって、優れた帯電防止性能を有し、かつ粘着テープとの密着力、インクとの密着力、防汚性能及び耐溶剤性が向上した帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法を提供することができる。
【0033】
また、前記製造方法で製造された帯電防止ポリエステルフィルムは、LCD、PDP、個人用携帯情報端末機(Personal Digital Assistant:PDA)、及びナビゲーションからなるディスプレイ表示装置に適用されて、ディスプレイ表示装置用の表面保護フィルムとして有用に活用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
本発明は、1)一軸延伸ポリエステルフィルムを製造し、2)前記一軸延伸したポリエステルフィルムの一面または両面に帯電防止コーティング液を塗布して帯電防止層を形成し、3)前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを二軸延伸することを含む帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
【0036】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法において、第一の特徴は、一軸延伸ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成し、前記ポリエステルフィルムを再延伸することであり、ポリエステルフィルムの製造工程上で帯電防止層をインライン方式で形成して、工程を短縮しつつもフィルムに安定した帯電防止性能を提供することによって、所望の物性の製品を製造することができる。
【0037】
本発明のポリエステルフィルムの製造工程において、工程1)では、一軸延伸ポリエステルフィルムを製造する。
【0038】
本発明で使用されるポリエステルフィルムとしては、従来帯電防止コーティング時に使用されるフィルムを特別な限定なしに使用することができるが、好ましくは、ポリエステル系樹脂を使用する。
【0039】
このとき、前記フィルムを構成するポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを縮重合させて製造されるものであって、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを使用し、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを使用する。さらに好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸(PEN)のポリエステル樹脂を使用する。
【0040】
前記ポリエステル樹脂としては、第3成分を含む共重合体をも使用することができる。前記共重合ポリエステルにおいてジカルボン酸の成分は、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びp−オキシ安息香酸からなる群から選択される一種または二種以上を混合して使用し、グリコールの成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される一種または二種以上を混合して使用することができる。
【0041】
前記組成から選択されたポリエステル樹脂用の原料組成物を真空乾燥した後、押出機で溶融してTダイ(T−die)によってシート状に押し出す。その後、冷却ロールに静電印加法(pinning)でキャスティングドラムに密着させて冷却固化させて、未延伸ポリエステルシートを得ることができる。
【0042】
前記未延伸ポリエステルシートをポリエステル樹脂のガラス転移温度以上に加熱されたロールで延伸するが、ロールとロールの走行速度比の差によって2.5ないし4.5倍に一軸延伸を行って一軸延伸ポリエステルフィルムを製造する。
【0043】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法において、第2の特徴は、帯電防止層に帯電防止性能と共に、テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能を向上させるために、導電性高分子樹脂にポリウレタンバインダー樹脂、フッ素系防汚剤樹脂及び架橋剤樹脂を含む帯電防止コーティング液を塗布して帯電防止ポリエステルフィルムを製造することである。
【0044】
さらに詳細には、本発明の製造方法で使用される帯電防止コーティング液は、一軸延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面に塗布されて帯電防止層を形成し、さらに詳細には、導電性高分子樹脂100重量部に対し、ポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部を含む。
【0045】
したがって、組成別に詳細に説明すれば、前記帯電防止コーティング液に含まれる導電性高分子樹脂は、帯電防止性を与える組成として、好ましくは、ポリ陰イオンとポリチオフェンとの間の水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体との間の水分散体から選択して使用する。
【0046】
このとき、ポリ陰イオンは、高分子カルボン酸、高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などを含む酸性ポリマーであり、前記高分子カルボン酸の一例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などを使用し、前記高分子スルホン酸の一例としては、ポリスチレンスルホン酸などを使用することができる。
【0047】
本発明の導電性高分子樹脂においてポリ陰イオンは、前記ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体に対し、固形分重量比で過量に含まれることが導電性を与える観点から好ましい。
【0048】
したがって、ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体1重量%を使用するとき、ポリ陰イオンは、少なくとも1重量%以上、好ましくは、1ないし5重量%、さらに好ましくは、1ないし3重量%を含む。
【0049】
本発明の実施例では、導電性高分子樹脂として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)0.5重量%及びポリスチレンスルホン酸(分子量Mn=150,000)0.8重量%からなる重合体の水分散体を使用する。
【0050】
本発明の帯電防止コーティング液の組成のうち、ポリウレタン樹脂は、ポリエステルフィルムに塗布されて、前記フィルム面とテープとの密着力やインクとの密着力を向上させるために添加される。
【0051】
前記ポリウレタン樹脂は、ヒドロキシル基、アミン基及びカルボキシル基からなる官能基から選択される少なくとも一種以上を含む水分散タイプの樹脂を使用する。
【0052】
本発明の実施例では、好ましい一例として、ヒドロキシ基を含む陰イオンのポリエーテル−ポリウレタン分散体を使用しているが、これに限定されるものではない。
【0053】
このとき、導電性高分子樹脂100重量部に対し、前記ポリウレタン樹脂は100ないし1000重量部を添加し、ポリウレタン樹脂の含量が100重量部未満であれば、テープの密着力が低下したり、インクとの密着力が向上せず、1000重量部を超えれば、テープとの密着力及びインクとの密着力は十分に確保されるが、防汚機能及び帯電防止性能が低下しうる。
【0054】
本発明の帯電防止コーティング液の組成のうち、架橋剤は、帯電防止層とポリエステルフィルムとの耐溶剤性及び塗膜性能を向上させるために使用される。
【0055】
本発明の架橋剤は、イソシアネート系、カルボニルイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系及びメラミン系からなる群から選択される何れか一つ以上の化合物を使用し、好ましい含量は、導電性高分子樹脂100重量部に対し、架橋剤樹脂は、100ないし1000重量部を含む。
【0056】
このとき、架橋剤樹脂の含量が100重量部未満であれば、帯電防止性が発現され難く、かつ耐溶剤性が低いため、白化現象が発生しうる。一方、含量が1000重量部を超えれば、透明性は良好であるが、帯電防止性が発現され難い。
【0057】
本発明の帯電防止コーティング液の組成のうち、フッ素系樹脂は、ポリエステルフィルムに塗布されて、フィルムの防汚性及び耐溶剤性を向上させるために添加される。好ましいフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)共重合体、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(Fluorinated ethylene copolymer propylene)、エチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylenetetrafuoroethylene copolymer)、クロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン共重合体(Polytetrafluoroethylene copolymer)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどがあり、さらに好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体を使用する。
【0058】
本発明のコーティング液において、導電性高分子樹脂100重量部に対し、フッ素系樹脂は30ないし300重量部を添加し、フッ素系樹脂の含量が30重量部未満であれば、防汚性が低下し、300重量部を超えれば、フィルムの透明性及び帯電防止性能が低下する。
【0059】
本発明の帯電防止コーティング液は、コーティング液の安定性、湿潤性(wetting)及び塗布レベリング(leveling)を向上させるために、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0060】
通常、界面活性剤としては、エタノール、イソプロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブなどのエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジメチルエタノールアミンなどのアミン類の界面活性剤を使用することができるが、本発明では、分子量5000以下のエマルジョンタイプのフッ素系界面活性剤を使用する。
【0061】
また、本発明は、前記フッ素系界面活性剤と、通常使用される界面活性剤の一種以上とを混合して使用することができる。
【0062】
このとき、さらに高い防汚性能及び湿潤性を得るために添加されるフッ素系界面活性剤の好ましい含量は、帯電防止コーティング液の総100重量部に対して0.01ないし1重量部を添加する。
【0063】
前記界面活性剤の含量が0.01重量部未満であれば、塗膜の湿潤性が低下して、物性の向上を期待することができず、一方、1重量部を超えれば、テープの密着力が低下し、コーティング液内の微細気泡によるコーティングの外見が悪くなるなどの問題が発生しうる。
【0064】
本発明の帯電防止コーティング液は、コーティング液の総量に対して、固形分の含量を0.5ないし10.0重量%にすることが好ましく、さらに好ましくは、1.0ないし5.0重量%にする。このとき、前記固形分の含量が0.5重量%未満であれば、コーティング層の被膜の形成が不良になり、帯電防止機能が十分に発現されず、一方、前記固形分の含量が10.0重量%を超えれば、フィルムの透明性に悪影響を及ぼしうる。
【0065】
また、本発明の帯電防止コーティング液は、水性コーティング液であって、溶媒としては主に水を使用し、コーティング液の塗布性や透明性を向上させるために、本発明の効果を阻害しない範囲内で適当な有機溶媒を含むことができる。
【0066】
前記有機溶媒の一例としては、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、エタノール、メタノールなどが好ましい。このとき、コーティング液に過量の有機溶媒が含有されれば、インラインコーティング法に適用する場合、乾燥、延伸及び熱処理工程中に爆発の危険性が高まるため、有機溶媒の含量は、帯電防止コーティング液の総量の10重量%以下、さらに好ましくは、5重量%以下にする。
【0067】
本発明の製造方法において、工程2)は、前記一軸延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面に帯電防止コーティング液を塗布して帯電防止層を形成することであり、帯電防止コーティング液を一軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも一面に塗布する方法は特別に限定されないが、マイヤーバー(meyer bar)方式、グラビア方式などが好ましい。さらに好ましくは、塗布前にフィルムの表面に極性基を導入して、コーティング層とフィルムとの接着性や塗布性を向上させるようにコロナ(corona)放電処理を行うことができる。
【0068】
また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法のうち、工程3)は、前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを再延伸して、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造することである。
【0069】
具体的に、一軸延伸の方向と垂直な方向に延伸するが、好ましい延伸比は、3.0ないし7.0倍である。
【0070】
工程3)の後、通常の方法である熱固定などによる熱処理過程を経て帯電防止ポリエステルフィルムを製造することができる。このとき、製造されたポリエステルフィルムの厚さは、5ないし300μm、さらに好ましくは、10ないし250μmである。
【0071】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法の特徴は、一軸延伸ポリエステルフィルムに帯電防止層を形成した後、それを再延伸することによって、通常のオフラインコーティング工程を経ずとも所望の物性を具現することができるため、製造工程の短縮による競争力の高い製品を製造することができる。
【0072】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されるが、ポリエステルフィルムの一面または両面に、導電性高分子樹脂100重量部に対してポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤樹脂100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部からなる帯電防止コーティング液が塗布されて、帯電防止層の形成された帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。
【0073】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの製造工程において、帯電防止層がインライン方式で形成されることによって、製造工程の短縮によるコスト競争力がある。また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、優れた帯電防止性能、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能を有するため、光学用として優れた機能を有する帯電防止ポリエステルフィルムとして提供される。
【0074】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、表面抵抗値が1010Ω/sq以下の優れた帯電防止性を有する。
【0075】
また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、透明性及び帯電防止性に優れながらも、150ないし2000g/in範囲のテープ密着力を有する。
【0076】
本発明の実施例によれば、日東電工株式会社の粘着テープに対して、1000ないし1500g/in範囲のテープ密着力を有し、3M社の粘着テープに対して、200ないし300g/18mm範囲の優れたテープ密着力を有する。
【0077】
また、本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、水接触角が90°以上と優れたインク密着力及び防汚性能を有する。
【0078】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、帯電防止性は、最適の組成及び含量からなる帯電防止コーティング液を使用することによって具現される。また、本発明の帯電防止コーティング液として導電性高分子樹脂を利用して、優れた帯電防止性能を具現し、ポリウレタン樹脂を使用して粘着テープとの密着力及びインクとの密着力を向上させる。また、適切な架橋剤を使用して架橋密度を調節することによって耐溶剤性及び塗膜性能を向上させる。また、フッ素樹脂を添加して防汚性能を向上させ、低い剥離力を有するテープとの密着力を改善することによって、優れた光学用の帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。
【0079】
さらに具体的には、前記帯電防止コーティング液は、導電性高分子樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部が含まれ、さらに高い防汚性能及び湿潤性を得るために、帯電防止コーティング液の総量100重量部に対して、フッ素系界面活性剤0.01ないし1重量部を含むことを特徴とする。
【0080】
本発明の帯電防止ポリエステルフィルムは、前記製造方法によって製造され、前記帯電防止コーティング液の組成及び含量は、前記製造方法で説明した通りであるため、帯電防止コーティング液の組成及び含量についての具体的な技術を略する。
【0081】
前述のように、本発明は、優れた帯電防止性能、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能を有するため、光学用として優れた機能を有する帯電防止ポリエステルフィルムを提供することができる。また、前記帯電防止ポリエステルフィルムは、LCD、PDP、PDA、及びナビゲーションからなるディスプレイ表示装置に適用されることによって、ディスプレイ表示装置用の表面保護フィルムとして有用に活用されることができる。
【0082】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0083】
本実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
[実施例1]
工程1:一軸延伸ポリエステルフィルムの製造
平均粒径が2.5μmである無定形の球形のシリカ粒子20ppmが入っている極限粘度0.625dl/gのポリエチレンテレフタレートペレット(pellet)を、真空ドライヤーを利用して7時間160℃で十分に乾燥させた後に溶融し、押出Tダイによって冷却ドラムに静電印加法で密着させて無定形の未延伸シートを製作する。その後、前記無定形の未延伸シートを再び加熱して、95℃でフィルムの進行方向に3.5倍に延伸して一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。その後、コーティングされるフィルム面にコロナ放電処理を行ってポリエステルフィルムを得た。
【0085】
工程2:二軸延伸ポリエステルフィルムの製造
コロナ放電処理された面に、固形分として、導電性高分子樹脂(ナガセケムテック株式会社、DENATRON #5002SZ;ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン0.5重量%及びポリスチレンスルホン酸0.8重量%を含む水分散体)100重量部、ポリウレタン樹脂(HEPCE CHEM株式会社、HWU−1123A:ヒドロキシ基を含む陰イオン性ポリエーテルポリウレタン分散体)200重量部、メラミン架橋剤(サイテック社、CYMEL385)200重量部と、フッ素系樹脂として、テトラフルオロエチレン(デュポン社、SLA−NEW)100重量部とを水に混合して帯電防止コーティング液を製造し、前記製造されたコーティング液100重量部に対して、分子量3000ないし5000のエマルジョンタイプのフッ素系界面活性剤(デュポン社、Dryfilm Ra/W)15重量部を混合して帯電防止コーティング液を製造した。このとき、固形分は、帯電防止コーティング液の総量に対して1.5重量%を添加した。前記工程1で製造された一軸ポリエステルフィルムに、マイヤーバーを利用して前記帯電防止コーティング液を塗布した。その後、105℃ないし140℃のテンダー区間で塗布されたコーティング液を乾燥させ、フィルムの進行方向と垂直な方向に3.5倍に延伸し、240℃で4秒間熱処理して、38μmの厚さを有する二軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを得た。
【0086】
[実施例2]
導電性高分子樹脂(ナガセケムテック株式会社)100重量部、ポリウレタン樹脂(HEPCE CHEM株式会社)400重量部、エポキシ架橋剤(ナガセケムテック株式会社、DENACOL EX−614)300重量部と、フッ素系樹脂としてテトラフルオロエチレン(デュポン社)150重量部とを水に混合して帯電防止コーティング液を製造した。その後、前記コーティング液100重量部に対して、分子量3000ないし5000のエマルジョンタイプのフッ素系界面活性剤(デュポン社)15重量部を使用して、全体の固形分の含量を2.0重量%となるように帯電防止コーティング液を製造したことを除いては、前記実施例1と同様にして二軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0087】
[比較例1]
帯電防止コーティング液の製造時、フッ素系樹脂を添加しなかったことを除いては、実施例1と同様にして二軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0088】
[比較例2]
帯電防止コーティング液の製造時、ポリウレタン樹脂を添加しなかったことを除いては、前記実施例1と同様にして二軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0089】
[比較例3]
帯電防止コーティング液の製造時、フッ素系界面活性剤の代りにオレフィン系界面活性剤を使用したことを除いては、前記実施例1と同様にして二軸延伸帯電防止ポリエステルフィルムを製造した。
【0090】
[実験例]
前記実施例1及び実施例2、比較例1ないし比較例3で製造された帯電防止ポリエステルフィルムについて下記のような物性を評価して、その結果を表1に示した。
【0091】
1.水接触角
接触角測定器(Kyowa Interface Science Co.,Ltd.;モデル“Dropmaster 300”)を使用して、イオン交換水を蒸留して得た精製水で液滴法(sessile drop method)によって水接触角を測定し、相異なる位置で5回測定した後に平均値を得た。
【0092】
2.帯電防止性
帯電防止測定器(三菱(株);モデル“MCP−T600”)を利用して、温度23℃、湿度50%RHの環境下で試料を設置した後、JIS K7194に基づいて表面抵抗を測定した。
【0093】
3.インク密着力
シャチハタ社製のインクを前記コーティング処理面に判子を軽く付けて1分間乾燥させた後、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)CRCT−18を粘着させる。2kgのローラーで1回往復させて圧着させてから2分間放置した後、剥離力試験機器を利用して剥離速度0.5MPMで180°剥離する。
○:コーティング処理面に印刷されたインクが剥離されず、セロテープへ転写されない場合
×:コーティング処理面に印刷されたインクが剥離されたり、セロテープへ転写される場合。
【0094】
4.耐エタノール性
布(旭化成繊維社のBEMCOT)にエタノールを浸した後、前記コーティング処理されたフィルム面を0.5kgの荷重で10回往復させた後、コーティング面の状態を下記の基準に基づいて評価した。
○:帯電防止性の変化が101の範囲内にある場合
△:帯電防止性の変化が101以上上昇し、1011未満である場合
×:帯電防止性の変化が1011を超える場合。
【0095】
5.テープ密着力−1
23°±3、相対湿度50±5%の雰囲気下で、剥離力測定器(化学機器社のAR1000)装備を利用して前記で得られたフィルムのコーティング面に粘着テープ(日東電工社製のテープNO.31B、幅:25mm)を付着させた後、2kgのゴムローラーで1回往復して圧着させて1時間放置した後、剥離速度0.3MPMで180°剥離して得られた剥離力を測定した。
【0096】
6.テープ密着力−2
23°±3、相対湿度50±5%の雰囲気下で、剥離力測定器(化学機器社のAR1000)装備を利用して前記で得られたフィルムのコーティング面に粘着テープ(3M社のテープNO.244、幅:18mm)を付着させた後、2kgのゴムローラーで1回往復して圧着させて1時間放置した後、剥離速度0.3MPMで180°剥離して得られた剥離力を測定した。
【0097】
【表1】

【0098】
前記表1から分かるように、フッ素樹脂を含まない比較例1の場合、水接触角が著しく低く、ポリウレタン樹脂を含まない比較例2の場合、テープ密着力の数値が低いため、所望の物性が得られなかった。また、フッ素系界面活性剤を含まない比較例3の場合、商用の3Mテープの剥離力の数値が低く、現場適用性が低下するため、所望の物性が得られなかった。
【0099】
一方、本発明の導電性高分子樹脂に、ポリウレタン樹脂、架橋剤、フッ素樹脂及びフッ素界面活性剤を含む帯電防止コーティング液を利用して帯電防止ポリエステルフィルムを製造することによって、実施例1及び実施例2で製造されたポリエステルフィルムは、耐水性及び耐溶剤性に優れており、表面抵抗が1×109Ω/square以下であり、水接触角が95°以上と高く、日東電工社製の粘着テープとの密着力が1000g/in以上であり、3M社製の粘着テープとの剥離力が200g/18mm以上と優れた帯電防止性能を有しながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力、防汚性能及び耐溶剤性などの物性が向上した帯電防止ポリエステルフィルムを得た。
【0100】
以上、本発明では、前記実施例についてのみ詳細に記述したが、本発明の技術思想の範囲内で多様な変形及び修正が可能であるということは当業者には明らかであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属するということは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、第一に、一軸延伸ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成して再延伸することによって、製造コストを低減させることができ、前記帯電防止層に導電性高分子樹脂、ポリウレタンバインダー樹脂及びフッ素系防汚剤樹脂を混合した帯電防止コーティング液を塗布することによって、優れた帯電防止性能を有しながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能が向上した帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。
【0102】
第二に、前記製造方法によって製造されて、優れた帯電防止性能を有しながらも、粘着テープとの密着力、インクとの密着力及び防汚性能が向上した帯電防止ポリエステルフィルムをディスプレイ表示装置に適用することによって、優れた機能を有する表面保護フィルムとしても活用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸延伸ポリエステルフィルムを製造し、
前記一軸延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面に帯電防止コーティング液を塗布して帯電防止層を形成し、
前記帯電防止層の形成されたポリエステルフィルムを再延伸して二軸延伸ポリエステルフィルムを製造するが、前記帯電防止コーティング液は、導電性高分子樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤樹脂100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部を含むことを特徴とする帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項2】
導電性高分子樹脂は、ポリ陰イオンとポリチオフェンとの間の水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体との間の水分散体から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項3】
ポリウレタン樹脂は、ヒドロキシル基、アミン基及びカルボキシル基からなる官能基から選択される少なくとも一種以上を含む水分散タイプの樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項4】
架橋剤樹脂は、イソシアネート系、カルボニルイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系及びメラミン系からなる群から選択される何れか一つ以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項5】
フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル及びポリフッ化ビニリデンからなる群から選択される何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項6】
帯電防止コーティング液は、0.5ないし10重量%の固形分を含むことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項7】
帯電防止コーティング液100重量部に対して、エマルジョンタイプのフッ素系界面活性剤0.01ないし1重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の帯電防止ポリエステルフィルムの製造方法で製造されるが、ポリエステルフィルムの一面または両面に、導電性高分子樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂100ないし1000重量部、架橋剤樹脂100ないし1000重量部及びフッ素系樹脂30ないし300重量部からなる帯電防止コーティング液が塗布されて帯電防止層を形成することを特徴とする帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項9】
帯電防止ポリエステルフィルムは、表面抵抗値が1010Ω/sq以下の帯電防止性を有することを特徴とする請求項8に記載の帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項10】
帯電防止ポリエステルフィルムは、150ないし2000g/inのテープ密着力を有することを特徴とする請求項8に記載の帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項11】
帯電防止ポリエステルフィルムは、水接触角が90°以上で優れたインク密着力を有することを特徴とする請求項8に記載の帯電防止ポリエステルフィルム。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のうち何れか1項の帯電防止ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、個人用携帯情報端末機、及びナビゲーションからなる群から選択される何れか一つのディスプレイ表示装置に適用されることを特徴とするディスプレイ表示装置用の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2010−37533(P2010−37533A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324932(P2008−324932)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(504092127)トーレ・サエハン・インコーポレーテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】TORAY SAEHAN INCORPORATED
【Fターム(参考)】