説明

帯電防止・表面保護膜付きフィルム、その製造方法、及びそれの製造用塗料

【課題】帯電防止性、耐傷・表面保護性、防汚性、耐溶剤性、密着性に優れた帯電防止・表面保護膜付きフィルムの提供。
【解決手段】導電性金属酸化物微粒子、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリオール樹脂からなる樹脂(A)、フッ素含有樹脂(B)、及び硬化剤(C)を含み、質量比:導電性金属酸化物/(A+B)=0.2〜4.5,(B)/(A+B)=0.02〜0.5,(C)/(A+B)=0.25〜0.60を含む塗布液を、基材フィルムの片面上に塗布し、乾燥熱処理して得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止・表面保護膜付きフィルム、その製造方法及びそれの製造用塗料に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は透明性、帯電防止効果に優れ、さらに、付着した粘着剤等の除去を容易にするための防汚性(以下、防汚性という)、耐スクラッチ性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性に優れた帯電防止・表面保護膜付きフィルム、その製造方法、及びそれを製造用塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の帯電防止膜付きフィルムの積層構成は、表面保護層/帯電防止層/基材フィルム/粘着剤層/セパレートフィルム層であり、この帯電防止膜付きフィルムからセパレートフィルムを剥離して露出した前記粘着剤層を各種基板に貼着することにより、各種基板に帯電防止機能を付与することが知られている。
【0003】
前記従来の帯電防止膜付きフィルムの1例として、液晶ディスプレーに使用される偏光板などの製造時に使用される光学用保護フィルムがある。
即ち、液晶ディスプレーなどに使用される偏光板の製造時には、偏光板表面に光学用保護フィルムを貼り合わせて、偏光板を汚れや傷から保護し、製造後には光学用保護フィルムを偏光板から剥離するものである。
【0004】
光学用保護フィルムに帯電防止層を設ける理由は、偏光板を製造する過程で発生する静電気による塵の付着防止や、光学用保護フィルムを偏光板から剥離する際に発生する静電気で不良品が生起するのを防止するためである。
【0005】
また、光学用保護フィルムに表面保護層を設ける理由は、上記のとおり、偏光板を製造する過程で偏光板に発生する傷付きを防止することにあるが、そのためには表面保護層は耐スクラッチ性を備えることが必要である。
また、偏光板と光学用保護フィルムを貼り合わせる際に粘着剤が表面保護層上に付着しやすいので、表面保護層には粘着剤が付着することがないよう、防汚性を備える必要がある。粘着剤が表面保護層に付着した場合には、アルコールや酢酸エチル等の有機溶剤を含ませた布などで拭き取ることが行われるため、表面保護層には耐有機溶剤性も具備させる必要があり、布などで拭き取る際に表面保護層が剥離、または表面保護層からの脱粒がないように基板との高い密着性を具備させる必要がある。
【0006】
前記の機能を備えた光学用保護フィルムの例として、例えば、特開平11−256115号公報(特許文献1)には、下記のような光学用表面保護フィルムが記載されている。
「ポリエステルフィルムの片面に帯電防止層を設け、その層の上に汚れ防止層を設け、そしてその反対面に粘着層を設けた表面保護フィルム」
【0007】
また、特開2006−126429号公報(特許文献2)には、下記のような光学用表面保護フィルムが記載されている。
「ポリエステルフィルムの片側に防汚処理層、その反対側に粘着剤層が設けられている光学用表面保護フィルムであって、ポリエステルフィルムと粘着剤層との間に、帯電防止剤およびポリエステル系バインダーを含有する材料により形成された帯電防止層が設けられており、粘着剤層が、官能基として水酸基を含む(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤により形成された光学用表面保護フィルム。」
【0008】
しかしながら、前記の背景技術に係る光学用保護フィルムは、前記の全ての機能を備えているものではなく、また、製造工程の簡略化、即ち、製造コストの低減を目的として、より少ない塗工回数でもって製造することが強く要望されている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−256115
【特許文献2】特開2006−126429
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、例えば、光学用保護フィルムの製造に用いるに好適な、帯電防止性、耐スクラッチ性、防汚性、耐有機溶剤性、及び基板フィルムとの密着性のすべてにおいて優れ、帯電防止・表面保護膜を1回の塗工回数でもって基材フィルム上に形成した帯電防止・表面保護膜付きフィルム、その製造方法、及びその製造用塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題解決のため鋭意検討した結果、導電性金属酸化物微粒子と、特定の非フッ素系樹脂と、フッ素系樹脂とを、特定比率で含有するように帯電防止・表面保護膜を構成すれば上記課題を解決し得ることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の帯電防止・表面保護膜付きフィルムは、
基材フィルムと、この基材フィルム上に積層された帯電防止・表面保護膜と、を含み、
前記帯電防止・表面保護膜は、導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤(C)とを含み、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する、前記導電性金属酸化物の質量百分率は20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率は2質量%〜50質量%であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する、前記硬化剤(C)の質量百分率は、25質量%〜60質量%である、ことを特徴とするものである。
本発明の帯電防止・表面保護膜付きフィルムにおいて、前記帯電防止・表面保護膜が、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた少なくとも1種からなる表面改質剤を更に含有し、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記表面改質剤の質量百分率は5質量%〜30質量%であることが好ましい。
本発明の帯電防止・表面保護膜付きフィルムにおいて、前記帯電防止・表面保護膜の厚さが0.05μm〜1μmであることが好ましい。
本発明の帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法は導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と溶剤を含み、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率が20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率が2質量%〜50質量%である帯電防止・表面保護膜形成用塗料を調製し、前記帯電防止・表面保護膜形成塗料に、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤(C)を、前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対し、25〜60質量%の質量百分率量で添加して塗工混合液を調製し、
前記塗工混合液を基材フィルム上に塗布し、この塗布液層に乾燥・熱処理を施して帯電防止・表面保護膜を形成することを特徴とするものである。
本発明の製造方法において、前記帯電防止・表面保護膜形成用塗料の調製に際し、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた1種以上からなる表面改質剤(D)を、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対し、5〜30質量%の質量百分率量でさらに含ませることが好ましい。
本発明の帯電防止・表面保護膜形成用塗料は導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、溶剤とを含み、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率が20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率が2質量%〜50質量%であることを特徴とするものである。
本発明の塗料において、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた少なくとも1種からなる表面改質剤(D)が前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対して5質量%〜30質量%の質量百分率でさらに含有されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、帯電防止性、耐スクラッチ性、防汚性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性を兼ね備えた表面保護膜を1回の塗工回数でもって基材フィルム上に成膜し得て、コストパフォーマンスに優れた帯電防止・表面保護膜付きフィルム、その製造方法、その製造用塗料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態について下記に説明する。
帯電防止・表面保護膜付き透明フィルム
図1は、実施の形態に係る帯電防止・表面保護膜付きフィルム10の積層構造を模式的に示した図面であって、基材フィルム1の片面上には帯電防止・表面保護膜2が形成される。また、必要により基材フィルム1の他面上には粘着剤層3が積層され、これらの帯電防止・表面保護膜2、基材フィルム1、及び粘着剤層3は積層一体化され、この粘着剤層3上に、セパレートフィルム4が剥離可能に粘着される。
【0015】
前記セパレートフィルム4が剥離されたとき、粘着剤層3は、基材フィルム1上に残存確保され、帯電防止・表面保護膜付きフィルムは、この残存粘着剤層3を介して所望の物体に粘着することができる。
【0016】
前記の基材フィルム1としては、板状透明体であれば特に制限されるものではなく、必ずしもプラスティックフィルムに限定されないが、なかでも、ポリエステル、ポリオレフィンを主成分とするプラスティックフィルムが好適に用いられ、特に、二軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは光学用保護フィルムに適した強度、耐熱性、透明性等を有しており好適である。
基材フィルム1の膜厚は通常20μm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25μm〜60μmである。これらの基材フィルム1の表面には、必要に応じて、コロナ処理、易接着処理等が施されていてもよい。
【0017】
前記の帯電防止・表面保護膜2は、導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤から選ばれた1種以上からなる硬化剤(C)とを含み、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率は20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率は2%〜50質量%である。また、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対する前記硬化剤(C)の質量百分率は、25〜60質量%である。
なお、前記の樹脂(A)には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂の共重合体からなる樹脂を含むものとし、また、前記のポリエステル樹脂には変性ポリエステル樹脂を、前記のアクリル樹脂には変性アクリル樹脂を、前記のポリウレタン樹脂には変性ポリウレタン樹脂を、前記のポリオール樹脂には変性ポリオール樹脂を含むものとする。
【0018】
前記の導電性金属酸化物としては、良好な導電性を有するもの、例えば、体積固有抵抗値が106Ωcm以下のものであれば特に制限されない。このような導電性金属酸化物としては、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(InO2)、酸化亜鉛(ZnO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等を例示することができる。
前記の導電性酸化物の平均1次粒子径は20nm以下であることが、前記帯電防止・表面保護膜2に良好な透明性を付与するために好ましい。
【0019】
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率が20質量%〜450質量%、好ましくは50質量%〜400質量%の範囲内にあると、帯電防止・表面保護膜の膜厚を0.05μm〜1μmという薄膜に形成した場合であっても、光学用保護フィルムの帯電防止層に要求される表面抵抗値105Ω/cm〜1012Ω/cm2(Ω/□)を容易に達成できるので、充分な帯電防止効果が発揮され、偏光板を製造する過程で発生する静電気による塵の付着防止や、光学用保護フィルムを偏光板から剥離する際に発生する静電気で不良品が生起するのを防止することができる。
【0020】
前記の帯電防止・表面保護膜のマトリックスは、実質的に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤からなる群から選択される少なくとも1種の硬化剤(C)とにより形成され、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率は2質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜40質量%の範囲内にコントロールされているので、帯電防止・表面保護膜の膜厚を0.05μm〜1μmと薄膜に形成した場合であっても、充分な耐スクラッチ性、耐有機溶剤性、基板フィルム1との密着性を有している。
【0021】
前記樹脂(B)の前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する質量百分率が、2質量%を下回ると、前記帯電防止・表面保護膜に充分な防汚性を付与することができず、帯電防止・表面保護膜に付着した粘着剤を、アルコールや酢酸エチル等の有機溶剤を含ませた布などで拭き取ることが困難になる。
一方、前記樹脂(B)への、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する質量百分率が50質量%を上回ると、前記帯電防止・表面保護膜中における樹脂(A)の含有量が相対的に低下して、帯電防止・表面保護膜に充分な耐スクラッチ性、耐有機溶剤性を付与することができず、基板フィルム1との密着性も低下する。
【0022】
前記のイソシアネート型硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤の、前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対する質量百分率は25質量%〜60質量%の範囲内にあり、30質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
前記質量百分率が25質量%を下回ると、形成される帯電防止・表面保護膜の硬化が不充分となって耐スクラッチ性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性が不充分になり、一方、前記質量百分率が60質量%を上回ると帯電防止・表面保護膜形成用塗料の硬化反応が急激に進行して塗布安定性が低下して均一な膜厚の帯電防止・表面保護膜が形成されない。
【0023】
前記の帯電防止・表面保護膜には、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物の1種以上からなる表面改質剤が前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対して5質量%〜30質量%の割合で含まれることが好ましく、より好ましくは10質量%〜20質量%である。
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対して5質量%〜30質量%の前記表面改質剤を前記の帯電防止・表面保護膜に含有させることにより、前記帯電防止・表面保護膜の耐スクラッチ性を向上させることができ、基板フィルム1との密着性もより一層向上したものとなる。耐スクラッチ性が向上する理由は、必ずしも明確ではないが、前記帯電防止・表面保護膜の表面の滑り性が改善され、帯電防止・表面保護膜表面に傷を発生させる異物の引っかかりが少なくなるためと考えられる。
【0024】
このように構成された帯電防止・表面保護膜付きフィルムの表面抵抗値が1012Ω/cm2以下となって、帯電防止効果に優れ、透明性(帯電防止・表面保護膜のヘーズ値が1.0%以下)にも優れているのは勿論のこと、防汚性、耐スクラッチ性、耐有機溶剤性にも優れたものとなっており、特に光学用保護フィルムとして好適なものである。
【0025】
なお、前記粘着剤層3と前記セパレートフィルム4は、必要に応じて基材フィルムの反対面上に形成されるものである。このセパレートフィルム4は、粘着剤層3上に剥離可能に設けられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いられ、帯電防止・表面保護膜付きフィルム10を偏光板等に貼着する際には、このセパレートフィルム4を剥離除去し、粘着剤層3を露出させ、この粘着剤層3を介して、帯電防止・表面保護膜付きフィルムを所望の物品の表面に貼着する。
【0026】
前記のセパレートフィルム4は透明でも不透明でもよいが、剥離する際に他の層との区別がつきやすいように不透明なものが好ましく、着色することもできる。
前記粘着剤層3は、樹脂粘着剤を用いて形成されたものである。この樹脂接着剤としては例えば、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリイソブチル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等の樹脂が好ましく用いられる。
【0027】
「帯電防止・表面保護膜形成用塗料」
本発明に用いられる帯電防止・表面保護膜形成用塗料は、前記帯電防止・表面保護膜を形成するための塗料であって、導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、溶剤とを含有し、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率は20質量%〜450質量%の範囲内であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率は2質量%〜50質量%範囲内である。
【0028】
前記樹脂(A)及び樹脂(B)は、共に、水溶性または水分散性の樹脂であることが好ましい。このような水溶性または水分散性の樹脂を用いることにより、前記溶剤として水、または少量の水可溶性有機溶剤を含む水(水可溶性有機溶剤の塗料中における含有量は、例えば30質量%以下)からなる水性溶剤を用いることができ、前記導電性金属微粒子を表面処理することなく、または多量の分散剤を用いることなく、前記導電性金属微粒子を帯電防止・表面保護膜形成用塗料中に分散させることができる。表面処理された、または多量の分散剤で分散された導電性金属微粒子を用いると、帯電防止・表面保護膜の表面抵抗が高くなるという不都合を生ずる。
また、前記樹脂(A)、樹脂(B)とも、水溶性または水分散性の樹脂を用いることにより、有機溶剤を使用せずにすみ、または、使用しても少量ですむので、環境に与える影響も少ない。
【0029】
前記の水可溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブおよびセロソルブアセテート、ジアセトンアルコールなどを使用することができる。
【0030】
なお、前記樹脂(A)または樹脂(B)として非水溶性の樹脂を使用するときは、前記溶剤としては、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、及び/又はトリクロルエチレンなども使用することができる。
【0031】
水溶性または水分散性の樹脂(A)としては、例えば、自己乳化または強制乳化した樹脂を用いることが好ましい。
水溶性または水分散性の樹脂(B)としては、例えば、水酸基および/またはカルボキシ基を含有するフルオロエチレン共重合体等が好ましく用いられる。
また、フッ素含有樹脂(B)としては、例えば、フルオロオレフィン共重合体、弗化ビニリデン共重合体水性組成物、およびその弗化ビニリデン共重合体をシードにして、水酸基等の官能基を有するモノマーを後重合して得られた水性樹脂組成物などがあげられる。
【0032】
前記導電性金属酸化物の前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する質量百分率は20質量%〜450質量%範囲内であり、好ましくは50質量%〜400質量%の範囲内である。
前記導電性金属酸化物の前記百分率が20質量%を下回ると、前記帯電防止・表面保護中における前記導電性金属酸化物の割合が低下して帯電防止・表面保護膜の表面抵抗値が大きくなり、帯電防止効果が低下する。一方、それが450質量%を上回ると前記帯電防止・表面保護中における前記樹脂(A)、樹脂(B)の含有割合が低下して帯電防止・表面保護膜の耐スクラッチ性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性が低下する。
【0033】
前記帯電防止・表面保護膜に透明性が要求され、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)として水分散性の樹脂を用いる場合は、これらの樹脂の平均分散粒子径は250nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下である。平均分散粒子径が250nmを上回ると、帯電防止・表面保護膜の透明性が不十分になることがある。
【0034】
前記の帯電防止・表面保護膜形成用塗料中における、塗膜形成成分(導電性金属酸化物、樹脂(A)、樹脂(B)、イソシアネート型硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤)の含有割合は25質量%〜60質量%の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30質量%〜50質量%である。
塗膜形成成分の前記割合が25質量%を下回ると1回の塗布で形成される帯電防止・表面保護膜の膜厚さが薄くなり、帯電防止効果、耐スクラッチ性、耐有機溶剤性が不十分になることがある。一方、塗膜形成成分の前記割合が60質量%を上回ると、得られる帯電防止・表面保護膜の膜厚が不均一になることがある。
【0035】
前記の帯電防止・表面保護膜形成用塗料中には、珪素含有化合物及び/またはフッ素含有化合物からなる表面改質剤が前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対して5質量%〜30質量%の割合でさらに含まれることが好ましく、より好ましくは10質量%〜20質量%である。
前記の珪素含有化合物及びフッ素含有化合物からなる表面改質剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンおよびアラルキル変性ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンオイル、シロキサン変性ポリマー、並びにフッ素含有アクリル系ポリマー、フッ素含有長鎖アルキル変性ポリマー、フッ素変性ポリマー、及び珪素及び/又はフッ素含有各種ワックスなどが用いられる。
【0036】
「帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法」
本発明に係る帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法は、前記の帯電防止・表面保護膜形成用塗料に、イソシアネート型硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤からなる硬化剤を混合し、混合液を得る第1の工程と、この混合液を基材フィルム上に塗布して塗布膜を形成する第2の工程、次いで、この塗布液膜を乾燥・熱処理する第3の工程から構成されている。
【0037】
前記第1の工程において、帯電防止・表面保護膜形成用塗料にイソシアネート型熱硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤からなる硬化剤を添加する理由は、イソシアネート型硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤が、前記樹脂(A)、及び樹脂(B)を架橋し、帯電防止・表面保護膜の耐スクラッチ性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性が向上するからである。
【0038】
前記のイソシアネート型硬化剤としては、従来から使用されている認知のものが使用できる。例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。これらのうち、芳香族系或いは脂肪族系のどちらでも使用可能であり、好ましくは芳香族系ではジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート、脂肪族系ではヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体などが好ましく使用され、特に、分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましく、前記ポリイソシアネートの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。
【0039】
前記のメラミン型硬化剤としては、従来から使用されている認知のものを使用でき、特に、例えば、メチル化トリメチロールメラミン樹脂などを好適に例示することができる。
【0040】
前記のイソシアネート型硬化剤及び/またはメラミン型硬化剤の、前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対する質量百分率は25質量〜60質量%にあり、好ましくは30質量%〜50質量%の範囲内である。
前記質量百分率が25質量%を下回ると、形成される帯電防止・表面保護膜の硬化が不充分となり、一方、前記質量百分率が60質量%を上回ると帯電防止・表面保護膜形成用塗料の硬化反応が急激に生じて塗布性が低下する。
帯電防止・表面保護膜形成用塗料と、前記硬化剤との混合方法には制限がなく、通常の混合方法例えば、攪拌羽による攪拌法を用いることができる。
【0041】
次いで、前記の混合液を基板フィルム上に塗布する。塗布法には限定はなく、認知の任意の塗布法を適用でき、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、含浸法等を例示することができる。
塗布時の温度は15℃〜30℃であることが好ましく、塗布時の相対湿度は45〜65%であることが好ましい。このような条件下で前記の混合液を基板フィルム上に塗布すると、前記の混合液の乾燥が適当な速度で進行し、均一な膜厚の塗布膜が形成されやすく、また、塗布膜中に空孔が形成されず均質な塗布膜が形成され、例えば、前記第3の工程で形成される帯電防止・表面保護膜の透明性、基板フィルムとの密着性が向上するので好ましい。
【0042】
次いで、塗布液膜を乾燥・熱処理する。乾燥・熱処理条件は基板フィルムや前記樹脂(A)、樹脂(B)が耐え得る温度であれば特に制限はないが、大気雰囲気中において50℃〜150℃であることが好ましい。熱処理温度が50℃を下回ると塗布膜の硬化が不十分となることがあり、または硬化に長時間を要することがある。一方、乾燥・熱処理温度が150℃を超えると、溶剤の揮発にともなって帯電防止・表面保護膜中に空孔が形成されやすく、帯電防止・表面保護膜の導電性が低下し、透明性や基板フィルムとの密着性も低下することがある。
【0043】
このような帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法によれば、帯電防止性、耐スクラッチ性、防汚性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性を兼ね備えた表面保護層を1回の塗工回数でもって、基材フィルム上に成膜することができ、コストパフォーマンスに優れた帯電防止膜付きフィルムを簡便に製造することができる。
【実施例】
【0044】
本発明を下記実施例により更に説明する。
【0045】
実施例1
アンチモンドープ酸化錫水分散液(住友大阪セメント(株)製、固形分濃度;25質量%、平均1次粒子径;8nm)と、アニオン性ポリエステル樹脂水分散液(東洋紡績(株)製、商標:MD−1100、固形分濃度;30質量部、平均分散粒子径;30nm)と、アニオン性自己乳化型フッ素含有樹脂水分散液(大日本インキ化学工業(株)製、商標:TE−5A、固形分濃度;20質量部、平均分散粒子径;110nm)と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビッグケミ(株)製)と、脱イオン水と、イソプロピルアルコール(イソプロピルアルコールの塗料中の濃度は25質量%)を混合し、攪拌機を用いて30分攪拌し、表1に示される組成の帯電防止・表面保護膜形成用塗料を調製した。
【0046】
この帯電防止・表面保護膜形成用塗料に、水分散性イソシアネート型硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製、商標:DNW−5000、固形分濃度;80質量%)を、内割りで0.25質量%添加・混合し、塗布液を調製した。
この塗布液を、温度25℃、相対湿度60%の大気雰囲気下で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステル(株)製、厚み50μm)の片面上にバーコート法により塗布し、130℃の大気雰囲気中で1分間加熱して、膜厚が0.3μmの帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0047】
実施例2
実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し塗布液組成を表1に記載のように変更した。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗料を用いて、その他は実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0048】
実施例3
実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し塗布液組成を表1に記載のように変更した。また、アニオン性ポリエステル樹脂水分散液を、アニオン性自己乳化型ウレタン樹脂水分散液(デンカ(株)製、商標:HUX−522、固形分濃度;30質量%、平均分散粒子径;50nm)に変更した。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0049】
実施例4
実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し塗布液組成を表1に記載のように変更した。またアニオン性ポリエステル樹脂水分散液を、水性ポリオール樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商標:WE−308、固形分濃度;100質量%)に変更した。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は、実施例1と同様にして、帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0050】
実施例5
実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。ただし塗料の組成を表1に記載のように変更し、また、アニオン性ポリエステル樹脂水分散液を、アニオン性自己乳化型アクリル樹脂水分散液(新中村化学(株)製、商標:MK−100W、固形分濃度;37質量%)に変更した。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は実施例1と同様にして、帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0051】
実施例6
実施例3と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し塗料の組成を表1に記載のように変更し、また、水性イソシアネート型硬化剤水分散液の代りに水性メラミン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商標:M−3、固形分濃度;80質量%)を用いた。この塗布液を用いて、その他は実施例1と同様にして、帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0052】
実施例7
実施例6と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を得た。但し、塗布液の組成を表1に記載のように変更した。
次いで、この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は実施例6と同様にして、帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0053】
比較例1
実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し、塗布液の組成を表1に記載のように変更し、アンチモンドープ酸化錫を樹脂(A)及び(B)の合計量に対して462質量%の割合で用いた。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は実施例1と同様にして、帯電防止・表面保護膜付き透明フィルムを製造した。
【0054】
比較例2〜5
比較例2〜5のそれぞれにおいて、実施例3と同様にして帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を調製した。但し、塗布液の組成を表1に記載のように変更した。
この帯電防止・表面保護膜形成用塗布液を用いて、その他は実施例1と同様にして帯電防止・表面保護膜付きフィルムを製造した。
【0055】
実施例1〜7及び比較例1〜5のそれぞれの塗布液組成を表1に示す。
【表1】

【0056】
「評価」
実施例1〜7、比較例1〜5の帯電防止・表面保護膜付きフィルムの性能を下記試験により評価した。その結果を表2に示す。この、評価試験項目及び評価方法は、次のとおりである。
(1)全光線透過率
東京電色(株)製のヘイズメーターTC・H III DPを用い、JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて測定した。
(2)表面抵抗
(株)ダイヤインスツルメンツ製の表面抵抗計ハイレスタIPを用いて測定した。
【0057】
(3)密着性、耐スクラッチ
帯電防止・表面保護膜付きフィルムをガラス板上に載置し、帯電防止・表面保護膜表面を爪で引っ掻き、その跡からの粉粒体発生の有無を目視観察し、粉粒体の発生が認められない場合を「密着性、耐スクラッチ良好(表2において○と表記)」、粉粒体の発生が認められる場合を「密着性、耐スクラッチ不良(表2において×と表記)」と判定した。
(4)耐有機溶剤性
ウエスに酢酸エチルを浸し、50gf/cm2の荷重下で擦り、表面外観(浸触跡の有無)を目視観察し、帯電防止・表面保護膜の表面外観に変化が認められない場合を「耐有機溶剤性良好(表2において○と表記)」、帯電防止・表面保護膜の表面に浸蝕跡が認められ、表面外観に変化が認められる場合を「耐有機溶剤性不良(表2において×と表記)」と判定した。
(5)防汚性
日東電工(株)製No.53Bテープ(24mm幅)を帯電防止・表面保護膜上に貼り付け、180°剥離強度を測定し、剥離強度が5N/24mm以下の場合を「防汚性良好(表2において○と表記)」、剥離強度が5N/24mm以上の場合を「防汚性不良(表2において×と表記)」と判定した。また、粘着剤の残留状況を目視観察した。
【0058】
評価試験の結果を表2に示す。
【表2】

【0059】
表2の結果より、本発明に係る実施例1〜7の帯電防止・表面保護膜付きフィルムは、透明性、帯電防止性に優れており、さらに、耐スクラッチ性(密着性)、耐有機溶剤性、防汚性の全ての項目において優れた特性を有していることが確認された。
これに対して、比較例1〜5の帯電防止・表面保護膜付きフィルムは、耐スクラッチ性(密着性)、耐有機溶剤性、防汚性のいずれかの項目、若しくは、全ての項目において充分な特性を備えていないことが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、帯電防止性、耐スクラッチ性、防汚性、耐有機溶剤性、基板フィルムとの密着性のすべてにおいて優れた表面保護層を、単一回塗工により基材フィルム上に成膜することが可能になり、このためコストパフォーマンスに優れた帯電防止・表面保護膜付きフィルムの提供が可能になった。この帯電防止・表面保護膜付きフィルムは、光学用保護フィルムとして好適に使用可能であり、さらに静電気の帯電を嫌う電子部品、電子材料等を包装して、これらの電子部品、電子材料等を保護する用途、及び各種の物品を包装し、保護する包装用フィルムとしても実用性の優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明の帯電防止・表面保護膜付きフィルムの一例の積層構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 基材フィルム
2 帯電防止・表面保護膜
3 粘着剤層
4 セパレートフィルム
5 帯電防止・表面保護膜付きフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、この基材フィルム上に積層された帯電防止・表面保護膜と、を含み、
前記帯電防止・表面保護膜は、導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤(C)とを含み、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する、前記導電性金属酸化物の質量百分率は20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率は2質量%〜50質量%であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する、前記硬化剤(C)の質量百分率は、25質量%〜60質量%である、ことを特徴とする帯電防止・表面保護膜付きフィルム。
【請求項2】
前記帯電防止・表面保護膜が、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた少なくとも1種からなる表面改質剤を更に含有し、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記表面改質剤の質量百分率は5質量%〜30質量%である、請求項1記載の帯電防止・表面保護膜付きフィルム。
【請求項3】
前記帯電防止・表面保護膜の厚さが0.05μm〜1μmである、請求項1記載の帯電防止・表面保護膜付きフィルム。
【請求項4】
導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と溶剤とを含み、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率が20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率が2質量%〜50質量%である帯電防止・表面保護膜形成用塗料を調製し、
前記帯電防止・表面保護膜形成塗料に、イソシアネート型硬化剤及びメラミン型硬化剤から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤(C)を、前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量に対し、25〜60質量%の質量百分率量で添加して塗工混合液を調製し、
前記塗工混合液を基材フィルム上に塗布し、この塗布液層に乾燥・熱処理を施して、帯電防止・表面保護層を形成することを特徴とする帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記帯電防止・表面保護膜形成用塗料の調製に際し、珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた1種以上からなる表面改質剤(D)を、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対し、5〜30質量%の質量百分率量でさらに含ませる、請求項4に記載の帯電防止・表面保護膜付きフィルムの製造方法。
【請求項6】
導電性金属酸化物微粒子と、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなる樹脂(A)と、フッ素含有樹脂(B)と、溶剤とを含み、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記導電性金属酸化物の質量百分率が20質量%〜450質量%であり、かつ、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対する前記樹脂(B)の質量百分率が2質量%〜50質量%である帯電防止・表面保護膜形成用塗料。
【請求項7】
珪素含有化合物及びフッ素含有化合物から選ばれた少なくとも1種からなる表面改質剤(D)が前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計量に対して5質量%〜30質量%の質量百分率でさらに含有される、請求項6に記載の帯電防止・表面保護膜形成用塗料。

【図1】
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【公開番号】特開2009−66991(P2009−66991A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239954(P2007−239954)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】