説明

帯電防止塗料カッブ

流体供給装置で用いる使い捨てライナー(60)および再使用可能なカップホルダ(95)。使い捨てライナーまたは再使用可能なカップホルダが、帯電防止材料から形成されている。使用に際して、コーティング材混合物に含まれる帯電性粒子は使い捨てカップに付着することなく、供給の間、コーティング材混合物の均一性が維持される。また、供給の間、コーティング材混合物の均一性を保持する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、流体塗布装置用の流体供給カップに関し、特に、帯電防止特性を有した流体供給カップに関する。
【背景技術】
【0002】
流体塗布装置の頂部に流体供給カップを取付けるようにした、重力によって供給する塗料噴霧ガンのような流体塗布装置がある。流体供給カップは、使い捨てのライナーを有することができる。塗料その他のコーティング材のような流体は、別の容器で測定、混合され、次いで、使用のために流体供給カップに注ぐようにしたり、使い捨てのライナーそれ自体の中で測定、混合することができる。使い捨てのライナーは、洗浄の時間とコストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第10/458436号明細書
【特許文献2】米国特許第5643502号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、使い捨てのライナが、帯電性の成分、例えば、金属粒子を有したある種のコーティング材と共に使用される場合、塗布プロセスの間にコーティング材の均一性が変化してしまうことがある。その結果得られる部品は不均一な塗布となってしまう。不均一な塗布から生じうる問題のために、ある種のコーティング材で使い捨てのライナを使用しないことを推奨するユーザもある。
【0005】
従って、塗布すべきコーティング材の不均一性に影響を与えないようにした流体供給カップの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体供給装置で使用する帯電防止材料から形成された部品を提供することによって、この必要性に応える。コーティング材混合物に含まれる帯電性粒子は使い捨てライナーに付着することなく、供給の間、コーティング材混合物の均一性が維持される。「帯電防止材料」は、静電気の帯電を防止可能な材料を意味している。「帯電防止材料」との語は、静電気拡散性材料、つまり典型的な帯電防止剤よりも高率に静電気を放出可能な材料はもとより、従来の帯電防止材料および静電気を迅速に放電可能な導電性材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】流体供給装置と示す重力供給式の塗料噴霧器の側面図である。
【図2】流体供給装置の1つの実施形態の分解側面図である。
【図3】再使用可能なカップホルダと再使用可能な外蓋との間の結合を示す部分断面図である。
【図4】再使用可能な外蓋の他の実施形態を示す部分側断面図であり、流体供給装置の積み重ねを示す図である。
【図5】使い捨て蓋の他の実施形態を示す側断面図である。
【図6】図5の使い捨て蓋および使い捨てカップの他の実施形態を示す側面図である。
【図7】使い捨てカップの他の実施形態の側断面図である。
【図8】使い捨てカップの他の実施形態の頂面図である。
【図9】図8の使い捨てカップの1つの側断面図である。
【図10】図8の使い捨てカップの他の側断面図である。
【図11】1つの実施形態によるアダプターおよび外蓋との間の結合を示す部分側断面図である。
【図12】図11のアダプターの頂面図である。
【図13】図11の結合部の回転前の(フィルタを除く)頂面図である。
【図14】再使用可能な外蓋の斜視図である。
【図15】図11の結合部の回転後の(フィルタを除く)頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
流体塗布装置に取着された流体供給装置が図1に示されている。1つの実施形態では、流体供給装置は、塗料噴霧器のような流体塗布装置に塗料のような液体を供給するようになっている。以下、基体表面を塗料により塗布するために用いられる、重力によって塗料を供給するようにした噴霧器のような塗料噴霧に関連して本発明を説明する。こうした塗料噴霧は、自動車修理工場のような自動車の塗り替え業界で用いることができる。塗料噴霧器に関連して流体供給装置を説明するが、こうした使用に限定されない。流体塗布装置は、帯電性粒子を含んだ他の流体に用いることができる。
【0009】
図1を参照すると、塗料噴霧器10が図示されている。該噴霧器は、本体15、本体15の先端25に固定されたノズル組立体20、本体15の後端35から垂下されたハンドル30を具備する。噴霧器10を手操作するために、本体15には、トリガー40が回動自在に取付けられている。頂部取付け型の塗料供給装置45が、塗料をノズル組立体20に供給するために、本体15の先端25の近傍に取付けられる。ノズル組立体20に圧縮空気を供給するための空気ホース(図示せず)が空気接続部50に連結され、トリガー40によって圧縮空気の供給が制御される。
【0010】
空気接続部50からの空気は、内部通路(図示せず)を介してノズル組立体20に供給され、該圧縮空気は塗料を霧化し、該塗料をノズル組立体20から噴霧軸55を中心として噴霧する作用をなす。塗料は、塗料供給装置45からノズル組立体20へ供給される。
【0011】
図1〜図3には、塗料供給装置45の第1の実施形態が示されている。該塗料供給装置は、使い捨てカップ55を含む。使い捨てカップ55は、概ね円筒状の側壁60を有している。カップの頂部の出口端65は開放され、底部70は閉鎖されている。側壁60、出口端65、底部70によって内部75が画成される。
【0012】
前記使い捨ての流体供給カップは、使用に際して静電気の帯電が生じる場合がある。その結果、コーティング材が帯電性粒子を含んでいる場合、この粒子は、カップの壁面に付着する。帯電性粒子がカップに付着すると、コーティング材の組成が変化する。これによって、塗布プロセスの間に塗布されるコーティング材の均一性が変化し、不可能ではないにしても、均一な塗布が困難になる。例えば、コーティング材は金属粒子を含んだ塗料混合物とされる場合があろう。この場合、塗料が塗布されるとき、金属粒子が、流体供給カップの壁面に付着する場合がある。これが生じると、塗布すべき塗料が変色し、従って、塗布される物品が不均一な色となる。
【0013】
本発明の使い捨てカップは帯電防止材料から形成され、該帯電防止材料は、製造、貯蔵および使用の間に溜る静電気を散逸させる。静電気が散逸するので、コーティング材混合物に含まれる帯電性粒子は、噴霧の間、使い捨てカップに付着しない。従って、供給される間、コーティング材混合物の均一性が保持される。帯電性粒子は、以下に限定されないが、金属粒子および非金属粒子を含む。
【0014】
一般的に、帯電防止材料は、帯電防止剤を含有する重合体材料から成る。適当な重合体材料は、以下に列挙するものに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他の柔らかく可撓性の重合体を含んでいる。重合体材料は、選択に従い、実質的に透明な材料とすることができる。或いは、望ましい場合には、半透明または不透明であってもよい。
【0015】
「帯電防止材料」との語は、典型的な帯電防止材料、静電気拡散性材料、および導電性材料を含むことを意図している。帯電防止剤は、型による成形前に重合体に混ぜたり(内在式)、或いは、成形後に表面に塗布する(外在式)ことができる。本来的に導電性であるものもあるが、周囲の空気から湿分を吸収することによって機能するものもある。
【0016】
従来の帯電防止材料は、一般的に約109〜1012オーム/スクエア(ohms/square)の抵抗を有している。帯電防止材料は、表面抵抗、表面塗布、または全体的に充填することができる。典型的な帯電防止材料では、電荷が散逸する速度は、相対温度や相対湿度のような周囲の空気の状態に依存している。
【0017】
静電散逸材料は、典型的な帯電防止材料よりも高い速度で静電荷を放電することができる。静電散逸材料は、一般的に約106〜109オーム/スクエア(ohms/square)の抵抗を有している。静電散逸材料は、表面塗布または全体的に充填することができる。帯電防止材料は、周囲の空気の状態に依存している。
【0018】
導電性材料は、静電荷を迅速に放出することができる。導電性材料は、一般的に約103〜106オーム/スクエア(ohms/square)の抵抗を有している。これらの材料は、一般的に全体的に充填される。静電荷は、充填されている材料を通過する。周囲空気の状態は、導電性材料には影響しない。
【0019】
適当な帯電防止添加剤は、以下に列挙するものに限定されないが、長鎖の脂肪族アミン類及びアミド類、リン酸塩類、第4アンモニウム化合物、ポリエチレングリコール、グリコールエステル、エトキシル化した長鎖脂肪族アミン類、親水性共重合体からなる高分子の帯電防止添加剤、固有導電性の重合体、例えばポリアニリン及びポリチオフェン、そして導電性充填剤、例えばカーボンブラック、金属粉末及び繊維、ならびにグラファイト繊維を挙げることができる。
【0020】
カップが高い導電性と透明性とを備えていることが望ましい場合もある。従来のカーボンブラックで望ましい抵抗率を得ようとすると、カップの透明性が失われる。従って、代替的な帯電防止添加剤が必要となる。
【0021】
本発明では、帯電防止添加剤としてカーボンナノファイバのような導電性のナノ繊維を用いることができる。ナノ繊維は、使い捨てカップに透明性を与えながら高レベルの導電性を提供する。
【0022】
ナノ繊維は、約1000ナノメートルより小さい(典型的に約10nm〜約1000nm)直径および約1〜200μmの長さを有した中空の管状または中実の円筒状である。
【0023】
気相成長カーボンナノファイバは、小さな金属粒子の存在下で炭素コーティング原材料を熱分解する気相触媒方法の1つの変形方法によって生成される炭素の1つの特異型である。得られるナノ繊維は、通常、約60〜200nmの外径と50〜100μmのオーダーの長さを有している。
【0024】
気相成長カーボンナノファイバの使用は、重合体の機械特性、電気特性、伝熱特性お改善するために提案されてきた。例えば、気相成長カーボンナノファイバが、ポリマーマトリックス中の分散材を機械的に剪断するポリマー溶融混合法によって、ポリマーマトリックス中に分散される。例えば米国特許第5643502号明細書参照。
【0025】
不活性炭素は元素炭素であり、活性炭素との対比で、それほど微孔性ではなく、細孔容積が小さく、内面積が小さく、無機多硫化物のような物質を多くは吸着しない。カーボンナノファイバの不活性は、カーボンナノファイバを生成する気相成長プロセスの特性である。
【0026】
典型的に、不活性炭素は、吸着物質として窒素を用いた物理吸着のブルナウアー-エメット-テラー(BET)法で600m2/gよりも小さな比表面積を有している。カーボンナノファイバは、約500m2/gよりも小さな比表面積、約400m2/gよりも小さな比表面積、約300m2/gよりも小さな比表面積、約200m2/gよりも小さな比表面積あるいは約100m2/gよりも小さな比表面積(典型的には約50m2/g〜500m2/g)を有することができる。
【0027】
本発明での使用に適当な不活性カーボンナノファイバーは、これに限定されないが、PYROGRAF-III(オハイオ州シーダービル所在のアプライドサイエンス社から市販の商品名)である。
【0028】
使用に際して、帯電防止材料から形成された使い捨てカップに、帯電性粒子を含むコーティング材混合物が満たされる。使い捨てカップは、再使用可能なカップホルダ内に配置され、該再使用可能なカップホルダに外蓋が取付けられる。これによって、使い捨てカップが、再使用可能なカップホルダおよび外蓋内に密封される。次いで、コーティング材混合物が供給される。塗料混合物の帯電性粒子は使い捨てカップには付着しないので、コーティング材混合物が供給される間、コーティング材混合物の均一性が保たれる。
【0029】
使い捨てカップを帯電防止材料から形成することに加えて、詳細に後述する再使用可能なカップホルダ90、使い捨ての蓋130、再使用可能な外蓋170を含む流体供給組立体の他の部品もまた帯電防止材料から形成することができる。有利には、使い捨てカップおよびカップホルダの双方を帯電防止材料から形成する。帯電防止材料は、通常は既述の帯電防止材料と同一である。
【0030】
(例えば再使用可能なカップホルダ用に)透明性を備えた導電性材料が望ましい場合には、上述のように導電性のナノファイバを用いることができる。再使用可能なカップホルダ、使い捨ての蓋、または、再使用可能な外蓋のために用いることのできる他の透明性導電性材料は、オハイオ州シーダービル所在のポリワン社によって開発され PP 10000AS2にて指定される特許材料である。
【0031】
前記使い捨てカップは、塗料が供給される間に該使い捨てカップが潰れることができるように柔軟な側壁を有することができる。側壁は、薄くすることができ、例えば、0.076mm〜約0.203mm(約0.003inch〜約0.008inch)とすることができる。1つの構成では、使い捨てカップは、最低限の折曲部によって該使い捨てカップを潰し概ね全ての塗料を使用可能とする柔軟な側壁を有している。前記出口端および底部に隣接した側壁は、該側壁の中間部分よりも厚くなっている。この構成によって、使い捨てカップが潰れるとき、該カップは概ね裏返るように丸く変形するようになる。前記出口端および底部に隣接した側壁は、前記側壁の中間部分よりも約2倍から3倍厚くすることができる。例えば、前記出口端および底部に隣接した側壁は、約0.152mm〜約0.381mm(約0.006inch〜約0.015inch)とすることができ、前記側壁の中間部分は約0.076mm〜約0.127mm(約0.003inch〜約0.005inch)とすることができる。前記出口端および底部に隣接した肉厚部分は、望ましい場合には側壁の約1/4とすることができる。当業者には、上記の厚さや、薄肉の中間部分に対する厚肉の両端部分の比率は他の値でもよいことは理解されよう。
【0032】
前記底部は、前記側壁が潰れたときでも該底部が実質的に平坦に保持されるように、0.0762mm〜0.508mm(約0.003inch〜約0.02inch)の範囲とすることができる。側壁が潰れるので、該使い捨てカップには通気孔は必要ない。これによって、漏れることなく如何なる角度でも塗料噴霧器から噴霧することが可能となり、また、カップ内の塗料を従来の重力式に塗料を供給するカップよりも一層多く使用可能となる。
【0033】
1つの実施形態では、使い捨てカップ55の出口端65は軸線80を規定する。フランジ85が、出口端65の縁部から外側下方に延設されている。フランジ85は、出口端65の軸線80から約10°〜70°の範囲の角度αを以て下方に延設されている。
【0034】
再使用可能なカップホルダ90は概ね円筒状に形成されている。該ホルダは、側壁95、開いた上端100、下端105を有している。下端105には開口部110が形成されている。開口部110は、望ましい場合には、下端105の全て或いは殆ど全ての範囲とすることができる。或いは、1または複数の一層小さな開口部を下端105に形成してもよい。下端105の開口部110は、使用に際して、使い捨てカップが周囲の空気圧によって潰れることを可能とする。或いは、再使用可能なカップホルダ90に、下端105から下方に延びる1または複数の脚部112を設けることができる。該脚部は、開口部100の全周に亘って延設するように、(すなわち、円形リブ)、或いは、開口部110の周囲の一部のみに亘って延設するように形成することができる。脚部112は、後述するように、流体供給装置の積み重ねを補助することができる。
【0035】
上端100は軸線115を規定する。フランジ120が、上端100の縁部からから外側下方に延設されている。フランジ120は、上端100の軸線115から約10°〜70°の範囲の角度βを以て下方に延設されている。角度βは、使い捨てカップ55のフランジ85の角度αと実質的に同一である。使い捨てカップ55が再使用可能なカップホルダ90内に配置されると、使い捨てカップ55のフランジ85は、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120に支持される。
【0036】
再使用可能なカップホルダ90の上端100には、結合面125が設けられている。結合面125は、望ましい場合には、側壁に形成したり、側壁から外方へ突出させたり、或いは、フランジ120から外方へ突出させたりすることができる。
【0037】
再使用可能なカップホルダ90は、以下に限定されないが、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンを含む剛性プラスチックから形成することができる。望ましくは、再使用可能なカップホルダが塗料振盪機(paint shaker machine)のクランプ力に耐えるのに十分強いプラスチックが選択される。前記プラスチックは、不透明であってもよいが、望ましくは、透明または半透明である。不透明プラスチックを使用する場合には、使い捨てカップおよび該使い捨てカップの内容物が見えるように、細長い開口部を側壁に形成すべきであろう。典型的には、側壁は、約0.508mm〜約2.03mm(約0.02inch〜約0.08inch)の厚さとすることができる。
【0038】
使い捨て蓋130は、概ね円錐台形状の部分135を有する。円錐台部135の外縁部140は軸線145を規定する。円錐台部135の外縁部140の角度γは、軸線145から約10°〜70°の範囲にある。角度γは、使い捨てカップ55のフランジ85の角度αと実質的に同一である。使い捨て蓋130は、使い捨てカップ55の上に装着され、使い捨て蓋130の縁部140が使い捨てカップ55のフランジ85に係合する。望ましい場合には、使い捨て蓋130の内側に、下方に突出するリブ150を設けることができる。下方に突出するリブ150は、使い捨てカップの内部75に突出して、使い捨てカップ55の側壁60の内面に係合してシール部を形成する。更に、使い捨て蓋130の内面には、下方に突出する密封ビード部155を形成することができる。下方に突出する密封ビード部155は、使い捨てカップ55のフランジ85に係合して、密封を補助する。
【0039】
継手部160が円錐台部135に一体的に連結されている。継手部160を貫通して開口部165が形成されている。
【0040】
使い捨て蓋130は、透明、半透明または不透明のプラスチックから形成することができる。適当なプラスチックには、以下に列挙するものに限定されないが、ポリプロピレンまたは高密度ポリエチレンが含まれる。
【0041】
再使用可能な外蓋170は、概ね円錐台形状の部分175を有している。円錐台部175の外縁部180は軸線185を規定する。円錐台部175の外縁部180の角度δは、軸線185から約10°〜70°の範囲にある。角度δは、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120の角度βと実質的に同一である。再使用可能な外蓋170の外縁部180は、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120に相補的に係合する。再使用可能な外蓋170の外縁部180には、相補形の結合面190が設けられている。本実施形態では、相補形の結合面190は、外縁部180から下方に延設されているが、他の構成も可能である。相補形の結合面190は、再使用可能なカップホルダ90の結合面125に係合して、再使用可能なカップホルダ90と再使用可能な外蓋170とを共にシールする。
【0042】
再使用可能な外蓋は、円錐台部175に一体的に連結された継手部195を有している。継手部195には開口部200が貫通、形成されている。使い捨て蓋130の継手部160は、再使用可能な外蓋170の継手部195内に嵌合する。
【0043】
再使用可能な外蓋170は、強く強靱なプラスチックから形成することができる。望ましくは、再使用可能な外蓋が、塗料振盪機のクランプ力に耐えるのに十分強いプラスチックが選択される。適切なプラスチックの例は、限定されないが、アセタールを含む。アセタールは通常透明ではない。再使用可能な外蓋170は、望ましい場合には、塗料レベルがユーザから見えるように1または複数の覗き孔を含むことがでいる。覗き孔によって、塗料タイプの名称を使い捨て蓋にユーザが書くことができ、また、使い捨て蓋を再使用可能な外蓋から容易に取外可能となる。
【0044】
管路210によって流体供給装置は塗料噴霧器10に連結される。管路210は、再使用可能な外蓋170の継手部195および使い捨て蓋130の継手部160に係合する。管路210には穴215が貫通、形成されている。使い捨てカップ55の内部75から使い捨て蓋130の開口部165および管路210の穴215を通って塗料噴霧器10へ流体が流れるための通路が形成される。管路210の穴215内、再使用可能な外蓋170の開口部200内または使い捨て蓋130の開口部165内にフィルタ220を配設して、不純物を濾過するようにできる。
【0045】
流体供給装置を使用するために、使い捨てカップ55が再使用可能なカップホルダ90内に配置される。使い捨てカップ55のフランジ85が再使用可能なカップホルダ90のフランジ120に係合する。フランジ85は、使い捨てカップ55を再使用可能なカップホルダ90内に中心位置決めする。
【0046】
使い捨てカップ55または再使用可能なカップホルダ90の何れか一方または双方に表示部230を設けることができる。表示部230は、側壁に一体成形したり、側壁に印刷したり、側壁にラベルを貼付したり、或いは、他の形態で提供することができる。表示部230は、塗料成分を測定するために用いることができる。或いは、塗料成分を測定するために、使い捨てカップおよび再使用可能なカップホルダをはかりの上で用いたり、測定スティックと共に用いてもよい。
【0047】
表示部は、例えば4:1混合比、2:1混合比、3:2:1混合比などの1または複数の混合比を備えた混合用尺度を含むことができる。各混合比は、各混合比を用いて液体の異なる量を測定できるように、1または複数の異なる寸法の目盛を含むことができる。前記表示部は、また、1または複数の汎用尺度、すなわち同じ寸法の目盛を含むことができる。1つの汎用尺度は、20個の等目盛、他の10個の等目盛、第3の5個の等目盛を含むことができる。必要に応じて多数の汎用尺度を設けることができる。複数の汎用尺度を設けることにより、ユーザは混合比尺度を用いることなく、流体の異なる量を測定可能となり、混合比尺度を設けなくともよくなる。ユーザは、必要な流体量に基づいて、適切な汎用尺度を選択することができる。
【0048】
或いは、透明で薄く平坦なプラスチックシートに測定ガイドを印刷することができる。前記プラスチックシートは、該シートの両面に、以下に限定されないが、タブやスロットのような結合部を有する。プラスチックシートは筒状に形成され、前記スロット内に前記タブが挿入される。測定ガイドをテーブル上に配置し、使い捨てカップ、または、使い捨てカップを中に配置した再使用可能なカップホルダを、前記筒内に配置することができる。塗料成分を測定すると、使い捨てカップ(および存在する場合には再使用可能なカップホルダ)が前記筒から取外される。これは、指で使い捨てカップを持上げたり、前記シートのタブをスロットから外すことによって行うことができる。取外タブをフランジ上に180°離して設けることによって、使い捨てカップの取外が容易になる。次いで、(カップがカップホルダ内に既に配置されていなければ)使い捨てカップは、再使用可能なカップホルダ内に配置可能となる。測定ガイドは、塗料成分の測定において見易さと正確さを高める。矩形形状が製造容易である。これによって、使い捨てカップまたは再使用可能なカップホルダにラベルを正確に配置する必要がなくなる。そして、それはまた、ラベルよりも(すなわち、ラベル、再使用可能なカップホルダおよび使い捨てカップを通して見るよりも)一層表示部を直接的に見ることを可能とする。より小径の使い捨てカップを使用する場合に特に有利である。と言うのは、使い捨てカップの直ぐ隣に表示部を配置することができるからである。最後に、使い捨てカップを単体で用いる場合、再使用可能なカップホルダはクリーナー内に置かれる。と言うのは、塗料を注ぎ測定する際にはカップホルダは使用されないからである。
【0049】
シートを複数の異なる大きさに形成して、複数の異なったサイズの使い捨てカップで使用できるようにしてもよい。より大きなシートは、再使用可能なカップホルダ、および/または一層大きな使い捨てカップと共に使用することができる。より大きなシートで形成される前記筒によって、再使用可能なカップホルダおよび/または一層大きな使い捨てカップを中に装着可能となる。大きなシートは、底部近傍に設けた破線のような目印を含むことができ、これによって、大きな使い捨てカップが再使用可能なカップホルダと共に使用されているか否かに従って、表示部の適切な位置決めが可能となる。大きな使い捨てカップを単体で使用する場合(或いは、例えば脚部を有しておらず位置きめに影響しない再使用可能なカップホルダと共に用いる場合)には、シートを前記目印で切断するようにできる。これによって、何れの場合にも適切な位置決めが可能となる。小さなシートは、小さな使い捨てカップを使用する場合に使用することができる。流体の測定に際して、前記表示部と小さな使い捨てカップとを適切に位置決めするために、再使用可能なカップホルダは、通常、小さな使い捨てカップと共に使用することはないであろう。
【0050】
使い捨てカップ55に塗料が満たされると、使い捨て蓋130が使い捨てカップ55の頂部に配置される。使い捨て蓋130の縁部140の角度γが、使い捨てカップ55のフランジ85の角度αと実質的に同一であるので、使い捨て蓋130の縁部140は使い捨てカップ55のフランジ85に嵌合する。角度γによって、使い捨て蓋130は、使い捨てカップ55に対して中心に位置決めされる。また、使い捨て蓋130に角度γを設けることによって、流体供給装置の全外径を増加することなく、シール面積を高めることができる。
【0051】
使い捨て蓋130の内側に設けた下方に突出するリブ150が、使い捨てカップ55の内側に嵌合する。使い捨て蓋130の内側周縁部に1または複数の下方に突出するリブ150を配設することができ、該リブは、使い捨て蓋130の内側周縁部の全周に亘って、或いは、部分的に延設させることができる。下方に突出するリブ150は、使い捨て蓋130を正しい位置に保持すると共に、シール部として作用する。使い捨て蓋130は、また、下方に突出する密封ビード部155を有することができ、該密封ビード部は、使い捨てカップ55のフランジ85に接触して密封作用を高める。
【0052】
再使用可能な外蓋170は使い捨て蓋130の上に配置される。該外蓋は、再使用可能なカップホルダ90の結合面125および再使用可能な外蓋170の相補形の結合面190を用いて再使用可能なカップホルダ90に締結される。適当な結合面および相補形の結合面は、以下に列挙するものに限定されないが、ネジ連結部、ラグと溝、ピンとスロットを含む。
【0053】
再使用可能な外蓋170の外縁部180は、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120の角度βと実質的に等しい角度δを有している。再使用可能な外蓋170を再使用可能なカップホルダ90に締結することにより、使い捨て蓋130の外縁部140および使い捨てカップ55のフランジ85が共に、再使用可能な外蓋170の外縁部180と再使用可能なカップホルダ90のフランジ120との間に挟持される。この角度によって、トルクを増加することなくクランプ力が高まる。
【0054】
使い捨てカップ55のフランジ120の角度α、使い捨て蓋130の縁部140の角度γ、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120の角度β、および、再使用可能な外蓋170の外縁部180の角度δは、各々の軸線から約10°〜約70°、典型的には約20°〜約60°、より一層典型的には約30°〜約50°、更に典型的には約35°〜約45°の範囲である。
【0055】
使い捨てカップ55のフランジ85および使い捨て蓋130の縁部140の角度α、γが、流体供給装置を塗料噴霧器に取付ける角度に一致し、使い捨て蓋が塗料噴霧器の噴霧軸に実質的に平行となる場合には、使い捨てカップ内の塗料の概ね全量が使用される。典型的な混合塗料のコストは、液量1オンス当り1ドルを超えるので、廃棄される塗料を低減することは重要事項である。
【0056】
使い捨て蓋130の継手部160を覆うためにプラグ235を用いることができる。プラグ235は、継手部160の内面または外面に嵌合する。プラグ235は、振盪、貯蔵のために、継手部160の開口部165を密閉する。
【0057】
1つの実施形態では、本発明の流体供給装置は、補助的な支持部材なくして塗料振盪機に装着可能な程度に頑丈である。
【0058】
管路210が、再使用可能な外蓋170の継手部195に装着される。フィルタ220を管路210の穴215装着してもよい。或いは、フィルタ220は、使い捨て蓋130の継手部160または再使用可能な外蓋170の継手部195に装着してもよい。フィルタ220は、望ましい場合には、使い捨てカップ55が潰れたときに、管路210への開口部165が閉塞しないようにする突起部225を有することができる。突起部225は、また、洗浄または廃棄のためにフィルタ220を取外すためにも利用できる。望ましい場合には、貯蔵のために、管路210に溶剤を充填して栓をすることができる。使い捨て蓋130の継手部160のために、内側継手プラグ235を用いる場合には、同じサイズのプラグを管路に装着するようにできる。
【0059】
流体供給装置は管路210に取着される。管路210は再使用可能な外蓋170と塗料噴霧器10とを結合し、かつ、使い捨てカップ55の内部75から塗料噴霧器10への流路を提供する。
【0060】
当業者には周知の種々のタイプの管路を使用することができる。例えば、2003年6月10日に出願された米国特許出願第10/458436号「摩擦ばめ式の塗料カップの結合部」には適当な管路が記載されている。
【0061】
他の適当な管路が図11〜図15に示されている。該管路は、塗料噴霧器10と外蓋508とを結合するためのアダプター505とすることができる。アダプター505は、図1に示す塗料噴霧器10に係合可能な第1の端部分510と、再使用可能な外蓋508に係合可能な第2の端部分515と、第1と第2の端部分510、515の間の中空ボア520とを含む。
【0062】
1つの実施形態では、第1の端部分510は、第2の端部分515よりも小さな直径を有している。第1の端部分510は概ね円筒形状を有している。第1の端部分510は、塗料噴霧器10の相補形の結合面530に係合する結合面525を有している。適切な結合面525および相補形の結合面530は、以下に列挙するものに限定されないが、螺旋ネジ面、ラグと溝、テーパ結合、バヨネット結合を含み、或いは、第1の端部分510を塗料噴霧器10と一体的に形成して、アダプター505が塗料噴霧器10への供給管路となるようにしてもよい。望ましくは、結合面525および相補形の結合面530は、塗料噴霧器用の通常のサイズ、ピッチのネジとし、流体供給装置が複数の噴霧器で使用できるようにする。
【0063】
第2の端部分515は、第1の形状535を有した部分と、第2の形状540を有した部分とを有している。望ましい場合には、第1の形状535を有した部分は平坦形状とすることができ、第2の形状540を有した部分は湾曲形状とすることができる。或いは、第1の形状を有した部分は単純な形状、または、限定されないが、外側または内側に湾曲した複雑な形状を有することができる。第1の形状を有した部分が湾曲している場合には、該部分は、第2の形状を有した部分の曲率とは異なる曲率を有すべきである。第2の形状を有した部分は、また、湾曲形状以外の形状を有することができる。望ましくは、第2の端部分515は、対設された平坦部分535と対設された湾曲部分540とを有する。これらは、1または複数の湾曲部分と、1または複数の平坦部分とすることができる。望ましくは、対設された2つの平坦部分と、対設された2つの湾曲部分とを設ける。
【0064】
外蓋508には、貫通する開口部550を備えた概ね円筒状形状の継手部545が一体的に形成されている。開口部550は概ね円形である。外蓋508の開口部550は、開口部550の上端において内側に突出した少なくとも1つのタブ555を有している。タブ555は、第2の端部分515を開口部550内に挿入可能となるように、隣接する第1の形状を有した部分を通過させるが、第2の形状を有した部分は通過させない形状を有している。平坦部分535を用いる場合には、タブ555は典型的に平坦形状となる。タブ555は、継手部545の上端に設けることができるが、望ましい場合には、該上端から下方に形成してもよい。
【0065】
開口部550においてタブ555の下側には少なくとも1つの水平停止部560が設けられている。第2の端部分515が望ましい距離だけ入るように、第2の端部分515は、水平停止部560とタブ555との間に嵌合する高さを有している。第2の端部分515が水平停止部560に当接したときに、図15に示すように、アダプター505を回転させて、流体供給装置が塗料噴霧器10に固定される。或いは、外蓋508をアダプター505に回転させてもよい。アダプター505を回転させると、タブ555が第2の端部分515の湾曲部分540の頂部に係合する。
【0066】
開口部550内には、少なくとも1つの垂直停止部562が設けられている。垂直停止部562は、アダプター505が脱離しないように、平坦部分535がタブ555に係合する限りアダプター505の回転を防止する。垂直停止部562は、望ましい場合には、タブ555から水平停止部560まで延設させることができる。或いは、垂直停止部562は、タブ555と水平停止部560との間の距離の一部だけ延設させるようにしてもよい。
【0067】
アダプター505は、第2の端部分515の平坦部分535と湾曲部分540、継手部545の平坦なタブ555、および、第2の端部分515の高さのために、開口部550内に完全に挿入されるまで回転させることができない。これによって、結合部の不適切な組立による流体供給装置のアダプター505からの脱落が防止される。更に、継手部545の側壁によって、第2の端部515の湾曲部分540が支持され、これによって、第2の端部515が継手部545内で移動しにくくなる。これは、また、流体供給装置とアダプターとの間の結合を安定させる。
【0068】
使い捨て蓋565が継手部570を有している。アダプター505の第2の端部515が外蓋508の継手部545に挿入されると、使い捨て蓋565の継手部570がアダプター505のボア520内に挿入される。これによって、流体供給装置の内部が噴霧ガンの通路に連通する。
【0069】
図4に、再使用可能な外蓋の代替実施形態を示す。本実施形態では、再使用可能な外蓋300は内側部分305と、外側部分310とを有している。外側部分310は概ね円錐台形状となっている。外縁部315が軸線320を規定する。外縁部315の角度δaは軸線320から約10°〜70°となっている。第1の実施形態と同様に、角度δaは、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120の角度βと実質的に等しくなっている。
【0070】
内側部分305は実質的に平坦となっている。或いは、該内側部分は、外縁部315の角度δaと異なる所定の角度とすることができる。1または複数の上方に延びる突出部325を含んでいてもよい。突出部325は、再使用可能な外蓋300の全周または一部に延設させることができる。前記突出部は、隣接する再使用可能なカップホルダ90aの脚部112と係合するように配置して、流体供給装置を積み重ねられるようにすることができる。
【0071】
再使用可能なカップホルダの脚部112を横断する距離が、再使用可能なカップホルダの下端の直径よりも小さく、かつ、再使用可能なカップホルダを塗料振盪機で使用すべき場合には、再使用可能なカップホルダの底部に第2のリング部を設けることが望ましい。塗料振盪機のクランプ力を再使用可能なカップホルダの側壁に伝達して、再使用可能なカップホルダの底部の変形を低減するために、第2のリング部は、再使用可能なカップホルダの下端の直径と同一(または実質的に同一)であるべきである。
【0072】
再使用可能な外蓋は、内側部分に一体的に連結された継手部330を有している。継手部330には、開口部335が貫通、形成されている。
【0073】
再使用可能な外蓋300の外縁部315は、再使用可能なカップホルダ90のフランジ120に係合する。再使用可能な外蓋300の外縁部315には、相補形の結合面340が設けられている。相補形の結合面340は、再使用可能なカップホルダ90の結合面125に係合して、再使用可能なカップホルダ90と再使用可能な外蓋300とを共に固定する。
【0074】
図5、6に使い捨て蓋の代替実施形態を示す。使い捨て蓋350は内側部分355と外側部分360とを有する。外側部分360は、概ね円錐台形状となっている。外縁部365が軸線370を規定する。外縁部365の角度γaは軸線370から約10°〜70°となっている。第1の実施形態と同様に、角度γaは、使い捨てカップ55のフランジ85の角度αと実質的に等しくなっている。
【0075】
内側部分355は、概ね円錐台形の部分375と、上方に延びる突出部380とを有している。上方に延びる突出部380は、外側部分360に連結されている。継手部385が内側部分355に一体的に連結されている。継手部385には、開口部390が貫通、形成されている。
【0076】
外側部分360は、使い捨てカップ55のフランジ85に係合する。上方に延びる突出部380は、使い捨てカップ55の出口端65の内側に嵌合して、付加的なシール部を形成する。
【0077】
図7〜図10に使い捨てカップの代替実施形態を示す。図7において、使い捨てカップ400は、概ね円筒形状の下側壁部405、概ね円錐台形状の中間側壁部415、および、概ね円筒形状の上側壁部420を有している。
【0078】
使い捨てカップ400の頂部の出口端425は開放されており、底部430は閉鎖されている。下側壁部405、中間側壁部415、上側壁部420、出口端425、底部430によって内部435が画成される。内部435は内部75よりも小さくなっている。下側壁部の直径が小さくなっているので、より一層少量の塗料を使用する際に、塗料の比率を正確に測定可能となる。
【0079】
出口端425は軸線440を規定する。フランジ445が、出口端425の縁部から外側下方に延設されている。フランジ445は、出口端425の軸線440から約10°〜70°の範囲の角度αaを以て下方に延設されている。出口端425は、再使用可能なカップホルダ内に配置されるようになっており、従って、再使用可能なカップホルダ内に嵌合するサイズで形成されている。
【0080】
或いは、概ね円筒状の下側壁部は、中心から位置がずれて、すなわち、上側壁部に対して同心でなくともよい。これにより、下側壁部は、再使用可能なカップホルダの側壁に近くなり、測定表示部の読取が容易になる。
【0081】
図8〜図10では、使い捨てカップ450は、概ね楕円状の下側壁部455、および、下側壁部から概ね円筒状の上側壁部465へ延在する中間側壁部460を有している。
【0082】
使い捨てカップ450の頂部の出口端470は開放されており、底部475は閉鎖されている。下側壁部455、中間側壁部460、上側壁部465、出口端470、底部475によって内部480が画成される。内部480は内部75よりも小さくなっている。楕円形状によって、塗料測定のための表示部の読取が容易になる。と言うのは、使い捨てカップが再使用可能なカップホルダの近傍に配置されるからである。上記楕円の長軸は、再使用可能なカップホルダの直径の実質的に全長に亘って、或いは、同直径の実質的に全長に亘って延設させることができる。
【0083】
出口端470は軸線485を規定する。フランジ490が出口端470の縁部からから外側下方に延設されている。フランジ490は、出口端470の軸線485から約10°〜70°の範囲の角度αaを以て下方に延設されている。出口端470は、再使用可能なカップホルダ内に配置されるようになっており、従って、再使用可能なカップホルダ内に嵌合するサイズで形成されている。
【0084】
これらの実施形態では、使い捨てカップの出口端を横断する距離は、少なくとも1つの方向に、底部を横断する距離よりも大きくなっている。使い捨てカップの小さな部分は、側壁の全高以下の距離を以て延設することができる。側壁が円筒形状である場合には、小径部分は側壁の全高に亘って延在し、平坦な環状部分によってフランジに連結することができる。側壁の全高に亘って延在していない場合、概ね円錐台形状の上壁部分によって連結することができる。当業者には周知のように、他の側壁の構成も可能である。
【0085】
使い捨てカップのこの実施形態は、装置に修正を加えることなく使い捨てカップおよび外蓋と共に使用可能であり、流体供給装置で異なるサイズの使い捨てカップが利用可能となる。
【0086】
概ね円筒形状の使い捨てカップおよび再使用可能なカップホルダについて、流体供給装置を示し、説明した。これは、製造および使用が容易であるので、典型的な形状である。然しながら、以下に列挙するものに限定されないが、四角形、三角形、五角形、楕円等を含む他の状であってもよい。
【0087】
本発明を説明する目的で、特定の代表的実施形態および詳細を示したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することなく、ここに開示した構成要素および方法を様々に変更可能なことは当業者の当然とするところである。
【符号の説明】
【0088】
10 塗料噴霧器
15 本体
20 ノズル組立体
25 先端
30 ハンドル
40 トリガー
45 塗料供給装置
50 空気接続部
55 使い捨てカップ
60 側壁
65 出口端
70 底部
75 内部
80 軸線
85 フランジ
90 再使用可能なカップホルダ
95 側壁
100 上端
105 下端
110 開口部
112 脚部
115 軸線
120 フランジ
125 結合面
130 使い捨て蓋
135 円錐台部
140 円錐台部の外縁部
145 軸線
150 リブ
155 密封ビード部
160 継手部
165 継手部の開口部
170 再使用可能な外蓋
175 円錐台部
180 円錐台部の外縁部
185 軸線
190 相補形の結合面
195 継手部
200 継手部の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電性粒子を含んだ材料を貯留するための空間を画成する少なくとも1つの側壁を具備した使い捨てライナーにおいて、
該ライナーは帯電防止導電性ナノファイバーを含んだ材料から形成されており、該使い捨てライナーは透明であり、前記帯電性粒子が該使い捨てライナーに付着せず、前記帯電性粒子を有した材料を供給する間、該使い捨てライナー内で前記帯電性粒子の均一性が維持されるようにした使い捨てライナー。
【請求項2】
前記帯電防止導電性ナノファイバーを含んだ材料は、該帯電防止導電性ナノファイバーを含んだ重合体材料である請求項1に記載の使い捨てライナー。
【請求項3】
前記重合体材料は、ポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される請求項2に記載の使い捨てライナー。
【請求項4】
前記導電性ナノファイバーはカーボンナノファイバーから成る請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項5】
前記使い捨てライナーは、その一端に隣接させて密封可能な閉蓋を有した柔軟なバッグを具備する請求項1〜4の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項6】
前記使い捨てライナーは柔軟な使い捨てカップを具備し、
該使い捨てカップが、内部を画成する、側壁、開いた出口端および閉じた底部を具備し、前記使い捨てカップは前記底部において自立し、かつ、該使い捨てカップから流体が吸引されると側壁が潰れるようになっている請求項1〜4の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項7】
前記使い捨てカップの出口端の縁部から外方に延設されたフランジを具備する請求項6に記載の使い捨てライナー。
【請求項8】
前記出口端が軸線を規定し、前記フランジは、前記出口端の軸線から約10°〜約70°の範囲の角度を以て下方に延設されている請求項7に記載の使い捨てライナー。
【請求項9】
前記使い捨てカップが、前記側壁に流体を測定するための表示部を有する請求項6〜8の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項10】
前記側壁が概ね円筒状である請求項6〜8の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項11】
前記側壁が、前記出口端に隣接した第1の部分と、前記底部に隣接した第2の部分と、前記出口端と前記底部との間の第3の部分とを有し、前記第1と第2の部分が前記第3の部分よりも厚く形成されている請求項6〜10の何れか1項に記載の使い捨てライナー。
【請求項12】
側壁と、開口した上端と、下端とを有した再使用可能なカップホルダであって、前記下端には開口が形成されており、かつ、前記上端に結合面が形成されて成るカップホルダにおいて、
該再使用可能なカップホルダは、使い捨てカップを受容するようになっており、かつ、帯電防止材料から形成されており、
該再使用可能なカップホルダの帯電防止材料は、静電気を散逸させ、帯電性粒子が、該再使用可能なカップホルダ内に配置された使い捨てカップに付着せず、該使い捨てカップ内の前記帯電性粒子を有した材料を供給する間、前記使い捨てカップ内で前記帯電性粒子の均一性が維持されるようにした再使用可能なカップホルダ。
【請求項13】
前記帯電防止材料は、帯電防止添加剤を含んだ重合体材料である請求項12に記載の再使用可能なカップホルダ。
【請求項14】
前記帯電防止添加剤は、長鎖の脂肪族アミン類及びアミド類、リン酸塩類、第4アンモニウム化合物、ポリエチレングリコール、グリコールエステル、エトキシル化した長鎖脂肪族アミン類、親水性共重合体からなる高分子の帯電防止添加剤、固有導電性の重合体、例えばポリアニリン及びポリチオフェン、そして導電性充填剤、例えばカーボンブラック、金属粉末及び繊維、グラファイト繊維、導電性ナノファイバ、ポリワン社から市販のPP 10000AS2およびその組合わせから選択される請求項13に記載の再使用可能なカップホルダ。
【請求項15】
前記再使用可能なカップホルダは透明である請求項12〜14の何れか1項に記載の再使用可能なカップホルダ。
【請求項16】
流体供給装置において、
内部を画成する、側壁、開いた出口端および閉じた底部を有した使い捨てカップと、
側壁と、開口した上端と、下端とを有した再使用可能なカップホルダであって、前記下端には開口が形成され、前記上端に結合面が形成され、使い捨てカップを受容するようにしたカップホルダと、
内部と外部とを有し、前記使い捨てカップに装着するようにした使い捨て蓋であって、該使い捨て蓋は一体に連結された継手部を有し、該継手部には開口部が貫通形成されて成る使い捨て蓋と、
内部と外部とを有し、前記再使用可能なカップホルダに装着するようにした再使用可能な外蓋であって、該再使用可能な外蓋は、前記内部に一体的に連結された継手部を有し、該継手部には開口部が貫通、形成されており、前記使い捨て蓋の継手部が該再使用可能な外蓋の継手部内に嵌合するようになっており、更に、該再使用可能な外蓋の縁部に相補形の結合面が設けられており、該再使用可能な外蓋の相補形の結合面は、前記再使用可能なカップホルダの結合面に係合して、前記再使用可能なカップホルダと前記再使用可能な外蓋とを共にシールするようになっている再使用可能な外蓋とを具備し、
前記再使用可能なカップホルダ、前記使い捨て蓋および前記再使用可能な外蓋の少なくとも1つが、帯電防止材料から形成されており、帯電防止材料が静電気を散逸させ、前記使い捨てカップ内の帯電性粒子が前記使い捨てカップに付着せず、該流体供給装置から前記帯電性粒子を有した材料を供給する間、前記使い捨てカップ内で前記帯電性粒子を有した材料の均一性が維持されるようにした流体供給装置。
【請求項17】
前記帯電防止材料は、帯電防止添加剤を含んだ重合体材料である請求項16に記載の流体供給装置。
【請求項18】
前記帯電防止添加剤は、長鎖の脂肪族アミン類及びアミド類、リン酸塩類、第4アンモニウム化合物、ポリエチレングリコール、グリコールエステル、エトキシル化した長鎖脂肪族アミン類、親水性共重合体からなる高分子の帯電防止添加剤、固有導電性の重合体、例えばポリアニリン及びポリチオフェン、そして導電性充填剤、例えばカーボンブラック、金属粉末及び繊維、グラファイト繊維、導電性ナノファイバ、ポリワン社から市販のPP 10000AS2およびその組合わせから選択される請求項17に記載の再使用可能なカップホルダ。
【請求項19】
前記重合体材料は、ポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される請求項16に記載の流体供給装置。
【請求項20】
前記使い捨てカップ、前記最小可能なカップホルダ、使い捨て蓋、再使用可能な外蓋の少なくとも1つが透明である請求項16に記載の流体供給装置。
【請求項21】
供給の間、コーティング材混合物の均一性を保持する方法において、
再使用可能なカップホルダと、開口部を有した外蓋とを準備し、該再使用可能なカップホルダは前記外蓋に嵌合するようになっており、
使い捨てカップを準備し、前記使い捨てカップは前記再使用可能なカップホルダに装着され、前記使い捨てカップは、内部を画成する、側壁、開いた出口端および閉じた底部を具備し、前記使い捨てカップは帯電防止導電性ナノファイバを含んだ重合体材料から成り、
帯電性粒子を含んだコーティング材混合物を前記使い捨てカップに満たし、
前記使い捨てカップを再使用可能なカップホルダ内に配置し、
前記外蓋を前記再使用可能なカップホルダに取付、前記使い捨てカップを前記再使用可能なカップホルダと前記外蓋内に密封し、
前記蓋の開口を噴霧ガンに連結し、
前記コーティング材混合物を供給し、
前記コーティング材混合物を供給する間、使い捨てライナーが潰れるようにし、
コーティング材混合物に含まれる帯電性粒子が前記使い捨てカップに付着せず、以て、該コーティング材混合物が供給される間、該コーティング材混合物の均一性が維持されるようにしたコーティング材混合物の均一性を保持するようにした方法。
【請求項22】
前記コーティング材混合物が塗料混合物であり、前記帯電性粒子が金属粒子であり、前記コーティング材混合物の均一性は、前記塗料混合物の色の均一性である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記導電性ナノファイバがカーボンナノファイバを具備する請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
供給の間、コーティング材混合物の均一性を保持する方法において、
再使用可能なカップホルダと、開口部を有した外蓋とを準備し、該再使用可能なカップホルダは前記外蓋に嵌合するようになっており、
前記再使用可能なカップホルダに装着するようにした使い捨てカップを準備し、該使い捨てカップは、内部を画成する、側壁、開いた出口端および閉じた底部を具備し、
帯電性粒子を含んだコーティング材混合物を前記使い捨てカップに満たし、
前記使い捨てカップに使い捨て蓋を装着し、
前記外蓋を前記再使用可能なカップホルダに取付け、前記使い捨てカップおよび前記使い捨て蓋を前記再使用可能なカップホルダと前記外蓋内に密封し、
前記蓋の開口を噴霧ガンに連結し、
前記コーティング材混合物を供給し、該コーティング材混合物を供給する間、使い捨てカップが潰れるようにし、
再使用可能なカップ、使い捨てカップまたは外蓋のうち1つまたは複数が、静電気を散逸させる帯電防止材料から成り、コーティング材混合物の前記帯電性粒子が前記使い捨てカップに付着せず、該コーティング材混合物が供給される間、該コーティング材混合物の均一性が維持されるようにしたコーティング材混合物の均一性を保持するようにした方法。
【請求項25】
前記帯電防止材料が、帯電防止添加剤を含んだ重合体材料から成る請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記帯電防止添加剤は、長鎖の脂肪族アミン類及びアミド類、リン酸塩類、第4アンモニウム化合物、ポリエチレングリコール、グリコールエステル、エトキシル化した長鎖脂肪族アミン類、親水性共重合体からなる高分子の帯電防止添加剤、固有導電性の重合体、例えばポリアニリン及びポリチオフェン、そして導電性充填剤、例えばカーボンブラック、金属粉末及び繊維、グラファイト繊維、導電性ナノファイバ、ポリワン社から市販のPP 10000AS2およびその組合せから選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記再使用可能なカップホルダ、使い捨て蓋、外蓋のうち1つまたは複数が透明である請求項24〜26の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−541051(P2009−541051A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518166(P2009−518166)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/014436
【国際公開番号】WO2008/002444
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】