説明

帯電防止層を有する光学フィルム、並びにこれを用いた、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置

【課題】被膜強度が強く、導電性、耐光性等の耐久性及び透明性のいずれにも優れる帯電防止層を備える光学フィルム、並びにこれを用いた、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】透明支持体上に下記(A)〜(D)を少なくとも含有する組成物から形成される帯電防止層を少なくとも1層有する光学フィルム。
(A)導電性ポリマー
(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物
(D)光重合開始剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止層を有する光学フィルム、並びに前記光学フィルムを用いた、反射防止フィルム、偏光板及び前記光学フィルム又は前記偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学、精密機械、建材、家電等の分野においては、埃付着、電気回路故障等を防止することを目的として、帯電防止能を有するフィルムを貼付することが有用であるとされている。とりわけ、家電分野においては、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置に施される保護フィルムに対して、防塵性やパネル加工時の故障対策の観点から帯電防止性が要求されている。
【0003】
光学フィルムに帯電防止性を付与することを目的として、導電性ポリマーを用いる方法が知られている。特にポリチオフェンやポリアニリンといったπ共役系導電性高分子は、湿度依存性がないために帯電防止材料として有用であるが、導電性ポリマー単独では十分な被膜強度がなく表面フィルムとしては問題があった。この問題に対して導電性ポリマーと硬化性バインダーとからなる塗膜が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、耐光性、耐熱性、耐湿熱性といった耐久性、とりわけ耐光性が悪く、光照射によって導電性が大幅に悪化するという問題があった。
【0004】
一方、導電性ないし耐久性向上のために、高導電化剤として「2個以上のヒドロキシ基を有する化合物」を導電性ポリマーに含有させることが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3には、このような高導電化剤と硬化性バインダーとを併用すると、導電性ないし耐久性向上の効果が打ち消されてしまうことが記載されている。
また、導電性ないし耐久性向上ために、導電性ポリマーに「芳香族環に2個以上のヒドロキシ基が結合したヒドロキシ基含有芳香族化合物」を混合して使用することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−91618号公報
【特許文献2】特開2006−176681号公報
【特許文献3】特開2008−75001号公報
【特許文献4】特開2006−265297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、導電性ポリマーと硬化性バインダーとからなる塗膜において、耐光性を維持するために、導電性ポリマーの含有量を増加させると、塗膜の硬度低下や、着色による透過率低下の問題があり改良が必要であることを見出している。
また、本発明者らは、ラジカル重合によって硬化するバインダーと、特許文献4に記載の添加剤を併用した際、前記添加剤がラジカルトラップとして働き、重合が阻害され塗膜の硬化が進まず成膜性を成さない、ないしは表面フィルムとして膜強度が十分ではない場合があることを見出している。
【0007】
従来技術の上記問題点に鑑み、本発明の目的は、被膜強度が強く、導電性、耐光性等の耐久性及び透明性のいずれにも優れる帯電防止層を備える光学フィルム、並びにこれを用いた、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、導電性ポリマー及び硬化性バインダーを含有する組成物に、水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物を更に含有させることにより、前記非芳香族性アルコール化合物がラジカルトラップ能が低いことにより前記バインダーの重合を阻害することなく高い被膜強度及び導電性を達成し得ることを見出した。本発明は、この知見に基づき完成するに至ったものである。
【0009】
[1]
透明支持体上に、下記(A)〜(D)を少なくとも含有する組成物から形成される帯電防止層を少なくとも1層有する光学フィルム。
(A)導電性ポリマー
(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物
(D)光重合開始剤
[2]
前記非芳香族性アルコール化合物(C)が炭素数4個以上の主鎖骨格を有する脂肪族炭化水素化合物である、[1]に記載の光学フィルム。
[3]
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の水酸基数が4〜6個である、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の主鎖骨格が直鎖状である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[5]
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の水酸基当量(分子量/水酸基数)が40以下である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[6]
前記多官能モノマー(B)の分子量が400以下である、[1]〜[5]いずれか1項に記載の光学フィルム。
[7]
前記光学フィルムの表面抵抗率SR(Ω/sq)の常用対数値(LogSR)が6〜12の範囲である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[8]
前記(A)導電性ポリマーが、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、及びそれらの誘導体の少なくともいずれかを含む、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【0010】
[9]
前記(A)導電性ポリマーが、ポリチオフェン及びその誘導体の少なくともいずれかを含む、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[10]
前記(A)導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンを含む、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[11]
更に、前記(A)導電性ポリマーのドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[12]
前記組成物が更に(E)フッ素系又はシリコーン系の界面活性剤を含有する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[13]
前記帯電防止層が、平均粒子径0.5〜20μmの透光性粒子を含有する、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【0011】
[14]
[1]〜[13]のいずれか1項に記載の光学フィルムの帯電防止層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有する、反射防止フィルム。
[15]
[1]〜[13]のいずれか1項に記載の光学フィルム又は[14]に記載の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板。
[16]
[1]〜[13]のいずれか1項に記載の光学フィルム、[14]に記載の反射防止フィルム又は[15]に記載の偏光板をディスプレイの最表面に有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被膜強度が強く、導電性、耐光性等の耐久性及び透明性のいずれにも優れる帯電防止層を備える光学フィルム、並びにこれを用いた、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、少なくとも下記(A)〜(D)を含有する組成物から形成される帯電防止層を少なくとも1層有する。本発明の光学フィルムは、下記(A)〜(D)成分を含有する塗布組成物を透明支持体上に塗布し、硬化させることによって形成することが好ましい。
(A)導電性ポリマー
(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物
(D)光重合開始剤
以下、本発明における帯電防止層を形成する組成物に含有される各成分について説明する。
【0014】
〔(A)導電性ポリマー〕
本発明における導電性ポリマーとしては、本業界において導電性ポリマーとして用いられる高分子化合物等のいかなるものをも用いることができる。
【0015】
導電性ポリマーは、好ましくは芳香族炭素環又は芳香族ヘテロ環を、単結合又は二価以上の連結基で連結した非共役高分子又は共役高分子である。非共役高分子又は共役高分子における前記芳香族炭素環としては、例えばベンゼン環が挙げられ、更に縮環を形成してもよい。非共役高分子又は共役高分子における前記芳香族ヘテロ環としては、例えばピリジン環、ビラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、ペンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環などが挙げられ、更に縮環を形成してもよく、置換基を有してもよい。
【0016】
また、非共役高分子又は共役高分子における前記二価以上の連結基としては、炭素原子、珪素原子、窒素原子、硼素原子、酸素原子、硫黄原子、金属、金属イオンなどで形成される連結基が挙げられる。好ましくは、炭素原子、窒素原子、珪素原子、硼素原子、酸素原子、硫黄原子及びこれらの組み合わせから形成される基であり、組み合わせにより形成される基としては、置換若しくは無置換のメチレン基、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、エステル基、アミド基、シリル基などが挙げられる。
【0017】
導電性ポリマーとしては、具体的には、置換又は非置換の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリピリジルビニレン、ポリアジン、又はこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
また、所望の導電性を達成できる範囲であれば、導電性を有しない他のポリマーとの混合物として用いることもでき、導電性ポリマーを構成し得るモノマーと導電性を有しない他のモノマーとのコポリマーも用いることができる。
【0019】
導電性ポリマーとしては、共役高分子であることが更に好ましい。共役高分子の例としては、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリフルオレン、ポリアズレン、ポリ(パラフェニレンサルファイド)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、複鎖型共役系高分子(ポリペリナフタレンなど)、金属フタロシアニン系高分子、その他共役系高分子(ポリ(パラキシリレン)、ポリ[α−(5,5’−ビチオフェンジイル)ベンジリデン]など)、又はこれらの誘導体等が挙げられる。
好ましくはポリ(パラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)が挙げられ、より好ましくはポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール又はこれらの誘導体、更に好ましくはポリチオフェン及びその誘導体の少なくともいずれかが挙げられる。
これら共役高分子は置換基を有していてもよい。これらの共役高分子が有する置換基としては、後述の一般式(I)においてR11として説明する置換基を挙げることができる。
【0020】
特に、導電性ポリマーが下記一般式(I)で表される部分構造を有すること(即ちポリチオフェン及びその誘導体であること)が、高い透明性と帯電防止性を両立した光学フィルムを得るという観点から好ましい。
【0021】
【化1】

【0022】
一般式(I)中、R11は置換基を表し、m11は0〜2の整数を表す。m11が2を表すとき、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。n11は1以上の整数を表す。
【0023】
11で表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−オクテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。)、
【0024】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、
【0025】
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
【0026】
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、
【0027】
ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12で、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。具体的には、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。
【0028】
上記R11で表される置換基は、更に置換されていてもよい。また、置換基を複数有する場合、それらの置換基は互いに同じでも異なっていてもよく、また可能な場合は連結して環を形成してもよい。形成される環としては例えば、シクロアルキル環、ベンゼン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジチアン環等が挙げられる。
【0029】
11で表される置換基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基である。特に好ましくは、m11が2のとき、2つのR11が環を形成したアルコキシ基、アルキルチオ基であり、ジオキサン環、ジチアン環を形成することが好適である。
【0030】
一般式(I)においてm11が1のとき、R11はアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキル基がより好ましい。
n11としては1以上の整数である限り特に制限はないが、1〜1000の整数であることが好ましい。
また、R11が、アルキル基であるポリ(3−アルキルチオフェン)であるとき、隣り合ったチオフェン環との連結様式はすべて2−5’で連結した立体規則的なものと、2−2’、5−5’連結が含まれる立体不規則的なものがあるが、立体的不規則なものが好ましい。
【0031】
本発明では、導電性ポリマーとしては、高い透明性と導電性を両立するという観点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(下記具体例化合物(6)、PEDOT)であることが特に好ましい。
【0032】
一般式(I)で表されるポリチオフェン及びその誘導体は、J.Mater.Chem.,2005,15,2077−2088.及びAdvanced Materials 2000,12(7),page 481など公知の方法によって作製することができる。また、市販品として、Denatron P502(ナガセケムテック社製)、3,4−ethylenedioxythiophene(BAYTRON(登録商標)M V2)、3,4−polyethylenedioxythiopene/polystyrenesulfonate(BAYTRON(登録商標)P)、BAYTRON(登録商標)C)、BAYTRON(登録商標)F E、BAYTRON(登録商標) M V2、BAYTRON(登録商標) P、BAYTRON(登録商標) P AG、BAYTRON(登録商標) P HC V4、BAYTRON(登録商標) P HS、BAYTRON(登録商標) PH、BAYTRON(登録商標) PH 500、BAYTRON(登録商標) PH 510(以上、シュタルク社製)などを入手することができる。
ポリアニリン及びその誘導体としては、ポリアニリン(アルドリッチ社製)、ポリアニリン(エレラルダイン塩)(アルドリッチ社製)などを入手することができる。
ポリピロール及びその誘導体としては、ポリピロール(アルドリッチ社製)などを入手することができる。
【0033】
以下に、導電性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの他にも、国際公開第98/01909号記載の化合物等が挙げられる。
下記式中、x、yは、各々独立して、1以上の整数を表す。
【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
本発明で用いる導電性ポリマーの重量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは10,000〜500,000であり、更に好ましくは10,000〜100,000である。ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0037】
(有機溶剤への可溶性)
導電性ポリマーは、塗布性及び(B)成分との親和性付与の観点から、有機溶剤に可溶であることが好ましい。
より具体的には、本発明における導電性ポリマーは、含水率が5質量%以下で比誘電率が2〜30の有機溶剤中に少なくとも1.0質量%で可溶であることが好ましい。
ここで、「可溶」とは溶剤中に単一分子状態又は複数の単一分子が会合した状態で溶解しているか、粒子径が300nm以下の粒子状に分散されている状態を指す。
【0038】
一般に、導電性ポリマーは親水性が高く従来では水を主成分とする溶媒に溶解するが、このような導電性ポリマーを有機溶剤に可溶化するには、導電性ポリマーを含む組成物中に、有機溶剤との親和性を上げる化合物(例えば後述の可溶化補助剤等)や、有機溶剤中での分散剤等を添加する方法が挙げられる。また、導電性ポリマーとポリアニオンドーパントを用いる場合は、後述するようにポリアニオンドーパントの疎水化処理を行うことが好ましい。
更に、導電性ポリマーを脱ドープ状態(ドーパントを用いない状態)で有機溶剤への溶解性を向上させおき、塗布膜形成後にドーパントを加えて導電性を発現させる方法も用いることができる。
【0039】
上記以外にも、有機溶剤への溶解性を向上させる方法としては下記文献に示す方法を用いることも好ましい。
例えば、特開2002−179911号公報では、ポリアニリン組成物を脱ドープ状態で有機溶媒に溶解させておき、該素材を基材上に塗布し、乾燥させた後、プロトン酸と酸化剤とを溶解又は分散させた溶液にて酸化及びドーピング処理する事によって導電性を発現させる方法が記載されている。
また、国際公開第05/035626号公報には、水層及び有機層からなる混合層においてスルホン酸及びプロトン酸基を有する水不溶性有機高分子化合物の少なくとも一種の存在下にアニリン又はその誘導体を酸化重合するに際し、分子量調整剤及び、必要に応じ、相間移動触媒を共存させることにより有機溶媒に安定に分散する導電性ポリアニリンを製造する方法が記載されている。
【0040】
前記有機溶剤としては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。以下、具体的化合物を例示する(括弧内に比誘電率を記す。)。
アルコール類としては、例えば1価アルコール又は2価アルコールを挙げることができる。このうち1価アルコールとしては炭素数2〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、エチルアルコール(25.7)、n−プロピルアルコール(21.8)、i−プロピルアルコール(18.6)、n−ブチルアルコール(17.1)、sec−ブチルアルコール(15.5)、tert−ブチルアルコール(11.4)などを挙げることができる。
【0041】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン(2.3)、トルエン(2.2)、キシレン(2.2)などを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン(7.5)、エチレングリコールモノメチルエーテル(16)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(8)、エチレングリコールモノエチルエーテル(14)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(8)、エチレングリコールモノブチルエーテル(9)などを、ケトン類の具体例としては、アセトン(21.5)、ジエチルケトン(17.0)、メチルエチルケトン(15.5)、ジアセトンアルコール(18.2)、メチルイソブチルケトン(13.1)、シクロヘキサノン(18.3)などを、エステル類の具体例としては、酢酸メチル(7.0)、酢酸エチル(6.0)、酢酸プロピル(5.7)、酢酸ブチル(5.0)などを挙げることができる。
【0042】
導電性ポリマーと(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマーの両者を溶解分散できるという観点からは、有機溶剤の比誘電率は2.3〜24が更に好ましく、より好ましくは4.0〜21、最も好ましくは5.0〜21である。例えば、i−プロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、酢酸メチルが好ましい。特に好ましくは、i−プロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテルである。
本発明において、比誘電率は20℃で測定した値をいう。
【0043】
比誘電率が2〜30の有機溶剤は2種以上混合して用いることもできる。比誘電率が30を超える有機溶剤、又は5質量%以下の水を併用することもできるが、上記に挙げた有機溶剤も含む混合有機溶剤系のなかで、複数の有機溶剤や水の質量平均の比誘電率が30を超えないことが好ましい。この範囲にすることで導電性ポリマーと(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマーの両者を溶解又は分散した塗布組成物を形成することができ、塗膜の面状の良好な積層体が得られる。
【0044】
有機溶剤の含水率は、0〜5質量%であることが好ましく、0〜1質量%であることがより好ましい。
【0045】
導電性ポリマーは、有機溶剤中に少なくとも1.0質量%で可溶なものであることが好ましく、少なくとも1.0〜10.0質量%で可溶であることがより好ましく、少なくとも3.0〜30.0質量%で可溶であることが更に好ましい。
前記有機溶剤中、導電性ポリマーは粒子状に存在していてもよい。この場合、平均粒子サイズは300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。上記粒子サイズとすることで、有機溶剤中での沈降を抑制することができる。粒子サイズの下限は特に限定されない。
粗大粒子の除去や溶解促進のため、高圧分散機を用いることもできる。高圧分散機としては、例えば、ゴーリン(APVゴーリン社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、マイクロフルイタイザー(マイクロフライデックス社製)、アルチマイザー(スギノマシン社製)、DeBee(Bee社製)等が挙げられる。粒子サイズは、有機溶剤液を電子顕微鏡観察用のグリッドにすくい取り、溶剤揮発後に観察することができる。
【0046】
(疎水化処理)
前述のように導電性ポリマーと共にポリアニオンドーパントを用いる場合、導電性ポリマーとポリアニオンドーパントとを含む組成物に対して疎水化処理を行うことが好ましい。前記組成物に対して疎水化処理を行うことで、導電性ポリマーの有機溶剤への溶解性を向上させ、(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマーとの親和性を向上させることができる。疎水化処理は、ポリアニオンドーパントのアニオン基を修飾することにより行うことができる。
具体的には、疎水化処理の第1の方法としては、アニオン基をエステル化、エーテル化、アセチル化、トシル化、トリチル化、アルキルシリル化、アルキルカルボニル化する等の方法が挙げられる。中でもエステル化、エーテル化が好ましい。エステル化により疎水化する方法は、例えば、ポリアニオンドーパントのアニオン基を塩素化剤により塩素化し、その後メタノールやエタノール等のアルコールによりエステル化する方法が挙げられる。また、ヒドロキシル基又はグリシジル基を有する化合物で更に不飽和2重結合性基を有する化合物を用いて、スルホ基やカルボキシ基とエステル化して疎水化することもできる。
本発明においては従来公知の種々の方法を用いることができるが、その一例として、特開2005−314671号公報、及び特開2006−28439号公報等に具体的に記載されている。
【0047】
疎水化処理の第2の方法としては、塩基系の化合物をポリアニオンドーパントのアニオン基に結合させて疎水化する方法が挙げられる。塩基系の化合物としてはアミン系の化合物が好ましく、1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族アミン等が挙げられる。具体的には、炭素数が1〜20のアルキル基で置換された1級〜3級のアミン、炭素数が1〜20のアルキル基で置換されたイミダゾール、ピリジンなどが挙げられる。有機溶剤への溶解性向上のためにアミンの分子量は50〜2000が好ましく、更に好ましくは70〜1000、最も好ましくは80〜500である。
【0048】
塩基系疎水化剤であるアミン化合物の量は、導電性ポリマーのドープに寄与していないポリアニオンドーパントのアニオン基に対して0.1〜10.0モル当量であることが好ましく、0.5〜2.0モル当量であることがより好ましく、0.85〜1.25モル当量であることが特に好ましい。上記範囲で、有機溶剤への溶解性、導電性、塗膜の強度を満足することができる。
その他疎水化処理の詳細については、特開2008−115215号公報、及び特開2008−115216号公報等に記載の事項を適用することができる。
【0049】
(可溶化補助剤)
前記導電性ポリマーは、分子内に親水性部位と疎水性部位と好ましくは電離放射線硬化性官能基を有する部位を含む化合物(以下、可溶化補助剤という。)と共に用いることができる。
可溶化補助剤を用いることで、導電性ポリマーの含水率の低い有機溶剤への可溶化を助け、更には本発明における組成物による層の塗布面状改良や硬化皮膜の強度を上げることができる。
可溶化補助剤は、親水部位、疎水部位、電離放射線硬化性官能基含有部位を有する共重合体であることが好ましく、これら部位がセグメントに分かれているブロック型又はグラフト型の共重合体であることが特に好ましい。このような共重合体は、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、又は上記部位を有したマクロモノマーを用いて重合することができる。
可溶化補助剤については、例えば特開2006−176681号公報の[0022]〜[0038]等に記載されている。
【0050】
(導電性ポリマーを含む溶液の調製方法)
導電性ポリマーは、前記有機溶剤を用いて溶液の形態で調製することができる。
導電性ポリマーの溶液を調製する方法はいくつかの方法があるが、好ましくは以下の3つの方法が挙げられる。
第一の方法は、ポリアニオンドーパントの共存下で導電性ポリマーを水中で重合し、その後必要に応じて前記可溶化補助剤又は塩基系疎水化剤を加えて処理し、その後水を有機溶媒に置換する方法である。第二の方法は、ポリアニオンドーパントの共存下で導電性ポリマーを水中で重合し、その後必要に応じて前記可溶化補助剤又は塩基系疎水化剤で処理し、水を蒸発乾固させた後に、有機溶剤を加え可溶化する方法である。第三の方法は、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントをそれぞれ別途調製した後に、両者を溶媒中で混合分散し、ドープ状態の導電性高分子組成物を調製し、溶剤に水を含む場合には水を有機溶媒に置換する方法である。
【0051】
上記の方法において、可溶化補助剤の使用量は導電性ポリマーとポリアニオンドーパントの合計量に対して、1〜100質量%が好ましく、更に好ましくは2〜70質量%、最も好ましくは5〜50質量%である。また、第一の方法において水を有機溶剤に置換する方法は、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンのような水混和性の高い溶剤を加えて用いて均一溶液とした後、限外ろ過を行い水を除去する方法が好ましい。また、水混和性の高い溶剤を用いて含水率をある程度低下させた後、より疎水的な溶剤を混合し減圧下で揮発性の高い成分を除去し溶剤組成を調整する方法が挙げられる。また、塩基系疎水化剤を用いて十分な疎水化を行えば、水との混和性の低い有機溶剤を加えて、分離した2相系とし水相中の有機導電性高分子を有機溶剤相に抽出することも可能である。
【0052】
〔(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー〕
本発明では、組成物に(B)重合性基(以下、「重合性不飽和基」ともいう)を2個以上有する多官能モノマーを含有する。この(B)重合性不飽和基を2個以上有する多官能モノマーは、硬化剤として機能することができる。(A)導電性ポリマーと(B)重合性不飽和基を2個以上有する多官能モノマーとを併用することで、導電性と塗膜の強度や耐擦傷性を両立させることが可能となる。重合性不飽和基は3つ以上であることがより好ましい。
【0053】
本発明に用いられる重合性不飽和基を2個以上有する多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、−C(O)OCH=CH等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、置換又は無置換の、アクリロイル基、メタアクリロイル基、及び−C(O)OCH=CHから選ばれるいずれかの基が好ましい。下記の1分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であることが特に好ましい。
【0054】
重合性の不飽和結合を有する化合物の具体例としては、アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0055】
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0056】
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類は市販されているものを用いることもでき、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同PET−30、新中村化学(株)製A−TMMT、AD−TMP等を挙げることができる。
非含フッ素多官能モノマーについては、特開2009−98658号公報の段落[0114]〜[0122]に記載されており、本発明においても同様である。
また、導電性の向上、下記化合物(C)との相溶性の観点から、上記重合性の不飽和結合を有する化合物は水酸基を有しているものがより好ましい。
また、導電性、耐光性の向上の観点から、上記重合性不飽和結合を有する化合物は分子量が500以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましい。
【0057】
〔(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物〕
本発明の帯電防止層用組成物は、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物を含有する。
本発明において、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物とは、水酸基を4個以上有し、各水酸基が直接炭素原子に結合し、かつ前記炭素原子がπ共役系に関与しない化合物をいう。
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物は、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物に含有させることで導電性及び耐久性向上効果を奏する。
(C)非芳香族性アルコール化合物が4個以上の水酸基を有することにより、優れた、耐光性等の耐久性及び導電性を達成できる理由は定かではないが以下のように推定される。
すなわち、(C)非芳香族性アルコール化合物が有する4個以上の水酸基が(A)導電性ポリマーと水素結合することにより導電性ポリマー鎖同士間の距離が近くなるため、導電性と耐久性とが向上するものと考えられる。
また、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物は、重合時においてラジカルをトラップすることがないため、(B)成分の重合を阻害することがなく、高い被膜強度を達成することができる。
以上により、被膜強度、耐光性等の耐久性、導電性及び透明性いずれにも優れた帯電防止性光学フィルムが得られる。
【0058】
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物としては、芳香性を有することなく、4個以上の水酸基を有する限り特に制限はないが、硬化性バインダーとの相溶性の観点から、水酸基が4〜25個であることが好ましく、水酸基が4〜10個であることがより好ましく、水酸基が4〜6個であることが更に好ましい。
また、前記非芳香族性アルコール化合物としては、導電性、耐久性の観点から、主鎖骨格が直鎖状であることが好ましく、導電性ポリマー鎖の直線性を高められるため、理由は定かではないが、導電性をより向上し得ると考えられる観点から直鎖状であり、かつ主鎖骨格の炭素数が4個以上であることがより好ましい。
ここで、主鎖骨格とは、間に炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子など)を有していてもよい、前記非芳香族性アルコール化合物(C)分子中で最も長い炭素鎖をいう。
直鎖状とは、枝分かれしておらず、直線状に結合した炭素鎖をいう。
前記非芳香族性アルコール化合物の主鎖骨格の炭素数の上限としては特に制限はないが、低分子化合物である場合、20以下であることが好ましい。
上述のように、4個以上の水酸基によって導電性ポリマー鎖同士の距離が近くなることによる導電性、耐久性向上の観点から、前記非芳香族性アルコール化合物中における水酸基の密度が高いものが好ましく、水酸基数が前記範囲にあって、水酸基当量が50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。水酸基当量の下限としては特に制限は無いが、通常は30以上である。
本発明において、水酸基当量とは、非芳香族性アルコール化合物の分子量を、該非芳香族性アルコール化合物の持つ水酸基数で割った値をいい、水酸基当量が小さい化合物の方が、非芳香族アルコール化合物中の各水素間の距離が空間的に近く、「水酸基密度が高い」こととなる。
【0059】
4個以上のヒドロキシ基を有する化合物の具体的な例としては、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、アリトール、ボレミトール、ペルセイトール、D−エリスロ−D−ガラクト−オクチトール、マルチトール等の糖アルコール類、1,2,3,5−シクロヘキサンテトラオール、クエルシトール、イノシトール、イノサミン、ペンタヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ペンタヒドロキシシクロヘキサノン等の環状多価アルコール、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、タロース、ダロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース等の単糖類、オリゴ糖類、二糖類、多糖類、酒石酸、グルカル酸、マンナル酸、ガラクタル酸等の糖酸類、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ジグリセロール、α−ホモノジリマイシン等があげられる。
前記非芳香族性アルコール化合物としては、任意の位置に4個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素化合物(好ましくは炭素原子数1〜60)であることが好ましく、前記脂肪族炭化水素化合物において、水酸基に直接結合している炭素原子以外は炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子など)であってもよい。
【0060】
上記(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物は、帯電防止層に含まれる固形分中、0.1質量%〜5質量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.2質量%〜4.5質量%であり、更に好ましくは0.5質量%〜3.5質量%である。0.1質量%未満である場合には、所望の性能を発揮せず、5質量%より多く添加した場合には、膜が白濁してしまう恐れがある。
【0061】
〔その他の添加物〕
−ドーパント−
本発明の帯電防止層には、少なくとも一種のドーパントを含有することが、帯電防止層を形成するための組成物を調製する際の溶媒への分散性が改善されるという観点から好ましい。帯電防止層の形成は、後述のように塗布によることが好ましく、分散性が良好な分散液(組成物)を得ることは製造の観点から重要である。なお本発明においてドーパントとは、導電性ポリマーの導電性を変化させる作用を有する添加物を意味する。このようなドーパントとしては、電子受容性(アクセプター)ドーパント、電子供与性(ドナー)ドーパントが挙げられる。
【0062】
電子受容性(アクセプター)ドーパントの例としては、ハロゲン(Cl,Br,I,ICl,ICl,IBr,IF)、ルイス酸(PF,AsF,SbF,BF,BCl,BBr,SO)、プロトン酸(HF,HCl,HNO,HSO,HClO,FSOH,CISOH,CFSOH,各種有機酸,アミノ酸など)、遷移金属化合物(FeCl,FeOCl,TiCl,ZrCl,HfCl,NbF,NbCl,TaCl,MoF,MoCl,WF,WCl,UF,LnCl(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Smなどのランタノイド)、電解質アニオン(Cl,Br,I,ClO,PF,AsF,SbF,各種スルホン酸アニオン)、その他O,XeOF,(NO,BF)(SbF),(NO)(SbCl),(NO)(BF),FSOOOSOF,AgClO,HIrCl,La(NO・6HO等が挙げられる。
【0063】
電子供与性(ドナー)ドーパントの例としてはアルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs)、アルカリ土類金属(Ca,Sr,Ba)、ランタノイド(Euなど)、その他(R,R,RAs,R,アセチルコリン、ここでRは置換又は無置換の炭化水素基)等が挙げられる。
【0064】
ドーパントと前記導電性ポリマーとの組み合わせとしては、例えば下記(A)〜(K)の組み合わせが挙げられる。
(A) ポリアセチレンとI,AsF,FeClなど
(B) ポリ(p−フェニレン)とAsF,K,AsFなど
(C) ポリピロールとClOなど
(D) ポリチオフェン類とClO、スルホン酸化合物、とくにポリスチレンスルホン酸、ニトロソニウム塩、アミニウム塩、キノン類など
(E) ポリイソチアナフテンとIなど
(F) ポリ(p−フェニレンサルファイド)とAsF
(G) ポリ(p−フェニレンオキシド)とAsF
(H) ポリアニリンとHCl、ドデシルベンゼンスルホン酸など
(I) ポリ(p−フェニレンビニレン)とHSOなど
(J) ポリチオフェニレンビニレンとIなど
(K) ニッケルフタロシアニンとIなど
【0065】
これらの組み合わせの中でも、好ましくは前記(D)又は(H)の組み合わせであり、より好ましくは、ドープ状態の安定性が高いという観点から、ポリチオフェン類(ポリチオフェン及びその誘導体)とスルホン酸化合物の組み合わせであり、更に好ましくは、水分散液が調整可能であり、塗布により簡便に導電性薄膜が調整できるという観点から、ポリチオフェン類とポリスチレンスルホン酸の組み合わせである。
【0066】
導電性ポリマーとドーパントの比率は、いかなるものであってもよいが、ドープ状態の安定性と導電性を両立させるという観点から、好ましくは、質量比で、導電性ポリマー:ドーパント=1.0:0.0000001〜1.0:10の範囲であり、好ましくは1.0:0.00001〜1.0:1.0の範囲、より好ましくは1.0:0.0001〜1.0:0.5の範囲である。
【0067】
一方、導電性ポリマーの分散性を高めるために、高分子鎖に電解質をドープしたイオン導電性ポリマーとしてもよい。該高分子鎖の例としては、ポリエーテル(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ポリエステル(ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトンなど)、ポリアミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリスルフィド(ポリアルキレンスルフィドなど)などが挙げられ、ドープされた電解質としては各種アルカリ金属塩などが挙げられる。
【0068】
前記アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属イオンとしてはLi、Na、K、Rb、Csなどが、対塩を形成するアニオンとしてはF、Cl、Br、I、NO、SCN、ClO、CFSO、BF、AsF、BPhなどが挙げられる。
【0069】
高分子鎖とアルカリ金属塩の組み合わせとしては、例えばポリエチレンオキシドとLiCFSO、LiClOなど、ポリエチレンサクシネートとLiClO、LiBF、ポリ−β−プロピオラクトンとLiClOなど、ポリエチレンイミンとNaCFSO、LiBFなど、ポリアルキレンスルフィドとAgNOなどが挙げられる。
【0070】
〔(D)光重合開始剤〕
本発明における帯電防止層を形成するための組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
【0071】
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
【0072】
(界面活性剤)
本発明の帯電防止層には各種の界面活性剤を使用することが好ましい。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制するために添加される。本発明では上記効果に加えて材料の相溶性に起因すると考えられる帯電防止層の表面凹凸や塗布物のハジキを改良できることがわかった。特に耐光性などの耐久性を改良すべく(C)成分を添加した場合塗膜の表面が荒れる場合があり、界面活性剤を併用することでそれを抑制し、導電性と耐久性を高いレベルで両立することが可能となる。
【0073】
界面活性剤としては、具体的にはフッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
【0074】
界面活性剤を添加すると、塗布された液膜の表面に界面活性剤が速やかに移動して偏在化し、膜乾燥後も界面活性剤がそのまま表面に偏在することになるので、界面活性剤を添加した帯電防止層の表面エネルギーは、界面活性剤によって低下する。帯電防止層の膜厚不均一性やハジキ、ムラを防止するという観点からは、膜の表面エネルギーが低いことが好ましい。
【0075】
層の表面エネルギー(γs:単位、mJ/m)は、D.K.Owensの“J.Appl.Polym.Sci.”、13巻、p.1741(1969年)を参考に、層上で、純水HOとヨウ化メチレンCHを用いて実験的に求めることができる。このとき、純水とヨウ化メチレンのそれぞれの接触角をθH2O、θCH2I2として、下記の連立方程式(1),(2)によりγs及びγsを求め、その和で表される値γs(=γs+γs)により防眩層の表面張力のエネルギー換算値(mN/m単位をmJ/m単位としたもの)として定義する。サンプルは、測定する前に所定の温湿度条件で一定時間以上調湿を行うことが必要である。この際の温度は20℃〜27℃、湿度は50〜65RH%の範囲であることが好ましく、調湿時間は2時間以上であることが好ましい。
(1)1+cosθH2O=2√γs(√γH2Od/γH2Ov)+2√γs(√γH2Oh/γH2Ov)
(2)1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γs(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2O=21.8°、γH2O=51.0°、γH2O=72.8°、γCH2I2=49.5°、γCH2I2=1.3°、γCH2I2=50.8°である。
【0076】
帯電防止層の好ましい表面エネルギーは、45mJ/m以下の範囲であり、20〜45mJ/mの範囲がより好ましく、20〜40mJ/mの範囲が更に好ましい。層の表面エネルギーを45mJ/m以下とすることにより、該帯電防止層上の膜厚均一化やハジキ改良という効果が得られる。ただし、界面活性剤を添加する層の上に更に低屈折率層などの上層を塗布する場合には、界面活性剤は上層へ溶出・移動するものであることが好ましく、界面活性剤を添加する層の上層塗布液の溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン等)で該層を浸漬、洗い流した後の該層の表面エネルギーは、むしろ高いことが好ましく、表面エネルギー35〜70mJ/mであることが好ましい。
【0077】
フッ素系界面活性剤の好ましい態様、及び具体例は、特開2007−102206号公報の段落番号[0023]〜[0080]に記載されており、本発明においても同様である。
【0078】
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
【0079】
分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。
【0080】
シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
【0081】
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学工業(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−164B”、“X22−164C”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”(以上商品名);チッソ(株)製の“FM−0725”、“FM−7725”、“FM−4421”、“FM−5521”、“FM−6621”、“FM−1121”(以上商品名);Gelest製の“DMS−U22”、“RMS−033”、“RMS−083”、“UMS−182”、“DMS−H21”、“DMS−H31”、“HMS−301”、“FMS121”、“FMS123”、“FMS131”、“FMS141”、“FMS221”(以上商品名);東レ・ダウコーニング(株)製の“SH200”、“DC11PA”、“SH28PA”、“ST80PA”、“ST86PA”、“ST97PA”、“SH550”、“SH710”、“L7604”、“FZ−2105”、“FZ2123”、“FZ2162”、“FZ−2191”、“FZ2203”、“FZ−2207”、“FZ−3704”、“FZ−3736”、“FZ−3501”、“FZ−3789”、“L−77”、“L−720”、“L−7001”、“L−7002”、“L−7604”、“Y−7006”、“SS−2801”、“SS−2802”、“SS−2803”、“SS−2804”、“SS−2805”(以上商品名);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製の“TSF400”、“TSF401”、“TSF410”、“TSF433”、“TSF4450”、“TSF4460”(以上商品名);などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0082】
−透光性粒子−
本発明の帯電防止層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることができる。
【0083】
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
【0084】
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100重量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
【0085】
本発明におけるバインダー成分(透光性粒子以外の成分を混合したもの)と透光性粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。屈折率差を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
【0086】
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
【0087】
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
【0088】
透光性粒子の平均粒子径(体積基準)は0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは2.0〜15.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、20μmを超えると、添加する層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールやコスト上昇といった問題が生じる。
【0089】
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
【0090】
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
【0091】
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
【0092】
本発明の帯電防止層は、更に後述の溶媒や、このほかに更に添加剤を含有することも可能である。更に含有し得る添加剤としては、ポリマーの分解を抑える目的で、紫外線吸収剤、亜リン酸エステル、ヒドロキサム酸、ヒドロキシアミン、イミダゾール、ハイドロキノン、フタル酸、などを挙げることができる。また、膜強度を高める目的で無機微粒子、ポリマー微粒子、シランカップリング剤、屈折率を下げて透明性を高める目的でフッ素系化合物(特に、フッ素系界面活性剤)などを挙げることができる。
【0093】
〔帯電防止層用組成物〕
本発明における帯電防止層用組成物は、(A)導電性ポリマー、(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物、及び(D)光重合開始剤、並びに必要に応じてその他の添加剤を含有する。
帯電防止層を形成するための塗布組成物における各成分の好ましい含有量について説明する。なお、ここで含有量とは塗布組成物中の全固形分に対する各成分の固形分の比率(質量%)である。
(A)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜12質量%が更に好ましく、0.2〜5質量%が最も好ましい。
(B)成分の含有量は60〜99質量%が好ましく、75〜99質量%が更に好ましく、85〜97質量%が最も好ましい。
(C)成分の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましく、0.1〜2質量%が最も好ましい。
本発明における帯電防止層用組成物中での、上記非芳香族性アルコール化合物と導電性ポリマーとの比率は、いかなるものであってもよいが、高い帯電防止性と高い耐久性の両立の観点から、好ましくは質量比で、非芳香族性多価アルコール:導電性ポリマー=0.01:1.0〜10:1の範囲であり、より好ましくは0.05:1.0〜5.0:0.1の範囲であり、更にこのましくは、0.05:1.0〜1.0:1.0の範囲である。
(D)成分の含有量は1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
(A)の含有量が0.1質量%よりも少ないと導電性が低く十分な帯電防止効果が得られず、20質量%を超えると被膜の強度が弱くなる、あるいは塗膜が着色し、透過率の低下につながる。
(B)成分が50質量%よりも少ないと塗膜の強度が弱くなることがある。
(C)成分が0.1質量%よりも少ないと耐光性等の耐久性及び導電性の改良効果が得られず、10質量%を超えると泣き出しによって塗膜が白化したり、塗膜に表面凹凸が発生したりと面状の悪化につながることがある。
【0094】
塗布組成物が溶媒を含む場合、塗布組成物中の固形分の濃度が1〜70質量%の範囲となるように溶媒を用いるのが好ましく、より好ましくは3〜60質量%であり、最も好ましくは40〜60質量%である。
【0095】
[帯電防止層]
本発明における帯電防止層は、屈折率が1.48〜1.65であることが好ましい。更に望ましくは1.48〜1.60、最も好ましくは1.48〜1.55である。上記範囲内とすることで基材との干渉ムラを抑制し、更に低屈折率層を積層した際の反射色味をニュートラルにすることができ好ましい。
【0096】
帯電防止層の膜厚は0.05〜20μmが好ましく、2〜15μmが好ましく、5〜10μmが最も好ましい。上記範囲とすることで物理強度と導電性を両立することができる。
【0097】
帯電防止層の透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。
【0098】
帯電防止層のヘイズは、防眩性付与のための樹脂粒子を含有しない場合は3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。一方、防眩性付与のために樹脂粒子を含有する場合は、0.1〜30%であることが好ましく、0.1〜20%であることが更に好ましい。
【0099】
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムの硬度は、500g荷重の鉛筆硬度試験で3H以上である。
【0100】
本発明の光学フィルムの表面抵抗率SR(Ω/sq)の常用対数値(LogSR)は13以下であることが好ましく、より好ましくは5〜12以下である。更により好ましくは7〜11である。表面抵抗率を上記範囲にすることで優れた防塵性と面状を付与することが可能となる。
このような表面抵抗率とするために、帯電防止層における(A)導電性ポリマーの含有量が、0.01〜1.0g/mであることが好ましく、0.05〜0.5g/mであることがより好ましく、0.1〜0.3g/mであることが更に好ましい。
【0101】
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず帯電防止層用組成物が調製される。次に、該組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号公報参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
【0102】
塗布後、光照射して、塗布組成物から形成される層を硬化することができる。これにより帯電防止層が形成される。必要に応じて、透明支持体上にあらかじめその他の層(以下に述べるフィルムを構成する層、例えば、ハードコート層、防眩層など)を塗設しておき、その上に帯電防止層を形成することができる。このようにして本発明の光学フィルムを得ることができる。
【0103】
[光学フィルムの層構成]
本発明の光学フィルムは、透明な支持体上に、帯電防止層、及び目的に応じて必要な機能層を単独又は複数層設けることにより作製することができる。光学フィルムの物理強度を高めるためにハードコート層を有したり、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層したりした光学フィルムを挙げることができる。
なお、本発明の帯電防止層にその他の機能を加えてもよい。例えば、低屈折率となる化合物を添加することによって低屈折率層を兼ねる帯電防止層としてもよい。本発明における帯電防止層が低屈折率性を付与するためには、後述の[低屈折率層]の構成を帯電防止層に適用することができる。またその他、本発明の帯電防止層にはハードコート性や、防眩性を付与することができる。
【0104】
本発明の光学フィルムのより具体的な層構成の例を下記に示す。
・ 透明支持体/帯電防止層
・ 透明支持体/帯電防止層/低屈折率層
・ 透明支持体/ハードコート層/帯電防止層
・ 透明支持体/帯電防止層/ハードコート層
・ 透明支持体/防眩層/帯電防止層
・ 透明支持体/帯電防止層/防眩層
・ 透明支持体/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・ 透明支持体/帯電防止層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・ 透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/低屈折率層
・ 透明支持体/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層
・ 透明支持体/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・ 透明支持体/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・ 透明支持体/ハードコート層/帯電防止層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・ 透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
【0105】
(透明支持体)
本発明の光学フィルムにおける透明支持体としては、透明基材フィルムが好ましい。透明基材フィルムとしては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルムポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
透明支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
透明支持体については、特開2009−98658号公報の段落[0163]〜[0169]に記載されており、本発明においても同様である。
【0106】
(ハードコート層)
本発明の光学フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を設けることができる。本発明においては、ハードコート層を設けなくてもよいが、ハードコート層を設けた方が鉛筆引掻き試験などの耐擦傷性面が強くなり、好ましい。
【0107】
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性能を得るための光学設計から、1.48〜1.65であることが好ましい。更に望ましくは1.48〜1.60、最も好ましくは1.48〜1.55である。
【0108】
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、0.5μm〜20μmとし、好ましくは1μm〜10μm、更に好ましくは1μm〜5μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、3H以上であることが好ましい。更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0109】
ハードコート層を形成するバインダー成分としては、前記(B)重合性不飽和基を2個以上有する多官能モノマーに記載したモノマーを好適に用いる事ができる。
【0110】
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
【0111】
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、各種屈折率モノマー又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。屈折率を制御するための無機微粒子としてはシリカ微粒子を用いる事が支持体とハードコート層の干渉による色味ムラを抑制するという観点から好ましい。
【0112】
(防眩層)
本発明では前記帯電防止層とは別に表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの硬度、耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で防眩層を形成してもよい。
防眩層については特開2009−98658号公報の段落[0178]〜[0189]に記載されており、本発明においても同様である。
【0113】
(高屈折率層及び中屈折率層)
高屈折率層の屈折率は、前記のように1.65〜2.20であることが好ましく、1.70〜1.80であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.65であることが好ましく、1.58〜1.63であることが更に好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層の形成方法は化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、オールウェット塗布による方法が好ましい。
【0114】
中屈折率層、高屈折率層は上記屈折率範囲の層であれば特に限定されないが、構成成分として公知のものを用いる事ができ、具体的には特開2008−262187号公報の段落番号[0074]〜[0094]に示される。
【0115】
(低屈折率層)
本発明の光学フィルムは、前記帯電防止層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有することが好ましい。この場合、本発明の光学フィルムは、反射防止フィルムとして機能することができる。
この場合、低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.51であることが好ましい。1.30〜1.46であることが好ましく、1.32〜1.38が更に好ましい。上記範囲内とすることで反射率を抑え、膜強度を維持することができ、好ましい。低屈折率層の形成方法も化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、低屈折率層用組成物を用いてオールウェット塗布による方法を用いることが好ましい。
【0116】
低屈折率層は上記屈折率範囲の層であれば特に限定されないが、構成成分としては公知のものを用いることができ、具体的には特開2007−298974号公報に記載の含フッ素硬化性樹脂と無機微粒子を含有する組成物や、特開2002−317152号公報、特開2003−202406号公報、及び特開2003−292831号公報に記載の中空シリカ微粒子含有低屈折率コーティングを好適に用いることができる。
【0117】
本発明の光学フィルムは、前述した層構成例のうち、透明支持体上にハードコート層(防眩層)/帯電防止層の2層が積層された構成であることが好ましい。この際、帯電防止層上に低屈折率層等が設けられても良い。更には、前記2層が一回の塗布工程で2層の塗布層を同時に塗布形成される方法を用いることが好ましい。
高いハードコート性を得るために層中の導電性ポリマー含率を一定にしたまま帯電防止層の膜厚を厚くすると、層中の導電性ポリマー総量が増えるために着色が強くなり透過率が低下する傾向にある。また、膜厚を厚くすると層下部に存在する導電性ポリマーは表面抵抗を下げる効果に寄与しなくなってくることから導電性ポリマーの使用量が多くなる。そこで上記のようにハードコート層(防眩層)と導電性ポリマーを高密度に含有した帯電防止層を2層構成とにすることで高いハードコート性と導電性、透過率を両立した光学フィルムが得られる。
この際、ハードコート層と帯電防止層の2層を一回の塗布工程で同時に塗布形成することにより低コストで高い生産性を得る事が可能となる。一回の塗布工程で2層を同時に形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、特開2007−293302号公報の段落番号[0032]〜[0056]等に記載の方法を利用することができる。
【0118】
[偏光板用保護フィルム]
光学フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、薄膜層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することができる。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム
(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
【0119】
光学フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
【0120】
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、(1)予め鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の反射防止フィルムを構成する各層を塗設する手法、(2)透明支持体の一方の面に反射防止層を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側又は両面を鹸化処理する手法、(3)透明支持体の一方の面に反射防止層の一部を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側又は両面を鹸化処理した後に残りの層を塗設する手法、の3手法があげられるが、(1)は反射防止層を塗設するべき面まで親水化され、透明支持体と反射防止層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が特に好ましい。
【0121】
[偏光板]
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が前記本発明の反射防止フィルムであることを特徴とする。
【0122】
光学フィルムの透明支持体が、必要に応じてポリビニルアルコールからなる接着剤層等を介して偏光膜に接着しており、偏光膜のもう一方の側にも保護フィルムを有する構成が好ましい。もう一方の保護フィルムの偏光膜と反対側の面には粘着剤層を有していても良い。
【0123】
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、帯電防止性、耐久性に優れた偏光板が作製できる。
【0124】
また、本発明の偏光板は、光学補償機能を有することもできる。その場合、2枚の表面保護フィルムの表面及び裏面のいずれかの一面側のみを上記光学フィルムを用いて形成されており、該偏光板の光学フィルムを有する側とは他面側の表面保護フィルムが光学補償フィルムであることが好ましい。
【0125】
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、更に、液晶表示装置の明室でのコントラスト、上下左右の視野角を改善することができる。
【0126】
また、本発明の画像表示装置は、前記本発明の反射防止フィルム又は偏光板をディスプレイの最表面に有することを特徴とする。
【実施例】
【0127】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0128】
<実施例1>
(調製例1−1)導電性ポリマーの水溶液(A)の作製
ポリスチレンスルホン酸(分子量約10万)の2質量%の水溶液1000mlに、8.0gの3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え20℃で混合した。この混合液に、酸化触媒液100ml(15質量%の過硫酸アンモニウムと4.0質量%の硫酸第二鉄を含む)を添加した後に、20℃で3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に1000mlのイオン交換水を添加した後に、限外ろ過法を用いて約1000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に100mlの硫酸水溶液(10質量%)と1000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約1000mlの溶液を除去した。得られた液に1000mlのイオン交換水を加えた後、限外ろ過法を用いて約1000mlの液を除去した。この操作を5回繰り返した。これにより約1.1質量%のPEDOT・PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸)の水溶液を得た。固形分濃度をイオン交換水で調整して、1.0質量%の水溶液とし、導電性ポリマーの溶液(A)を調製した。この溶液(A)は水溶液であり、水の比誘電率は80である。
【0129】
(調製例1−2)導電性ポリマーのアセトン溶液(B)の調製
調製例1−1で調製したPEDOT・PSSの水溶液(A)の200mlにアセトンを200ml加えた後、限外ろ過により水及びアセトンを210ml除去した。この操作を1度繰り返し、固形分濃度をアセトンで調整し、1.0質量%の水/アセトン溶液を調製した。この溶液200mlにトリオクチルアミン2.0gを溶解したアセトンを500ml加えた後、スターラーにより3時間攪拌した。限外ろ過により水及びアセトンを510ml除去した。固形分濃度をアセトンで調製し、1.0質量%のアセトン溶液とし、導電性ポリマー溶液(B)を調製した。この溶液の含水率は2質量%であり、この溶剤の比誘電率は22.7であった。
【0130】
(調製例1−3)導電性ポリマーのメチルエチルケトン溶液(C)の調製
調製例1−2で調製したPEDOT・PSSの溶液(B)の200mlにメチルエチルケトンを300ml加え混合し、室温で減圧下で濃縮し、総量が200mlになるまで濃縮した。固形分をメチルエチルケトンで調整し、1.0質量%のメチルエチルケトン溶液とし、導電性ポリマー溶液(C)(分散液(C))を調製した。この溶液の含水率は0.05質量%であり、アセトン残率は1質量%以下であった。この溶剤の比誘電率は15.5であった。この溶液に含まれる固形分中導電性ポリマーの含有率は50質量%である。
【0131】
(帯電防止層用塗布液の調製)
各成分を下記表1のように混合し、メチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶媒に溶解して固形分濃度30質量%の帯電防止層用塗布液HC1〜14を作製した。HC5〜14の添加剤はMEK/IPAに難溶なため、10%水溶液を作成し、添加した。
【0132】
【表1】

【0133】
上記表中、希釈溶剤のカッコ内の数値の単位は質量%を表す。以下の表においても同様である。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学(株)製)
・AD−TMP:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学(株)製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・Irg.127:光重合開始剤イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・ポリビニルアルコールはクラレ(株)製PVA203(重量平均分子量(Mw)10000〜20000、鹸化度87〜89mol%)を用いた。
【0134】
(中空シリカ粒子分散液(E)の調製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液(D)を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液(E)を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
【0135】
(低屈折率層用塗布液の調製)
各成分を表2のように混合し、MEKに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液を作製した。
【0136】
【表2】

【0137】
なお、上記表中における略号は以下の通りである。
・「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量約50000)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
・Irg.127:イルガキュア127、重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製)
・RMS−033:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
【0138】
(帯電防止層の作製)
層厚80μmの透明支持体としてのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士フィルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記帯電防止層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。60℃で約1分乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量120mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ5μmの帯電防止層を形成し、光学フィルムを作製した(試料No.1〜16)。
【0139】
(低屈折率層の作製)
低屈折率層用塗布液を、上記で作製した帯電防止層試料No.6上にグラビアコーターを用いて塗布した。低屈折率層の乾燥条件は60℃、60秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした。このようにして、帯電防止層上に低屈折率層が形成された光学フィルム(反射防止フィルム)を作製した(試料No.15、16)
【0140】
(光学フィルムの評価)
下記方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)表面抵抗率(Ω/□)(Ω/sqともいう)測定
25℃、60%RH条件下に試料を2時間置いた後に超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)を用いて測定した値を常用対数(logSR)で示す。
(2)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する試験用鉛筆を用いて評価した。
(3)透過率
UV/visスペクトルメーター(島津U2400)にて、550nmの光の透過率を測定した。透過率は90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。
(4)耐光性試験
スーパーキセノンウェザーメーター SX75(スガ試験機株式会社製)を用いて180W/mの出力で50時間光を照射した後に表面抵抗率を上記方法で測定した。
(6)積分反射率
光学フィルムの裏面(光学機能層を有さない面)をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にて積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
【0141】
【表3】

【0142】
上記表に示した結果から明らかなように、(A)導電性ポリマー及び(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマーのみからなる試料No.1の光学フィルムは、耐光性に劣ることが分かる。また、耐光性を維持する観点から試料No.1の光学フィルムに対し(A)導電性ポリマーの含有量を増加させた試料No.2の光学フィルムは、塗膜の硬度低下や、着色による透過率低下が起こったことがわかる。
また、2個の水酸基を有する非芳香族性アルコール化合物を使用した試料No.3の光学フィルムは耐光性に劣ることがわかる。
さらに、芳香族性の水酸基を有する化合物を使用した試料No.4の光学フィルムは硬化せずフィルムを形成しえなかったことがわかる。芳香族性の4つの水酸基を有する化合物を使用した試料No.5の光学フィルムは被膜強度が不十分でありかつ耐光性に劣ることがわかる。
一方、(A)導電性ポリマー、(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物及び(D)光開始重合剤を含有する組成物から形成される帯電防止層を有する光学フィルム(試料No.6〜14)は鉛筆硬度が3H以上であり被膜強度が強く、透明性、導電性が高いことにより帯電防止性に優れ、かつ、光照射前後で表面抵抗率の変化幅が2.5以下であり、耐光性に優れることがわかる。また、帯電防止層上に更に低屈折率層を積層した試料No.15、16の光学フィルムでは反射率が低く、映り込みが少ないフィルムが得られた。
また、低屈折率層を積層した試料No.15、16の光学フィルムでは、耐光性が向上しており、これは、積層によって酸素・光に対する暴露量が減少したためと考えられる。
【0143】
<実施例2>
(帯電防止層用塗布液の調製)
各成分を下記表4のように混合し、メチルエチルケトン及びIPAの混合溶媒に溶解して固形分濃度30質量%の帯電防止層用塗布液HC6、15を作製した。
【0144】
【表4】

【0145】
なお、上記表中における略号は以下の通りである。
「FP−1」:下記構造式で示されるフッ素系界面活性剤
各構造単位に併記される数値(主鎖繰り返し単位に併記される数値)は、当該構造単位の含有量(モル%)を表す。
【0146】
【化4】

【0147】
(光学フィルムの作製)
実施例1の試料No.1において、帯電防止層用塗布液をHC15に変更した以外は同様にして試料No.17を作製した。
【0148】
(光学フィルムの評価)
前記と同様の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。また、下記(5)面荒れ評価も行った。
(5)面荒れ評価
試料の裏側に油性黒インキを塗り、太陽光源下で目視観察する事により以下の基準で評価した。
1:一目見ただけで膜表面が荒れているのがわかり非常に気になる
2:膜表面がやや荒れており気になる
3:注意深く見ると膜表面が荒れているのがわかるが気にならない
4:注意深く見ても膜表面が荒れていることがわからない
評価結果が3もしくは、4であれば実用上は問題にならない。
結果を表5に示す。
【0149】
【表5】

【0150】
上記表に示した結果より明らかなように、(A)導電性ポリマー、(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー、(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物及び(D)光開始重合剤を含有する帯電防止層に更に界面活性剤を添加することで面状が非常に良好なまま高い帯電防止性を実現できることがわかる。また、界面活性剤の使用は表面抵抗率に悪影響を与える可能性があるが、本発明では界面活性剤を使用しても導電性は悪化しなかった。
【0151】
<実施例3>
実施例1の試料No.1において、帯電防止層用塗布液を以下の表に示すHC16又は17に変更し、硬化後の膜厚が12μmになるようにした以外は同様にして試料No.18、19を作製した。これらについて実施例1に準じて評価を行った。
【0152】
【表6】

【0153】
【表7】

【0154】
上記のように帯電防止層中に透光性粒子を含有した試料No.19は、被膜強度が強く、透明性、帯電防止性に優れ、かつ耐光性に優れ、かつ防眩性を有するため映り込みが少ないフィルムであった。
【0155】
表中で使用した化合物を示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
・ビスコート360:トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)社製];
・8μm架橋アクリル・スチレン粒子(30%):平均粒径8.0μmの架橋アクリル・スチレン粒子[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK(メチルイソブチルケトン)分散液、屈折率:1.55
【0156】
<実施例4>
[液晶表示装置での評価]
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例及び比較例の光学フィルム(鹸化処理済み)に、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。
【0157】
(液晶表示装置の作製)
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられている偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、実施例及び比較例の光学フィルムを有する液晶表示装置を作製した。なお、光学フィルムが視認側になるように貼り付けた。
【0158】
上記のようにして作製された実施例の光学フィルム付き偏光板及び画像表示装置は、それぞれ貼り付けた光学フィルムと同様、実施例は比較例に比べ、スジやムラの無い優れた面状、被膜強度が強いことにより耐傷擦性に優れ、帯電防止性が優れることにより防汚性及び防塵性に優れる結果を示した。また、低屈折率層を積層した光学フィルム、防眩性を付与した光学フィルム付き偏光板及び画像表示装置は背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体上に、下記(A)〜(D)を少なくとも含有する組成物から形成される帯電防止層を少なくとも1層有する光学フィルム。
(A)導電性ポリマー
(B)重合性基を2個以上有する多官能モノマー
(C)水酸基を4個以上有する非芳香族性アルコール化合物
(D)光重合開始剤
【請求項2】
前記非芳香族性アルコール化合物(C)が炭素数4個以上の主鎖骨格を有する脂肪族炭化水素化合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の水酸基数が4〜6個である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の主鎖骨格が直鎖状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記非芳香族性アルコール化合物(C)の水酸基当量(分子量/水酸基数)が40以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記多官能モノマー(B)の分子量が400以下である請求項1〜5いずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記光学フィルムの表面抵抗率SR(Ω/sq)の常用対数値(LogSR)が6〜12の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記(A)導電性ポリマーが、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、及びそれらの誘導体の少なくともいずれかを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記(A)導電性ポリマーが、ポリチオフェン及びその誘導体の少なくともいずれかを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記(A)導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項11】
更に、前記(A)導電性ポリマーのドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記組成物が更に(E)フッ素系又はシリコーン系の界面活性剤を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記帯電防止層が、平均粒子径0.5〜20μmの透光性粒子を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルムの帯電防止層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有する、反射防止フィルム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルム又は請求項14に記載の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルム、請求項14に記載の反射防止フィルム又は請求項15に記載の偏光板をディスプレイの最表面に有する、画像表示装置。

【公開番号】特開2012−194548(P2012−194548A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41923(P2012−41923)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】