説明

帯電防止性ハードコート層形成用組成物、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置

【課題】帯電防止性、膜硬度、及び脆性の観点で優れ、かつ帯電防止剤であるイオン伝導性化合物の使用量を低減させて低コスト化にも寄与できる帯電防止性ハードコート層を形成し得る組成物を提供すること。
【解決手段】下記(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を含有する帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
(a)イオン伝導性化合物
(b)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物
(c)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物
(d)光重合開始剤
(e)溶剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性ハードコート層形成用組成物、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置では、表示面への傷付きや埃等の付着による視認性低下を防止するために、透明で帯電防止性とハードコート性とを有する光学フィルムを設けることが好適である。
【0003】
帯電防止性とハードコート性とを有する光学フィルムを得るためには、透明基材上に、帯電防止剤として4級アンモニウム塩基含有ポリマーなどのイオン伝導性化合物と、バインダーとなる多官能モノマーとを含有する組成物を用いて帯電防止性ハードコート層を形成することが知られている(例えば特許文献1〜3)。
【0004】
特許文献1〜3などの従来の技術で得られた帯電防止性ハードコート層は、多官能モノマーを用いているため硬度の観点では優れるが、脆性の観点では劣る。脆性の観点で劣ると、光学フィルムをロール形態にした際に膜にひびが入ってしまうことや、偏光板加工時のハンドリング性が悪く、歩留まりが落ちるなどの問題がある。
また、イオン伝導性化合物と多官能モノマーとは相溶性が悪い場合は、イオン伝導性化合物が凝集してしまい、多量にイオン伝導性化合物を添加しないと十分な帯電防止性が得られない。しかし、イオン伝導性化合物を多量に用いることはコストアップにつながるため、少量のイオン伝導性化合物により、十分な帯電防止性を得ることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−86660号公報
【特許文献2】特許第4678451号公報
【特許文献3】特開2006−188016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、帯電防止性、膜硬度、及び脆性の観点で優れ、かつ帯電防止剤であるイオン伝導性化合物の使用量を低減させて低コスト化にも寄与できる帯電防止性ハードコート層を形成し得る組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、帯電防止性、膜硬度、及び脆性の観点で優れた帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板、及び画像表示装置、並びに該光学フィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討し、下記手段により前記課題を解決し得ることを見出した。
【0008】
1.
下記(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を含有する帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
(a)イオン伝導性化合物
(b)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物
(c)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物
(d)光重合開始剤
(e)溶剤
2.
前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物の全固形分に対する前記(b)成分の割合が20〜80質量%である、上記1に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
3.
前記(e)成分が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、及び炭酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記1又は2に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
4.
前記(a)成分が4級アンモニウム塩基含有ポリマーである、上記1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
5.
前記(a)成分が、下記一般式(I)〜(III)で表される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーである、上記1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
【化1】


一般式(I)中、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CHCOOを表す。Yは水素原子又は−COOを表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
【化2】


式中、R、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Xはアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
【化3】


【化4】


一般式(II)、(III)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、RとR及びRとRはそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R、R、R、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。Xはアニオンを表す。
、Zは−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N[X]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
6.
透明基材上に、上記1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成された帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルム。
7.
前記透明基材がセルロースアシレートフィルムである上記6に記載の光学フィルム。
8.
偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が上記6又は7に記載の光学フィルムである偏光板。
9.
上記6若しくは7に記載の光学フィルム、又は上記8に記載の偏光板を有する画像表示装置。
10.
セルロースアシレートフィルム基材上に、帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルムの製造方法であって、該セルロースアシレートフィルム基材上に上記1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗布、硬化して帯電防止性ハードコート層を形成する工程を有する光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、帯電防止性、膜硬度、及び脆性の観点で優れ、かつ帯電防止剤であるイオン伝導性化合物の使用量を低減させて低コスト化にも寄与できる帯電防止性ハードコート層を形成し得る組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、帯電防止性、膜硬度、及び脆性の観点で優れた帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板、及び画像表示装置、並びに該光学フィルムの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
なお、本発明においては、「モノマーに相当する繰り返し単位」、及び「モノマーに由来する繰り返し単位」とは、モノマーの重合後に得られる成分が繰り返し単位となることを意味している。
【0011】
本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、下記(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を含有する。
(a)イオン伝導性化合物
(b)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物
(c)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物
(d)光重合開始剤
(e)溶剤
【0012】
以下、本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物について説明する。
【0013】
[(a)成分:イオン伝導性化合物]
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、イオン伝導性化合物を含有する。
本発明に用いられる(a)イオン伝導性化合物としては、カチオン性、アニオン性、両性等のイオン導電性化合物が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果が得られ易いカチオン性、ノニオン性の化合物が好ましく、特に化合物の帯電防止性能が高い観点から4級アンモニウム塩基を有する化合物(カチオン性化合物)が好適である。
【0014】
4級アンモニウム塩基を有する化合物としては、低分子型又は高分子型のいずれを用いることもできるが、ブリードアウト等による帯電防止性の変動がないことから高分子型カチオン系帯電防止剤がより好ましく用いられる。
高分子型の4級アンモニウム塩基を有するカチオン化合物としては、公知化合物の中から適宜選択して用いることができるが、イオン伝導性が高い観点から、4級アンモニウム塩基含有ポリマーであることが好ましく、下記一般式(I)〜(III)で現される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーが好ましい。
【0015】
【化5】

【0016】
一般式(I)中、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CHCOOを表す。Yは水素原子又は−COOを表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
【0017】
【化6】

【0018】
式中、R、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Xはアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
一般式(II)、(III)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、RとR及びRとRはそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R、R、R、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。Xはアニオンを表す。
、Zは−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N[X]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
【0022】
一般式(I)〜(III)の基について説明する。
ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
アルキル基は、炭素数1〜4の分岐又は直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。
アルキレン基は、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
アリーレン基は、炭素数6〜15のアリーレン基が好ましく、フェニレン、ジフェニレン、フェニルメチレン基、フェニルジメチレン基、ナフチレン基がより好ましく、フェニルメチレン基が特に好ましい、これらの基は置換基を有していてもよい。
アルケニレン基は、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、アリーレンアルキレン基は、炭素数6〜12のアリーレンアルキレン基が好ましい、これらの基は置換基を有していてもよい。
各基に置換してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(I)において、Rは水素原子が好ましい。
Yは、好ましくは水素原子である。
Jは、好ましくはフェニルメチレン基である。
Qは、好ましくは群Aから選ばれる下記一般式(VI)であり、R、R’及びR’’は各々メチル基である。
は、ハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンイオンであり、より好ましくは塩素イオンである。
p及びqは、好ましくは0又は1であり、より好ましくはp=0、q=1である。
【0024】
【化9】

【0025】
一般式(II)及び(III)において、R、R、R及びRは、好ましくは炭素数1〜4の置換又は無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
A、B及びDは、好ましくはそれぞれ独立に、炭素数2〜10の置換又は無置換のアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基を表し、好ましくはフェニルジメチレン基である。
は、ハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンイオンであり、より好ましくは塩素イオンである。
Eは、好ましくはEは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基を表す。
、Zが、−N=C−基とともに形成する5員又は6員環としては、ジアゾニアビシクロオクタン環等を例示することができる。
【0026】
以下に、一般式(I)〜(III)で表される構造のユニットを有する化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお、下記の具体例における添え字(m、x、y、z、r及び実際の数値)の内、mは各ユニットの繰り返し単位数を表し、x、y、z、rは各々のユニットのモル比を表す。
【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
(a)イオン導電性化合物としては、分子内に重合性基を有する化合物は帯電防止性ハードコート層の耐擦傷性(膜強度)も高めることができるので好ましい。
【0033】
(a)イオン伝導性化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば製品名「ライトエステルDQ−100」(共栄社化学(株)製)、製品名「リオデュラスLAS−1211」(東洋インキ製造(株)製)、製品名「紫光UV−AS−102」(日本合成化薬(株)製)、「NKオリゴU−601、201」(新中村化学(株)製)などが挙げられる。
【0034】
本発明のイオン伝導性化合物として好適に用いられる4級アンモニウム塩基含有ポリマーは、上記一般式(I)〜(III)で表される構造単位(イオン性構造単位)の他に、これ以外の重合単位を有していて良い。イオン伝導性化合物がイオン性構造単位以外の重合単位を持つことにより、組成物を作成する際に溶媒への溶解性、不飽和二重結合を有する化合物や光重合開始剤との相溶性を高めることができる。
【0035】
イオン性構造単位以外の重合単位として用いることができる単量体の例としては、次の化合物が挙げられる。
【0036】
<アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)>
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)は、下記一般式(2)で表され、例えば、エチレンオキシドのアルキルアルコールによる開環重合後、(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換反応、もしくは(メタ)アクリル酸クロライドとの反応により得ることができる。
CH=C(R)COO(AO) (2)
(式中、RはHまたはCH、Rは水素または炭素数が1〜22の炭化水素基、nは2〜200の整数、Aは炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
【0037】
前記一般式(2)において、アルキレンオキサイド基(AO)は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基であり、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基が挙げられる。また、同一モノマー内に、炭素数が異なるアルキレンオキサイド基が存在していてもよい。
アルキレンオキサイド基数(n)は2〜200の整数であり、好ましくは10〜100の整数である。2〜200であると、後述する、不飽和二重結合を有する化合物との十分な相溶性が得られるため好ましい。
は水素または炭素数1〜22の炭化水素基である。炭素数23以上では、原料が高価であるため実用的ではない。
炭素数1〜22の炭化水素基としては、置換又は無置換のものが選択でき、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基が好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。これらは、2種類以上を併用しても良い。
【0038】
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)としては、具体的には例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノテトラデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクタデシルエーテルポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクチルエーテル、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
<(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)>
さらに必要に応じて任意に前記(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)をラジカル共重合してもよい。
(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)は、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であればよく、特に限定されるものでないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートやスチレン、メチルスチレン等が挙げられる。
【0040】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中、(a)イオン導電性化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
【0041】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の(a)イオン伝導性化合物の含有量は、帯電防止性を付与するのに十分な量でかつ膜硬度を減損しにくく、低コスト化という観点から、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.1質量%〜1質量%が更に好ましい。
【0042】
[(b)成分:不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物]
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、(b)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物を含有する。該(b)成分は、不飽和二重結合を3つ以上有するため、硬化させることにより膜硬度を向上させることができる。更に(b)成分はイソシアヌル環又はリン酸基を有するため、不飽和二重結合の重合により生じる共有結合よりも弱い相互作用を生じさせることができ、イソシアヌル環又はリン酸基を有さない多官能モノマーを用いた場合よりも膜の硬度を保ったまま脆性を改善させることができると考えられる。また、イソシアヌル環、リン酸基といった極性基があることにより、カウンターであるアニオンの移動度が大きくなるため、イオン伝導性化合物が少量でも十分な帯電防止性を発現することができると考えられる。
【0043】
(b)成分は不飽和二重結合を3つ以上有するが、膜硬度の向上という理由から、不飽和二重結合を3つ以上6つ以下有することが好ましく、3つ以上4つ以下有することがより好ましい。
ここで、(b)成分が3つ以上有する不飽和二重結合は、光重合可能な基に含まれる不飽和二重結合であることが好ましく、該光重合可能な基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基などが挙げられ他の不飽和二重結合を有する化合物との反応性が良好である観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく、より好ましくはアクリロイルオキシ基である。
【0044】
(b)成分は分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する。すなわち、(b)成分は分子中に下記式(b−1)又は(b−2)の構造を有する。
【0045】
【化15】

【0046】
(b)成分としては市販品を用いることもできる。例えば、新中村化学工業(株)製NKエステル A−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、日立化成工業(株)製 ファンクリル FA−731A(トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート)、東亜合成(株)製 アロニックス M−315(イソシアヌル酸EO 変性トリアクリレート)、大阪有機化学工業(株)製 ビスコートV#3PA(トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート)等を挙げることができる。
【0047】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中、(b)成分は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
【0048】
本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の(b)成分の含有量は、帯電防止性を付与するのに十分な量でかつ膜硬度及び脆性を減損しにくいという観点から、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して20質量%以上80質量%以下が好ましく、25質量%以上75質量%以下がより好ましく、35質量%以上60質量%以下が更に好ましい。
【0049】
[(c)成分:不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物]
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、(c)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物を含有する。該(c)成分は、不飽和二重結合を3つ以上有するため、硬化させることにより膜硬度を向上させることができる。更に(c)成分は重量平均分子量が900以下であるため、基材に塗布された際に基材に浸透しやすく、膜の脆性を改善させることができると考えられる。また、(c)成分が基材側に偏在するため、前記(a)イオン伝導性化合物は空気界面側(基材とは反対側)に偏在しやすくなるため、少量の(a)イオン伝導性化合物でも十分な帯電防止性を得ることができ、帯電防止性ハードコート層の低コスト化にも貢献することができる。
なお、(c)成分は前記(b)成分とは別の成分である。
【0050】
(c)成分は不飽和二重結合を3つ以上有するが、膜硬度の向上という理由から、不飽和二重結合を3つ以上6つ以下有することが好ましく、3つ以上4つ以下有することがより好ましい。
ここで、(c)成分が3つ以上有する不飽和二重結合は、光重合可能な基に含まれる不飽和二重結合であることが好ましく、該光重合可能な基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基及び−C(O)OCH=CHが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0051】
(c)成分の重量平均分子量は膜硬度と帯電防止性の両立という理由から、200以上900以下が好ましく、250以上600以下がより好ましく、300以上600以下が更に好ましい。
【0052】
(c)成分としては、アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0053】
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0054】
(c)成分としては市販品を用いることもできる。例えば、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、新中村化学工業(株)NKエステル A−TMMT、大阪有機化学工業(株)製V#295、ダイセルUCB(株)製EB5129、EB1290等を挙げることができる。
【0055】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中、(c)成分は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
【0056】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の(c)成分の含有量は、十分な重合率を与えて硬度などを付与するため、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、20〜80質量%が好ましく、25〜75質量%がより好ましく、40〜65質量%が更に好ましい。
【0057】
[(d)成分:光重合開始剤]
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は(d)光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
【0058】
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
【0059】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中、(d)光重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
【0060】
帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の(d)光重合開始剤の含有量は、帯電防止性ハードコート層形成用組成物に含まれる重合可能な化合物を重合させるのに十分多く、かつ開始点が増えすぎないよう十分少ない量に設定するという理由から、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0061】
[(e)成分:溶剤]
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は(e)溶剤を含有する。
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、(a)イオン伝導性化合物との相溶性得る観点で、親水性溶媒を含んでいることが好ましい。親水性溶媒としては、アルコール系溶媒、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒などが挙げられ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジアセトンアルコール、炭酸ジメチル(ジメチルカーボーネート)、炭酸ジエチル(ジエチルカーボネート)、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネート、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、アセトン、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
また、上記以外の溶剤を用いてもよい。例えば、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
帯電防止性の向上、基材とハードコート層との密着性の向上及び、干渉縞の発生防止という理由から、(e)溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、及び炭酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、メチルエチルケトン、酢酸メチル、炭酸ジメチルがより好ましい。
【0064】
膜硬度と帯電防止性の両立という理由から、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の固形分濃度は20〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜75質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%である。帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の(e)溶剤の含有量は、帯電防止性ハードコート層形成用組成物中の固形分濃度が上記範囲になるような含有量であることが好ましい。
【0065】
本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物には、上記した以外のその他の成分を添加することもできる。
以下、該その他の成分について説明する。
【0066】
(界面活性剤)
本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物には各種の界面活性剤を使用することも好適である。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、帯電防止層の表面凹凸や塗布物のハジキを改良できることがある。更には、帯電防止化合物の分散性を向上させることで、より安定で高い導電性を発現できる場合があり好適である。
【0067】
界面活性剤としては、具体的にはフッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
【0068】
界面活性剤を添加すると、塗布された液膜の表面に界面活性剤が速やかに移動して偏在化し、膜乾燥後も界面活性剤がそのまま表面に偏在することになるので、界面活性剤を添加した帯電防止層の表面エネルギーは、界面活性剤によって低下する。帯電防止層の膜厚不均一性やハジキ、ムラを防止するという観点からは、膜の表面エネルギーが低いことが好ましい。
【0069】
フッ素系界面活性剤の好ましい態様、及び具体例は、特開2007−102206号公報の段落番号[0023]〜[0080]に記載されており、本発明においても同様である。
【0070】
シリコーン系界面活性剤の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、などを含む基が挙げられる。
【0071】
分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。
【0072】
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学工業(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X22−164C”、“X−22−176D”(以上商品名);チッソ(株)製の、“FM−7725”、“FM−5521”、“FM−6621”(以上商品名);Gelest製の“DMS−U22”、“RMS−033”(以上商品名);東レ・ダウコーニング(株)製の“SH200”、“DC11PA”、“ST80PA”、“L7604”、“FZ−2105”、“L−7604”、“Y−7006”、“SS−2801”(以上商品名);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製の“TSF400”(商品名);などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記界面活性剤は、帯電防止性ハードコート層形成用塗布組成物の全固形分中に0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。
【0073】
(透光性樹脂粒子)
本発明の帯電防止性ハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性樹脂粒子を用いることができる。
【0074】
透光性樹脂粒子は、粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
【0075】
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
【0076】
本発明に用いることができるバインダーと透光性樹脂粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030である。屈折率の差がこの範囲であるとフィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じない。
【0077】
透光性樹脂粒子の平均粒子径(体積基準)は0.5〜20μmが好ましい。平均粒径がこの範囲であると、光の散乱角度分布が広角になりすぎなないためディスプレイの文字ボケがない。
【0078】
また、粒子径の異なる2種以上の透光性樹脂粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性樹脂粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
【0079】
前記透光性粒子を配合する際は、帯電防止性ハードコート層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。含有量がこの範囲であると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題も防止でき、帯電防止性も損なわれない。
【0080】
[光学フィルム]
以下、本発明の光学フィルムについて説明する。
本発明の光学フィルムは、透明基材上に前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物を用いて形成された帯電防止性ハードコート層を有する。
本発明の光学フィルムは、透明基材上に帯電防止性ハードコート層を有し、更に目的に応じて、必要な機能層を単独又は複数層設けてもよい。例えば、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)などを設けることができる。
【0081】
本発明の光学フィルムのより具体的な層構成の例を下記に示す。
透明支持体/帯電防止性ハードコート層
透明支持体/帯電防止性ハードコート層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止性ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止性ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
【0082】
[透明基材]
本発明の光学フィルムにおいては、透明基材(支持体)として種々用いることができるが、セルロース系ポリマーを含む基材が好ましく、セルロースアシレートフィルムを用いることがより好ましい。
セルロースアシレートフィルムとしては、特に限定されないが、ディスプレイに設置する場合は、セルローストリアセテートフィルムを偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてそのまま用いることができるため、生産性やコストの点でセルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。
セルロースアシレートフィルムの厚さは、通常、25μm〜1000μm程度であるが、取り扱い性が良好で、かつ必要な基材強度が得られる40μm〜200μmが好ましい。
【0083】
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
【0084】
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
【0085】
一般に、セルロースアシレートの2,3,6位の水酸基は全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。更にセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
【0086】
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044、実施例、合成例1、段落番号0048〜0049、合成例2、段落番号0051〜0052、合成例3に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
【0087】
[帯電防止性ハードコート層の物性]
本発明における帯電防止性ハードコート層は、屈折率が1.48〜1.65であることが好ましい。更に望ましくは1.48〜1.60、最も好ましくは1.48〜1.55である。上記範囲内とすることで基材との干渉ムラを抑制し、更に低屈折率層を積層した際には反射色味をニュートラルにすることができるため好ましい。
【0088】
帯電防止性ハードコート層の膜厚は、1μm以上であることが好ましく、3μm〜20μmがより好ましく、5μm〜15μmが更に好ましく、6μm〜15μmが最も好ましい。上記範囲とすることで物理強度と帯電防止性を両立することができる。
また、帯電防止性ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0089】
帯電防止性ハードコート層の透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。
【0090】
[光学フィルムの物性]
本発明の光学フィルムの表面抵抗率は帯電防止性の観点から低いほど好ましく、25℃60%環境下で1010Ω/sq.(Ω/□)以下であることが好ましく、5×10Ω/sq.以下であることがより好ましく、更に好ましくは10Ω/sq.以下である。表面抵抗率を上記範囲にすることで優れた防塵性を付与することが可能となる。
【0091】
(光学フィルムの製造方法)
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず帯電防止性ハードコート層形成用組成物が調製される。次に、該組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号公報参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
【0092】
塗布した後、乾燥、光照射して帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成される層を硬化し、これにより帯電防止性ハードコート層が形成される。必要に応じて、透明支持体上にあらかじめその他の層(以下に述べるフィルムを構成する層、例えば、ハードコート層、防眩層など)を塗設しておき、その上に帯電防止性ハードコート層を形成することも可能である。このようにして本発明の光学フィルムが得られる。
本発明の光学フィルムの製造方法としては、セルロースアシレートフィルム基材上に、前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗布、硬化して帯電防止性ハードコート層を形成する工程を有する方法が好ましい。
【0093】
(高屈折率層及び中屈折率層)
本発明の光学フィルムは、更に高屈折率層や中屈折率層を有してもよい。
高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.20であることが好ましく、1.70〜1.80であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.65であることが好ましく、1.58〜1.63であることが更に好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層の形成方法は化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、オールウェット塗布による方法が好ましい。
【0094】
中屈折率層、高屈折率層は上記屈折率範囲の層であれば特に限定されないが、構成成分として公知のものを用いる事ができ、具体的には特開2008−262187の段落番号[0074]〜[0094]に示される。
【0095】
(低屈折率層)
本発明の光学フィルムは、前記帯電防止性ハードコート層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有することが好ましい。この場合、本発明の光学フィルムは、反射防止フィルムとして機能することができる。
この場合、低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.51であることが好ましい。1.30〜1.46であることが好ましく、1.32〜1.38が更に好ましい。上記範囲内とすることで反射率を抑え、膜強度を維持することができ、好ましい。低屈折率層の形成方法も化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、低屈折率層用組成物を用いてオールウェット塗布による方法を用いることが好ましい。
【0096】
低屈折率層は上記屈折率範囲の層であれば特に限定されないが、構成成分としては公知のものを用いることができ、具体的には特開2007−298974号公報に記載の含フッ素硬化性樹脂と無機微粒子を含有する組成物や、特開2002−317152号公報、特開2003−202406号公報、及び特開2003−292831号公報に記載の中空シリカ微粒子含有低屈折率コーティングを好適に用いることができる。
【0097】
[偏光板用保護フィルム]
光学フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、薄膜層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化する、所謂ケン化処理を行うことで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することができる。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
【0098】
上述したケン化処理について説明する。ケン化処理は、加温したアルカリ水溶液中に一定時間光学フィルムを浸漬し、水洗を行った後、中和するための酸洗浄を行う処理である。透明支持体の偏光膜と貼り合わせる側の面が浸水化されればどのような処理条件でも構わないため、処理剤の濃度、処理剤液の温度、処理時間は適宜決定されるが、通常生産性を確保する必要から3分以内で処理可能なように処理条件を決定する。一般的な条件としては、アルカリ濃度が3質量%〜25質量%であり、処理温度は30℃〜70℃、処理時間は15秒〜5分である。アルカリ処理に用いるアルカリ種としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適であり、酸洗浄に使用する酸としては硫酸が好適であり、水洗に用いる水はイオン交換水又は純水が好適である。
本発明の光学フィルムの帯電防止層は、このようなケン化処理によってアルカリ水溶液に晒されても、帯電防止性能が良好に保たれる。
【0099】
本発明の光学フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、セルロースアシレートフィルムは、セルローストリアセテートフィルムであることが好ましい。
【0100】
[偏光板]
次に、本発明の偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が本発明の光学フィルム又は反射防止フィルムである。
【0101】
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
【0102】
光学フィルムのセルロースアシレートフィルムが、必要に応じてポリビニルアルコールからなる接着剤層等を介して偏光膜に接着しており、偏光膜のもう一方の側にも保護フィルムを有する構成が好ましい。もう一方の保護フィルムの偏光膜と反対側の面には粘着剤層を有していても良い。
【0103】
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、帯電防止性、耐久性に優れた偏光板が作製できる。
【0104】
また、本発明の偏光板は、光学補償機能を有することもできる。その場合、2枚の表面保護フィルムの表面及び裏面のいずれかの一面側のみを上記光学フィルムを用いて形成されており、該偏光板の光学フィルムを有する側とは他面側の表面保護フィルムが光学補償フィルムであることが好ましい。
【0105】
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、更に、液晶表示装置の明室でのコントラスト、上下左右の視野角を改善することができる。
【0106】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルム、又は偏光板をディスプレイの最表面に有する。
本発明の光学フィルム、及び偏光板は液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いることができる。
特に、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、透過型/半透過型液晶表示装置において、液晶セルのバックライト側の最表層に用いることが特に好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0108】
〔光学フィルムの作製〕
下記に示す通りに、帯電防止性ハードコート層形成用の塗布液を調製し、透明基材上に帯電防止性ハードコート層を形成して、光学フィルム試料を作製した。
【0109】
(帯電防止性ハードコート層用塗布液の調製)
下記表1に記載の(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して実施例1〜15、比較例1〜4の帯電防止性ハードコート層塗布液とした。
表1において、(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分の含有量は、帯電防止性ハードコート層用塗布液の全固形分に対する割合(質量%)で表し、(e)成分の含有量は、帯電防止性ハードコート層用塗布液の全質量に対する割合(質量%)で表した。
【0110】
(帯電防止性ハードコート層の作製)
層厚60μmの透明支持体としてのセルローストリアセテートフィルム(TDH60UF、富士フイルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記帯電防止性ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。60℃で約2分間乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量150mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ10μmの帯電防止性ハードコート層を形成し、実施例1〜15、比較例1〜4の光学フィルム試料を作製した。
【0111】
(光学フィルムの評価)
以下の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。
【0112】
(1)表面抵抗
光学フィルム試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、4339B ハイレジスタンスメーター(アジレント・テクノロジー製)を用いて測定し、印加電圧100Vでの表面抵抗値を以下の基準で評価した。
◎:1.0×10Ω/sq.以下
○:1.0×10Ω/sq.より大きく、5×10Ω/sq.以下
△:5×10Ω/sq.より大きく、1.0×1010Ω/sq.以下
×:1.0×1010Ω/sq.より大きい
【0113】
(2)鉛筆硬度
光学フィルム試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆(硬度H〜4H)を用いて、JIS K5600−5−4(1999)が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて実施した。鉛筆硬度2H以上が好ましく、3H以上が特に好ましい。
【0114】
(3)脆性
光学フィルム試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、帯電防止性ハードコート層を外側にして直径の異なるロールに巻きつけ、帯電防止性ハードコート層におけるひび割れの有無を判定し、ひび割れの入らなかった最も小さい直径を脆性の値とし、以下の基準で評価した。
◎:5mm未満
○:5mm以上8mm未満
△:8mm以上10mm未満
×:10mm以上
【0115】
【表1】

【0116】
A−9300:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学製)
V#3PA:トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート(大阪有機化学製)
A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製)
V#295:トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学製)
EB5129:ウレタンアクリレート(6官能、ダイセルUCB製)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(日本化薬製)
UV−1700B:ウレタンアクリレート(10官能、日本合成化学製)
DPCA−60:DPHAのカプロラクトン変性品(6官能、日本化薬製)
A−600:ポリエチレングリコールジアクリレート(2官能、新中村化学製)
EB1290:ウレタンアクリレート(6官能、ダイセルUCB製)
Irg.184:イルガキュア184(光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
ブレンマーQA:N,N,N−トリメチル−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−アンモニウムクロライド(日油製)
DQ−100:ジメチルアミノエチルメタクリレート 四級化物(共栄社化学製)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を含有する帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
(a)イオン伝導性化合物
(b)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ分子中にイソシアヌル環又はリン酸基を有する化合物
(c)不飽和二重結合を3つ以上有し、かつ重量平均分子量が900以下である化合物
(d)光重合開始剤
(e)溶剤
【請求項2】
前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物の全固形分に対する前記(b)成分の割合が20〜80質量%である、請求項1に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
【請求項3】
前記(e)成分が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、及び炭酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
【請求項4】
前記(a)成分が4級アンモニウム塩基含有ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
【請求項5】
前記(a)成分が、下記一般式(I)〜(III)で表される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物。
【化1】


一般式(I)中、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CHCOOを表す。Yは水素原子又は−COOを表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
【化2】


式中、R、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。Xはアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
【化3】


【化4】


一般式(II)、(III)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、RとR及びRとRはそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−RCOR−、−RCOOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R、R、R、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。Xはアニオンを表す。
、Zは−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N[X]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
【請求項6】
透明基材上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成された帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルム。
【請求項7】
前記透明基材がセルロースアシレートフィルムである請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が請求項6又は7に記載の光学フィルムである偏光板。
【請求項9】
請求項6若しくは7に記載の光学フィルム、又は請求項8に記載の偏光板を有する画像表示装置。
【請求項10】
セルロースアシレートフィルム基材上に、帯電防止性ハードコート層を有する光学フィルムの製造方法であって、該セルロースアシレートフィルム基材上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗布、硬化して帯電防止性ハードコート層を形成する工程を有する光学フィルムの製造方法。