説明

帯電防止性ポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた成形品

【課題】優れた帯電防止性と結晶化性を有し、成形サイクルが短く、透明性、強度共に優れたポリオレフィン系樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(A)を0.01〜20質量部、及び造核剤(B)を0.001〜10質量部配合してなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。但し、式(1)中のRは炭素原子数11〜13のアルキル基であり、Rは、水素原子又は−CHCHOHである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性と帯電防止性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関し、特に、成形時の成形サイクルが短く、透明性、強度及び帯電防止性に優れた成形品を提供することができるポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂は、成形加工性、耐熱性及び力学的特性等に優れている上、低比重であるという利点があり、フィルム、シート及び構造部品等の各種成形品に広く利用されている。一方、ポリオレフィン系樹脂は成形後の結晶化速度が遅いため、成形サイクルが長く、また、加熱成形後に結晶化が進行して成形品内部で大きな結晶が生成するため、透明性や強度が低下するという問題点があった。
また、ポリオレフィン系樹脂は、優れた電気絶縁性を有している反面、静電気を発生したり、蓄積したりしやすいために、ほこり等が表面に付着して汚染されるため、しばしばその商品価値が低下するという問題点があった。
【0003】
これらの問題点を改善するために、従来、ポリオレフィン系樹脂の結晶化温度を高めて、成形時に微細な結晶を急速に生成させるための造核剤(結晶核剤、結晶化促進剤、結晶化剤、核剤、核形成剤ともいう)を添加すると共に、ポリオレフィン系樹脂に持続的な帯電防止性を付与するために、練り込み型の帯電防止剤を添加することが行われている(特許文献1〜3)。
しかしながら、これらの帯電防止剤の帯電防止性能は満足いくものではなく、また、ポリオレフィン系樹脂に帯電防止剤を配合することにより、成形時における樹脂の結晶性が低下するという問題があった。
また合成樹脂用帯電防止剤として、アミノエチルエタノールアミンの脂肪酸アミドが提案されている(特許文献4、5)が、これらの文献には結晶性に関する記載はなく、上記脂肪酸の炭素数によって帯電防止性能が異なることを示唆する記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−67357号公報
【特許文献2】特開平8−183889号公報
【特許文献3】特開2009−256474号公報
【特許文献4】特開昭62−132946号公報
【特許文献5】特開平11−302446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の第1の目的は、優れた帯電防止性と結晶性を有し、成形時の成形サイクルが短いポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、透明性、強度と共に、帯電防止性に優れたポリオレフィン樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の諸問題を達成すべく鋭意検討した結果、特定のアミド化合物及び造核剤をポリオレフィン系樹脂に添加することにより、優れた帯電防止性を有すると供に、優れた結晶性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(A)を0.01〜20質量部、及び造核剤(B)を0.001〜10質量部配合してなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物、及び、該ポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形品である。

但し、式(1)中のRは炭素原子数11〜13のアルキル基、Rは、水素原子又は−CHCHOHである。
【0007】
前記造核剤(B)は、下記一般式(2)〜(4)の何れかで表される化合物であることが好ましい。

但し、式(2)中のR〜Rは各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜4のアルキリデンである。
はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である。Mがアルカリ金属原子である場合、sは1、且つtは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、sは2、且つtは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、sは1又は2、且つtは3−sである。
【0008】

但し、式(3)中のRは水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である。Mがアルカリ金属原子である場合、yは1、且つuは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、yは2、且つuは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、yは1又は2、且つuは3−yである。
【0009】

但し、式(4)中のR〜R18は各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、フェニル基、アルキルフェニル基又は炭素原子数1〜9のシクロアルキル基である。任意の二つの隣接炭素に結合又は同一炭素に結合するアルキル基は、一緒になって炭化水素環を形成してもよい。
また、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である。Mがアルカリ金属原子である場合、aは2、且つbは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、aは1、且つbは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、aは1、且bは1である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた帯電防止性及び結晶性を有し、成形時の成形サイクルが短く、透明性及び強度共に優れたポリオレフィン系樹脂成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0012】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物を用いてもよい。
【0013】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される化合物(A)を含有する。

但し、式(1)中のRは炭素原子数の11〜13のアルキル基であり、Rは、水素原子又は−CHCHOHである。
の炭素原子数が11未満であっても、13を超えても、樹脂組成物に帯電防止性を付与することができない
【0014】
一般式(1)で表される化合物(A)の具体例として、下記の化合物No.1〜4が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。




【0015】
造核剤(B)は、ポリオレフィン系樹脂の造核剤として一般的に用いられるものでよく、無機系造核剤及び有機系造核剤の何れを使用してもよい。
無機系造核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジム及びフェニルホスホネートの金属塩等を挙げることができる。
これらの無機系造核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0016】
有機系造核剤の具体例としては、亜鉛グリセロレート、亜鉛プロパントリオレート等のアルコレート金属塩;テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩;p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩;トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド;ピメリン酸カルシウム、スベリン酸カルシウム等の周期表第2族元素のジカルボン酸塩;デヒドロアビチエン酸、ジヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸等のロジン系樹脂酸;デヒドロアビチエン酸ナトリウム、デヒドロアビチエン酸カリウム、デヒドロアビチエン酸マグネシウム、デヒドロアビチエン酸カルシウム、ジヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウム、ジヒドロアビエチン酸カルシウム、ジヒドロピマル酸ナトリウム、ジヒドロピマル酸カリウム、ジヒドロピマル酸マグネシウム、ジヒドロピマル酸カルシウム等のロジン系樹脂酸金属塩;2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等の他、下記一般式(2)〜(9)で表わされる化合物が挙げられる。
【0017】
一般式(2):

上記一般式(2)であらわされる化合物は、芳香族リン酸エステルの金属塩化合物であり、式中のR〜Rは各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキリデン基であり、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である。
また、Mがアルカリ金属原子である場合、sは1、且つtは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、sは2、且つtは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、sは1又は2、且つtは3−sである。
【0018】
炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられるが、R〜Rは、第三ブチル基であることが好ましい。
炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等が挙げられる。
【0019】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
特に、造核剤として優れた効果が得られることから、Mはアルカリ金属原子であることが好ましい。
【0020】
前記化合物の製造方法としては、例えば、該当する構造の環状リン酸と、金属水酸化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属アルコキシド化合物等の金属化合物とを、必要に応じて使用される塩基性化合物等の反応剤を用いて反応させる方法、該当する構造の環状リン酸エステルのアルカリ金属塩と、金属水酸化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属アルコキシド化合物等の金属化合物とを、必要に応じて使用される反応剤を用いて塩交換反応させる方法、及び、環状オキシ塩化リンを出発物質として、加水分解により環状リン酸を生成させ、金属化合物と反応させる方法等が挙げられる。
【0021】
前記一般式(2)で表わされる化合物の具体例として、下記の化合物No.5〜22の化合物が挙げられる。但し、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。






【0022】
一般式(3):

上記一般式(3)で表わされる化合物は、安息香酸誘導体の金属塩化合物であり、式中のRは水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である。
また、Mがアルカリ金属原子である場合、yは1、且つuは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、yは2、且つuは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、yは1又は2、且つuは3−yである。
【0023】
炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル記、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられる。
特に、造核剤としての効果に優れることから、Rは水素原子又は第三ブチル基であることが好ましい。
【0024】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
特に、造核剤として優れた効果が得られることから、Mはアルカリ金属原子であることが好ましい。
【0025】
前記一般式(3)で表わされる化合物の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、安息香酸アルミニウム、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩等が挙げられる。但し、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0026】
一般式(4):

一般式(4)で表される化合物は、飽和二環式ジカルボン酸塩であり、式中のR〜R18は各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、フェニル基、アルキルフェニル基、又は炭素原子数1〜9のシクロアルキル基である。
また、任意の二つの隣接炭素に結合又は同一炭素に結合するアルキル基は、一緒になって炭化水素環を形成してもよい。
【0027】
式中のMはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子であって、Mがアルカリ金属原子である場合、aは2、且つbは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、aは1、且つbは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、aは1、且つbは1である。
【0028】
炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル記、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられ、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基は、上述した炭素原子数1〜9のアルキル基に対応する基が挙げられる。
特に、造核剤としての効果に優れることから、R〜R18は水素原子であることが好ましい。
【0029】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
特に、造核剤として優れた効果が得られることから、Mはアルカリ金属原子であることが好ましい。
【0030】
一般式(5):

一般式(5)で表される化合物は、飽和二環式ジカルボン酸塩であり、式中のR19〜R26は各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、フェニル基、アルキルフェニル基、又は炭素原子数1〜9のシクロアルキル基である。
また、任意の二つの隣接炭素に結合又は同一炭素に結合するアルキル基は、一緒になって炭化水素環を形成してもよい。
【0031】
また、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子であって、Mがアルカリ金属原子である場合、aは2、且つbは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、aは1、且つbは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、aは1、且つbは1である。
【0032】
炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル記、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜9のアルコキシ基、アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基としては、前記炭素原子数1〜9のアルキル基に対応する基が挙げられる。
【0033】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
特に、造核剤として優れた効果が得られることから、Mはアルカリ金属原子であることが好ましい。
【0034】
一般式(6):

上記一般式(6)で表される化合物はジカルボン酸塩であり、式中のR27〜R36は各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、フェニル基、アルキルフェニル基、又は炭素原子数1〜9のシクロアルキル基である。
また、任意の二つの隣接炭素に結合又は同一炭素に結合するアルキル基は、一緒になって炭化水素環を形成してもよい。
【0035】
はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子であって、Mがアルカリ金属原子である場合、vは2、且つwは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、vは1、且つwは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、vは1、且つwは1である。
【0036】
炭素原子数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル記、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられ、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、アルキレンオキシ基、アルキルアミノ基は、前記した炭素原子数1〜9のアルキル基に対応するものが挙げられる。
特に、造核剤としての効果に優れることから、R27〜R36は水素原子であることが好ましい。
【0037】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
特に、造核剤として優れた効果が得られることから、Mはアルカリ金属原子又はカルシウム原子であることが好ましい。
【0038】
一般式(7):

一般式(7)で表される化合物は、ジベンジリデンソルビトール化合物であり、式中のnは0、1又は2であり、R37〜R41は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基又は炭素原子数1〜4のヒドロキシハロゲン化アルキル基である。
【0039】
炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。炭素原子数2〜4のアルケニル基としては、例えば、アリル基、3−メチルアリル基等が挙げられる。炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基としては、例えば、1−ヒドロキシプロピル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基としては、例えば、1,2−ジブロモプロピル基等が挙げられる。炭素原子数1〜4のヒドロキシハロゲン化アルキル基としては、1−ヒドロキシ−2−ブロモプロピル基等が挙げられる。
【0040】
前記一般式(7)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物No.23〜No.30が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。




【0041】
一般式(8):

一般式(8)で表される化合物はアミド系化合物であり、式中のR42は、炭素原子数2〜30の飽和若しくは不飽和脂肪族又は芳香族の2〜6価のポリカルボン酸残基であり、zは2〜6の整数である。
また、Xは各々独立に、R43−(R44で表される基であって、R43は炭素原子数5〜12のシクロアルキル基、R44は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、dは1〜3の整数である。
【0042】
前記ポリカルボン酸残基とは、R42−(COOH)で表される脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いて得られる残基であり、zと同一の価数、即ち2〜6価の基であり、炭素原子数2〜30とは、前記脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸の全てのカルボキシル基を除いて得られるポリカルボン酸残基が有する炭素数である。
脂肪族ポリカルボン酸としては、カルボキシル基を2〜6個有する飽和又は不飽和のポリカルボン酸が好ましく、特に3又は4個のカルボキシル基を有する脂肪族ポリカルボン酸であることが好ましい。
【0043】
芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、脂肪族ポリカルボン酸としては、ジフェニルマロン酸、コハク酸、フェニルコハク酸、ジフェニルコハク酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、クエン酸、メタントリカルボン酸、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、プロペントリカルボン酸、カンホロン酸、ブタントリカルボン酸、ペンタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、ヘプタントリカルボン酸、オクタントリカルボン酸、ノナントリカルボン酸、デカントリカルボン酸、アセトキシプロパントリカルボン酸、アセトキシペンタントリカルボン酸、アセトキシヘプタントリカルボン酸、エタンテトラカルボン酸、プロパンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ドデカンテトラカルボン酸、ペンタンペンタカルボン酸、アセトキシペンタンペンタカルボン酸、ペンタンヘキサカルボン酸、テトラデカンヘキサカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オール−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、1,6−ヘキサメチレンジアミン四酢酸、N−(2−カルボキシエチル)イミノ二酢酸等が挙げられる。
【0044】
前記Xに相当する基R43−(R44は、HN−R43−(R44で表されるモノアミンのアミノ基を除いて得られる残基であり、モノアミンの具体例としては、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロドデシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルミン、2,4−ジメチルシクロヘキシルアミン,2,5−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,4,6−トリメチルシクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン類が挙げられる。
【0045】
この中でも、特に2−アルキルシクロヘキシルアミンであることが好ましく、例えば、2−メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、2−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、2−n−ペンチルシクロヘキシルアミン、2−n−ヘキシルシクロヘキシルアミン、2−n−ヘプチルシクロヘキシルアミン、2−n−オクチルシクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルシクロヘキシルアミン、2−n−ノニルシクロヘキシルアミン、2−n−デシルシクロヘキシルアミン等の、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状アルキル基を有する2−アルキルシクロヘキシルアミン等のシス体、トランス体又はこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
前記一般式(8)で表されるアミド系化合物は、前記ポリカルボン酸又はポリカルボン酸無水物若しくはポリカルボン酸クロライドと、前記モノアミンを反応させることによって得られる。
前記一般式(8)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物No.31〜No.35が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。


【0047】
一般式(9):

一般式(9)で表される化合物は、ジアミド系化合物であり、式中のR45は、炭素数1〜24の脂肪族ジアミン残基又は脂環族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基である。
また、R46、R47はそれぞれ独立に、炭素数3〜14のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を有するフェニル基、炭素原子数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を有するフェニル基、炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を有するシクロヘキシル基、炭素原子数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を有するシクロヘキシル基、又は、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、シクロヘキシルメチレン基、シクロヘキシルエチレン基又はシクロヘキシルプロピレン基である。
【0048】
炭素数3〜14のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
【0049】
炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を有するフェニル基、及び、炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を有するシクロヘキシル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0050】
炭素原子数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を有するフェニル基、及び、炭素原子数2〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を有するシクロヘキシル基のアルケニル基としては、例えば、アリル基、3−メチルアリル基等が挙げられる。
【0051】
本発明においては、特に結晶化性と帯電防止性の観点から、造核剤(B)としては、前記一般式(2)〜(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが好ましい。
【0052】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中の化合物(A)の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.05〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
また、造核剤(B)の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であり、0.005〜5質量部であることが好ましく、0.01〜3質量部であることがより好ましい。造核剤(B)の配合量が0.001質量部より少ないと造核剤としての効果が現れず、5質量部を超えると樹脂の物性を低下させる。
【0053】
化合物(A)と造核剤(B)の配合方法は特に限定されず、通常使用されている方法を任意に用いることができ、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練りこみして配合すればよい。
【0054】
また、本発明においては、化合物(A)をそのままポリオレフィン樹脂に添加してもよいが、必要に応じて化合物(A)を担体に含浸させてから添加してもよい。
担体に含浸させる方法としては、化合物(A)と担体とをそのまま加熱混合する方法、又は、必要に応じて、化合物(A)を有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後溶媒を除去する方法がある。
【0055】
担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、あるいは常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、あるいはこれら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。
これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものを使用することが好ましく、シリカ粉末の表面をシランカップリング剤により化学修飾したものがより好ましい。これらの担体の平均粒径は、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましい。
【0056】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を更に添加されてもよく、こうすることにより本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を安定化させることができる。
【0057】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
【0058】
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
これらのリン系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
【0059】
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
【0060】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、特に0.05〜10質量部であることが好ましい。
【0061】
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましく、特に0.05〜10質量部であることが好ましい。
【0062】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、更に必要に応じて、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、界面活性剤及び高分子帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することができ、これにより、上記ポリオレフィン系樹脂組成物の帯電防止性をさらに向上させることができる。
【0063】
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩としては炭素数1〜20のモノカルボン酸又はジカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸等)、炭素数1〜20のスルホン酸(例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、チオシアン酸などの有機酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属と塩、ハロゲン化水素酸(例えば塩酸、臭化水素酸等)、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸などの無機酸の塩が好ましく例示できる。これらの中でも好ましいのは、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のハライド、酢酸カリウム等の酢酸塩、及び過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中におけるアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜3質量部であることが好ましく、特に0.01〜2質量部であることが好ましい。
【0064】
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤を使用することができる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0065】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0066】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0067】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤を使用することが好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩を使用することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中における界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが好ましく、特に0.01〜3質量部であることが好ましい。
【0068】
高分子帯電防止剤としては、例えば、特開平7−10989号公報に記載されたビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミド、又は、US6552131公報に記載されたポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックの結合単位が2から50の繰り返し構造を有するブロックポリマーのブロックポリマー等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中における高分子帯電防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、特に5〜20質量部であることが好ましい。
【0069】
また、本発明のポリオレフィン系脂組成物中には、更に、本発明の成分と他成分やポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させるために、必要に応じて、相溶化剤が添加されてもよい。
相溶化剤としては、例えば、特開平3−258850号公報に記載された、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基及びポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性官基を有する変性ビニル重合体、特開平6−345927号に記載された、スルホニル基を有する変性ビニル重合体、又は、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体を含有する樹脂組成物等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂中における相溶化剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部が好ましい。
【0070】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に必要に応じて芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。
【0071】
前記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメランミン等が挙げられる。
【0072】
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0073】
前記リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0074】
縮合リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
【0075】
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイトなどの無機化合物、及びその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、などの種々の市販品を用いることができる。
その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0076】
その他、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等の、通常ポリオレフィン系樹脂に使用される添加剤を必要に応じて、帯電防止性及び結晶化性を損なわない範囲で、配合してもよい。
【0077】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を成形することにより、本発明の成形体が得られる。本発明の成形体は、帯電防止性に優れ、結晶化温度が高いため、高い強度や透明性を有する。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等周知の方法により、樹脂板、シート、フィルム、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造される。
特に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、フィルム状又はシート状の成形品に好適である。
【0078】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に利用できる。
より具体的には、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等に用いられる。
【0079】
さらに、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途がある。
【実施例】
【0080】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等における%及びppmは特に記載がない限り質量基準である。
[実施例1〜10、比較例1〜18]
実施例及び比較例において、化合物(A)として下記化合物No.1〜No.4を使用し、比較化合物としてグリセリンモノステアレート及び下記比較化合物−1〜5を使用した。
造核剤(B)として、下記化合物No.13、安息香酸ナトリウム、化合物No.36を使用した。











【0081】
<ペレット作成>
(株)池貝製2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用い、表1〜4に記載した配合量に基づいてブレンドして得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、230℃、6kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。
得られたペレットについて、結晶化温度を測定した。
<結晶化温度測定>
得られたペレットを、示差走査熱量測定機(ダイアモンド;パーキンエルマー社製)にて、10℃/分の速度で230℃まで昇温し、5分間保持後、−10℃/分の速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱のピークトップを結晶化温度とした。
【0082】
得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業の商品名)を用い、樹脂温度が230℃、金型温度が40℃という加工条件で成形し、100mm×100mm×3mmの試験片を得た。
得られた各試験片について、下記の条件で表面固有抵抗値(SR値)を測定して帯電防止性を評価した。
<表面固有抵抗値(SR値)測定>
成形加工後、得られた試験片を直ちに25℃で湿度が50%の条件下で保存した。成形加工後1日保存した後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用い、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点について行い、その平均値を求めた。
【0083】
各実施例及び比較例の組成と、評価結果を下記表1〜4に示す。
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
表1〜4に示された結果から明らかなように、本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、結晶化温度が高いため、成形サイクルを短くすることが可能である上、表面固有抵抗値が低いので、帯電防止性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(A)を0.01〜20質量部、及び造核剤(B)を0.001〜10質量部含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物;

但し、式(1)中のRは炭素原子数11〜13のアルキル基であり、Rは、水素原子又は−CHCHOHである。
【請求項2】
前記造核剤(B)が下記一般式(2)で表される化合物を含有する、請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物;

但し、式(2)中のR〜Rは各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキリデン基であり、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である;Mがアルカリ金属原子である場合、sは1、且つtは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、sは2、且つtは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、sは1又は2、且つtは3−sである。
【請求項3】
前記造核剤(B)が、下記一般式(3)で表される化合物を含有する、請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物;

但し、式(3)中のRは水素原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である;Mがアルカリ金属原子である場合、yは1であって、かつuは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、yは2、且つuは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、yは1又は2、且つuは3−yである。
【請求項4】
前記造核剤(B)が、下記一般式(4)で表される化合物を含有する、請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物;

但し、式(4)中のR〜R18は各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数1〜9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、フェニル基、アルキルフェニル基、又は炭素原子数1〜9のシクロアルキル基である;任意の二つの隣接炭素に結合又は同一炭素に結合するアルキル基は、一緒になって炭化水素環を形成してもよい;
はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子又はアルミニウム原子である;Mがアルカリ金属原子である場合、aは2、且つbは0であり、Mがアルカリ土類金属原子、ベリリウム原子又はマグネシウム原子である場合、aは1、且つbは0であり、Mがアルミニウム原子である場合、aは1、且つbは1である。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる成形体。

【公開番号】特開2012−57113(P2012−57113A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203963(P2010−203963)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】