帳票の移行支援システムおよびプログラム
【課題】CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへの移行において、人手によるレコードフォーマット情報の作成作業を支援し、かつ業務プログラムのデータ出力ロジックの作り変えを不要とした、移行にかかる作業コストおよびリスクの低減できる帳票の移行支援技術を提供することを目的とする。
【解決手段】業務プログラムで出力したテキスト形式の印刷データに対して、改行や改ページの処理および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSVのデータ項目とするデータを対話形式で選択して、レコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報を生成する。また、テキスト形式の印刷データから、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する。
【解決手段】業務プログラムで出力したテキスト形式の印刷データに対して、改行や改ページの処理および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSVのデータ項目とするデータを対話形式で選択して、レコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報を生成する。また、テキスト形式の印刷データから、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来メインフレームを実行基盤として、業務プログラムから1レコードを1行としてメインフレームに接続されているプリンタへ出力しているプリントシステムから、PC(Personal Computer)やWS(Work Station)を実行基盤として、PCやWSに接続されているプリンタに出力するプリントシステムへのシステム移行に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータシステムで大量の印刷を行なう場合、導入や維持管理が高価なメインフレームにて業務プログラムを開発し、メインフレーム上のデータベースシステム等に格納されたデータをプリンタ出力形式に編集し、メインフレームに接続された高速プリンタにて出力を行なっていた。
【0003】
図7は、メインフレームシステムにおける帳票出力方式の具体例である。業務プログラムから1レコードを1行として出力したテキスト形式印刷データ701と、帳票枠を定義したフォーム情報702を重ね合わせる(オーバレイ)ことで、帳票703を生成する。業務プログラムからは、印字する文字がフォーム情報702で定義した帳票枠に合うように、テキスト形式印刷データ701に半角スペースを挿入することで、印字位置の調整を行っている。
【0004】
近年、PCやWSのいわゆるオープンシステムにおいてハードウェアの高性能化および処理可能なデータの大容量化が実現されたことに伴い、従来メインフレームで行なっていた業務のオープンシステムへの移行が進んでいる。オープンシステムにおいては、印字位置の調整など帳票出力に関する処理は、業務プログラムではなくフォーム情報で制御し、印刷データには実際に印字するデータのみを出力することで、印刷データとフォーム情報の独立性を高め、保守性と再利用性を高めようという考えが浸透している。このため、オープンシステムでは、CSV(Comma Separated Values)形式の印刷データを入力として帳票を生成する印刷データ出力プログラムが一般に流通している。
【0005】
図8は、オープンシステムにおけるCSV形式を入力とするCSV形式印刷データ出力プログラムを利用した帳票出力方式の具体例である。帳票に印字する印字データをデータ要素ごとにカンマ区切りで出力したCSV形式印刷データ801と、帳票枠および印刷データ中のデータの配置規則を定義したフォーム情報802とを組み立てることで、帳票803を生成する。組み立てる仕組みは、フォーム情報802でデータを印字するためのエリア804を定義すると、エリア804と同じ名称を持つデータ項目名805のデータ要素が当該エリアに埋め込まれて出力される仕組みになっている。図の例では、フォーム情報802の2行目の位置に「会社名」のエリアを定義しているため、帳票803の2行目には、データ項目名が「会社名」のデータ要素である「××××株式会社」が印字されている。
【0006】
このように、メインフレームシステムとCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムとでは帳票の出力方式が異なっており、オープンシステムへ移行する際には、帳票の出力方式を変更する必要がある。
【0007】
今日、メインフレームシステムからオープンシステムへ効率よく移行させる技術として、メインフレームシステムで動作していた業務プログラムを、オープンシステムで動作可能な業務プログラムに変換する技術(特許文献1参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2003−296109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した技術では、業務プログラムを動作させるための専用の制御プログラムからしか帳票を出力できず、オープンシステムで一般に流通している、CSV形式の印刷データを入力として帳票を生成するCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したシステムへの移行には適用できなかった。
【0009】
メインフレームシステムから、CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合に発生する作業について説明する。
【0010】
図9は、メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合のプリントシステムフロー図である。
【0011】
CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムは、CSV形式印刷データ907を出力する業務プログラム901と、CSV形式印刷データ907をプリンタへ出力するためのCSV形式印刷データ出力プログラム902と、プリンタ903とで構成される。印刷データ出力プログラム902は、フォーム定義機能904と印刷データ出力機能905を持つ。フォーム定義機能904は、帳票開発時に利用される機能であり、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義して、フォーム情報906を生成する。印刷データ出力機能905は、帳票運用時に利用される機能であり、業務プログラム901が出力したCSV形式印刷データ907とフォーム情報906を入力として、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタ903へ出力する機能である。
【0012】
上述したCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ、メインフレームシステムからシステム移行するためには、幾つかの移行作業手順を踏む必要がある。図10は、その移行作業手順の一例を示すフローチャートである。印刷データがテキスト形式からCSV形式に変更になるため、作業者はまず、従来出力していた帳票の印刷結果や業務プログラムのソースコードを参照し、どのデータをCSVのデータ項目とするか分析して、帳票で利用するデータ項目名とデータ要素の規則を定義したCSVレコードフォーマット情報908(図9)を作成する(ステップ1001)。次に、フォーム定義機能904で、レコードフォーマット情報908に従い、データ項目名を表示するためのエリアを定義して、フォーム情報906を作成する(ステップ1002)。最後に、従来のテキスト形式で出力していた業務プログラム909(図9)のデータ出力ロジックを、レコードフォーマット情報908の定義通りに、データ項目名とデータ要素をCSV形式で出力するロジックに作り変える(ステップ1003)。
【0013】
しかし、上述した移行作業では、レコードフォーマット情報908の作成のために、作業者が、帳票の印刷結果や業務プログラムのソースコードを基に、帳票の出力している内容を理解することから始め、帳票で利用するデータ要素を選定した後に、紙や電子データに記録する作業を行っており、移行にかかる作業コストが高くなっていた。
【0014】
また、業務プログラムのデータ出力ロジックを、テキスト形式からCSV形式の印刷データ構成へ変更する必要があった。
【0015】
図11では、テキスト形式印刷データのデータ構成を、具体例を用いて説明している。テキスト形式印刷データは、複数の1行分のデータ1101より構成され、1行分のデータ1101は、改行や改ページ動作を制御する改行制御文字1102と、印字する文字データ1103と、半角文字か全角文字かの情報を示したり、文字サイズを変更するなど、文字を制御するための文字制御コード1104とで構成される。
【0016】
図12では、CSV形式印刷データのデータ構成を、具体例を用いて説明している。CSV形式印刷データは、データの識別名称を表すデータ項目名1201と、データの実体である複数のデータ要素1202とで構成され、データ項目名1201は1行目に、データ要素1202は2行目以降に記述される。それぞれのデータはカンマで区切られて出力され、データ順序ごとに関連付けられる。図の例では、データ順序が5番目のデータは、データ項目名が「商品名」であり、「パソコン本体(モデル1)」、「15インチディスプレイ」、「増設メモリ」の順番でデータ要素を記録している。
【0017】
このように、テキスト形式とCSV形式では印刷データ構成が大きく変更になるため、データ出力ロジックを全面的に作り直す必要があった。企業の帳票であれば数百〜数千の帳票が存在するため、その作業に膨大なコストを必要とし、かつ作り直しに伴うリスクも大きかった。
【0018】
本発明の目的は、CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへの移行において、人手によるレコードフォーマット情報の作成作業を支援し、かつ業務プログラムのデータ出力ロジックの作り変えを不要とした、移行にかかる作業コストおよびリスクの低減できる帳票の移行支援技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係る帳票の移行支援システムは、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための帳票の移行支援システムであって、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力する手段と、前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成する印刷データ解析手段と、前記印刷データ解析手段より生成したレコードフォーマット情報を基に、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義し、定義結果をフォーム情報として生成するフォーム定義手段と、前記入力したテキスト形式の印刷データから、前記印刷データ解析手段により生成されたテキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する印刷データ形式変換手段と、前記印刷データ形式変換手段より生成されたCSV形式の印刷データと、前記フォーム定義手段により生成されたフォーム情報から、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタへ出力する印刷データ出力手段とを備えたことを特徴とするものである。上記文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するとは、例えば、テキスト形式の印刷データに対して、改行や改ページの処理、および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で表示することを言う。
【0020】
本発明に係る印刷データ解析プログラムは、コンピュータに、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力するステップと、前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するステップと、ユーザが画面上でCSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目として使用するデータの範囲を選択する操作を受け付けるステップと、前記選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を受け付けるステップと、入力された属性情報に基づいて、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成するステップとを実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る印刷データ形式変換プログラムは、請求項2に記載の印刷データ解析プログラムを実行することにより生成されたレコードフォーマット情報とテキスト形式変換情報とを用いて、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換する処理を行うものであり、コンピュータに、前記テキスト形式変換情報を読み込むステップと、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを読み込み、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような効果がある。まず、人手によるレコードフォーマット情報の作成作業を支援し、かつ従来の業務プログラムのデータ出力ロジック(テキスト形式印刷データ出力プログラム)を使用できるため、移行にかかる作業コストおよびリスクを低減できる。また、印刷データ形式変換プログラムを、印刷データ出力プログラムの機能に含めずに、印刷データ出力プログラムとは分けて機能を提供することにより、オープン環境で流通しているCSV形式印刷データ出力プログラムの中から最適なプログラムを自由に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を適用したプリントシステムの一実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すプリントシステムのフロー図である。図で示すプリントシステムは、従来メインフレーム上で動作していたテキスト形式印刷データを出力する業務プログラム101と、CSV形式印刷データ113をプリンタへ出力するためのCSV形式印刷データ出力プログラム103と、業務プログラム101が出力したテキスト形式印刷データ109とCSV形式印刷データ出力プログラム103を接続する印刷データ形式変換プログラム102と、プリンタ104で構成される。CSV形式印刷データ出力プログラム103は、図9のCSV形式印刷データ出力プログラム902で説明した。
【0025】
本実施形態で特徴とするところの印刷データ形式変換プログラム102は、印刷データ解析機能105と印刷データ形式変換機能106を持つ。
【0026】
印刷データ解析機能105は、帳票開発時に利用される機能であり、業務プログラム101で出力したテキスト形式印刷データ109に対して、改行や改ページの処理、および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSVのデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報110と、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報111を生成する。生成したレコードフォーマット情報110は、フォーム定義機能107で、CSVのデータ項目名を表示するためのエリアを定義する際に利用される。
【0027】
印刷データ形式変換機能106は、帳票運用時に利用される機能であり、業務プログラム101から出力されたテキスト形式印刷データ109から、テキスト形式変換情報111に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式印刷データ113を生成する機能である。生成したCSV形式印刷データ113は、印刷データ出力機能108の入力となり、印刷する帳票イメージデータが生成されて、プリンタ104に出力される。
【0028】
図2は、印刷データ解析機能105が生成するレコードフォーマット情報110のデータ構成について示している。レコードフォーマット情報110は、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義する情報であり、CSV形式印刷データ113に出力される複数のデータ項目情報201と、ボディ情報202とで構成される。1つのデータ項目情報201は、データ項目名203と、そのデータ項目名に関連付いたデータ要素が取りうるデータの長さを示すデータ長204と、帳票のヘッダ・フッタ部分かボディ部分かのデータの利用用途を示す用途種別205とで構成される。用途種別205がヘッダ・フッタ用データであるデータ項目は、1ページ中に1つだけ印刷されることを意味する。用途種別205がボディ用データであるデータ項目は、表形式の帳票の場合など、繰り返し印刷されることを意味するため、ボディ情報202として、繰り返し行数206を持つ。
【0029】
図3は、印刷データ解析機能105が生成するテキスト形式変換情報111のデータ構成について示している。テキスト形式変換情報111には、テキスト形式印刷データ109からデータ要素を抽出する位置などの抽出条件やCSV形式への組み立て方法が記録されており、複数のデータ項目情報301と、ボディ情報302とで構成される。1つのデータ項目情報301は、データ項目名303と、カンマ区切りでデータを出力する際の出力順序を示したデータ順序304と、テキスト形式印刷データ109からデータ要素を抽出するための抽出位置を行位置、桁位置、および桁数で示した抽出位置情報305と、帳票のヘッダ・フッタ部分かボディ部分かのデータの利用用途を示す用途種別306とで構成される。用途種別306がヘッダ・フッタ用データのデータ項目は、1ページ中に1つだけ印刷されることを意味する。用途種別306がボディ用データのデータ項目は、表形式の帳票の場合など、繰り返し印刷されることを意味するため、ボディ情報302として、繰り返し行数307を持つ。
【0030】
図4は、印刷データ解析機能105を具体例を用いて説明した図である。この図に示すように、印刷データ解析機能105を利用する際の画面は、データを抽出する範囲を定義する定義画面401と、定義内容に従いCSV形式で印刷データを作成した結果を表示するプレビュー画面402と、CSV形式への組み立て方法を定義するデータ項目プロパティ画面403とで構成される。データ項目プロパティ画面403は、定義画面401上でCSVのデータ項目として使用するデータの範囲を指定した場合に表示され、指定した範囲のデータの利用用途を示す用途種別404によって、入力できる属性情報が変化する。帳票のヘッダやフッタ、ボディ用のデータとして利用する場合は、用途種別404のフィールドでヘッダ用データ、フッタ用データ、またはボディ用データから選択して指定する。このときユーザは、属性情報として、データ項目名405と、カンマ区切りでデータを出力する際の出力順序を決定するためのデータ順序406とを入力する。表形式の帳票の場合など、特定の行を繰り返し印刷する場合は、先頭行の全体を範囲指定し、用途種別404としてボディ情報を選択し、属性情報としてその先頭行から繰り返される繰り返し行数407を入力する。
【0031】
図5は、印刷データ解析機能105の処理のフローチャートである。印刷データ解析機能105は、始めにテキスト形式印刷データ109(図11)を1行読み込む(ステップ501)。読み込むデータが存在する場合は、読み込んだ行の改行制御文字1102を基に、先頭行から何行目に位置するのかを計算し(ステップ503)、定義画面401(図4)の計算した位置へ当該1行分のデータを表示する(ステップ506)。このとき文字制御コード1104は画面上に表示しない。行位置を計算した結果、改ページが発生する場合は、画面上に改ページの区切りを表示する(ステップ504、505)。以上の処理を、テキスト形式印刷データ109のすべての行データの読み込みが終了するまで、繰り返し実行する(ステップ502)。
【0032】
読み込みが終了したら、ユーザ操作を受け付ける(ステップ507)。ユーザが定義画面401(図4)上で、CSVのデータ項目として使用するデータの範囲を選択した場合(ステップ508)は、データ項目プロパティ画面403を表示して、選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を求める(ステップ509、510)。その入力の仕方については図4で説明した。ユーザが入力を終えたら、データ項目の属性情報とデータの指定範囲をテキスト形式変換情報111(図3)として記録し(ステップ511)、ステップ507へ戻る。
【0033】
ユーザ操作としてプレビューが選択された場合(ステップ512)は、印刷データ形式変換機能106を実行し、生成されたCSV形式印刷データ113をプレビュー画面402に表示し(ステップ513)、ステップ507へ戻る。
【0034】
ユーザ操作として保存が選択された場合(ステップ514)は、記録したテキスト形式変換情報111(図3)を出力する。また、テキスト形式変換情報111の抽出位置情報305からデータ長204を計算し、レコードフォーマット情報110(図2)に加工して出力する(ステップ515)。出力を終えると処理を終了する。
【0035】
図6は、印刷データ形式変換機能106の処理のフローチャートである。印刷データ形式変換機能106は、始めにテキスト形式変換情報111(図3)を読み込んで、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記憶しておく(ステップ601)。
【0036】
次に、テキスト形式印刷データ109(図11)を1行読み込む(ステップ602)。読み込むデータが存在する場合は、読み込んだ行の改行制御文字1102を基に、先頭行から何行目に位置するのかを計算する(ステップ604)。行位置を計算した結果、改ページが発生しない場合(ステップ605)は、計算した行位置とステップ601で記憶した抽出位置情報305の行位置が一致するかを判定する(ステップ608)。これは、テキスト形式変換情報111(図3)から、前記計算した行位置と一致する抽出位置情報305を持つデータ項目情報301を取得する処理である。このとき、ボディ情報302の繰り返し行数307も計算した上で一致するかを判定する。例えば、繰り返し行数307が3行のとき、ボディ用データの抽出位置情報305の行位置として5行目が設定されていた場合、判定では、5行目だけではなく、6行目と7行目のときも一致と判定する。
【0037】
ステップ608で一致しない場合は、テキスト形式印刷データ109から1行を読み込むステップ602の処理に戻る。一致した場合は、読み込んだテキスト形式印刷データ109の1行分のデータ中の抽出位置情報305の位置からデータを抽出し、用途種別306に応じて、ヘッダ・フッタ用データ、またはボディ用データとして記憶する(ステップ609〜611)。
【0038】
また、ステップ604で行位置を計算した結果、改ページが発生する場合(ステップ605)は、ステップ610、611で記憶した1ページ分のヘッダ・フッタ用データとボディ用データを、ステップ601で記憶したデータ項目名303とデータ順序304に従ってCSV形式に組み立てて、CSV形式印刷データ113として出力する(ステップ606)。なお、このとき必要に応じて、図12の1201に示すようなデータ項目名のデータを付け加えて出力するものとする。出力後は、記憶しておいたヘッダ・フッタ用データおよびボディ用データは初期化する(ステップ607)。
【0039】
以上の処理を、テキスト形式印刷データのすべての行データの読み込みが終了するまで、繰り返し実行する(ステップ603)。すべての読み込みが終了した結果、まだ出力されていないヘッダ・フッタ用データおよびボディ用データが存在する場合は、ステップ606と同様にCSV形式に組み立てて、CSV形式印刷データ113へ出力し、ファイルの作成を完了する(ステップ612、613)。
【0040】
この印刷データ形式変換機能106の終了後に、スクリプト言語を用いたプログラムなどを用いて、印刷データ出力機能108を自動的に起動するよう設定することで、業務プログラム101を実行してから帳票をプリンタ104へ出力するまでの処理を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すプリントシステムのフロー図である。
【図2】レコードフォーマット情報のデータ構成図である。
【図3】テキスト形式変換情報のデータ構成図である。
【図4】印刷データ解析機能の具体例による説明図である。
【図5】印刷データ解析機能の処理のフローチャートである。
【図6】印刷データ形式変換機能の処理のフローチャートである。
【図7】メインフレームシステムにおける帳票出力方式の説明図である。
【図8】CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムにおける帳票出力方式の説明図である。
【図9】メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合のプリントシステムのフロー図である。
【図10】メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合の移行作業手順のフローチャートである。
【図11】テキスト形式印刷データのデータ構成図である。
【図12】CSV形式印刷データのデータ構成図である。
【符号の説明】
【0042】
101…業務プログラム、102…印刷データ形式変換プログラム、103…CSV形式印刷データ出力プログラム、104…プリンタ、105…印刷データ解析機能、106…印刷データ形式変換機能、107…フォーム定義機能、108…印刷データ出力機能、109…テキスト形式印刷データ、110…レコードフォーマット情報、111…テキスト形式変換情報、112…フォーム情報、113…CSV形式印刷データ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来メインフレームを実行基盤として、業務プログラムから1レコードを1行としてメインフレームに接続されているプリンタへ出力しているプリントシステムから、PC(Personal Computer)やWS(Work Station)を実行基盤として、PCやWSに接続されているプリンタに出力するプリントシステムへのシステム移行に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータシステムで大量の印刷を行なう場合、導入や維持管理が高価なメインフレームにて業務プログラムを開発し、メインフレーム上のデータベースシステム等に格納されたデータをプリンタ出力形式に編集し、メインフレームに接続された高速プリンタにて出力を行なっていた。
【0003】
図7は、メインフレームシステムにおける帳票出力方式の具体例である。業務プログラムから1レコードを1行として出力したテキスト形式印刷データ701と、帳票枠を定義したフォーム情報702を重ね合わせる(オーバレイ)ことで、帳票703を生成する。業務プログラムからは、印字する文字がフォーム情報702で定義した帳票枠に合うように、テキスト形式印刷データ701に半角スペースを挿入することで、印字位置の調整を行っている。
【0004】
近年、PCやWSのいわゆるオープンシステムにおいてハードウェアの高性能化および処理可能なデータの大容量化が実現されたことに伴い、従来メインフレームで行なっていた業務のオープンシステムへの移行が進んでいる。オープンシステムにおいては、印字位置の調整など帳票出力に関する処理は、業務プログラムではなくフォーム情報で制御し、印刷データには実際に印字するデータのみを出力することで、印刷データとフォーム情報の独立性を高め、保守性と再利用性を高めようという考えが浸透している。このため、オープンシステムでは、CSV(Comma Separated Values)形式の印刷データを入力として帳票を生成する印刷データ出力プログラムが一般に流通している。
【0005】
図8は、オープンシステムにおけるCSV形式を入力とするCSV形式印刷データ出力プログラムを利用した帳票出力方式の具体例である。帳票に印字する印字データをデータ要素ごとにカンマ区切りで出力したCSV形式印刷データ801と、帳票枠および印刷データ中のデータの配置規則を定義したフォーム情報802とを組み立てることで、帳票803を生成する。組み立てる仕組みは、フォーム情報802でデータを印字するためのエリア804を定義すると、エリア804と同じ名称を持つデータ項目名805のデータ要素が当該エリアに埋め込まれて出力される仕組みになっている。図の例では、フォーム情報802の2行目の位置に「会社名」のエリアを定義しているため、帳票803の2行目には、データ項目名が「会社名」のデータ要素である「××××株式会社」が印字されている。
【0006】
このように、メインフレームシステムとCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムとでは帳票の出力方式が異なっており、オープンシステムへ移行する際には、帳票の出力方式を変更する必要がある。
【0007】
今日、メインフレームシステムからオープンシステムへ効率よく移行させる技術として、メインフレームシステムで動作していた業務プログラムを、オープンシステムで動作可能な業務プログラムに変換する技術(特許文献1参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2003−296109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した技術では、業務プログラムを動作させるための専用の制御プログラムからしか帳票を出力できず、オープンシステムで一般に流通している、CSV形式の印刷データを入力として帳票を生成するCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したシステムへの移行には適用できなかった。
【0009】
メインフレームシステムから、CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合に発生する作業について説明する。
【0010】
図9は、メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合のプリントシステムフロー図である。
【0011】
CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムは、CSV形式印刷データ907を出力する業務プログラム901と、CSV形式印刷データ907をプリンタへ出力するためのCSV形式印刷データ出力プログラム902と、プリンタ903とで構成される。印刷データ出力プログラム902は、フォーム定義機能904と印刷データ出力機能905を持つ。フォーム定義機能904は、帳票開発時に利用される機能であり、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義して、フォーム情報906を生成する。印刷データ出力機能905は、帳票運用時に利用される機能であり、業務プログラム901が出力したCSV形式印刷データ907とフォーム情報906を入力として、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタ903へ出力する機能である。
【0012】
上述したCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ、メインフレームシステムからシステム移行するためには、幾つかの移行作業手順を踏む必要がある。図10は、その移行作業手順の一例を示すフローチャートである。印刷データがテキスト形式からCSV形式に変更になるため、作業者はまず、従来出力していた帳票の印刷結果や業務プログラムのソースコードを参照し、どのデータをCSVのデータ項目とするか分析して、帳票で利用するデータ項目名とデータ要素の規則を定義したCSVレコードフォーマット情報908(図9)を作成する(ステップ1001)。次に、フォーム定義機能904で、レコードフォーマット情報908に従い、データ項目名を表示するためのエリアを定義して、フォーム情報906を作成する(ステップ1002)。最後に、従来のテキスト形式で出力していた業務プログラム909(図9)のデータ出力ロジックを、レコードフォーマット情報908の定義通りに、データ項目名とデータ要素をCSV形式で出力するロジックに作り変える(ステップ1003)。
【0013】
しかし、上述した移行作業では、レコードフォーマット情報908の作成のために、作業者が、帳票の印刷結果や業務プログラムのソースコードを基に、帳票の出力している内容を理解することから始め、帳票で利用するデータ要素を選定した後に、紙や電子データに記録する作業を行っており、移行にかかる作業コストが高くなっていた。
【0014】
また、業務プログラムのデータ出力ロジックを、テキスト形式からCSV形式の印刷データ構成へ変更する必要があった。
【0015】
図11では、テキスト形式印刷データのデータ構成を、具体例を用いて説明している。テキスト形式印刷データは、複数の1行分のデータ1101より構成され、1行分のデータ1101は、改行や改ページ動作を制御する改行制御文字1102と、印字する文字データ1103と、半角文字か全角文字かの情報を示したり、文字サイズを変更するなど、文字を制御するための文字制御コード1104とで構成される。
【0016】
図12では、CSV形式印刷データのデータ構成を、具体例を用いて説明している。CSV形式印刷データは、データの識別名称を表すデータ項目名1201と、データの実体である複数のデータ要素1202とで構成され、データ項目名1201は1行目に、データ要素1202は2行目以降に記述される。それぞれのデータはカンマで区切られて出力され、データ順序ごとに関連付けられる。図の例では、データ順序が5番目のデータは、データ項目名が「商品名」であり、「パソコン本体(モデル1)」、「15インチディスプレイ」、「増設メモリ」の順番でデータ要素を記録している。
【0017】
このように、テキスト形式とCSV形式では印刷データ構成が大きく変更になるため、データ出力ロジックを全面的に作り直す必要があった。企業の帳票であれば数百〜数千の帳票が存在するため、その作業に膨大なコストを必要とし、かつ作り直しに伴うリスクも大きかった。
【0018】
本発明の目的は、CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへの移行において、人手によるレコードフォーマット情報の作成作業を支援し、かつ業務プログラムのデータ出力ロジックの作り変えを不要とした、移行にかかる作業コストおよびリスクの低減できる帳票の移行支援技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係る帳票の移行支援システムは、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための帳票の移行支援システムであって、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力する手段と、前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成する印刷データ解析手段と、前記印刷データ解析手段より生成したレコードフォーマット情報を基に、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義し、定義結果をフォーム情報として生成するフォーム定義手段と、前記入力したテキスト形式の印刷データから、前記印刷データ解析手段により生成されたテキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する印刷データ形式変換手段と、前記印刷データ形式変換手段より生成されたCSV形式の印刷データと、前記フォーム定義手段により生成されたフォーム情報から、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタへ出力する印刷データ出力手段とを備えたことを特徴とするものである。上記文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するとは、例えば、テキスト形式の印刷データに対して、改行や改ページの処理、および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で表示することを言う。
【0020】
本発明に係る印刷データ解析プログラムは、コンピュータに、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力するステップと、前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するステップと、ユーザが画面上でCSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目として使用するデータの範囲を選択する操作を受け付けるステップと、前記選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を受け付けるステップと、入力された属性情報に基づいて、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成するステップとを実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る印刷データ形式変換プログラムは、請求項2に記載の印刷データ解析プログラムを実行することにより生成されたレコードフォーマット情報とテキスト形式変換情報とを用いて、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換する処理を行うものであり、コンピュータに、前記テキスト形式変換情報を読み込むステップと、前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを読み込み、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような効果がある。まず、人手によるレコードフォーマット情報の作成作業を支援し、かつ従来の業務プログラムのデータ出力ロジック(テキスト形式印刷データ出力プログラム)を使用できるため、移行にかかる作業コストおよびリスクを低減できる。また、印刷データ形式変換プログラムを、印刷データ出力プログラムの機能に含めずに、印刷データ出力プログラムとは分けて機能を提供することにより、オープン環境で流通しているCSV形式印刷データ出力プログラムの中から最適なプログラムを自由に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を適用したプリントシステムの一実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すプリントシステムのフロー図である。図で示すプリントシステムは、従来メインフレーム上で動作していたテキスト形式印刷データを出力する業務プログラム101と、CSV形式印刷データ113をプリンタへ出力するためのCSV形式印刷データ出力プログラム103と、業務プログラム101が出力したテキスト形式印刷データ109とCSV形式印刷データ出力プログラム103を接続する印刷データ形式変換プログラム102と、プリンタ104で構成される。CSV形式印刷データ出力プログラム103は、図9のCSV形式印刷データ出力プログラム902で説明した。
【0025】
本実施形態で特徴とするところの印刷データ形式変換プログラム102は、印刷データ解析機能105と印刷データ形式変換機能106を持つ。
【0026】
印刷データ解析機能105は、帳票開発時に利用される機能であり、業務プログラム101で出力したテキスト形式印刷データ109に対して、改行や改ページの処理、および文字サイズ変更など文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSVのデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報110と、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報111を生成する。生成したレコードフォーマット情報110は、フォーム定義機能107で、CSVのデータ項目名を表示するためのエリアを定義する際に利用される。
【0027】
印刷データ形式変換機能106は、帳票運用時に利用される機能であり、業務プログラム101から出力されたテキスト形式印刷データ109から、テキスト形式変換情報111に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式印刷データ113を生成する機能である。生成したCSV形式印刷データ113は、印刷データ出力機能108の入力となり、印刷する帳票イメージデータが生成されて、プリンタ104に出力される。
【0028】
図2は、印刷データ解析機能105が生成するレコードフォーマット情報110のデータ構成について示している。レコードフォーマット情報110は、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義する情報であり、CSV形式印刷データ113に出力される複数のデータ項目情報201と、ボディ情報202とで構成される。1つのデータ項目情報201は、データ項目名203と、そのデータ項目名に関連付いたデータ要素が取りうるデータの長さを示すデータ長204と、帳票のヘッダ・フッタ部分かボディ部分かのデータの利用用途を示す用途種別205とで構成される。用途種別205がヘッダ・フッタ用データであるデータ項目は、1ページ中に1つだけ印刷されることを意味する。用途種別205がボディ用データであるデータ項目は、表形式の帳票の場合など、繰り返し印刷されることを意味するため、ボディ情報202として、繰り返し行数206を持つ。
【0029】
図3は、印刷データ解析機能105が生成するテキスト形式変換情報111のデータ構成について示している。テキスト形式変換情報111には、テキスト形式印刷データ109からデータ要素を抽出する位置などの抽出条件やCSV形式への組み立て方法が記録されており、複数のデータ項目情報301と、ボディ情報302とで構成される。1つのデータ項目情報301は、データ項目名303と、カンマ区切りでデータを出力する際の出力順序を示したデータ順序304と、テキスト形式印刷データ109からデータ要素を抽出するための抽出位置を行位置、桁位置、および桁数で示した抽出位置情報305と、帳票のヘッダ・フッタ部分かボディ部分かのデータの利用用途を示す用途種別306とで構成される。用途種別306がヘッダ・フッタ用データのデータ項目は、1ページ中に1つだけ印刷されることを意味する。用途種別306がボディ用データのデータ項目は、表形式の帳票の場合など、繰り返し印刷されることを意味するため、ボディ情報302として、繰り返し行数307を持つ。
【0030】
図4は、印刷データ解析機能105を具体例を用いて説明した図である。この図に示すように、印刷データ解析機能105を利用する際の画面は、データを抽出する範囲を定義する定義画面401と、定義内容に従いCSV形式で印刷データを作成した結果を表示するプレビュー画面402と、CSV形式への組み立て方法を定義するデータ項目プロパティ画面403とで構成される。データ項目プロパティ画面403は、定義画面401上でCSVのデータ項目として使用するデータの範囲を指定した場合に表示され、指定した範囲のデータの利用用途を示す用途種別404によって、入力できる属性情報が変化する。帳票のヘッダやフッタ、ボディ用のデータとして利用する場合は、用途種別404のフィールドでヘッダ用データ、フッタ用データ、またはボディ用データから選択して指定する。このときユーザは、属性情報として、データ項目名405と、カンマ区切りでデータを出力する際の出力順序を決定するためのデータ順序406とを入力する。表形式の帳票の場合など、特定の行を繰り返し印刷する場合は、先頭行の全体を範囲指定し、用途種別404としてボディ情報を選択し、属性情報としてその先頭行から繰り返される繰り返し行数407を入力する。
【0031】
図5は、印刷データ解析機能105の処理のフローチャートである。印刷データ解析機能105は、始めにテキスト形式印刷データ109(図11)を1行読み込む(ステップ501)。読み込むデータが存在する場合は、読み込んだ行の改行制御文字1102を基に、先頭行から何行目に位置するのかを計算し(ステップ503)、定義画面401(図4)の計算した位置へ当該1行分のデータを表示する(ステップ506)。このとき文字制御コード1104は画面上に表示しない。行位置を計算した結果、改ページが発生する場合は、画面上に改ページの区切りを表示する(ステップ504、505)。以上の処理を、テキスト形式印刷データ109のすべての行データの読み込みが終了するまで、繰り返し実行する(ステップ502)。
【0032】
読み込みが終了したら、ユーザ操作を受け付ける(ステップ507)。ユーザが定義画面401(図4)上で、CSVのデータ項目として使用するデータの範囲を選択した場合(ステップ508)は、データ項目プロパティ画面403を表示して、選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を求める(ステップ509、510)。その入力の仕方については図4で説明した。ユーザが入力を終えたら、データ項目の属性情報とデータの指定範囲をテキスト形式変換情報111(図3)として記録し(ステップ511)、ステップ507へ戻る。
【0033】
ユーザ操作としてプレビューが選択された場合(ステップ512)は、印刷データ形式変換機能106を実行し、生成されたCSV形式印刷データ113をプレビュー画面402に表示し(ステップ513)、ステップ507へ戻る。
【0034】
ユーザ操作として保存が選択された場合(ステップ514)は、記録したテキスト形式変換情報111(図3)を出力する。また、テキスト形式変換情報111の抽出位置情報305からデータ長204を計算し、レコードフォーマット情報110(図2)に加工して出力する(ステップ515)。出力を終えると処理を終了する。
【0035】
図6は、印刷データ形式変換機能106の処理のフローチャートである。印刷データ形式変換機能106は、始めにテキスト形式変換情報111(図3)を読み込んで、データ要素の抽出条件やCSV形式への組み立て方法を記憶しておく(ステップ601)。
【0036】
次に、テキスト形式印刷データ109(図11)を1行読み込む(ステップ602)。読み込むデータが存在する場合は、読み込んだ行の改行制御文字1102を基に、先頭行から何行目に位置するのかを計算する(ステップ604)。行位置を計算した結果、改ページが発生しない場合(ステップ605)は、計算した行位置とステップ601で記憶した抽出位置情報305の行位置が一致するかを判定する(ステップ608)。これは、テキスト形式変換情報111(図3)から、前記計算した行位置と一致する抽出位置情報305を持つデータ項目情報301を取得する処理である。このとき、ボディ情報302の繰り返し行数307も計算した上で一致するかを判定する。例えば、繰り返し行数307が3行のとき、ボディ用データの抽出位置情報305の行位置として5行目が設定されていた場合、判定では、5行目だけではなく、6行目と7行目のときも一致と判定する。
【0037】
ステップ608で一致しない場合は、テキスト形式印刷データ109から1行を読み込むステップ602の処理に戻る。一致した場合は、読み込んだテキスト形式印刷データ109の1行分のデータ中の抽出位置情報305の位置からデータを抽出し、用途種別306に応じて、ヘッダ・フッタ用データ、またはボディ用データとして記憶する(ステップ609〜611)。
【0038】
また、ステップ604で行位置を計算した結果、改ページが発生する場合(ステップ605)は、ステップ610、611で記憶した1ページ分のヘッダ・フッタ用データとボディ用データを、ステップ601で記憶したデータ項目名303とデータ順序304に従ってCSV形式に組み立てて、CSV形式印刷データ113として出力する(ステップ606)。なお、このとき必要に応じて、図12の1201に示すようなデータ項目名のデータを付け加えて出力するものとする。出力後は、記憶しておいたヘッダ・フッタ用データおよびボディ用データは初期化する(ステップ607)。
【0039】
以上の処理を、テキスト形式印刷データのすべての行データの読み込みが終了するまで、繰り返し実行する(ステップ603)。すべての読み込みが終了した結果、まだ出力されていないヘッダ・フッタ用データおよびボディ用データが存在する場合は、ステップ606と同様にCSV形式に組み立てて、CSV形式印刷データ113へ出力し、ファイルの作成を完了する(ステップ612、613)。
【0040】
この印刷データ形式変換機能106の終了後に、スクリプト言語を用いたプログラムなどを用いて、印刷データ出力機能108を自動的に起動するよう設定することで、業務プログラム101を実行してから帳票をプリンタ104へ出力するまでの処理を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すプリントシステムのフロー図である。
【図2】レコードフォーマット情報のデータ構成図である。
【図3】テキスト形式変換情報のデータ構成図である。
【図4】印刷データ解析機能の具体例による説明図である。
【図5】印刷データ解析機能の処理のフローチャートである。
【図6】印刷データ形式変換機能の処理のフローチャートである。
【図7】メインフレームシステムにおける帳票出力方式の説明図である。
【図8】CSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムにおける帳票出力方式の説明図である。
【図9】メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合のプリントシステムのフロー図である。
【図10】メインフレームからCSV形式印刷データ出力プログラムを利用したオープンシステムへ移行する場合の移行作業手順のフローチャートである。
【図11】テキスト形式印刷データのデータ構成図である。
【図12】CSV形式印刷データのデータ構成図である。
【符号の説明】
【0042】
101…業務プログラム、102…印刷データ形式変換プログラム、103…CSV形式印刷データ出力プログラム、104…プリンタ、105…印刷データ解析機能、106…印刷データ形式変換機能、107…フォーム定義機能、108…印刷データ出力機能、109…テキスト形式印刷データ、110…レコードフォーマット情報、111…テキスト形式変換情報、112…フォーム情報、113…CSV形式印刷データ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための帳票の移行支援システムであって、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力する手段と、
前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成する印刷データ解析手段と、
前記印刷データ解析手段より生成したレコードフォーマット情報を基に、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義し、定義結果をフォーム情報として生成するフォーム定義手段と、
前記入力したテキスト形式の印刷データから、前記印刷データ解析手段により生成されたテキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する印刷データ形式変換手段と、
前記印刷データ形式変換手段より生成されたCSV形式の印刷データと、前記フォーム定義手段により生成されたフォーム情報から、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタへ出力する印刷データ出力手段と
を備えたことを特徴とする帳票の移行支援システム。
【請求項2】
業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための印刷データ解析プログラムであって、
コンピュータに、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力するステップと、
前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するステップと、
ユーザが画面上でCSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目として使用するデータの範囲を選択する操作を受け付けるステップと、
前記選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を受け付けるステップと、
入力された属性情報に基づいて、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成するステップと
を実行させるための印刷データ解析プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷データ解析プログラムを実行することにより生成されたレコードフォーマット情報とテキスト形式変換情報とを用いて、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換する印刷データ形式変換プログラムであって、
コンピュータに、
前記テキスト形式変換情報を読み込むステップと、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを読み込み、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成するステップと
を実行させるための印刷データ形式変換プログラム。
【請求項1】
業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための帳票の移行支援システムであって、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力する手段と、
前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示し、CSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目とするデータを対話形式で選択して、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成する印刷データ解析手段と、
前記印刷データ解析手段より生成したレコードフォーマット情報を基に、帳票枠と印刷データ中のデータの配置規則を対話形式で定義し、定義結果をフォーム情報として生成するフォーム定義手段と、
前記入力したテキスト形式の印刷データから、前記印刷データ解析手段により生成されたテキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成する印刷データ形式変換手段と、
前記印刷データ形式変換手段より生成されたCSV形式の印刷データと、前記フォーム定義手段により生成されたフォーム情報から、印刷する帳票イメージデータを生成し、プリンタへ出力する印刷データ出力手段と
を備えたことを特徴とする帳票の移行支援システム。
【請求項2】
業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換するための印刷データ解析プログラムであって、
コンピュータに、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを入力するステップと、
前記入力したテキスト形式の印刷データを文字制御の処理を行った状態で画面上に表示するステップと、
ユーザが画面上でCSV(Comma Separated Values)形式のデータ項目として使用するデータの範囲を選択する操作を受け付けるステップと、
前記選択した範囲のデータ項目に対する属性情報の入力を受け付けるステップと、
入力された属性情報に基づいて、帳票で利用するデータ項目名とそのデータ項目名に関連付いたデータ要素の規則を定義したレコードフォーマット情報と、データ要素の抽出条件およびCSV形式への組み立て方法を記録したテキスト形式変換情報とを、生成するステップと
を実行させるための印刷データ解析プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷データ解析プログラムを実行することにより生成されたレコードフォーマット情報とテキスト形式変換情報とを用いて、業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データをCSV形式印刷データ出力プログラムにより印刷可能な形式に変換する印刷データ形式変換プログラムであって、
コンピュータに、
前記テキスト形式変換情報を読み込むステップと、
前記業務プログラムにより出力される帳票のテキスト形式の印刷データを読み込み、前記テキスト形式変換情報に基づいてデータを抽出し、CSV形式に組み立てることで、CSV形式の印刷データを生成するステップと
を実行させるための印刷データ形式変換プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−128840(P2010−128840A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303555(P2008−303555)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
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