帳票処理システム、帳票処理方法、プログラム、および光学読み取り帳票
【課題】帳票の書面に位置情報として印刷されるドットパターンの利用効率を向上させることのできる帳票処理システムを提供する。
【解決手段】帳票に設けられた複数の記入枠に、ドットパターンにより位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた各々異なる位置の空間を割り当て、複数の記入枠と空間との割り当ての関係に対して帳票ごとの定義情報を対応付けておく。ペン装置は帳票への記入時に記入位置のドットパターンを読み込んで位置情報を復号しホスト装置へ出力する。ホスト装置はペン装置より取り込んだ位置情報の系列と空間番号判別用テーブルとを比較し、記入位置がどの空間に属しているかを判定し、判定した空間の番号の記入順の配列を生成し、次いで空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブルとの比較によって、空間の番号の配列に対応付けられた顧客コードを判別する。
【解決手段】帳票に設けられた複数の記入枠に、ドットパターンにより位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた各々異なる位置の空間を割り当て、複数の記入枠と空間との割り当ての関係に対して帳票ごとの定義情報を対応付けておく。ペン装置は帳票への記入時に記入位置のドットパターンを読み込んで位置情報を復号しホスト装置へ出力する。ホスト装置はペン装置より取り込んだ位置情報の系列と空間番号判別用テーブルとを比較し、記入位置がどの空間に属しているかを判定し、判定した空間の番号の記入順の配列を生成し、次いで空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブルとの比較によって、空間の番号の配列に対応付けられた顧客コードを判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を示す複数のマークが印刷された帳票に記入を行うと同時にその記入位置のマークを読み取って位置情報を復号する機能を有するペン装置の出力を処理する帳票処理システム、帳票処理方法、プログラム、および光学読み取り帳票に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基準位置に対するマークの位置によってそのマークの値が示され、このマークを縦横に複数配置して一つの認識対象のパターンとし、光学読み取り帳票に印刷する技術がある(たとえば特許文献1など)。具体的な応用として、平均0.3mm間隔に配置された縦横6×6個のドットのパターンを一つの位置情報として、この位置情報を二次元の空間に対して与える方式がある。この方式では、個々のドットはそれぞれ縦横0.3mm間隔に設定された基準位置から上下左右の4通りの方向へ僅かにずらした位置に配置され、その基準位置に対するドットの位置によってそのドットの値が示されている。これによって、縦横6×6個のドットの値の組み合わせで4の36乗通りのパターンを生成でき、広大な二次元空間に対して位置情報を与えることができる。
【0003】
このような広大な二次元空間の中の一部の異なる空間に対応するドットパターンの群を帳票の書面に印刷しておくことで、ペン装置によって帳票への記入が行われた際、その記入が行われた位置に存在するドットパターンをペン装置に搭載されたカメラで読み込み、これを復号することによって、筆跡に相当する位置情報の系列が得られ、この位置情報の系列をもとに文字の認識を行うことができる。
【0004】
ところで、帳票の処理をコンピュータを用いて行うシステムにおいては、顧客を顧客ごとに割り当てられたコード番号で管理することが一般である。その際、顧客コードに対応付けて記憶された顧客名と、帳票に記入された顧客名を文字認識して得た結果とを照合して、顧客を同定することが行われている。
【0005】
しかしながら、このようなシステムにおいて、顧客は、帳票に自身の名称(顧客名)と顧客コードの両方を記入しなければならない。このため、各顧客に自分の顧客コードの管理を依存しなければならず、顧客の負担が大きい。
【0006】
一方、帳票の書面をラインスキャナなどで全面的に走査して帳票から情報を読み込む方式の場合には、顧客コードそのものや、顧客コードを符号化したバーコードなどを帳票に印刷しておけば、帳票の書面を走査する機会に顧客コードを読み込むことが可能である。しかし、上記のドットパターンから位置情報を読み込む方式の場合には、ペンの筆跡部分しか走査されないため、帳票に印刷された顧客コードやバーコードなどを読み取れないという問題がある。
【0007】
また、上記のような顧客の同定処理を行うために、ドットパターンにより位置情報を与え得る全空間の中の別々の空間を顧客コードごとに割り当て、この空間に対応するドットパターンを帳票に印刷しておき、このドットパターンをペン装置に内蔵されたカメラで撮像して顧客コードを読み取る方法が提案されている(たとえば特許文献2など)。
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2005−215815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、顧客コードごとに固有の空間を割り当てる方法では、顧客数に比例した広さの空間に対応した数のドットパターンが必要となる。ドットパターンによって位置情報を与えることのできる空間は広大であるとは言え、非効率な消費は、最悪ドットパターンの枯渇問題をもたらす要因となる。
【0009】
本発明は、上記の事情を鑑み、帳票に印刷されるたとえばドットパターンなど、複数のマークのそれぞれの基準位置に対する位置によって空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率の向上を図ることのできる帳票処理システム、帳票処理方法、プログラム、および光学読み取り帳票を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の帳票処理システムは、基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理システムであって、前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部とを具備するものである。
【0011】
この発明では、ペン装置を使って帳票の領域に文字や図形などを記入する操作に伴って、その帳票の複数の領域と複数の空間との割り当ての関係によって定義された情報を読み取ることができる。したがって、少ない数の空間で多数の情報を定義することができ、空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記帳票に設けられた前記複数の領域が、前記ペン装置によって文字が記入される領域であり、前記複数の領域に記入された文字を認識する文字認識部をさらに具備するものであってもよい。
【0013】
さらに、本発明は、前記情報判別部により判別された情報と前記文字認識部により認識された文字の情報とを対応付けて記憶する記憶部をさらに具備するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、帳票に印刷されるたとえばドットパターンなど、複数のマークのそれぞれの基準位置に対する位置によって空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態にかかる帳票処理システムによって処理される帳票110の書面の例を示す図である。
【0017】
この帳票110は通信販売申込書であり、この帳票110には、10桁の数字からなる電話番号が1文字ごとに記入される10個の記入枠a1−a10と、商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19とが設けられている。少なくとも、これらの記入枠a1−a19によって囲まれた各領域には、図16に示すように、平均0.3mm間隔に配置された縦横6×6個のドットD1,…,D36のそれぞれの基準位置B1,…,B36に対する位置によって、それぞれのドットD1,…,D36の値が示され、これらのドットD1,…,D36の値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する全てのドットパターンが印刷されている。すなわち、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10と空間との割り当ての関係は、帳票110ごとの定義情報の一例である顧客コードによって決められている。
【0018】
たとえば、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10にそれぞれ割り当てられた10個の空間の番号を"1"から"10"とすると、記入枠a1−a10の左から右への順(記入が行われる順)の空間の番号の配列を、
・顧客コード(0000001)に対して"1,2,3,4,5,6,7,8,9,10"
・顧客コード(0000002)に対して"1,2,3,4,5,6,7,8,10,9"
・顧客コード(3628800)に対して"10,9,8,7,6,5,4,3,2,1"
のように帳票110ごとの定義情報である顧客コードによって変更する。これにより、多数の顧客コードを表現できるようにしている。
【0019】
なお、ドットパターンは、記入枠a1−a19によって囲まれた領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0020】
図2は図1に示した書式を有する帳票110を処理する帳票処理システム100の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この帳票処理システム100は、帳票110への記入を行うペン装置120と、このペン装置120の出力を処理するホスト装置130とで構成される。
【0021】
まず、ペン装置120の構成とその動作から説明する。図3はこの帳票処理システム100に用いられるペン装置120の構成を示す図である。同図に示すように、このペン装置120は、ユーザによって掴持されることに適した形状の筐体121を備える。筐体121の一端には帳票110の紙面にインクによって実際の記入を行うことのできるペン部122が設けられている。また、筐体121内には、帳票110の紙面においてペン部122の先端が当てられている位置とその近傍の領域を撮像するためのCCD(Charge-Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を用いたカメラ123が配置されている。さらに、筐体121内には、ペン部122により帳票110への記入が行われているタイミングを検知するためにペン部122の筆圧を検出する加圧センサ124が設けられている。
【0022】
また、筐体121内には、制御部125、メモリ126、通信部127などが設けられている。制御部125は、ペン装置120内の各部の総括的な制御、カメラ123によって取り込まれた映像データに対する処理、たとえば、映像データからの上記のドットパターンの抽出や、抽出したドットパターンを位置情報に変換する処理などを行う。メモリ126は、カメラ123によって取り込まれた映像データの一時的な蓄積のための領域や、制御部125による映像データの処理のための作業領域などとして用いられる。また、メモリ126には、制御部125による映像データの処理のために必要なプログラムや、ドットパターンを位置情報に変換するために参照される変換テーブルなどが格納されている。通信部127は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)や無線などによってホスト装置130との通信を処理する。
【0023】
次に、このペン装置120の動作を説明する。
【0024】
カメラ123は、帳票110の紙面において、ペン部122の先端が当てられている位置とその近傍の領域を撮像している。制御部125は加圧センサ124の出力の変化を監視しており、ペン部122が帳票110の紙面に当てられたとき加圧センサ124の出力が所定の閾値に達したことを判断して、カメラ123によって撮像された映像データをメモリ126に取り込む。次に、制御部125は、メモリ126に記憶された映像データの中からドットパターンを抽出し、メモリ126に格納されている変換テーブルを用いて、そのドットパターンに対応する位置情報を判定する。なお、ここで言うドットパターンは、個々のドットのそれぞれの基準位置からのずれの方向の組み合わせによって位置情報が符号化されたパターンである。この位置情報の生成は所定の時間間隔で行われ、これにより帳票110の紙面でのペン装置120のペン部122の移動の軌跡(筆跡)に対応した位置情報の系列が得られる。このようにして得られた位置情報の系列は、通信部127によってホスト装置130へ転送される。
【0025】
たとえば、帳票110における電話番号の記入枠a1−a10にペン装置120によって電話番号の記入が行われるとき、その記入位置にあるドットパターンがカメラ123によって読み込まれ、制御部125は、そのドットパターンに対応する位置情報をメモリ126に格納されている変換テーブルを参照して復号し、通信部127を通じてホスト装置130へ送信する。なお、位置情報はXY座標の値と時刻データとで構成される。
【0026】
次に、ホスト装置130の構成を説明する。
【0027】
ホスト装置130は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入力装置、出力装置などの典型的なコンピュータの構成を備えた装置である。たとえば、PC(Personal Computer)などがホスト装置130として用いられる。記憶装置またはメモリにはCPUによって実行される、帳票処理のために必要なプログラムや各種のテーブルなどが格納されている。
【0028】
図2に示すように、ホスト装置130は、ペン出力取り込み部131、位置情報系列記憶部132、空間番号判別用テーブル133、空間番号判別部134、顧客コード判別用テーブル135、顧客コード判別部136、文字認識部137、文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138を有する。
【0029】
ペン出力取り込み部131は、ペン装置120を用いて帳票110への記入が行われる時にペン装置120より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0030】
位置情報系列記憶部132は、ペン出力取り込み部131によってペン装置120より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部132には、ペン装置120より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置120より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置120によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0031】
空間番号判別用テーブル133は、帳票110に設定された電話番号用の記入枠a1−a10ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。図4は空間番号判別用テーブル133の例を示す図である。同図に示すように、空間番号判別用テーブル133においては、電話番号用の記入枠a1−a10に割り当てるように予め決められた個々の空間の識別情報である"1"から"10"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0032】
空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置120より取得した位置情報が空間番号判別用テーブル133に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0033】
顧客コード判別用テーブル135は、空間の番号の配列とこれに対応する定義情報である顧客コードとが予め登録されたテーブルである。図5は顧客コード判別用テーブル135の例を示す図である。
【0034】
顧客コード判別部136は、空間番号判別部134によって判別された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて顧客コード判別用テーブル135に登録された定義情報である顧客コードを判別する。
【0035】
文字認識部137は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部137は、帳票110に設けられた電話番号用の記入枠a1−a10にペン装置120を用いて記入された各文字を認識し、これによって得られた10個の文字コードを一つの文字コード列にまとめて電話番号のデータを生成する。また、文字認識部137は、帳票110に設けられた商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19にペン装置120を使って記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コード列から、商品の種類ごとの購入個数のデータを生成する。
【0036】
文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138は、顧客コード判別部136によって判別された顧客コードと文字認識部137によって得られた電話番号および商品の種類ごとの購入個数の各データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0037】
次に、この実施形態の帳票処理システム100の動作を説明する。
【0038】
図6はこの帳票処理システム100においてペン装置120の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0039】
帳票110に設定された電話番号の記入枠a1−a10にペン装置120を使って文字の記入が行われているとき、ホスト装置130は、ペン出力取り込み部131により、ペン装置120より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部132に格納する(ステップS101)。次に、ホスト装置130は、空間番号判別部134にて、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の系列をもとに、帳票110に設定された電話番号のための全ての記入枠a1−a10への記入が完了したか否かを判別する(ステップS102)。電話番号のための一つの記入枠への文字の記入が完了してから次の記入枠への文字の記入が開始されるまでには、比較的長い入力待ち時間が発生する。そこで空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の中の時刻データをもとに、ペン先が2つの記入枠の間を移動するタイミングを判定することによって一文字ごとの位置情報の系列を判別する。そして空間番号判別部134は、帳票110に設定された電話番号のための全ての記入枠a1−a10への記入が完了したことを判定したところで(ステップS102のYES)、次の処理へ進む。
【0040】
次に、空間番号判別部134が処理を開始する。空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字ごとの位置情報の系列と空間番号判別用テーブル133に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置120より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の番号を判別する(ステップS103)。この処理を位置情報系列記憶部132に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS104)、空間の番号の配列を生成する(ステップS105)。生成された空間の番号の配列は顧客コード判別部136へ渡される。
【0041】
顧客コード判別部136は、空間番号判別部134より渡された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して顧客コードの判別を行う(ステップS106)。すなわち、顧客コード判別用テーブル135には、10個の空間の番号の配列と顧客コードとの対応関係が予め登録されているので、顧客コード判別部136は、空間番号判別部134より取得した空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する顧客コードを判別する。そして、顧客コード判別部136は、判別した顧客コードを文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138に記憶する。
【0042】
一方、文字認識部137は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部137は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部132に格納されるごとに繰り返すことで、電話番号と商品の種類ごとの購入個数のデータを生成し、これらのデータを、顧客コード判別部136によって判別された顧客コードと対応付けて文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138に記憶する。
【0043】
このように、本実施形態の帳票処理システム100によれば、ペン装置120を使って帳票110に電話番号を記入する操作に伴って、帳票110ごとの定義情報である顧客コードを判別することができる。また、本実施形態の帳票処理システム100によれば、電話番号用の記入枠a1−a10の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0044】
上記の実施形態では、電話番号が記入される記入枠a1−a10とこれに割り当てられる空間との関係を帳票110ごとの定義情報によって変更することとしたが、電話番号以外の情報が記入される記入枠とこれに割り当てられる空間との関係を変更するようにしてもよい。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0046】
まず、この実施形態に採用される帳票と比較される典型的な帳票について説明する。図7はこの典型的な帳票であるテスト答案用紙(帳票210a)の書式を示す図である。この典型的な帳票210aには、受験者によって6桁の学生番号が記入される記入枠b1−b7と、テスト問題に対する解答が受験者によって記入される解答欄d1−d3と、記入枠b1−b7に記入された学生番号が採点者によって転記される記入枠c1−c7と、解答欄d1−d3に対する採点が採点者によって記入される記入枠e1−e6とが設けられている。転記用の記入枠c1−c7と採点用の記入枠e1−e6に囲まれた各領域には、第1の実施形態の帳票110と同様のドットパターンが印刷されている。なお、ドットパターンは、転記用の記入枠c1−c7と採点用の記入枠e1−e6に囲まれた各領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0047】
学生番号の記入枠b1−b7および解答欄d1−d3にはそれぞれ、通常のペンを使って受験者によって学生番号および解答文の記入が行われ、転記用の記入枠c1−c7および採点用の記入枠e1−e6には、ペン装置を使って採点者によって学生番号の転記と採点の記入が行われる。採点用の記入枠e1−e6は、採点の十桁目の値が記入される枠e1、e3,e5と一桁目の値が記入される枠e2、e4,e6とで構成される。
【0048】
この典型的な帳票210aの転記用の記入枠c1−c7にペン装置を使って学生番号の転記が行われたとき、ホスト装置においては、ペン装置より取り込んだ位置情報の系列から転記用の記入枠c1−c7に記入された数字を認識して、転記用のすべての記入枠c1−c7に記入された数字の並びを学生番号のデータとして得る。また、採点用の記入枠e1−e6にペン装置を使って採点の記入が行われたとき、ホスト装置は、ペン装置より取り込んだ位置情報の系列から採点用の記入枠e1−e6に記入された数字を認識して採点のデータを得る。
【0049】
このように典型的な帳票210aへのペン装置を用いた入力操作においては、帳票210a上の学生番号用の記入枠b1−b7に記入されている学生番号を、採点者がペン装置を使って転記用の記入枠c1−c7に転記する必要があり、これが採点者にとっての負担となっていた。
【0050】
本発明を応用すれば、このような学生番号の転記が不要になり、採点者の作業効率を改善することが可能である。以下、この第2の実施形態の帳票処理システムについて説明する。
【0051】
図8は第2の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票210であるテスト答案用紙の書式例を示す図である。同図に示すように、この帳票210には、受験者によって通常のペンを用いて解答が記入される解答欄d1−d3と、採点者によってペン装置120を用いて、解答欄d1−d3に対応する採点が記入される記入枠e1−e6が設けられている。すなわち、本実施形態の帳票210の書式には、図7に示した典型的な帳票210aの書式に設けられていた、学生番号の記入枠b1−b7と学生番号転記用の記入枠c1−c7とが省かれている。
【0052】
ここで、採点が記入される個々の記入枠e1−e6に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、採点が記入される個々の記入枠e1−e6と空間との割り当ての関係は、帳票210ごとの定義情報の一例である学生番号によって決められている。
【0053】
たとえば、採点用の記入枠e1−e6にそれぞれ割り当てられた6個の空間の番号を"1"から"6"とすると、記入枠e1−e6の左から右への順(記入が行われる順)の空間の番号の配列を、
・学生番号(001)に対して"1,2,3,4,5,6"
・学生番号(002)に対して"1,2,3,4,6,5"
・学生番号(720)に対して"6,5,4,3,2,1"
のように定義情報である学生番号によって変更する。これにより、多数の学生番号を表現できるようにしている。
【0054】
なお、ドットパターンは、採点用の記入枠e1−e6によって囲まれた領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0055】
図9は図8に示した書式を有する帳票210を処理する帳票処理システム200の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この帳票処理システム200は、帳票210への記入を行うペン装置220と、このペン装置220の出力を処理するホスト装置230とで構成される。ペン装置220の構成とその動作は第1の実施形態のペン装置120と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
ホスト装置230は、ペン出力取り込み部231、位置情報系列記憶部232、空間番号判別用テーブル233、空間番号判別部234、学生番号判別用テーブル235、学生番号判別部236、文字認識部237、文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238を有する。
【0057】
ペン出力取り込み部231は、ペン装置220を用いて帳票210への記入が行われる時にペン装置220より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0058】
位置情報系列記憶部232は、ペン出力取り込み部231によってペン装置220より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部232には、ペン装置220より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置220より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置220によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0059】
空間番号判別用テーブル233は、帳票210に設定された採点用の記入枠e1−e6ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。図10は空間番号判別用テーブル233の例を示す図である。同図に示すように、空間番号判別用テーブル233においては、採点用の記入枠e1−e6に割り当てるように予め決められた個々の空間の"1"から"6"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0060】
空間番号判別部234は、位置情報系列記憶部232に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置220より取得した位置情報が、空間番号判別用テーブル233に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0061】
学生番号判別用テーブル235は、空間の番号の配列と学生番号との対応関係が予め登録されたテーブルである。図11は学生番号判別用テーブル235の例を示す図である。
【0062】
学生番号判別部236は、空間番号判別部234によって判別された空間の番号の配列と学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて学生番号判別用テーブル235に登録された定義情報である学生番号を判別する。
【0063】
文字認識部237は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部237は、帳票210に設けられた採点用の記入枠e1−e6にペン装置220を用いて記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コードから採点データを判定する。
【0064】
文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238は、学生番号判別部236によって判別された学生番号と文字認識部237によって得られた採点データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0065】
次に、この実施形態の帳票処理システム200の動作を説明する。
【0066】
採点者は、帳票210上の第1問目の解答欄d1に対応する採点用の記入枠e1,e2から、ペン装置220を使って採点を記入して行く。この際、記入枠e1,e2には二桁の採点が記入される必要があるので、採点が10点未満である場合には、十桁目の記入枠e1に”0”を記入する必要がある。
【0067】
次に、本実施形態の帳票処理システム200の動作を説明する。
【0068】
図12はこの帳票処理システム200においてペン装置220の出力から学生番号を得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0069】
帳票210の採点用の記入枠e1−e6にペン装置220を用いて採点の記入が行われているとき、ホスト装置230は、ペン出力取り込み部231により、ペン装置220より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部232に格納する(ステップS201)。次に、ホスト装置230は、空間番号判別部234にて、位置情報系列記憶部232に格納された位置情報の系列をもとに、帳票210に設定された採点用の全ての記入枠e1−e6への記入が完了したか否かを判別する(ステップS202)。空間番号判別部234にて、帳票210に設定された採点用の全ての記入枠e1−e6への記入が完了したことが判定されたところで(ステップS202のYES)、次の処理へ進む。
【0070】
次に、空間番号判別部234が処理を開始する。空間番号判別部234は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字ごとの位置情報の系列と空間番号判別用テーブル233に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置220より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の番号を判別する(ステップS203)。この処理を位置情報系列記憶部232に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS204)、空間の番号の配列を生成する(ステップS205)。生成された空間の番号の配列は学生番号判別部236へ渡される。
【0071】
学生番号判別部236は、空間番号判別部234より渡された空間の番号の配列と学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して学生番号の判別を行う(ステップS206)。すなわち、学生番号判別用テーブル235には、6個の空間の番号の配列と学生番号との対応関係が予め登録されているので、学生番号判別部236は、空間番号判別部234より取得した6個の空間の番号の配列と、学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する学生番号を判別する。そして、学生番号判別部236は、判別した学生番号を文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238に記憶する。
【0072】
一方、文字認識部237は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部237は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部232に格納されるごとに繰り返し、3つの解答欄d1−d3それぞれに対する採点データを生成するとともに、これら3つの採点データの合計を生成する。このようにして求められた採点データは、学生番号判別部236によって得られた学生番号のデータと対応付けて文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238に記憶される。
【0073】
このように、本実施形態の帳票処理システム200によれば、ペン装置220を使って帳票210に採点を記入する操作に伴って、帳票210ごとの定義情報である学生番号のデータを判別することができる。これにより帳票210の書面に採点者が学生番号を転記する手間を要することなく学生番号のデータを得ることができ、採点者の負担を減らすことができる。また、本実施形態の帳票処理システム200によれば、採点用の記入枠e1−e6の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0074】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0075】
以上の実施形態では、帳票に設けられた記入枠へ文字を記入する際に、その文字の記入が行われた記入枠に対応する空間の番号を取得して、この空間の番号の配列に対応付けられた顧客コードや学生番号を取得することとしたが、空間の番号を取得することができるならば、必ずしも記入枠に文字を記入することに限定されない。
【0076】
図13は、ペン装置を使って特定の領域に直線を記入させることによって、記入が行われた空間の番号を取得できるようにした帳票310である通信販売申込書の例である。この帳票310には、直線記入用の10個の領域f1−f10が並べて設けられている。それぞれの領域f1−f10には、第1の実施形態の帳票110と同様にドットパターンが印刷されている。ここで、個々の領域f1−f10に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、個々の領域f1−f10と空間との割り当ての関係は、帳票310ごとの定義情報の一例である顧客コードによって決められている。
【0077】
この帳票310では、10個の領域f1−f10を通過させるように、図中のA点からB点にかけて、ペン装置を使って直線を記入することとしている。なお、領域f1−f10は、これを囲む線によって可視化されたものであっても不可視なものであってもかまわない。また、この帳票310には、商品の種類ごとの購入個数を記入させるための記入枠a11−a19とが設けられており、これらの記入枠a1−a19によって囲まれた個々の領域にも上記のドットパターンが印刷されている。
【0078】
なお、ドットパターンは、直線が記入される領域f1−f10や、購入個数を記入させるための記入枠a11−a19によって囲まれた個々の領域のみならず、帳票310の書面全体に印刷されていてもよい。
【0079】
図14は図13の帳票310を処理する帳票処理システム300の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この実施形態の帳票処理システム300は、帳票310への記入を行うペン装置320と、このペン装置320の出力を処理するホスト装置330とで構成される。ペン装置320の構成は第1の実施形態のペン装置120と同じであるため、説明を省略する。
【0080】
ホスト装置330は、ペン出力取り込み部331、位置情報系列記憶部332、空間番号判別用テーブル333、空間番号判別部334、顧客コード判別用テーブル335、顧客コード判別部336、文字認識部337、文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338を有する。
【0081】
ペン出力取り込み部331は、ペン装置320を用いて帳票310への記入が行われる時にペン装置320より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0082】
位置情報系列記憶部332は、ペン出力取り込み部331によってペン装置320より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部332には、ペン装置320より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置320より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置320によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0083】
空間番号判別用テーブル333は、帳票310に設定された直線記入用の領域f1−f10ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。この空間番号判別用テーブル333においては、図4に示したように、直線記入用の領域f1−f10に割り当てるように予め決められた個々の空間の識別情報である"1"から"10"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0084】
空間番号判別部334は、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置320より取得した位置情報が空間番号判別用テーブル133に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0085】
顧客コード判別用テーブル335は、図5に示したように、空間の番号の配列とこれに対応する定義情報である顧客コードとが予め登録されたテーブルである。
【0086】
顧客コード判別部336は、空間番号判別部334によって判別された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル335に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて顧客コード判別用テーブル335に登録された定義情報である顧客コードを判別する。
【0087】
文字認識部337は、位置情報系列記憶部332に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部337は、帳票310に設けられた商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19にペン装置320を使って記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コード列から、商品の種類ごとの購入個数のデータを取得する。直線記入用の領域f1−f10に記入されたものに対する文字の認識は行われない。
【0088】
文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338は、顧客コード判別部336によって判別された顧客コードと文字認識部337によって得られた商品の種類ごとの購入個数の各データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0089】
次に、この実施形態の帳票処理システム300の動作を説明する。
【0090】
図15はこの帳票処理システム300においてペン装置320の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0091】
帳票310に設定された直線記入用の領域f1−f10にペン装置320を使って直線の記入が行われているとき、ホスト装置330は、ペン出力取り込み部331により、ペン装置320より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部332に格納する(ステップS301)。次に、ホスト装置330は、空間番号判別部334にて、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列をもとに、帳票310に設定された直線記入用の全ての領域f1−f10への記入が完了したか否かを判別する(ステップS302)。そして空間番号判別部334は、帳票310に設定された直線記入用の全ての領域f1−f10への直線の記入が完了したことを判定したところで(ステップS302のYES)、次の処理へ進む。
【0092】
次に、空間番号判別部334が処理を開始する。空間番号判別部334は、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列と空間番号判別用テーブル333に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置320より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の番号を判別する(ステップS303)。この処理を位置情報系列記憶部332に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS304)、直線の記入が行われた空間の番号の配列を生成する(ステップS305)。生成された空間の番号の配列は顧客コード判別部336へ渡される。
【0093】
顧客コード判別部336は、空間番号判別部334より渡された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル235とを比較して顧客コードの判別を行う(ステップS306)。すなわち、顧客コード判別用テーブル335には、10個の空間の番号の配列と顧客コードとの対応関係が予め登録されているので、顧客コード判別部336は、空間番号判別部334より取得した空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル335に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する顧客コードを判別する。そして、顧客コード判別部336は、判別した顧客コードを文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338に記憶する。
【0094】
一方、文字認識部337は、ペン装置320を使って、帳票310上の、商品の種類ごとの購入個数の記入枠a11−a19の中に数字が記入されることによって位置情報系列記憶部332に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部337は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部332に格納されるごとに繰り返すことで、商品の種類ごとの購入個数のデータを生成し、これらのデータを、顧客コード判別部336によって判別された顧客コードと対応付けて文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338に記憶する。
【0095】
このように、本実施形態の帳票処理システム300によれば、ペン装置320を使って帳票310に設けられた直線記入用の領域f1−f10に直線を記入する操作に伴って、帳票310ごとの定義情報である顧客コードを判別することができる。また、本実施形態の帳票処理システム300によれば、直線記入用の領域f1−f10の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。また、少ない数の空間分のドットパターンで、多数の顧客コードを表現することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0096】
(その他の変形例)
【0097】
第1の実施形態では、図1において、帳票110上の電話番号用の全ての記入枠a1−a10と空間との割り当てを帳票ごとの定義情報によって変更することとしたが、a1からa10の記入枠のうちの一つのみを空間の割り当てが変更される対象としてもよい。たとえば、a1の記入枠に割り当てられる空間を顧客ごとに変更し、その他のa2からa10の記入枠に割り当てる空間は全ての顧客間で共通とする。
【0098】
また、以上の実施形態では、ドットパターンによって位置情報を表現した空間の番号の配列によって顧客コード、学生番号などの情報を特定することとしたが、帳票ごとに特定したい情報であれば何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態の帳票処理システムによって処理される帳票の書面の例を示す図である。
【図2】第1の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられるペン装置の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられる空間番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図5】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられる顧客コード判別用テーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図7】典型的なテスト答案用紙の書式を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票の書式例を示す図である。
【図9】第2の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態の帳票処理システムに用いられる空間番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図11】第2の実施形態の帳票処理システムに用いられる学生番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図12】第2の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票の書式例を示す図である。
【図14】第3の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図15】第3の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の帳票に用いられるドットパターンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
100…帳票処理システム、110…帳票、120…ペン装置、130…ホスト装置、131…ペン出力取り込み部、132…位置情報系列記憶部、133…空間番号判別用テーブル、134…空間番号判別部、135…顧客コード判別用テーブル、136…顧客コード判別部、137…文字認識部、138…顧客コード判別結果記憶部、
200…帳票処理システム、210…帳票、220…ペン装置、230…ホスト装置、231…ペン出力取り込み部、232…位置情報系列記憶部、233…空間番号判別用テーブル、234…空間番号判別部、235…学生番号判別用テーブル、235…顧客コード判別用テーブル、236…学生番号判別部、237…文字認識部、238…学生番号判別結果記憶部、300…帳票処理システム、310…帳票、320…ペン装置、330…ホスト装置、331…ペン出力取り込み部、332…位置情報系列記憶部、333…空間番号判別用テーブル、334…空間番号判別部、335…顧客コード判別用テーブル、336…顧客コード判別部、337…文字認識部、338…顧客コード判別結果記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を示す複数のマークが印刷された帳票に記入を行うと同時にその記入位置のマークを読み取って位置情報を復号する機能を有するペン装置の出力を処理する帳票処理システム、帳票処理方法、プログラム、および光学読み取り帳票に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基準位置に対するマークの位置によってそのマークの値が示され、このマークを縦横に複数配置して一つの認識対象のパターンとし、光学読み取り帳票に印刷する技術がある(たとえば特許文献1など)。具体的な応用として、平均0.3mm間隔に配置された縦横6×6個のドットのパターンを一つの位置情報として、この位置情報を二次元の空間に対して与える方式がある。この方式では、個々のドットはそれぞれ縦横0.3mm間隔に設定された基準位置から上下左右の4通りの方向へ僅かにずらした位置に配置され、その基準位置に対するドットの位置によってそのドットの値が示されている。これによって、縦横6×6個のドットの値の組み合わせで4の36乗通りのパターンを生成でき、広大な二次元空間に対して位置情報を与えることができる。
【0003】
このような広大な二次元空間の中の一部の異なる空間に対応するドットパターンの群を帳票の書面に印刷しておくことで、ペン装置によって帳票への記入が行われた際、その記入が行われた位置に存在するドットパターンをペン装置に搭載されたカメラで読み込み、これを復号することによって、筆跡に相当する位置情報の系列が得られ、この位置情報の系列をもとに文字の認識を行うことができる。
【0004】
ところで、帳票の処理をコンピュータを用いて行うシステムにおいては、顧客を顧客ごとに割り当てられたコード番号で管理することが一般である。その際、顧客コードに対応付けて記憶された顧客名と、帳票に記入された顧客名を文字認識して得た結果とを照合して、顧客を同定することが行われている。
【0005】
しかしながら、このようなシステムにおいて、顧客は、帳票に自身の名称(顧客名)と顧客コードの両方を記入しなければならない。このため、各顧客に自分の顧客コードの管理を依存しなければならず、顧客の負担が大きい。
【0006】
一方、帳票の書面をラインスキャナなどで全面的に走査して帳票から情報を読み込む方式の場合には、顧客コードそのものや、顧客コードを符号化したバーコードなどを帳票に印刷しておけば、帳票の書面を走査する機会に顧客コードを読み込むことが可能である。しかし、上記のドットパターンから位置情報を読み込む方式の場合には、ペンの筆跡部分しか走査されないため、帳票に印刷された顧客コードやバーコードなどを読み取れないという問題がある。
【0007】
また、上記のような顧客の同定処理を行うために、ドットパターンにより位置情報を与え得る全空間の中の別々の空間を顧客コードごとに割り当て、この空間に対応するドットパターンを帳票に印刷しておき、このドットパターンをペン装置に内蔵されたカメラで撮像して顧客コードを読み取る方法が提案されている(たとえば特許文献2など)。
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2005−215815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、顧客コードごとに固有の空間を割り当てる方法では、顧客数に比例した広さの空間に対応した数のドットパターンが必要となる。ドットパターンによって位置情報を与えることのできる空間は広大であるとは言え、非効率な消費は、最悪ドットパターンの枯渇問題をもたらす要因となる。
【0009】
本発明は、上記の事情を鑑み、帳票に印刷されるたとえばドットパターンなど、複数のマークのそれぞれの基準位置に対する位置によって空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率の向上を図ることのできる帳票処理システム、帳票処理方法、プログラム、および光学読み取り帳票を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の帳票処理システムは、基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理システムであって、前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部とを具備するものである。
【0011】
この発明では、ペン装置を使って帳票の領域に文字や図形などを記入する操作に伴って、その帳票の複数の領域と複数の空間との割り当ての関係によって定義された情報を読み取ることができる。したがって、少ない数の空間で多数の情報を定義することができ、空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記帳票に設けられた前記複数の領域が、前記ペン装置によって文字が記入される領域であり、前記複数の領域に記入された文字を認識する文字認識部をさらに具備するものであってもよい。
【0013】
さらに、本発明は、前記情報判別部により判別された情報と前記文字認識部により認識された文字の情報とを対応付けて記憶する記憶部をさらに具備するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、帳票に印刷されるたとえばドットパターンなど、複数のマークのそれぞれの基準位置に対する位置によって空間の位置に関する情報を与えるパターンの利用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態にかかる帳票処理システムによって処理される帳票110の書面の例を示す図である。
【0017】
この帳票110は通信販売申込書であり、この帳票110には、10桁の数字からなる電話番号が1文字ごとに記入される10個の記入枠a1−a10と、商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19とが設けられている。少なくとも、これらの記入枠a1−a19によって囲まれた各領域には、図16に示すように、平均0.3mm間隔に配置された縦横6×6個のドットD1,…,D36のそれぞれの基準位置B1,…,B36に対する位置によって、それぞれのドットD1,…,D36の値が示され、これらのドットD1,…,D36の値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する全てのドットパターンが印刷されている。すなわち、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10と空間との割り当ての関係は、帳票110ごとの定義情報の一例である顧客コードによって決められている。
【0018】
たとえば、電話番号が記入される個々の記入枠a1−a10にそれぞれ割り当てられた10個の空間の番号を"1"から"10"とすると、記入枠a1−a10の左から右への順(記入が行われる順)の空間の番号の配列を、
・顧客コード(0000001)に対して"1,2,3,4,5,6,7,8,9,10"
・顧客コード(0000002)に対して"1,2,3,4,5,6,7,8,10,9"
・顧客コード(3628800)に対して"10,9,8,7,6,5,4,3,2,1"
のように帳票110ごとの定義情報である顧客コードによって変更する。これにより、多数の顧客コードを表現できるようにしている。
【0019】
なお、ドットパターンは、記入枠a1−a19によって囲まれた領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0020】
図2は図1に示した書式を有する帳票110を処理する帳票処理システム100の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この帳票処理システム100は、帳票110への記入を行うペン装置120と、このペン装置120の出力を処理するホスト装置130とで構成される。
【0021】
まず、ペン装置120の構成とその動作から説明する。図3はこの帳票処理システム100に用いられるペン装置120の構成を示す図である。同図に示すように、このペン装置120は、ユーザによって掴持されることに適した形状の筐体121を備える。筐体121の一端には帳票110の紙面にインクによって実際の記入を行うことのできるペン部122が設けられている。また、筐体121内には、帳票110の紙面においてペン部122の先端が当てられている位置とその近傍の領域を撮像するためのCCD(Charge-Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を用いたカメラ123が配置されている。さらに、筐体121内には、ペン部122により帳票110への記入が行われているタイミングを検知するためにペン部122の筆圧を検出する加圧センサ124が設けられている。
【0022】
また、筐体121内には、制御部125、メモリ126、通信部127などが設けられている。制御部125は、ペン装置120内の各部の総括的な制御、カメラ123によって取り込まれた映像データに対する処理、たとえば、映像データからの上記のドットパターンの抽出や、抽出したドットパターンを位置情報に変換する処理などを行う。メモリ126は、カメラ123によって取り込まれた映像データの一時的な蓄積のための領域や、制御部125による映像データの処理のための作業領域などとして用いられる。また、メモリ126には、制御部125による映像データの処理のために必要なプログラムや、ドットパターンを位置情報に変換するために参照される変換テーブルなどが格納されている。通信部127は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)や無線などによってホスト装置130との通信を処理する。
【0023】
次に、このペン装置120の動作を説明する。
【0024】
カメラ123は、帳票110の紙面において、ペン部122の先端が当てられている位置とその近傍の領域を撮像している。制御部125は加圧センサ124の出力の変化を監視しており、ペン部122が帳票110の紙面に当てられたとき加圧センサ124の出力が所定の閾値に達したことを判断して、カメラ123によって撮像された映像データをメモリ126に取り込む。次に、制御部125は、メモリ126に記憶された映像データの中からドットパターンを抽出し、メモリ126に格納されている変換テーブルを用いて、そのドットパターンに対応する位置情報を判定する。なお、ここで言うドットパターンは、個々のドットのそれぞれの基準位置からのずれの方向の組み合わせによって位置情報が符号化されたパターンである。この位置情報の生成は所定の時間間隔で行われ、これにより帳票110の紙面でのペン装置120のペン部122の移動の軌跡(筆跡)に対応した位置情報の系列が得られる。このようにして得られた位置情報の系列は、通信部127によってホスト装置130へ転送される。
【0025】
たとえば、帳票110における電話番号の記入枠a1−a10にペン装置120によって電話番号の記入が行われるとき、その記入位置にあるドットパターンがカメラ123によって読み込まれ、制御部125は、そのドットパターンに対応する位置情報をメモリ126に格納されている変換テーブルを参照して復号し、通信部127を通じてホスト装置130へ送信する。なお、位置情報はXY座標の値と時刻データとで構成される。
【0026】
次に、ホスト装置130の構成を説明する。
【0027】
ホスト装置130は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入力装置、出力装置などの典型的なコンピュータの構成を備えた装置である。たとえば、PC(Personal Computer)などがホスト装置130として用いられる。記憶装置またはメモリにはCPUによって実行される、帳票処理のために必要なプログラムや各種のテーブルなどが格納されている。
【0028】
図2に示すように、ホスト装置130は、ペン出力取り込み部131、位置情報系列記憶部132、空間番号判別用テーブル133、空間番号判別部134、顧客コード判別用テーブル135、顧客コード判別部136、文字認識部137、文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138を有する。
【0029】
ペン出力取り込み部131は、ペン装置120を用いて帳票110への記入が行われる時にペン装置120より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0030】
位置情報系列記憶部132は、ペン出力取り込み部131によってペン装置120より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部132には、ペン装置120より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置120より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置120によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0031】
空間番号判別用テーブル133は、帳票110に設定された電話番号用の記入枠a1−a10ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。図4は空間番号判別用テーブル133の例を示す図である。同図に示すように、空間番号判別用テーブル133においては、電話番号用の記入枠a1−a10に割り当てるように予め決められた個々の空間の識別情報である"1"から"10"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0032】
空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置120より取得した位置情報が空間番号判別用テーブル133に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0033】
顧客コード判別用テーブル135は、空間の番号の配列とこれに対応する定義情報である顧客コードとが予め登録されたテーブルである。図5は顧客コード判別用テーブル135の例を示す図である。
【0034】
顧客コード判別部136は、空間番号判別部134によって判別された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて顧客コード判別用テーブル135に登録された定義情報である顧客コードを判別する。
【0035】
文字認識部137は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部137は、帳票110に設けられた電話番号用の記入枠a1−a10にペン装置120を用いて記入された各文字を認識し、これによって得られた10個の文字コードを一つの文字コード列にまとめて電話番号のデータを生成する。また、文字認識部137は、帳票110に設けられた商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19にペン装置120を使って記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コード列から、商品の種類ごとの購入個数のデータを生成する。
【0036】
文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138は、顧客コード判別部136によって判別された顧客コードと文字認識部137によって得られた電話番号および商品の種類ごとの購入個数の各データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0037】
次に、この実施形態の帳票処理システム100の動作を説明する。
【0038】
図6はこの帳票処理システム100においてペン装置120の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0039】
帳票110に設定された電話番号の記入枠a1−a10にペン装置120を使って文字の記入が行われているとき、ホスト装置130は、ペン出力取り込み部131により、ペン装置120より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部132に格納する(ステップS101)。次に、ホスト装置130は、空間番号判別部134にて、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の系列をもとに、帳票110に設定された電話番号のための全ての記入枠a1−a10への記入が完了したか否かを判別する(ステップS102)。電話番号のための一つの記入枠への文字の記入が完了してから次の記入枠への文字の記入が開始されるまでには、比較的長い入力待ち時間が発生する。そこで空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された位置情報の中の時刻データをもとに、ペン先が2つの記入枠の間を移動するタイミングを判定することによって一文字ごとの位置情報の系列を判別する。そして空間番号判別部134は、帳票110に設定された電話番号のための全ての記入枠a1−a10への記入が完了したことを判定したところで(ステップS102のYES)、次の処理へ進む。
【0040】
次に、空間番号判別部134が処理を開始する。空間番号判別部134は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字ごとの位置情報の系列と空間番号判別用テーブル133に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置120より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル133に登録されている空間の番号を判別する(ステップS103)。この処理を位置情報系列記憶部132に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS104)、空間の番号の配列を生成する(ステップS105)。生成された空間の番号の配列は顧客コード判別部136へ渡される。
【0041】
顧客コード判別部136は、空間番号判別部134より渡された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して顧客コードの判別を行う(ステップS106)。すなわち、顧客コード判別用テーブル135には、10個の空間の番号の配列と顧客コードとの対応関係が予め登録されているので、顧客コード判別部136は、空間番号判別部134より取得した空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル135に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する顧客コードを判別する。そして、顧客コード判別部136は、判別した顧客コードを文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138に記憶する。
【0042】
一方、文字認識部137は、位置情報系列記憶部132に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部137は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部132に格納されるごとに繰り返すことで、電話番号と商品の種類ごとの購入個数のデータを生成し、これらのデータを、顧客コード判別部136によって判別された顧客コードと対応付けて文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部138に記憶する。
【0043】
このように、本実施形態の帳票処理システム100によれば、ペン装置120を使って帳票110に電話番号を記入する操作に伴って、帳票110ごとの定義情報である顧客コードを判別することができる。また、本実施形態の帳票処理システム100によれば、電話番号用の記入枠a1−a10の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0044】
上記の実施形態では、電話番号が記入される記入枠a1−a10とこれに割り当てられる空間との関係を帳票110ごとの定義情報によって変更することとしたが、電話番号以外の情報が記入される記入枠とこれに割り当てられる空間との関係を変更するようにしてもよい。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0046】
まず、この実施形態に採用される帳票と比較される典型的な帳票について説明する。図7はこの典型的な帳票であるテスト答案用紙(帳票210a)の書式を示す図である。この典型的な帳票210aには、受験者によって6桁の学生番号が記入される記入枠b1−b7と、テスト問題に対する解答が受験者によって記入される解答欄d1−d3と、記入枠b1−b7に記入された学生番号が採点者によって転記される記入枠c1−c7と、解答欄d1−d3に対する採点が採点者によって記入される記入枠e1−e6とが設けられている。転記用の記入枠c1−c7と採点用の記入枠e1−e6に囲まれた各領域には、第1の実施形態の帳票110と同様のドットパターンが印刷されている。なお、ドットパターンは、転記用の記入枠c1−c7と採点用の記入枠e1−e6に囲まれた各領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0047】
学生番号の記入枠b1−b7および解答欄d1−d3にはそれぞれ、通常のペンを使って受験者によって学生番号および解答文の記入が行われ、転記用の記入枠c1−c7および採点用の記入枠e1−e6には、ペン装置を使って採点者によって学生番号の転記と採点の記入が行われる。採点用の記入枠e1−e6は、採点の十桁目の値が記入される枠e1、e3,e5と一桁目の値が記入される枠e2、e4,e6とで構成される。
【0048】
この典型的な帳票210aの転記用の記入枠c1−c7にペン装置を使って学生番号の転記が行われたとき、ホスト装置においては、ペン装置より取り込んだ位置情報の系列から転記用の記入枠c1−c7に記入された数字を認識して、転記用のすべての記入枠c1−c7に記入された数字の並びを学生番号のデータとして得る。また、採点用の記入枠e1−e6にペン装置を使って採点の記入が行われたとき、ホスト装置は、ペン装置より取り込んだ位置情報の系列から採点用の記入枠e1−e6に記入された数字を認識して採点のデータを得る。
【0049】
このように典型的な帳票210aへのペン装置を用いた入力操作においては、帳票210a上の学生番号用の記入枠b1−b7に記入されている学生番号を、採点者がペン装置を使って転記用の記入枠c1−c7に転記する必要があり、これが採点者にとっての負担となっていた。
【0050】
本発明を応用すれば、このような学生番号の転記が不要になり、採点者の作業効率を改善することが可能である。以下、この第2の実施形態の帳票処理システムについて説明する。
【0051】
図8は第2の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票210であるテスト答案用紙の書式例を示す図である。同図に示すように、この帳票210には、受験者によって通常のペンを用いて解答が記入される解答欄d1−d3と、採点者によってペン装置120を用いて、解答欄d1−d3に対応する採点が記入される記入枠e1−e6が設けられている。すなわち、本実施形態の帳票210の書式には、図7に示した典型的な帳票210aの書式に設けられていた、学生番号の記入枠b1−b7と学生番号転記用の記入枠c1−c7とが省かれている。
【0052】
ここで、採点が記入される個々の記入枠e1−e6に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、採点が記入される個々の記入枠e1−e6と空間との割り当ての関係は、帳票210ごとの定義情報の一例である学生番号によって決められている。
【0053】
たとえば、採点用の記入枠e1−e6にそれぞれ割り当てられた6個の空間の番号を"1"から"6"とすると、記入枠e1−e6の左から右への順(記入が行われる順)の空間の番号の配列を、
・学生番号(001)に対して"1,2,3,4,5,6"
・学生番号(002)に対して"1,2,3,4,6,5"
・学生番号(720)に対して"6,5,4,3,2,1"
のように定義情報である学生番号によって変更する。これにより、多数の学生番号を表現できるようにしている。
【0054】
なお、ドットパターンは、採点用の記入枠e1−e6によって囲まれた領域のみならず、帳票110の書面全体に印刷されていてもよい。
【0055】
図9は図8に示した書式を有する帳票210を処理する帳票処理システム200の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この帳票処理システム200は、帳票210への記入を行うペン装置220と、このペン装置220の出力を処理するホスト装置230とで構成される。ペン装置220の構成とその動作は第1の実施形態のペン装置120と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
ホスト装置230は、ペン出力取り込み部231、位置情報系列記憶部232、空間番号判別用テーブル233、空間番号判別部234、学生番号判別用テーブル235、学生番号判別部236、文字認識部237、文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238を有する。
【0057】
ペン出力取り込み部231は、ペン装置220を用いて帳票210への記入が行われる時にペン装置220より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0058】
位置情報系列記憶部232は、ペン出力取り込み部231によってペン装置220より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部232には、ペン装置220より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置220より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置220によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0059】
空間番号判別用テーブル233は、帳票210に設定された採点用の記入枠e1−e6ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。図10は空間番号判別用テーブル233の例を示す図である。同図に示すように、空間番号判別用テーブル233においては、採点用の記入枠e1−e6に割り当てるように予め決められた個々の空間の"1"から"6"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0060】
空間番号判別部234は、位置情報系列記憶部232に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置220より取得した位置情報が、空間番号判別用テーブル233に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0061】
学生番号判別用テーブル235は、空間の番号の配列と学生番号との対応関係が予め登録されたテーブルである。図11は学生番号判別用テーブル235の例を示す図である。
【0062】
学生番号判別部236は、空間番号判別部234によって判別された空間の番号の配列と学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて学生番号判別用テーブル235に登録された定義情報である学生番号を判別する。
【0063】
文字認識部237は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部237は、帳票210に設けられた採点用の記入枠e1−e6にペン装置220を用いて記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コードから採点データを判定する。
【0064】
文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238は、学生番号判別部236によって判別された学生番号と文字認識部237によって得られた採点データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0065】
次に、この実施形態の帳票処理システム200の動作を説明する。
【0066】
採点者は、帳票210上の第1問目の解答欄d1に対応する採点用の記入枠e1,e2から、ペン装置220を使って採点を記入して行く。この際、記入枠e1,e2には二桁の採点が記入される必要があるので、採点が10点未満である場合には、十桁目の記入枠e1に”0”を記入する必要がある。
【0067】
次に、本実施形態の帳票処理システム200の動作を説明する。
【0068】
図12はこの帳票処理システム200においてペン装置220の出力から学生番号を得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0069】
帳票210の採点用の記入枠e1−e6にペン装置220を用いて採点の記入が行われているとき、ホスト装置230は、ペン出力取り込み部231により、ペン装置220より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部232に格納する(ステップS201)。次に、ホスト装置230は、空間番号判別部234にて、位置情報系列記憶部232に格納された位置情報の系列をもとに、帳票210に設定された採点用の全ての記入枠e1−e6への記入が完了したか否かを判別する(ステップS202)。空間番号判別部234にて、帳票210に設定された採点用の全ての記入枠e1−e6への記入が完了したことが判定されたところで(ステップS202のYES)、次の処理へ進む。
【0070】
次に、空間番号判別部234が処理を開始する。空間番号判別部234は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字ごとの位置情報の系列と空間番号判別用テーブル233に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置220より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル233に登録されている空間の番号を判別する(ステップS203)。この処理を位置情報系列記憶部232に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS204)、空間の番号の配列を生成する(ステップS205)。生成された空間の番号の配列は学生番号判別部236へ渡される。
【0071】
学生番号判別部236は、空間番号判別部234より渡された空間の番号の配列と学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して学生番号の判別を行う(ステップS206)。すなわち、学生番号判別用テーブル235には、6個の空間の番号の配列と学生番号との対応関係が予め登録されているので、学生番号判別部236は、空間番号判別部234より取得した6個の空間の番号の配列と、学生番号判別用テーブル235に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する学生番号を判別する。そして、学生番号判別部236は、判別した学生番号を文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238に記憶する。
【0072】
一方、文字認識部237は、位置情報系列記憶部232に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部237は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部232に格納されるごとに繰り返し、3つの解答欄d1−d3それぞれに対する採点データを生成するとともに、これら3つの採点データの合計を生成する。このようにして求められた採点データは、学生番号判別部236によって得られた学生番号のデータと対応付けて文字認識結果・学生番号判別結果記憶部238に記憶される。
【0073】
このように、本実施形態の帳票処理システム200によれば、ペン装置220を使って帳票210に採点を記入する操作に伴って、帳票210ごとの定義情報である学生番号のデータを判別することができる。これにより帳票210の書面に採点者が学生番号を転記する手間を要することなく学生番号のデータを得ることができ、採点者の負担を減らすことができる。また、本実施形態の帳票処理システム200によれば、採点用の記入枠e1−e6の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0074】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0075】
以上の実施形態では、帳票に設けられた記入枠へ文字を記入する際に、その文字の記入が行われた記入枠に対応する空間の番号を取得して、この空間の番号の配列に対応付けられた顧客コードや学生番号を取得することとしたが、空間の番号を取得することができるならば、必ずしも記入枠に文字を記入することに限定されない。
【0076】
図13は、ペン装置を使って特定の領域に直線を記入させることによって、記入が行われた空間の番号を取得できるようにした帳票310である通信販売申込書の例である。この帳票310には、直線記入用の10個の領域f1−f10が並べて設けられている。それぞれの領域f1−f10には、第1の実施形態の帳票110と同様にドットパターンが印刷されている。ここで、個々の領域f1−f10に割り当てられる空間は、位置情報を与え得る全空間の中で予め決められた、それぞれ異なる位置の空間とされている。そして、個々の領域f1−f10と空間との割り当ての関係は、帳票310ごとの定義情報の一例である顧客コードによって決められている。
【0077】
この帳票310では、10個の領域f1−f10を通過させるように、図中のA点からB点にかけて、ペン装置を使って直線を記入することとしている。なお、領域f1−f10は、これを囲む線によって可視化されたものであっても不可視なものであってもかまわない。また、この帳票310には、商品の種類ごとの購入個数を記入させるための記入枠a11−a19とが設けられており、これらの記入枠a1−a19によって囲まれた個々の領域にも上記のドットパターンが印刷されている。
【0078】
なお、ドットパターンは、直線が記入される領域f1−f10や、購入個数を記入させるための記入枠a11−a19によって囲まれた個々の領域のみならず、帳票310の書面全体に印刷されていてもよい。
【0079】
図14は図13の帳票310を処理する帳票処理システム300の全体の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この実施形態の帳票処理システム300は、帳票310への記入を行うペン装置320と、このペン装置320の出力を処理するホスト装置330とで構成される。ペン装置320の構成は第1の実施形態のペン装置120と同じであるため、説明を省略する。
【0080】
ホスト装置330は、ペン出力取り込み部331、位置情報系列記憶部332、空間番号判別用テーブル333、空間番号判別部334、顧客コード判別用テーブル335、顧客コード判別部336、文字認識部337、文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338を有する。
【0081】
ペン出力取り込み部331は、ペン装置320を用いて帳票310への記入が行われる時にペン装置320より出力される位置情報の系列を取り込む。
【0082】
位置情報系列記憶部332は、ペン出力取り込み部331によってペン装置320より取り込まれた位置情報の系列が格納される記憶部である。位置情報系列記憶部332には、ペン装置320より一定の時間周期で入力された位置情報が記憶される。ここで、位置情報は、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。また、ペン装置320より取り込まれた個々の位置情報には、ペン装置320によってドットパターンが位置情報に復号されたときの時刻データが付加されている。
【0083】
空間番号判別用テーブル333は、帳票310に設定された直線記入用の領域f1−f10ごとに割り当てられた空間を判別するために必要な情報が予め格納されているテーブルである。この空間番号判別用テーブル333においては、図4に示したように、直線記入用の領域f1−f10に割り当てるように予め決められた個々の空間の識別情報である"1"から"10"の番号と、その空間の位置に関する情報を示す左上と右下の座標値とが対応付けて登録されている。ここで、空間の位置に関する情報とは、上記のドットパターンによって位置情報を与え得る全空間内での位置を示す情報である。
【0084】
空間番号判別部334は、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列と、空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置320より取得した位置情報が空間番号判別用テーブル133に登録されているどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の番号を記入順に判別して空間の番号の配列を生成する。
【0085】
顧客コード判別用テーブル335は、図5に示したように、空間の番号の配列とこれに対応する定義情報である顧客コードとが予め登録されたテーブルである。
【0086】
顧客コード判別部336は、空間番号判別部334によって判別された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル335に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応付けて顧客コード判別用テーブル335に登録された定義情報である顧客コードを判別する。
【0087】
文字認識部337は、位置情報系列記憶部332に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。たとえば、文字認識部337は、帳票310に設けられた商品の種類ごとの購入個数が記入される記入枠a11−a19にペン装置320を使って記入された各文字を認識し、これによって得られた文字コード列から、商品の種類ごとの購入個数のデータを取得する。直線記入用の領域f1−f10に記入されたものに対する文字の認識は行われない。
【0088】
文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338は、顧客コード判別部336によって判別された顧客コードと文字認識部337によって得られた商品の種類ごとの購入個数の各データとを組み合わせて記憶する記憶部である。
【0089】
次に、この実施形態の帳票処理システム300の動作を説明する。
【0090】
図15はこの帳票処理システム300においてペン装置320の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【0091】
帳票310に設定された直線記入用の領域f1−f10にペン装置320を使って直線の記入が行われているとき、ホスト装置330は、ペン出力取り込み部331により、ペン装置320より取り込んだ位置情報の系列を位置情報系列記憶部332に格納する(ステップS301)。次に、ホスト装置330は、空間番号判別部334にて、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列をもとに、帳票310に設定された直線記入用の全ての領域f1−f10への記入が完了したか否かを判別する(ステップS302)。そして空間番号判別部334は、帳票310に設定された直線記入用の全ての領域f1−f10への直線の記入が完了したことを判定したところで(ステップS302のYES)、次の処理へ進む。
【0092】
次に、空間番号判別部334が処理を開始する。空間番号判別部334は、位置情報系列記憶部332に格納された位置情報の系列と空間番号判別用テーブル333に登録されている各空間の位置に関する情報とを比較して、ペン装置320より取得した位置情報がどの空間に属しているかを判定し、この判定した空間に対応付けて空間番号判別用テーブル333に登録されている空間の番号を判別する(ステップS303)。この処理を位置情報系列記憶部332に格納されたすべての位置情報の系列について繰り返し(ステップS304)、直線の記入が行われた空間の番号の配列を生成する(ステップS305)。生成された空間の番号の配列は顧客コード判別部336へ渡される。
【0093】
顧客コード判別部336は、空間番号判別部334より渡された空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル235とを比較して顧客コードの判別を行う(ステップS306)。すなわち、顧客コード判別用テーブル335には、10個の空間の番号の配列と顧客コードとの対応関係が予め登録されているので、顧客コード判別部336は、空間番号判別部334より取得した空間の番号の配列と顧客コード判別用テーブル335に登録された空間の番号の配列とを比較して、一致した空間の番号の配列に対応する顧客コードを判別する。そして、顧客コード判別部336は、判別した顧客コードを文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338に記憶する。
【0094】
一方、文字認識部337は、ペン装置320を使って、帳票310上の、商品の種類ごとの購入個数の記入枠a11−a19の中に数字が記入されることによって位置情報系列記憶部332に格納された一文字分の位置情報の系列と、文字の標準パターンが格納された辞書とを比較して文字認識を行い、文字認識結果である文字コードを得る。文字認識部337は、この文字認識処理を、一文字分の位置情報の系列が位置情報系列記憶部332に格納されるごとに繰り返すことで、商品の種類ごとの購入個数のデータを生成し、これらのデータを、顧客コード判別部336によって判別された顧客コードと対応付けて文字認識結果・顧客コード判別結果記憶部338に記憶する。
【0095】
このように、本実施形態の帳票処理システム300によれば、ペン装置320を使って帳票310に設けられた直線記入用の領域f1−f10に直線を記入する操作に伴って、帳票310ごとの定義情報である顧客コードを判別することができる。また、本実施形態の帳票処理システム300によれば、直線記入用の領域f1−f10の数分の空間を消費するだけで、多数の顧客コードを定義することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。また、少ない数の空間分のドットパターンで、多数の顧客コードを表現することができ、ドットパターンの利用効率を高めることができる。
【0096】
(その他の変形例)
【0097】
第1の実施形態では、図1において、帳票110上の電話番号用の全ての記入枠a1−a10と空間との割り当てを帳票ごとの定義情報によって変更することとしたが、a1からa10の記入枠のうちの一つのみを空間の割り当てが変更される対象としてもよい。たとえば、a1の記入枠に割り当てられる空間を顧客ごとに変更し、その他のa2からa10の記入枠に割り当てる空間は全ての顧客間で共通とする。
【0098】
また、以上の実施形態では、ドットパターンによって位置情報を表現した空間の番号の配列によって顧客コード、学生番号などの情報を特定することとしたが、帳票ごとに特定したい情報であれば何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態の帳票処理システムによって処理される帳票の書面の例を示す図である。
【図2】第1の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられるペン装置の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられる空間番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図5】第1の実施形態の帳票処理システムに用いられる顧客コード判別用テーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図7】典型的なテスト答案用紙の書式を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票の書式例を示す図である。
【図9】第2の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態の帳票処理システムに用いられる空間番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図11】第2の実施形態の帳票処理システムに用いられる学生番号判別用テーブルの例を示す図である。
【図12】第2の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態の帳票処理システムに採用される帳票の書式例を示す図である。
【図14】第3の実施形態の帳票処理システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図15】第3の実施形態の帳票処理システムにおいてペン装置の出力から顧客コードを得るまでの動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の帳票に用いられるドットパターンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
100…帳票処理システム、110…帳票、120…ペン装置、130…ホスト装置、131…ペン出力取り込み部、132…位置情報系列記憶部、133…空間番号判別用テーブル、134…空間番号判別部、135…顧客コード判別用テーブル、136…顧客コード判別部、137…文字認識部、138…顧客コード判別結果記憶部、
200…帳票処理システム、210…帳票、220…ペン装置、230…ホスト装置、231…ペン出力取り込み部、232…位置情報系列記憶部、233…空間番号判別用テーブル、234…空間番号判別部、235…学生番号判別用テーブル、235…顧客コード判別用テーブル、236…学生番号判別部、237…文字認識部、238…学生番号判別結果記憶部、300…帳票処理システム、310…帳票、320…ペン装置、330…ホスト装置、331…ペン出力取り込み部、332…位置情報系列記憶部、333…空間番号判別用テーブル、334…空間番号判別部、335…顧客コード判別用テーブル、336…顧客コード判別部、337…文字認識部、338…顧客コード判別結果記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理システムであって、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、
前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、
前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、
前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部と
を具備することを特徴とする帳票処理システム。
【請求項2】
前記帳票に設けられた前記複数の領域が、前記ペン装置によって文字が記入される領域であり、
前記複数の領域に記入された文字を認識する文字認識部と、
前記情報判別部により判別された情報と前記文字認識部により認識された文字の情報とを対応付けて記憶する第3の記憶部と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の帳票処理システム。
【請求項3】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理方法であって、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部とを設けておき、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むステップと、
前記取り込まれた位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成するステップと、
前記生成された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別するステップと
を具備することを特徴とする帳票処理方法。
【請求項4】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する機能をコンピュータにおいて実現するプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、
前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、
前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、
前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた光学読み取り帳票であって、前記複数の領域と前記空間との割り当ての関係により情報が定義されていることを特徴とする光学読み取り帳票。
【請求項1】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理システムであって、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、
前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、
前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、
前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部と
を具備することを特徴とする帳票処理システム。
【請求項2】
前記帳票に設けられた前記複数の領域が、前記ペン装置によって文字が記入される領域であり、
前記複数の領域に記入された文字を認識する文字認識部と、
前記情報判別部により判別された情報と前記文字認識部により認識された文字の情報とを対応付けて記憶する第3の記憶部と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の帳票処理システム。
【請求項3】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する帳票処理方法であって、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部とを設けておき、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むステップと、
前記取り込まれた位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成するステップと、
前記生成された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別するステップと
を具備することを特徴とする帳票処理方法。
【請求項4】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた帳票を処理する機能をコンピュータにおいて実現するプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記帳票の前記複数の領域に記入を行うとともに、記入された位置に存在する前記複数のマークの値を読み込んで位置情報の系列を生成するペン装置の出力を取り込むペン出力取り込み部と、
前記帳票の前記複数の領域にそれぞれ割り当て可能な個々の空間の識別情報とそれぞれの空間の位置に関する情報とが対応付けて記憶された第1の記憶部と、
前記ペン出力取り込み部にて取り込まれた前記位置情報の系列と前記第1の記憶部に記憶された個々の空間の位置に関する情報とを比較して、前記ペン装置により記入が行われた前記複数の領域にそれぞれ割り当てられた空間の識別情報を順に判別して前記空間の識別情報の配列を生成する空間番号判別部と、
前記空間の識別情報の配列とこれに対応する情報とが予め記憶された第2の記憶部と、
前記空間番号判別部によって判別された前記空間の識別情報の配列と前記第2の記憶部に記憶された前記空間の識別情報の配列とを比較して一致した前記空間の識別情報の配列に対応する情報を判別する情報判別部として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
基準位置に対するマークの位置によって該マークの値が示され、複数の前記マークの値の組み合わせを一つの位置情報として、この位置情報を与え得る全空間の中の一部の異なる空間がそれぞれ割り当てられ、かつ割り当てられた空間に対応する前記マークの群がそれぞれ印刷された複数の領域が設けられた光学読み取り帳票であって、前記複数の領域と前記空間との割り当ての関係により情報が定義されていることを特徴とする光学読み取り帳票。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−328637(P2007−328637A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160271(P2006−160271)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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