説明

帳票処理装置、帳票処理方法、プログラムおよび帳票処理システム

【課題】帳票の処理をより効率よく行うことができる帳票処理装置、方法、プログラムおよび帳票処理システムを提供する。
【解決手段】帳票画像を記憶する帳票画像記憶部と、前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部と、前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部と、を備える、帳票処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票処理装置、帳票処理方法、プログラムおよび帳票処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商業銀行業務を営む一般顧客を対象とした金融機関(商業銀行、証券会社、消費者金融事業者など)の集中事務センターなどで、振込票、および申込書などの帳票のイメージデータを基に複数の入力担当者がデータ入力作業を行っている。
【0003】
このようなデータ入力に関する技術として、例えば下記特許文献1では、セキュリティ確保やプライバシー保護のために、帳票のイメージデータを分割し、別々の入力担当者に振り分けてデータ入力作業を行わせるデータエントリシステムが開示されている。かかるデータエントリシステムでは、優先度のより高い帳票案件の個々の分割したイメージデータを優先して複数の入力担当者に振り分けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−5888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、分割されたイメージデータを複数の入力担当者に振り分るシステムでは、一人の入力担当者の作業遅れにより帳票の入力作業が完了しないという問題があった。上述した優先度に応じた振り分けを行っても、急いで入力作業を完了しなければならない案件などに柔軟に対応することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、帳票の処理をより効率よく行うことが可能な、新規かつ改良された帳票処理装置、帳票処理方法、プログラムおよび帳票処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、帳票画像を記憶する帳票画像記憶部と、前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部と、前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部と、を備える帳票処理装置が提供される。
【0008】
また、前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像の分割画像を前記分割画像記憶部から削除し、前記帳票画像を前記1の入力端末に送信してもよい。
【0009】
また、前記帳票処理装置は、前記入力端末から受信した前記分割画像に基づく入力データを記憶する入力データ記憶部をさらに備え、前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像および前記入力データを、前記1の入力端末に送信してもよい。
【0010】
また、前記帳票処理装置は、前記入力端末から受信した前記分割画像に基づく入力データを記憶する入力データ記憶部をさらに備え、前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像、および前記帳票画像のうち既に対応する入力データが受信された分割画像の識別情報を、前記1の入力端末に送信してもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記帳票画像に設定された優先度のレベルが、最も高い緊急レベルに設定された場合、前記帳票単位単独処理を選択してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、前記入力端末に送信した分割画像のうち、送信から一定時間経過後も前記送信した分割画像に対応する入力データが受信されない場合、前記帳票単位単独処理を選択してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割・分散処理、または、帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御するステップを含む帳票処理方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、帳票画像を記憶する帳票画像記憶部と、前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部と、前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部と、を有する帳票処理装置と、前記帳票処理装置から送信された画像を受信する受信部と、前記受信部により受信した画像を表示する表示部と、前記表示部による表示した画像に基づいて入力された入力データを前記帳票処理装置に送信する送信部と、を有する入力端末と、を備える帳票処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、帳票の処理をより効率よく行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による帳票処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】入力端末の外観外略図である。
【図3】分割分散処理時の入力端末における表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による帳票処理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による帳票イメージDBの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態による分割イメージDBの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による入力データDBの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態による進捗情報管理DBの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例1による動作処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1における帳票イメージデータに基づく入力画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施例2による動作処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例2における帳票イメージデータおよび入力データに基づく入力画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施例3による動作処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例3における帳票イメージデータおよび項目番号に基づく入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.帳票処理システムの概要
2.基本構成
3.動作処理
3−1.実施例1
3−2.実施例2
3−3.実施例3
4.まとめ
【0020】
本発明は、一例として「2.基本構成」〜「3.動作処理」において詳細に説明するような形態で実施され得る。また、本発明の実施形態による帳票処理サーバ20は、
(A)帳票画像を記憶する帳票画像記憶部(帳票イメージDB24)と、
(B)前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部(分割イメージDB25)と、
(C)前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像若しくは前記複数の分割画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部(入力処理制御部23)と、
を備える、帳票処理装置である。
【0021】
このような帳票処理サーバ20を用いた帳票処理システムについて、まず概要を説明してから、基本構成および動作処理について説明する。
【0022】
<1.帳票処理システムの概要>
図1は、本発明の実施形態による帳票処理システムの全体構成を示す図である。図1に示したように、本実施形態による帳票処理システムは、複数の登録端末10、集中事務センターなどに置かれる帳票処理サーバ20、複数の入力端末30、および運用管理端末40を備える。
【0023】
各店舗に置かれる複数の登録端末10は、帳票の画像データを読み取るスキャナを備える。登録端末10は、読み取った帳票イメージデータ(帳票画像)を、帳票処理サーバ20に送る。
【0024】
集中事務センターなどに置かれる帳票処理サーバ20は、各登録端末10から取得した帳票イメージデータの処理を行う。より具体的には、帳票イメージデータを複数に分割した分割イメージデータの各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、帳票イメージデータ若しくは分割イメージデータを1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する。
【0025】
入力端末30では、入力担当者により帳票の入力作業が行われる。より具体的には、図2に示すように、入力端末30の表示部301に表示される画面に従って入力担当者がキーボード303からデータ入力作業を行う。複数の入力端末30のうち、所定の入力端末は、緊急対応用入力端末31としても機能する。緊急対応用入力端末31は、緊急対応可能な入力担当者がログインしている入力端末であってもよいし、緊急対応可能と設定された入力端末であってもよい。
【0026】
運用管理端末40は、運用管理者により帳票の優先度変更操作が行なわれる。例えば、顧客からの問い合わせ等により帳票処理を緊急に行わなければならなくなった場合、運用管理者は、運用管理端末40から帳票処理サーバ20にアクセスし、帳票処理サーバ20が備える帳票ごとの優先度の設定を変更する。
【0027】
(本発明に至る過程)
通常、データ入力システムにおいては、帳票イメージデータを項目ごとに複数に分割した分割イメージデータの各々を、複数の入力端末のいずれかに送信する分割分散処理が行われる。分割分散処理が行われた場合の入力端末における表示画面例を図3に示す。図3に示すように、同じ項目、例えば金額欄の分割イメージデータ53が羅列され、その右側に金額の入力欄55が羅列される。入力担当者は、分割イメージデータ53を目視して入力欄に数字を入力する。または、分割イメージデータ53からOCRにより読み取った文字情報が入力欄55に表示され、入力担当者は分割イメージデータ53を目視して入力欄に表示される金額が正しいかの確認作業を行う。
【0028】
このように、分割分散処理においては、顧客のプライバシーが保護され、また、入力担当者は異なる帳票の同じ項目に関する入力作業を効率的に行うことができる。
【0029】
しかしながら、分割分散処理の場合、複数の入力端末で作業する入力担当者のうち1人でも入力作業が遅れると、その帳票の入力処理は完了しない。よって、急いで入力処理を完了させなければならない緊急事態が発生しても、分割分散処理のみでは柔軟に対応することが困難であった。特に緊急事態の場合は、1の入力端末で入力作業を完了させる帳票単位単独処理が適切である。
【0030】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態による帳票処理システムを創作するに至った。本発明の実施形態による帳票処理システムは、分割分散処理と帳票単位単独処理を選択的に制御することで、帳票の処理により柔軟に対応することが可能である。以下、このような本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
<2.基本構成>
本発明の実施形態による帳票処理システムでは、帳票処理サーバ20が帳票単位単独処理または分割分散処理を選択的に制御する。以下、帳票処理サーバ20の構成について図4を参照して説明する。
【0032】
図4は、本実施形態による帳票処理サーバ20の構成を示すブロック図である。図4に示すように、帳票処理サーバ20は、データ分割部21、帳票イメージDB24、分割イメージDB25、入力データDB26、進捗情報管理DB27、データ統合部22、および入力処理制御部23を備える。
【0033】
帳票イメージDB24は、各登録端末10から送信された帳票イメージデータを格納する。例えば、図5に示すように、「帳票番号」、「帳票種別」および「優先度」を「帳票イメージデータ」に関連付けて格納する。「帳票番号」は、帳票イメージデータに記載された番号をOCR(Optical Character Reader)により読み取ったものであってもよいし、登録端末10から付加情報として送信されたものであってもよい。「帳票種別」は、「帳票番号」に基づいて判断されたものであってもよいし、登録端末10から付加情報として送信されたものであってもよい。また、「優先度」は、「帳票種別」に応じて予め定められた優先度であってもよい。
【0034】
データ分割部21は、帳票イメージデータを複数に分割し、分割イメージデータを得る。具体的には、データ分割部21は、帳票中の銀行名欄、口座番号欄、氏名欄および金額欄などの項目ごとに帳票イメージデータを分割する。また、データ分割部21は、分割イメージデータに、基の帳票イメージデータの帳票種別に従って優先度を付加し、分割イメージDB25に格納する。例えば、データ分割部21は、図5に示す帳票番号653463の帳票イメージデータを複数に分割して得た分割イメージデータに、基の帳票イメージの帳票種別「振込」の優先度「A」を付加する。
【0035】
分割イメージDB25は、データ分割部21により複数に分割された分割イメージデータを格納する。例えば、図6に示すように、「帳票番号」、「項目番号」および「優先度」を「帳票分割イメージデータ」関連付けて格納する。「帳票番号」は、基の帳票イメージデータの帳票番号である。「項目番号」(分割画像の識別情報)は、帳票中の銀行名欄、口座番号欄、氏名欄および金額欄などの項目の番号である。「優先度」は、データ分割部21によって、基の帳票イメージデータの帳票種別に従って付加された優先度である。
【0036】
入力処理制御部23は、データ入力の分割分散処理または帳票単位単独処理を選択的に制御する。入力処理制御部23は、通常処理時においては分割分散処理を選択する。より具体的には、入力処理制御部23は、帳票イメージデータが複数に分割された分割イメージデータの各々を複数の入力端末のいずれかに送信する。このとき、入力処理制御部23は、複数の帳票イメージデータの分割イメージデータのうち同項目のデータを入力端末に送信してもよい。例えば、各帳票イメージデータの金額欄の分割イメージデータをまとめて入力端末に送信した場合、入力端末側では、図3に示すように金額欄の分割イメージデータが並べられる。
【0037】
また、入力処理制御部23は、緊急対応時等においては帳票単位単独処理を選択し、帳票のイメージデータを1の入力端末に送信する。帳票単位単独処理については後述する<3.動作処理>において詳細に説明する。
【0038】
入力データDB26は、各入力端末から送信された入力データを格納する。入力データは、例えば図7に示すように、「帳票番号」および「項目番号」と関連付けて格納される。
【0039】
進捗情報管理DB27は、入力処理の進捗情報を格納する。例えば、進捗情報管理DB27は、図8に示すように、「登録日時」、「帳票番号」、「項目番号」、「エントリ端末番号」、「エントリ開始時刻」、および「エントリ終了時刻」を格納する。「エントリ端末番号」は、項目ごとに分割された分割イメージデータを送信した先の入力端末の識別番号である。「エントリ開始時刻」は、分割イメージデータを入力端末に送信した時刻である。「エントリ終了時刻」は、送信した分割イメージデータに基づく入力データを入力端末から受信した時刻である。
【0040】
データ統合部22は、進捗情報管理DB27のデータを監視し、同じ帳票番号の全項目番号において「エントリ終了時刻」が格納された場合、入力データDB26から当該帳票番号の全項目番号の入力データを抽出して統合し、次の処理(ホストなど)に送る。
【0041】
以上、本実施形態による帳票処理サーバ20の構成について詳細に説明した。続いて、本実施形態による帳票処理システムにおいて、帳票単位単独処理が選択された場合の動作処理について複数の実施例を挙げて具体的に説明する。
【0042】
<3.動作処理>
帳票単位単独処理は、上述したように、急いで入力処理を完了させなければならない緊急事態が発生した場合などに行われる。より具体的なトリガとしては、図5に示した帳票の優先度が「S(緊急レベル)」に変更された場合である。例えば、ある帳票について顧客から問い合わせがあった場合、運用管理者は運用管理端末40から帳票処理サーバ20にアクセスする。そして、運用管理者は、運用管理端末40の画面で、問い合わせがあった帳票番号や顧客名などの情報に基づいて該当の帳票を検索する。該当する帳票が見つかると、運用管理者は、その優先度を「S(緊急レベル)」に変更する。以下、帳票の優先度が「S(緊急レベル)」に変更されたことをトリガとして行われる帳票単位単独処理について実施例1〜3を挙げて説明する。
【0043】
[3−1.実施例1]
実施例1では、帳票処理サーバ20は、帳票イメージデータ(基イメージデータ)を緊急対応用入力端末31に送信する。以下、実施例1による動作処理について図9を参照して説明する。
【0044】
図9は、実施例1による動作処理を示すフローチャートである。図9に示すように、まず、ステップS11において、帳票イメージDB24に格納される帳票の優先度が、運用管理者により「S(緊急レベル)」に変更される。次いで、ステップS12において、入力処理制御部23は、優先度が「S」に変更された帳票番号に基づいて、分割イメージDB25に格納される同帳票番号の分割イメージデータを全て削除する。
【0045】
次に、ステップS13において、入力処理制御部23は、削除した分割イメージデータの基イメージデータ、すなわち優先度が「S」に変更された帳票イメージデータを帳票イメージDB24から取り出す。続いて、ステップS14において、入力処理制御部23は、取り出した帳票イメージデータを緊急対応用入力端末31に送信する。
【0046】
次いで、ステップS15において、緊急対応用入力端末31側で帳票イメージデータに基づいた入力画面が表示され、入力担当者の操作によりデータ入力処理が行われる。ここで、本実施例による帳票イメージデータに基づいた入力画面について図10を参照して説明する。
【0047】
図10は、実施例1における帳票イメージデータに基づく入力画面の一例を示す図である。図10に示すように、入力画面61は、帳票イメージデータ全体を表示する帳票表示画面63と、各項目の入力欄を並べた入力欄画面65を含む。入力担当者は、帳票画面63を目視して、入力欄画面65の各項目の入力欄にデータを入力していく。また、入力画面61は、「緊急」と示す表示を含んでもよい。
【0048】
続いて、ステップS16において、緊急対応用入力端末31は、各入力欄に入力された入力データを、帳票処理サーバ20の入力処理制御部23に送信する。
【0049】
そして、ステップS17において、入力処理制御部23は、緊急対応用入力端末31から受信した入力データを次の処理(ホスト送信など)に送る。なお、本実施例では、緊急対応用入力端末31から送信される入力データは、帳票イメージデータの全項目の入力データであるので、データ統合部22による統合処理は行われない。
【0050】
以上説明したように、実施例1では、緊急対応が必要な帳票がある場合に、分割分散処理を取りやめ、該当する帳票の帳票イメージデータを1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択制御することで、より早く帳票の入力処理を完了させることができる。このように、1の入力端末に帳票イメージデータを送信する帳票単位単独処理は、分割分散処理のように一人の入力作業遅延によって帳票全体の入力処理の完了が遅れることを防止することができ、帳票全体の入力処理のスピード性、正確性が向上する。また、本実施例は、分割分散処理または帳票単位単独処理を状況に応じて選択的に制御することで、入力処理における様々な事態に柔軟に対応し、帳票の処理をより効率よく行うことができる。
【0051】
[3−2.実施例2]
上述した実施例1では、優先度が「S」に変更された帳票イメージデータを緊急対応用入力端末31に送信し、緊急対応用入力端末31において全項目の入力処理が行われる。この場合、優先度が「S」に変更される前に行われていた分割分散処理において既に入力処理が完了している項目があっても、帳票単位単独処理においては緊急対応用入力端末31で改めて全項目の入力処理が行われる。
【0052】
そこで、実施例2では、帳票処理サーバ20は、帳票イメージデータ(基イメージデータ)および既に入力処理が完了している項目の入力データを緊急対応用入力端末31に送信し、緊急対応用入力端末31では未処理の項目のみ入力処理を行う。これにより、実施例2では、緊急対応用入力端末31側での入力の負担を軽減することができる。以下、実施例2による動作処理について図11を参照して説明する。
【0053】
図11は、実施例2による動作処理を示すフローチャートである。図11に示すように、まず、ステップS21において、帳票イメージDB24に格納される帳票の優先度が、運用管理者により「S(緊急レベル)」に変更される。次いで、ステップS22において、入力処理制御部23は、優先度が「S」に変更された帳票番号の帳票イメージデータを帳票イメージDB24から取り出す。さらに、入力処理制御部23は、入力データDB26から、優先度が「S」に変更された帳票番号の各項目の入力データを取り出す。そして、入力処理制御部23は、帳票イメージデータ(基イメージデータ)および入力データを緊急対応入力端末31に送信する。
【0054】
次いで、ステップS23において、緊急対応用入力端末31側で帳票イメージデータおよび入力データに基づいた入力画面が表示され、ステップS24において、入力担当者の操作によりデータ入力処理が行われる。ここで、本実施例による帳票イメージデータおよび入力データに基づいた入力画面について図12を参照して説明する。
【0055】
図12は、実施例2における帳票イメージデータおよび入力データに基づく入力画面の一例を示す図である。図12に示すように、入力画面67は、帳票イメージデータの各項目の画像を表示する表示欄69、入力処理制御部23から送信された入力データを表示する入力欄71a、および未入力の入力欄71bを含む。
【0056】
図12に示すように、入力欄71aには、入力処理制御部23から送信された入力データが表示されるので、入力担当者は、空欄の入力欄71bのみ入力すればよく、入力作業負担が軽減される。
【0057】
続いて、ステップS25において、緊急対応用入力端末31は、全ての入力データを帳票処理サーバ20の入力処理制御部23に送信する。
【0058】
そして、ステップS26において、入力処理制御部23は、緊急対応用入力端末31から受信した入力データを次の処理(ホスト送信など)に送る。なお、本実施例では、緊急対応用入力端末31から送信される入力データは、帳票イメージデータの全項目の入力データであるので、データ統合部22による統合処理は行われない。
【0059】
また、実施例2では、実施例1(図9に示すS12)と異なり、優先度「S」に変更された帳票イメージデータの分割イメージデータは削除しない。なぜならば、実施例2では、分割イメージデータに基づいた入力データを利用するので、入力データのベリファイ作業用等のために、根拠となる分割イメージデータを保存しておく。
【0060】
以上説明したように、実施例2では、優先度が「S」に変更された帳票イメージデータのうち、既に入力処理が完了した項目がある場合、その項目の入力データを、帳票イメージデータと共に緊急対応用入力端末31に送信する。そして、緊急対応用入力端末31は、受信した入力データを入力画面に表示し、入力データのない項目の入力欄は空白にする。これにより、入力担当者は、まだ入力処理が完了していない項目のみ入力を行えばよいので、入力作業負担が軽減される。
【0061】
なお、本実施例では、帳票イメージデータおよび入力データに基づく入力画面の一例として図12を参照して説明したが、本実施例による入力画面はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、帳票イメージデータ全体を表示する帳票画面63と、入力欄を並べた入力欄画面65を含む入力画面61でもよい。なお、入力欄画面65では、既に入力処理が完了している項目の入力データが表示される。また、本実施例では、緊急対応用入力端末31に送信するイメージデータを、帳票イメージデータ(基イメージデータ)であると説明したが、図12のような入力画面の場合は分割イメージデータであってもよい。
【0062】
[3−3.実施例3]
上述した実施例1および実施例2では、緊急対応用入力端末31において帳票に記載された全ての顧客情報が表示される。しかし、セキュリティ確保やプライバシー保護のためには一部の情報を非表示にすることが望ましい。そこで、実施例3では、帳票処理サーバ20が帳票イメージデータ(基イメージデータ)およびデータ入力が完了した項目の項目番号を緊急対応用入力端末31に送信し、緊急対応用入力端末31において該当する項目を非表示にする。以下、実施例3による動作処理について図13を参照して説明する。
【0063】
図13は、実施例3による動作処理を示すフローチャートである。図13に示すように、まず、ステップS31において、帳票イメージDB24に格納される帳票の優先度が、運用管理者により「S(緊急レベル)」に変更される。
【0064】
次いで、ステップS32において、入力処理制御部23は、優先度が「S」に変更された帳票番号の帳票イメージデータを帳票イメージDB24から取り出す。さらに、入力処理制御部23は、入力データDB26や進捗情報管理DB27を参照し、優先度が「S」に変更された帳票番号の各項目のうち入力処理が完了している(入力データを既に有している)項目の項目番号を取り出す。そして、入力処理制御部23は、帳票イメージデータ(基イメージデータ)および項目番号を緊急対応入力端末31に送信する。
【0065】
次いで、ステップS33において、緊急対応用入力端末31側で帳票イメージデータおよび項目番号に基づいた入力画面が表示され、ステップS34において、入力担当者の操作によりデータ入力処理が行われる。ここで、本実施例による帳票イメージデータおよび項目番号に基づいた入力画面について図14を参照して説明する。
【0066】
図14は、実施例3における帳票イメージデータおよび項目番号に基づく入力画面の一例を示す図である。図14に示すように、緊急対応用入力端末31は、入力画面73のうち、入力処理制御部23から送信された項目番号に該当する欄75はグレーアウト表示し、内容は非表示とする。また、緊急対応用入力端末31は、かかる項目番号に該当しない表示欄79には、帳票イメージデータの各項目の画像を表示し、その入力欄77は空欄とする。
【0067】
このように、入力画面73において、既に入力処理が完了している項目の内容を非表示とすることで、入力担当者の入力作業負担を軽減させ、かつセキュリティ確保やプライバシー保護を実現することができる。
【0068】
続いて、ステップS35において、緊急対応用入力端末31は、入力データを帳票処理サーバ20の入力処理制御部23に送信する。
【0069】
次に、ステップS36において、入力処理制御部23は、受信した入力データを入力データDB26に格納するとともに、データ統合部22に当該入力データの帳票番号と緊急対応の指示を出力する。そして、ステップS37において、データ統合部22は、指示を受けた帳票番号の全ての入力データを入力データDB26から取り出し、次の処理(ホスト送信など)に送る。
【0070】
なお、本実施例では、帳票イメージデータおよび入力データに基づく入力画面の一例として図14を参照して説明したが、本実施例による入力画面はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、帳票イメージデータ全体を表示する帳票画面63と、入力欄を並べた入力欄画面65を含む入力画面61でもよい。なお、入力欄画面65では、既に入力処理が完了している項目をグレーアウト表示し、内容は非表示とする。また、本実施例では、緊急対応用入力端末31に送信するイメージデータを、帳票イメージデータ(基イメージデータ)であると説明したが、図12のような入力画面の場合は分割イメージデータであってもよい。
【0071】
また、実施例3では、実施例2において上述したように、優先度「S」に変更された帳票イメージデータの分割イメージデータは削除しない。実施例3でも、分割イメージデータに基づいた入力データを利用するので、入力データのベリファイ作業用等のために、根拠となる分割イメージデータを保存しておく。
【0072】
以上説明したように、実施例3では、緊急対応用入力端末31側で既に入力処理が完了している項目を非表示にすることで、入力担当者の入力作業負担を軽減させ、かつセキュリティ確保やプライバシー保護を実現することができる。
【0073】
ここで、実施例3では、既に入力処理が完了している項目をグレーアウト表示し、内容を非表示にしたが、緊急対応用入力端末31をある程度の権限を持つ者が操作することを想定した場合、帳票の内容を全て表示した方がよい場合もある。そこで、入力画面73において、既に入力処理が完了している項目を内容を表示しながらグレーアウトし、入力担当者による編集は不可としてもよい。
【0074】
[3−4.変更例]
上述した各実施例では、運用管理者により帳票の優先度が「S(緊急レベル)」に変更された場合をトリガとして帳票単位単独処理が選択制御される場合について説明したが、本実施形態による帳票単位単独処理のトリガはこれに限定されない。例えば、帳票単位単独処理のトリガは、入力端末30に分割イメージデータを送信後、一定時間経過しても入力データが入力端末30から送信されない場合でもよい。
【0075】
より具体的には、入力処理制御部23は、入力端末30に分割イメージデータを送信した場合、送信した分割イメージデータの「帳票番号」、「項目番号」および「エントリ端末番号」とともに、送信時刻を「エントリ開始時刻」として進捗情報管理DB27に登録する。
【0076】
次に、入力処理制御部23は、定期的に進捗情報管理DB27の「エントリ開始時刻」および「エントリ終了時刻」(入力端末から入力データを受信した時刻)を確認する。そして、入力処理制御部23は、「エントリ開始時刻」から一定時間(例えば、1時間)経過後も「エントリ終了時刻」が登録されていないものがある場合、その帳票番号をキーとして、帳票イメージDB24の該当する帳票番号の優先度を「S(緊急レベル)」に変更する。
【0077】
これにより、入力端末30に送信した分割イメージデータが何らかの事情により未処理となっている場合でも、自動的に優先度を「S」に変更し、帳票単位単独処理により入力作業を完了させることができる。
【0078】
<4.まとめ>
以上説明したように、実施例1による帳票処理システムによれば、状況に応じて分割分割分散処理または帳票単位単独処理を選択的に制御することで、帳票の処理をより効率よく行うことができる。また、帳票単位単独処理においては、帳票イメージデータを1の入力端末に送信することで、帳票全体の入力処理のスピード性および正確性が向上する。
【0079】
また、実施例2による帳票処理システムでは、既に入力処理が完了した項目の入力データを、帳票イメージデータと共に緊急対応用入力端末31に送信することで、入力作業負担を軽減することができる。
【0080】
また、実施例3による帳票システムでは、緊急対応用入力端末31側で、入力作業の必要がない項目を非表示にすることで、入力作業負担を軽減し、かつセキュリティ確保やプライバシー保護を実現することができる。
【0081】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、本実施形態では、入力端末でデータ入力作業が行われる例を説明したが、本発明による帳票処理システムは、データ入力作業の他、入力されたデータが正しいか否か確認するベリファイ作業や、役席者等による承認作業等が行われる場合に適用してもよい。
【0083】
また、本明細書の帳票処理システムにおける処理を示す各ステップは、必ずしも図示された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、図9に示すS12は、S13およびS14と並列的に処理されてもよい。
【0084】
また、図4のブロック図で示した、帳票処理サーバ20の各機能ブロックの処理を、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェアで実現することができる。また、これらハードウェアを、帳票処理サーバ20の各機能ブロックと同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 登録端末
20 帳票処理サーバ
21 データ分割部
22 データ統合部
23 入力処理制御部
24 帳票イメージDB
25 分割イメージDB
26 入力データDB
27 進捗情報管理DB
30 入力端末
31 緊急対応用入力端末
40 運用管理端末




【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票画像を記憶する帳票画像記憶部と、
前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部と、
前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部と、
を備える、帳票処理装置。
【請求項2】
前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像の分割画像を前記分割画像記憶部から削除し、前記帳票画像を前記1の入力端末に送信する、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項3】
前記帳票処理装置は、
前記入力端末から受信した前記分割画像に基づく入力データを記憶する入力データ記憶部をさらに備え、
前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像および前記入力データを、前記1の入力端末に送信する、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項4】
前記帳票処理装置は、
前記入力端末から受信した前記分割画像に基づく入力データを記憶する入力データ記憶部をさらに備え、
前記帳票単位単独処理は、前記帳票画像、および前記帳票画像のうち既に対応する入力データが受信された分割画像の識別情報を、前記1の入力端末に送信する、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記帳票画像に設定された優先度のレベルが、最も高い緊急レベルに設定された場合、前記帳票単位単独処理を選択する、請求項1から4のいずれか1項に記載の帳票処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記入力端末に送信した分割画像のうち、送信から一定時間経過後も前記送信した分割画像に対応する入力データが受信されない場合、前記帳票単位単独処理を選択する、請求項1から5のいずれか1項に記載の帳票処理装置。
【請求項7】
帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御するステップを含む、帳票処理方法。
【請求項8】
帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
帳票画像を記憶する帳票画像記憶部と;
前記帳票画像を複数に分割して得られる複数の分割画像を記憶する分割画像記憶部と;
前記複数の分割画像の各々を複数の入力端末のうちいずれかの入力端末に送信する分割分散処理、または、前記帳票画像を1の入力端末に送信する帳票単位単独処理を選択的に制御する制御部と;
を有する帳票処理装置と、
前記帳票処理装置から送信された画像を受信する受信部と;
前記受信部により受信した画像を表示する表示部と;
前記表示部による表示した画像に基づいて入力された入力データを前記帳票処理装置に送信する送信部と;
を有する入力端末と、
を備える、帳票処理システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−47912(P2013−47912A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186510(P2011−186510)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)