説明

帳票印字装置

【課題】 特に銀行等の金融機関の窓口にて使用される記帳印字装置として好適であり、複数の顧客分の通帳または伝票の同時印字を可能とすることで、業務能率を高める。
【解決手段】 搬送路2の途中にその終端部が排出口5となっている分岐搬送路4を設け、この分岐搬送路4の途中に最初の第1番目の通帳20を印字する第1の印字機構部8を配置し、搬送路2と分岐搬送路4の分岐点に搬送路切換用のゲート3を設けて、搬送路2の終端部に後続する第2番目の通帳21を印字する第2の印字機構部10を配置している。ゲート3から第2の印字機構部10に至る部分の搬送路の一部は待機誘導路6である。この待機誘導路6に到達した先行する第1番目の通帳20をそこで一時待機させ、ゲート切換により分岐搬送路4に送り込む。すなわち、第1番目の通帳20と第2番目の通帳21に対して1台の装置内でほぼ同時に印字する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に銀行や郵便局など金融機関窓口等で顧客の通帳およびそれに係る伝票等の帳票に印字を行う帳票印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種帳票印字装置として提案されたものに、例えば特開平4−62079号公報に記載の装置がある。一般に、この装置を含む従来の帳票印字装置においては、印字機構部としては単に1つのみが設けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金融機関で業務処理の多い通帳と伝票を一組にして印字したり、複数の顧客の通帳を印字処理する場合、従来からの帳票印字装置では、1つの印字機構部で順に通帳または伝票を投入し、1つの通帳または伝票の印字処理終了後、次の通帳または伝票を印字するといった処理を行っている。そのため、処理時間が長引く不都合がある。
【0004】係る不具合を解消するために、装置の複数台で対応する処置がとられてはいるが、それだけ設備費が嵩む問題がある。
【0005】したがって、本発明の目的は、複数の顧客分の通帳または伝票の同時印字を可能とすることで、業務能率を格段に高めることができる帳票印字装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による帳票印字装置は、帳票を投入口から投入して搬送路で移送する間に印字処理して排出口から排出する装置であって、前記搬送路の途中から分岐したその終端部が前記排出口となっている分岐搬送路を有し、この分岐搬送路の途中に前記帳票の先行するものに印字する第1の印字機構部を配置するともに、前記搬送路の終端部に前記帳票の後続のものに印字する第2の印字機構部を配置してなっている。
【0007】搬送路と分岐搬送路の分岐点に搬送路切換用のゲートを設けて、このゲートから第2の印字機構部に至る部分の搬送路の一部を待機誘導路として設け、この待機誘導路に到達した先行する帳票を第1番目とした場合に、この第1番目の帳票を待機誘導路で一時待機させてゲートの切換作動により分岐搬送路に送り込むように構成している。
【0008】この場合、第1番目の帳票が待機誘導路で一時待機中に後続の帳票を投入口から投入するとともに、ゲートの切換作動により第1番目の帳票が分岐搬送路に入るようにしている。また、後続の帳票が第2番目である場合、待機誘導路を経由して第2の印字機構部に送り込むようになっている。
【0009】すなわち、第2番目の帳票に続く第3番目、第4番目の後続の複数の帳票を印字対象とする場合は、第1番目と前記第3番目に後続の他の奇数番帳票は分岐搬送路における第1の印字機構部に送って処理を行い、第2番目と第4番目に後続の他の偶数番帳票は第2の印字機構部に送って処理を行う。
【0010】また、本装置においては、帳票に書き込まれている磁気情報を読み取る磁気情報読取り部を搬送路に設け、第1の印字機構部の下流側の分岐搬送路に印字終了後の帳票に対して情報を書き込む磁気情報書き込み部を設けて構成している。
【0011】したがって、以上の構成により、先に投入した帳票がゲートで搬送方向を切り替えられた後、ただちに次の帳票が投入でき、先行して投入した帳票と後続の帳票をほぼ同時に印字する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による帳票印字装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図1は、本実施の形態による装置の構成を示す側面断面図である。通帳または伝票等の帳票を挿入する投入口1を有し、この投入口1に続いて搬送路2が設けられている。搬送路2の途中にはゲート3が設けられ、このゲート3を介して搬送路2から分岐搬送路4が分岐して設けられている。分岐搬送路4の終端下流側は、印字済みの帳票を排出する排出口5となっている。また、ゲート3から下流側は待機誘導路6として形成されている。
【0014】搬送路2、分岐搬送路4および待機誘導路6の3つの搬送系は、それぞれ独立した駆動機構から動力を受け、制御部によってそれらの作動を制御される。
【0015】一方、投入口1からゲート3に向かう搬送路2上には、搬送中の帳票に設けた例えば磁気ストライプに書き込まれている顧客情報等の情報を読み出して検出する磁気情報読み取り部7が配置されている。また、分岐搬送路4においては、ゲート3から下流側排出口5に向かって順に第1の印字機構部8と、ここで印字処理された帳票に対して必要な情報を書き込む磁気情報書き込み部9が配置されている。さらに、上記待機誘導路6の下流側には第2の印字機構部10が配置されている。
【0016】次に、以上の構成による動作および作用について、図1と、図2〜図7を参照して説明する。
【0017】まず、図1および図2に示すように、第1番目として投入ロ1から投入された最初の顧客の例えば通帳20は、搬送路2により搬送されて磁気情報読み取り部7に達する。ここで、第1番目の通帳20上の磁気ストライプ部に書き込まれている顧客に関する情報を読み出す。
【0018】情報を読み出された第1番目の通帳20は、図3に示すように、ゲート3を通過すると待機誘導路6で停止して一時待機する。この状態で、第2番目の通帳21が存在すれば、投入口1からの続投が可能になる。
【0019】第1番目の通帳20が待機誘導路6に入ると、ゲート5を作動させて切り替える。一時待機中の第1番目の通帳20を後退させ、再びゲート5を通過させて分岐路4に入れる。第1番目の通帳20が分岐搬送路4途中の第1の印字機構部8に達すると、ここで通帳記帳に必要な日付、取引金額および残高等の記帳項目を印字する(図4参照)。
【0020】磁気情報読み取り部7で情報を読み取られた第2番目の通帳21がゲート3を通過すると、図4に示すように、そのまま待機誘導路6を作動させて経由し、第2の印字機構部10に直行させる。ここで、第2番目の通帳21に必要な記帳項目を印字する。
【0021】この間、分岐搬送路4における第1の印字機構部8で印字を終えた第1番目の通帳20は、図6に示すように、磁気情報書き込み部9において磁気情報による書き込みを行い、ここを通過後は排出口5から排出される(図7参照)。
【0022】すなわち、第1番目の通帳20は、投入口1から排出口5に至る間に、図1中の矢印順に■→■→■→■→■→■→■→■を経る間に印字される。
【0023】一方、第2番目の通帳21は、図4のように第2の印字機構部10で印字を終了すると、待機誘導路6を経てゲート3に再び向かい、図5に示すように、このゲート3の切換作動によって分岐搬送路4に入る。この場合、第2番目の通帳21は第1の印字機構部10を素通りし、磁気情報書き込み部9において磁気情報による書き込みを行い、その後に排出口5から排出される。
【0024】なお、図4に示すように、第2番目の通帳21が第2の印字機構部10にて印字中、第3番目の通帳22が存在する場合がある。このとき、図5のように第2番目の通帳21が印字終了後にゲート3から分岐路4に入った時点で、第3番目の通帳22が投入口1から投入可能となるようになっている。この第3番目の通帳22の場合、印字は第1番目の通帳20と同様に分岐路4にて第1の印字機構部8で行われる。
【0025】さらに、第4番目、第5番目・・・と通帳が後続する場合、同様な手順によって奇数番の通帳は第1の印字機構部8にて印字が行われ、偶数番の通帳は第2の印字機構部10にて交互に印字を行うことができる。ただし、プログラム制御によって、そうした奇数番と偶数番の通帳を印字する機構部が必ずしも上記第1,第2の印字機構部8,10に指定されている訳ではなく、いずれの印字機構部で印字することも可能である。
【0026】なお、本実施の形態では、印字対象の帳票が顧客情報の書き込まれた磁気ストライプを有する通帳で示されたが、これに限定されない。印字対象が伝票の場合、磁気ストライプは存在しないから、この場合は磁気情報読み取り部と書き込み部7,9にての読み取りおよび書き込み処理は行われない。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による帳票印字装置は、複数の通帳または伝票等による帳票に対して印字により記帳処理する場合でも、それら通帳等の複数を同時印字が可能であり、従来のように先行の通帳等が印字処理を終了して排出されるまで後続の通帳等の処理を待機させるといった時間的ロスが解消され、特に銀行等における窓口業務の印字処理時間が大幅に短縮される。また、従来のように、処理能力を高めるべく複数台の装置を設置することで、設備コストが高騰する不具合も、1台の装置の設置で済む利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による帳票印字装置の実施の形態の構成を示す側面断面図である。
【図2】本実施の形態の装置による第1番目の通帳の投入による印字動作を示す側面断面図である。
【図3】本実施の形態の装置による第1番目の通帳の投入に連続して第2番目の通帳の投入を可能にする態様を示す側面断面図である。
【図4】本実施の形態の装置による第1番目の通帳の印字と第2番目の通帳の印字の態様を示す側面断面図である。
【図5】本実施の形態の装置による第1,第2番目の各通帳に続いて第3番目の通帳の投入態様を示す側面断面図である。
【図6】本実施の形態の装置による第2番目の通帳の印字中に第3番目の通帳の投入態様を示す側面断面図である。
【図7】本実施の形態の装置による第1番目の通帳の印字と情報書き込みを終了して排出口から排出する態様を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 通帳投入口
2 搬送路
3 搬送路切換用ゲート
4 分岐搬送路
5 通帳排出口
6 待機誘導路
7 磁気情報読み取り部
8 第1の印字機構部
9 磁気情報書き込み部
10 第2の印字機構部
20〜21 第1〜第3番目の通帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】帳票を投入口から投入して搬送路で移送する間に印字処理して排出口から排出する帳票印字装置であって、前記搬送路の途中から分岐したその終端部が前記排出口となっている分岐搬送路を有し、この分岐搬送路の途中に前記帳票の先行するものに印字する第1の印字機構部を配置するともに、前記搬送路の終端部に前記帳票の後続のものに印字する第2の印字機構部を配置してなっていることを特徴とする帳票印字装置。
【請求項2】前記搬送路と前記分岐搬送路の分岐点に搬送路切換用のゲートを設けて、このゲートから前記第2の印字機構部に至る部分の前記搬送路の一部を待機誘導路として設け、この待機誘導路に到達した前記先行の帳票を第1番目とした場合に、この第1番目の帳票を前記待機誘導路で一時待機させて前記ゲートの切換作動により前記分岐搬送路に送り込むように構成したことを特徴とする請求項1に記載の帳票印字装置。
【請求項3】前記第1番目の帳票が前記待機誘導路で一時待機中に前記後続の帳票を前記投入口から投入するとともに、前記ゲートの切換作動により前記第1番目の帳票が前記分岐搬送路に入るように構成したことを特徴とする請求項2に記載の帳票印字装置。
【請求項4】前記後続の帳票が第2番目である場合、前記待機誘導路を経由して前記第2の印字機構部に送り込むように構成したことを特徴とする請求項2または3に記載の帳票印字装置。
【請求項5】前記第2番目の帳票に続く第3番目、第4番目の後続の複数の帳票を印字対象とする場合は、前記第1番目と前記第3番目に後続の他の奇数番帳票は前記分岐搬送路における第1の印字機構部に送って処理を行い、前記第2番目と第4番目に後続の他の偶数番帳票は前記第2の印字機構部に送って処理を行うように構成したことを特徴とする請求項4に記載の帳票印字装置。
【請求項6】前記帳票に書き込まれている磁気情報を読み取る磁気情報読取り部を前記搬送路に設けるとともに、前記第1の印字機構部の下流側の前記分岐搬送路に印字終了後の前記帳票に対して情報を書き込む磁気情報書き込み部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帳票印字装置。
【請求項7】前記帳票が通帳であり、前記磁気情報読取り部と前記磁気情報書き込み部によって磁気情報が読み取り/書き込み可能な磁気ストライプが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帳票印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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