説明

帳票確認支援装置、方法及びプログラム

【課題】地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、前記帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現する。
【解決手段】地紋が付加された小切手等の帳票を読み取り画像を確認してデータベースに登録するにあたり、帳票画像((A)参照)から異なる閾値で二値化することで地紋付加二値画像((C)参照)と地紋除去二値画像((B)参照)を各々生成し、地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像から、地紋付加二値画像でのみ黒画素となっている画素の色を、地紋除去二値画像で黒画素となっている画素の色と相違させた合成画像を生成し、ディスプレイに表示させる。画像確認が完了した後、地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像の画像データをデータベースに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帳票確認支援装置、方法及びプログラムに係り、特に、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた前記帳票の画像の確認を支援する帳票確認支援装置、当該帳票確認支援装置に適用可能な帳票確認支援方法、及び、コンピュータを帳票確認支援装置として機能させるための帳票確認支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、読取装置で帳票を読み取り、当該読み取りによって得られた帳票の画像をデータベースに登録しておき、必要に応じて帳票の画像をデータベースから読み出して表示部に表示させ、帳票の内容確認に供するイメージファイリングシステムが知られている。但し、この種のイメージファイリングシステムでの取扱対象の帳票の1つである小切手や為替手形等の帳票には、当該帳票の原本性や真正性の明示等を目的として、下地に地紋が付加されている。
【0003】
地紋が付加された帳票を取り扱う技術として、例えば特許文献1には、地紋や罫線、印影等がある保険証に対する文字認識に際し、保険証を撮像した保険証画像から地紋を検出して除去し、罫線を検出して除去し、印影を検出して除去する前処理を行う技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、原稿画像に地紋画像を適用して印刷する前に、本来は複写によって顕在化する地紋パターンのうち、原稿画像と重なりを持たない地紋パターンを薄い灰色で表示し、原稿画像と重なりを持つ地紋パターンを赤で表示することで、ページ全体に対し、複写によって顕在化する地紋パターンと原稿画像とが重なる割合を利用者に認識させ、地紋画像と原稿画像との重なりに関する調整を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−140703号公報
【特許文献2】特開2007−110325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イメージファイリングシステムでは、データベースの容量削減等を目的として、帳票の画像は二値画像として登録されることが多い。しかし、地紋が付加された帳票の二値画像を表示部に単に表示すると、帳票の画像の全面に地紋が分布していることで、帳票に記載された情報の確認が困難になるという課題がある。
【0007】
上記課題に対しては、例えば特許文献1に記載の技術のように、地紋が付加された帳票の画像から地紋を除去して表示することが考えられる。しかしこの場合、画像として表示した小切手や為替手形等の帳票に付加されていた地紋を画像上で確認できず、前記帳票の原本性や真正性の確認が困難になるので好ましくない。
【0008】
また特許文献2に記載の技術は、原稿画像と地紋画像とがデータとして分離され、地紋画像を自由に編集して地紋パターンとして表示可能な状態を前提とした技術であり、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られる帳票の画像を表示部に表示する際には適用できない。
【0009】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、前記帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現できる帳票確認支援装置、帳票確認支援方法及び帳票確認支援プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明に係る帳票確認支援装置は、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成する生成手段と、前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させる表示制御手段と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項1記載の発明では、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、生成手段により、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り地紋が付加された地紋付加画像と、二値画像から成り地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成する。そして表示制御手段は、地紋付加画像及び地紋除去画像を、地紋付加画像でのみ第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、地紋除去画像で第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、合成画像を表示部に表示させる。
【0012】
上記処理により、表示制御手段によって表示部に表示される合成画像は、地紋付加画像でのみ第2の値を示している画素と、地紋付加画像及び地紋除去画像で第2の値を示している画素と、の色及び濃度の少なくとも一方が相違された画像となる。このため、表示部に表示された合成画像を参照した参照者が、合成画像として表示された帳票に記載された情報と、前記帳票に付加された地紋と、を、色及び濃度の少なくとも一方の相違に基づき区別して認識することができ、帳票に記載された情報の内容等を確認すると共に、帳票に付加された地紋が正規の地紋か否か等に基づいて帳票の原本性・真正性を確認することが可能となる。また、地紋付加画像及び地紋除去画像は何れも二値画像であるので、各画像のデータ量も抑制され、帳票画像として多階調の画像データを登録する場合よりもデータベースの容量を削減できる。
【0013】
従って、請求項1記載の発明によれば、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、前記帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現することができる。
【0014】
なお、請求項1記載の発明において、表示制御手段は、例えば請求項2に記載したように、合成画像として、地紋付加画像で第2の値を示している画素のうち、地紋除去画像でも前記第2の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第1の合成画像を生成し、生成した第1の合成画像を表示部に表示させるように構成してもよい。この場合、地紋付加画像及び地紋除去画像で各々第2の値を示している画素(帳票に記載された文字等に相当する画素)についてのみ、色及び濃度の少なくとも一方が変更されることになる。
【0015】
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、表示制御手段は、例えば請求項3に記載したように、合成画像として、地紋付加画像で前記第2の値を示している画素のうち、地紋除去画像では第1の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第2の合成画像を生成し、生成した第2の合成画像を表示部に表示させるように構成してもよい。この場合、地紋付加画像では第2の値を示し地紋除去画像では第1の値を示している画素(地紋に相当する画素のうち帳票に記載された文字等と重なっていない画素)についてのみ、色及び濃度の少なくとも一方が変更されることになる。
【0016】
また、第1の合成画像と第2の合成画像は色及び濃度の少なくとも一方を変更する画素が異なり、帳票に記載された情報に対する視認性と帳票に付加されている地紋に対する視認性が相違していることから、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、表示制御手段は、例えば請求項4に記載したように、合成画像として、地紋付加画像で第2の値を示している画素のうち、地紋除去画像でも第2の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第1の合成画像を生成すると共に、地紋付加画像で第2の値を示している画素のうち、地紋除去画像では第1の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第2の合成画像を生成し、生成した第1の合成画像及び第2の合成画像を選択的又は並列に表示部に表示させるように構成してもよい。
【0017】
この場合、帳票に記載された情報の内容等を確認するか、帳票に付加されている地紋を確認するかに応じて、参照対象の合成画像を第1の合成画像又は第2の合成画像へ切り替えることが可能となり、表示部に表示された合成画像を参照して帳票を確認する作業の精度を向上させることができる。
【0018】
また、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、表示制御手段によって表示部に表示された合成画像に基づく帳票の確認が完了すると、記憶手段に記憶されたデータベースに、帳票の画像として地紋付加画像及び地紋除去画像を各々登録する登録手段を設けてもよい。
【0019】
また、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の発明において、読取装置が帳票を多階調の画像として読み取る場合、生成手段は、例えば請求項6に記載したように、読取装置によって帳票が読み取られることで得られた多階調の画像データを互いに異なる閾値で二値化することで、多階調の画像データから地紋付加画像及び地紋除去画像を各々生成するように構成することができる。
【0020】
請求項7記載の発明に係る帳票確認支援方法は、生成手段は、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成し、表示制御手段は、前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させるので、請求項1記載の発明と同様に、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現することができる。
【0021】
請求項8記載の発明に係る帳票確認支援プログラムは、コンピュータを、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成する生成手段、及び、前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させる表示制御手段として機能させる。
【0022】
請求項9記載の発明に係る帳票確認支援プログラムは、コンピュータを、上記の生成手段、表示制御手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項9記載の発明に係る帳票確認支援プログラムを実行することで、コンピュータが請求項1に記載の帳票確認支援装置として機能することになり、請求項1記載の発明と同様に、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明は、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、データベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り地紋が付加された地紋付加画像と、二値画像から成り地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成し、地紋付加画像及び地紋除去画像を、地紋付加画像における第2の値の画素と、地紋除去画像における第2の値の画素と、の色及び濃度の少なくとも一方を相違させた単一の合成画像として合成し、表示部に表示させるようにしたので、地紋が付加された帳票を読み取ることで得られた画像を、帳票を容易に確認可能に表示することを、画像のデータ量を抑制しつつ実現できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】イメージファイリングシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】帳票確認登録処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】(A)は帳票画像、(B)は地紋除去画像、(C)は地紋付加画像の一例を各々示すイメージ図である。
【図4】第1の合成画像の生成を説明するためのイメージ図である。
【図5】第2の合成画像の生成を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るイメージファイリングシステム10が示されている。イメージファイリングシステム10は金融機関に設置され、小切手や為替手形等の帳票を読み取り、当該読み取りによって得られた帳票の画像データをデータベースに登録するためのコンピュータ・システムである。イメージファイリングシステム10は、スキャナから成る帳票読取装置12が接続され帳票確認登録作業等を行うためのエントリPC(Personal Computer)14と、帳票の画像データを登録するための帳票DB(データベース)28を管理する帳票管理サーバ24と、が通信ネットワーク30を介して互いに接続されて構成されている。なお、図1にはエントリPC14を1台のみ示しているが、実際には複数台設けられている。
【0026】
帳票読取装置12及びエントリPC14は、例えば金融機関の営業店等に設置されている。金融機関の営業店には、小切手や為替手形等のように帳票の原本性や真正性の明示等を目的として地紋が付加された帳票が持ち込まれる。帳票読取装置12は、金融機関の営業店に持ち込まれた小切手や為替手形等の帳票を光学的に読み取り、当該読み取りによって得られた帳票の画像データをエントリPC14へ出力する。
【0027】
エントリPC14は、CPU14A、メモリ14B、HDD(Hard Disk Drive)或いはフラッシュメモリを含む不揮発性の記憶部14C、通信I/F(InterFace)部14Dを備えている。メモリ14Bの一部領域は画像バッファ16として用いられ、エントリPC14は、帳票読取装置12から入力された帳票画像のデータを画像バッファ16に記憶させる。なお、画像バッファ16には後述する地紋付加画像や地紋除去画像等も記憶される。記憶部14CにはエントリPC14で帳票確認登録処理を行うための帳票確認登録プログラムが記憶されている。この帳票確認登録プログラムは帳票確認支援プログラムの一例であり、CPU14Aが帳票確認登録プログラムを実行することで、エントリPC14は帳票確認支援装置の一例として機能する。また、エントリPC14には、表示部の一例としてのディスプレイ18、マウス20及びキーボード22が各々接続されている。
【0028】
帳票管理サーバ24は金融機関の事務センタ等に設置されている。帳票管理サーバ24は記憶部26を備えており、記憶部26には前述の帳票DB28が記憶されている。帳票管理サーバ24は、エントリPC14から帳票の画像データを受信する度に、受信した画像データを帳票DB28に登録する。
【0029】
次に本実施形態の作用を説明する。一例として図3(A)に示すように、金融機関の営業店に持ち込まれる小切手や為替手形等の帳票は、帳票の原本性や真正性の明示するための地紋が予め印刷された用紙に、帳票の内容を表す文字等(オブジェクト)が印刷されている。なお、図3(A)では地紋の一例として、文字「地紋」がマトリクス状に多数配列された例が示されているが、帳票に付加される地紋はこの例に限られるものではない。
【0030】
金融機関では、営業店に持ち込まれた小切手や為替手形等の帳票を保管するが、当該帳票に関連する金融取引を行う等の場合には、関連する帳票の記載内容を確認する等の作業を行う必要がある。しかし、金融機関の営業店には小切手や為替手形等の帳票が多数持ち込まれるので、保管している帳票の中から目的の帳票を探し出す作業は非常に煩雑である。また、帳票の確認が必要となる度に帳票を取り出す作業を繰り返すことで、帳票の汚損や紛失等が生じる恐れもある。
【0031】
このため、イメージファイリングシステム10が設置された金融機関の営業店では、小切手や為替手形等の帳票が持ち込まれる都度、持ち込まれた帳票を帳票読取装置12によって読み取り、当該読み取りで得られた帳票の画像データを確認し、帳票DB28に登録する帳票確認登録作業が行われる。帳票確認登録作業を経た帳票は、以後原本として保管され、帳票の記載内容の確認等は帳票DB28に登録された帳票の画像を参照することによって為される。これにより、帳票原本の汚損や紛失等が生じることが抑制される。
【0032】
次に、金融機関の営業店で上述の帳票確認登録作業が行われる際に、エントリPC14で実行される帳票確認登録処理について、図2を参照して説明する。
【0033】
帳票確認登録処理のステップ50において、エントリPC14は、帳票読取装置12にセットされた処理対象の帳票(金融機関の営業店に持ち込まれた小切手や為替手形等の帳票)を帳票読取装置12によって読み取らせる。帳票読取装置12による帳票の読み取りに伴い、帳票読取装置12からは、図3(A)に示すような帳票を1画素当り複数ビットのデータで表す多階調の帳票画像データがエントリPC14へ出力される。エントリPC14は、帳票の読み取りに伴って帳票読取装置12から入力された帳票画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0034】
次のステップ52において、エントリPC14は、画像バッファ16に記憶させた多階調の帳票画像データを地紋付加画像用の閾値で二値化することで、図3(A)に示すような帳票を1画素当り1ビットのデータで表す地紋付加二値画像(一例を図3(C)に示す)の画像データを生成する。なお、地紋付加画像用の閾値は、帳票画像の各画素のうち、下地に相当する画素が白画素(に相当する第1の値)となり、帳票の内容を表す文字等(オブジェクト)に相当する画素及び地紋に相当する画素が黒画素(に相当する第2の値)となる閾値であればよい。このため、地紋付加画像用の閾値は、例えば予め固定的に設定しておいてもよいし、例えば帳票画像の濃度ヒストグラムを作成し、作成した濃度ヒストグラムに基づいて設定するようにしてもよい。そしてエントリPC14は、生成した地紋付加二値画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0035】
次のステップ54において、エントリPC14は、画像バッファ16に記憶させた帳票画像データを地紋除去画像用の閾値で二値化することで、図3(A)に示すような帳票を1画素当り1ビットのデータで表す地紋除去二値画像(一例を図3(B)に示す)の画像データを生成する。なお、地紋除去画像用の閾値は、帳票画像の各画素のうち、下地に相当する画素及び地紋に相当する画素が白画素(に相当する第1の値)となり、帳票の内容を表す文字等(オブジェクト)に相当する画素が黒画素(に相当する第2の値)となる閾値であればよい。このため、地紋除去画像用の閾値についても、例えば予め固定的に設定しておいてもよいし、例えば帳票画像の濃度ヒストグラムを作成し、作成した濃度ヒストグラムに基づいて設定するようにしてもよい。そしてエントリPC14は、生成した地紋除去二値画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0036】
またステップ56において、エントリPC14は、ステップ54で生成して画像データを画像バッファ16に記憶させた地紋除去二値画像上で黒画素(に相当する第2の値の画素)となっている画素の色を第1の所定色へ変更した色変更地紋除去画像(一例を図4(A)に示す)の画像データを生成する。なお、第1の所定色は、地紋付加二値画像上で黒画素(に相当する第2の値の画素)となっている画素に割り当てる表示色と視覚的に明瞭に異なる色(例えば前記表示色と色座標上での距離が一定距離以上の色)であればよい。そしてエントリPC14は、生成した色変更地紋除去画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0037】
またステップ58において、エントリPC14は、ステップ52で生成して画像データを画像バッファ16に記憶させた地紋付加二値画像の各画素のうち、ステップ56の色変更地紋除去画像の生成に際して色を変更した画素(地紋除去二値画像上で黒画素となっている画素)に対応する画素の色を第1の所定色へ変更する。これにより、地紋付加二値画像上では黒画素で、地紋除去二値画像上では白画素となっている画素の色が、地紋除去二値画像上で黒画素となっている画素の色と相違するように、地紋除去二値画像と地紋付加二値画像を合成した第1の合成画像(一例を図4(C)に示す)の画像データが生成される。
【0038】
なお、上記の第1の合成画像は、より詳しくは、地紋付加二値画像上で第2の値を示す黒画素で、地紋除去二値画像上でも第2の値を示す黒画素となっている画素についてのみ、表示色が第1の所定色へ変更された画像であり、請求項1等に記載の合成画像、請求項2,4に記載の第1の合成画像の一例である。また、色変更地紋除去画像及び第1の合成画像の画像データは、帳票DB28に登録しないのでデータ量の抑制を考慮する必要はなく、多階調のカラー画像データであってもよい。そしてエントリPC14は、生成した第1の合成画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0039】
次のステップ60において、エントリPC14は、ステップ52で生成して画像データを画像バッファ16に記憶させた地紋付加二値画像上で黒画素(に相当する第2の値の画素)となっている画素の色を第2の所定色へ変更した色変更地紋付加画像(一例を図5(A)に示す)の画像データを生成する。なお、第2の所定色は、地紋除去二値画像上で黒画素となっている画素(黒画素に相当する第2の値を示す画素)に割り当てる表示色と視覚的に明瞭に異なる色(例えば前記表示色と色座標上での距離が一定距離以上の色)であればよく、第1の所定色と同一色であってもよい。そしてエントリPC14は、生成した色変更地紋付加画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0040】
またステップ62において、エントリPC14は、ステップ60で生成した色変更地紋付加画像の第2の所定色の画素のうち、ステップ54で生成した地紋付加二値画像上で黒画素となっている画素の色を、第2の所定色から元の色(地紋除去二値画像上で黒画素となっている画素に割り当てる表示色)へ変更する。これにより、地紋付加二値画像上では黒画素で、地紋除去二値画像上では白画素となっている画素の色が、地紋除去二値画像上で黒画素となっている画素の色と相違するように、地紋除去二値画像と地紋付加二値画像を合成した第2の合成画像(一例を図5(C)に示す)の画像データが生成される。
【0041】
なお、上記の第2の合成画像は、より詳しくは、地紋付加二値画像上では第2の値を示す黒画素で、地紋除去二値画像上では第1の値を示す白画素となっている画素についてのみ、表示色が第2の所定色へ変更された画像であり、請求項1等に記載の合成画像、請求項3,4に記載の第2の合成画像の一例である。また、色変更地紋付加画像及び第2の合成画像の画像データについても、帳票DB28に登録しないのでデータ量の抑制を考慮する必要はなく、多階調のカラー画像データであってもよい。そしてエントリPC14は、生成した第2の合成画像の画像データを画像バッファ16に記憶させる。
【0042】
次のステップ64において、エントリPC14は、画像データを画像バッファ16に記憶させた第1の合成画像及び第2の合成画像をディスプレイ18に各々表示させる。なお、ディスプレイ18への合成画像の表示は、第1の合成画像及び第2の合成画像をディスプレイ18に並列に(同時に)表示させるようにしてもよい。また、第1の合成画像及び第2の合成画像の一方をディスプレイ18に表示させると共に、表示切替が指示される度に、ディスプレイ18に表示させる合成画像を、第1の合成画像及び第2の合成画像の他方へ切り替えるようにしてもよい。
【0043】
図4(C)に示す第1の合成画像と図5(C)に示す第2の合成画像を比較しても明らかなように、第1の合成画像及び第2の合成画像は、帳票に記載された情報の視認し易さ及び帳票に付加された地紋の視認し易さが互いに相違している。このため、帳票確認登録作業を行うオペレータは、ディスプレイ18に表示された第1の合成画像及び第2の合成画像を各々参照することで、帳票に記載された情報の内容を確認すると共に、帳票に付加された地紋を確認することを容易に行うことができる。
【0044】
次のステップ66において、エントリPC14は、ディスプレイ18にメッセージを表示させる等により、帳票の画像を帳票DB28に登録するか否かをオペレータへ問い合わせ、この問い合わせを認識したオペレータが行った操作に基づき、帳票の画像の登録が指示されたか否かを判定する。
【0045】
帳票確認登録作業を行うオペレータは、ディスプレイ18に表示された第1の合成画像及び第2の合成画像を各々参照し、帳票に記載された情報の内容確認や帳票に付加された地紋の確認以外に、帳票が適正に読み取られているか否かの検定も行う。そして、例えば二値化の閾値が不適切と判断した場合は閾値の設定を変更して帳票の再読み取りを指示する等の操作を行う。このような操作が行われた場合はステップ66の判定が否定されてステップ68へ移行し、エントリPC14は、オペレータからの指示に応じて設定を変更する処理を行った後に、ステップ50以降の処理を繰り返す。
【0046】
また、オペレータは、帳票が適正に読み取られていると判断した場合、帳票の画像の登録を指示する操作を行う。この場合はステップ66の判定が肯定されてステップ70へ移行し、エントリPC14は、地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像の画像データを帳票管理サーバ24へ転送し、帳票DB28への登録を依頼する処理を行う。これにより、帳票管理サーバ24により、エントリPC14から受信した地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像の画像データを、エントリPC14から同時に受信した帳票のID等の情報を対応付けて帳票DB28に登録する処理が行われる。
【0047】
また、図1では図示を省略しているが、通信ネットワーク30には金融機関の営業店等に設置された閲覧用のPCも接続されている。利用者は、帳票の記載内容等を確認する必要が生じた場合、閲覧用のPCを操作し、帳票管理サーバ24に対して帳票の画像データの配信を要求する。帳票管理サーバ24は、この要求を受信すると帳票ID等に基づいて帳票データベース28を検索し、配信が要求された帳票の地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像の画像データを帳票データベース28から読み出して閲覧用のPCへ送信する。これにより、閲覧用のPCにおいて、上述した帳票確認登録処理(図2)のステップ56〜ステップ64と同様の処理が行われ、第1の合成画像及び第2の合成画像がディスプレイに表示される。これにより、利用者が帳票の記載内容等を確認することが可能となる。
【0048】
なお、上記では地紋付加二値画像でのみ第2の値を示している画素の色を、地紋除去二値画像で第2の値を示している画素と相違させた合成画像を生成する態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、地紋付加二値画像でのみ第2の値を示している画素の濃度を、地紋除去二値画像で第2の値を示している画素と相違させた合成画像を生成するようにしてもよい。また、例えば地紋付加二値画像でのみ第2の値を示している画素の色及び濃度を、地紋除去二値画像で第2の値を示している画素と相違させた合成画像を生成するようにしてもよい。
【0049】
また、上記では多階調の帳票画像データに対する二値化の閾値を切り替えることで、地紋付加二値画像及び地紋除去二値画像を生成する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば地紋の除去はフィルタ処理等によって実現することも可能である。
【0050】
また、上記では本発明に係る帳票確認支援プログラムの一例である帳票確認登録プログラムがエントリPC14の記憶部14Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る帳票確認支援プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 イメージファイリングシステム
12 帳票読取装置
14 エントリPC
16 画像バッファ
18 ディスプレイ
24 帳票管理サーバ
26 記憶部
28 帳票DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成する生成手段と、
前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させる表示制御手段と、
を含む帳票確認支援装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記合成画像として、前記地紋付加画像で前記第2の値を示している画素のうち、前記地紋除去画像でも前記第2の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第1の合成画像を生成し、生成した前記第1の合成画像を前記表示部に表示させる請求項1記載の帳票確認支援装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記合成画像として、前記地紋付加画像で前記第2の値を示している画素のうち、前記地紋除去画像では前記第1の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第2の合成画像を生成し、生成した前記第2の合成画像を前記表示部に表示させる請求項1又は請求項2記載の帳票確認支援装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記合成画像として、前記地紋付加画像で前記第2の値を示している画素のうち、前記地紋除去画像でも前記第2の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第1の合成画像を生成すると共に、前記地紋付加画像で前記第2の値を示している画素のうち、前記地紋除去画像では前記第1の値を示している画素についてのみ色及び濃度の少なくとも一方を変更した第2の合成画像を生成し、生成した前記第1の合成画像及び前記第2の合成画像を選択的又は並列に前記表示部に表示させる請求項1〜請求項3の何れか1項記載の帳票確認支援装置。
【請求項5】
前記表示制御手段によって前記表示部に表示された前記合成画像に基づく前記帳票の確認が完了すると、前記記憶手段に記憶されたデータベースに、前記帳票の画像として前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を各々登録する登録手段を更に備えた請求項1〜請求項4の何れか1項記載の帳票確認支援装置。
【請求項6】
前記読取装置は前記帳票を多階調の画像として読み取り、
前記生成手段は、前記読取装置によって前記帳票が読み取られることで得られた多階調の画像データを互いに異なる閾値で二値化することで、前記多階調の画像データから前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を各々生成する請求項1〜請求項5の何れか1項記載の帳票確認支援装置。
【請求項7】
生成手段は、地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成し、
表示制御手段は、前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させる帳票確認支援方法。
【請求項8】
コンピュータを、
地紋が付加された帳票を読取装置で読み取ることで得られた帳票画像から、記憶手段に記憶されたデータベースに登録するための画像として、個々の画素が下地に相当する第1の値又はオブジェクトに相当する第2の値をとる二値画像から成り前記地紋が付加された地紋付加画像と、前記二値画像から成り前記地紋を除去した地紋除去画像と、を各々生成する生成手段、
及び、前記地紋付加画像及び前記地紋除去画像を、前記地紋付加画像でのみ前記第2の値を示している画素の色及び濃度の少なくとも一方を、前記地紋除去画像で前記第2の値を示している画素と相違させた単一の合成画像として合成し、前記合成画像を表示部に表示させる表示制御手段
として機能させるための帳票確認支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−248948(P2012−248948A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117061(P2011−117061)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】