説明

帳表作成装置、帳表作成方法およびプログラム

【課題】帳表の様式を容易にカスタマイズしてオリジナル帳表を作成できる帳表作成装置、帳表作成方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】内訳書のオリジナル帳表を作成する帳表作成装置1であって、帳表の1頁分に相当する雛形ファイルを取得する雛形ファイル取得部16と、内訳書のデータを取得するデータ取得部17と、データの各項目を雛形ファイルのどこに設定するかを定義した定義テーブルを取得する定義テーブル取得部18と、データを定義テーブルにしたがって雛形ファイルに取り込む帳表作成処理を実行することによりオリジナル帳表を作成するオリジナル帳表作成部19と、を備え、定義テーブル取得部18は、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であり、オリジナル帳表作成部19は、取得した定義テーブルの数だけ帳表作成処理を繰り返すことによりオリジナル帳表を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種帳表を作成する帳表作成装置、帳表作成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内訳書を作成するための帳表作成ソフトが知られている。この種の帳表作成ソフトで作成される帳表の様式は、国税庁様式(税務署配布様式)に準拠している(例えば、非特許文献1)。ところで、帳表の中には、勘定科目内訳書など、一頁の中に複数の様式が混在する複雑な様式が存在する。また、用紙サイズがA4縦で統一されているため、住所や名称を印字する十分なスペースがなく、結果的に文字サイズが小さくなってしまう。このため、帳表の見栄えが悪く、「住所や名称の印刷欄の文字数を増やして欲しい」、「文字サイズを大きくして欲しい」など、帳表の様式を変更して欲しいという顧客の要望が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】エプソン販売株式会社 「応援シリーズ」会計ソフト総合カタログ 第13ページ カタログコード:CLBSOENS3 O(2008.9.26)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ユーザーが自身で帳表をカスタマイズすることは非常に困難である。また、メーカーに対してカスタマイズを依頼すると、費用が嵩むといった問題がある。さらに、メーカー側にとっても、様式が多いため、顧客の個々の要求に対応することは、事実上困難である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑み、帳表の様式を容易にカスタマイズできる帳表作成装置、帳表作成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の帳表作成装置は、内訳書のオリジナル帳表を作成する帳表作成装置であって、帳表の1頁分に相当する雛形ファイルを取得する雛形ファイル取得部と、内訳書のデータを取得するデータ取得部と、データの各項目を、雛形ファイルのどこに設定するかを定義した定義テーブルを取得する定義テーブル取得部と、データを、定義テーブルにしたがって雛形ファイルに取り込む帳表作成処理を実行することにより、オリジナル帳表を作成するオリジナル帳表作成部と、を備え、定義テーブル取得部は、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であり、オリジナル帳表作成部は、取得した定義テーブルの数だけ帳表作成処理を繰り返すことにより、オリジナル帳表を作成することを特徴とする。
【0007】
本発明の帳表作成方法は、コンピューターにより、内訳書のオリジナル帳表を作成する帳表作成方法であって、コンピューターが、帳表の1頁分に相当する雛形ファイルを取得する雛形ファイル取得ステップと、内訳書のデータを取得するデータ取得ステップと、データの各項目を、雛形ファイルのどこに設定するかを定義した定義テーブルを取得する定義テーブル取得ステップと、データを、定義テーブルにしたがって雛形ファイルに取り込む帳表作成処理を実行することにより、オリジナル帳表を作成するオリジナル帳表作成ステップと、を実行し、定義テーブル取得ステップでは、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であり、オリジナル帳表作成ステップでは、取得した定義テーブルの数だけ帳表作成処理を繰り返すことにより、オリジナル帳表を作成することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であるため、複雑な様式の帳表であっても、定義テーブルの数を増やすことによって対応することができる。これにより、オリジナル帳表を容易に作成することができ、ひいてはユーザーが自身で帳表の様式をカスタマイズできる。
【0009】
上記に記載の帳表作成装置において、雛形ファイルは、表計算ソフトを用いて作成されたものであり、定義テーブルは、ユーザーが変更可能な帳表の様式定義を、表計算ソフトを用いてシート化した定義シートと、当該定義シートを読み出す制御テーブルと、から成ることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、定義シートの設定を変更するだけで容易に帳表の様式をカスタマイズできる。また、当該定義シートは、表計算ソフトを用いてシート化されているため、表計算ソフトを扱うことができるユーザーであれば、特別な知識がなくても、カスタマイズが可能となる。
【0011】
上記に記載の帳表作成装置において、定義シートは、雛形ファイルの定義、オリジナル帳表への設定、明細行の定義、計に関する定義、の定義項目のうち、1以上の定義項目について定義したものであることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、雛形ファイルの定義、オリジナル帳表への設定、明細行の定義、計(計、合計、総合計など)に関する定義、の定義項目について、様式変更を行うことができる。
【0013】
上記に記載の帳表作成装置において、定義シートは、各定義項目について、設定列、設定行、編集形式、文字数、フォント、記号変更、縮小率、の設定項目のうち、1以上の設定項目の設定を変更可能であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、設定列、設定行、編集形式、文字数、フォント、記号変更、縮小率に関する設定変更により、ユーザーが所望するオリジナル帳表を作成することができる。
【0015】
上記に記載の帳表作成装置において、定義シートの各設定項目は、任意に設定変更可能な第1の設定項目と、設定変更にロック解除操作を必要とする第2の設定項目と、を含み、これら第1の設定項目および第2の設定項目は、識別可能に表示されることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1の設定項目と第2の設定項目が、識別可能に表示されるため、初心者ユーザーは、第1の設定項目についてのみ設定変更を行えばよく、誤設定を防止することができる。また、知識のあるユーザーは、ロック解除操作(パスワードの入力など)を行うことで、第2の設定項目についても設定変更が可能であるため、より複雑なカスタマイズを行うことができる。
【0017】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の帳表作成方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0018】
このプログラムをコンピューターにインストールして用いることにより、帳表の様式を容易にカスタマイズできる帳表作成方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】帳表作成装置の機能ブロック図である。
【図2】雛形ファイルの一例を示す図である。
【図3】データの項目一覧の一例を示す図である。
【図4】定義シートの一例を示す図である。
【図5】制御テーブルの一例を示す図である。
【図6】帳表作成装置によるメイン処理を示すフローチャートである。
【図7】アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【図8】帳表作成装置による帳表作成処理を示すフローチャートである。
【図9】データ部分およびインデックステーブルの一例を示す図である。
【図10】帳表作成装置によるデータ設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る帳表作成装置、帳表作成方法およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、「地代家賃等の内訳書」(図2参照)のオリジナル帳表を作成する場合を例示する。なお、本実施形態に係る帳表作成装置1は、一般的なパーソナルコンピューターに、本発明を実現するための帳表作成アプリケーション(プログラム)と、表計算ソフトと、をインストールしたものである。また、特に図示しないが、帳表作成装置1は、キーボードやマウス等の入力手段、およびディスプレイ等の表示手段を備えている。
【0021】
図1は、帳表作成装置1の機能ブロック図である。同図に示すように、帳表作成装置1は、主な機能構成として、雛形ファイル記憶部11、データ記憶部12、定義シート記憶部13、定義シート編集部14、制御テーブル記憶部15、雛形ファイル取得部16、データ取得部17、定義テーブル取得部18およびオリジナル帳表作成部19を備えている。
【0022】
雛形ファイル記憶部11は、所定の表計算ソフトを用いて帳表(内訳書)の1頁分を作成した雛形ファイル31(図2参照)を記憶している。なお、当該雛形ファイル31は、予め作成されたものであっても良いし、ユーザーが作成したものであっても良い。雛形ファイル取得部16は、雛形ファイル記憶部11から雛形ファイル31を取得する。
【0023】
データ記憶部12は、内訳書に設定されるデータ(図3,図9参照)を記憶している。なお、当該データは、予め作成されているものとする。データ取得部17は、データ記憶部12から内訳書のデータを取得する。
【0024】
定義シート記憶部13は、データの各項目を、雛形ファイル31のどこ(どの行およびどの列)に設定するかを定義した定義シート33(図4参照)を記憶している。当該定義シート33は、ユーザーが変更可能な帳表の様式定義を、表計算ソフトを用いてシート化したものである。定義シート編集部14は、ユーザーが、入力手段を用いて上記の定義シート33を編集するための機能である。本実施形態では、ユーザーが、定義シート33の様式定義を編集(設定変更)することで、所望するオリジナル帳表を容易に作成できるようになっている。
【0025】
制御テーブル記憶部15は、上記の定義シート33を読み出すための制御テーブル34(図5参照)を記憶している。なお、制御テーブル34は、予め作成されているものとする。
【0026】
定義テーブル取得部18は、定義シート取得部21および制御テーブル取得部22から成る。定義シート取得部21は、定義シート編集部14による編集後の定義シート33を取得する。制御テーブル取得部22は、制御テーブル記憶部15から制御テーブル34を取得する。つまり、定義テーブル取得部18は、定義テーブルとして、定義シート33および制御テーブル34を取得する。
【0027】
オリジナル帳表作成部19は、取得した雛形ファイル31、データおよび定義テーブル(定義シート33および制御テーブル34)に基づいて、オリジナル帳表を作成する。なお、帳表によっては、複数の定義シート33が存在するものがある。例えば、図2に示す「地代家賃等の内訳書」の場合は、様式領域E1,E2,E3ごとに3つの定義シート33を取得する。そして、取得した定義シート33の数だけ、帳表作成処理(データを定義テーブルにしたがって雛形ファイル31に取り込む処理,図8参照)を繰り返すことにより、複数の様式が結合した1のオリジナル帳表を作成する。これにより、複数の様式が混在するような複雑な帳表であっても、ユーザーの希望に沿ったカスタマイズを容易に行うことができる。
【0028】
次に、図2ないし図5を参照し、雛形ファイル31、データ、定義シート33および制御テーブル34について説明する。図2は、「地代家賃等の内訳書」の雛形ファイル31を示す図である。同図に示す帳表は、地代家賃等の内訳書領域E1、権利金等の期中支払の内訳領域E2および工業所有権等の使用料の内訳書領域E3、の3つの領域から成る。このように、様式(設定する項目、設定列、設定行など)の違いによって、帳表が予め複数の領域に分割され、定義シート33や制御テーブル34は、その分割数に応じて作成されている。なお、雛形ファイル31は、表計算ソフトにより作成されており、特に図示しないが、数字(1以上の自然数)により行が規定され、アルファベットにより列がされている。
【0029】
図3は、「地代家賃等の内訳書」のデータ(テキストファイル)の項目一覧を示す図である。図2に示した雛形ファイル31のように、複数の様式領域E1,E2,E3から成る帳表の場合、データも領域ごとに作成される。同図は、地代家賃等の内訳書領域E1に取り込まれるデータを示している(様式領域E2,E3については、図示を省略する)。当該項目一覧には、帳表の項目番号、項目、格納形式および使用列(表計算ソフトの設定列)が定義されている。なお、no1,2の項目については、取り込み対象となるデータではなく、連番の設定範囲と、各領域に対応するデータの識別番号を示している。
【0030】
図4は、「地代家賃等の内訳書」の定義シート33を示す図である。上記のとおり、複数の様式領域E1,E2,E3から成る帳表の場合、定義シート33も領域ごとに作成される。同図は、地代家賃等の内訳書領域E1に取り込まれるデータを示している(様式領域E2,E3については、図示を省略する)。同図に示す定義シート33の場合、共通の定義領域E11と、地代家賃等の内訳書の定義領域E12と、から成る。共通の定義領域E11には、「雛形ファイルの定義」と、「帳表シート(オリジナル帳表)への設定」と、の2つの定義項目が含まれている。また、「雛形ファイルの定義」では、コピー範囲および設定開始行の設定項目が含まれ、「帳表シートへの設定」では、削除行、印刷範囲(列)および縮小率の設定項目が含まれている。ユーザーは、これらの設定項目に関し、編集列領域33a(同図の例では、5列分)の設定を書き換えることができる。例えば、雛形ファイル31のコピー範囲としては、開始行番号、終了行番号、開始列名および終了列名の4つの項目について変更可能である。
【0031】
一方、地代家賃等の内訳書の定義領域E12には、「明細行の定義」と、「計に関する定義(計、合計、総合計の定義」」と、の2つの定義項目が含まれている。「明細行の定義」では、図3に示したデータの項目一覧に関する設定項目が含まれている。また、各設定項目について、CSVデータの定義(不要項目、文字、数値、予備など)、データのスキップ(指定されたテキスト項目にデータがない場合、テキストデータをスキップするか否か)、設定する列、相対行番号(設定する行、1行目は「0」、2行目は「1」など)、編集形式、について設定を書き換えることができる。なお、編集形式としては、例えば指定しない場合は「0」、文字列の場合は「1」、3桁区切りで0印字する数値の場合は「2」、3桁区切りで0印字しない数値の場合は「3」などが入力される。
【0032】
また、「計に関する定義」では、計、合計、総合計に関する設定項目が含まれている。また、各設定項目について、SUMを設定する列、相対行番号、編集形式、集計明細の相対行番号、キー(データの項目番号)、定義行、設定する列名、相対行数、計の名称について設定を書き換えることができる。なお、定義行は、定義行が「0」の場合、該当する行(ヘッダー、計、合計、総合計)を出力しないことを意味している。
【0033】
なお、編集列領域33aにおいて網掛された設定項目(共通の定義領域E11の項目など,第1の設定項目)については、ユーザーが任意にその値を変更可能となっている。これは、その書き換えが帳表の体裁に大きく影響しないような項目であり、初心者であっても、比較的に自由に変更可能な項目であることを意味している。これに対し、編集列領域33aにおいて網掛されていない設定項目(白地の項目,第2の設定項目)は、その書き換えが帳表の体裁を大きく崩す虞のある項目であり、通常書き換えができないようにロックされている。このため、書き換えを行うためには、帳表作成装置1に予め指定されたパスワードを入力してロックを解除する必要がある。
【0034】
図5は、「地代家賃等の内訳書」の制御テーブル34を示す図である。同図に示すように、この例では、各様式領域E1,E2,E3に対応した3つの定義シート33と、1の雛形ファイル31と、を呼び出すように定義されている。
【0035】
次に、図6ないし図10を参照し、帳表作成装置1による一連の処理の流れについて説明する。図6は、帳表作成装置1によるメイン処理を示すフローチャートである。帳表作成装置1は、ユーザーの操作にしたがって帳表作成アプリケーションを起動すると(S11)、初期処理を行う(S12)。初期処理としては、表計算ソフトが帳表作成装置1内にインストールされているかをチェックすると共に、インストールされている場合に表計算ソフトのバージョンをチェックする。その後、これらのチェックに問題がなければ、内訳書作成画面40を表示する(S13)。図7(a)に示すように、この時点における内訳書作成画面40の画面上部には、帳表作成アプリケーションを終了させるための終了ボタン41と、内訳書の作成を開始するための内訳書作成ボタン42と、CSVファイル(制御テーブル34)を選択するためのCSVファイルの選択欄43と、が表示されている。
【0036】
ここで、図7(b)に示すように、ユーザーによってCSVファイルの選択欄43に、制御テーブル34のアドレスが入力され、内訳書作成ボタン42が押下されると(S14)、制御テーブル記憶部15から制御テーブル34を取得する(S15)。なお、図7(b)に示すように、ユーザーによって制御テーブル34のアドレスが入力されると、作成する内訳書欄44に、内訳書名を表示すると共に、「金額0行を出力するか否か」および「連番位置に設定するか否か」を選択するためのチェック欄を表示する。また、内訳書によっては、作成する内訳書欄44に、「「小計」「計」を出力するか否か」を選択するためのチェック欄も表示する。また、ユーザーによって制御テーブル34のアドレスが入力されると、内訳書の作成をキャンセルするためのキャンセルボタン45を。画面上部に表示する。
【0037】
制御テーブル34を取得すると(S15)、当該制御テーブル34に基づいて、雛形ファイル31および定義シート33を取得し(S16)、定義シート33ごとに帳表作成処理を行う(S17)。その後、全定義分の帳表作成処理が終了したか否かを判別し(S18)、終了した場合は(S18:Yes)、後処理を行う(S19)。後処理としては、具体的に、定義行および定義シート33の削除、縮小率および印刷範囲の設定、処理中ダイアログの消去、作成したオリジナル帳表の保存、などを行う。その後、ユーザーによる終了ボタン41(図7参照)の押下により(S20)、表計算ソフトおよびアプリケーションを終了する(S21)。
【0038】
次に、図8のフローチャートを参照し、図6のS17に相当する帳表作成処理について説明する。帳表作成装置1は、取得した定義シート33の定義にしたがって、データ記憶部12からデータを取得し(S31)、初期化処理を行う(S32)。ここでは、頁カウンタの初期化の他、印刷範囲行、計行、合計行などの初期化を行う。その後、まず1頁分のデータのインデックステーブルを作成する(S33)。ここでは、定義シート33の「設定開始行等」(図4参照)に指定された1頁に出力する行数分(5行目からの8明細分)のインデックステーブルを作成する。例えば、図9(a)に示すようなデータ部分が存在する場合、図9(b)に示すようなインデックステーブルを作成する。つまり、データは、データ部分とインデックステーブルから構成されている。図9(b)のインデックステーブルの「明細行インデックス」は、「−1:なし」、「0〜:データのインデックス」を意味する。また、インデックステーブルのその他の項目は、「−1:なし」、「0:出力」を意味する。また、ここでは、3行分のデータしか示していないが、この場合の出力は、図9(c)に示すように、「1行目の明細」、「計」、(空白行)、「2行目の明細」、「3行目の明細」、「計」、(空白行)、「総合計」となる。
【0039】
続いて、定義シート33の指定にしたがって、1頁分の雛形ファイル31をコピーし(S34)、コピーした帳表シートの頁カウンタを更新する(S35)。例えば、図2に示したように、3つの様式領域E1,E2,E3から成る帳表の場合であって、様式領域E1が2頁分、様式領域E2が1頁分、様式領域E3が3頁分存在する場合、様式領域E1の定義に対応する帳表作成処理では、雛形ファイル31の2回のコピーによって、頁カウンタを0→1→2とし、様式領域E2の定義に対応する帳表作成処理では、頁カウンタをカウントアップしない。また、様式領域E3の定義に対応する帳表作成処理では、さらに雛形ファイル31を1回コピーするので、頁カウンタを2→3とする。
【0040】
その後、データ設定処理を行い(S36)、次頁の開始インデックスを更新した後(S37)、全データの処理が終了したか否かを判別し(S38)、終了した場合は(S38:Yes)、帳表作成処理を終了する。また、終了していない場合は(S38:No)、S36に戻ってデータ設定処理を繰り返す。
【0041】
次に、図10のフローチャートを参照し、図8のS36に相当するデータ設定処理について説明する。帳表作成装置1は、まずデータ設定処理の初期化処理を行う(S41)。ここでは、明細出力の開始行の計算、計のスタート行の計算、合計のスタート行の計算などを行う。続いて、インデックスの種類:ヘッダー2を出力する場合は(S42:Yes)、ヘッダー2の雛形行をコピーし、ヘッダー2の名称を指定されたセルに設定する(S43)。同様に、インデックスの種類:ヘッダー1を出力する場合は(S44:Yes)、ヘッダー1の雛形行をコピーし、ヘッダー1の名称を指定されたセルに設定する(S45)。また、インデックスの種類:明細行を出力する場合は(S46:Yes)、明細の雛形行をコピーし、明細データを指定されたセルに設定し、さらにセルの編集形式を設定する(S47)。
【0042】
また、インデックスの種類:合計1を出力する場合は(S48:Yes)、合計1の雛形行をコピーし、計算式を作成してセルに設定し、さらに合計1の名称をセルに設定する(S49)。同様に、インデックスの種類:合計2を出力する場合は(S50:Yes)、合計2の雛形行をコピーし、計算式を作成してセルに設定し、さらに合計2の名称をセルに設定する(S51)。また、インデックスの種類:総合計を出力する場合は(S52:Yes)、総合計の雛形行をコピーし、計算式を作成してセルに設定し、さらに総合計の名称をセルに設定する(S53)。その後、行数カウンタを更新すると共に(S54)、1頁分のインデックスデータが全て終了したか否かを判別し(S55)、終了した場合は(S55:Yes)、データ設定処理を終了する。また、終了していない場合は(S55:No)、S42に戻る。
【0043】
以上説明したとおり、本実施形態に係る帳表作成装置1によれば、1の帳表に対して複数の定義テーブル(定義シート33)を取得可能であるため、複雑な様式の帳表であっても、定義テーブル(定義シート33)の数を増やすことによって対応することができる。これにより、オリジナル帳表を容易に作成することができ、ひいては特別な知識を有しないユーザーであっても自身で帳表の様式をカスタマイズできる。
【0044】
また、ユーザーに対して、変更可能な帳表の様式定義を表計算ソフトによりシート化した定義シート33を提供するため、表計算ソフトを扱うことができるユーザーであれば、容易に帳表の様式をカスタマイズできる。これにより、制御テーブルを直接書き換える場合と比較して、格段にカスタマイズを容易に行うことができる。
【0045】
また、定義シート33の各設定項目は、任意に設定変更可能な第1の設定項目(網掛け表示された項目)と、設定変更にロック解除操作を必要とする第2の設定項目(網掛け表示されていない項目)とが、識別可能に表示されるため、初心者ユーザーは、第1の設定項目についてのみ設定変更を行えばよく、誤設定を防止することができる。また、知識のあるユーザーは、パスワードを入力することで、第2の設定項目についても設定変更が可能であるため、より複雑なカスタマイズを行うことができる。
【0046】
なお、上記の実施形態において、定義シート33の第1の設定項目と、第2の設定項目は、網掛/非網掛によって識別可能としたが、色分け、フォント、文字囲みの違いなど、装飾や書式の違いによって識別可能に表示しても良い。
【0047】
なお、上記の実施形態において、定義テーブル取得部18は、定義シート33および制御テーブル34を取得したが、定義シート33の取得を省略しても良い。つまり、定義テーブルとして制御テーブル34のみを取得しても良い。この場合、制御テーブル34内に、定義シート33の定義が記述されることとなる。
【0048】
また、上記の実施形態では、定義シート33により、設定列や設定行、編集形式などを設定可能であると記載したが、この他、文字数、フォント、記号変更などを設定できるようにしても良い。例えば、「文字数」の入力により出力可能な文字数を制限したり、「フォント」によって印字フォントを変更したり、記号変更によって、黒三角のマークを白三角のマークに変更したりすることが考えられる。
【0049】
また、上記の実施形態に示した帳表作成装置1の各部または処理工程をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを帳表作成装置1の各部または処理工程として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0050】
また、上記の実施形態では、「地代家賃等の内訳書」のオリジナル帳表を作成する場合を例示したが、他の帳表を作成する場合にも当然適用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…帳表作成装置 11…雛形ファイル記憶部 12…データ記憶部 13…定義シート記憶部 14…定義シート編集部 15…制御テーブル記憶部 16…雛形ファイル取得部 17…データ取得部 18…定義テーブル取得部 19…オリジナル帳表作成部 21…定義シート取得部 22…制御テーブル取得部 31…雛形ファイル 33…定義シート 33a…編集列領域 34…制御テーブル 40…内訳書作成画面 E1,E2,E3…様式領域 E11,E12…定義領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内訳書のオリジナル帳表を作成する帳表作成装置であって、
帳表の1頁分に相当する雛形ファイルを取得する雛形ファイル取得部と、
前記内訳書のデータを取得するデータ取得部と、
前記データの各項目を、前記雛形ファイルのどこに設定するかを定義した定義テーブルを取得する定義テーブル取得部と、
前記データを、前記定義テーブルにしたがって前記雛形ファイルに取り込む帳表作成処理を実行することにより、前記オリジナル帳表を作成するオリジナル帳表作成部と、を備え、
前記定義テーブル取得部は、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であり、
前記オリジナル帳表作成部は、取得した前記定義テーブルの数だけ前記帳表作成処理を繰り返すことにより、前記オリジナル帳表を作成することを特徴とする帳表作成装置。
【請求項2】
前記雛形ファイルは、表計算ソフトを用いて作成されたものであり、
前記定義テーブルは、ユーザーが変更可能な前記帳表の様式定義を、前記表計算ソフトを用いてシート化した定義シートと、当該定義シートを読み出す制御テーブルと、から成ることを特徴とする請求項1に記載の帳表作成装置。
【請求項3】
前記定義シートは、前記雛形ファイルの定義、前記オリジナル帳表への設定、明細行の定義、計に関する定義、の定義項目のうち、1以上の定義項目について定義したものであることを特徴とする請求項2に記載の帳表作成装置。
【請求項4】
前記定義シートは、各定義項目について、設定列、設定行、編集形式、文字数、フォント、記号変更、縮小率、の設定項目のうち、1以上の設定項目の設定を変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の帳表作成装置。
【請求項5】
前記定義シートの各設定項目は、任意に設定変更可能な第1の設定項目と、設定変更にロック解除操作を必要とする第2の設定項目と、を含み、これら第1の設定項目および第2の設定項目は、識別可能に表示されることを特徴とする請求項4に記載の帳表作成装置。
【請求項6】
コンピューターにより、内訳書のオリジナル帳表を作成する帳表作成方法であって、
前記コンピューターが、
帳表の1頁分に相当する雛形ファイルを取得する雛形ファイル取得ステップと、
前記内訳書のデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データの各項目を、前記雛形ファイルのどこに設定するかを定義した定義テーブルを取得する定義テーブル取得ステップと、
前記データを、前記定義テーブルにしたがって前記雛形ファイルに取り込む帳表作成処理を実行することにより、前記オリジナル帳表を作成するオリジナル帳表作成ステップと、を実行し、
前記定義テーブル取得ステップでは、1の帳表に対して複数の定義テーブルを取得可能であり、
前記オリジナル帳表作成ステップでは、取得した前記定義テーブルの数だけ前記帳表作成処理を繰り返すことにより、前記オリジナル帳表を作成することを特徴とする帳表作成方法。
【請求項7】
コンピューターに、請求項6に記載の帳表作成方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−186979(P2011−186979A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54097(P2010−54097)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)