説明

常用非常用兼用トイレ

【課題】通常は水洗式のトイレとして利用し、地震等の災害により水の供給が停止した非常時には簡単な操作によって水無しで利用ができる非常用トイレとなるような常用非常用兼用のトイレを提供する。
【解決手段】和式の水洗式トイレ1において、便器2の底部に破断線2aで囲まれた底板部2bを形成し、脆性を有する材料で形成した塞ぎ板3で該底板部2bを水密に下方から覆うと共に、該底板部2bの下方に糞尿槽4を設けて、前記底板部2b及び前記塞ぎ板3を上方から突ついて破断させることにより、該便器2から糞尿を直接に前記糞尿槽4へ落とし込むように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地震等の災害発生によりトイレ洗浄水の供給が停止しても利用可能なトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
非常用トイレとしては、下水道マンホール上に設置する方式の便器付き非常用簡易トイレがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
又、多数の人が利用可能な公衆トイレとして、非常時用トイレ設置構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−334362号公報
【特許文献2】特開平8−338142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、普段は水洗式のトイレとして利用し、一旦地震等により水の供給が停止した場合には、簡易な操作によって水無しで利用ができる非常用トイレに変換が可能な、常用非常用兼用のトイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の目的を達成すべく、洗浄用水の給水口と下水道への排出口とを有する便器を具備するトイレにおいて、該便器の底部に所要の開口部に沿った破断線で囲まれた底板部を設けると共に、前記底板部の下方に糞尿槽を設け、前記破断線に沿って前記底板部を破断して前記開口部を形成することにより糞尿を直接に前記糞尿槽へ落とし込むことが可能に形成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、普段は水洗式のトイレとして使用し、地震等により水の供給が停止した場合には簡単な操作によって水無しで使用が可能な非常用トイレに変換ができるような常用非常用兼用トイレを提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の常用非常用兼用トイレの側面図である。
【図2】同上トイレの平面図である。
【図3】図1におけるX−X線截断面図である。
【図4】同上トイレの非常用使用時の説明図である。
【図5】本発明の第2実施例の図3に相当する個所の截断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0010】
本発明の常用非常用兼用トイレの実施例1を図1乃至図4により説明する。
【0011】
図1は本発明の常用非常用兼用トイレ1の側面図、図2はその平面図である。
【0012】
便器2は人が跨って用をたす方式の和風便器で、ステンレス鋼製である。
【0013】
該便器2の前端部に洗浄用水の給水口5を有し、該便器2の前方部の底部に排出口6が設けられ、該排出口6を下水排管に連絡するトラップ配管6aが排出方向の変更可能に該排出口6に接続している。
【0014】
尚、6a´、6a´´はトラップ配管の排出方向を変えた例を示す。
【0015】
前記便器2の後方部の底部には四角い破断線2aで囲まれた底板部2bが嵌め込まれており、該底板部2bを下面から覆う支持板3が前記便器2の下面部に密着して係止されている。
【0016】
前記支持板3は四角形の板を便器2の半円筒状に下方へ突出する底部に沿った丸味をもって形成された板状で、プラスチック等の脆性を有する材料からなり、図3に示す如く、便器2の外側面の上部にボルト7とナット8とで締め付けて係止されている。
【0017】
支持板3と便器2との間にはパッキン3aが介在していて、前記底板部2bを水密に密閉している。
【0018】
FLは便器2を据え付けたトイレの床面を示し、便器2の下には糞尿槽4が設けられている。
【0019】
又、便器2の排出口6を塞ぐための丸い塞ぎ栓9(図4に示す)が、便器2の近辺に常備されている。
【0020】
次に本実施例のトイレ1の使用方法及びその効果について説明する。
【0021】
トイレ1は、例えば公衆トイレ等に、常用の水洗式トイレとして設置され、糞尿槽4は空となっている。
【0022】
地震等の災害によりトイレ洗浄用水の給水が止まった場合には、便器2の前方部の底部にある排出口6を塞ぎ栓9で塞ぐと共に、便器2の後方部の底部の破断線2aで囲まれた底板部2bを棒等の硬い器物で叩き、下側の支持板3と共に下方へ突き落とす。かくして該便器2の破断線2aが開口し、糞尿槽4に連通するので、そのまま非常用トイレとして使用することができる。
【0023】
このように本発明のトイレ1は、常用非常用兼用トイレとして短時間で変換されるので、災害発生時のトイレ不足対策に貢献する効果がある。
【実施例2】
【0024】
本発明の常用非常用兼用トイレの実施例2を図5により説明する。
【0025】
本実施例のトイレ1´は、実施例1の図3に示すX−X線截断面のボルト7とナット8とによる支持板3の便器2への係止方法に代って、図5に示す如く、リベット10を用いて支持板3を便器2へ締結するようにした点が前記実施例1とは異なる。
【0026】
該リベット10は、軸部の中間にノッチ10aを有して、該リベット10に強い剪断力が作用した場合に該ノッチ10aの部分でリベット10が容易に切断されるようなぜい弱な構造となっている。
【0027】
尚、図5は図1におけるX−X線截断面における実施例2の構造を示したが、その他の構造は実施例1と同じである。
【0028】
実施例2の場合は支持板3が切断容易なリベット10で便器2に締結されているので、非常用としてトイレ2を使用する場合は底板部2bを上方部から強く押圧することによりリベット10が切断されて、底板部2b及び支持板3が便器2より外れて下方へ落下し、トイレ2を非常用として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は常用非常用兼用トイレは、非常時にも簡単に使える公衆トイレとして利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1、1´ トイレ
2 便器
2a 破断線
2b 底板部
3 支持板
3a パッキン
4 糞尿槽
10 リベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用水の給水口と下水道への排出口とを有する便器を具備するトイレにおいて、該便器の底部に所要の開口部に沿った破断線で囲まれた底板部を設けると共に、前記底板部の下方に糞尿槽を設け、前記破断線に沿って前記底板部を破断して前記開口部を形成することにより糞尿を直接に前記糞尿槽へ落とし込むことが可能に形成した常用非常用兼用トイレ。
【請求項2】
前記破断線で囲まれた底板部を支持する支持板を前記便器の下面に係着して、前記底板部を衝撃により破断して前記底板部と共に該支持板が便器から脱落可能に形成した請求項1に記載の常用非常用兼用トイレ。
【請求項3】
前記便器は人が跨って用をたす方式の和風形とし、底部を半円筒状に突出する形状に形成した請求項1又は請求項2に記載の常用非常用兼用トイレ。
【請求項4】
前記底板部を囲む破断線は、前記便器の底部の後半部に、平面図が四角形を呈する形状に形成されており、予め切り込み等によって容易に破断する構造に形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の常用非常用兼用トイレ。
【請求項5】
前記便器は前記支持板と該便器との間にパッキンを介在させて、前記底板部が水密となるように形成されている請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の常用非常用兼用トイレ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate