説明

常磁性ナノ粉末、常磁性ナノ粉末の製造方法、及び常磁性ナノ粉末を含有した組成物

本発明の金または銀粉末は、外部の磁場と反対方向の磁性を帯びる反磁性物質として知られている金または銀粉末とは違って、全ての温度領域において外部の磁場と同一な方向、即ち、正の磁化率を有することを特徴とし、外部磁場Hが2000〜8000 Oeで飽和モーメントを有することを特徴とし、絶対温度20Kである時、外部磁場Hが1000 Oe以上で磁化率曲線の傾きdM/dHが正であることを特徴とする。また、本発明による常磁性の金または銀粉末は、極めて小さい保磁力を示し、表面酸化層が存在せず、常温で安定して、凝集性がなく、高分散性を有する特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常磁性を有することを特徴とする金または銀粉末、及びこれを含有する発毛剤、化粧品または歯磨き組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末に関する研究は、1940年代からロシアで始まれ、西ヨーロッパ、アメリカ、日本などで発展し、金属及びセラミック分野でナノ粉末に関する研究が本格化されたのが80年代後半である。ナノ粉末に関する研究は、一次的に、粒子大きさの微細化による純度/成形/混合/緻密化などの利点を活用するために、数々の粒子微細化工程が開発され、ナノサイズの粒子になると、様々な特異な性質を示すということが報告され始めた。
【0003】
粒子のナノサイズ化により現れる効果は、比表面積増大による熱伝達、吸収、吸着、触媒特性などの表面効果、多結晶体の単結晶化、結晶の結合形式の変化による新しい像の出現と融点の低下、光/音波/電磁波などの吸収及び散乱効果、物質の電子状態の変化などの体積効果、電気及び熱伝達、流動性、混合性、圧縮性及び固相反応性などの粒子間相互作用効果などに区分できる。このような効果のため、粒子特性は、既存のμm単位粒子とは非常に異なる。したがって、これらの特性を把握し、これを応用して新しい応用分野を開発する必要がある。
【0004】
ナノ粉末が金属であるかセラミックであるかにより、応用分野が異なってくるが、ナノ粉末は、電子・通信、分子単位で設計された高機能性・高効率素材の材料として応用が可能であるだけではなく、人体に適合した薬物伝達体系と選択性新医薬分野へまで応用が可能であると発表され、生命科学分野では、ハイブリッドシステムの合成皮膚、遺伝子分析及び操作、血液代替物質の開発が可能になり、人体に副作用のない臓器と皮膚まで作り出すことができるようになりつつある。また、環境分野では、目に見えない粉塵、微細埃などを除去することにより、汚染物の低減が図れるだけではなく、再活用素材を活用することができるようになった。その他にも、ナノ粉末は、代替エネルギーの開発と宇宙航空分野へまで幅広く応用することができる。
【0005】
ナノ粉末の新しい特性は、粒子微細化による比表面積の増加と、粒子内の電/磁気的性質の変化により現れる。球状粒子の場合、原子半径をdとし、粒子半径をrとすると、表面原子の数は、r/dに比例し、内部原子の数は、r/dに比例するようになるため、全体原子数に対する表面原子の比率は、d/rに比例するようになる。粒子の半径、即ち、大きさが小さくなるほど、表面原子の数は相対的に増加し、これにより、ナノ粒子の大きさが小さくなるほど、その特性は、表面性質が支配するようになる。粒径が1μmである場合、比表面積が約1m/ccとなり、粒径が0.01μm(100A)である場合、比表面積が約100m/ccとなる。これを表面の原子数と全体原子数の比率で換算すると、原子の直径を2Åと仮定する場合、1μm粒子では2×10−4、0.01μm粒子では、2×10−2となる。即ち、粒子サイズがナノ化されるほど、表面にある原子の比率が急激に増加する。
【0006】
したがって、上述したように、粒子の大きさが小さくなるほど、比表面積増大により体積特性は減少し、表面特性が著しく現れるだけではなく、新しい電気/磁気的、光学的性質が現れたりもするため、これを応用した新産業の需要が増加している。
【0007】
一方、本発明者らは、既存のナノ粉末製造方法が有していた問題点を全て解決し、他の製造法では見られなかった、自動分級技術やナノ金属粉末の自動安定化装置などが全て一つの自動ラインシステム内で成されたという点と、既存のいかなる製造方法よりも、エネルギー効率や生産収率において比較できないほどの経済性を揃えたナノ粉末の製造装置を発明して、国際公開特許公報03/97521号、国際公開特許公報03/70626号で公開した。
【0008】
一方、物質の磁性特性は、強磁性体、弱磁性体、及び反磁性体に分けられ、弱磁性体は、反強磁性体と常磁性体とに区別される。常磁性体の場合、大部分の原子やイオンでは、スピンと軌道運動を含む電子の磁気的効果は、完全にお互い相殺されて、原子やイオンは、磁気的性質を示さない。これは、ネオンのような不活性気体や銅を構成する銅イオンなどで現れる。しかしながら、ある原子やイオンでは、電子の磁気的効果が完全に相殺されず、原子全体は、磁気双極子モーメントを有するようになる。
【0009】
それぞれ磁気双極子モーメントを有するn個の原子を磁場内に置くと、これらの原子双極子は、磁場方向に並んで整列しようとする。このような傾向を常磁性という。全て完全に一方に整列したら、全体的な双極子モーメントは、nμとなる。しかし、整列過程は、熱運動により妨害を受ける。原子のランダムウォーク振動により原子間の衝突が起こり、運動エネルギーが伝達されて、既に整列された状態が崩れてしまう。熱運動の重要性は、二種類のエネルギーを比較することにより分かる。その一つは、温度Tで原子が有する平均並進運動エネルギー(3/2)kTである。他の一つは、磁気双極子磁場の方向に平行、反平行の二つの状態におけるエネルギー差2μBである。ところが、通常の温度や磁場において、前者が後者よりかなり大きい。そのため、原子の熱運動は、双極子が整列することを妨害する役割をする。外部磁場において、磁気モーメントが生じるが、最大可能なnμには遥かに及ばない。ある物質の磁化された程度を表すために、単位体積当たり磁気モーメントが考えられる。これを磁化Mという。
【0010】
反磁性体と呼ばれる物質は、固有の磁気双極子を有しておらず、常磁性がないが、外部磁場により磁気モーメントが誘導できる。このような物質の試料を、不均一で且つ強い磁場の近所に置くと、磁気力が作用する。しかしながら、電気的な場合とは対照的に、磁石の極側に引かれなく、反発する。電気と磁気のこのような差異点は、誘導された電気双極子は、外部電場と同じ方向であるが、誘導された磁気双極子は、外部磁場と反対方向であるからである。反磁性は、ファラデー(Faraday)の誘導法則が原子内の電子に適用されるものであって、古典的に、電子の運動は、極めて小さい電流環である。誘導された磁気モーメントが磁場の方向と反対なのは、原子規模からみたLenz法則の結果であると言える。
【0011】
反磁性は、全ての原子が有している性質である。しかし、原子が固有の磁気双極子モーメントを有していると、反磁性効果は、これより強い常磁性や強磁性に遮られる。
【0012】
一方、金と銀は、代表的な反磁性物質、即ち金または銀粉末は、外部の磁場と反対方向の磁性を帯びる特性を示し、金粉末または銀粉末のサイズがナノ化されても、このような反磁性の磁気的特性が変わらないと知られており、粒子間の高凝集性により分散像も不良であって、応用分野にも限界があることから、金ナノ粉末と銀ナノ粉末は、単に本来の金と銀の特性から起因した応用分野として、金ナノ粉末は、ナノゴールド石鹸、スポーツローション、化粧品、飲料、半導体発光素子、薬物伝達体などに使用されており、銀ナノ粉末は、化粧品、繊維、塗料、プラスチックなどのバイオ製品、抗菌/殺菌/防汚材料として応用されているだけである。
【0013】
一方、本発明者らは、従来の金または銀ナノ粒子は持っていない特性である常磁性を有するナノ粉末を開発するに至り、前記常磁性の金または銀粉末は、既存の反磁性を有する金または銀粉末では現れない強力な殺菌効果と共に、各種活性成分の活性度を増加させるような特有の効果を有し、凝集性がなく、高分散性に優れる特性がある。
【0014】
本発明による常磁性の銀を二酸化ゲルマニウムと共に使用する場合、二酸化ゲルマニウムを活性化させて、発毛効果に優れることが確認されて、また、銀ナノ粒子を歯磨きに添加する場合、既存の反磁性を有する銀粒子を添加した場合に比べ、強力な殺菌効果を示し、歯磨き組成物に含まれる各種活性成分の活性度を増加させる特有の効果を有し、卓越な美白効果を示し、前記常磁性銀の表面酸化層が存在しないことにより、光散乱効果が高くて歯の表面に光沢を与え、歯の美観を美しくする作用効果があることを確認して、また、常磁性を有する金ナノ粒子を化粧品組成物に添加する場合、化粧品組成物に含まれる各種活性成分の活性度を増加させる特有の効果を有し、肌の保湿効果を増進して、肌のトラブルを改善し、肌のべたつきを抑え、肌を滑らかにし、肌を浄化させる効果があることを見出し、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、従来の金または銀粉末が反磁性を帯びることに対し、全ての温度領域で外部の磁場と同一な方向、即ち、正の磁化率を有する常磁性の金または銀粉末を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、極めて小さい保磁力を示すと共に、表面酸化層が存在せず、常温で安定して、凝集性がなく、且つ高分散性を有する高純度の常磁性の金または銀粉末を提供することにある。
【0017】
本発明のまた他の目的は、本発明による常磁性の金または銀粉末を効率的に製造する方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、常磁性の銀を含有した発毛剤組成物と、常磁性銀ナノ粉末を含有した歯磨き組成物を提供することにある。
【0019】
本発明のまた他の目的は、常磁性の金または銀、またはこれらの混合物を含有する化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、常磁性を有することを特徴とする金または銀粉末に関するものである。
【0021】
さらに詳細には、本発明による金または銀粉末は、外部磁場内で磁場と反対方向の磁性を帯びる反磁性物質として知られた従来の金または銀粉末とは違って、全ての温度領域で外部の磁場と同一な方向、即ち正の磁化率を有する常磁性の金または銀粉末であることを特徴とし、本発明による常磁性の金または銀粉末は、外部磁場H2000〜8000 Oeで飽和モーメントを有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明による常磁性の金または銀粉末は、絶対温度20Kである時、外部磁場H1000 Oe以上で磁化率曲線の傾きdM/dHが正であることを特徴とする。また、本発明による常磁性の金または銀粉末は、極めて小さい保磁力を示し、表面酸化層が存在せず、常温で安定して、凝集性がなく、高分散性を有するという特徴がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明による常磁性の金または銀粉末は、従来の金または銀粉末が反磁性を帯びるのに比べ極めて小さい保磁力を示し、また表面酸化層が存在しなくても常温で安定して、凝集性がなく高分散性を有する高純度の金または銀粉末であって、様々な素材分野で使用できるという長所がある。
【0024】
以下、本発明による常磁性を有する金または銀粉末を詳細に説明する。
【0025】
従来の金または銀粉末は、外部から磁場をかけた時、磁場と反対方向の磁性を帯びる代表的な反磁性物質であって、金粉末または銀粉末の大きさがナノ化されても、このような反磁性の磁気的特性が変わらないと知られており、また、粒子間の高凝集性により分散像も不良であって、応用分野に限界がある。
【0026】
図1に示したように、従来の銀粉末は、低い磁場において外部磁場が増加するにつれて磁化率(Mass Magnetization:M)が増加する。試料の温度が20Kである場合、2000Oeで最高値を有し、H>2000 Oeである場合、磁化率は、磁場が増加するにつれて減少する特性を示すことが分かる(dM/dH<0)。4000 Oe付近で磁化率は‘0’の値を有し、外部磁場H>4000Oeであると、負の値を有する。従来の銀粉末の磁場依存性は、試料の温度が100Kまたは300Kである時も、ほぼ等しい挙動を示す。また、100Kと300Kの場合、低い磁場において磁場が増加するにつれて磁化率が大きくなる現象は、非常に弱化され、高い磁場領域において磁場と共に磁化率値が減少する現象が目立つようになる。即ち、H>2000Oe以上の高い磁場領域では、磁場の変化による磁化率が、温度が増加するにつれて大きくなっている。
【0027】
従来の金粉末は、図2から分かるように、低い磁場(H<1000 Oe)では、磁化率が、磁場が増加するにつれて急速に大きくなる傾向を示すが、H>1000 Oe以上の高い磁場領域では、磁化率曲線の傾きは、負の値(dM/dH<0)を有する特性を示す。このような測定結果は、従来の金と銀粉末が反磁性物質であることを示すものである。
【0028】
これに比べ、本発明による金または銀粉末は、全ての温度領域において外部の磁場と同一な方向、即ち、正の磁化率を有する常磁性の磁気特性を有する。
【0029】
本発明による常磁性を有する金または銀粉末は、粉末の大きさに特に制限はないが、通常、常磁性の特性は、粉末の大きさ40μm以下の範囲で現れ、粉末の大きさにより磁化率曲線の傾きが異なって、その大きさが小さいほど常磁性の特徴が著しく現れ、粉末内部が満たされていない中空構造の金または銀粒子も同じく常磁性の特性を示し、本発明による金または銀粉末は、粉末の温度により磁化率曲線が異なってくるが、常温以下の全ての温度範囲で常磁性特性が現れる。また、本発明による銀または金粉末は、保磁力が、常温以下の範囲で5ガウス以下の特性を示すが、特に常温では、2ガウス以下の極めて小さい保磁力を有する。
【0030】
本発明による銀粉末の大きさが20μm以下である場合、絶対温度100K以下で超常磁性特性が現れ、また磁化率極性の傾きdM/dHが正の特性を示し、特に、絶対温度20Kにおいて、磁化率曲線の傾きdM/dHが3×10−7emu/g・Oe以上を示す。
【0031】
また、従来の銀粉末は、絶対温度20Kで4000 Oe以下、絶対温度100K、外部磁場2000 Oe以下で極めて少ない量の磁化率を有するに比べ、本発明による銀粉末の場合、外部磁場が低い領域から20000 Oeの高い領域まで常磁性特性が現れ、特定の磁場、即ち飽和磁場まで磁化率が急速に増加した後、飽和磁場以上の磁場領域では、弱い磁場依存性を示し、外部磁場H2000〜8000 Oeで飽和磁気モーメントを有する特徴がある。
【0032】
従来の金粉末は、H2000 Oe以下で磁化率曲線の傾きdM/dHが正の特性を示すが、本発明による常磁性を有する金粉末は、常温以下の温度範囲で外部磁場の全範囲において磁化率曲線の傾きdM/dHが正の特性を示し、従来の金粉末に比べ、10〜100倍程度の大きい磁化率特性を示して、特に、金粉末の大きさが1μm以下の場合、外部磁場Hが10000 Oeである時、絶対温度20Kで磁化率曲線の傾きdM/dHが4×10−6以上の特性を示す。
【0033】
また、図3の反磁性を有する従来の銀粉末のSEM写真から分かるように、従来の銀粉末では、ほとんど表面酸化層が観察されるが、本発明による常磁性の金または銀粉末は、図4〜図8のTEM写真から分かるように、表面酸化層が存在せず、常温で安定し、凝集性がなくて高分散性を有する特徴がある。
【0034】
以下、本発明による常磁性を有する金または銀粉末の製造方法について説明する。
【0035】
本発明による常磁性を有する金または銀粉末の製造には、上述の国際公開特許公報03/97521号、国際公開特許公報03/70626号に開示された装置を利用し、図9に、本発明による常磁性を有する金または銀粉末の製造装置の概略図を示した。
【0036】
本発明による常磁性の金または銀粉末は、i)13.56MHz、5〜50kWのRF電源増幅器を使用し、真空反応管内で、誘導結合プラズマトーチを利用して絶対温度4000〜200000Kのアルゴンプラズマを発生させる段階;ii)発生されたアルゴンプラズマと反磁性特性を有する金または銀粉末とを反応させて、金または銀金属プラズマを生成する段階;及びiii)生成された金または銀金属プラズマガスを、プラズマ反応炉下端に設けられたナノ粉末捕集装置内で、真空条件で常温以下に急冷して、常磁性を有する金または銀粉末を製造する段階;を含むことを特徴とする。
【0037】
本発明による高純度常磁性の金または銀粉末の製造のための装置は、
(1)13.56MHz 10kW級RF電源システム
(2)ハイブリッド制御型整合システム
(3)誘導結合プラズマトーチ
(4)プラズマ反応管システム
(5)反応ガス調節システム
(6)原料物質注入システム
(7)真空排気システム
(8)粉末捕集システム
(9)低伝導水冷却システム
(10)液体窒素熱交換システム、から構成される。
【0038】
RF電源システム1は、5m程度のRF伝送線を介してハイブリッド制御型整合システム2のRF整合回路と連結されており、整合回路は、銅材質からなる厚さ0.5mm、幅20mm、長さ最大400mmのリボン状板であって、誘導結合プラズマトーチ3のヘリカルアンテナと機械的に連結されており、前記アンテナは、電気的に1種接地されている。ヘリカルアンテナは、低伝導水冷却システム9の低伝導冷却水により冷却されなければならない。
【0039】
誘導結合プラズマトーチ3、プラズマ反応管システム4、原料物質注入システム6、粉末捕集システム8は、全て真空排気システム7と一体を成して、10−5torrの真空を維持するようにバイトンO−リングシールが備えられ、特に、3と4との間、3と6との間は、RFが連結されて、3、4、6、8の壁を通じて接地により短絡されないようにするために、10mm以上のテフロン(登録商標)ディスクを利用してプラズマが直接見えないようにし、また、熱伝達により汚染気体が排出されないようにするために、冷却を考慮して設けられている。3、4、6、8は、全て垂直に設置されなければならないが、これは、原料粉末の移送時、プラズマの質への影響を最大限抑えるために、移送ガスを使用せず、自由落下型の注入方法を使用するためである。
【0040】
原料物質注入システム6は、反応ガス調節システム5と連結されており、勿論、真空系と連結されており、 反応ガス調節システム5の反応ガスバッファと反応ガス流量調節システムと連結されている。
【0041】
プラズマ反応管システム4の反応管システムは、金属プラズマを封じ込めておく役割をして、物質により、ステンレススチールやガラス材質を使用する。また、金属プラズマの温度調節のために、プラズマ反応管システム4の内・外部に手動RF誘導素子(アンテナ)を設けるが、受動素子(アンテナ)の設置位置や素子間の間隙は、合成粉末の粒度と性状により調節される。この反応管の底部に、合成粉末の粒度制御のために、最終液体窒素熱交換システム10が真空内部に設置される。冷却温度は、物質と物質の粒度により、水、低温窒素、液体窒素が使用できるように備えられて、液体窒素を使用するために、冷却時の収縮を考慮した真空結合により連結されている。
【0042】
液体窒素熱交換システム10の次に粉末捕集システム8の粉末捕集装置が付着されているが、これは、粉末捕集チャンバと金属捕集フィルターから構成されている。場合によっては、金属捕集フィルターも液体窒素により冷却されるようになっており、フィルターは、再使用可能となっている。金属フィルターは、製造粉末の種類により、ステンレス材質からなる100メッシュから2300メッシュまで選択的に、または重ね合わせて製作し使用する。捕集装置の下端は、真空排気系と直角に連結されて構成されている。
【0043】
一般に、誘導結合プラズマトーチを使用して、40000K〜200000K程度、好ましくは、40000K〜60000Kのプラズマを発生させ、この際使用されるRF電源増幅器は、13.56MHz 10kW(〜50kW)級を使用し、10−3torrの真空条件でプラズマを発生し、反応ガスであるアルゴンの注入量を増加して、実際反応に適した温度と密度に達した時は、真空度が1torr程度になるようにする。RF電源増幅器は、単一型(single type)または二重型(double type)のいずれも使用可能であり、単一型の場合は、出力が7kW以上が好ましく、二重型の場合は、それぞれ5kW以上が好ましく、合成効率及び物質特性の制御面から、プラズマ反応器の上下に配置される二重重畳型や多層重畳型が好ましい。これは、使用される原料粉末の大きさにより、完全に金属プラズマとなるまでかかるプラズマとの反応時間により異なり、反応管内部において、各部位により軸集中プラズマ(centered plasma)あるいは周り中心プラズマ(Hollow plasma)が必要となるが、これは、受動RF印加素子としてユガワ状、梯子状またはヘリカルアンテナなどを使用して、プラズマの構成を調節する。
【0044】
発生されたプラズマと、大きさ約1〜50μmの合成したい金または銀原料物質とを反応させて、前記原料物質を完全に原子または金属プラズマガス状態にした後、真空内で急激な熱交換を通じて粒子の大きさ及び形状を制御するようになる。一般的な場合、粒子の大きさを100nm以下に維持するためには、500msec以内に金または銀が有している熱量を交換しなければならなく、粒子の大きさが小さいほど、熱交換時間は短くならなければならない。物質により、真空内で粒子の形状を調節するためには、熱交換時間の順次調節が必要であるが、これは、真空反応管内部で、受動RFアンテナをアレイ(Array)形態に間隙を調節することにより、多様な形態の粉末を合成することができる。
【0045】
特に、プラズマが形状化された反応火花の長さ、金または銀プラズマガスの急冷時間または急冷温度などの変数を適宜調節して、所望の粉末の大きさを得ることができる。
【0046】
また、本発明による常磁性の銀は、肌吸収力が早く、べたつきがないため皮膚感触がよく、二酸化ゲルマニウムと共に使用する場合、発毛効果及び脱毛防止効果があり、また、抗菌作用、殺菌及び防汚効果が高く、歯の美白効果などに優れており、粉末の表面に酸化層がないため、光を散乱する作用により歯の表面に光沢を与え、歯の美観を美しくする特徴があり、また、本発明による常磁性の金または銀は、化粧料の活性成分の活性度を増加させ、肌吸収性に優れ、抗菌効果に優れており、各種敏感性肌に適合して肌トラブルを改善する特徴がある。
【0047】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
銀原料粉末は、純度98%以上の球状であり、大きさが1〜50μmで、アトマイジング、液相還元法または機械的ミリング法により製造したものを使用し、金原料粉末は、純度98%以上の球形及び薄片性状であって、大きさが20〜100μmであり、アトマイジング、液相還元法または機械的ミリング法により製造したものを使用した。
【0049】
(製造例1)
誘導結合プラズマトーチを使用して、RF電源増幅器13.56MHz 10kW級(RF電源増幅器は、単一型の場合、7kW以上のものを使用するか、二重型は、それぞれ5kW以上のものを使用した)RF電源印加素子は、ヘリカル形を使用して10−3torrの真空条件で、38000K〜45000K(T max=84000K)のアルゴンプラズマを発生させる。反応ガスのアルゴン(純度99.999%)を、注入量を増加させて、実際反応に適した温度の30000K以上、アルゴンプラズマ密度4×1011/cm以上に達した時は、真空度が1torr程度になるようにする。発生されたプラズマが形状化された反応火花の長さは、600〜700mmとなるようにして、銀原料粉末と反応させ、原料粉末が完全に原子または金属プラズマ状態となった後、真空条件で、水を冷媒として20〜30℃の温度範囲で2〜5秒間、急激な熱交換により冷却し、粉末大きさ1〜40μmの球状の常磁性の白色銀粉末(Ag White type)を得た。得られた白色銀粉末のTEM写真である図4から分かるように、銀粉末の表面に酸化層が存在しない。また、表面は、非常に緻密なナノサイズの構造から形成されている。
【0050】
(製造例2)
プラズマが形状化された反応火花の長さを300〜400mmに調節し、金属プラズマガス状態となった後、真空条件で、液体窒素を冷媒として−50〜−100℃の範囲で0.5〜1秒間冷却したことを除いては、製造例1の製造条件と同様に行って、粉末大きさ50nm〜3μmの球状の常磁性の灰色銀粉末(Ag Gray type)を得た。得られた灰色銀粉末のTEM写真である図5から分かるように、銀粉末の表面に酸化層が存在しない。
【0051】
(製造例3)
反応管内部に梯子状アンテナの受動RF印加素子を二つ使用し、プラズマが形状化された反応火花の長さを250〜300mmに調節して、金属プラズマガス状態となった後、真空条件で、液体窒素を冷媒として−100℃以下の冷却温度で0.1〜0.3秒間冷却したことを除いては、製造例1の製造条件と同様に行って、粉末大きさ1〜50nmの球状の常磁性の黒色銀粉末(Ag Black type)を得た。得られた黒色銀粉末のTEM写真である図6から分かるように、銀粉末の表面に酸化層が存在せず、粉末間の凝集現象が現れなく、蒸留水及びエタノール、メタノールなどによく分散される。
【0052】
(製造例4)
反応管外部にユガワ状アンテナの受動RF印加素子を四つ使用して、プラズマが形状化された反応火花の長さを1200〜1500mmに調節し、金属プラズマガス状態となった後、銀原料粉末の代わりに、実施例3で製造したもの(1〜50nm)を原料粉末として使用し、水を冷媒として20〜30℃の冷却温度範囲で2〜5秒間冷却したことを除いては、製造例1の製造条件と同様に行って、粉末大きさ1〜500μmの常磁性の中空状銀粉末(Ag Hollow type)を得た。得られた球状銀粉末のTEM写真である図7から分かるように、銀粉末の表面に酸化層が存在せず、各銀粒子から球体表面が構成され、球体の内部は満たされていない中空状である。
【0053】
(製造例5)
粉末原料として、純度98%以上の球状及び薄片状で、大きさが20〜100μmである金原料粉末を使用し、反応ガスとして純度99.999%のアルゴンガスを使用して、プラズマ温度40000K〜60000K(T max=84000K)、RF印加電力を、単一型(Single Type)なら8kW以上、二重型(Double Type)なら、上下それぞれ6kW以上を印加して使用し、プラズマが形状化された反応火花の長さを20〜30mmにして、熱交換工程の変数として、液体窒素を冷媒として使用し、冷却温度−100℃以下で0.1〜0.3秒間冷却して、粉末の大きさが1〜20nmである球状の常磁性の黒色金粉末(Au Black type)を得た。得られた金粉末のTEM写真である図8から分かるように、銀粉末の表面に酸化層が存在せず、常温でも粉末間に凝集が起こらない。蒸留水及びエタノールなどによく分散される。
【0054】
(実施例1)
製造例1〜製造例4から製造された常磁性の銀粉末と従来の反磁性銀粉末(原料銀粉末)の磁気的特性を比較分析するために、磁性測定装置(Magnetic Property Measurement System MPMS-XL, Quantum Design)を利用して、 温度と磁場を変化させながら磁化率を測定した。
【0055】
磁場依存性実験は、絶対温度20K、100K及び300Kで行い、温度依存性実験は、外部磁場H=10000 Oeの条件で行った。
【0056】
粉末から出る磁気モーメント(magnetic moment)のみを抽出するために、粉末の測定値から各粉末の反磁性カプセル(diamagnetic capsule)の磁気モーメントを引いた値でデータを収得した。
【0057】
図1から分かるように、原料銀粉末は、低い磁場において外部磁場が増加するにつれて磁化率(Mass Magnetization:M)が増加し、試料の温度が絶対温度20Kである場合、2000 Oeで最高値を有し、H>2000 Oeである場合、磁化率は、磁場が増加するにつれて減少する特性を示す(dM/dH<0)。4000 Oe付近で磁化率は、‘0’値を有し、外部磁場H>4000 Oeであると、負の値を有して、磁場依存性は、試料の温度が100Kまたは300Kである時も、ほぼ等しい挙動を示す。
【0058】
100Kと300Kの場合、低い磁場において、磁場が増加するにつれて磁化率が大きくなる現象は、非常に弱化され、高い磁場において、磁化率と共に磁化率値が減少する現象が著しくなる。即ち、H>2000 Oe以上の高い磁場領域では、磁場変化による磁化率の変化率が、温度が増加するにつれて大きくなり、外部磁場を増加させながら測定した磁化率値と、減少させながら測定した結果とが同一であり、磁気履歴特性は観察されない。
【0059】
原料銀粉末は、低い磁場領域(H<2000 Oe)を除いた磁場領域において、外部磁場が増加するにつれて磁化率が減少する反磁性の特性を示しており、H>4000 Oeの高い磁場領域では、磁化率が負の値を有するに比べ、製造例1〜製造例3で製造したAg White type、Ag Gray type、Ag Black typeの三つの粉末は、いずれも、図9〜11から分かるように、特定な磁場(飽和磁場)まで磁化率が急速に増加した後、飽和磁場以上の磁場領域では、弱い磁場依存性を示している。
【0060】
即ち、絶対温度20Kでは、飽和磁場以上の高い磁場領域では、磁化率曲線の傾きが、銀原料物質の場合‘0’より小さい負の大きさ(dM/dH<0)を示している。その反面、Ag White typeの場合は、磁化率値に比べ、ほとんど磁場依存性を示さず、Ag Gray typeとAg Black typeの‘0’より大きい正の大きさ(dM/dH>0)を有する。
【0061】
Ag Hollow typeも同じく、低い磁場では、磁場が増加するにつれて磁化率が急速に大きくなる傾向を示し、H=4000 Oe程度の飽和磁場以上の高い磁場では、磁場が増加すると、磁化率が少し減少する傾向を示す。
【0062】
また、図10〜図13と図19に示されたように、磁場が上昇する時と磁場が減少する時との磁気特性をみると、5Gauss以下の極めて小さい保磁力を示しており、一部は、2Gauss以下であって、保磁力がほとんど存在しないことが分かった。これは、本発明による金または銀粉末は、外部磁場が印加され磁場が除去された時、磁力損失無しに元の状態に戻ることを意味し、これは、本発明による常磁性物質を半導体素子に応用することができるということを意味する。
【0063】
製造例1〜3の各粉末の飽和磁場値と最大磁化率の大きさを表1に示し、飽和磁場以上の領域における磁化率曲線の線形的な部分の傾きを表2に示した。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
温度依存性実験結果は、図15〜図18から分かるように、上述した磁場依存性結果と同一な意味を示している。即ち、1Teslaの外部磁場がかかった状態では、磁化率の絶対値が、温度が上昇するにつれて減少する形態を示し、原料銀粉末の磁化率のみが全温度区間で負の大きさを有する。Ag Hollow typeを含むAg White type、Ag Gray type、Ag Black type粉末は、‘0’より小さい磁化率を有するカプセル(Capsule)効果を取り除くと、全ての温度区間で正の大きさの磁化率を有する。
【0067】
(実施例2)
製造例5で製造した本発明による常磁性の金粉末と従来の反磁性金粉末(原料金粉末)の磁気的特性を、実施例1の条件と同様にして比較分析した。
【0068】
図4と図19に示されたように、金原料物質と製造例5で製造した本発明による金粉末とは、いずれも、低い磁場(H<1000 Oe)では、磁場が増加するにつれて磁化率が急速に大きくなる傾向を示すが、H>1000 Oe以上の高い磁場領域では、金原料物質の磁化率曲線の傾きは、負の値(dM/dH<0)を有する反面、Au Black type の場合、正の傾き(dM/dH>0)を有する。実施例5のAu Black typeは、原料金粉末に比べ、磁場の大きさにより約10倍〜100倍大きい磁化率値を有する。表3に金原料物質とAu Black typeと磁化率曲線の線形部分の傾きを示した。
【0069】
【表3】

【0070】
磁場H=10000 Oeにおける温度依存性分析のための測定結果、図19と図20から分かるように、従来の金粉末は、‘0’より小さい磁化率を有するカプセル効果を取り除くと、全ての温度区間で正の大きさの磁化率を有することが分かり、このような温度依存性実験結果は、上述した磁場依存性結果と同一な意味を有する。即ち、1Teslaの外部磁場がかかった状態では、温度が上昇するにつれて磁化率が減少する形態を示し、Au Black typeは、従来の金原料粉末に比べ、1Tesla大きさの外部磁場がかかった状態において、全温度区間で約100倍大きい磁化率値を有することが分かる。
【0071】
(実施例3〜5)
[発毛剤組成物の製造]
添加される常磁性銀ナノ粉末は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用した。本発明による発毛剤組成物に含まれる二酸化ゲルマニウムは、有機物である天然の褐炭抽出物であって、1600℃〜2000℃の燃焼炉で褐炭を高温燃焼した後、水で洗浄して得られた高純度の粉末を、3〜200ppmの濃度に溶解して使用した。
【0072】
次の表4に示した成分及び配合組成を利用し、各成分を21℃で溶解して発毛剤組成物を製造した。製造された発毛剤組成物は、無色透明であって、pHが7.76である。
【0073】
【表4】

【0074】
(比較例1)
前記実施例3〜5の組成から常磁性銀ナノ粉末と二酸化ゲルマニウムとを除いて組成物を製造した。
【0075】
(試験例1)
[発毛効果実験]
30代〜60代の各種脱毛症患者15名に対し、発毛実験効果を測定した。実施例3〜5で製造された発毛剤組成物と、銀ナノ粒子と二酸化ゲルマニウムとを含有していない比較例1の組成物とを、それぞれ患者の頭皮に塗布して発毛効果を評価した。頭皮への投与は、1日3回、四ヶ月間毎日実施し、四ヶ月後、育毛状態を評価した。評価基準は、1.高い効果がある−新生毛(強毛)、2.中間程度の効果がある−新生毛(うぶげ)、3.少し効果がある−脱毛の数が減少する、4.効果無し、とした。試験結果は、表5に示した。
【0076】
【表5】

【0077】
表5から分かるように、常磁性銀ナノ粒子及び二酸化ゲルマニウムを含有した実施例3〜5の発毛剤組成物は、発毛効果が優秀であったが、銀ナノ粒子と二酸化ゲルマニウムが含有されていない比較例1の組成物は、発毛に有意的な効果が全く現れなかった。
【0078】
特に、常磁性銀ナノ粒子の含有量が高く、糖類が含有された実施例5の組成物が最も優れた発毛効果を示し、1ヶ月または2ヶ月目からうぶげや強毛の新生毛が育ち始めて、4ヶ月目に入っては、15名の中で13名から毛髪再生効果が現れた。したがって、本発明の発毛剤は、常磁性銀ナノ粒子と二酸化ゲルマニウムの免疫力増強作用により、委縮された毛嚢を活性化させて毛嚢を再生し、結果的に、脱毛患者に対する発毛の促進と脱毛防止に優れた効果をもたらすと期待される。
【0079】
(実施例6及び実施例7)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用して、下記表6に示された組成により歯磨き組成物を製造した。
【0080】
【表6】

【0081】
(比較例2)
銀ナノ粒子を含まないことを除いては、実施例6及び7の組成と同様に製造した。
【0082】
(比較例3)
下記表7に示された組成により、従来の銀粒子の含有された歯磨き組成物を製造した。
【0083】
【表7】

【0084】
(実験例2)
[本発明による歯磨き組成物の抗菌効果]
本発明の銀ナノ粒子が含有された歯磨き組成物に対する虫歯菌と歯周疾患原因菌に対する抗菌作用を調べるために、MIC(最小発育抑制濃度)測定を行った。
【0085】
CPCを濃度別に含有したBHIA(Brain heart infusion agar)を使用して、寒天培地希釈法により抗菌力を評価した。
【0086】
歯周疾患原因菌の場合、38℃、5%CO2条件下で7日間培養し、虫歯原因菌の場合、38℃、好気性条件下で3日間培養した後、MIC測定を行った。
【0087】
また、実施例6、実施例7、比較例2、及び比較例3を濃度別に含有したBHIAを使用して、寒天培地希釈法により抗菌力を評価した。試験濃度は、試験歯磨き組成物の50倍希釈濃度から2倍ずつ希釈して、全10段階の希釈濃度で行った。
【0088】
結果は、下記表8に示した。
(1)試験菌
1)歯周疾患原因菌:アクチノバシラスアクチノマイセテムコミタンス、フソバクテリウムヌクレアチウム
2)虫歯原因菌:ストレプトコカス・ミュータン、アクチノマイセス・ビスコーサス
(2)使用培地
血液寒天培地(血液寒天ベース+最終濃度5%の羊血液)BHI寒天
【0089】
【表8】

【0090】
表8から分かるように、各試験管の抗菌力を表すためのMICは、0.5〜7μg/mlにあらわれて、本発明の実施例6と7は、銀ナノ粒子が含有されていない比較例2と、従来の反磁性の銀ナノ粒子が含有された歯磨き組成物である比較例3とに比べ、実験菌株においてそれぞれ2倍以上の抗菌力を示した。また、銀ナノ粒子の含量が高い実施例6の場合、実施例7よりフソバクテリウムヌクレアチウム菌に対する抗菌力に優れた結果を示した。したがって、本発明の歯磨き組成物は、常磁性銀ナノ粒子を含有することにより、優れた抗菌力を有することが分かる。
【0091】
(試験例3)
[本発明による歯磨き組成物の美白効果の評価]
本発明による歯磨き組成物の味感、触感、光沢効果を調べるために、実施例6及び比較例2〜3の歯磨き組成物を10歳以上の男女40名の被験者に提供して、盲検により味感、触感、光沢効果を評価した。評価結果は、下記表9に示した。
【0092】
【表9】

【0093】
表9の結果から分かるように、本発明による常磁性銀ナノ粒子が含有された実施例6の歯磨き組成物が、銀が含有されていないか、従来の反磁性の銀粒子が含有された比較例2〜3に比べ、 味感、触感及び歯の光沢のいずれにおいてもよいという反応が得られた。特に、歯の光沢に対しては、応答者のほとんどが本発明の組成物がよいという反応を示した。
【0094】
したがって、本発明による歯磨き組成物は、表面酸化層が存在しない常磁性銀を使用することにより、光散乱効果が卓越で、歯の表面光沢がよくなるということが確認できた。
【0095】
(実施例8)
[しわ改善剤含有エッセンス]
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表10のような組成でエッセンスを製造した。
【0096】
【表10】

【0097】
(実施例9)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表11の成分でスキンローションを製造した。
【0098】
【表11】

【0099】
(実施例10)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、下記表12の成分を使用して栄養化粧水を製造した。
【0100】
【表12】

【0101】
(実施例11)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表13の成分でクリームを製造した。
【0102】
【表13】

【0103】
(実施例12)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表14の組成でパック類を製造した。
【0104】
【表14】

【0105】
(実施例13)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表15の組成でファンデーション、メークアップベース類を製造した。
【0106】
【表15】

【0107】
(実施例14)
添加される常磁性銀ナノ粒子は、製造例3の条件に記載の方法により製造されたものを使用し、常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用して、下記表16の成分でクレンジングローションを製造した。
【0108】
【表16】

【0109】
(比較例4)
常磁性銀ナノ粒子を含有しないことを除いては、前記実施例8と同様な組成でエッセンスを製造した。
【0110】
前記実施例8及び比較例4で製造した製品を使用し、次のような試験を行った。
【0111】
(試験例4)
[皮膚吸収、感触及び柔軟性効果実験]
実施例8と比較例4で製造した製品を使用し、盲検により30名の被験者に提供した。各被験者から、それぞれの組成物に対して皮膚吸収、皮膚感触及び柔軟性特性を評価した。特性1は、皮膚吸収速度、特性2は、皮膚にべたつきのない滑らかな感触、特性3は、柔軟性に関するものである。評点は、非常に良好、良好、普通、及び不良として表した。その結果を表17に示した。
【0112】
【表17】

【0113】
表17から分かるように、本発明による化粧料組成物は、常磁性銀ナノ粒子を含有しない従来の化粧料組成物に比べ、皮膚に対する活性成分の吸収性に優れているだけではなく、感触性及び柔軟性にも優れていることが分かる。
【0114】
(試験例5)
[皮膚弾力増加効果(活性成分に対する上昇作用)]
実施例8の剤型と比較例4の剤型の皮膚弾力改善活性成分を含有した栄養エッセンスを皮膚に塗布した時の皮膚弾力性の増加効果を実験するために、20名の左目の目元に実施例8の剤型を一日二回適用した。そして、右目の目元には、比較例4の剤型を適用した。それぞれ処理した後、皮膚表面の皮膚弾力性をCutometer SEM 474により測定した。 Cutometer SEM 474による皮膚弾力度測定は、表皮を負圧で吸入し、吸入される程度を測定して皮膚の弾力性を測定する方法であって、値が小さいほど弾力性がよいものである。弾力度の値は、対照群に比べ減少した値を%で表し、被験者20名の平均値を表18に示した。対照群は、試料を処理する前の測定値である。
【0115】
【表18】

【0116】
前記表18から、本発明による化粧料組成物は、活性成分の効果を増加させることが分かる。
【0117】
(試験例6)
[防腐力試験]
防腐力を評価するために、前記実施例8の化粧品20gにエシェリキア・コリ(Escherichia coli; ATCC 8739)、スタヒロコックス アウレウス (Staphylococcus aureus; ATCC 6538)、シュードモナス アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa; ATCC 99027)などの混合菌液を、試料当たり初期濃度106cfu(集落形成単位, colony forming unit)/gとなるように添加して混合した。これらを30〜32℃の恒温槽で4週間培養しながら、1、7、14、21、28日間隔に各化粧料を1gずつ取って、生菌数を測定した。測定結果、全測定期間に亘って生菌が全く観察されなかった。したがって、本発明による化粧料組成物は、防菌力に優れていることが分かる。
【0118】
(実施例15及び実施例16)
添加される常磁性金ナノ粒子は、製造例5に記載の反応条件により製造されたものを使用した。下記表19に示された組成により、化粧品組成物を製造した。
【0119】
【表19】

【0120】
(比較例5及び比較例6)
常磁性金ナノ粒子を使用しなかったことを除いては、実施例15及び実施例16と同様にして比較例5の組成物を製造し、下記表20に示された組成により比較例6の組成を製造した。
【0121】
【表20】

【0122】
(試験例7)
[保湿効果実験]
実施例15及び実施例16の常磁性金ナノ粒子が含有された化粧品組成物と、比較例5及び比較例6の常磁性金ナノ粒子が含有されていない化粧品組成物とを、それぞれ皮膚に定量塗布した後、皮膚保湿効果測定器(corneometer)を使用して皮膚水分保有能を評価した。
【0123】
試験方法は、22℃、相対湿度50%の恒温恒湿室で、それぞれ20名の非試験者の下膊内側に一定量を塗布してよく擦った後、時間経過による皮膚の水分含量を測定して、その結果を表21に示した。
【0124】
【表21】

【0125】
表21から、常磁性金ナノ粒子が含有された実施例15及び実施例16の化粧品組成物が、金ナノ粒子の含有されていない比較例5及び比較例6の化粧品組成物に比べ、遥かに優れた保湿効果を有することが分かる。
【0126】
(試験例8)
[皮膚吸収及び皮膚感触効果実験]
実施例15、実施例16、比較例5、及び比較例6の化粧品組成物を、盲検により30名の被験者に提供した。各被験者から、四つの組成物に対して皮膚吸収及び皮膚感触特性を評価した。特性1は、皮膚吸収速度、特性2は、皮膚にべたつきのない滑らかな感触に関するものである。評点は、非常に良好、良好、普通、及び不良で表した。その結果を表22に示した。
【0127】
【表22】

【0128】
表22から分かるように、本発明による常磁性金ナノ粒子を含有した化粧品組成物である実施例15及び16に対し、被験者全員が、皮膚吸収性及び感触性に優れているとの反応を示した。その反面、常磁性金ナノ粒子が含有されていない比較例5及び比較例6では、被験者の半分くらいが、皮膚吸収性及び感触性が普通あるいは不良であると評価した。したがって、本発明による常磁性金ナノ粒子が含有された化粧品組成物は、優れた皮膚吸収効果と感触効果を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】反磁性を有する従来の銀粉末の磁場依存特性グラフである。
【図2】反磁性を有する従来の金粉末の磁場依存特性グラフである。
【図3】反磁性を有する従来の銀粉末のSEM写真である。
【図4】本発明による常磁性を有する銀粉末のTEM写真である(Ag White type, 1〜40μm)。
【図5】本発明による常磁性を有する銀粉末のTEM写真である(Ag Gray type, 50nm〜3μm)。
【図6】本発明による常磁性を有する銀粉末のTEM写真である(Ag Black type, 1〜50nm)。
【図7】本発明による常磁性を有する銀粉末のTEM写真である(Ag Hollow type, 1-〜500μm)。
【図8】本発明による常磁性を有する金粉末のTEM写真である(Au Black type, 1〜20nm)。
【図9】本発明による常磁性を有する金または銀粉末の製造装置の概略図である。
【図10】実施例1で製造された常磁性の銀粉末の磁場依存特性グラフである。
【図11】実施例2で製造された常磁性の銀粉末の磁場依存特性グラフである。
【図12】実施例3で製造された常磁性の銀粉末の磁場依存特性グラフである。
【図13】実施例4で製造された常磁性の銀粉末の磁場依存特性グラフである。
【図14】反磁性の従来の銀粉末の温度依存特性グラフである。
【図15】実施例1で製造された常磁性の銀粉末の温度依存特性グラフである。
【図16】実施例2で製造された常磁性の銀粉末の温度依存特性グラフである。
【図17】実施例3で製造された常磁性の銀粉末の温度依存特性グラフである。
【図18】実施例4で製造された常磁性の銀粉末の温度依存特性グラフである。
【図19】実施例5で製造された常磁性の金粉末の磁場依存特性グラフである。
【図20】反磁性の従来の金粉末の温度依存特性グラフである。
【図21】実施例5で製造された常磁性の金粉末の温度依存特性グラフである。
【符号の説明】
【0130】
1 13.56MHz 10kW級RF電源システム
2 ハイブリッド制御型整合システム
3 誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma)トーチ
4 プラズマ反応管システム
5 反応ガス調節システム
6 原料物質注入システム
7 真空排気システム
8 粉末捕集システム
9 低伝導水冷却システム
10 液体窒素熱交換システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常磁性を有することを特徴とする、金または銀粉末。
【請求項2】
粉末の大きさが40μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の金または銀粉末。
【請求項3】
絶対温度20K以上で常磁性を有することを特徴とする、請求項2に記載の金または銀粉末。
【請求項4】
絶対温度100K以上で常磁性を有することを特徴とする、請求項3に記載の金または銀粉末。
【請求項5】
常温で常磁性を有することを特徴とする、請求項4に記載の金または銀粉末。
【請求項6】
外部磁場H2000 Oe以上で常磁性を有することを特徴とする、請求項2に記載の銀粉末。
【請求項7】
外部磁場H4000 Oe以上で常磁性を有することを特徴とする、請求項6に記載の銀粉末。
【請求項8】
外部磁場H2000〜8000 Oeで飽和磁気モーメントを有することを特徴とする、請求項2に記載の金または銀粉末。
【請求項9】
絶対温度100K以下で超常磁性を有することを特徴とする、請求項2に記載の金または銀粉末。
【請求項10】
粉末の大きさが3μm以下であることを特徴とする、請求項9に記載の銀粉末。
【請求項11】
粉末の大きさが20nm以下であることを特徴とする、請求項9に記載の金粉末。
【請求項12】
絶対温度100K以下で磁化率曲線の傾きdM/dHが正であることを特徴とする、請求項2に記載の正の磁化率を有する銀粉末。
【請求項13】
絶対温度20Kで磁化率曲線の傾きdM/dHが3×10−7emu/g・Oe以上であることを特徴とする、請求項11に記載の正の磁化率を有する銀粉末。
【請求項14】
外部磁場H2000 Oe以上で正の磁化率を有することを特徴とする、請求項2に記載の銀粉末。
【請求項15】
外部磁場H4000 Oe以上で正の磁化率を有することを特徴とする、請求項14に記載の銀粉末。
【請求項16】
外部磁場H1000 Oe以上で磁化率曲線の傾きdM/dHが正であることを特徴とする、請求項2に記載の正の磁化率を有する金粉末。
【請求項17】
外部磁場H10000 Oe、絶対温度20Kにおいて、磁化率曲線の傾きdM/dHが4×10−6以上であることを特徴とする、請求項16に記載の正の磁化率を有する金粉末。
【請求項18】
5Gauss以下の保磁力を有することを特徴とする、請求項2に記載の金または銀粉末。
【請求項19】
2Gauss以下の保磁力を有することを特徴とする、請求項18に記載の金または銀粉末。
【請求項20】
i)13.56MHz、5〜50kWのRF電源増幅器を使用し、真空反応管内で、誘導結合プラズマトーチを利用して絶対温度4000〜200000Kのプラズマを発生させる段階;
ii)発生されたプラズマと反磁性特性を有する金または銀粉末とを反応させて、金または銀プラズマガスを生成する段階;及び
iii)生成された金または銀プラズマガスを、プラズマ反応炉下端に設けられたナノ粉末捕集装置内で、真空条件で常温以下に急冷して、常磁性を有する金または銀粉末を製造する段階;を含むことを特徴とする、常磁性を有する金または銀粉末の製造方法。
【請求項21】
RF印加電力が、単一型は7kW以上であり、二重型は、それぞれ5kW以上であることを特徴とする、請求項20に記載の常磁性を有する金または銀粉末の製造方法。
【請求項22】
プラズマが形状化された反応火花の長さ、プラズマガスの急冷時間、または急冷温度から選択された条件を調節することにより、常磁性を有する金または銀粉末の大きさを制御することを特徴とする、請求項20に記載の常磁性を有する金または銀粉末の製造方法。
【請求項23】
請求項2に記載の常磁性銀粉末、二酸化ゲルマニウム及び精製水を含有することを特徴とする、発毛剤組成物。
【請求項24】
常磁性銀粉末の含量は、0.01〜10ppmであることを特徴とする、請求項23に記載の発毛剤組成物。
【請求項25】
二酸化ゲルマニウムは、天然褐炭を1600〜2000℃の燃焼炉で高温燃焼して得ることを特徴とする、請求項23に記載の発毛剤組成物。
【請求項26】
請求項2に記載の常磁性銀粉末が含有されたことを特徴とする、歯磨き組成物。
【請求項27】
常磁性銀0.005〜0.1重量%が含有されることを特徴とする、請求項26に記載の歯磨き組成物。
【請求項28】
請求項2に記載の常磁性金または常磁性銀、またはそれらの混合物が含有されることを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項29】
常磁性金粉末は、3〜20ppmが含有されることを特徴とする、請求項28に記載の化粧品組成物。
【請求項30】
前記常磁性銀粉末は、5〜50ppmが含有されることを特徴とする、請求項28に記載の化粧品組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−514806(P2008−514806A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552062(P2006−552062)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000964
【国際公開番号】WO2006/025637
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(506265853)ナノ プラズマ センター カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】