説明

幅出機内で同時に二軸延伸されたフィルム

【課題】約0.2ミクロン程度の厚さを有するフィルムを含む2.5ミクロン以下の厚さを有する超薄フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムを幅出機内で同時に二軸延伸する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が属する業界の分野は、二軸延伸熱可塑性プラスチックフィルムである。本発明は、さらに、そのようなフィルムの製造方法に関する。
【0002】
さらに詳しく、好ましい具体例でいうと、比較的薄いポリエステルフィルム が、幅出機で同時に二軸延伸され、改善されたゲージ(厚さの均一性)を有し、延伸中のフィルム工程破損による工程妨害を生じさせない例外的に薄いフィルムが得られる。フィルムは、延伸工程の間、輻射加熱器の使用によって、延伸温度範囲内に保たれる。2.5ミクロン厚より薄い超薄フィルムは、本方法を用いて容易に製造することができる。
【背景技術】
【0003】
引張強さおよび弾性率を含む熱可塑性プラスチックフィルムの物性がフィルムを延伸することによって改善されるということは、当業界でよく知られている。
【0004】
従来使われていた延伸技術は、これらのフィルムの製造方法、要求されている特性、および他の要素を含むフィルムの型によって広範囲に変化する。例えば、典型的な方法においては、連続ウェブ形のフィルムは、縦方向延伸に対しては ローラーを用い、横方向延伸に対しては幅出機を用いて順番に延伸されるか、または同時に、適切に設置された幅出機内で延伸され、当該フィルムが適切に延伸され、それによってフィルムの特性が改善される。他の例としては、延伸操作は、チューブ状にフィルムを流延し、チューブ状拡大と縦方向延伸技術の組み合わせを用いた適切な装置での延伸することによって行われてもよい。
【0005】
本発明は、特に幅出機における超薄の二軸延伸フィルムを製造する改善された方法に関する。そのようなフィルムは、横および縦方向において最小のゲージ変動をもつ好ましい均一のゲージを有する。このフィルムは、2.5ミクロン以下の厚さという超薄である。
【0006】
本発明の延伸方法において、溶融ポリマーは、オリフィスを通して急冷用の表面上に押し出され、フィルムの連続ウェブを形成するように冷却され、このようにして、所望されるフィルムを形成するように延伸される。フィルムウェブの押出しおよび延伸によって形成されたポリメリックフィルムの製造において、全ウェブにわたって十分に均一な厚さに達することは、非常に困難である。流延し放しのフィルムは、常にフィルムウェブの長手方向または縦方向に広がるいくつかの狭い域または領域を含み、これらの領域は、フィルムの平均より厚いかまたは薄い。これらの域またはゲージバンドは、押出された溶融ポリマーの温度または粘度の違い、押出しダイ口の荒さまたは湿潤性の変化、および他の理由を含む種々の原因より生じる。横ゲージ変動として言及される厚み変動は、横手または横方向におけるフィルムの厚さの側面を走査することによって測定される。厚み変動は、他の原因の中でも、装置の周期振動、ポリマー汲み上げ速度の変動性、または不均一の延伸条件、による縦方向でのフィルムウェブに起こることも知られている。
【0007】
さらに、慣用の方法によって熱可塑性プラスチックフィルムを延伸することは、一般に、ゲージ変動の拡大、またはフィルムのある部または領域でフィルムの中間または平均厚からの百分率偏差の増加を引き起こすことが知られている。このゲージ変動拡大(すなわち、中間厚に対する厚い領域の厚みの割合の増加、逆に、中間厚に対して薄いバンドまたは領域の厚みの割合の減少)は、フィルムに対して適用する延伸張力によって起こる。その理由は、与えられた温度で、より薄い領域は、より厚い領域より容易に延伸され、そのため、厚さの違いが延伸前より後のほうが大きくなるからである。薄い領域は、延伸して厚さが減少する傾向がある一方、より厚い部分のゲージは、本質上、わずかしか減少せず、フィルムの厚い部分と薄い部分の間のゲージ差または変動が、大きくなる。
【0008】
慣用の実施によると、延伸する前に、より容易に延伸される温度に熱可塑性プラスチックフィルムウェブを加熱することが知られている。流延し放しの、ウェブのより薄い領域は、適切な延伸温度に加熱されている間、より厚い領域より高温により早く上昇する傾向がある。この加熱工程は、さらにフィルムでのゲージ変動を増加したり、拡大したりすらする傾向がある。その理由は、より薄い領域または部分は、延伸操作の間さらに延伸するからである。
【0009】
従って、延伸可能なポリマーフィルムの流延に続いて、延伸されたフィルムにおけるゲージ変動を拡大しないというのみでなく、好ましくは減少させるという延伸技術でもって延伸することは有利である。本発明は、ゲージ変動の拡大が、本質的に減少または最小となるそのような延伸の条件の決定的な組み合わせを提供する。
【0010】
より詳しくは、本発明の超薄熱可塑性プラスチックフィルム(すなわち、最終厚が2.5ミクロン以下のフィルム)の製造において、フィルムのより厚い領域または部分がより薄い部分よりも延伸の間高温であるという方法を用いることにより、延伸フィルムにおいて改善されたゲージが得られるということが知られている。さらに、厚い部分と薄い部分の適切な温度差が、延伸操作の間、保たれることは、本発明の実施において重要である。
【0011】
従来技術のフィルム製造技術において、熱風加熱器は、典型的にフィルムを加熱するのに用いられる。フィルム温度は、フィルム上の熱風の衝突によって保たれるか調節される。熱風方式の加熱において、熱入力は、表面領域に比例しており、フィルム厚に独立である。従って、フィルムのより薄い領域は、平均厚と比較して単位領域当たりの減少した質量のため、より速く加熱される傾向があり、およびより厚い領域の温度は、単位領域当たりのより大きな質量のため、より ゆっくりと上昇する。もし、延伸が、全フィルムが温度平衡に達する前に起こるのなら、より薄い領域(より厚い領域に比べ高温である)は、ゲージ変動拡張の問題、および薄いフィルムの場合ではより薄い領域の過度の圧力によるフィルム破損という結果をともなって延伸する傾向がある。フィルム温度が大気温度と十分に平衡になった後にフィルムが延伸されても、ゲージ拡大がまだ生じるだろう。
【0012】
使用された赤外線加熱器または輻射加熱器は、延伸の前か間にフィルムを加熱するために用いられることもよく知られている。熱風加熱器は、ときどき輻射加熱器と組合わせて用いられる。さらに、種々の冷却およびフィルム前処理技術は、加熱および延伸の間か前かに、全てフィルムの特性を改善するために使用されている。これらの技術の典型的な例は、例えば、Goldman の(特許文献1)に、およびTsuruta らの(特許文献2)に記述されている。これらの延伸法のどれも、本発明の厚み範囲での薄いフィルムを延伸するのに適していない。これらは、よりよい延伸範囲内でフィルムのより厚い領域およびより薄い領域の温度差を保つ方法を提供してなく、延伸の間に冷却するような追加工程を必要とし、この工程は、本発明の方法の操作にひどく影響し、効力をなくす傾向がある。
【0013】
Goldman の(特許文献1)で、比較的厚いチューブ状のフィルムは、オリフィスを通して押出され、輻射熱にさらされ、冷却されている間に延伸される。延伸している域に冷却用空気をフィルムの薄い部分をより速く冷却するように供給し、それらを補強し、そしてゲージの均一性を改善する。流延し放しの、チューブ状のフィルムは、15〜85ミルのいずれかの壁厚(例えば、381〜2159ミクロン 厚)を有し、冷却中0.8〜1.2ミル厚(例えば、20.3〜30.5ミクロン厚)の範囲の厚さまで延伸される。
【0014】
フィルムをより高温に加熱し、延伸しながら冷却するというGoldman 法(より薄い領域およびより厚い領域の一時的な温度差を生み出すためにより薄い領域のより速い冷却速度を利用する)は、薄いフィルムに影響をもたらすことはないだろう。その理由は、これらのフィルムは、あまりにも速く均一温度に達するからである。
【0015】
さらに、Tsurutaらの(特許文献2)の中で教示された方法では、2〜12重量%の水 が、慣用の熱風加熱器および赤外線加熱器によって加熱される前に、比較的厚いポリアミドフィルムに前処理工程で加えられる。そしてフィルムは、そのゲージを改善するためにフィルムの融点より低く、少くとも30℃の温度で、引っ張られる。水は、延伸過程で、水なしで可能であるよりも非常に大きな伸びを起こすのに用いられる。可塑剤は、本発明の方法によって製造されたタイプの超薄フィルムの製造に必要とされない。
【0016】
本発明の方法によって延伸されたフィルムは、延伸する前で十分に薄く(すなわち25ミクロン以下)、そのため輻射加熱器からのエネルギーの吸収は、厚さにほぼ比例する。大気に対する対流熱損失は、フィルム表面領域に比例する。結果として、より厚い領域は、より薄い領域より熱くなり、フィルム中のある点での温度差は、その点の厚さに比例した量となる。
【0017】
変動する厚さの領域間の温度差が、延伸中よりよいレベルで保たれるということは、本発明の実施で重要である。これらの温度差は、輻射熱の連続使用によって大気との熱平衡で薄いフィルムに対して、適切なレベルで効果的に保たれることが、わかっている。この発見は、本発明の本質である。
【0018】
この条件は、Goldman らの(特許文献1)で教示されたもののように、より厚いフィルムには適用されない。そのようなフィルムに対して、輻射加熱によって吸収されたエネルギーは、厚さに比例したものよりかなり少なく、温度平衡に、単位領域あたりより大きな質量のため、よりゆっくり達する。その方法においては、フィルム全体が、所望される温度以上に加熱されなければならなく、次いで延伸の間、冷却されなければならないので、より薄い領域が、延伸が起こる間の短時間にわたってより厚い領域より冷たくなる。
【0019】
フィルムを加熱および冷却するGoldman 法は、超薄フィルムを延伸するのに適していないだろう。その理由は、延伸工程の間、強制冷却用風を用いた素早い平衡は、フィルム温度を均一にする原因になるので、フィルムのより厚い部分およびと薄い部分の間で、所望の温度差が保てないからである。フィルムのより厚い部分が、延伸工程の間より薄い領域より高温のままであるということは、本発明の実施で重要である。
【0020】
本発明は、延伸が始まる前または延伸工程の早期に、平均厚と比較して5%厚いフィルムの範囲内で少なくとも0.1℃高いという温度差を見積もる方法を提供している(および、逆に平均より5%薄い領域で少なくとも0.1℃低いという温度差)。適切な温度差は、フィルムを延伸する前に、ポリエチレンテレフタレートに対しては約3%伸び率であるが、その弾性限界を超えて見積もられることが好ましい。フィルムのより厚い領域とより薄い領域との温度差は、局部的な熱収支によって見積もられ、この局部的な熱収支とは、熱入力がフィルム厚および輻射加熱器からのエネルギー束に対するポリマーの吸収特徴によって調節され、一方大気への熱損失が空気移動によって調節されることをいう。厚い領域と薄い領域との温度差を加減することなしに、より好ましい温度差を保つためにフィルムウェブの付近の空気移動を最小にする事が好ましい。代わりに、空気をフィルムに平行方向で、好ましくはフィルムとともにそしてフィルムと同じ速さで流し、フィルムもまた受け入れられるものであることである。所望の温度差が、延伸中の過度の空気移動によって取り除かれないということは、本発明の実施に対して重要である。薄いフィルムウェブに対向する押込み空気衝突は、フィルムのより厚い領域とより薄い領域との温度差を減少させるか取り除く。
【0021】
これらおよび他の理由のため、超薄フィルム、特に2.5ミクロン以下の最終厚を有するものを製造する事が極端に困難であるということは、当業界に長く知られている。最終フィルム製品中の都合の良い均一なゲージを得ることは、困難なだけではなく、一般にフィルム破壊が延伸中におこる。押し出されたフィルムウェブでのゲージ変動は、本問題点の主な原因である。先に述べたように、フィルムのより薄い部分は、一般により厚い部分より弱く、延伸中に、より薄い部分は、段々とより薄くなっていき、破損する傾向があり、延伸操作のもつ連続性問題を生じる。このことは、ロールの中に巻かれるべき連続ウェブの形成で、薄いフィルムを製造するとき特に注目される。破損は、あまりに頻繁に起こるので、少なくとも5000メーターの長さを有する巻かれたロールウェブを製造するのは非常に困難である。
【0022】
超薄フィルム製造での連続性を改善するための従来技術方法は、積層フィルム構造が同時押出または堆積によって製造され、堆積は延伸によってのばされ、そして引き続いて超薄フィルムを提供するように離層されるという方法に主に集中している。同時押出法において、個々の溶融ポリマー流の好適な流速を保つことにおいて、および押出されたフィルムの幅を横切る均一の厚さの側面を得るための同時押出での種々の層の側面を設定することにおいて、困難に頻繁にあう。堆積での個々のフィルムは、延伸の間付着されなければならないが、延伸の後、容易に離層されなければならない。離層のときに層間の不均一付着は、巻かれたロール内のフィルム破損またはしわという結果となる。
【0023】
上述した型の方法によって薄いフィルムの連続性を改善するための典型的な例は、(特許文献3)にみられる。自立の薄いフィルム(2.5ミクロン以下の超薄フィルム厚)を、積層用強化材の必要性なしに、製造したり巻いたりするための即時の応用の方法は、この方法に対する特徴的な改善点を表している。
【0024】
フィルムゲージ変動は、都合の良いロール形成を得るために、フィルムを巻き込むことにおいて、深刻な問題も存在する。例えば、フィルムの連続の長さにおいてより厚い部分は、巻かれたロール上に堅い表面を与え、一方より薄い範囲は、柔らかい。そのようなロールは、処理の間しわになるかまたはめり込む傾向がある。さらに、ロールを巻かないときは、そのようなフィルムによる等張力を保つことは難しく、スリッチングを困難にする。さらに、その幅を横切った比較的高いゲージ変動を有するフィルムは、種々の加工装置で操作するのが困難か不可能である。
【0025】
さらに、これらのゲージ変動が減少し、連続性が、真空蒸着、コーティング、および堆積のような順次おこるフィルム処理に対して速やかに最終ロールの容易な形成を妨げるかじゃましないように改善されたことは、重要である。
【0026】
よって、幅出機で、従来技術にみられるような連続性およびゲージ均一性の問題に直面することなく、好適な均一のゲージを伴う2.5ミクロン厚以下の二軸延伸された超薄フィルムを製造する方法は、長い間求められている。
【0027】
本発明において、延伸領域で都合の良いレベルでフィルムの温度を保つために輻射加熱器を用いることによってこの型の特に薄いフィルムを製造することが可能になることが、驚くことにわかった。本発明は、そのような方法を提供するものである。より詳しくいうと、これらの加熱器は、薄いフィルムのより厚い領域とより薄い領域とのより好ましい温度差を、延伸中に大気との熱平衡において、効果的に保つのに用いられることがわかった。押し込み空気熱が用いられると、これらのレベルが、本発明のような、特に25ミクロン厚以下の流延厚さを有するフィルムを延伸するのに、容易に保つことができない。延伸の間フィルムを加熱するのにこれらの輻射加熱器を用いることによって、2.5ミクロン以下の厚さを有する二軸延伸超薄フィルムは、容易に最小の連続性問題を伴う同時延伸技術を用いて製造することができる。0.2ミクロンという低い厚さを有する超薄フィルムは、本方法を用いて製造できる。そのようなフィルムは、5000メーターを超える都合の良い商業用の長さで、ロールに巻くことができる。
【0028】
【特許文献1】米国特許第3,231,642号
【特許文献2】米国特許第3,510,552号
【特許文献3】欧州特許出願第92107411.8号
【0029】
簡単に述べると、本発明は、2.5ミクロン以下の厚さおよび0.2ミクロンという薄さを有する非常に薄い二軸延伸熱可塑性プラスチックフィルムの製造方法である。
【0030】
そのような方法は、最も基本型で、次の工程を含む:
25ミクロン以下の厚さを有するフィルムを形成する工程、
幅出機にフィルムを移動する工程、
延伸する前に幅出機内で延伸温度にフィルムを加熱する工程、
輻射加熱器を用いて、幅出機のフィルム延伸部分内において、フィルムを延伸温度内に保つ工程、
一方、2.5ミクロン以下の厚さを有する二軸延伸されたフィルムを形成するために二軸にフィルムを同時に延伸する工程。
【0031】
好ましくは、フィルムが同時に二軸に延伸されて、1.0ミクロン以下の厚さを有するフィルムを形成する。
【0032】
他の具体例で、フィルムが、約0.6ミクロンの厚さに同時に延伸されるポリエステルフィルムの形成に関する。このフィルムは、約0.2〜1.0ミクロンの厚さに同時に二軸に延伸されてもよい。
【0033】
本発明による二軸延伸されたフィルムは、典型的に25%以下の厚み変動で産業応用に対し、適したゲージ均一性を有する。
【0034】
延伸する前に25ミクロン以下の厚さを有する熱可塑性プラスチックフィルムおよび特にポリエステルフィルムが、本発明の方法によって延伸されてもよい。一般に、フィルムは縦方向と横方向にその原寸の少なくとも2倍延伸され、好ましくは、少なくとも原長の2倍〜約5倍にわたって縦方向に延伸され、少なくとも原幅の2倍〜約5倍にわたって横方向に延伸される。
【0035】
本方法によって製造されるフィルムは、特に巻き上げられたロール上に巻かれる連続ウェブの形成に関する。そうして巻き上げられたウェブの長さは、好ましくは少なくとも5000mである。都合の良い産業用ロールは、本方法を用いて形成される。
【0036】
特に、本発明は、次の工程を含む薄い二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造する方法である:
急冷する表面上にポリエチレンテレフタレートの溶融ポリマーを流延し、25ミクロン以下の厚さを有する自立のフィルムを形成するようにポリマーを冷却する工程、
幅出機にフィルムを移す工程、
輻射加熱器を用いて、幅出機のフィルム延伸部分で、フィルムを約80〜120℃の延伸温度を加熱する工程、
そして、2.5ミクロン以下の厚さを有する二軸延伸されたポリエステルを形成するようにフィルムを同時に二軸に延伸する工程。
【0037】
この方法は、約185〜220℃の温度範囲内にそのフィルムを維持しつつフィルムを熱設定する工程をさらに含んでよい。好ましくは、輻射加熱器を熱設定領域でより好ましい温度でフィルムを加熱するのに用いる。
【0038】
本発明は、さらに次の工程を含む薄い二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを製造する方法を提供する:
ポリエチレンナフタレートの溶融ポリマーを急冷する表面上に流延し、25ミクロン以下の厚さを有する自立のフィルムを形成するためにポリマーを冷却する工程、
幅出機にフィルムを移す工程、
延伸する前に、フィルムを幅出機で延伸温度に加熱する工程、
輻射加熱器を用いて、幅出機のフィルム延伸部分で、フィルムを約115〜 165℃の延伸温度範囲内に保つ工程、
そして2.5ミクロン以下の厚さを有する二軸延伸ポリエチレンナフタレートを形成するようにフィルムを同時に二軸に延伸する工程。
【0039】
延伸した後、好ましくは輻射加熱器を用いて、フィルムを約185〜245℃の温度範囲内に維持しつつ、フィルムを熱設定する。
【0040】
二軸延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムは、好ましくは、1.75ミクロン以下の厚さを有する。
【0041】
最後に、上述した方法を用いて製造された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートフィルムは、本発明の重要な部分を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、主に二軸延伸フィルムを製造する方法を含む。伸ばされたウェブの形成においてフィルムは、幅出機内で同時に二軸に延伸され、そのようなフィルムを形成するのに加熱する。それ自体で、およびそれ自体のものが、本発明の重要な部分であるフィルムは、特に薄く(例えば、2.5ミクロン厚以下)、特性が、特に最小容量で誘電媒体としての使用を含む電気用途での使用に適応する都合の良い均一な厚さを有する。これらの特性はまた、市販サイズのロールに巻かれるようなフィルムウェブを与え、これはまた、本発明の一部を形成する。均一の厚さの薄いフィルムはまた、デジタルステンシルおよび熱移動メディアのような用途に特に重要であり、このメディア中で、薄いフィルムの均一熱移動特性、高分解を得るのに必要がある。染料昇華を用いる熱移動メディア中、非常に均一な薄いフィルムを用いることは、特に重要である。
【0043】
さらに詳しくは、本発明の方法は、結晶性熱可塑性プラスチックポリマー同様アモルファスから改善された厚さの均一性を有する二軸延伸されたポリマーフィルムを製造するのに特に適している。
【0044】
適切な熱可塑性プラスチックポリマーは、限定はされていないが、ポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルを含む結晶性ポリマーと同様ポリスチレンおよびポリアクリレートのようなアモルファス非結晶ポリマーを含む。好ましいのは、主酸成分として芳香族ジカルボン酸(またはそれより低いアルキルエステル)および主グリコール成分としてアルキレングリコールを含む結晶性ポリエステルである。芳香族カルボン酸の例として、限定はされていないが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホジカルボン酸、およびジフェニルケトンジカルボン酸が含まれる。最も好ましいのは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸である。好ましいアルキレングリコールは、エチレングリコールである。当業界でよく知られているような、所望のフィルムの特性を最適にするために追加してもよい適切な共重合性成分は、ジエチレングリ コール、プロピレングリコール、またはネオペンチルグリコールのようなジオール;フタル酸およびイソフタル酸のような芳香族二酸成分;およびセバシン酸およびアジピン酸のような脂肪族二酸成分を含む。ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)は、本方法によって製造されるフィルムに特に適している。本方法は、PETおよびPENのポリエステルコポリマー、PETかPENのどちらかを70重量%以上含むコポリマー、およびポリマー配合物も適用され、このポリマー配合物は、配合物がフィルム製造工程中、典型的なPETおよびPENの延伸特性を示すものを製造する適切なポリマーの組み合わせによって形成される。
【0045】
このポリマーはまた、フィルムロールの巻きを含むフィルム取り扱いを容易にする滑剤として働くものするとして当業界でよく知られているような、内部的に沈殿させる、または外部的に添加される不溶性(無機物または有機物)粒子を含んでもよい。
【0046】
本発明の方法を実施するのに適している装置は、所望する物性を有する延伸されたフィルムを製造するために、ポリエチレンテレフタレートのような熱可塑性プラスチックフィルムを延伸することができる。
【0047】
装置で延伸されるべきフィルムは、供給源から供給され、幅出機に移され、そこで、本発明の二軸延伸フィルムを形成するために、同時に縦方向と横方向に延伸されるということがわかる。
【0048】
延伸されるべきフィルムは、例えば供給ロールのような適切な供給源から得られてもよい。一つの具体例において、フィルムは、典型的なフィルム製造ラインからでてくるような連続ウェブの形で、幅出機に供給される。好ましくは、これが、フィルム供給源である。
【0049】
この近頃の例で、溶融ポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレートは、ダイのスリットオリフィスを通して典型的に、溶融押出しされ、約30℃の温度に維持した内部冷却された回転する急冷ドラムの急冷する表面に流延し、ウェブ型に本質的にアモルファスの自己のフィルムを製造する。
【0050】
ウェブは、抜取器ロールにわたって通ることによってドラムから剥ぎとられ、幅出機上に移され、幅出機で、それを延伸するために、縦方向と横方向に同時に二軸に延伸される。
【0051】
本発明の薄いフィルムの製造において、押出されたフィルムウェブの主な中心部分の“流延し放しの”厚さは、25ミクロンより大きくないべきである。ウェブの端またはビードは、典型的に、移動の間、特に幅出機内での延伸操作の間、ウェブを供給するためのものより、本質的に厚い必要がある。ダイ開口は、必要とされる厚さの側面を提供するようによりよく調節される。延伸の後、厚い端は、薄いフィルムをロールに巻く前に、ウェブから切断する。
【0052】
幅出機内でフィルムを延伸する間に、操作条件が観測されることは、重要である。
【0053】
フィルムのウェブをまず、延伸する前に延伸温度に加熱された幅出機オーブン内の加熱する部分に移す。ポリエチレンテレフタレート(PET)に対する延伸温度範囲は、典型的に80〜120℃である。輻射加熱器は、さらに説明する理由のため、この部分で比較的薄いウェブを加熱するのに用いられる。強制された空気熱は、または空気および輻射熱の組み合わせは、ウェブをその予備延伸された延伸温度に加熱するものを用いてもよいが、輻射熱は、延伸前に所望の温度差を達成するのに用いるのが好ましい。
【0054】
このようにして、ウェブは、2.5ミクロン以下の厚さに縦方向と横方向に同時に二軸方延伸される延伸部分18に移される。ウェブの温度は、使用されるポリマーに対して適切な延伸温度内に保たれる必要がある。PETに対し、この範囲は約80〜120℃である。フィルムのより厚いゲージ領域とより薄いゲージ領域間のより好ましい温度差は、その弾性限度を超えてフィルムの延伸をする前に達成されるということは、重要である。輻射加熱器を用いることによってより好ましい温度差を達成し、保持することのみが可能である。強制された空気熱も使われるのなら、それは、連続性に影響を与えるフィルム破損の原因となるのみでなく、温度差、さらにはフィルムに対して求められていたゲージの改善を減らしたり、取り除く傾向がある。
【0055】
このフィルムは、延伸する部分でそれぞれの方向に、その原寸を少なくとも2回延伸し、2.5ミクロン以下の超薄フィルムを形成する。他の延伸率および/または“流延し放しの”ウェブ厚は、本発明によると0.2ミクロンという小さな厚さを有するフィルムを含むフィルムを形成するのに用いてもよい。
【0056】
ここで定義されたような“延伸温度範囲”は、ポリメリックフィルムの分子延伸が影響される温度範囲のことを述べている。延伸温度範囲の下では、フィルムは、破壊される傾向にある。延伸温度範囲より上では、フィルムは、延伸することなしに伸びる。与えられた熱可塑性プラスチックポリマーの特別な延伸範囲は、当業界の熟練者によって容易に決められる。この範囲は、特別な温度で溶融するポリマーの溶融温度より低いところまたは温度範囲を越えて溶融する結晶ポリマーの結晶溶融点より低いところのどこかにある。結晶溶融点は、結晶ポリマーの結晶性が、固体ポリマーを溶融するまで加熱するときX線試験でもはや検出されなくなる温度のことをいう。
【0057】
フィルムウェブが、延伸する部分で二軸延伸される前に、フィルムウェブは、用いられたポリマーの適当な範囲内に熱設定された熱設定部分に、必要に応じて移す。ポリエチレンテレフタレートに対し、この温度範囲は、約185〜220℃である。再度、フィルム温度は、この熱設定工程の間、この温度範囲内に保つことは重要である。輻射加熱器は、この温度範囲を保つために再び用いられるということは重要である。このフィルムは、この部分では非常に薄く、強制された空気熱は、ウェブが破損する原因となるかもしれない。
【0058】
本方法によって製造されたフィルムは非常に薄く、2.5ミクロン厚より薄く、“流延し放しの”厚さによるものであり、用いた延伸率は、0.2ミクロンというわずかな厚さを有することができる。この超薄フィルムは、典型的に厚み変動25%以下という、都合の良い均一ゲージであり、ほとんど連続性の問題を生じないで製造される。さらに、それは、引き伸ばしの巻き上げロール上に5000メーター超える産業用サイズの長さで、容易に巻かれる。
【0059】
本発明の超薄フィルムを製造するのに特に適した装置は、Hommesらによって米国特許第5,051,225号に特に詳しく表されている。必要とされる唯一の変更は、フィルムを上述されたような加熱する、延伸するおよび熱設定する部分で、より好ましい操作温度で保つための幅出機内の輻射加熱器の追加、および使用である。この特許の教示を参照することによって当該米国出願の明細書の内容が本明細書の一部を構成するものとする。
【0060】
このフィルムを製造するのに効果的に用いられてもよい他の装置は、Kampf による米国特許第3,150,433号およびHutzenlaubによる米国特許第3,932,919号に示されている。再度、輻射加熱器は、幅出機内、特に延伸部分および必要に応じて熱設定部分で、フィルムを加熱するのに必要とされる。
【0061】
本発明のこの実施において、延伸操作中、幅出機内で延伸温度範囲内にフィルムの温度を保つことは、非常に重要である。本発明を実施するために、輻射加熱器は、本目的に沿って用いられなければならないということが、わかっている。さらに、フィルムにおける適切な温度差がより好ましく保たれるように加熱している間フィルムに隣接する部分の空気乱流を最小のすべきことがわかっている。このことが、延伸する領域に強制空気熱の使用を排除することになる。さらに、延伸する領域において冷却用の押込み空気の使用を排除することになり、実際に、フィルム内の温度差を取り除いたり、この延伸範囲より低い温度に対してこの領域内で温度を減少したりするのに十分である冷却は、この領域の中では起こすべきでないことがわかっている。
【0062】
輻射熱の使用は、この幅出機延伸法にとって重要である。フィルム厚が、約25ミクロンより薄い場合、フィルムによる輻射エネルギーの吸収は、より厚い部分よりも低い温度であるフィルムのより薄い部分におこる。この温度差は、より薄い領域の応力−歪曲線がより厚い領域の応力−歪曲線の上にある(与えられた歪でのより高い応力)原因となり、そのため薄い領域は、強くなり、温度が均一である時は厚い領域よりも伸びにくい傾向がある。このことは連続性(薄い領域は、より強く、破壊しにくい)およびゲージ均一性(薄い領域は、厚い領域に比べてより少なく伸び、均一フィルム温度を用いたものより少ない最終の厚み変動ができる)に有益である。超薄フィルムを延伸するために輻射加熱器を用いるとき、厚さが増加するにつれ、赤外線吸光度がほぼ正確な割合で増加し、そのため、より大きな単位領域当たりの輻射エネルギーが、より厚い領域で吸収されるということがわかる。さらに、フィルムが十分に薄いと、その非常に低い熱容量のため、フィルムは熱平衡近くに保たれる。平衡でのより冷たい大気への熱損失は、全ての点で熱入力に等しい。大気への熱損失は、フィルム温度と大気温度との差に比例する。そのため、フィルムの全ての点で、温度は、厚さにほぼ比例した量によって大気温度より高い。
【0063】
上述された条件は、十分に薄いフィルムにのみ適用される。厚いフィルムに対して、仮説は、保持されない:熱平衡に到達せず、吸収された輻射エネルギーは、厚さに比例せず、非直線な関係である。
【0064】
結果として、より厚い領域は、より薄い領域より高温に保たれないかもしれない、または保たれないだろう。そこで、本発明の延伸する利点は、失われる。
【0065】
より厚いフィルム(例えば、約25ミクロンより大きな厚さを有するもの)は、より薄いフィルム(例えば、約25ミクロン厚より小さいもの)より長時間にわたってフィルムのより厚い領域およびより薄い領域に熱を保つだろう。この理由のため、知られている従来の方法で、まずフィルムを加熱し、延伸する前または間に、それらを補強するために急速にこれらのより薄い領域を都合の良い温度に冷却することが必要である。
【0066】
薄いフィルムに対し、より厚い領域およびより薄い領域は、ともに急冷され、延伸工程中これらの領域間の温度差を保つように必然的に輻射加熱器を用いることが知られている。
【0067】
さらに、次の実施例は、本発明において、超薄フィルムの製造方法を説明する。
【実施例】
【0068】
[実施例1]
熱可塑性プラスチックフィルムは、フィルム形成するダイから溶融されたポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーを押出し、それを冷却して凝固させることによって形成される。ポリマーは、ダイから冷却された急冷ドラムに流延され、連続ウェブの形成において本質的にアモルファスの自立のフィルムを製造した。この工程は、慣用である。このフィルムが、結晶性ポリマーの処理に典型的であるように、フィルムを、結晶化を最小にするために急速に冷却した。その理由は、アモルファスフィルムが、部分的に結晶であるフィルムより均一に延伸することが知られているからである。
【0069】
延流したままのフィルムは、幅約50センチメーターで、端を除いた中央部分を横切った厚さ6.34ミクロンであった。フィルムの端は、急冷ドラムおよび引き続いてローラーにわたるフィルムの移動を促進し、延伸の間フィルムの端を保護するため厚くしてあった。フィルムは、典型的に一分あたり19.8メー ターで延伸された。ダイは、慣用の設計であり、口に沿った多数の点で開口しているダイ口を調整することによって流延フィルムの状況の調整を可能とする適切な設備を備えている。呼称開口は、ポリマーの粘度および流量を考慮しながら適切な圧力降下を提供するように口の間に保持されている。そして、流延フィルムは、急冷ドラムから剥ぎ取られ、装置の形状や、相対的位置に対応したローラーを用いて幅出機の入り口に転送された。
【0070】
幅出機の入り口で、フィルムの端は、幅出機クリップによって掴まれた。そのクリップとは、初めに開かれ、フィルム端が、ジョーに導入された後に閉められるものである。同時延伸に対し、それぞれのクリップジョーはフィルムの短い長さのみを掴み、隣接したクリップ間のより厚いビードの比較的長い掴まれていない部分を可能にする。そして、そのビードは、延伸過程の間広げられるクリップ間の距離として延伸されない。クリップに入るフィルムは、約室温である。
【0071】
フィルムを掴んだ後、クリップは比較的まっすぐな平行にした路を通り加熱部分に移された。その加熱部分で、PETフィルムの温度が、ポリマーがその強度を増すように延伸される延伸温度範囲に達するように増加された。ある温度より下で、フィルムは、破壊される傾向にあり、ある温度より高いと、延伸することなしに伸びる。PETフィルムに対し、延伸温度範囲は、約80〜120℃である。
【0072】
フィルムは、加熱部分で、輻射加熱器を用いた延伸の開始より前に、上記範囲内の延伸温度に加熱された。このフィルム温度は、与えられた加熱器の特性、フィルム、速度、フィルム厚、ポリマーの比熱を考慮して十分な熱エネルギーを供給することにより、より好ましいレベルまで増加された。
【0073】
クリップは、幅出機に入れるときに中心から中心基準で約5センチメーター離した。クリップ路は、加熱されないおよびフィルムが部屋の空気にさらされた幅出機の入り口領域にほぼ平行であった。クリップは、加熱部分ではほぼ平行に移動し続けた。フィルムは、フィルムの上約30センチメーターに設置された輻射加熱器群によってこの部分で加熱された。加熱器は、フィルムにさらされた平坦な表面を有する。加熱器は、幅出機クリップの通路を超えて広げられ、いっぱいのフィルム幅を横切った、均一の輻射熱束を提供する。
【0074】
加熱部分の後では、クリップの通路は分岐され、そして対向した組のクリップは、隣接した組から分離するように促進され、それによって縦(長手)および横(横手)方向に加熱されたフィルムが延伸される。輻射加熱器は、延伸の間より厚い領域をより熱く、フィルム内のよりよい温度差を保つのに用いられた。トラブルとなる空気乱流は、この部分で輻射熱のみを用いることによって最小にされた。このフィルムを、縦方向に原長の3倍に、および横方向に原幅の3.26倍に延伸された。
【0075】
延伸部分の後では、幅出機クリップ路が、再度ほぼ平行になり、フィルムは、フィルム中の結果の増加を生じた温度に熱設定部分で加熱することによって熱設定された。この実施例でのPETフィルムは、約185〜220℃の温度に加熱された。フィルムが後に再加熱されるとき、熱設定は、引き続き起こる工程または最終用途で起こるような、寸法の変化を減少する。上述されたように輻射加熱器群は、この部分で、延伸されたフィルムを熱設定するのに用いられた。熱設定工程で輻射熱を用いることは、薄いフィルムを熱設定するのに重要である。それは、操作のこの段階においても寸法の変化がまだ生じうるので、延伸する工程におけるのと同じ利益を提供するからである。この部分で、空気乱流を最小にすることも重要である。
【0076】
延伸、熱設定した後のフィルムは、0.64ミクロン厚である。この超薄フィルムは、フィルム破損または連続性問題もなく、ウェブの長さ6139メーターに製造された。厚いビード端は分岐され、中央の0.8メーター幅の薄いフィルムは、円筒形核に巻かれた。
【0077】
先に述べたように、この範囲内の厚さを有する薄いフィルムは、本発明の方法に従うことによって効果的に製造される。もしより薄いフィルム(すなわち、0.2ミクロンと同じくらい低い厚さを有する2.5ミクロン以下の厚さの超薄フィルム)さえ望ましいのなら、本方法で製造できる。本発明の利益は、約8ミクロンより大きな最終厚を有するPETフィルムに対して観測されない。
【0078】
[実施例2]
次の表に示されたフィルムは、0.7重量%の微粒子添加剤を含むポリエチレンテレフタレートポリマーの初めのフィルムを水冷却された急冷ロールに流延 し、そして幅出機にフィルムを移すことによって製造される。
【0079】
フィルムは、まず2.75メーター長の加熱部分で、輻射加熱器で加熱され、輻射エネルギーの連続された適用で第二の2.75メーター長の延伸部分において、同時に縦方向に約3倍、横方向に約3.25倍延伸された。そして、フィルムは、より薄い領域より、より厚い領域が熱くなっているように温度差を保つのに用いられた加熱部分を通して移動された。その理由は、ゲージ変動が、熱設定の間に生じ続けられるからである。使用しないビード端は、表1に示された長さのロールに巻かれた0.8メーター幅のフィルムウェブを残すフィルムから、分けられた。
【0080】
表1

試 験 A B C D

流延速度 17.1 19.0 19.6 20.7
m/分

流延フィルム厚 12.7 8.9 6.5 4.2
ミクロン

延伸する前の 3.26 3.72 5.74 5.43
予熱部分での輻射
加熱器工率入力
キロワット/sq m

延伸する前の 0.53 0.51 0.52 0.37
厚さ偏差+5%の
計算された温度差


最終フィルム厚 1.22 0.86 0.65 0.42
ミクロン

最終ロール長 7300 4900 7600 7000


フィルム表面の荒さ 43 32 測定され 測定され
Talysurfによって測定 なかった なかった
されたナノメーター中のRa
【0081】
[実施例3]
フィルムは、実施例2のように製造された。
【0082】
最終的な延伸されたフィルムの厚み変動は、フィルム厚に対する非接触感知器を用いて、横方向の側面を測定することによって評価された。
【0083】
37の総スキャンは、平均形状の正しいサンプルを得るために連続した位置にそれぞれのフィルムを横切って作られた。それぞれの側面の厚み変動は、平均読みとりによって分割されたおよび100で割られた最小読みとりを、最大読みとりのマイナスとして計算し、それぞれのフィルムに対する平均割合は、フィルム厚の変動の測定として得られる。
【0084】
表2は、本方法によって測定された最終フィルム厚および百分率厚み変動を載せてある。
【0085】
表2

平均厚 厚み
ロール (ミクロン) 変動

E 1.2 30%
F 1.2 21%
G 0.9 30%
H 0.9 25%
I 0.6 22%

百分率厚み変動は、慣用の延伸を用いて製造されたフィルム、すなわち加熱されたローラーを有する縦方向の延伸のあと、強制された熱風加熱を用いて幅出機において横方向に延伸されたフィルムで観測されるように、絶対厚さが減少するにつれ段々に悪くならないということは、驚くべき結果である。
【0086】
[実施例4]
ポリエチレン−2,6−ナフタレン(PEN)フィルムは、実施例2に記載されたのと同じ方法で同様に延伸された。ただし、流延PENフィルムは、このポリマーの延伸に対して必要とされるように輻射加熱器を用いてより高温に加熱された。薄いフィルムは、表3に記載されたように、フィルム破壊による困難性なく、連続的に製造された。フィルムサンプルLおよびMの限定された量のみが製造された。
【0087】
表3

フィルムサンプル J K L M

流延速度 18.4 18.4 21.4 21.4
m/分

流延フィルム厚 13.24 15.80 13.73 10.44
ミクロン

延伸する前の 9.01 9.96 13.41 11.00
予熱部分での輻射
加熱器工率入力
キロワット/sq m

延伸する前の 1.4 1.8 2.2 1.8
厚さ偏差+5%の
計算された温度差


最終フィルム厚 1.22 1.29 1.09 0.89
ミクロン

ロール長、m 3000 3600 50 50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅出機内で同時に二軸延伸された、誘電媒体として電気用途に用いられるポリエステルフィルム。
【請求項2】
幅出機内で同時に二軸延伸された、デジタルステンシルに用いられるポリエステルフィルム。
【請求項3】
幅出機内で同時に二軸延伸された、熱転写媒体に用いられるポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2006−103339(P2006−103339A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326423(P2005−326423)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【分割の表示】特願平7−523035の分割
【原出願日】平成7年3月1日(1995.3.1)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】