説明

幕体の昇降コード巻取装置

【課題】 巻取ドラムの軸線方向運動なしに、昇降コードを軸線方向に往復させて二重に、しかも隙間なく巻取ドラムに巻き取ることができる昇降コードの巻取装置を提供する。
【解決手段】 ヘッドレール2に細長のガイド開口14aを設け、これに移動自在の移動駒16を係合させる。昇降コード6は、巻取ドラム3の一端側から移動駒16を自由に貫通して幕体C1に沿って下方へ伸びるように配する。巻取ドラム3の回転で、昇降コード6は当該巻取ドラム3の一端側から他端側へ向かって隙間なく巻き取られる。この昇降コード6の巻き位置の移動に応じて、移動駒16がガイド開口14aに沿って一端から他端まで移動する。その後、昇降コード6の巻き位置と共に移動駒16が折り返して、一端側へ移動し、昇降コード6は巻取ドラム3の一端側へ向かって隙間なく二重に巻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘッドレール内の巻取ドラムから垂下する昇降コードの昇降操作によって、ヘッドレールに上端が係止された幕体を昇降させるローマンシェードやその他各種のブラインドに用いられる昇降コードの巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻取ドラムの軸線方向の運動なしにコードの均等巻取を行うことができるブラインドのサシペンションコード(昇降コード)の巻取装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この装置は、フレームに並進運動はしないように固定された巻取ドラムと、コードをオーバラップすることなく均等な巻線に巻回せしめる手段とを備える。この手段は巻取ドラム上に形成されるねじ条と係合するナットとコードをフレームへの入口で案内する手段とより成る。ナットはドラムに固定されるコード端部と案内手段との間を移動する。
【特許文献1】特開平8−232560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の昇降コードの巻取装置においては、巻取ドラム上への一重の巻取しかできない。昇降コードの長さに対して巻取ドラムの直径と軸線方向の長さが十分に大きくとれない場合には、巻取ドラム上への一重の巻取のみでは、昇降コードを完全に巻き取ることができない。
したがって、この出願に係る発明は、巻取ドラムの軸線方向運動なしに、巻取ドラム上へ昇降コードを軸線方向に往復させて二重以上に、しかも隙間なく巻き取ることができる昇降コードの巻取装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明においては、ヘッドレール2に細長のガイド開口14aを設け、このガイド開口14aにその長手方向に沿って移動自在の移動駒16を係合させ、昇降コード6は、巻取ドラム3の一端側から移動駒16を自由に貫通して幕体C1に沿って下方へ伸びるように配して昇降コード巻取装置1を構成した。
【発明の効果】
【0005】
この出願に係る発明によれば、巻取ドラム3の回転により、昇降コード6は当該巻取ドラム3に、それの一端側から他端側へ、他端側から一端側へと隙間なく順次二重以上に巻き取られる。この昇降コード6の巻き位置の移動に応じて、移動駒16がガイド開口14aに沿って巻取ドラム3の他端、すなわちガイド開口14aの一端から他端まで移動する。その後、昇降コード6の巻き位置と共に移動駒16が折り返して、ガイド開口14aの一端側へ移動し、昇降コード6は巻取ドラム3の一端側へ向かって隙間なく二重に巻き取られる。移動駒16が往復を繰り返せば、昇降コード6は巻取ドラム3上に二重以上に巻き取られる。したがって、比較的小型の巻取ドラム3で、より長い昇降コード6を巻き取ることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は幕体の裏面側から見た昇降コード巻取装置の正面図、図2は昇降コード巻取装置の底面図、図3は図1におけるIII−III断面図、図4は昇降コード巻取装置の一部の概略的斜視図、図5は昇降コード巻取装置の動作の過程を示す説明図である。
【0007】
図示の実施形態は、本発明の昇降コード巻取装置1を二重幕体型のローマンシェードに適用したものである。昇降コード巻取装置1は、ヘッドレール2と、巻取ドラム3,4と、操作手段5と、昇降コード6,7とを具備する。
【0008】
ヘッドレール2は、水平方向に延長するように窓枠の上縁等に設置され、幕体C1,C2の上端が係止される。図示の実施形態においては、ヘッドレール2の前方の壁2aに第1の幕体C1の上縁が、後方の壁2bに第2の幕体C2の上縁が係止される。ここで、前方とは室内側、後方とは窓側を意味する。
【0009】
ヘッドレール2内には、長手方向に前後2本の回転軸8,9が、互いに平行に架設され、これらの回転軸8,9に、それぞれ軸線方向に所定間隔を置いて複数の巻取ドラム3,4が固着される。すなわち、前方の回転軸8に第1の巻取ドラム3が軸線方向に所定間隔を置いて複数取り付けられ、また後方の回転軸9に第2の巻取ドラム4が軸線方向に所定間隔を置いて複数取り付けられる。回転軸8,9は、一端側に設けられた操作手段5に連結され、チェーン10,11を引くことにより回転し、一体に巻取ドラム3,4を回転させることができる。
【0010】
巻取ドラム3,4は、枠体12,13により、回転軸8,9に対して軸線方向へ移動できないように、ヘッドレール2に支持される。巻取ドラム3には、その軸線方向一端側に第1の昇降コード6の上端が係止され、巻取ドラム4には、その軸線方向一端側に第2の昇降コード7の上端が係止される。巻取ドラム3,4は、それぞれ軸線方向両端に、鍔3a・3b,4a・4bを有する。
【0011】
第1の昇降コード6は、第1の幕体C1の裏面側に沿って下降し、図示しない下端において第1の幕体C1の下端に係止される。第2の昇降コード7は、第2の幕体C2の裏面側に沿って下降し、図示しない下端において第2の幕体C2の下端に係止される。図示しないが、各幕体C1,C2の裏面側には、昇降コード6,7を挿通させるための複数のリングが上下方向に所定の相互間隔を置いて複数係止され、各幕体C1,C2は、リングの位置でジグザクに折れ曲がりながら昇降コード6,7によって引き上げられる。
【0012】
ヘッドレール2には、巻取ドラム3,4に対向する位置に、第1および第2のガイド部材14,15が設けられる。ガイド部材14,15は、それぞれ巻取ドラム3,4の巻取幅に対応する長さの細長のガイド開口14a,15aを有する。このガイド開口14a,15aには、それぞれその長手方向に沿って移動自在のリング状の移動駒16,17が係合される。第1のガイド部材14は、ヘッドレール2の下部に設けられ、ガイド開口14aが下方に開放する。第2のガイド部材15は、ヘッドレール2の後壁2bに設けられ、ガイド開口15aが後方に開放する。ガイド部材14,15の取付位置は、図示の実施形態に限定されるものではなく、理論上、巻取ドラム3,4に対向した、ヘッドレール2の軸周りの任意の角度位置に取り付けることができる。
【0013】
昇降コード6は、第1のガイド部材14の移動駒16の孔16aを下方へ自由に貫通して第1の幕体C1に沿って下方へ伸び、昇降コード7は、第2のガイド部材15の移動駒17の孔17aを前方へ自由に貫通して屈折し、第2の幕体C2に沿って下方へ伸びる。このため、昇降コード7は、幕体C2を貫通させることなく、それの後方へ配置することができる。
【0014】
操作チェーン10,11の操作により、操作手段5、回転軸8,9を介して巻取ドラム3,4が巻取方向に回転すると、図5(a),(b)に示すように、昇降コード6,7は、順次先に巻かれた部位の隣に接触するように、巻取ドラム3,4の一端側から他端側へ向かって隙間なく巻き取られる。昇降コード6,7の巻き位置の移動に応じて、移動駒15,17がガイド開口14a,15aに沿ってその一端から他端側へ移動する。図5(c)に示すように、移動駒15,17がガイド開口14a,15aの他端まで移動すると、いったん停止する。このとき、昇降コード6,7の巻き位置も巻取ドラム3,4の他端に達している。そのまま巻取ドラム3,4が巻取方向に回転すると、昇降コード6,7は、鍔3b,4bに押され、折り返して巻き重なり、図5(d)に示すように、移動駒15,17を一端側へ移動させながら、一端側へ向かって連続的に隙間なく二重に巻き取られることになる。同様に、昇降コード6,7が、鍔3a,4aに達すると、折り返して他端側へ向かう。この往復を繰り返せば、昇降コード6,7は、巻取ドラム3,4上に二重以上に巻き取られる。
なお、本発明は、巻取ドラム3,4上に、一重にのみ昇降コード6,7が巻き取られる二重幕タイプのローマンシェード等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
この発明は、ローマンシェードの昇降コードを巻き上げるための装置として適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】幕体の裏面側から見た昇降コード巻取装置の正面図である。
【図2】昇降コード巻取装置の底面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】昇降コード巻取装置の一部の概略的斜視図である。
【図5】昇降コード巻取装置の動作の過程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 昇降コード巻取装置
2 ヘッドレール
2a 前方の壁
2b 後方の壁
3 巻取ドラム
3a 鍔
3b 鍔
4 巻取ドラム
4a 鍔
4b 鍔
5 操作手段
6 昇降コード
7 昇降コード
8 回転軸
9 回転軸
10 チェーン
11 チェーン
12 枠体
13 枠体
14 ガイド部材
14a ガイド開口
15 ガイド部材
15a ガイド開口
16 移動駒
16a 孔
17 移動駒
17a 孔
C1 幕体
C2 幕体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延長するように設置され、幕体の上端が係止されるヘッドレールと、
このヘッドレールに、それの長軸と平行の軸周りに回転自在に支持される複数の巻取ドラムと、
前記ヘッドレールに支持され、前記巻取ドラムを回転させるように巻取ドラムに連結される操作手段と、
上端が前記巻取ドラムの軸方向一端側に連結され、中間が前記幕体の複数の挿通部に所定の上下間隔で挿通され、下端が前記幕体の下端部に係止される昇降コードと、を具備する昇降コード巻取装置において、
前記ヘッドレールには、前記巻取ドラムに対向する位置に、巻取ドラムの巻取幅に対応する長さを有する細長のガイド開口が設けられ、
このガイド開口には、その長手方向に沿って移動自在の移動駒が係合され、
前記昇降コードは、前記巻取ドラムの一端側から前記移動駒を自由に貫通して前記幕体に沿って下方へ伸びるように配され、
前記巻取ドラムの回転により当該巻取ドラムに、それの一端側から他端側へ向かって隙間なく順次巻き取られる前記昇降コードの巻き位置の移動に応じて、前記移動駒が前記ガイド開口に沿って前記巻取ドラムの他端まで移動した後、折り返して一端側へ移動しつつ、昇降コードが一端側へ向かって隙間なく少なくとも二重に巻き取られることを特徴とする幕体の昇降コード巻取装置。
【請求項2】
前記ヘッドレールが、前後に第1および第2の2つの前記幕体を係止するための前壁と後壁とを有し、
前記昇降コードが、前記第1の幕体に係止される第1の昇降コードと、前記第2の幕体に係止される第2の昇降コードとからなり、
前記巻取ドラムが、前記ヘッドレール内の前部にされる第1の巻取ドラムと、後部に支持される第2の巻取ドラムとからなり、第1の巻取ドラムには、前記第1の昇降コードの上端が係止され、第2の巻取ドラムには、前記第2の昇降コードの上端が係止され、
前記ガイド開口が、第1のガイド開口と第2のガイド開口とからなり、第1のガイド開口は、前記第1の巻取ドラムに対向して下方に開放する前記ヘッドレールに設けられ、第2のガイド開口は、前記第2の巻取ドラムに対向して、前記第2の幕体の上方において後方に開放するように前記ヘッドレールに設けられ、
前記移動駒が、前記第1のガイド開口に係合する第1の移動駒と、前記第2のガイド開口に係合する第2の移動駒とからなり、
前記第1の昇降コードは、前記第1の巻取ドラムの一端側から前記第1の移動駒を自由に貫通して前記第1の幕体の後面に沿って下方へ伸びるように配され、
前記第2の昇降コードは、前記第2の巻取ドラムの一端側から前記第2の移動駒を自由に貫通して前記第2の幕体の後面に沿って下方へ伸びるように配されることを特徴とする請求項1に記載の幕体の昇降コード巻取装置。
【請求項3】
水平方向に延長するように設置され、幕体の上端が係止されるヘッドレールと、
このヘッドレールに、それの長軸と平行の軸周りに回転自在に支持される複数の巻取ドラムと、
前記ヘッドレールに支持され、前記巻取ドラムを回転させるように巻取ドラムに連結される操作手段と、
上端が前記巻取ドラムの軸方向一端側に連結され、中間が前記幕体の複数の挿通部に所定の上下間隔で挿通され、下端が前記幕体の下端部に係止される昇降コードと、を具備する昇降コード巻取装置において、
前記ヘッドレールには、前記巻取ドラムに対向する位置に、巻取ドラムの巻取幅に対応する長さを有する細長のガイド開口が設けられ、
このガイド開口には、その長手方向に沿って移動自在の移動駒が係合され、
前記昇降コードは、前記巻取ドラムの一端側から前記移動駒を自由に貫通して前記幕体に沿って下方へ伸びるように配され、
前記ヘッドレールが、前後に第1および第2の2つの前記幕体を係止するための前壁と後壁とを有し、
前記昇降コードが、前記第1の幕体に係止される第1の昇降コードと、前記第2の幕体に係止される第2の昇降コードとからなり、
前記巻取ドラムが、前記ヘッドレール内の前部にされる第1の巻取ドラムと、後部に支持される第2の巻取ドラムとからなり、第1の巻取ドラムには、前記第1の昇降コードの上端が係止され、第2の巻取ドラムには、前記第2の昇降コードの上端が係止され、
前記ガイド開口が、第1のガイド開口と第2のガイド開口とからなり、第1のガイド開口は、前記第1の巻取ドラムに対向して下方に開放する前記ヘッドレールに設けられ、第2のガイド開口は、前記第2の巻取ドラムに対向して、前記第2の幕体の上方において後方に開放するように前記ヘッドレールに設けられ、
前記移動駒が、前記第1のガイド開口に係合する第1の移動駒と、前記第2のガイド開口に係合する第2の移動駒とからなり、
前記第1の昇降コードは、前記第1の巻取ドラムの一端側から前記第1の移動駒を自由に貫通して前記第1の幕体の後面に沿って下方へ伸びるように配され、
前記第2の昇降コードは、前記第2の巻取ドラムの一端側から前記第2の移動駒を自由に貫通して前記第2の幕体の後面に沿って下方へ伸びるように配され、
前記第1および第2の巻取ドラムの回転により当該巻取ドラムに、それの一端側から他端側へ向かって隙間なく順次巻き取られる前記第1および第2の昇降コードの巻き位置の移動に応じて、前記第1および第2の移動駒が前記第1および第2のガイド開口に沿って前記第1および第2の巻取ドラムの他端まで移動することを特徴とすることを特徴とする幕体の昇降コード巻取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−285009(P2007−285009A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113682(P2006−113682)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(505158389)株式会社アッセ (11)
【Fターム(参考)】