説明

干渉レーダーの曖昧さを除去するために証拠グリッドを使用するためのシステムと方法

【課題】2つのレシーバだけを使用して干渉を用いた関連する曖昧さを除去する手段を提供する。
【解決手段】システムは、第1の空間領域の上の第1の検出信号および第2の空間領域の上の第2の検出信号を送信する干渉レーダーを含む。第2の領域は、第1の領域と同じように第1の小区域を有する。システムは、第1の占有値を証拠グリッドの第1のセルに割り当てる処理装置を更に含む。第1のセルは、第1の小区域を表し、第1の占有値は、オブジェクトが第1の小区域に存在するとして第1の検出信号により検出されたかどうか特徴づける。第1および第2の検出信号に基づいて、処理装置は、第1の占有値が第1の小区域のオブジェクトの存在を正確に特徴づける確率を計算し、確率計算に基づいて第1の小区域のデータ表現を生成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] レーダーリターンが、ビームによって形成された円錐のどこからでも来ることができるので、正確にターゲットの位置を決めるレーダーの能力は、レーダーのビーム幅により制限される。光線を、できるだけ狭くすることによって、ターゲットはより正確に位置決めできる。しかし、より狭いビームを作るために、アンテナの物理的な寸法が対応して増加しなければならないことを物理学は述べている。このように、正確にレーダーを有するターゲットの位置を決めることは、大きいアンテナを必要とする。
【0002】
[0002] この物理学により誘発されたトレードオフから逃げる一つの方法は、2つ以上のレーダー・レシーバが通常の1つの代わりに使われる、干渉方法を使用することである。これらのレシーバは、受信された信号の間の同位相での違いを比較することによって、離れた距離に配置され、単一のレシーバのものよりも非常に正確なターゲットの位置を得ることが可能である。十分なレシーバがある場合、曖昧さのないターゲットを配置することが可能である。しかし、我々が2つのレシーバだけを使用する場合、あるいは、2つ以上のレシーバを有する所定の幾何学で使用する場合、物理学は再びこの方法の適用性を制限する。位相が2πを法とする(modulo 2π)だけを測定することができるので、位相曖昧さのため、ターゲットの位置は、一意的に決定されることができない。その結果、ターゲットは、少数の離散的な場所のいずれかにあり、レーダー・ビームの範囲内に各々が含まれ、干渉なしで可能な場合より正確に各々が配置される。干渉アプローチのトレードオフは、我々が、ターゲット、レシーバ(および、必要なアンテナ)の数、並びに、多くの「ゴースト」ターゲットの導入の位置を決めることができる精度の間にある。2つのレシーバを使用して、単一のレーダーリターンから、本当のターゲットを位相曖昧さに起因するゴーストターゲットと差別化する方法はない。本当のターゲットとゴーストターゲットとの間に差異を認めるために、多数のレーダー・リターンが利用されなければならない。
【0003】
[0003] アンテナ・デザインがより複雑になるという点で、2つ以上のレシーバの使用は、追加的な欠点を有する。最悪の場合では、2つ以上の別々のアンテナが要求され、せいぜい、ある単一のアンテナは、2つ以上のレシーバにより共有されることができる。しかし、干渉については、単一のレシーバおよび2倍のサイズの単一のアンテナで達成される非常に優れている2つのアンテナ(および、2つのレシーバ)でパフォーマンスを成し遂げることが可能である。
【0004】
[0004] 図1に示すように、2つのレシーバ10、20を有する干渉レーダーの基本的なジオメトリが示される。より多くのレシーバまたは異なる配置について、他のケースでは使うことができる。2つのレシーバ10、20は、λN1およびλN2の距離だけ、単一の送信機から位置がずれ、ここでλは、レーダーの波長である。送信機からターゲットまで、および、2つのレシーバ10、20へ戻る信号パスは、僅かにパスが異なる。Rが送信機からレシーバまでの距離である場合、以下の式(1)によって、λN1/Rに最初にオーダーするために、レシーバ10までの信号パスの長さが与えられる。
【0005】
【数1】

【0006】
2つのレシーバ10、20に関するパス長の違いは、次いで、以下の式(2)であり、2つのレシーバ10、20に到達している信号の位相の違いはちょうど以下の式(3)である。
【0007】
【数2】

【0008】
【数3】

【0009】
[0005] ΔθおよびΔΦは、仰角および方位角の差であり、それぞれ、レーダー・ビームのターゲット位置と方向と間の差である。次いで、位相差は、以下の式(4)であり、ここで、我々は目標がレーダー・ビームの内部にあり、小さな角度近似値が有効な|Δθ|であり、垂直レーダービーム半値幅より少なくなければならないと仮定する。
【0010】
【数4】

【0011】
次いで、測定がなされ、Φ_m±δΦの測定された位相差に結果としてなった。測定された位相差は、曖昧である。Φ_mの測定は、正確な位相差がΦm + 2nπであることを意味するだけであり、ここで、nはいかなる整数でもよい。それゆえ、Δθに関する式(4)を解いて、以下が求められる。
【0012】
【数5】

【0013】
[0006] |Δθ|がレーダー・ビーム幅より狭くなる必要条件だけにより、nに関する可能な値は制限される。nの可能な値のうちの1つだけがターゲットを表し、他の値はゴーストターゲットである。
【0014】
[0007] これがどれくらい正確にターゲットを配置できるかについて決定するのに、δΦのΔθの算出の依存は、注目に値する。2つのレシーバ10、20の間の分離を増やすことは、可能なゴーストの数を増やすためのコスト以外で、精度が増大する。例えば、能力の増加のいくらかの指示を得るために、94GHzの干渉レーダーの実施形態を考慮する。このレーダーに関して、垂直方向のビーム幅が4°であると仮定すると、2つのレシーバ10、20の間の名目上の分離は37の波長である。また、位相測定値の予想される分解能が±5°であると仮定すると、次いで、干渉レーダーの名目上の分解能は±0.02°である。本当のターゲットに加えて、3つのゴーストが、光線の4°の範囲内にある。結果として生じる分解能は、干渉を使用して20倍以上である。単一のレシーバを有するこの種類の精度を達成することは20倍より大きいアンテナを必要とする点に注意する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
[0008] 本発明の実施形態では、システムは、第1の空間領域の上の第1の検出信号および第2の空間領域の上の第2の検出信号を送信する干渉レーダーを含む。第2の領域は、第1の領域と同じように第1の小区域を有する。システムは、第1の占有値を証拠グリッドの第1のセルに割り当てる処理装置を更に含む。第1のセルは、第1の小区域を表し、第1の占有値は、オブジェクトが第1の小区域に存在するとして第1の検出信号により検出されたかどうか特徴づける。第1および第2の検出信号に基づいて、処理装置は、第1の占有値が第1の小区域のオブジェクトの存在を正確に特徴づける確率を計算し、前記確率の計算に基づいて第1の小区域のデータ表現を生成する。
【0016】
[0009] 干渉レーダーと証拠グリッドとの組合せは、多くのアプリケーションに強力なツールを提供する。証拠グリッドは、2つのレシーバだけを使用して干渉を用いた関連する曖昧さ(すなわち、ゴースト)を除去する手段を提供し、その一方で、干渉レーダーの能力は、非干渉レーダーからそれまではるかに優れている証拠グリッドに、センサ・データを提供する。
【0017】
[0010] 本発明の好適な他の実施形態は、以下の図面を参照して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】[0011] 図1は、干渉レーダーによって、生成され/受け取られる信号の幾何学的な関係を例示する。
【図2】[0012] 図2は、2つの異なるレーダー測定値を例示する。
【図3】[0013] 図3は、本発明の実施形態より形成されるシステムを例示する。
【図4】[0014] 図4は、本発明のある実施形態による証拠グリッドによって、立体感を与えられうる空間領域を例示する。
【図5】[0015] 図5は、本発明のある実施形態による方法を例示する。
【図6】[0016] 図6は、単一の干渉レーダー信号のターゲット結果を示す。
【図7】[0017] 図7は、本発明を使用する干渉レーダー信号の結合された結果を示す。
【図8】[0018] 図8は、データのフレームの異なる数の後の、干渉レーダーの出力を示す。
【図9】図9は、データのフレームの異なる数の後の、干渉レーダーの出力を示す。
【図10】図10は、データのフレームの異なる数の後の、干渉レーダーの出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0019] その最も多くの基本の証拠グリッドは、ポイントの収集、および、各々のこれらのポイントでの占有の測定である。一般的に、ポイントの収集は3次元の均一のグリッドを形成するが、均一性は必要でない。三次元グリッドのセルの占有の基準は、セルが占有されている確率と解釈されることができる。ここで取り上げられる問題は、できるだけよく検出された環境に対応する測定値に合致するために証拠グリッドのセルの占有を配列する方法である。
【0020】
[0020] この証拠グリッドのセルの(立体感を与えられた)寸法が現実の世界の(実際の)寸法に合致する確率である、各セルのために想定された占有の確率で、証拠グリッドを提案する方法は、関連した問題を含む。我々がセルの占有の関数として、その計算をすることができる場合、我々は、証拠グリッドのそれらの(立体感を与えられた)寸法が現実の世界の(実際の)寸法に合致する確率を最大にするセルの占有を見つけるために、関連した最適化問題に証拠グリッドのセルの占有に入る方法の問題に向けることができる。
【0021】
[0021] 証拠グリッドは、領域の一部がどのような障害によって占有されるかについて判断するためにボリュームについての蓄積知識の方法である。ボリュームはセルに分割され、測定の結果は、セルが占有されているかどうか判断するのに用いられる。この判定の重要な部分は、ネガティブな推論(negative inferencing)の使用であり、その結果、レーダー測定値からのリターンの不足が、ボリュームの一部が占有されていないという証拠として使うことができる。図2に示すように、領域40は、ポジティブなレーダー・リターンがあったレーダー箱に対応するスペースのボリュームを示す。少なくとも、これらのボリュームのある部分は、ポジティブのリターンを有するために占有されなければならない。領域42は、レーダーリターンが閾値以下になかったそれらのレーダー箱と一致し、それゆえ、それらの領域は占有されていない。ここで領域42と重なる領域40では、占有されることが可能である領域40の一部だけが、領域42を横切らない領域40の一部である。こうすることによって、ひとは、ボリュームのどの一部が占有されるかについて絞り込むことができ、単一のレーダー測定での可能であることを越えて、そのように測定値の解を増やすことができる。
【0022】
[0022] 図3は、本発明のある実施形態によるシステム100を例示する。システム100は、干渉レーダーデバイス102と、コンピュータ、マイクロプロセッサまたは他の適切な計算手段のような処理装置104、および、合成ビジョン・システムのような任意の表示装置108を含む。干渉レーダーデバイス102は、感覚(検出)信号を複数同時、および/または、連続した方法及び構成で送る。表示装置108は、領域の表現、または、干渉レーダーデバイス102によって実測された他の環境を表示する。
【0023】
[0023] 図4を参照すると、証拠グリッドによって立体感を与えられることが可能である空間領域140の干渉レーダーデバイス102によってなされる測定値を考慮する。領域140の小区域(sub-regions)を表している証拠グリッドのセルの中心点142は、領域140に重畳されて示される。その上、領域140は、多数の箱(bin)146に分けられて示され、それぞれは一つ以上のこの種のセルを含み、干渉レーダーデバイス102からのそれぞれの距離を示す。領域140は、ある角度の幅Φ(すなわち、円錐の構成であってもよい)を有し、干渉レーダーデバイス102により送信される光線は、若干の確率で、占有されたセルによって、証拠グリッドに表せられるスペースのボリュームのオフを反射する。説明を簡単にするため、p11は、占有されたセルにより表されるスペースのボリュームが光線を反射する確率であるが、しかし、この確率が干渉レーダーデバイス102(干渉レーダーデバイスの最大範囲まで)からの距離と、干渉レーダーデバイス(光線の角度幅まで)の中央軸線からの角度との双方から独立しているという仮定をする。
【0024】
[0024] 同様に、p00は、占有されていない(空き)セルにより表されるスペースのボリュームが光線を反射しないという確率である。これらから、我々は、空きセルにより表されるスペースのボリュームがp10 =1−p00として、光線(干渉レーダーデバイスからの偽陽性反応)を反射するという確率を得て、更には、占有されたセルにより表されるスペースのボリュームがp01 =1−p11として光線を反射しない(偽陰性反応)という確率を容易に得ることができる。
【0025】
[0025] 次いで、干渉レーダーデバイス102から、距離rでいくつかの箱(bin)146で第1の検出の実際のレーダー測定結果のうちの1つを想定する。レーダー測定は、実際にちょうど距離rの測定ではなく、また、干渉レーダーデバイス102から、rより少なく少し離れている箱148に関する情報を返す。それゆえ、証拠グリッドの理論上のレーダー測定が、実際の感知された環境の測定と同様であるという確率は、次のように算出されることができる。単一のセルが、反射をするという確率は、考慮される。piが、証拠グリッド内のi番目のセルが占有されている確率であるとして、次いで、i番目のセルが反射を生成する確率は、以下の通りであり、
【0026】
【数6】

【0027】
i番目のセルが反射を起こさないという確率は、以下の通りである:
【0028】
【数7】

【0029】
[0026] 対象物が検出される範囲内の箱の範囲を含まないが、それまでの範囲の各々の箱に関して、リターンがない確率は、その範囲の箱の各々のセルが光線を反射しないという単なる確率であり、それは個々の確率
【0030】
【数8】

【0031】
のプロダクトとして表される。オブジェクト検出がある範囲の箱146に関して、証拠グリッドの状態が、計算することによって得られると仮定すると、反射があるという確率は、検出がないという確率を算出することによって、および、1から差し引く、すなわち、
【0032】
【数9】

【0033】
とすることによって得られる。これは、単に反射を検出するために、セルのうちの少なくとも1つが光線を反射するはずであるということを述べている。
証拠グリッド理論上のレーダー測定が、検出された環境の実際のレーダー測定にマッチする確率に関するネット結果は、
【0034】
【数10】

【0035】
となり、ここで、下付き文字ikは、オブジェクト検出があった範囲の箱より干渉レーダーデバイス102に近い範囲の箱(bin)148に存在しているセルの全てにわたってk番目のレーダービームで動作し、下付き文字jkは、オブジェクト検出があった範囲の箱に存在しているセルの全てにわたってk番目のレーダー・ビームで動作する。次いで、処理装置104は、証拠グリッドで作られた理論上のレーダー測定値の全てが、
【0036】
【数11】

【0037】
として干渉レーダーデバイス102により送信される多数の光線によって作られる実際の測定値に合致する確率を算出できる。
[0027] ゴールは、βを最大にする占有ρiを見つけることである。そうする際に、実際に検出された環境の測定に最もマッチしそうな占有が、発見される。
【0038】
[0028] それがより透明であるように、式(9)のプロダクトは再配置される。特に、単一セルの占有上のβの依存は、次の通りである:
【0039】
【数12】

【0040】
ここで、プロダクトkは、対応する範囲の箱にリターンがないところからではなく、i番目のセルがビームにあるというレーダー・ビームにわたってあり、プロダクトオーバーk’は、i番目のセルが、検出があった範囲の箱にあるというレーダー・ビームにわたってある。この表現は、ρiに対する依存を2つの部分に分割する。第1の部分は、セルがどれくらいレーダー・ビームによって、見られないかという基準である。第2の部分は、現在の証拠グリッドが、どれくらいよく実際の測定された検出をサポートするかという基準である。
【0041】
[0029] 式(10)の結果の2、3の観察は、あとに続く。第一に、セルが検出範囲の箱において、決して現れない場合、式(10)(オーバーk’)の第2のプロダクトは空であり、セルの占有は、ゼロにセットされることができる。換言すれば、セルがいかなるレーダー・ビームの検出範囲の箱において、決してない場合、その占有はゼロにセットされることができる。第2に、式(10)の第1のプロダクトが空の場合、セルはこれまでレーダー・ビームによって見られなかったことはない。この場合、ρiは1にセットされることができる。
【0042】
[0030] 0または1に自明にセットされることができないそれらのセルに最適の占有に関して解決するために、式(10)のP(ρi)の括弧内で、より密接に量を調べることができる。実施形態は、ρiに関してβの最大を捜し、0≦ρi≦1(ρiが占有の確率である)に制約に従属させる。
【0043】
[0031] 以下の条件のうちの1つが各セル(この最適化が、0≦ρi≦1から、制約された最適化である点に注意する)に関して満たされるときに、βの最大は達成される:
【0044】
【数13】

【0045】
[0032] 最適ポイントのためのこれらの方程式を解くことは、例えば最急降下(steepest-descent)法を使用するような、従来の方法でされることができる。本願明細書において、上で議論される各々の算出は、処理装置104によって、完全にまたは部分的に実行されることができる。
【0046】
[0033] 図5は、本発明のある実施形態による方法200を例示する。方法200は、離散的なブロックとして示される動作のセットとして例示される。方法200は、それについていかなる適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの組合を実装することができる。このように、方法200は、コンピュータ読取可能媒体に保存されることができるコンピュータ-実行可能命令において実装されることができ、および/または、通信媒体を介してコンピュータ(例えばサーバ)から第2のコンピュータまたは他の電子装置に対して移されることができる。動作が記載されている命令は、必ずしも限定して解釈されることになっているというわけではない。
【0047】
[0034] ブロック210で、第1のデータセットは、第1の空間領域を通じて送信される第1の検出信号と一致して受け取られる。例えば、処理装置104は、干渉レーダーデバイス102によって、重要な第1の地理的領域に作られた第1の測定値に対応するデータを受信できる。
【0048】
[0035] ブロック220で、第2のデータセットは、第2の空間領域を通じて送信される第2の検出信号と対応して受け取られる。第2の領域に、第1の領域と同じように第1の小区域(sub-region)があってよい。例えば、処理装置104は、干渉レーダーデバイス102によって、重要な第2の地理的領域で作られている第2の測定値に対応するデータを受信できる。第2の地理的領域が、第1の地理的な領域と同様でもよく、または部分的にオーバーラップしてもよい。
【0049】
[0036] ブロック230で、第1のデータセットに基づいて、第1の占有値は、証拠グリッドの第1のセルに割り当てられる。第1のセルは、第1の小区域を表すことができる。第1の占有値は、対象物が、第1の小区域に存在するとき第1の検出信号により検出されるかどうかを特徴づける。例えば、処理装置104は、第1の地理的領域に対応する証拠グリッドを生成することができ、第1の地理的領域において、検出される対象物を反映することの有無に基づいて、占有値(すなわち、占有された/占有されていない)をグリッドのセルの一つ以上に割り当てることができる。
【0050】
[0037] ブロック240で、第1および第2のデータセットに基づいて、第1の占有値が正確に第1の小区域の対象物の存在を特徴づけるという確率が、算出される。例えば、処理装置104は、本願明細書において上記した最適セル占有算出を実行できる。
【0051】
[0038] ブロック250で、第1の小区域の表現は、確率算出に基づいて表示される。例えば、最適セル占有算出を実行したあと、処理装置104は、調査を受ける地理的領域の表示可能なモデルを表示装置108に生成できる。
【0052】
[0039] 証拠グリッドは、干渉レーダーデバイス102により生産されるゴーストターゲットを除去する。図6にて図示するように、干渉ゴーストを有する単一のレーダーリターンを考慮すると、領域282は、ターゲットおよびゴーストと一致し、領域280はレーダーリターンと全く一致しない。この単一のリターンから、領域282がターゲットを含むかどうかについて判断される。全ての領域282の組合せにおける少なくとも一つのレーダー反射器があるということは周知である。しかし、これは、例えば図2の領域282で、ポジティブ(陽性)な検出があるボリュームについてこれまでに公知である。干渉の使用は、結果としてばらばらになるが、非干渉レーダー信号と比較して、かなり少ないボリュームがポジティブな検出と関連する。したがって、証拠グリッド技術は、ターゲットの位置を絞り込むために、異なるレーダー測定値を結合することを可能にする。
【0053】
[0040] 図7は、2つの干渉レーダー測定値を結合することは、ゴースト検出を容易に除去することができ、ターゲットがどこにあるか判断することができる方法の例を示す。それらが多数のレーダー走査全体のスペースの同じ場所を占有しないので、ゴースト282-1は決定される。しかし、ターゲット292-2はする。
【0054】
[0041] 式(1-4)から、レーダーの位置を変えずに、仰角または方位角のいずれのレーダーを回転させることは、ターゲット場所と名目の光線方向と間の角度において少なくとも、最初にオーダーするために、レーダーのビーム幅が第1のオーダーが良い近似値である両方の方向において十分に少ないと仮定すると、ゴーストの位置のいかなる変更も提供しないことは明らかである。しかし、ターゲットが光線の範囲内に残る限り、これは真実である。ターゲットがもはや光線にないというのにちょうど十分なレーダーの仰角を変えるならば、新規なビームの範囲内に位置するゴーストの場所のいずれかが、急速にゴーストと識別される。
【0055】
[0042] ある実施形態では、航空機が、その前で1500mに最初に配置されたケーブルを備えた平面の上50mを100km/時で移動する。2048mのレンジ制限および1mの箱サイズのレーダーは、各々0.1秒でデータのフレームをとる。データの各々のフレームは、固定された仰角で、ステップ370で−15度から+15度までの方位角のスイープからなる。仰角は、1度のステップにおいて−3度から+3度までステップされる。この飛行からのレーダー・データは、4×4m(水平)および2m(垂直)のセルサイズを備えた、証拠グリッドに入れられる。2mの垂直セルサイズは、垂直分解能を2mに制限する。
【0056】
[0043] 図8は、データの最初の3つのフレームが分析されたあと、干渉レーダー102のための証拠グリッドの例示の出力を示す。これらの3つのフレームに関する仰角が、-3°、-2°、および、-1°であるので、ターゲットは全ての3つのフレームに関する光線内にある。(グランドは、1つのターゲットであり、0の仰角の平坦な平面であり、ケーブルは、図8のx = 500で、第2のターゲットである。)従って、ゴーストは除去されることができなくて、明らかに現れる。仰角がより高い値までステップされるにつれて、ゴーストは除去される。データの第7のフレームが証拠グリッドにより処理された時間までに、残っているケーブルおよび平坦なグランドだけを有し、図9に示すように、全てのゴーストは、除去された。干渉レーダーで利用できる垂直軸の増加する分解能は、シーンに立体感を与えるために証拠グリッドの能力の劇的な改良につながる。
【0057】
[0044] ある実施形態では、滑走路へ通じる道に関するケースであってよく、レーダーの仰角は固定される。または、仰角のステッピングのレンジは、ターゲットがある仰角で光線にないことを確実にするのに十分大きくないかもしれない。これらの場合、ゴーストの除去は、仰角のステッピングを通してなすことができないが、むしろで、上述のように、航空機の前進による方がよい。
【0058】
[0045] 式(4)から、干渉レーダーによって得られるようなターゲットおよびゴーストの位置は次の通りである:
【0059】
【数14】

【0060】
同様にz-コンポーネントは、:
【0061】
【数15】

【0062】
[0046] これらの式では、n=0は、本当のターゲットを表し、ゴーストはゼロでないnに関して起こる。y-コンポーネントは、第1のオーダーに対して、位相測定から独立しており、今後は無視される。nの唯一の許容される値は、レーダーのオリジナルのビーム幅の範囲内にあるものであり、レーダーの垂直ビーム幅が6度未満であると仮定される場合、nの許容される値は、n/(N+N)≪1のようなものである。次いで、n/(N+N)の第1のオーダーにレーダーの位置が変化するとき、ゴーストがどのように移動するか算出され:
【0063】
【数16】

【0064】
ここで、xt(n)およびzt(n)は、第n番目のオーダーのゴーストの位置のコンポーネントである。ゼロ番目のオーダーのゴーストは、ターゲットである。レーダーがx-方向に移動している場合、レーダーが以下の式(15)の距離を移動するときに、全てのゴーストは識別される。
【0065】
【数17】

【0066】
ここで、Gzは、z-次元の証拠グリッドセルの寸法である。かくして、証拠グリッドを使用して、位相差が±5度の範囲内で測定される場合、ゴーストは、目的の方へわずか55メートルだけ単に移動することにより最初に2キロメートルの距離に、オブジェクトの実像から分離される。
【0067】
[0047] 一定の仰角を有するシミュレーションの結果を図10に示す。この場合、ゴーストは、航空機の前進だけにより除去される。証拠グリッドセルの垂直寸法が2mであるので、および、ケーブルに対する航空機の初期位置からの距離が1500mであるので、式(15)から、4.4秒およびデータの44フレーム後、航空機がケーブルの方へ122m移動したあと、ケーブルに起因するゴーストが消えると推定される。0はちょうどそれらが消える前に、4.2秒後にケーブルのゴーストの最後の面影を示し、データの44フレームのあと、ケーブル・ゴーストは完全に消えた。グランドと関連するゴーストはまた、同様のレートで同様の方法で消える。
【0068】
[0048] 本発明の実施形態を例示の形態で説明してきたが、以下の特許請求の範囲で画定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の空間領域の上に送信された第1の検出信号に対応する第1のデータセットを受信するステップと、
b)第2の空間領域の上に送信された第2の検出信号に対応する第2のデータセットを受信するステップであって、第2の領域が、第1の領域と共通した第1の小区域を備え、前記第1及び第2のデータセットが、干渉レーダーによって生成されたレーダー反射であることを特徴とする、ステップと、
c)前記第1のデータセットに基づいて、証拠グリッドの第1のセルに第1の占有値を割り当てるステップであって、前記第1のセルが第1の小区域を表し、第1の占有値が、オブジェクトが前記第1の小区域に現れるような第1の検出信号によって検出されているかどうか特徴づける、ことを特徴とするステップと、
d)前記第1及び第2のデータセットに基づいて、前記第1の占有値が前記第1の小区域にオブジェクトの存在を正確に特徴づける確率を計算するステップと、
e)前記確率の計算に基づいて前記第1の小区域の表現を表示するステップと、
を有し、
前記証拠グリッドが3次元グリッドからなり、前記ステップa)乃至d)を繰り返し、前記計算するステップが、前記ステップa)乃至d)の複数の繰り返しの後、ゴーストレーダーのリターンを除去することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記確率を計算するステップが、第1のセルによって表される前記第1の小区域が、複数の検出信号の少なくとも1つを反射する確率を計算することを有し、
前記確率を計算するステップが更に、前記第1のセルによって表された前記第1の小区域が複数の検出信号の少なくとも1つを反射する確率を計算することを有し、
前記第1及び第2の空間領域の各々が、複数の箱のボリュームの各々からなり、前記各箱は、少なくとも1つの小区域からなり、前記第1の小区域は、前記箱の少なくとも1つに配置されており、各小区域は、証拠グリッドの対応するセルによって表され、
前記確率を計算するステップが更に、前記第1の空間領域の第1の箱内の各小区域が複数の検出信号の少なくとも1つを反射しない第1の確率と、前記第2の空間領域の第1の箱内の各小区域が複数の検出信号の少なくとも1つを反射しない第2の確率とを計算することを有し、
前記確率を計算するステップが更に、前記第1の空間領域の第2の箱内の各小区域が複数の検出信号の少なくとも1つを反射する第3の確率と、前記第2の空間領域の第2の箱内の各小区域が複数の検出信号の少なくとも1つを反射しない第4の確率とを計算することを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記確率を計算するステップが更に、
前記第1の空間領域の少なくとも1つの箱に対応する第1の確率、および、前記第1の空間領域の少なくとも1つの箱に対応する第3の確率の第1のプロダクトを計算するステップと、
前記第2の空間領域の少なくとも1つの箱に対応する第2の確率、および、前記第2の空間領域の少なくとも1つの箱に対応する第4の確率の第2のプロダクトを計算するステップと、
を有し、
前記確率を計算するステップが更に、前記第1及び第2のプロダクトの第3のプロダクトを計算するステップ、または、前記第3のプロダクトの最大を計算するステップからなることを特徴とする請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−2809(P2012−2809A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−129205(P2011−129205)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】