干渉光を発現する複合球状微粒子及びその製造方法
【課題】核となる基材が球状微粒子であっても、球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成された様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる球状微粒子を提供する。
【解決手段】球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することにより、核となる基材が微粒子であっても、球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる球状微粒子であり、発色材、着色材として幅広い分野へ提供することができる。
【解決手段】球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することにより、核となる基材が微粒子であっても、球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる球状微粒子であり、発色材、着色材として幅広い分野へ提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる複合球状微粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、色彩の多様化が要求されている中、光の干渉光を利用した有色干渉発色材として、基材の表面上に異種の粉体を積層することにより、基材粉体自体では得られない機能的な特性を付与した積層粉体が広く知られている。中でも、薄片状雲母に二酸化チタンを積層することにより、干渉光を発現する真珠光沢顔料(パール剤)が良く知られている。これは、薄片状雲母上に二酸化チタンを析出させ、二酸化チタンを薄膜状に積層させることによって、光の干渉現象を起こさせるものである。
【0003】
従来の真珠光沢顔料の製造方法は、湿式で硫酸チタニルや四塩化チタンを熱分解あるいはアルカリ加水分解によって基材となる薄片状雲母表面上に析出させる水熱加水分解法、又はチタンアルコキシドの加水分解から得るゾルゲル法によって製造することが一般的である。しかし、水熱加水分解法は、用いる試薬が危険物であり、作業時に危険が伴い、又ゾルゲル法は、有機溶媒を多量に使用するため自然環境への負荷が大きいという欠点を有している。
【0004】
また、基材として用いられる雲母は、薄片状であるため、その反射光には角度依存性がある。このため、これを基材として調製された真珠光沢顔料は、見る角度により色調が変化するという特徴を有する。さらにこの顔料は光沢が非常に強く、発色を上げるため配合量を増やした場合、光沢を抑えることが難しくなり、その使用量が制限されてしまうという問題が生じる。この光沢を抑えるために基材である雲母の粒子径を小さくする方法が行われるが十分ではなく、またその形状ゆえに反射光の角度依存性は維持される。
【0005】
そこで、過度の光沢がない有色干渉光を発現することのできる粉体を、自然環境への影響を考慮し、容易に調製できる方法が求められ核となる基材を球状とすることも提案されている。しかし、基材が2.0μm未満の球状微粒子になると、取り扱う際に凝集体を形成するなどその取り扱いも困難になり、干渉光の発現性に優れた球状微粒子を製造することは非常に困難であり現在まで余り作られていない。
【0006】
特許文献1には、光沢を抑え、かつ反射光に対する角度依存性を抑制する基材として、粒子径を2.0〜50.0μmに設定した球状粒子を用いた真珠光沢顔料の発明が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されたものは、コアとなる球状粒子の粒子径が大きく、かつ表面の酸化チタン層が単層であるため、干渉顔料の所以とも言える干渉色の強度が非常に弱いという欠点があった。さらに特許文献1では、基材となる球状粒子の大きさが2.0μm未満になると、光散乱が過度に増加し干渉光が得られないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2には、従来技術では成し得なかった滑り性等の使用性に優れ、干渉色の発色に優れた干渉発色材として、低屈折率を有する金属酸化物と高屈折率を有する金属酸化物との交互層からなり、コアシェル構造を有し、且つ、単分散球状粒子である積層型干渉性球状顔料、及び該顔料を水熱加水分解法又はゾルゲル法で製造することが開示されている。
しかし、特許文献2に開示されたものは、製造工程が複雑であり高コストになること、及び製造工程に高温焼成工程があるため、基材粒子が耐熱性材料に限定されてしまうという問題点があった。
【0008】
さらに、特許文献3には、特許文献1及び2と異なる製法による調製方法が開示されている。この方法は、交互吸着法により、微粒子を基材粒子表面に吸着させることにより干渉性を有する微粒子積層粉体の調製方法である。
しかし、特許文献3に開示されたものは、積層する層が微粒子の集合体であるため、その層は不連続体であり、緻密さ、表面平滑性が悪く、光干渉性を有していてもその鮮明さが欠けるという問題点があった。
【特許文献1】特許第3188906号公報
【特許文献2】特開2003−55573号公報
【特許文献3】特開2004−210751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、核となる基材が球状微粒子であり、その表面に緻密で平滑な均一連続混合被覆層を有し、様々な有色干渉光を鮮明に発現する複合球状微粒子を提供すること、及びその複合球状微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、該核微粒子と反対の電荷を有するポリマーを吸着させ、さらにその表面に酸化チタン前駆体を吸着させ、次にその前駆体を加水分解することで、基材表面に均一かつ平滑な酸化チタン連続層(薄層)を形成させることができ、その結果優れた干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、この方法によると基材表面の膜厚を積層回数により制御することができるので、様々な色合いの干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造できる。
【0011】
即ち、本発明は、
[1]球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することを特徴とする干渉光を発現する複合球状微粒子。
[2]前記前駆体がチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドのうち少なくとも一つであることを特徴とする上記[1]に記載の複合球状微粒子。
[3]前記均一連続混合被膜層の屈折率が1.7〜2.7であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の複合球状微粒子。
[4]前記均一連続混合被膜層が高屈折率層からなるものであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合球状微粒子。
[5]前記均一連続混合被膜層が少なくとも高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被膜層であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合球状微粒子。
[6]球状微粒子の平均粒子径が2.0μm未満であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載された複合球状微粒子。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載された複合球状微粒子を、交互吸着法を用いて製造することを特徴とする複合球状微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合球状微粒子は、球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に当該核微粒子と反対の電荷を有するポリマーを吸着させ、さらにその表面に酸化チタン前駆体を吸着させ、次にその前駆体を加水分解することで、基材表面に均一かつ平滑な酸化チタン連続層(薄層)を形成させることができ、その結果優れた干渉光を発現する複合球状微粒子を提供することができる。
【0013】
また、この方法によると基材表面の膜厚を積層回数により制御することができるので、様々な色合いの干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造でき、当該方法により、従来取り扱いの困難であった2μm未満の微粒子を核としても、高温プロセス、有機溶媒を用いず、水系で自然環境への負荷を大きく与えることなく、また用いる核となる基材が耐熱性材料に限定されず非耐熱性のいかなる材料でも使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合球状微粒子を構成する核となる球状微粒子は、交互吸着法によりその表面上に均一連続混合被覆層を形成することができるものであるならばいかなるものでもかまわない。なかでも球状微粒子として、平均粒子径が2μm未満の球状微粒子が好ましい。特に優れた干渉光を発現させるためには、表面に凹凸がない方が好ましい。なお、本発明において平均粒子径とは、体積平均粒子径をいう。
【0015】
例えば、粒子径のそろった、粒度分布の狭い単分散のものを用いることができる。ここで単分散とはその粒子径の変動係数、即ち平均粒子径を基準に粒子径の標準偏差を百分率で表した値が、10%以下であることが好ましく、さらに5%以下であることがより好ましい。
このような粒子径のそろった、粒度分布の狭い単分散のものは、公知の手段で製造することができる。また、球状とは、真球状ないし略球状形をいうが、好ましくは真球状が好ましい。
【0016】
球状微粒子を構成する材質は、球状微粒子の表面に均一連続混合被膜層を交互吸着法により形成することのできる材質ならばいかなる材質のものでもよい。例えば、無機微粒子、有機微粒子など各種材質のものが例示できる。
【0017】
具体的には、シリカ、ガラス、硫酸バリウム、タングステン酸カルシウム、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)等の無機微粒子;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ウレタンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂パウダーの有機微粒子等が例示できる。なかでも、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ウレタンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂パウダー等有機高分子球状微粒子を用いるのが、交互吸着法により製造するうえでより好ましい。
【0018】
本発明の均一連続混合被覆層を形成するのに用いる酸化チタンの前駆体としては、水性媒体中に安定なチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシド、水性媒体に不安定であるアルコキシチタン、例えば、テトラブトキシチタン、テトライソポロポキシチタン等が例示できる。またこれらの前駆体のうち一種ないし複数種を組み合わせて用いることができる。そのなかでも、チタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドを用いるのが好ましい。酸化チタンの前駆体は、水溶液として用い核微粒子の表面上だけで加水分解反応と縮合反応が起こり、表面に吸着されて酸化チタンの薄膜が成長する。
【0019】
本発明の均一連続混合被覆層を形成するのに用いるカチオン性ポリマーとしては、溶液中で電離して正に帯電し得る正の高分子化合物を用いることができる。例えば、4級アンモニウム基、アミノ基など、溶液中で正の荷電を帯びることができる官能基を有する高分子化合物であって、水溶性または水分散性を有するもの、または水と有機溶媒との混合溶媒に対して可溶性または分散性を有するものを用いることができ、通常カチオン性ポリマーとして入手可能なものである。
【0020】
カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH:poly-allylaminehydrochloride)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどを挙げることができる。なかでも、均一連続混合被覆層を容易に形成できるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いるのが好ましい。PDDAは、強電解質であり、薄い連続層を形成でき、さらに積層することで、要求される膜厚まで均一層を容易に形成することができる。
【0021】
本発明の交互吸着法においては、負の帯電層を形成するのにアニオン性ポリマーを用いることができる。核粒子が正電荷を帯びていた場合、正電荷のカチオン性ポリマーを吸着させるためにまず電荷を逆にするために使用するポリマーであったり、また低屈折率層を形成するためのポリマーとしても使用する。
【0022】
アニオン性ポリマーとしては、溶液中で電離して負に帯電し得る負の高分子化合物を用いることができる。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基など、溶液中で負の荷電を帯びることができる官能基を有する高分子化合物であって、水溶性または水分散性を有するもの、または水と有機溶媒との混合溶媒に対して可溶性または分散性を有するものを用いることができる。具体例としては、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸ポリパラフェニレン(−)、ポリチオフェン−3−アセティックアシド、ポリアミック酸などを挙げることができる。
【0023】
本発明では、核となる球状微粒子を酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーを含む水溶液中に分散させ、球状微粒子の表面に均一連続混合被覆層を交互吸着法により製造するものであるが、被覆層は静電気的な力で形成された均一な連続層であり、交互吸着法により積層することで層間が密着した状態となり、その結果積層膜は、平滑で緻密なカチオン性ポリマーと酸化チタンの均一連続混合被覆層が形成されることになる。
即ち、本発明において均一連続混合被覆層とは、被覆層が静電気的な力で形成された酸化チタンとポリマーとの均一な連続層のことであり、層間が密着した状態となり、その結果積層膜は、平滑で緻密な被覆層を形成している。
【0024】
この均一連続混合被覆層は、核となる球状微粒子上に負の電荷を有する酸化チタン前駆体からなる酸化チタン部分とカチオン性ポリマーからなる部分とからなる負、正一対の層(bilayer)で1bilayerを構成する。
【0025】
均一連続混合被覆層の厚みは、交互吸着法による酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーを含む水溶液の濃度、浸漬時間、温度、pH、及びbilayer数に応じて、任意に設定できる。通常1bilayerで、平均2〜50nm厚の被覆層を形成することができるので、積層回数を数〜数十bilayerとすることで所望の被覆層厚を容易に形成することができ、様々な色の干渉光を発現することができる。
【0026】
また、均一連続混合被覆層の厚みは、光学的膜厚(膜厚×屈折率)で、概ね190〜780nmの範囲から被覆層の厚さを選択することができる。強い干渉光を得るためには、高屈折率層の屈折率は高い方が好ましく、酸化チタンを有する高屈折率層の屈折率は、1.7〜2.7であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る均一連続混合被覆層は、高屈折率層の単独被覆層とすることができる。例えば、球状微粒子としてポリメチルメタアクリレート(PMMA)を用い、負の電荷を有する酸化チタンの前駆体として、チタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)を用い、カチオン性ポリマーとして、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いて、交互吸着させ積層させることにより、均一連続混合被覆層を高屈折率層とすることができる。カチオン性ポリマーとして他にポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH:poly-allylaminehydrochloride)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどが適用可能である。
【0028】
一方、球状微粒子としてポリメチルメタアクリレート(PMMA)を用い、負の電荷を有する電解質高分子としてポリアクリル酸(PAA)を用い、正の電荷を有する電解質高分子として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いて、交互吸着させ積層させることにより、均一連続混合被覆層を低屈折率層とすることができる。他にも正/負の組み合わせであれば基本的に利用可能である。
【0029】
さらに、本発明に係る均一連続混合被覆層は、高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被覆層とすることもできる。核となる微粒子上に、(高屈折率層+低屈折率層)を複数回層設けることができる。
【0030】
本発明に係る均一連続混合被覆層を製造するには、正の電荷を有する帯電層と、負の電荷を有する帯電層とを交互に積層された積層被覆層を形成する交互吸着法を用いる。交互吸着法は核微粒子を、正の帯電層の材料を含む溶液および負の帯電層の材料を含む溶液に交互に浸漬させることによって、核微粒子上に静電的に積層被覆層を形成する方法であり、周知の具体的手法を適宜用いることができる。周知例として、国際公開第2000/013806号パンフレット、特開2001−62286号公報などが例示できる。
【0031】
ここで、核微粒子表面が負に帯電している場合は、該核微粒子上にまず正の帯電層を形成し、核微粒子表面が正に帯電している場合は、該核微粒子上にまず負の帯電層を形成する。最上層を、正の帯電層又は負の帯電層のいずれかにすることもでき、どちらにするかは任意である。積層被覆層を構成する正の帯電層と負の帯電層の層数及び膜厚は、干渉光設計上必要とされる厚みに応じて適宜設定することができる。
【0032】
交互吸着法において、正の帯電層の材料を含む溶液のpH、及び負の帯電層の材料を含む溶液のpHを最適値に制御することが好ましい。ここでの正の帯電層の材料を含む溶液のpHの最適値および負の帯電層の材料を含む溶液のpHの最適値は、該溶液に含まれている、帯電層を構成する材料が完全に解離しない値となるように設定される。
本発明の交互吸着法において使用する 溶液濃度は、静電吸着が行える溶液濃度であるならばいかなる濃度でもかまわない。酸化チタン前駆体の溶液濃度として、例えばチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)の場合、0.01wt%〜30wt%、ポリマー溶液濃度は、0.01mM〜1000mMの範囲で適宜設定することができる。
【0033】
本発明において、核となる球状微粒子を酸化チタン前駆体、カチオン性ポリマー、及びアニオン性ポリマーを含む水溶液と接触させる方法は、いかなる方法であってもよい。例えば、核となる球状微粒子を該水溶液中に浸漬させる。次いで、リンス工程を経て、リンスした球状微粒子を反対の荷電層の材料を含む水溶液中に浸漬させる。さらにリンス工程を経て、正、負一対の層(bilayer)が1層形成される。これを複数回繰り返すことにより、球状微粒子の表面に均一連続混合被覆層を形成することができる。
【0034】
また形成した積層被覆層に対して加熱処理を行って、該積層被覆層の表面をより緻密に平滑に形成することができる。形成された複合球状微粒子を任意の温度、時間、雰囲気において熱処理を行うことで、積層被覆層をより緻密に平滑にし、強度を向上させ、屈折率を上げることができる。
【0035】
このような交互吸着法において、静電的相互作用により核微粒子上に積層被覆させる場合、特に限定されるものではないが、通常核微粒子上に正負いずれかの電荷を付与し、この電荷と反対の極性を有する材料を用いることにより材料を静電的相互作用により微粒子上に被覆させる方法をとってもよい。
【0036】
本発明の球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有する干渉光を発現する複合球状微粒子は、核となる基材のサイズに関わらず球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することができる。
本発明の製造方法では、製造プロセスにおいて、数百度以上の高温処理プロセスがないため、用いる核となる基材が耐熱性材料に限定されずにいかなる材料のものでも使用でき、さらに製造プロセスにおいて、水系で有機溶媒を用いていないので安全性も確保されており、かつ自然環境への負荷を大きく与えることない製造方法を提供することができる。
【0037】
本発明の複合球状微粒子は、発色材、着色顔料として、塗料用、印刷インキ用、接着剤用、プラスチック材料用、化粧品用、医薬品用、食品着色用など様々な用途に用いることができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の代表例として、酸化チタン前駆体にチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)を用いた例で、以下に説明する。
【0039】
[実施例1]
核である球状微粒子として、球状ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(商品名「MP−1600」、平均粒子径0.75μm、綜研化学社製)を、カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して「PMMA/PDDA」粒子を調製した。
次いで、「PMMA/PDDA」粒子を、酸化チタンの前駆体であるチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH、アルドリッチ社製)を分散させた水溶液に浸漬し、その後洗浄して複合球状微粒子「PMMA/PDDA/TALH」を調製した。以上の工程で、球状微粒子表面に高屈折率層1bilayerが形成できる。
これを10回(10bilayer、以下同じ略)、15回、20回、25回、30回、35回、40回、45回、50回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)n」(n=10〜50)を作製した。
【0040】
評価方法
(表面観察)複合球状微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製)で観察し、SEM写真より、粒子径、被覆層の膜厚を測定した。
(色差スケール)分光色差計(SE2000、日本電色社製)を用いて、複合球状微粒子の干渉色を測定した。測定方法は、得られた複合球状微粒子を、黒い人工皮革上に塗布し、分光色差計を用い、入射角45°、受光角−25°の(L*a*b*)を測定した。さらに目視により見た目の色調を観察した。
【0041】
各積層回毎の微粒子のサイズ(nm)、膜厚(nm)、及び分光色差計で測定した(L*a*b*)、及び目視した際の色調を[表1]に示す。また得られた複合球状微粒子1-10〜1-50を、黒い人工皮革上に塗布し観察された干渉色を図1に示す。n=0は、基材のPMMA球状微粒子であり、色調は白であり、積層回数に応じて、色調が紫から青まで変化した。更に複合球状微粒子1-15、1-20、1-25、1-30の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果を、図2−1、図2−2に示す。
【0042】
[表1]
【0043】
核となる球状微粒子上に、積層回数に応じた膜厚が形成された複合球状微粒子は、膜厚に応じた色調の干渉光が鮮明に発現できている。その中でも40積層回数(試料番号1-40)であるとき、赤色の干渉光が特に鮮明であった。
【0044】
[実施例2]
実施例1で作製した複合球状微粒子(40積層回数)を用い、カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して複合球状粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/PDDA」粒子を調製した。
次いで、その粒子をポリアクリル酸(PAA、商品名、ポリサイエンス社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して複合球状粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/(PDDA/PAA)」粒子を調製した。以上の工程で、複合球状微粒子表面上に低屈折率層1bilayerが形成できる。これを3回繰り返し低屈折率層を有する複合球状微粒子を作製した。
さらに、低屈折率層を有する複合球状微粒子に実施例1と同様の方法で高屈折率層を40回積層して、複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/(PDDA/PAA)3/(PDDA/TALH)40」を作製した。
核微粒子上に3層の屈折率層、即ち高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層を被覆することで、単層より優れた干渉光を有する複合球状微粒子を作製することができた。
【0045】
[比較例1]
本発明による製法で調製された積層膜と従来技術である特許文献3(特開2004−210751号公報)に記載されている方法で調製された積層膜とを比較検討した。なお、積層膜自体の状態を確認するために、基材としては微粒子ではなく、スライドガラスを使用し、検討は該スライドガラス上に調製された積層膜を用いた。
【0046】
[比較製法例1]
特許文献3に記載の方法に準拠して、酸化チタンとして(ア)四塩化チタン(試薬特急 和光純薬工業社製)を用いてチタニアゾルを作製し用いた。また比較のため酸化チタンとして(イ)酸化チタンゾル(光触媒酸化チタン粉末、「STS−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)、(ウ)酸化チタン微粒子(光触媒酸化チタン粉末、「ST−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)を用いた。アニオン性ポリマーとして、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS、平均分子量7万、アルドリッチ社製)を用いた。
基材であるスライドガラスを、まず酸化チタン微粒子を分散させた水溶液中に浸漬し、その表面に付着させ、続いて洗浄させ、次にPSS水溶液中に浸漬させてその後、基材を洗浄した。以上の操作により、スライドガラス上に(TiO2/PSS)を1bilayer形成させた。この操作を繰り返し、スライドガラス/(TiO2/PSS)nとし、nを10、20、30、40とする高屈折率層を形成した。酸化チタン(ア)(イ)(ウ)により作製した試料をn数に応じて、[比較製法(ア)]10〜40、[比較製法(イ)]10〜40、[比較製法(ウ)]10〜40とする。
【0047】
[比較製法例2]
本発明の方法を、基材としてスライドガラス、酸化チタン前駆体としてチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH、アルドリッチ社製)、カチオン性ポリマーとして、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)を用い実施した。
基材であるスライドガラスを、まずPDDA水溶液中に浸漬させて表面に付着させ、基材を洗浄した。次いでTALH水溶液に浸漬させて表面に付着させ、基材を洗浄以上の操作により、スライドガラス上に(PDDA/TALH)を1bilayer形成させた。この操作を繰り返し、スライドガラス/(PDDA/TALH)nとし、nを10、20、30、40とする高屈折率層からなる被覆層を形成した。作製した試料をn数に応じて、[参考本製法]10〜40とする。
【0048】
[耐久性試験]
[参考本製法]30、[比較製法(ア)]30、[比較製法(イ)]30、[比較製法(ウ)]30について、引掻強度試験機を用い試料を磨耗させた後、吸光度を測定し、形成した膜が残っているかの耐久性試験を行った。耐久性試験は、引掻強度試験機(TYPE18L、新東科学社製)において、試料を固定し、布がセットされた移動台を移動距離:6cm、移動速度:1cm/secで往復動させ、往復回数Nを3、6、9、12とし、その時の吸光度を測定し、また[参考本製法]30については、往復回数Nを50、100、500、1000とし、その時の吸光度を測定し、摩耗回数と吸光度の関係を調べた。なお分銅は100gを用いた。
【0049】
試料[参考本製法]40、[比較製法(ア)]40、[比較製法(ウ)]40について、その走査型顕微鏡像、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像、及び上記耐久性試験での摩耗回数と吸光度の関係を、それぞれ図3〜図5に示す。
図3は、本発明に相当するものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像とも凹凸はほとんどなく平滑な均一連続混合被覆層が形成されていることが観察でき、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像も表面の凹凸が非常に小さく表面平滑であることが観察できた。摩耗回数と吸光度の関係においても、往復摩耗回数を1000回としても、吸光度には変化はなく、被覆膜は剥離しなかった。
【0050】
図4は、酸化チタンとして(ア)四塩化チタン由来のチタニアゾルを用い被覆膜を作製したものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像、原子間力顕微鏡像からは表面に微粒子がはっきりと区別でき凹凸が大きくなっている。摩耗回数と吸光度の関係においては、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値と同等になってしまい、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
【0051】
図5は、酸化チタンとして(ウ)酸化チタン微粒子を用い被覆膜を作製したものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像、原子間力顕微鏡像からは表面に微粒子がランダムに蓄積され凹凸が大きくなっている。摩耗回数と吸光度の関係においては、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値に近づき、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
また、[比較製法(イ)]30の耐久性試験での摩耗回数と吸光度の関係は、[比較製法(ウ)]30と同様、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値に近づき、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
【0052】
走査型顕微鏡像、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像、及び耐久性試験の結果によれば、比較製法例2による本発明試料の表面層は、他の試料に比較して密着力が非常に強く一体化していることが理解できる。酸化チタンとポリマーとが一体化した層が形成され、これを積層することで、層間が密着した状態となり均一連続混合被覆層が形成されているためといえる。これに対して、比較製法例1による試料は、被覆膜が容易に剥離してしまったもので、酸化チタンとポリマーとがそれぞれ微粒子の集合した層を構成している構造になっているといえる。
【0053】
[干渉色の測定1]
[比較製法(ウ)]10〜40、[参考本製法]10〜40について、変角分光光度計(GCMS−9B、村上色彩製)を用いて、光学特性を測定した。測定は、入射角を0度とし、受光角を30度、45度、60度としたときの分光反射率、L*a*b*を測定した。
図6には、[比較製法(ウ)]10〜40、[参考本製法]10〜40の受光角30度での分光反射率を示す。[参考本製法]10〜40の分光反射率は、積層回数を重ね膜厚が変化することにより、波形が変化した。[比較製法(ウ)]10〜40の分光反射率は、積層回数を重ね膜厚が変化しても、波形はほとんど変化せず絶対値が増加した。
【0054】
図7には、[参考本製法]10〜40の受光角を30度、45度、60度と変化させたときのL*値の変化状態を示し、同じく受光角を30度、45度、60度と変化させたときのa*及びb*値の変化状態を示す。
また、図9には、[比較製法(ウ)]10〜40の受光角を30度、45度、60度と変化させたときのL*値の変化状態を示し、同じく受光角を30度、45度、60度と変化させたときのa*及びb*値の変化状態を示す。
[参考本製法]10〜40のL*値は積層回数を重ねても被覆膜を形成していない基材であるスライドガラスとほぼ同じであるが、a*及びb*値は変化している。これに対して、[比較製法(ウ)]10〜40のL*値は受光角度を大きくした場合に基材であるスライドガラスに比べてより高い値を示した。このことは、表面に存在する微粒子の乱反射によるものと考えられる。a*及びb*値は積層回数を重ねてもほとんど変化しなかった。
【0055】
以上の結果、[参考本製法]10〜40の表面には、干渉光を発現することができる緻密で均一な連続層が形成されていることがわかり、図8の模式図のような表面層が形成されているものと推測される。この場合には光の正反射が保たれ特定の干渉色を発現する。
一方、[比較製法(ウ)]10〜40の表面には、粗密の大きい不連続で不均一な微粒子の集合体層が形成されていることがわかり、図10の模式図のような表面層が形成されているものと推測される。この場合には乱反射が増え四方八方に散乱し特定の干渉光が発現しづらい。
【0056】
[実施例3]
実施例1と同様にして、複合球状微粒子「PMMA/PDDA/TALH」を調製しこれを10回(10bilayer、以下同じ略)、15回、20回、25回、30回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)n」(n=10〜30)を作製した。
【0057】
[比較例2]
比較製法例1において、酸化チタンとして酸化チタンゾル(光触媒酸化チタン粉末、「STS−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)を用い、核として球状ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(商品名「MP−1600」、平均粒子径0.75μm、綜研化学社製)を用い、比較製法例1と同じにして、複合球状微粒子「PMMA/TiO2/PSS」を調製しこれを5回(5bilayer、以下同じ略)、10回、15回、20回、25回、30回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(TiO2/PSS)n」(n=5〜30)を作製した。水溶液の酸化チタン濃度を変えて作製した試料をn数に応じて、 [比較例2−1]5〜30、 [比較例2−2]5〜30とする。
【0058】
実施例3で作製した試料、および比較例2で作製した[比較例2−1]5〜30、[比較例2−2]5〜30について、分光測色計(ColorReaderCR-13、コニカミノルタ社製)を用いて、光学特性としてL*a*b*を測定した。その結果を、順に[表3]〜[表5]に示す。
実施例3で作製した複合球状微粒子は、膜厚に応じた色の変化があり、干渉光も鮮明であるのに対して、比較例2で作製した微粒子は、いずれも膜厚に応じた色の変化がなく、白色ぽくなっていた。
また実施例3、[比較例2−1]、[比較例2−2]各試料の15、30回での走査型電子顕微鏡写真を、順に図11、図12、図13に示す。図11の実施例3試料では、凹凸の少ない緻密で平滑な均一被覆層が形成されているに対して、比較例2−1、2−2では、凹凸が大きく凝集した被覆層が形成されていることが観察できた。
【0059】
[表3]
【0060】
[表4]
【0061】
[表5]
【産業上の利用可能性】
【0062】
球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することにより、核となる基材が微粒子であっても、球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる球状微粒子を提供することができ発色材、着色材として幅広い分野へ提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の干渉色観察写真
【図2−1】実施例1の走査型電子顕微鏡写真1
【図2−2】実施例1の走査型電子顕微鏡写真2
【図3】比較製法例2で作製した試料[参考本製法]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図4】比較製法例1で作製した試料[比較製法(ア)]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図5】比較製法例1で作製した試料[比較製法(ウ)]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図6】試料[比較製法(ウ)]10〜40、試料[参考本製法]10〜40の受光角30度での分光反射率表
【図7】試料[参考本製法]10〜40のL*a*及びb*値の変化状態図
【図8】試料[参考本製法]10〜40の表面模式図
【図9】試料[比較製法(ウ)] 10〜40のL*a*及びb*値の変化状態図
【図10】試料試料[比較製法(ウ)] 10〜40の表面模式図
【図11】実施例3の走査型電子顕微鏡写真
【図12】試料[比較例2−1]の走査型電子顕微鏡写真
【図13】試料[比較例2−2]の走査型電子顕微鏡写真
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる複合球状微粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、色彩の多様化が要求されている中、光の干渉光を利用した有色干渉発色材として、基材の表面上に異種の粉体を積層することにより、基材粉体自体では得られない機能的な特性を付与した積層粉体が広く知られている。中でも、薄片状雲母に二酸化チタンを積層することにより、干渉光を発現する真珠光沢顔料(パール剤)が良く知られている。これは、薄片状雲母上に二酸化チタンを析出させ、二酸化チタンを薄膜状に積層させることによって、光の干渉現象を起こさせるものである。
【0003】
従来の真珠光沢顔料の製造方法は、湿式で硫酸チタニルや四塩化チタンを熱分解あるいはアルカリ加水分解によって基材となる薄片状雲母表面上に析出させる水熱加水分解法、又はチタンアルコキシドの加水分解から得るゾルゲル法によって製造することが一般的である。しかし、水熱加水分解法は、用いる試薬が危険物であり、作業時に危険が伴い、又ゾルゲル法は、有機溶媒を多量に使用するため自然環境への負荷が大きいという欠点を有している。
【0004】
また、基材として用いられる雲母は、薄片状であるため、その反射光には角度依存性がある。このため、これを基材として調製された真珠光沢顔料は、見る角度により色調が変化するという特徴を有する。さらにこの顔料は光沢が非常に強く、発色を上げるため配合量を増やした場合、光沢を抑えることが難しくなり、その使用量が制限されてしまうという問題が生じる。この光沢を抑えるために基材である雲母の粒子径を小さくする方法が行われるが十分ではなく、またその形状ゆえに反射光の角度依存性は維持される。
【0005】
そこで、過度の光沢がない有色干渉光を発現することのできる粉体を、自然環境への影響を考慮し、容易に調製できる方法が求められ核となる基材を球状とすることも提案されている。しかし、基材が2.0μm未満の球状微粒子になると、取り扱う際に凝集体を形成するなどその取り扱いも困難になり、干渉光の発現性に優れた球状微粒子を製造することは非常に困難であり現在まで余り作られていない。
【0006】
特許文献1には、光沢を抑え、かつ反射光に対する角度依存性を抑制する基材として、粒子径を2.0〜50.0μmに設定した球状粒子を用いた真珠光沢顔料の発明が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されたものは、コアとなる球状粒子の粒子径が大きく、かつ表面の酸化チタン層が単層であるため、干渉顔料の所以とも言える干渉色の強度が非常に弱いという欠点があった。さらに特許文献1では、基材となる球状粒子の大きさが2.0μm未満になると、光散乱が過度に増加し干渉光が得られないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2には、従来技術では成し得なかった滑り性等の使用性に優れ、干渉色の発色に優れた干渉発色材として、低屈折率を有する金属酸化物と高屈折率を有する金属酸化物との交互層からなり、コアシェル構造を有し、且つ、単分散球状粒子である積層型干渉性球状顔料、及び該顔料を水熱加水分解法又はゾルゲル法で製造することが開示されている。
しかし、特許文献2に開示されたものは、製造工程が複雑であり高コストになること、及び製造工程に高温焼成工程があるため、基材粒子が耐熱性材料に限定されてしまうという問題点があった。
【0008】
さらに、特許文献3には、特許文献1及び2と異なる製法による調製方法が開示されている。この方法は、交互吸着法により、微粒子を基材粒子表面に吸着させることにより干渉性を有する微粒子積層粉体の調製方法である。
しかし、特許文献3に開示されたものは、積層する層が微粒子の集合体であるため、その層は不連続体であり、緻密さ、表面平滑性が悪く、光干渉性を有していてもその鮮明さが欠けるという問題点があった。
【特許文献1】特許第3188906号公報
【特許文献2】特開2003−55573号公報
【特許文献3】特開2004−210751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、核となる基材が球状微粒子であり、その表面に緻密で平滑な均一連続混合被覆層を有し、様々な有色干渉光を鮮明に発現する複合球状微粒子を提供すること、及びその複合球状微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、該核微粒子と反対の電荷を有するポリマーを吸着させ、さらにその表面に酸化チタン前駆体を吸着させ、次にその前駆体を加水分解することで、基材表面に均一かつ平滑な酸化チタン連続層(薄層)を形成させることができ、その結果優れた干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、この方法によると基材表面の膜厚を積層回数により制御することができるので、様々な色合いの干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造できる。
【0011】
即ち、本発明は、
[1]球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することを特徴とする干渉光を発現する複合球状微粒子。
[2]前記前駆体がチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドのうち少なくとも一つであることを特徴とする上記[1]に記載の複合球状微粒子。
[3]前記均一連続混合被膜層の屈折率が1.7〜2.7であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の複合球状微粒子。
[4]前記均一連続混合被膜層が高屈折率層からなるものであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合球状微粒子。
[5]前記均一連続混合被膜層が少なくとも高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被膜層であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合球状微粒子。
[6]球状微粒子の平均粒子径が2.0μm未満であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載された複合球状微粒子。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載された複合球状微粒子を、交互吸着法を用いて製造することを特徴とする複合球状微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合球状微粒子は、球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に当該核微粒子と反対の電荷を有するポリマーを吸着させ、さらにその表面に酸化チタン前駆体を吸着させ、次にその前駆体を加水分解することで、基材表面に均一かつ平滑な酸化チタン連続層(薄層)を形成させることができ、その結果優れた干渉光を発現する複合球状微粒子を提供することができる。
【0013】
また、この方法によると基材表面の膜厚を積層回数により制御することができるので、様々な色合いの干渉光を発現する複合球状微粒子を容易に製造でき、当該方法により、従来取り扱いの困難であった2μm未満の微粒子を核としても、高温プロセス、有機溶媒を用いず、水系で自然環境への負荷を大きく与えることなく、また用いる核となる基材が耐熱性材料に限定されず非耐熱性のいかなる材料でも使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合球状微粒子を構成する核となる球状微粒子は、交互吸着法によりその表面上に均一連続混合被覆層を形成することができるものであるならばいかなるものでもかまわない。なかでも球状微粒子として、平均粒子径が2μm未満の球状微粒子が好ましい。特に優れた干渉光を発現させるためには、表面に凹凸がない方が好ましい。なお、本発明において平均粒子径とは、体積平均粒子径をいう。
【0015】
例えば、粒子径のそろった、粒度分布の狭い単分散のものを用いることができる。ここで単分散とはその粒子径の変動係数、即ち平均粒子径を基準に粒子径の標準偏差を百分率で表した値が、10%以下であることが好ましく、さらに5%以下であることがより好ましい。
このような粒子径のそろった、粒度分布の狭い単分散のものは、公知の手段で製造することができる。また、球状とは、真球状ないし略球状形をいうが、好ましくは真球状が好ましい。
【0016】
球状微粒子を構成する材質は、球状微粒子の表面に均一連続混合被膜層を交互吸着法により形成することのできる材質ならばいかなる材質のものでもよい。例えば、無機微粒子、有機微粒子など各種材質のものが例示できる。
【0017】
具体的には、シリカ、ガラス、硫酸バリウム、タングステン酸カルシウム、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)等の無機微粒子;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ウレタンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂パウダーの有機微粒子等が例示できる。なかでも、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ウレタンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂パウダー等有機高分子球状微粒子を用いるのが、交互吸着法により製造するうえでより好ましい。
【0018】
本発明の均一連続混合被覆層を形成するのに用いる酸化チタンの前駆体としては、水性媒体中に安定なチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシド、水性媒体に不安定であるアルコキシチタン、例えば、テトラブトキシチタン、テトライソポロポキシチタン等が例示できる。またこれらの前駆体のうち一種ないし複数種を組み合わせて用いることができる。そのなかでも、チタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドを用いるのが好ましい。酸化チタンの前駆体は、水溶液として用い核微粒子の表面上だけで加水分解反応と縮合反応が起こり、表面に吸着されて酸化チタンの薄膜が成長する。
【0019】
本発明の均一連続混合被覆層を形成するのに用いるカチオン性ポリマーとしては、溶液中で電離して正に帯電し得る正の高分子化合物を用いることができる。例えば、4級アンモニウム基、アミノ基など、溶液中で正の荷電を帯びることができる官能基を有する高分子化合物であって、水溶性または水分散性を有するもの、または水と有機溶媒との混合溶媒に対して可溶性または分散性を有するものを用いることができ、通常カチオン性ポリマーとして入手可能なものである。
【0020】
カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH:poly-allylaminehydrochloride)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどを挙げることができる。なかでも、均一連続混合被覆層を容易に形成できるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いるのが好ましい。PDDAは、強電解質であり、薄い連続層を形成でき、さらに積層することで、要求される膜厚まで均一層を容易に形成することができる。
【0021】
本発明の交互吸着法においては、負の帯電層を形成するのにアニオン性ポリマーを用いることができる。核粒子が正電荷を帯びていた場合、正電荷のカチオン性ポリマーを吸着させるためにまず電荷を逆にするために使用するポリマーであったり、また低屈折率層を形成するためのポリマーとしても使用する。
【0022】
アニオン性ポリマーとしては、溶液中で電離して負に帯電し得る負の高分子化合物を用いることができる。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基など、溶液中で負の荷電を帯びることができる官能基を有する高分子化合物であって、水溶性または水分散性を有するもの、または水と有機溶媒との混合溶媒に対して可溶性または分散性を有するものを用いることができる。具体例としては、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸ポリパラフェニレン(−)、ポリチオフェン−3−アセティックアシド、ポリアミック酸などを挙げることができる。
【0023】
本発明では、核となる球状微粒子を酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーを含む水溶液中に分散させ、球状微粒子の表面に均一連続混合被覆層を交互吸着法により製造するものであるが、被覆層は静電気的な力で形成された均一な連続層であり、交互吸着法により積層することで層間が密着した状態となり、その結果積層膜は、平滑で緻密なカチオン性ポリマーと酸化チタンの均一連続混合被覆層が形成されることになる。
即ち、本発明において均一連続混合被覆層とは、被覆層が静電気的な力で形成された酸化チタンとポリマーとの均一な連続層のことであり、層間が密着した状態となり、その結果積層膜は、平滑で緻密な被覆層を形成している。
【0024】
この均一連続混合被覆層は、核となる球状微粒子上に負の電荷を有する酸化チタン前駆体からなる酸化チタン部分とカチオン性ポリマーからなる部分とからなる負、正一対の層(bilayer)で1bilayerを構成する。
【0025】
均一連続混合被覆層の厚みは、交互吸着法による酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーを含む水溶液の濃度、浸漬時間、温度、pH、及びbilayer数に応じて、任意に設定できる。通常1bilayerで、平均2〜50nm厚の被覆層を形成することができるので、積層回数を数〜数十bilayerとすることで所望の被覆層厚を容易に形成することができ、様々な色の干渉光を発現することができる。
【0026】
また、均一連続混合被覆層の厚みは、光学的膜厚(膜厚×屈折率)で、概ね190〜780nmの範囲から被覆層の厚さを選択することができる。強い干渉光を得るためには、高屈折率層の屈折率は高い方が好ましく、酸化チタンを有する高屈折率層の屈折率は、1.7〜2.7であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る均一連続混合被覆層は、高屈折率層の単独被覆層とすることができる。例えば、球状微粒子としてポリメチルメタアクリレート(PMMA)を用い、負の電荷を有する酸化チタンの前駆体として、チタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)を用い、カチオン性ポリマーとして、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いて、交互吸着させ積層させることにより、均一連続混合被覆層を高屈折率層とすることができる。カチオン性ポリマーとして他にポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH:poly-allylaminehydrochloride)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどが適用可能である。
【0028】
一方、球状微粒子としてポリメチルメタアクリレート(PMMA)を用い、負の電荷を有する電解質高分子としてポリアクリル酸(PAA)を用い、正の電荷を有する電解質高分子として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いて、交互吸着させ積層させることにより、均一連続混合被覆層を低屈折率層とすることができる。他にも正/負の組み合わせであれば基本的に利用可能である。
【0029】
さらに、本発明に係る均一連続混合被覆層は、高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被覆層とすることもできる。核となる微粒子上に、(高屈折率層+低屈折率層)を複数回層設けることができる。
【0030】
本発明に係る均一連続混合被覆層を製造するには、正の電荷を有する帯電層と、負の電荷を有する帯電層とを交互に積層された積層被覆層を形成する交互吸着法を用いる。交互吸着法は核微粒子を、正の帯電層の材料を含む溶液および負の帯電層の材料を含む溶液に交互に浸漬させることによって、核微粒子上に静電的に積層被覆層を形成する方法であり、周知の具体的手法を適宜用いることができる。周知例として、国際公開第2000/013806号パンフレット、特開2001−62286号公報などが例示できる。
【0031】
ここで、核微粒子表面が負に帯電している場合は、該核微粒子上にまず正の帯電層を形成し、核微粒子表面が正に帯電している場合は、該核微粒子上にまず負の帯電層を形成する。最上層を、正の帯電層又は負の帯電層のいずれかにすることもでき、どちらにするかは任意である。積層被覆層を構成する正の帯電層と負の帯電層の層数及び膜厚は、干渉光設計上必要とされる厚みに応じて適宜設定することができる。
【0032】
交互吸着法において、正の帯電層の材料を含む溶液のpH、及び負の帯電層の材料を含む溶液のpHを最適値に制御することが好ましい。ここでの正の帯電層の材料を含む溶液のpHの最適値および負の帯電層の材料を含む溶液のpHの最適値は、該溶液に含まれている、帯電層を構成する材料が完全に解離しない値となるように設定される。
本発明の交互吸着法において使用する 溶液濃度は、静電吸着が行える溶液濃度であるならばいかなる濃度でもかまわない。酸化チタン前駆体の溶液濃度として、例えばチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)の場合、0.01wt%〜30wt%、ポリマー溶液濃度は、0.01mM〜1000mMの範囲で適宜設定することができる。
【0033】
本発明において、核となる球状微粒子を酸化チタン前駆体、カチオン性ポリマー、及びアニオン性ポリマーを含む水溶液と接触させる方法は、いかなる方法であってもよい。例えば、核となる球状微粒子を該水溶液中に浸漬させる。次いで、リンス工程を経て、リンスした球状微粒子を反対の荷電層の材料を含む水溶液中に浸漬させる。さらにリンス工程を経て、正、負一対の層(bilayer)が1層形成される。これを複数回繰り返すことにより、球状微粒子の表面に均一連続混合被覆層を形成することができる。
【0034】
また形成した積層被覆層に対して加熱処理を行って、該積層被覆層の表面をより緻密に平滑に形成することができる。形成された複合球状微粒子を任意の温度、時間、雰囲気において熱処理を行うことで、積層被覆層をより緻密に平滑にし、強度を向上させ、屈折率を上げることができる。
【0035】
このような交互吸着法において、静電的相互作用により核微粒子上に積層被覆させる場合、特に限定されるものではないが、通常核微粒子上に正負いずれかの電荷を付与し、この電荷と反対の極性を有する材料を用いることにより材料を静電的相互作用により微粒子上に被覆させる方法をとってもよい。
【0036】
本発明の球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有する干渉光を発現する複合球状微粒子は、核となる基材のサイズに関わらず球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することができる。
本発明の製造方法では、製造プロセスにおいて、数百度以上の高温処理プロセスがないため、用いる核となる基材が耐熱性材料に限定されずにいかなる材料のものでも使用でき、さらに製造プロセスにおいて、水系で有機溶媒を用いていないので安全性も確保されており、かつ自然環境への負荷を大きく与えることない製造方法を提供することができる。
【0037】
本発明の複合球状微粒子は、発色材、着色顔料として、塗料用、印刷インキ用、接着剤用、プラスチック材料用、化粧品用、医薬品用、食品着色用など様々な用途に用いることができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の代表例として、酸化チタン前駆体にチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH)を用いた例で、以下に説明する。
【0039】
[実施例1]
核である球状微粒子として、球状ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(商品名「MP−1600」、平均粒子径0.75μm、綜研化学社製)を、カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して「PMMA/PDDA」粒子を調製した。
次いで、「PMMA/PDDA」粒子を、酸化チタンの前駆体であるチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH、アルドリッチ社製)を分散させた水溶液に浸漬し、その後洗浄して複合球状微粒子「PMMA/PDDA/TALH」を調製した。以上の工程で、球状微粒子表面に高屈折率層1bilayerが形成できる。
これを10回(10bilayer、以下同じ略)、15回、20回、25回、30回、35回、40回、45回、50回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)n」(n=10〜50)を作製した。
【0040】
評価方法
(表面観察)複合球状微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製)で観察し、SEM写真より、粒子径、被覆層の膜厚を測定した。
(色差スケール)分光色差計(SE2000、日本電色社製)を用いて、複合球状微粒子の干渉色を測定した。測定方法は、得られた複合球状微粒子を、黒い人工皮革上に塗布し、分光色差計を用い、入射角45°、受光角−25°の(L*a*b*)を測定した。さらに目視により見た目の色調を観察した。
【0041】
各積層回毎の微粒子のサイズ(nm)、膜厚(nm)、及び分光色差計で測定した(L*a*b*)、及び目視した際の色調を[表1]に示す。また得られた複合球状微粒子1-10〜1-50を、黒い人工皮革上に塗布し観察された干渉色を図1に示す。n=0は、基材のPMMA球状微粒子であり、色調は白であり、積層回数に応じて、色調が紫から青まで変化した。更に複合球状微粒子1-15、1-20、1-25、1-30の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果を、図2−1、図2−2に示す。
【0042】
[表1]
【0043】
核となる球状微粒子上に、積層回数に応じた膜厚が形成された複合球状微粒子は、膜厚に応じた色調の干渉光が鮮明に発現できている。その中でも40積層回数(試料番号1-40)であるとき、赤色の干渉光が特に鮮明であった。
【0044】
[実施例2]
実施例1で作製した複合球状微粒子(40積層回数)を用い、カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して複合球状粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/PDDA」粒子を調製した。
次いで、その粒子をポリアクリル酸(PAA、商品名、ポリサイエンス社製)の水溶液中に浸漬し、その後洗浄して複合球状粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/(PDDA/PAA)」粒子を調製した。以上の工程で、複合球状微粒子表面上に低屈折率層1bilayerが形成できる。これを3回繰り返し低屈折率層を有する複合球状微粒子を作製した。
さらに、低屈折率層を有する複合球状微粒子に実施例1と同様の方法で高屈折率層を40回積層して、複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)40/(PDDA/PAA)3/(PDDA/TALH)40」を作製した。
核微粒子上に3層の屈折率層、即ち高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層を被覆することで、単層より優れた干渉光を有する複合球状微粒子を作製することができた。
【0045】
[比較例1]
本発明による製法で調製された積層膜と従来技術である特許文献3(特開2004−210751号公報)に記載されている方法で調製された積層膜とを比較検討した。なお、積層膜自体の状態を確認するために、基材としては微粒子ではなく、スライドガラスを使用し、検討は該スライドガラス上に調製された積層膜を用いた。
【0046】
[比較製法例1]
特許文献3に記載の方法に準拠して、酸化チタンとして(ア)四塩化チタン(試薬特急 和光純薬工業社製)を用いてチタニアゾルを作製し用いた。また比較のため酸化チタンとして(イ)酸化チタンゾル(光触媒酸化チタン粉末、「STS−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)、(ウ)酸化チタン微粒子(光触媒酸化チタン粉末、「ST−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)を用いた。アニオン性ポリマーとして、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS、平均分子量7万、アルドリッチ社製)を用いた。
基材であるスライドガラスを、まず酸化チタン微粒子を分散させた水溶液中に浸漬し、その表面に付着させ、続いて洗浄させ、次にPSS水溶液中に浸漬させてその後、基材を洗浄した。以上の操作により、スライドガラス上に(TiO2/PSS)を1bilayer形成させた。この操作を繰り返し、スライドガラス/(TiO2/PSS)nとし、nを10、20、30、40とする高屈折率層を形成した。酸化チタン(ア)(イ)(ウ)により作製した試料をn数に応じて、[比較製法(ア)]10〜40、[比較製法(イ)]10〜40、[比較製法(ウ)]10〜40とする。
【0047】
[比較製法例2]
本発明の方法を、基材としてスライドガラス、酸化チタン前駆体としてチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド(TALH、アルドリッチ社製)、カチオン性ポリマーとして、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、平均分子量20〜35万、アルドリッチ社製)を用い実施した。
基材であるスライドガラスを、まずPDDA水溶液中に浸漬させて表面に付着させ、基材を洗浄した。次いでTALH水溶液に浸漬させて表面に付着させ、基材を洗浄以上の操作により、スライドガラス上に(PDDA/TALH)を1bilayer形成させた。この操作を繰り返し、スライドガラス/(PDDA/TALH)nとし、nを10、20、30、40とする高屈折率層からなる被覆層を形成した。作製した試料をn数に応じて、[参考本製法]10〜40とする。
【0048】
[耐久性試験]
[参考本製法]30、[比較製法(ア)]30、[比較製法(イ)]30、[比較製法(ウ)]30について、引掻強度試験機を用い試料を磨耗させた後、吸光度を測定し、形成した膜が残っているかの耐久性試験を行った。耐久性試験は、引掻強度試験機(TYPE18L、新東科学社製)において、試料を固定し、布がセットされた移動台を移動距離:6cm、移動速度:1cm/secで往復動させ、往復回数Nを3、6、9、12とし、その時の吸光度を測定し、また[参考本製法]30については、往復回数Nを50、100、500、1000とし、その時の吸光度を測定し、摩耗回数と吸光度の関係を調べた。なお分銅は100gを用いた。
【0049】
試料[参考本製法]40、[比較製法(ア)]40、[比較製法(ウ)]40について、その走査型顕微鏡像、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像、及び上記耐久性試験での摩耗回数と吸光度の関係を、それぞれ図3〜図5に示す。
図3は、本発明に相当するものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像とも凹凸はほとんどなく平滑な均一連続混合被覆層が形成されていることが観察でき、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像も表面の凹凸が非常に小さく表面平滑であることが観察できた。摩耗回数と吸光度の関係においても、往復摩耗回数を1000回としても、吸光度には変化はなく、被覆膜は剥離しなかった。
【0050】
図4は、酸化チタンとして(ア)四塩化チタン由来のチタニアゾルを用い被覆膜を作製したものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像、原子間力顕微鏡像からは表面に微粒子がはっきりと区別でき凹凸が大きくなっている。摩耗回数と吸光度の関係においては、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値と同等になってしまい、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
【0051】
図5は、酸化チタンとして(ウ)酸化チタン微粒子を用い被覆膜を作製したものであり、形成された被覆膜の断面像、表面像、原子間力顕微鏡像からは表面に微粒子がランダムに蓄積され凹凸が大きくなっている。摩耗回数と吸光度の関係においては、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値に近づき、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
また、[比較製法(イ)]30の耐久性試験での摩耗回数と吸光度の関係は、[比較製法(ウ)]30と同様、往復摩耗回数Nが3において、吸光度が基板のスライドガラスの値に近づき、往復回数3回で被覆膜が剥離してしまった。
【0052】
走査型顕微鏡像、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した像、及び耐久性試験の結果によれば、比較製法例2による本発明試料の表面層は、他の試料に比較して密着力が非常に強く一体化していることが理解できる。酸化チタンとポリマーとが一体化した層が形成され、これを積層することで、層間が密着した状態となり均一連続混合被覆層が形成されているためといえる。これに対して、比較製法例1による試料は、被覆膜が容易に剥離してしまったもので、酸化チタンとポリマーとがそれぞれ微粒子の集合した層を構成している構造になっているといえる。
【0053】
[干渉色の測定1]
[比較製法(ウ)]10〜40、[参考本製法]10〜40について、変角分光光度計(GCMS−9B、村上色彩製)を用いて、光学特性を測定した。測定は、入射角を0度とし、受光角を30度、45度、60度としたときの分光反射率、L*a*b*を測定した。
図6には、[比較製法(ウ)]10〜40、[参考本製法]10〜40の受光角30度での分光反射率を示す。[参考本製法]10〜40の分光反射率は、積層回数を重ね膜厚が変化することにより、波形が変化した。[比較製法(ウ)]10〜40の分光反射率は、積層回数を重ね膜厚が変化しても、波形はほとんど変化せず絶対値が増加した。
【0054】
図7には、[参考本製法]10〜40の受光角を30度、45度、60度と変化させたときのL*値の変化状態を示し、同じく受光角を30度、45度、60度と変化させたときのa*及びb*値の変化状態を示す。
また、図9には、[比較製法(ウ)]10〜40の受光角を30度、45度、60度と変化させたときのL*値の変化状態を示し、同じく受光角を30度、45度、60度と変化させたときのa*及びb*値の変化状態を示す。
[参考本製法]10〜40のL*値は積層回数を重ねても被覆膜を形成していない基材であるスライドガラスとほぼ同じであるが、a*及びb*値は変化している。これに対して、[比較製法(ウ)]10〜40のL*値は受光角度を大きくした場合に基材であるスライドガラスに比べてより高い値を示した。このことは、表面に存在する微粒子の乱反射によるものと考えられる。a*及びb*値は積層回数を重ねてもほとんど変化しなかった。
【0055】
以上の結果、[参考本製法]10〜40の表面には、干渉光を発現することができる緻密で均一な連続層が形成されていることがわかり、図8の模式図のような表面層が形成されているものと推測される。この場合には光の正反射が保たれ特定の干渉色を発現する。
一方、[比較製法(ウ)]10〜40の表面には、粗密の大きい不連続で不均一な微粒子の集合体層が形成されていることがわかり、図10の模式図のような表面層が形成されているものと推測される。この場合には乱反射が増え四方八方に散乱し特定の干渉光が発現しづらい。
【0056】
[実施例3]
実施例1と同様にして、複合球状微粒子「PMMA/PDDA/TALH」を調製しこれを10回(10bilayer、以下同じ略)、15回、20回、25回、30回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(PDDA/TALH)n」(n=10〜30)を作製した。
【0057】
[比較例2]
比較製法例1において、酸化チタンとして酸化チタンゾル(光触媒酸化チタン粉末、「STS−01」、一次粒子径7nm、石原産業社製)を用い、核として球状ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(商品名「MP−1600」、平均粒子径0.75μm、綜研化学社製)を用い、比較製法例1と同じにして、複合球状微粒子「PMMA/TiO2/PSS」を調製しこれを5回(5bilayer、以下同じ略)、10回、15回、20回、25回、30回繰り返し、それぞれ異なる膜厚の高屈折率層を有する複合球状微粒子「PMMA/(TiO2/PSS)n」(n=5〜30)を作製した。水溶液の酸化チタン濃度を変えて作製した試料をn数に応じて、 [比較例2−1]5〜30、 [比較例2−2]5〜30とする。
【0058】
実施例3で作製した試料、および比較例2で作製した[比較例2−1]5〜30、[比較例2−2]5〜30について、分光測色計(ColorReaderCR-13、コニカミノルタ社製)を用いて、光学特性としてL*a*b*を測定した。その結果を、順に[表3]〜[表5]に示す。
実施例3で作製した複合球状微粒子は、膜厚に応じた色の変化があり、干渉光も鮮明であるのに対して、比較例2で作製した微粒子は、いずれも膜厚に応じた色の変化がなく、白色ぽくなっていた。
また実施例3、[比較例2−1]、[比較例2−2]各試料の15、30回での走査型電子顕微鏡写真を、順に図11、図12、図13に示す。図11の実施例3試料では、凹凸の少ない緻密で平滑な均一被覆層が形成されているに対して、比較例2−1、2−2では、凹凸が大きく凝集した被覆層が形成されていることが観察できた。
【0059】
[表3]
【0060】
[表4]
【0061】
[表5]
【産業上の利用可能性】
【0062】
球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することにより、核となる基材が微粒子であっても、球状微粒子の表面層が緻密で平滑な均一連続混合被覆層が形成されることで様々な有色干渉光を鮮明に発現することのできる球状微粒子を提供することができ発色材、着色材として幅広い分野へ提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の干渉色観察写真
【図2−1】実施例1の走査型電子顕微鏡写真1
【図2−2】実施例1の走査型電子顕微鏡写真2
【図3】比較製法例2で作製した試料[参考本製法]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図4】比較製法例1で作製した試料[比較製法(ア)]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図5】比較製法例1で作製した試料[比較製法(ウ)]の表面写真、及び断面、表面の走査型電子顕微鏡写真、耐久性試験データ、原子間力顕微鏡写真
【図6】試料[比較製法(ウ)]10〜40、試料[参考本製法]10〜40の受光角30度での分光反射率表
【図7】試料[参考本製法]10〜40のL*a*及びb*値の変化状態図
【図8】試料[参考本製法]10〜40の表面模式図
【図9】試料[比較製法(ウ)] 10〜40のL*a*及びb*値の変化状態図
【図10】試料試料[比較製法(ウ)] 10〜40の表面模式図
【図11】実施例3の走査型電子顕微鏡写真
【図12】試料[比較例2−1]の走査型電子顕微鏡写真
【図13】試料[比較例2−2]の走査型電子顕微鏡写真
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することを特徴とする干渉光を発現する複合球状微粒子。
【請求項2】
前記前駆体がチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の複合球状微粒子。
【請求項3】
前記均一連続混合被膜層の屈折率が1.7〜2.7であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合球状微粒子。
【請求項4】
前記均一連続混合被膜層が高屈折率層からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合球状微粒子。
【請求項5】
前記均一連続混合被膜層が少なくとも高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被膜層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合球状微粒子。
【請求項6】
球状微粒子の平均粒子径が2.0μm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された複合球状微粒子。
【請求項7】
前記請求項1〜6に記載された複合球状微粒子を、交互吸着法を用いて製造することを特徴とする複合球状微粒子の製造方法。
【請求項1】
球状微粒子を核として、この球状微粒子の表面に、酸化チタン前駆体及びカチオン性ポリマーとから作製された均一連続混合被膜層を有することを特徴とする干渉光を発現する複合球状微粒子。
【請求項2】
前記前駆体がチタニウムビスアンモニウムラクテートジヒドロキシド、チタニウムビスラクテート、チタニウムエチルアセテートジイソポロオキシドのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の複合球状微粒子。
【請求項3】
前記均一連続混合被膜層の屈折率が1.7〜2.7であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合球状微粒子。
【請求項4】
前記均一連続混合被膜層が高屈折率層からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合球状微粒子。
【請求項5】
前記均一連続混合被膜層が少なくとも高屈折率層、低屈折率層とが交互に積層された被膜層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合球状微粒子。
【請求項6】
球状微粒子の平均粒子径が2.0μm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された複合球状微粒子。
【請求項7】
前記請求項1〜6に記載された複合球状微粒子を、交互吸着法を用いて製造することを特徴とする複合球状微粒子の製造方法。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−31166(P2010−31166A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196116(P2008−196116)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(502435454)株式会社SNT (33)
【出願人】(390041036)株式会社日本色材工業研究所 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(502435454)株式会社SNT (33)
【出願人】(390041036)株式会社日本色材工業研究所 (37)
【Fターム(参考)】
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