説明

干渉光計測装置

【課題】被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能な干渉光計測装置を提供する。
【解決手段】干渉光計測装置は、低コヒーレンス光を出力する光源を有する。干渉光学系は、光源からの低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体による信号光の反射光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する。走査部は、被測定物体に対する信号光の照射位置を走査する。特定部は、信号光の反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置である強反射位置を特定する。制御部は、強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、光源を制御して低コヒーレンス光の光量を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いて被測定物体の計測を行う干渉光計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光源等からの光ビームを用いて被測定物体の表面形態や内部形態を計測するOCTが注目を集めている。OCTは、X線CTのような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野や生物学分野における応用の展開が期待されている。たとえば眼科分野においては、眼底や角膜等の画像を形成する装置が実用化段階に入っている(特許文献1、2参照)。
【0003】
OCTを用いた装置は、高精細の画像を取得できる点、更には断層像や3次元画像を取得できる点などにおいて、眼底カメラ等に対して優位性を持つ。
【0004】
このようにOCTを用いた装置は、被検眼の部位の観察に適用可能である。またOCTは高精細な画像を取得できることから、様々な眼科疾患の診断への応用がなされてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−325849号公報
【特許文献2】特開2008−73099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ある被測定物体に対して光を照射するときに、当該被測定物体に対して垂直に入射した光の反射光は強度が強くなることが多い。或いは、部位毎に反射率の異なる被測定物体に光を照射したときにも、特定部位からの反射光の強度が強くなる場合がある。
【0007】
また、被検眼に対してOCT等で撮影を行う際、撮影前に被検眼の中心(角膜頂点)を撮影光学系の光軸に合わせる処理を行う。
【0008】
アライメントがされた状態で被検眼に光を照射すると、光の走査位置によっては角膜頂点に入射した光が被検眼内でほとんど散乱せず、そのまま反射光として戻ってくることになる。従って、角膜頂点からの反射光は強度が強くなることが多い。
【0009】
このような強反射光を含む反射光に基づく干渉像は、その一部(角膜頂点に対応する部分)が飽和してしまうという問題があった。また干渉像の一部が飽和した画像では観察が困難となるため、再度の撮影が必要となり検査者及び被検者にとって煩わしいという問題があった。
【0010】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能な干渉光計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の干渉光計測装置は、低コヒーレンス光を出力する光源を有する。干渉光学系は、光源からの低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体による信号光の反射光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する。走査部は、被測定物体に対する信号光の照射位置を走査する。特定部は、信号光の反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置である強反射位置を特定する。制御部は、強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、光源を制御して低コヒーレンス光の光量を低下させる。
また、請求項2に記載の干渉光計測装置は、請求項1記載の干渉光計測装置であって、低コヒーレンス光はパルス光である。制御部は、強反射位置に信号光を照射するときのパルス光のパルス幅を、他の位置に信号光を照射するときのパルス光のパルス幅より小さくするよう光源を制御することにより光量を低下させる。
また、請求項3に記載の干渉光計測装置は、請求項1記載の干渉光計測装置であって、低コヒーレンス光はパルス光である。制御部は、強反射位置に信号光を照射するときのパルス光の強度を、他の位置に信号光を照射するときのパルス光の強度より低くするよう光源を制御することにより光量を低下させる。
また、請求項4に記載の干渉光計測装置は、請求項1記載の干渉光計測装置であって、低コヒーレンス光はパルス光である。特定部は、走査部による走査に対応してパルス光に基づく信号光の強度を検出する検出部を有する。制御部は、強反射位置に照射する信号光の強度、及びそれ以前に検出された信号光の強度の比較を行い、強反射位置に照射される信号光の強度が、それ以前に検出された信号光の強度を超えたときに光源を制御することにより光量を低下させる。
また、請求項5に記載の干渉光計測装置は、請求項1記載の干渉光計測装置であって、特定部は、強反射位置を記憶する記憶部を有する。制御部は、強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、光源を制御して低コヒーレンス光の光量を低下させる。
また、請求項6に記載の干渉光計測装置は、低コヒーレンス光を出力する光源を有する。干渉光学系は、光源からの低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体による信号光の反射光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する。走査部は、被測定物体に対する信号光の照射位置を走査する。特定部は、信号光の反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置である強反射位置を特定する。制御部は、強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、当該信号光に基づく干渉光の干渉光学系による検出時間を短縮する。
また、請求項7に記載の干渉光計測装置は、特定部が強反射位置を記憶する記憶部を有する。制御部は、強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、当該信号光に基づく干渉光の干渉光学系による検出時間を短縮する。
また、請求項8に記載の干渉光計測装置は、請求項1または6記載の干渉光計測装置であって、特定部は、走査部による走査に対応して信号光の反射光の強度を検出する検出部を有する。判定部は、検出部で検出された強度と閾値とを比較し、強度が閾値以上であるときに反射光が強反射状態にあると判定する。
また、請求項9に記載の干渉光計測装置は、請求項1または6記載の干渉光計測装置であって、特定部は、走査部による走査に対応して信号光の反射光の強度を検出する検出部を有する。判定部は、検出部で検出された強度のピーク値を求め、当該ピーク値に対応する反射光が強反射状態にあると判定する。
また、請求項10に記載の干渉光計測装置は、請求項1または6記載の干渉光計測装置であって、干渉光に基づく前記被測定物体の画像を形成する画像形成部を有する。特定部は、画像の各画素の輝度値を検出する輝度値検出部を有する。判定部は、検出された輝度値が閾値以上であるときに、反射光が前記強反射状態にあると判定する。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る干渉光計測装置によれば、特定部により強反射位置を特定する。そして、制御部は強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、光源を制御して低コヒーレンス光の光量を低下させる。従って、被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能となる。
【0013】
また、この発明に係る干渉光計測装置によれば、特定部により強反射位置を特定する。そして、制御部は強反射位置に対して信号光を再度照射させるときに、当該信号光に基づく干渉光の干渉光学系による検出時間を短縮する。従って、被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る干渉光測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る干渉光測定装置の構成を示す概略図である。
【図3】第1実施形態に係る干渉光測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る干渉光測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る干渉光測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る干渉光測定装置の動作を補足する図である。
【図7】第1実施形態に係る干渉光測定装置の動作を補足する図である。
【図8】第1実施形態に係る干渉光測定装置の動作を補足する図である。
【図9】第2実施形態に係る干渉光測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態に係る干渉光測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図11】第3実施形態に係る干渉光測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1から図8を参照して、第1実施形態に係る干渉光計測装置の構成について説明する。
【0016】
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィを適用した構成について詳しく説明する。なお、光コヒーレンストモグラフィによって取得される画像をOCT画像と呼ぶことがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
【0017】
図1及び図2に示すように、干渉光計測装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。なお、眼底カメラユニット2は、角膜Ecの撮影も可能である。
【0018】
OCTユニット100には、眼底や前眼部(角膜Ec)のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
【0019】
本実施形態を含む以下の実施形態においては、干渉光計測装置1は角膜Ecの計測を行うものとして説明を行う。
【0020】
<眼底カメラユニット>
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)や角膜Ecの2次元画像を形成するための光学系が設けられている。2次元画像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像である。
【0021】
眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様に、被検者の顔が動かないように支えるための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様に照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を角膜Ecに導くとともに、角膜Ecを経由した信号光をOCTユニット100に導く。
【0022】
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、対物レンズ22を経由して角膜Ecを照明する。
【0023】
観察照明光の角膜Ecからの反射光は、対物レンズ22により屈折され、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ダイクロイックミラー32により反射される。更に、この角膜反射光は、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された反射光に基づく画像(観察画像)Kが表示される。
【0024】
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って角膜Ecに照射される。撮影照明光の角膜反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された反射光に基づく画像(撮影画像)Hが表示される。
【0025】
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用視標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための視標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
【0026】
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー40にて反射され、ダイクロイックミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0027】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。
【0028】
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための視標(アライメント視標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための視標(スプリット視標)を生成する。
【0029】
アライメント光学系50のLED(Light Emitting Diode)51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜Ecに投影される。
【0030】
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ダイクロイックミラー32により反射され、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント視標)は、観察画像Kとともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント視標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい。
【0031】
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット視標板63により二つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、対物レンズ22により眼底Efに結像される。
【0032】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット視標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット視標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う。また、スプリット視標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
【0033】
ダイクロイックミラー32の後方には、ミラー41、コリメータレンズ42、及びガルバノミラー43、44を含む光路が設けられている。この光路はOCTユニット100に導かれている。
【0034】
ガルバノミラー43、44は、角膜Ecに対する信号光LSの照射位置を操作することができる。すなわちガルバノミラー44は、OCTユニット100からの信号光LSをx方向に走査する。ガルバノミラー43は、信号光LSをy方向に走査する。これら二つのガルバノミラー43、44により、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
【0035】
<OCTユニット>
OCTユニット100には、眼底Efの断層像や角膜Ecを含む前眼部干渉像を取得するための光学系が設けられている(図2を参照)。この光学系は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efや角膜Ecを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。OCTユニット100の光学系が本実施形態における「干渉光学系」に該当する。
【0036】
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。光源ユニット101は、低コヒーレンス光L0を連続光として照射することが可能である。また、光源ユニット101は、低コヒーレンス光L0をパルス光として照射することが可能である。
【0037】
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。なお、ファイバカプラ103は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を合成する手段(カプラ;coupler)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「ファイバカプラ」と称する。
【0038】
信号光LSは、光ファイバ104により導光され、コリメータレンズユニット105により平行光束となる。更に、信号光LSは、各ガルバノミラー44、43により反射され、コリメータレンズ42により集光され、ミラー41により反射され、ダイクロイックミラー32を透過し、LCD39からの光と同じ経路を通って角膜Ecに照射される。信号光LSは、角膜Ecにおいて散乱、反射される。この散乱光及び反射光をまとめて信号光LSの反射光(角膜反射光)と称することがある。信号光LSの反射光は、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。
【0039】
参照光LRは、光ファイバ106により導光され、コリメータレンズユニット107により平行光束となる。更に、参照光LRは、ミラー108、109、110により反射され、ND(Neutral Density)フィルタ111により減光され、ミラー112に反射され、コリメータレンズ113により参照ミラー114の反射面に結像される。参照ミラー114に反射された参照光LRは、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。
【0040】
ファイバカプラ103は、信号光LSの角膜反射光と、参照ミラー114に反射された参照光LRとを合波する。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ115により導光されて出射端116から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ117により平行光束とされ、回折格子118により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ119により集光されてCCDイメージセンサ120の受光面に投影される。
【0041】
CCDイメージセンサ120は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ120は、この電荷を蓄積して検出信号を生成する。更に、CCDイメージセンサ120は、この検出信号を演算制御ユニット200に送る。
【0042】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
【0043】
<検出光学系>
本実施形態の眼底カメラユニット2には、信号光信号光LSの角膜反射光を受光し、当該反射光の強度を検出する検出光学系90が設けられている。検出光学系90は、ビームスプリッタ91及び検出部92を有する。
【0044】
ビームスプリッタ91は、OCTユニット100からの信号光LSを透過させ、且つ信号光LSの反射光の一部を分離して検出部92に送る。ビームスプリッタ91は例えばダイクロイックミラーにより構成されている。ビームスプリッタ91は、検出光学系90の光軸と眼底カメラユニット2の光学系の光軸とを合成するものである。
【0045】
検出部92は、ビームスプリッタ91から送られた信号光LSの角膜反射光を受光し、当該反射光の強度を検出する。検出結果は判定部261(後述)に送られる。本実施形態では、アライメントがなされた状態において、検出部92は角膜Ecの頂点と共役な位置に配置される。検出部92は例えばフォトダイオード等の検出素子と当該検出素子により検出された結果から強度を求める強度検出部(図示なし)により構成されている。
【0046】
検出光学系90は、信号光LSの反射光を受光できればよく、その配置は図1に示す位置に限られない。例えば、検出光学系90をガルバノミラー43の直前に設けることも可能である。検出光学系90は、信号光の代わりにOCTユニット100による干渉光LCの強度を検出することも可能である。また、ビームスプリッタ91は、検出光学系90の光軸上(眼底カメラユニット2の光学系の光軸上)に挿脱可能に設けられていてもよい。
【0047】
<演算制御ユニット>
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120から入力される検出信号を解析して角膜EcのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様である。
【0048】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底Efや角膜Ecの断層像G(図2を参照)等のOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0049】
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、各ガルバノミラー43、44の動作制御などを行う。
【0050】
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、参照ミラー114及びコリメータレンズ113の移動制御、CCDイメージセンサ120の動作制御などを行う。
【0051】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、干渉光計測装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいてOCT画像を形成する専用の回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0052】
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、それぞれ別体として構成されていてもよい。
【0053】
<制御系>
干渉光計測装置1の制御系の構成について図3を参照しつつ説明する。
【0054】
<制御ユニット>
干渉光計測装置1の制御系は、演算制御ユニット200の制御ユニット210を中心に構成される。制御ユニット210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。
【0055】
制御ユニット210には、制御部211と記憶部212が設けられている。制御部211は、前述の各種制御を行う。特に、制御部211は、眼底カメラユニット2の走査駆動部70及び合焦駆動部80、更にOCTユニット100の光源ユニット101及び参照駆動部130を制御する。光源ユニット101の制御については後述する。
【0056】
走査駆動部70は、たとえばサーボモータを含んで構成され、ガルバノミラー43、44の向きを各々独立に変更する。走査駆動部70は、ガルバノミラー43、44とともに、この発明の「走査部」の一例を構成する。
【0057】
合焦駆動部80は、たとえばパルスモータを含んで構成され、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、眼底Efに向かう光の合焦位置が変更される。
【0058】
参照駆動部130は、たとえばパルスモータを含んで構成され、参照光LRの進行方向に沿って、コリメータレンズ113及び参照ミラー114を一体的に移動させる。
【0059】
また、制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
【0060】
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
【0061】
<画像形成部>
画像形成部220は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいて、角膜Ecの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のフーリエドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。
【0062】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板や通信インターフェイス等を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づいて呈示される「画像」とを同一視することがある。
【0063】
<画像処理部>
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。
【0064】
<表示部、操作部>
表示部240は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスを含んで構成される。操作部250は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。また、操作部250には、眼底観察装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部250は、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルモニタなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0065】
<特定部>
特定部260は、判定部261を含んで構成されている。本実施形態における「特定部」は、判定部261のほか、検出部92が含まれる。
【0066】
特定部260は、強反射位置を特定する。具体的には、特定部260に設けられた判定部261において、検出部92で検出された信号光LSの反射光の強度が閾値以上であるか判定が行われる。そして、判定部261は、信号光LSの反射光の強度が閾値以上であれば、当該反射光が強反射状態であると判定する。特定部260は、強反射状態である反射光の元となった信号光LSを被測定物体に照射した際のガルバノミラー43、44の位置(向き)を特定する。ガルバノミラー43、44の位置(向き)は、信号光LSの反射光の受光結果と関連付けられた状態で、記憶部212等に記憶されている。
【0067】
「強反射位置」は、信号光LSの反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置をいう。「強反射状態」は、信号光の反射光が強すぎるため検出部92による検出ができない(飽和状態となる)という絶対的な状態、及び反射光の強度を閾値と比較した際にその反射光の強度が閾値よりも高いという相対的な状態のいずれも含む概念である。「閾値」は、強反射状態にあるか否かを区別する値である。例えば、CCDイメージセンサ120により検出できる強度の最大値に基づいて自動的に設定される値である。或いは検査者等が任意に設定してもよい。
【0068】
なお、被検眼Eが固定された状態では、ガルバノミラー43、44の位置(向き)と信号光LSが角膜Ecに照射される位置(照射位置)とを同一視できる。「被検眼Eが固定された状態」とは、被検眼Eに対するアライメント及び固視がなされた状態をいう。
【0069】
<信号光の走査及びOCT画像について>
ここで、信号光LSの走査及びOCT画像について説明しておく。
【0070】
干渉光計測装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、観察部位、解析対象、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
【0071】
ガルバノミラー43、44は互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノミラー43、44の向きを同時に制御することにより、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
【0072】
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿った深度方向(z方向)の断層像を形成することができる。
【0073】
上記のような信号光LSの走査対象となる被検眼E上の領域、つまりOCT計測の対象となる前眼部(角膜Ec)上の領域を走査領域と呼ぶ。
【0074】
<動作>
次に図4〜図8を参照して、本実施形態に係る干渉光計測装置1において強反射位置を特定する特定動作、及び特定動作で特定された強反射位置を考慮して撮影を行う撮影動作について説明する。ここでは、光源ユニット101から照射される光がパルス光であるとして説明を行う。干渉光計測装置1は走査点P(n=1〜k。図示なし)に向けて順次に信号光LSを照射し、検出された信号光LSの反射光に基づいて、所定の撮影範囲(P〜P)における画像を取得することができる。また、以下の説明において、被検眼Eは固定された状態にあるものとする。
【0075】
<特定動作>
まず、図4を参照して、強反射位置を特定する動作について説明を行う。ここでは、強反射位置を記憶部212に記憶する例について述べる。
【0076】
制御部211は、光源ユニット101を制御し、低コヒーレンス光L0を出力させる。出力された低コヒーレンス光L0は、ファイバカプラ103により信号光LSと参照光LRとに分割される。信号光LSは、ガルバノミラー43、44を介して角膜Ecの走査点Pに照射される(S10)。角膜Ecに照射された信号光LSは、角膜Ec等で反射される。その反射光は、撮影光学系30に入射する。撮影光学系30に入射した反射光と参照光LRとに基づく干渉光LCにより、角膜Ecの走査点Pにおける画像情報を取得することができる。
【0077】
ここで、信号光LSの反射光は、ビームスプリッタ91によりその一部が分離され、検出部92に導かれる。検出部92は当該反射光の強度を検出する(S11)。検出部92は、検出した強度を判定部261に送る。
【0078】
判定部261は、S11で検出された反射光の強度が閾値以上であるか判定する(S12)。
【0079】
反射光の強度が閾値以上であると判定された場合(S12でYの場合)、特定部260は、当該反射光の元となった角膜Ecへの信号光の照射位置(ガルバノミラー43、44の位置)を強反射位置として特定する(S13)。特定部260は、S13で特定された強反射位置を記憶部212に送る。記憶部212は、S13で特定された強反射位置を患者ID等と関連付けて記憶する。なお、特定動作と撮影動作を一連の検査で行う場合には、患者ID等と関連付けは不要である。一方、反射光の強度が閾値よりも低い場合(S12でNの場合)には照射位置の特定(強反射位置としての特定)は行わない。
【0080】
以上の処理を点Pまで繰り返すことで所定の撮影範囲における撮影が完了する(S14でYの場合)。所定の撮影範囲における撮影が完了していない場合(S14でNの場合)には、制御部211は、ガルバノミラー43、44を駆動させることにより、信号光LSの照射位置を走査する(S15)。すなわち、制御部211は、走査点Pから走査点Pに信号光LSの照射位置を変更させ、走査点PにおいてS10〜S12(S13)の動作を行う。
【0081】
<撮影動作>
次に、図5を参照して、S13で特定された強反射位置を考慮して所定の撮影範囲(P〜P)に対して再度の撮影を行う場合について説明を行う。被検眼Eの固定された状態は、先の撮影(S10〜S15)における状態と同じである。また、再度の撮影は先の撮影と連続して行われるものとする。
【0082】
まず、制御部211は、信号光LSを照射する走査点PがS13で特定された強反射位置であるかどうか判断する(S20)。
【0083】
具体的には、制御部211は、信号光LSを照射する位置に対応するガルバノミラー43、44の位置が、記憶部212に記憶されているS13で特定されたガルバノミラー43、44の位置と同じであるか否かを判断する。
【0084】
走査点PがS13で特定された強反射位置であると判断された場合(S20でYの場合)、制御部211は、特定された強反射位置に対して照射されるパルス光(信号光LS)の光量を低下させるための制御を行う(S21)。そして、制御部211は、光源ユニット101を制御して、特定された強反射位置に対して光量を低下させたパルス光(信号光LS)を照射させる。
【0085】
信号光LSの光量はパルス光の光量に応じて増減する。従って、パルス光の光量を低下させることは、S13で特定された照射位置に照射される信号光LSの光量を低下させることとなる。
【0086】
パルス光の光量を低下させる具体例としては、制御部211が、ある走査点Pに対して信号光LSを再度照射するときのパルス光のパルス幅が、他の照射位置(走査点P以外の位置)に信号光LSを照射するときのパルス光のパルス幅より小さくなるよう光源ユニット101を制御することが挙げられる。この例を図6に示す。
【0087】
図6は、光源ユニット101から照射されるパルス光の一例を示す図である。図6の縦軸はパルス光の強度を表す。横軸はパルス光の照射時間を表す。走査点P(n=1〜k)に対して照射される信号光LSの元となるパルス光をパルス光L(n=1〜k)で表す。ここでは、S13で特定された強反射位置が走査点Pであるとして説明を行う。
【0088】
図6に示すように、制御部211は、走査点Pに対して信号光LSを照射するときのパルス光Lのパルス幅(照射時間)を、他の走査点P、P、P・・・・Pに信号光LSを照射するときのパルス光L、L、L・・・・Lのパルス幅よりも小さくするよう光源ユニット101を制御する。信号光LSの強度はパルス光Lnの強度に応じて増減する。従って、パルス幅を小さくすることにより、走査点Pに照射される信号光LSは光量が弱くなる。つまり、走査点Pに対して信号光LSの光量を低下させることができる。
【0089】
ここで、光源ユニット101からのパルス光L(信号光LS)の光量を低下させる制御部211の制御動作については上記に限られない。
【0090】
例えば、図7に示すように、制御部211が、走査点Pに対して信号光LSを照射するときのパルス光Lのパルス高(光の強度)を、他の走査点P、P、P・・・・Pに信号光LSを照射するときのパルス光L、L、L・・・・Lのパルス高よりも低くなるよう光源ユニット101を制御することにより光量を低下させることが可能である。
【0091】
なお、制御部211は、パルス幅を小さくし、且つパルス高を低くするよう光源ユニット101を制御することにより光量を低下させることも可能である。
【0092】
或いは、図8に示すように、制御部211が、走査点Pに対して信号光LSを照射するときのパルス光Lのパルス高(光の強度)と、それ以前に検出されたパルス光(例えばL)の強度の比較を行う。そして、制御部211が、走査点Pに照射されるパルス光Lのパルス高(光の強度)が、それ以前に検出されたパルス光のパルス高(光の強度)を超えたと判断したときに光源ユニット101を制御することが可能である。すなわち、制御部211は、光源ユニット101を制御して、パルス光Lの出力を停止させることにより光量を低下させることが可能である。
【0093】
一方、走査点PがS13で特定された強反射位置で無い場合(S20でNの場合)、制御部211は光量を低下させずに光源ユニット101を駆動させ、走査点Pに対して信号光LSを照射させる(S22)。
【0094】
以上の処理を点Pまで繰り返すことで所定の撮影範囲における撮影が完了する(S23でYの場合)。所定の撮影範囲における撮影が完了していない場合(S23でNの場合)には、制御部211は、ガルバノミラー43、44を駆動させることにより、信号光LSの照射位置を走査する(S24)。すなわち、制御部211は、走査点Pから走査点Pに信号光LSの照射位置を変更させ、走査点PにおいてS20、S21(S22)の動作を行う。
【0095】
なお、記憶部212に記憶された強反射位置を、経過観察(被検眼Eの固定された状態が同一の必要がある)の際に用いることも可能である。この場合、「特定部」には、記憶部212も含まれる。
【0096】
<作用・効果>
以上のような干渉光計測装置1の作用及び効果について説明する。
【0097】
干渉光計測装置1の、光源ユニット101は、低コヒーレンス光L0を出力する。干渉光学系は、光源ユニット101からの低コヒーレンス光L0を信号光LSと参照光LRとに分割し、角膜Ecによる信号光LSの反射光と参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成して検出する。走査部は、角膜Ecに対する信号光LSの照射位置を走査する。特定部260は、信号光LSの反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置(強反射位置)を特定する。制御部211は、特定された強反射位置に対して信号光LSを再度照射させるときに、光源ユニット101を制御して低コヒーレンス光L0の光量を低下させる。
【0098】
特定部260は、検出部92、判定部261を有する。検出部92は、走査部による走査に対応して信号光LSの反射光の強度を検出する。判定部261は、検出部92で検出された強度と閾値とを比較し、当該強度が当該閾値以上であるときに信号光LSの反射光が強反射状態にあると判定する。
【0099】
このように、干渉光計測装置1によれば、強反射位置に対して信号光を照射するときに、光源ユニット101から出力される低コヒーレンス光の光量を低下させることができる。従って、被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能となる。
【0100】
更に、本実施形態における低コヒーレンス光はパルス光である。制御部211は、特定された強反射位置に信号光LSを照射するときのパルス光のパルス幅を、他の照射位置に信号光LSを照射するときのパルス光のパルス幅より小さくするよう光源ユニット101を制御することにより光量を低下させる。
【0101】
また、制御部211は、特定された強反射位置に信号光LSを照射するときのパルス光の強度を、他の照射位置に信号光LSを照射するときのパルス光の強度より低くするよう光源ユニット101を制御することにより光量を低下させることも可能である。
【0102】
或いは、制御部211は、強反射位置に照射する信号光LSの強度、及びそれ以前に検出された信号光LSの強度の比較を行い、強反射位置に照射される信号光LSの強度が、それ以前に検出された信号光LSの強度を超えたときに、光源ユニット101を制御して光量を低下させることも可能である。
【0103】
このように、制御部211は、種々の方法を用いて光源ユニット101から出力される低コヒーレンス光を低減させることができる。従って、強反射位置からの反射光の強度を低減させることが可能となる。
【0104】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態における判定部261は、検出部92で検出された信号光LSの強度が閾値以上であるかを判定していたがこれに限られない。
【0105】
例えば、判定部261は、検出部92で検出された複数の信号光LSの反射光に対して、その強度のピーク値を求め、当該ピーク値に対応する反射光が強反射状態にあると判定することも可能である。
【0106】
つまり、第1実施形態のように個々の走査点Pにおける反射光の強度を閾値と比較するのではなく、判定部261は、所定の撮影範囲(例えば走査点P〜P)における全ての点の中からピーク値(1箇所でも複数箇所でもよい)に該当する走査点を求め、その走査点からの反射光が強反射状態にあると判定する。そして特定部260は、強反射状態にあるときの走査部による照射位置(ガルバノミラー43、44の位置)を特定する。
【0107】
この場合には、個々の点において閾値比較を行う場合と比べ、処理速度の向上を図ることができる。
【0108】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る干渉光計測装置について説明する。第1実施形態と共通する部分も多いため、異なる部分についてのみ詳細に説明を行う。
【0109】
本実施形態における制御部211は、特定部260で特定された強反射位置に対して信号光LSを再度照射させるときに、信号光LSに基づく干渉光の干渉光学系による検出時間を短縮する制御を行う。具体的には、制御部211は、干渉光学系内に設けられたCCDイメージセンサ120の電荷蓄積時間を短くする制御を行う。
【0110】
<撮影動作>
図9を参照して、特定された強反射位置を考慮して所定の撮影範囲に対して再度の撮影を行う場合について説明を行う。再度の撮影時における被検眼Eの固定された状態は、先の撮影における固定された状態と同じであるとする。また、再度の撮影は先の撮影と連続して行われるものとする。なお、強反射位置を特定する動作については、第1実施形態のS10〜S15までと同じ動作のため説明を省略する。
【0111】
まず、制御部211は、信号光LSを照射する走査点Pが特定された強反射位置であるかどうかの判断を行う(S30)。
【0112】
具体的には、制御部211は、信号光LSを照射する位置におけるガルバノミラー43、44の位置が特定されたガルバノミラー43、44の位置と同じであるか否かを判断する。
【0113】
走査点Pが特定された強反射位置であると判断された場合(S30でYの場合)、制御部211は、走査点Pに対して照射された信号光LSに基づく干渉光を干渉光学系で検出する時間を短縮する制御を行う(S31)。
【0114】
具体的には、制御部211は、走査点Pに対して照射された信号光LSに基づく干渉光をCCDイメージセンサ120で検出する際の電荷蓄積時間が、他の照射位置(特定された強反射位置以外の位置)に対して照射された信号光LSに基づく干渉光をCCDイメージセンサ120で検出する際の電荷蓄積時間よりも短くなるようCCDイメージセンサ120を制御する。
【0115】
一方、走査点Pが特定された強反射位置で無い場合(S30でNの場合)、制御部211はCCDイメージセンサ120をそのまま駆動させ、Pに対して信号光LSを照射させる(S32)。
【0116】
以上の処理を点Pまで繰り返すことで所定の撮影範囲における撮影が完了する(S33でYの場合)。所定の撮影範囲における撮影が完了していない場合(S33でNの場合)には、制御部211は、ガルバノミラー43、44を駆動させることにより、信号光LSの照射位置を走査する(S34)。すなわち、制御部211は、走査点Pから走査点Pに信号光LSの照射位置を変更させ、走査点PにおいてS30、S31(S32)の動作を行う。
【0117】
なお、記憶部212に記憶された強反射位置を、経過観察(被検眼Eの固定された状態が同一の必要がある)の際に用いることも可能である。この場合、「特定部」には、記憶部212も含まれる。
【0118】
<作用・効果>
以上のような干渉光計測装置1の作用及び効果について説明する。
【0119】
干渉光計測装置1の光源ユニット101は、低コヒーレンス光L0を出力する。干渉光学系は、光源ユニット101からの低コヒーレンス光L0を信号光LSと参照光LRとに分割し、角膜Ecによる信号光LSの反射光と参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成して検出する。走査部は、角膜Ecに対する信号光LSの照射位置を走査する。特定部260は、信号光LSの反射光が強反射状態にあるときの走査部による照射位置(強反射位置)を特定する。そして制御部211は、特定された強反射位置に対して信号光LSを再度照射させるときに、CCDイメージセンサ120を制御して信号光LSに基づく干渉光の干渉光学系による検出時間を短縮する。
【0120】
このように、干渉光計測装置1によれば、干渉光学系による検出時間(CCDイメージセンサ120の電荷蓄積時間)を短縮させることで、反射光の強度が強い場合であってもCCDイメージセンサ120に蓄積される電荷を押さえることができる。従って、被測定物体からの強反射光の影響を低減させて被測定物体の撮影を行うことが可能となる。
【0121】
<第3実施形態>
次に、図10、図11を参照して、第3実施形態に係る干渉光計測装置について説明する。第1、2実施形態と共通する部分も多いため、異なる部分についてのみ詳細に説明を行う。
【0122】
図10に示すように、特定部260は、判定部261と輝度値検出部263を含む。
【0123】
輝度値検出部263は、画像形成部220で形成された画像の各画素の輝度値を検出する。
【0124】
本実施形態における判定部261は、輝度値検出部263で検出された輝度値が閾値以上であるときに強反射状態にあると判定する。ここでの「閾値」は、第1実施形態と同様、強反射状態にあるか否かを区別するための値である。
【0125】
<特定動作>
図11を参照して、強反射位置を特定する動作について説明を行う。なお、特定された強反射位置を考慮した再度の撮影動作については、第1実施形態のS20〜S24、或いは第2実施形態のS30〜S34までと同じ動作のため説明を省略する。
【0126】
まず、干渉光学系により、角膜EcのOCT計測を行う(S40)。S40で得られた撮影結果に基づいて、画像形成部220は角膜EcのOCT画像を形成する(S41)。S41で形成されたOCT画像における各画素は、ガルバノミラー43、44の位置と関連付けられた状態で記憶部212等に記憶される。
【0127】
次に、輝度値検出部263は、S41で形成された画像の各画素の輝度値を検出する(S42)。
【0128】
判定部261は、S42で検出された各画素の輝度値のうち、閾値以上の画素を強反射状態にあると判定する(S43)。
【0129】
そして、特定部260は、S43で判定された画素に関連付けられたガルバノミラー43、44の位置(強反射位置)を特定する(S44)。特定部260は、S44で特定された強反射位置を記憶部212に送る。記憶部212は、S44で特定された強反射位置を患者ID等と関連付けて記憶する。
【0130】
<作用・効果>
以上のような干渉光計測装置1の作用及び効果について説明する。
【0131】
干渉光計測装置1の輝度値検出部263は、画像の各画素の輝度値を検出する。判定部261は、輝度値検出部263により検出された輝度値が閾値以上であるときに強反射状態にあると判定する。
【0132】
このように、撮影された画像の各画素における輝度値に基づいて強反射位置を特定することが可能である。従って、被検眼からの強反射光の影響を低減させて被検眼の撮影を行うことが可能となる。
【0133】
なお、S41で形成された画像を記憶部212に記憶しておくこともできる。この場合、過去に撮影した画像から強反射位置を特定できる。すなわち、経過観察等を行う場合であっても、被検眼からの強反射光の影響を低減させて撮影を行うことが可能となる。
【0134】
<第1実施形態から第3実施形態に共通する事項>
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0135】
上記実施形態では、被測定物体として生体眼を用いて説明を行ったがこれに限られない。強反射状態が起こる可能性のある被測定物体に対しては、上記実施形態の構成を適用することで強反射光の影響を低減させて撮影を行うことが可能となる。
【0136】
具体的には、例えば、生体内の粘膜(胃や大腸等)に対して照射した光の反射光を受光する場合にも強反射状態となる場合がある。このような部位に対して上記実施形態の構成を応用することにより、強反射光の影響を低減させて撮影を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0137】
1 眼底観察装置
2 眼底カメラユニット
3 表示装置
10 照明光学系
11 観察光源
15 撮影光源
30 撮影光学系
31 合焦レンズ
35、38 CCDイメージセンサ
39 LCD
43、44 ガルバノミラー
50 アライメント光学系
60 フォーカス光学系
70 走査駆動部
80 合焦駆動部
90 検出光学系
91 ビームスプリッタ
92 検出部
100 OCTユニット
101 光源ユニット
114 参照ミラー
118 回折格子
120 CCDイメージセンサ
130 参照駆動部
200 演算制御ユニット
210 制御ユニット
211 制御部
212 記憶部
220 画像形成部
230 画像処理部
240 表示部
250 操作部
260 特定部
261 判定部
E 被検眼
Ef 眼底
Ec 角膜
K 観察画像
H 撮影画像
G 断層像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低コヒーレンス光を出力する光源と、
前記光源からの前記低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体による前記信号光の反射光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する干渉光学系と、
前記被測定物体に対する前記信号光の照射位置を走査する走査部と、
前記信号光の反射光が強反射状態にあるときの前記走査部による前記照射位置である強反射位置を特定する特定部と、
前記強反射位置に対して前記信号光を再度照射させるときに、前記光源を制御して前記低コヒーレンス光の光量を低下させる制御部と、
を有することを特徴とする干渉光計測装置。
【請求項2】
前記低コヒーレンス光はパルス光であって、
前記制御部は、前記強反射位置に前記信号光を照射するときの前記パルス光のパルス幅を、他の位置に前記信号光を照射するときの前記パルス光のパルス幅より小さくするよう前記光源を制御することにより前記光量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の干渉光計測装置。
【請求項3】
前記低コヒーレンス光はパルス光であって、
前記制御部は、前記強反射位置に前記信号光を照射するときの前記パルス光の強度を、他の位置に前記信号光を照射するときの前記パルス光の強度より低くするよう前記光源を制御することにより前記光量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の干渉光計測装置。
【請求項4】
前記低コヒーレンス光はパルス光であって、
前記特定部は、
前記走査部による走査に対応して前記パルス光に基づく信号光の強度を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記強反射位置に照射する前記信号光の強度、及びそれ以前に検出された前記信号光の強度の比較を行い、前記強反射位置に照射される前記信号光の強度が、それ以前に検出された前記信号光の強度を超えたときに前記光源を制御することにより前記光量を低下させることを特徴とする請求項1記載の干渉光計測装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記強反射位置を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記強反射位置に対して前記信号光を再度照射させるときに、前記光源を制御して前記低コヒーレンス光の光量を低下させることを特徴とする請求項1記載の干渉光計測装置。
【請求項6】
低コヒーレンス光を出力する光源と、
前記光源からの前記低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体による前記信号光の反射光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する干渉光学系と、
前記被測定物体に対する前記信号光の照射位置を走査する走査部と、
前記信号光の反射光が強反射状態にあるときの前記走査部による前記照射位置である強反射位置を特定する特定部と、
前記強反射位置に対して前記信号光を再度照射させるときに、当該信号光に基づく干渉光の前記干渉光学系による検出時間を短縮する制御部と、
を有することを特徴とする干渉光計測装置。
【請求項7】
前記特定部は、
前記強反射位置を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記強反射位置に対して前記信号光を再度照射させるときに、当該信号光に基づく干渉光の前記干渉光学系による検出時間を短縮することを特徴とする請求項6記載の干渉光計測装置。
【請求項8】
前記特定部は、
前記走査部による走査に対応して前記信号光の反射光の強度を検出する検出部と、
前記検出部で検出された強度と閾値とを比較し、前記強度が前記閾値以上であるときに前記反射光が前記強反射状態にあると判定する判定部と、
を有することを特徴とする請求項1または6記載の干渉光計測装置。
【請求項9】
前記特定部は、
前記走査部による走査に対応して前記信号光の反射光の強度を検出する検出部と、
前記検出部で検出された強度のピーク値を求め、当該ピーク値に対応する反射光が前記強反射状態にあると判定する判定部と、
を有することを特徴とする請求項1または6記載の干渉光計測装置。
【請求項10】
前記干渉光に基づく前記被測定物体の画像を形成する画像形成部を有し、
前記特定部は、
前記画像の各画素の輝度値を検出する輝度値検出部と、
前記検出された輝度値が閾値以上であるときに、前記反射光が前記強反射状態にあると判定する判定部と、
を有することを特徴とする請求項1または6記載の干渉光計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−225826(P2012−225826A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95063(P2011−95063)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】